Menu
 > レビュワー
 > ザ・チャンバラ さんの口コミ一覧。3ページ目
ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123
投稿日付順123
変更日付順123
>> カレンダー表示
>> 通常表示
41.  アンダーワールド/エボリューション
前作と本作を見た感想は、面白くなりそうな駒を揃えているのに、いまいち不発なのはなぜだろうということです。ブレイドやマトリックスの露骨な後発作品ではあるものの、ヴァンパイア族とライカン族の抗争という新機軸を持ってきた前作にはバカバカしくもはじけた映画になることを期待していたのに、どうにも不発。予算が拡大した続編も前作と作品の質は同等で、いまいち盛り上がりに欠ける印象です。レン・ワイズマンという人物はプロデューサー向きの人物であって監督には不向きなような気がします。このシリーズ、面白くなりそうな駒は揃ってるんですよ。ヴァンパイアとライカンというふたつの種族を登場させることで、ヴァンパイア単品で勝負している他の作品よりもアクションやキャラクターのバリエーションは確実に広がっています。さらに続編の本作は「最強の始祖vs新世代の混血」という燃える構図を準備しており、そこにヴァンパイアの特殊部隊なんかも絡んできて良い意味でマンガ的。撮影は美しいし、出演者も良くハマってるし、アクションやSFXも頑張ってるので普通にやってれば間違いなく面白くなりそうな映画なんです。これだけの駒を揃えてきたレン・ワイズマンはなかなかのもんだと思います。ただし肝心の演出が平板で、作品全体でのテンションの配分が全然できていません。見せ場の連続なのにどこか退屈。ラストのバトルなんて、最強のヴァンパイア&ライカンにパワーアップしたヒロインがぶつかるという最高に盛り上がるべきパートなのに、「さぁいよいよ決戦だ!」みたいな高揚感のないまま戦いがはじまり、それぞれの力量を十分に見せ切らないまま終わります。マンガ的な話なのにマンガ的な盛り上げをしないのがいけないんだと思います。その辺の描き方が抜群にうまいドラゴンボールでも見て勉強すべきですね。決戦をはじめる時の盛り上げやヒーローを登場させるタイミング、各キャラの力量の描き分けなど、ハリウッド映画ができないことを日本のマンガは余裕でやってますから。
[DVD(吹替)] 6点(2006-10-29 21:02:51)(良:2票)
42.  アンダーカバー・ブラザー
雰囲気と言い、笑いと言い、「オースティン・パワーズ」の完コピでしたね。とはいえ、こちらの設定の方が数倍バカバカしいわけですけど。マイク・マイヤーズの屈折したナルシシズムが気になった「オースティン・パワーズ」に対して、こちらは素直に楽しめたし。とにかくアンダーカバー・ブラザーのキャラ設定が最高すぎです。アフロにやたらこだわるってのがいいですね。銃で撃たれても、真っ先に気にするのは命よりもアフロだし。そういう細かい部分で笑かしてくれるだなんて、やっぱりいいコメディーなんですよ。ただ残念だったのは、DVDに吹き替えがついてなかったこと。吹き替えがあればこの3倍は笑えたと思います。
6点(2004-09-04 01:46:35)
43.  アフター・アース
2000年代には年に何本もの主演作が公開されていたものの、2008年の『ハンコック』以降はそのペースがピタリと止まり、2010年代には『MIB3』にしか出演していないウィル・スミス。見た目は衰えていないので『バッド・ボーイズ』のような役柄もまだまだ行けそうな気もするのですが、当の本人は、40歳を過ぎた実年齢にパブリックイメージをどう合わせていくかで迷っているのだろうと思います。そんな中、自分自身で物語を考え、監督も自身で選任したという本作には、スミスが目指そうとしている方向性が込められているように思います。。。 人類を救った英雄にして軍隊の最高司令官という設定は相変わらずなのですが、その全盛期の活躍は数秒の映像で示されるのみであり、登場場面のほとんどは動けない状態。スミスは、表情とセリフのみでの演技を自らに課しています。従前のパブリックイメージを下地として利用し、人類の英雄という荒唐無稽な設定を観客にうまく飲み込ませているという点は戦略的にうまいと感じたし、その一方で、首から上だけでの演技も、必要なレベルには達していたと思います。