181. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ/完全版
《ネタバレ》 ギャング映画の中では『ゴッドファーザー』の次に好き。 4時間近い長尺なのに、最後まで引き付けられる。 ヌードルスの青年~老年期を演じたデニーロはさすが。 それに比べて、デボラ役のエリザベス・マクガヴァンは見劣りする。 少女時代を演じたジェニファー・コネリーは、イメージぴったりだったのに。 音楽もいい。優雅な「アマポーラ」とエンニオ・モリコーネの切ない調べが胸に響く。 音楽も相まって若き日々へのノスタルジーを誘う。 ゴミ清掃車のくだりが、こねくりすぎてわかりにくい。 もっとすんなり落とすような話にしてほしかった。 ヌードルスが阿片でトリップして笑うラストシーンが印象的。 こちらも捻ってはいるが、まだ腑に落ちる。 つらすぎる現実から目を背けて、楽しかった頃に逃避しなければいけないほど、ボロボロになった姿が浮かび上がる。 ヌードルスはいい時代の思い出だけを拠りどころに、なんとか正気を保ってきた。 だから、マックスの告白した真実を今さら認める必要はなく、撃たなかったのだろう。 ヌードルスにとって、マックスはベイリー長官ではなく、あの銃撃戦で死んだ親友なのだ。 このとき流れる「イエスタディ」が、良き時代への郷愁を表している。 惜しいのは、マックスが仲間を裏切る動機が、いまひとつ説得力をもたないことか。 いくつか伏線は張ってはいるけど、それでもまだすっきりとはしない。 『ゴッドファーザー』との比較でいうなら、『ゴッドファーザー』のほうがわかりやすい。 描き方が素直なので、解釈が分かれる部分もない。 その点、本作は変にこねすぎた嫌いがあって、すぐには理解しづらい箇所がある。 また、時系列が少年期、青年期、現在と行きかうので、少し混乱する。 ただ、見直すと、初見では気づかなかったセリフや表情を確認できる。 冒頭で、ヌードルスがファットモーの店に戻ってきた場面。 「時計の鍵を返しに来た」 あの時に止まっていた時間が、再び動き出す。 そこからラストに至るまで、無駄なシーンがなく、いたるところに伏線が張られているのに気づく。 ところが、最初の劇場公開では、監督の意向に反して、製作サイドの都合で無残にハサミを入れられたとか。 計算されつくしているのに、それでうまくつながるわけがない。 監督は不本意な編集を不服とし、後に自らの手で完全版を出した。 作り手としての意地と執念が結実したことに拍手。 [DVD(字幕)] 9点(2017-08-17 10:20:11) |
182. ウエスタン
《ネタバレ》 これぞ西部劇。 165分の長尺なのに、漂う緊張感とサスペンス性で、珍しく長さが気にならなかった。 長いとダレてイライラするのが常なのだが、この作品にはたっぷりした間の演出が合っているということだろう。 三人組が出迎えるブロンソンの登場シーンからもう心を持っていかれる。 「俺の馬は?」「おかしいな。一頭足りないようだ」「いや、二頭余る」 笑っていた三人組が、ブロンソンの返しに顔色を変える。 セリフがいちいちキザだけど、含みがあって唸らされるカッコよさ。 子供も平気で撃ち殺す悪玉ヘンリー・フォンダの存在感が、対決を一層盛り上げてくれる。 フランツが死に際にハーモニカの正体にやっと気づく、ドラマティックで印象的な決着。 一対一のガンファイトは、西部劇の醍醐味だ。 悪玉だか善玉だかわからないシャイアンが、ハーモニカとフランクの戦いに絡んで良い味を出している。 その登場シーンも秀逸で、何者かまったくわからない状態で、酒を飲み干すときに両手の手錠が露になる演出が憎い。 それが直前の外での銃声と合わせて、警備を撃ち殺して逃げてきた囚人とわかる。 そんな男と主人公に芽生える友情が、いかにも漢っぽくて良い。 ジルも従来の西部劇での清純なヒロイン像とは違って、美しくて強かな娼婦上がりの女というのも面白い。 レオーネ監督の演出、セリフが冴え渡って、彼の西部劇の中では一番良かった。 [DVD(吹替)] 10点(2017-08-15 12:44:33) |
183. ハドソン川の奇跡
《ネタバレ》 ずいぶん予想と違った。不時着するまでをドラマティックに演出するのかと思っていたが、ハドソン川への不時着が妥当なものだったのかどうかを検証する公聴会がクライマックスに、ドキュメンタリー映画のような構成。リアリティがあって面白い。 [DVD(吹替)] 6点(2017-04-29 19:38:21) |
