1. サイン
やられた! もう感動で涙が止まらねえ…! 何年かぶりに書き込みに来ちゃいましたよ! 全体を通して流れる、リヤカーで戦車を引っ張るようなアンバランス感と、その出来すぎなまでの完全解決。まるで他人事のような醒めたカメラワークの産むギャグが、ラストでロジカルな美と融合する事で、陰画のように巨大な存在を浮かび上がらせる。映画全体をバランスするためには、その(画面には決して登場しない)存在を最初から仮定しておかなければならなかったのだ。 神話からメルヘンを通って教養小説に至る物語技法の原動力に、直接触れてエネルギーを取り出したような感じ。この絶妙なバランス感覚は天才的で眩しい。 ホントなら10点でもいい感じなんだけど…でもまあ結局、日本人にはほぼ他人事なんよねえ。なんかモーツアルトの音楽を聞く時のもどかしさに近いかもです。 ●2012/3/10 追記: 良票来たのでついでに。『アンブレイカブル』では街の色使いの変化が主人公世界の変化に呼応していた。本作では、主人公が物語の手綱を握っている時(つまり大半の時間)で、カメラは固定になっている。そして家族と心が通じて「家族の物語」となる時だけカメラが動く、という隠れルールがある。 これ、主人公の心理をカメラで表現しているとも言えるんだけど、言葉通りの「神の視点」を表現できてると思うんですよね。クライマックスが来て、観客が「自分は今まで神の目線で一人の男を見つめていたんだ」と気付く瞬間、それまでの様々な不幸や、怪異や、ギャグが吹っ飛んでいく。自分はこの物語を超えていたんだ、超上から目線で見ていたんだと理解する。そうすると、人間ってモノの小ささが見えてきて、同時に人への慈しみが湧いてきます。 キリスト教的な意味での「神」の気持ちになれる稀有な映画だと思うんですよね。 [インターネット(字幕)] 8点(2012-03-10 13:59:18)(良:2票) |
2. ザ・グラディエーターII ローマ帝国への逆襲
まずは、勘違いして買う人が出ないようにコメントは後回しで。B級帝王ロジャー・コーマンのプロデュースの低予算作品です。エロティックバイオレンスなジャンル。当然スコットの『グラディエーター』とは直接関係は (詳細はブログにて)[DVD(字幕)] 8点(2008-03-02 06:02:37) |
3. サンキュー・スモーキング
こりゃ吹き替え版で観ないと正当な評価はできませんねえ。字幕がほとんど追いつけてないんだもん。DVDが出るまでは、とりあえずまあこの点数で。 途中、誘拐のくだりでの殺人方法はハウダニットとして久々にスマッシュヒットでした。 後半は編集の強引さが目立ちます(ナレーションに頼りすぎ!)。シナリオも2稿目くらいでOKが出た感じで、もう少し練り込めると思うな。ライターは意識してると思うけど、記者たちを前に自分をハメた敵へ反撃を宣告する辺りは主人公ドン底状態なんで、元通りにアガってくるのは公聴会の席での展開だと思う(既に隠し弾はあるワケですが)。このあたりのチューニングでもっともっと大傑作に持っていけるはず…まあここはテクニカルな部分なので、あまり減点対象にはしませんが。 あと、どうしても言っておきたいのはスモーカーである設定の主人公が、絶対タバコを吸わないコト。企画者の意地というか執念というか、「制約がどれだけあっても、絶対この作品はインディペンデントでは製作しないぜ」という心意気が見えて引きずり込まれます。出来はともかく、その姿勢は評価したいです。 ちょっとマジメに。 『スターシップ・トゥルーパーズ』の前半で、ジョニー・リコがラズチャック(マイケル・アイアンサイド)に向かって「先生、ボク卒業したら軍隊に入ろうと思っているんですが、親が反対してるんです」と相談すると、「私の考えではなく、自分で決めろ。自分の意思で選択するのが真の自由だ」と返される。 