本作においては、「若さ」から「成熟」へのパブリックイメージの転換と、高い演技力のアピールという二つのことを同時に行っているのですが、その目的はきちんと達成されているという点では感心させられました。こういうことが出来てこそのスター俳優なのですが、トム・クルーズやブラッド・ピットが10年ほど苦しんでいるこのステップを、たった1作でサラっと流してしまったという辺りに、ウィル・スミスの非凡さが現れていると思います。。。 その犠牲となったのが、息子のジェイデンでした。ウィル・スミスの映画としては悪くない出来だったものの、ジェイデン・スミスの映画としては最悪。彼は終始生意気なガキンチョで、好感を抱かれる要素が皆無なのです。ジェイデン演じるキタイの成長譚という体裁をとっているものの、その点はあまり深堀りされていません。冒頭、キタイは個人としての能力は高いが協調性に欠けるという問題が提示されます。ならば、これはキタイが協調性を獲得する物語とすべきなのですが、結局は個の力を強くすることで危機を乗り切るという、理解に苦しむ内容となっているのです。イヤな奴がイヤな奴のままラストを迎える、これでは観客から嫌われて当然ですね。これを演じたジェイデンには、お気の毒と言うしかありません。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2014-02-24 00:44:22)(良:2票)
44.  愛を読むひと 《ネタバレ》 
演技は良い、撮影も良い、テーマも良い、映画全体も上品にまとまっていて、いかにも賞レースで評価されそうな要素を多く持っているのですが、惜しいところで良作になり損ねたという印象です。スッキリしなかったのはマイケルの心理描写が雑だったことで、彼の葛藤は何となく推測できるものの、それをエモーショナルなドラマに昇華しきれていませんでした。レイフ・ファインズという瞳だけで演技のできる俳優に終始頼りっぱなしで、作り手の側がマイケルの心情を整理しきれていなかったことがその原因。冒頭、恋人から「あなたの気持ちがわからない」と言われたところからマイケルの回想が始まりますが、映画を観終わってところでハンナとの関係がマイケルの人格形成にどう影響したのかがまるで見えてきません。ひと夏の経験が少年の人生をどう変えたのかを表現できていないのでは、この題材の映画化作品としては失敗でしょう。オスカーも納得のケイト・ウィンスレットの熱演や、一風変わったホロコーストネタの料理(ホロコーストに関わった者を単純に断罪するのではなく、無知ゆえに殺戮に加担した者を罪に問うべきかという珍しい問いかけがなされます)など良い点は多くあるのですが、主人公マイケルの人物像がブレブレでは話になりません。
[DVD(吹替)] 5点(2011-04-24 16:51:07)
45.  暗殺者
ウォシャウスキー兄弟がオリジナルを作り、それをブライアン・ヘルゲランドが手直ししたという、今となっては驚くようなメンバーによって書かれた脚本はかなり魅力的です。ただドンパチ撃ち合うだけのアクションではなく、タクシー車内の防弾ガラスを挟んでの銃撃戦や、部屋にある日用品を利用したマンション室内での銃撃戦など、すべての見せ場には他の映画にはない一工夫がなされており、なかなか丁寧に考えられています。暗殺者という泥臭そうな仕事でありながら、当時まだ珍しかったEメールによってその指示がなされるというアイデアはウォシャウスキー兄弟ならではですが、いくつもの修羅場をくぐりぬけてきたベテラン暗殺者が、パソコンの前でぶつくさ文句言いながら愛想のいい返信をする辺りの捻り方もなかなか面白いと思いました。彼と組むこととなる女性ハッカーのキャラクターもよく出来ています。隣人の生活を覗き見ることを趣味としており、唯一の生き甲斐はネコを溺愛することというかなり危ない人なのですが、そんなエキセントリックな彼女が魅力的に描けているというギリギリのバランス感覚は、やはり脚本家がうまかったおかげでしょう。。。残念だったのは、新人脚本家達によるエッジの立った脚本を任されたベテラン監督の腕前が、あまりに安定しすぎていたことでしょうか。