184. セッション
《ネタバレ》 フレッチャーが『フルメタルジャケット』の鬼軍曹そっくり。汚い言葉で罵倒してニーマンをぎりぎりまで追い込んで鍛える。そんなやり方にろくに怒られたことのない現代っ子がついていくのは難しい。 ニーマンにもあまり好感は持てない。友達ができないのもわかる、嫌なヤツだ。フレッチャーに潰されたという気持ちは理解できるが、父親が出しゃばって密告したのはガッカリ。もう大学生なんだし、自分から情け無用の競争に挑んでしくじったのは自分の責任でもあるんだから。 ただ、密告の報復を謀るフレッチャーのワナにハマり、負け犬のように去るかと思えば、引き返してからのセッションは息を飲む。 まさに闘い。憎悪に狂ったフレッチャーを、音楽の力で目覚めさせる。「なかなかやるじゃねえか」フレッチャーの目がそう言っていた。 ラストで彼女とよりを戻すといったような、興ざめなラブストーリー色を入れなかったのも良かった。 [DVD(吹替)] 7点(2017-03-12 08:31:50) |
185. ワルキューレ
《ネタバレ》 ヒトラー暗殺を試みた史実は知らなかった。 失敗することはわかっていても、興味深く見応えがある。 独裁者へのクーデターって、よほど周到にやらないと。失敗したときの手酷い制裁が恐ろしい。 そんなリスクを冒して挑む勇気に、思わず感情移入。 今も人権無視の独裁国家はあるけど、そこを舞台に空想してしまう。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2017-03-12 08:29:44) |
186. 仮面の男(1998/ランドール・ウォレス監督)
《ネタバレ》 子供の頃に読んで忘れていた児童書の三銃士の面白さが蘇る。 この映画では三銃士とダルタニアンの葛藤が見もの。 世継ぎや伝承者が実は双子で…てのは、マンガや映画でもよくみかける。 デカプリオの双子の演じ分けは上手かった。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2017-03-12 08:24:18) |
187. いとこのビニー
《ネタバレ》 ビニーのキャラがいい。釣り合わないほど素敵な恋人との諍いも笑える。気軽に楽しめるコメディ。 ダメダメだったビニーが、最後は辣腕弁護士に豹変するのは都合良すぎる気もするけど。 [DVD(字幕)] 6点(2017-02-28 20:45:52) |
188. アントマン
アリのようなヒーローとはユニークだけど、内容は記憶からすぐに消えそう。 [DVD(字幕)] 4点(2017-02-28 20:44:21) |
189. 愛と追憶の日々
「アパートの鍵貸します」でのジャック・レモンとの若きシャーリー・マクレーンを思うと、ニコルソンとの本作は何だかいろいろ感慨深い。 [DVD(字幕)] 6点(2017-02-28 20:43:21) |
190. スケアクロウ
何度か見ると味の出てきそうな渋いロードムービー。 好みではなかった。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-02-26 08:51:05) |
191. ソルト
《ネタバレ》 子供からのスパイ養成、二重スパイ、陰謀、裏切り、二転三転するストーリー。 スパイものとしてはスタンダードな要素がしっかり入っているものの、何か物足りない。 アンジー好きなら。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-02-26 08:30:46) |
192. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
呪いでゾンビ化した海賊との戦い。子供向けの冒険もののようで好みじゃなかった。 [DVD(吹替)] 4点(2017-02-26 08:28:01) |
193. ラ・マンチャの男
日本の舞台化されたものを見たことがあるが、そのほうがずっと面白かった。 映画には向いていないのかも。 [DVD(字幕)] 4点(2017-02-24 20:31:41) |
194. ブラッド・イン ブラッド・アウト