欧州人のバーホーベンは「自由」という言葉の持つ裏の意味を当然知り抜いていて、映画中ではネガティブな意味として使用してる(と、このシーンについてはパンフのインタビューで明確に答えていた)ワケですが、ハリウッドの文脈中では十分ポジティブに取れる(ように描かれている)。 このシーンを思いっきり引き伸ばし、90分で語りなおした本作は、目新しくはなくても、「自由選択」という教義に縛られたアメリカの裏側をしっかり抉っていた。このコンセプトが映画化できた事だけでも十分及第点を出せると思う。 本作の問題の半分以上は、その白と黒と灰色が入り乱れる華麗な弁論が字幕からは伝わってこない、この点にあると信じている。こいつに限っては、DVDに入るであろう吹き替え版こそが鑑賞の本命だ。 [映画館(字幕)] 7点(2007-01-22 01:02:53)(良:1票) |
4. 13ウォーリアーズ
今年になるまで、「クライトン作品ってほとんど映画化されたけど、何で『北人伝説』やんないの? 安く撮れそうな割にはあんなにスケールでかいのに…」などと一人ボケてたオイラです。先日このページで頭悪そうなキャストで映画化されてるのを知って、顔面蒼白。クライトン・ファンとしては申し訳できまへん。よよよ…。 《初回感想》いっやあ男らしいなあ製作サイド(笑)。原作読んでない観客完全に切り捨ててるもんなあ。一応、ホモ・サピエンスの存亡を賭けた戦いなんだが、解説ゼロで来るとは恐れ入りました…でもね、《母》の飼ってるヘビが一匹だけつうのは個人的に減点ですぞ(謎)。あと字幕! 「ヴェンデル」って何だよ「ヴェンデル」って! 北欧訛りっすか? なおさら一般客ワケわかんねーよ(追記:imdb で調べたところ、クライトンがわざとバイキング訛りにしたらしい…男らしいぜ)。さて、週末になったら吹き替え版でじっくり内容チェックするか。 [DVD(吹替)] 10点(2006-07-28 04:05:53) |
5. サウンド・オブ・サンダー
ンなアホな。 [映画館(字幕)] 0点(2006-04-13 18:36:04)(笑:1票) |
6. 最後の航海
いまだに『タイタニック』を見てない理由のひとつに、この映画の圧倒的な存在感があります。どんな豪華客船を沈めたところで、CGでやってる限りはこの映画に勝てるわけがない(本物パワーとしてはもう一作『フィツカラルド』ってのもありますナ)。淀川さんの受け売りですが、ヒロインの救出シーンは本当に沈む船の中で撮影したそうで、撮影現場には異常な緊張感が漂っていたそうです。オイラにとってはかけがえのない沈没テーマ大作。 [地上波(吹替)] 8点(2005-11-06 14:31:35) |
7. ザ・ドライバー
あれ? 大事なポイントに誰も言及してないですね…この映画、「主役のオニールとアジャーニが一瞬たりとも笑わない」っていうのでも有名になったんですよ(いや今ならカウリスマキとかがフツーにやってますが)。ウォルター・ヒルの作劇能力は本作(と『ウォリアーズ』)で頂点に達したと思ってます。映画を見始めた頃からしばらく、血気盛んな自分的には10点満点を維持してきたんですが、『イシュタール』に出会ってからオイラの興味がバカ映画に向いてしまったので、今はちょっと点が低め。あ、でも両方ともアジャーニがヒロインだぞ。なんだそういう事だったのか(笑)。 [地上波(吹替)] 8点(2005-05-15 01:27:11) |
8. サウスパーク/無修正映画版
エンドロールで声優確認したら…すげっ、Vチップの博士の声、エリック・アイドルじゃん! あとフセインの声が「HIMSELF」になってるぞ…いいのかよ?(笑) 6点(2004-12-08 23:32:20) |
9. ザ・セル