脚本のとんがった部分のほとんどが監督の安定した手腕のために丸く削られてしまい、人物像の作り込みや設定の面白さがほとんど伝わってきません。中年のベテラン暗殺者と若い女性ハッカーという、特殊な専門能力は持つものの社会性ゼロの二人が、お互いに弱みを補完しあいながら危機を乗り切ることが物語の骨子であったはずなのに、二人の人間的な弱みの描写が決定的に欠けているため、よくあるバディ映画にしか見えません。二人とも、暗殺者やハッカーであることを除けば常識的な普通の人にしか見えないのです。二人の病的な部分や、人間的な衝突をもっと描くべきでした(ブライアン・ヘルゲランドが参加している以上、オリジナルの脚本にはそのような描写があったはず)。そこに来て、アントニオ・バンデラス演じる明らかに危ない若手暗殺者のキャラだけが異常に立っており、この辺りのバランスの悪さも映画の出来を残念なものにしています。
[DVD(字幕)] 5点(2010-05-26 22:17:47)
46.  アミスタッド
脚本はよく作り込まれています。奴隷商人、アメリカ海軍、スペイン王室らの利益が複雑に絡み合い、さらに国際条約や国家間の力関係、アメリカ国内の対立までが影響を及ぼすかなり厄介な裁判をテーマとしながら、事件を取り巻く環境の交通整理がうまくなされています。マシュー・マコノヒーに「この裁判の本質は所有権争いである」と言わせ、どうすれば黒人奴隷達が裁判に勝てるのかを観客に対して事前に提示したことで、話がグっとわかりやすくなっています。このようなストーリーテリングの工夫には好感が持てます。証拠や論理を積み重ねていき、裁判を有利に導く様は小気味よく、法廷ものとしてなかなかのレベルです。しかし残念なのは、当のスピルバーグが本作を法廷ものとして描く気がなく、法廷で論理を積み重ねることよりも、いかに感動的なセリフを言わせるかを重視したこと。感動過多というスピの悪い癖がここでも出ています。また、アフリカ出身で西洋文明には馴染みがないはずの黒人奴隷が聖書に関心を持ったり、西洋の価値観である「自由」を叫んだりと、黒人の白人化が目に付きました。「奴隷制度に反対を叫んで、奴隷達そのものに無関心な人間」という印象的なセリフがありましたが、本作の作り手達にもこれを自問していただきたいところです。一方、スピお得意の残酷スペクタクルのインパクトは絶大で、本作の壮絶さはシンドラーのリストをも超えています。言葉でのみ語られてきた歴史を、迫真の映像で見せられるとここまでショッキングなものかと驚きました。ロスト・ワールド、プライベート・ライアン、そして本作と残酷描写が際立つ作品を3つもほぼ同時に作り上げたスピの絶倫ぶりは、さすが巨匠なのです。
[DVD(字幕)] 5点(2009-07-18 21:22:05)
47.  アルマゲドン(1998)
【2011.12.16レビューを変更しました】 本作を最後に見たのは10年以上前のことで、一度見ればわかるバカ映画なので特に再見する気にもならなかったのですが、脚本家としてトニー・ギルロイとJ・J・エイブラムスがクレジットされていることに気付いたことから、今回もう一度見てみることにしました。。。 その結果なのですが、印象は相変わらずのバカ映画でした。科学考証のいい加減さには、この際目を瞑りましょう。科学考証をまともにやったSF大作は「コンタクト」と「サンシャイン2057」くらいで、大半のSF映画は適当なものですから。マイケル・ベイの演出にも、特に問題点は見当たりません。銃撃戦やカーチェイスといった得意のアクション演出はほぼ封印され、見せ場のほとんどをVFXが占めるSF超大作という自身初体験の企画ではあったものの、これに対して意外にも器用に対応しているのです。ベイは力押しのバカ監督だと思われがちなのですが、「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」でも初体験の3D技術を見事に使いこなしていた辺りを見ると、実は相当な勉強家なのだと思います。ドラマパートも無難にまとめていて、この企画に要求されている仕事は十分にこなしています。 問題の中心は、その脚本のデタラメさにあります。スタンパー親子の確執が物語の横軸であったにも関わらず、シャトル打ち上げ前に二人が和解してしまったり、人類滅亡の危機なのに冗談ばかりで誰も焦っておらず、挙句に「訓練で疲れたから休暇をくれ」とまで言い出す始末。