《ネタバレ》 白と茶と黒、刑務所での三つ巴の抗争、勢力争いが熾烈を極める。メインとなるのは、パコ&クルス兄弟と従兄弟のミクロの三人の男たち。 悪ガキグループのリーダーだったパコが刑事となり、一番まともそうだったミクロが骨の髄までマフィアに染まっていく。幼い弟をドラッグで死なせたことで家族から見放されてすさんだ生活を送るクルスも、最後に家族から許され救われる。かわいがってくれたボスを裏切ったミクロは、メキシコ系マフィアの首領に成り上がっても、この先救われることがあるのだろうか。 仲間に入るには血を流さなければならない――アメリカ人との混血で、見た目は白人、中身はメキシコ人ということで、どこからも爪はじきにされがちな境遇の中で、必死にしがみついたのがメキシカンマフィアとの血の結束。 肉親とのつながりか、組織の仲間とのつながりか。パコ&クルス兄弟とミクロでは、ファミリーとする拠り所は異なるが、ミクロのいうファミリーには危うさが付きまとう。 香港ノワールに通じるようなベタな男臭さと熱さを持った映画。ハリウッドのマフィア映画とはまた違った面白さだ。クールでドライとは反対側にある、むんむんするような蒸し暑さ。 『ゴッドファーザー』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』以来、タイプは違うけれど久々に見応えたっぷりのマフィアものに出会えた。単なる抗争ものではない、濃厚な人間ドラマがある。3時間もの長尺も、2時間ものくらいに感じて退屈しない。 [DVD(吹替)] 9点(2017-02-23 18:07:06) |
195. ボビー・フィッシャーを探して
ステージママが付いている子役や、ジュニアゴルファーもこんな感じなのだろう。 特殊な世界の話ではなく、幼い子供を有名私学に入れたい親にも通じるかも。 [DVD(字幕)] 7点(2017-01-23 22:43:48) |
196. マジェスティック(1974)
《ネタバレ》 スイカの収穫へのこだわりからスタートして、犯罪組織とのカーチェイスを経て銃撃戦に至るという無茶苦茶強引な展開。 ストーリーは置いといて、ダンディで豪胆なブロンソンはかっこいい。 [地上波(吹替)] 5点(2017-01-23 22:10:21) |
197. 夜の大捜査線
当時としては斬新で、その後のお手本となるような要素がたっぷり。 アカデミー賞受賞も納得の出来栄えで、いろんな作品にも影響を与えていることがうかがえる。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2017-01-23 22:09:08) |
198. マスク(1984)
《ネタバレ》 醜い外見ではなく中身を見てほしいという痛切な願い。なのに、盲目の金髪美女に一目ぼれして声をかける。それこそ外見で判断してるみたいで、ちょっと興ざめ。人間らしいといえばそうなんだけど、惹かれない。 その死も唐突に感じられた。ジャンキーの母親にもさっぱり共感できない。同じ家にいる自分の息子が学校に行ったかどうかも気づかなくて、学校からの電話で知らされて最期に涙を流されても… 同じ病気のテーマでは『エレファントマン』のほうが好き。 [DVD(字幕)] 4点(2017-01-23 22:07:33) |
199. バイオハザードIV アフターライフ
映画は続編を作るにしても2作、長くても3作までにまとめないと。さすがに飽きて右肩下がりに。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2017-01-18 06:11:49) |
200. カイロの紫のバラ
《ネタバレ》 もしも大好きな映画のスクリーンから憧れの登場人物が飛び出して来たら――。 映画の登場人物がスクリーンから飛び出して、女と恋に落ちる。その男の役を演じた俳優もいるので、同じ顔がこの世に二つ存在することに。現実の世界とスクリーンの世界が交差してのドタバタ劇。コントのもしもシリーズを想起させるような設定に、ちょっと入り込めない。が、ウッディ・アレンらしいウィットとペーソスを感じるシャレたラスト。 つらい現実への救いと取るか、仮想世界への現実逃避と取るかで余韻が変わってきそう。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2017-01-18 06:09:06) |