『羊たちの沈黙』から誕生した幾多のバリエーションのひとつ。プロファイリングというモノが目で見てわかるように「脳内を映像化してやろう」ってのが特徴であり、それだけに特化してると言っていい。頭の中をさらけ出す異常犯罪者役にフルメタルジャケットのデブちゃんをキャスティングしたので、結果、悪びれたところのない悪趣味ムービーとなった。設定から予想される全てのモノがここに詰まっている。それ以上のモノはない。それ以上のモノ(「地球の人間がこんな思考するわけねーだろ」的なブッ飛んだ世界)を観たくて映画館に足を運んだオイラは、監督の脳内が普通な異常である事を知ってガッカリしたのでした。 5点(2004-10-19 10:58:23) |
10. サイコ2
公開時、話題にかこつけた名画座で『サイコ』が先行上映されました。これをハシゴして見て、迷わず本作に軍配を上げたオイラ。友人は「あのモーテルがカラーになるなんて許せねー!」と叫んでましたが。で、ここの票を見たら…うーむ。当時と何も変わりなく傑作派と駄作派に分かれてますなー。オイラは今でも傑作だと思ってますよ。『サイコ』自体がオチに頼りすぎて展開が単調だったので、2での理詰めでヒネっていくあたりは素晴らしいの一言。また映画の歴史におけるターニングポイントを築いた作品だとも思います。オイラ的記憶で語って申し訳ないけど、「パート2モノ」でここまでオリジナルのお約束を守り通し、かつ前作世界を守り抜いた映画は『サイコ2』以前にはないと思う(それ以前の続編モノがどんな扱いなのかを知りたければ『エクソシスト2』『ポセイドン・アドベンチャー2』あたりを見なはれ~)。本作以降、別監督が手掛ける正統派続編はある種のリスペクトのオーラをまとっている事が多くなります。ヒット作の続編のあり方を決定的に形作ったのは『エイリアン2』だろうと思うけど、その理論と心意気を世間に示したのはこちらだと思う。監督、さすがヒッチコックの研究をしてただけあるよ。この映画の評価は、だから、映画自体の評価が半分、残りの半分はスクリーンからにじみ出るピュアなリスペクトの香気に支えられていると言っていいんじゃないのかな。そういうスタイルの初めての映画だったから、きっと並べて見た時に怖かったし、感動もしたんですなー。関係ないけど…メチャ好みのメグ・ティリーに1点オマケ。(追記:あーこの作品でもうひとつ重要な要素があったね。それはオリジナルの欠陥を認めたまま、超えてみせたいという意欲だ) 9点(2004-09-10 13:22:32) |
11. ザ・ファーム/法律事務所
《ネタバレ》 法律事務所が相談料取り過ぎてるだぁ? なんかセコくて…主人公のやりクチが。映画館で見て、途中までは良かったのにラストでいきなりガッカリした記憶が強いなあ。とりあえず「合法的・合理的に解決できればそれでいいんかい」って言っておくか。ドラマチックなモノ、なにもなし。観客は無理を承知で、その先にあるものを見ようとして映画館に足を運ぶんだと思うぞ。ジーン・ハックマンを配した時点で、敵が手ごわいのもわかっちゃいるけど。 2点(2004-03-15 04:54:26)(良:1票) |
12. サブウェイ・パニック
ラストのウォルター・マッソーの顔だけで、確実に2点UPする作品。全体のドライさは70年代の特徴ですが、この作品のは「70年代の香り代表作」と言えそうなくらい洗練されてます。言うまでもなく、警察 vs 犯人の、切羽詰りながらも余裕綽々の駆け引きは『ダイ・ハード』で使われてますね(『太陽を盗んだ男』もコレが元だろうな)。犯罪映画のひとつのスタイルの、頂点にある映画だと思います。 (追記:「日本人蔑視」って意見もあるけど、オイラは逆だと思うなあ。日本語やたら巧いし。最初は黙ってニコニコ笑ってカメラ撮りまくってるだけで、コントロールセンター内でも「お前ら何しに来たんだ」状態だったのに、事件発生を知った途端「いやあ、私たち実はバッチリ英語わかるんですよ。聞こえてます聞こえてます。いや地下鉄乗っ取りとは! 天下のニューヨーク地下鉄公安部も大変ですなあ、いいモノを見せてもらいましたハッハッハッ!」ってな感じで去っていく…めちゃ美味しすぎますよこの役) 8点(2004-03-15 01:01:36)(良:2票) |