宇宙に飛び出してからは危機の連続なのですが、それらの大半が人災であって、ミッションそのものの困難性に起因する危機は皆無。中盤では、通信が途絶えることに焦った役人が遠隔操作で核爆弾を起動させようとする展開があるのですが、この危機を乗り切った後にもシャトルとヒューストンの通信は普通に続いており、だったらあのひと悶着は何だったんだろうかと呆れてしまいました。こうした脚本上の問題点は、数十人の脚本家に分業で書かせるというブラッカイマーの方針に原因があります。反乱シーンはロバート・タウン、大統領演説はトニー・ギルロイ、全体のセリフはJ・J・エイブラムス、アフレックとブシェミのセリフはスコット・ローゼンバーグといった具合に執筆作業を細分化してしまったために、全体でみると支離滅裂な内容となったようです。
[DVD(字幕)] 5点(2004-09-07 10:33:40)(良:2票)
48.  アウト・フォー・ジャスティス
「刑事ニコ」「ハード・トゥ・キル」「死の標的」、そしてこれの区別が完璧につくことが、私の自慢です。セガール映画はいつも同じですからね。下町が舞台、場末の飲み屋で無意味に乱闘(因縁をつけるのはセガールの方)、ボロい車でカーチェイス、クライマックスでは敵をボコボコにする。ちなみにテロリストものになると「現場にはセガールがいるのか、やったー」と喜ぶ司令部も入ってきます。てなわけですけど、とくに今回の敵は悲惨でしたね。確かにどうしようもないワルではあるんですけど、ラストではもうアクションというカテゴリーが通用しないほど一方的に殴られてました。「セガールさん、もうそれぐらいでカンベンしてあげて」って思いましたよ。
5点(2004-07-08 16:43:12)
49.  アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン 《ネタバレ》 
ヒドラの秘密基地を襲撃する冒頭から、映画のテンションはフルスロットル。6人の主人公の能力をバランスよく見せる演出の素晴らしさには、つくづく感動させられました。ただし、それと同時に違和感も残りました。序盤から楽勝ムードが全体を覆っており、緊張感が皆無なのです。特に冒頭は、軽口を叩きながら圧倒的なパワーで迫っていくアベンジャーズがとても感じの悪い集団に見えてしまい、一方で生身の人間でありながら神やモンスターを相手に防戦せねばならないヒドラの兵士達が気の毒になったほどです。 タイトルロールであるウルトロン登場以降も、その傾向は変わりません。「最大の敵現る!」という予告編での煽りとは対照的に、こいつがとにかく弱いのです。ボディはアイアンマンの改造版に過ぎないし、人工知能ならではの緻密な戦略があるわけでもない。また、これは前作からの問題点でもあるのですが、大ボスとその他大勢の雑魚から成り立っているというシンプルにも程がある敵の組織構造はいかがなものかと思います。雑魚をちぎっては投げ、最後に大ボスを始末するといういつもの流れで、クライマックスの見せ場が恐ろしく単調なものとなっているのです。個性的な能力を持った中ボスを置き、戦いにバリエーションを作るべきだと思います。 見せ場の合間に挿入されるドラマも、実にどうでもいいものでした。単独主演作を持たないキャラクターのドラマが中心となるのですが、ハルクとブラックウィドウがなぜか良い仲になっていたり、ホークアイの家族が唐突に登場したりと、激しくどうでもいいものばかりで眠たくなりました。また、平和の護り方を巡って多少の内輪揉めが起こるのですが、「人工知能を使い、システマチックな監視体制を作るべきだ」と主張するアイアンマンに対して、「あんな信用ならんものに頼れるか」と年寄り臭い主張をするキャップ(実際に年寄りなのですが)。お話は、アイアンマンの主張が間違ってるっぽい感じで進んでいくものの、途中から登場するヴィジョンが底抜けの正義漢ぶりを発揮し、結局あの議論には何の意味があったんだと、観客を大いに混乱させます。 最後に、日本のみ世界最遅上映という扱いはどうにかならんものでしょうか。この手のイベント映画は鮮度が大事。長々と悪口を書いてしまったのも、世界同時上映から2ヶ月も待たされ、私のテンションが完全に下がってしまっていたためでもあります。
[映画館(字幕)] 4点(2015-07-06 06:34:24)(良:1票)
50.  アウトランダー
モンスターを輸送中の宇宙人が事故って地球に不時着。モンスター退治のため宇宙人はそのまま地球に滞在って、まんまウルトラマン第1話なのです。しかもその舞台は現代ではなくバイキングの時代。これはとんでもないバカ映画だと期待したのですが、内容は至って真面目です。演技も演出も真剣そのもの、主演はイエス・キリストを演じた経験もあるジム・カヴィーゼルですからね。その他、バイキングの王にジョン・ハート、ライバル勢力の族長にロン・パールマンと共演陣も渋めで、本作は真っ当な時代劇として製作されています。変におちゃらけていないことは評価できるのですが、同時にこの真面目さが、本作が持つはずだった闇鍋的な面白さを奪う原因ともなっています。内容は「ベオウルフ/呪われし勇者」と大差ないもので、主人公が宇宙人である必要も、敵が宇宙怪獣である必要もなくなっているのです。また、本作のドラマパートは「13ウォーリアーズ」に酷似しているのですが、重厚な男のドラマだった「13ウォーリアーズ」と比較するとキャラクター描写が浅く、見応えに欠けます。SFという前提がドラマを消化不良にしており、SFと時代劇が食い合う形となっているのです。その他、撮影や編集が悪いために訳のわからない場面が多く見られたり、音楽がワンパターンで聞き飽きたり、モンスターのCGが甘かったり(2001年に製作された「ジェヴォーダンの獣」と同水準)と、技術的な面においても残念な部分が目立つ仕上がりとなっています。。。なお、本作は製作費5,000万ドルという大作でありながら、北米での興行成績はわずかに16万ドル。大コケどころか、公開前の時点で勝負を諦めていたとしか思えない成績です。美しいロケーションや渋い俳優陣に対して音楽やVFXが雑なのは、この辺りの事情が関係しているのかもしれません。
[DVD(字幕)] 4点(2012-01-06 20:57:08)
51.  アンノウン(2011)
リーアム・ニーソンと言えば、マイケル・コリンズやオスカー・シンドラー、ロブ・ロイといった歴史上の偉人達を演じてきた正真正銘の演技派でした。その素晴らしい存在感は多くの映画人から絶賛されており、ジョージ・ルーカスはジェダイの大師匠としてニーソンの起用を切望し、マイケル・ベイは「トランスフォーマー」におけるロボット軍団のリーダーについてニーソンをイメージしてそのキャラを作り上げたと語っています。そんなニーソン、55歳を過ぎて突如B級アクションに目覚めて迷走をはじめています。スティーブン・セガール、メル・ギブソン、ハリソン・フォード等の個性をたったひとりで表現できてしまう器用さが製作側にとっては便利なようで、ここんとこは娯楽アクションへの出演が相次いでいますが、本作についてはニーソンクラスの俳優が出るべき映画ではないと断言できます。そもそもの着想がありがちだし、ディティールもボロボロ。つっこみ出すとキリがないほどマヌケな殺し屋集団には呆れてしまいました。陰謀の核心も魅力的ではなく、爆弾解除に走り出す後半に至っても緊張感を出しきれていない演出は改善の余地ありです。「96時間」で起こった化学反応がいかに偶然の産物であったかが、本作を見ればよくわかりました。
[DVD(吹替)] 4点(2011-12-05 09:24:23)
52.  アイ・アム・レジェンド
主人公は自らが定めた日課を黙々とこなし、人に見立てた物体に話し掛けることでかろうじて人格を維持しているが、3年間も一人で生きていればさすがにマトモではいられない。冷静な観察力や判断力が失われており、独自の社会を形成している感染者を依然としてただのバケモノとしてしか見ていない。彼らが知性と感情を有していることを理解していないために、感染者との間で戦争を引き起こすことに。。。これが物語の骨子なのですが、ネヴィルの精神には異常が発生していること、彼がパラノイア的に感染者を敵視していることをはっきりと示す描写がないために、作品の意図がイマイチ伝わってきません。主人公の描写は明らかに「キャスト・アウェイ」を参考にしているようですが、「キャスト~」においては裸のトム・ハンクスがバスケットボールに話し掛ける様を見れば、一目で「イっちゃってるな」ということは分かりました。一方本作のウィル・スミスは身なりをそれなりに整えているしそこまで異常な言動をとるわけでもないので、彼がマネキンに話しかけたところで、本当に頭がおかしくなっているのか、遊び半分で「他人がいるごっこ」をやっているのか、セリフなしでは困るという製作上の都合でマネキンに話し掛けているのかの判別が難しく、「こいつは頭がきている」という決定的な描写は必要だったと思います。感染者に対する異常な敵視についても同様で、例えば誘拐してきた感染者を極度に傷付けるような実験を行う描写があれば、主人公の認識に歪んだ部分があることを示すことが出来たはず。描写の不足は感染者側にもあって、彼らの知能や社会性を示す描写が弱いために、何も考えずに見ていると「孤立無援のヒーローがバケモノを退治する話」にしか見えません。これでは、原作と真逆の物語となってしまいます。そもそも感染者の設定には不明な点が多く、NY市にはどれだけの感染者がいて、何を食べて生きているのか(主食とされる人肉はすでにありません)、彼らは夜間何をやっているのかという基本的な設定すら説明されないため、映画の芯がボヤけてしまっています。無人のNY市の描写等ビジュアル面は非常に素晴らしいのに、設定面での煮詰め方が甘いために世界観が不十分なものに。そして世界観の弱さが映画の弱さとなっており、見た後にスッキリしない作品となっています。
[映画館(字幕)] 4点(2010-09-15 22:34:59)(良:1票)
53.  アンドリューNDR114 《ネタバレ》 
SFオンチの監督の手に渡ったのがお気の毒としか言いようのない作品。エスねこさんが詳しくレビューされていますが、本来これはほんまもんのSF作品。作り物が人間よりも人間らしくなった時、ホンモノとニセモノの境界はどこへ行くのか?というSF定番の問いかけを軸に、その境界の真っ只中に立たされるアンドリューの苦悩が感動的かつ哲学的に描かれる…はずの作品だったのですが、SFとしてはあまりに雑な仕上がりのためおいしいところはほとんどスルー、ロボットと人間が結婚して良いおじいちゃんとおばあちゃんになりましたという志の低い作品に終わっています。アンドリューと人間社会のつながりが本作最大のテーマと言えますが、肝心の社会風俗の描写があまりに杜撰なのです。彼らの世界ではロボットはどの程度普及しているのか(マーティン家は金持ちだったが、金持ちしか持てないものなのか?)、何の目的で家庭で使用されているのか(あのドン臭いデザインでは邪魔なだけにしか見えない)という極々基本の部分すらよくわからない状態。中盤より彼は自分で収入を得るようになりますが、どこが評価されて彼の商品が売れたのか、そしてあの世界でロボットが収入を得ることがどれほど例外的なことなのかがわかりません。勝手に進化をはじめたアンドリューに対する人々のリアクションも不自然で、彼が人間とタメ口を聞くようになろうが、マイホームを持ち服を着るようになろうが、金属からロビン・ウィリアムズの顔に変わろうが「あぁそうなんだ」程度で普通に受け入れられてしまうのは、作品のテーマとそぐわないのでは?人間になろうとするアンドリューと、その進化についていけない人間社会との軋轢こそが本作の主題だったはずなのに、200年があまりに順調すぎたと思います。ロボットとの愛情を育むこととなるポーシャにまるで葛藤がないのも不自然。ロボットと愛し合い、おまけにセックスまでするという人類史上誰も経験のないことをやってしまう女性なのに、普通の結婚とさして変わりのない様子。社会もふたりの結婚を素直に認めちゃってるし。どうしてここまでSF要素を切り取ってしまったのかと、不思議で仕方ありません。
[DVD(吹替)] 4点(2008-10-06 01:17:45)(良:3票)
54.  アンダーワールド(2003) 《ネタバレ》 
予告編では期待したんですけど、見事に外してくれました。見たようなアクション、まんま 「ブレイド」なバンバイア社会、意外とはじけないライカン、それぞれのキャラクターの薄 さなど、たいていがよくないわけですが、最大の問題は散漫な脚本です。とにかく方向転換 しすぎで、話にまったく芯がないんです。もう少し焦点を絞っていれば、まだ楽しめたと思 うんですけどね。ただし、ライカンがバンパイアの奴隷だったという設定には「ほー」っと 思いました。
4点(2004-07-21 16:19:49)
55.  アルタード・ステーツ/未知への挑戦
要は「2001年」プラス「エクソシスト」ってとこなんでしょうけど、私には理解できませんでした。あまりにマイルールの多すぎる科学設定、「真理とは何か?」という哲学的で難解なテーマ、さらに「今まで見せてたこれ、実は幻覚でした」なんて肩透かし演出までされては、理解などできるはずがありません。とはいえ、製作側も膨らみすぎた話に追いついていなかったようで、「なんやかや大変でしたけど、結局愛ですよね」と、志望校に合格できなかった浪人生の言い訳チックな結末となっています。スターチャイルドという結論をきっちり提示して見せたキューブリックさんはやっぱり偉大なのです。 この映画で評価できるのは、職人さんががんばり抜いたと思われるビジュアルイメージの数々です。とくに、中世の絵画をそのまま映像化したような地獄のイメージはすばらしく、CGを多用したにも関わらず最悪だった「スポーン」の地獄絵を見てしまった私としては、そのおぞましさを評価せずにはいられません。「狼男アメリカン」みたいな特殊メイクもがんばってたんですけど、ただ、原始人に先祖帰りした主人公を見るとどうしても「北京原人Who Are You?」を思い出してしまい、あの映画の楽しかった思い出が、この映画の興を見事にぶち壊してくれました。 
4点(2004-07-06 02:21:12)
56.  愛と死の間で 《ネタバレ》 
脚本家としてハリウッドトップに君臨しているスコット・フランクの初期作品ということで鑑賞前には期待もあったのですが、鑑賞後には久しぶりにつまらん映画を見たなぁと感じるほどの駄作でした。深夜でもないのに猛烈な睡魔との戦いとなり、休憩を入れたり、テレビの前で立ち歩いたりしながら何とか最後まで完走できたという、もはや苦行の域に達した映画体験となりました。 ドラマの流れがとてもぎこちなく、せっかくのオカルト設定が登場人物達にさほどの影響も与えていません。例えば、40年前の殺人事件の被害者と死刑になった犯人の写真を見ると、まんま私たちカップルと同じ顔でしたという、普通に考えればびっくり仰天の展開を迎えても登場人物達は「ふ~ん」という程度のリアクションしかしないのですが、恋愛関係に発展しかけている相手が前世で自分を殺した人間の生まれ変わりかもしれないという微妙な状況に置かれたのだから、いろんな意味でもっと驚かねばならないし、この人との関係を続けてもいいものかという迷いに発展させなければならないとも思うのですが、こうしたそこにあるべきドラマが見事にスルーされています。 また、ミステリーとしても今一つ。アンディ・ガルシアやロビン・ウィリアムスといったビッグネームを意味ありげに登場させながら、実は事件の核心部分には何らの関係もなかったり、他方で傍観者の一人として現れた人物が真犯人でしたという仕掛けがサプライズのつもりで置かれているのですが、意外な真相に驚くことよりも、真相に関係のないやりとりを今までさんざん見せられてきたという肩透かし感の方が強く出ています。結局、事件の真相部分に魅力がなさすぎるのです。 この犯人がなぜマーガレット殺害に至ったのか。また、完全犯罪が成立してこのまま勝ち逃げできる状況にありながら、なぜ自ら名乗り出てまで主人公たちによる過去の詮索活動に加担したのか。この辺りをうまく説明できていないために、サプライズがただのこじつけのようになっています。ローマンとインガ親子の愛憎関係や、両者の間で成立していた関係を崩した異物・マーガレットとの確執などがきちんと描かれていれば立派なドラマになった可能性もあったのに、謎が解けたら「はい、終わり」と言わんばかりに映画が終了してしまい、何もスッキリしませんでした。 本作はケネス・ブラナーのハリウッドデビュー作であり、以後四半世紀以上に渡ってブラナーにはコンスタントに仕事が入り続けていますが、この人が撮った映画で本当に面白かったのって何本あるでしょうか。ハリウッドのお偉方はその輝かしい経歴に目がくらんでいるのかもしれませんが、映画監督としては並レベルの人ではないかと思います。
[インターネット(字幕)] 3点(2018-06-26 18:19:15)
57.  アナーキー(2014)
ストーリーテリングの技術とは常に進化していくものであり、発表当時には斬新だった名作も、時代と共に陳腐化していくことは避けられません。シェイクスピアもその例外ではなく、現在の目で見ると突飛な展開、薄っぺらな人物描写が気になります。 『シンベリン』を原作とした本作は、舞台こそ現代のニューヨークらしき都市に置き換えてはいるものの、内容や固有名詞、言葉使い等は原作そのままであり、盛り付けを変えることにより古典文学の印象がどう変わっていくかという点が興味の対象でした。この点、脚本・監督を担当したマイケル・アルメレイダ(過去に現代版『ハムレット』にも挑んでいる)は驚くほど何の工夫も施しておらず、残るのは違和感のみでした。現代劇でありながら時代劇調の台詞を登場人物に喋らせることの違和感をどう中和するか、現代の観客には受け入れられ難い突飛な展開にどうやって説得力を持たせるかという努力をまったくしておらず、古典の悪いところがドバっと出てしまうという結果に終わっています。古典の舞台を現代に置き換えるというそもそものコンセプトがまったく活かされておらず、これならば、年代設定までを原作に合わせた時代劇として製作した方が、まだマシな作品になったのではないかと思います。 数年前にレイフ・ファインズが監督・主演した『コリオレイナス(邦題:英雄の証明)』が古典と現代劇の折衷に見事成功したことと比較すると、本作は完全な失敗と言わざるをえません。
[DVD(吹替)] 3点(2016-05-17 18:20:23)
58.  アンビリーバブル
ドライな世界は「トゥモロー・ワールド」だし、夫婦愛の描写は「ファウンテン 永遠につづく愛」に似ているし、この映画はSF作品としては標準的な内容であるといえます。しかし監督はドグマ出身のヴィンターベア。彼は自分の作品がありふれたSF映画になることが許せなかったようで、シュールなイメージの大量投入を行うことで、本作を難解な芸術作品に見せようとしています。しかし監督のこの姿勢が映画を厄介なものにしていて(決して難解ではない)、正直言って私は付いていけませんでした。問題は、本筋とは無関係な設定やイメージを無秩序に氾濫させてしまったこと。前半部分は真面目に鑑賞していたのですが、「イメージは投げっぱなしで、どうやら伏線を回収する気はないらしい」ということに気付いてからは、観ているのが苦痛になるほど退屈しました。断片からストーリーを語ろうとする姿勢、真面目な顔をしてギャグを挿入してくる独特の語り口(“空飛ぶウガンダ人現象”なんてダウンタウンのコントですよ)はデビッド・リンチを相当に意識したものですが、シュールの質がリンチよりも粗いのです。リンチ作品は論理的に計算されていて、オチから逆算するとほぼすべての伏線の意味を把握できるのですが、本作には無意味な場面が多すぎます。本作は完璧に失敗作だと思います。唯一の救いはクレア・デインズを美しく撮れていたことで、同時期の「ターミネーター3」ではまったく魅力のなかった彼女が、まるで別人かのように輝いています。役者を美しく撮ることは監督の才能のひとつだと思うので、この点に関しては評価したいと思います。
[DVD(吹替)] 3点(2012-01-07 14:10:48)
59.  愛と哀しみの果て
美しい撮影や壮大なロケーションに支えられた重厚長大な時代劇。オスカーを獲るために作られたんじゃないかと思うようなザ・ハリウッドな作品であり、その思惑通りに同年のアカデミー賞では主要部門を独占したのですが、これが名物に旨い物なしみたいな仕上がりとなっています。 冒頭から確かに見ごたえはあるものの、まったく心に刺さらない時代劇がダラダラと長時間続くわけです。見ていることがここまで苦痛に感じる作品も久し振りであり、最後まで完走できた自分が誇らしくなりました。 あと、邦題がおかしくありませんか?確かに愛も哀しみもあったけど、それがすべての映画でもないような。
[インターネット(吹替)] 2点(2018-03-24 03:12:16)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS