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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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221.  レオニー
海辺の情景。それを窓辺で見つめる女性のシルエットが、屋内側から捉えられる。  映画は、部屋の奥側から明るい窓際あるいは縁側に向けたローポジションの構図が主体。 屋外背景のキーライトに対して、暗すぎず・明るすぎずの控え目な補助光によって、人物の表情や部屋の内装も逆光に潰れることなく、落ち着いたコントラストを作り出している。 そして障子や襖や丸窓のフレーム内フレームが、憧憬としての外の世界を対比的に切り取ってみせる。  一方で、随所に挿入されるイサム・ノグチらしき彫刻家(勅使河原三郎)の作業光景のショットでは、強い直射光によるハイコントラストが彼の顔半分を真白く浮かび上がらせ力強く印象的なイメージを形づくる。 いずれも黒澤組の照明・美術スタッフの技の冴えである。  CGの濫用は控え、実景主体で再現した20世紀初頭の風俗も非常に丁寧な仕事だ。 エミリー・モーティマー・中村獅童の主演二人のみならず、出番は少ないながら大地康雄・山野海ら脇役陣の芝居も充実している。  前半では時制の無駄な倒置などが冗長さを感じさせる一方、後半での親子関係の描き込みに不足が感じられてしまうのが難点か。  
[映画館(邦画)] 7点(2010-12-09 22:08:50)
222.  ナイト&デイ
前作でも気になるクロースアップ過多はスターへの配慮というのは勿論了解するにしても、場面展開の快調なテンポを相殺してしまうくらいの単調さ。(おまけにヒロインの魅力まで損ねている。) 特に上半身主体で行われる閉所内でのアクションはもっと寄り引き織り交ぜて撮って欲しいところ。 航空機内での格闘動作はかろうじて把握できるが、下半身を用いる羽交い絞め脱出術などはバストショットで撮ってもまるで芸が無い。だから、列車内でキャメロン・ディアスが殺し屋の拘束から逃れた瞬間に殺し屋の胸に深々と包丁が刺さるというアクションの流れもよくわからない。  その反面、視覚加工を加えたカーチェイスシーンなどは見事な出来になっている。  後方から接近してくるバイク~遮蔽物~宙を舞う無人のバイク~ボンネットに取り付いてくるトム・クルーズの笑顔、その絶妙のタイミングと外連味。 同じく、武器売人のアジトで手下が次々とロープで首を吊られていくショットのアクション感覚や、トム・クルーズの見事な走りと跳躍が活きる屋根伝いの逃走アクション。 そしてバイクチェイスから高架下へのダイブ~桟橋へのジャンプまで、一連の体当たり的アクション繋ぎのスピード感はクライマックスに相応しく爽快。  ドアミラーに映るジェット機、列車の窓に残った指文字の跡などの小技も楽しい。 
[映画館(字幕)] 7点(2010-11-07 21:08:30)
223.  2012(2009)
従来より、監督としてよりもプロデュースの才の際立つエメリッヒ作品。広く浅く、最大多数の国際市場に配慮した人種・世代・階級・業種の多様な配置は鉄則通り。出資出演協力の政・産・軍への律儀な配慮もぬかりない。よってドラマパートはひたすら無難かつ平板ながらも、米軍自体が街を破壊しまくる『GODZILLA』のような毒も随所で垣間見せてくれて面白い。あるいは、登場人物に感情移入させかけたところで即物的な死を与えてしまう意地悪い資質。地割れ・噴煙・津波との追っかけ(水平運動)と、ビル崩落・火山弾・絶壁・舷側のサスペンス(垂直運動)を組み合わせた縦横の活劇のひたすらな連打は、2001年に起きた「映画のような」事件(9.11)の映像とそれ以降の表現自粛に対する「映画」の挑戦でもあるかのようだ。『デイ・アフター・トゥモロー』(2004)の時点では「倒壊」を自主規制せざるを得なかったエメリッヒの本領発揮といえる。
[映画館(字幕)] 7点(2009-12-16 19:15:03)
224.  スペル
ヒロインが通勤する車の中で「round」「around」の発声練習をする登場場面は、農家出身でキャリア志向である真面目な彼女のさりげない人物描写でもあり、この後「開いた口」に執拗に襲い掛かる災いのささやかな予兆ともなり、さらにコイン・ボタン・ケーキ・円卓などの円形や様々な形で登場する「hole」、周回するキャメラといったモチーフにも遠く連関しているといえる。そうした何気ないながら一貫した細部もまた、メリハリのあるストーリーテリングに寄与している重要な要素だ。風やノイズ音、影やミラーを程よく用いた恐怖演出、等身大の女性像を造形するエピソード群とクロースアップ挿入の効果が生む彼女への感情同化作用のねらいも非常に手堅く、巧い。随所のコミカルな味付けも絶妙だ。(個人的に最も可笑しかったのは、あのスケープゴート(山羊)のとぼけた表情。)また、この映画でも列車の往来が世界を分断しているのが興味深い。  
[映画館(字幕)] 7点(2009-11-21 22:37:52)
225.  レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―
風・濃霧によるカモフラージュ・次々と突き刺さる弓矢のインパクト・武骨なコスチューム・騎馬戦闘等などのビジュアルは一見すると黒澤時代劇『蜘蛛巣城』を、炎の落城は『乱』を、身分違いの男女やラストの台詞などにみられる観念性は『七人の侍』の変奏をそれぞれ思わせ、スペクタクル性は申し分ない。しかし例えば『七人の侍』後編の最終決戦は、事前に図面や実地による検証を反復し、地形を観客に整然と理解させておくことで逆にマルチカメラによる目まぐるしい混沌が際立つ名クライマックスとなったのに対し、『レッドクリフ』は二大軍勢の直線的ぶつかり合いという明快な図式の割には、間者による図面や模型やパノラマショットの挿入にも拘わらず上陸後の両軍の位置関係をうまく提示できていない。黒澤の「ここぞ」のスローモーションやワイプには文脈上の確固たる意味(転調・省略等)があったのに対し、違った趣旨でただ漫然と繰り返される本作のそれは単なる装飾と堕し、上映時間を無駄に引き伸ばしている。幾重ものクロースアップ反復による心理の強調も過剰。小喬の決意などは本来ワンショットで事足りる。
[映画館(字幕)] 7点(2009-09-05 21:10:53)
226.  アメリカン・ビューティー 《ネタバレ》 
作劇自体は、あまりに理詰め過ぎで人工的。人物同士の関係性を画面内配置と明暗のコントラストで的確に示す手際や、窓枠・鏡・PCモニター・柱といったフレーム内フレームをさりげなく駆使して主人公の閉塞感と開放感を視覚的に演出する構図感覚なども理が勝ちすぎの印象がある。一方で、光と闇に対する繊細な感性と意識も細やかだ。コンラッド・L・ホールによる濃い陰影が、少ない光量の中に映える人物の表情、雨垂れの光を本作でも十二分に活かしきっている。3人家族の食卓で主に中央の主人公の娘(ゾーラ・バーチ)に注ぐ照明の具合、また彼女と隣家の少年が薄暗い室内でビデオを見る場面で、彼女の瞳に小さく揺らめく光の美しさ、あるいはクライマックスとなる雨の夜のシークエンスにおける照明と撮影は何れも絶品である。ケヴィン・スペイシーとミーナ・スヴァーリが見詰め合う窓際の逆光と流れる水滴の美しさ、そこに順光のスポットで浮かび上がる赤いバラの鮮烈さ。それら暗目のトーンが、シニカルな主題を際立たせる。
[映画館(字幕)] 7点(2009-07-12 16:45:17)
227.  PLANET OF THE APES/猿の惑星 《ネタバレ》 
原作に忠実なプロットがもたらす、「マーズアタック!」同様の自国に対する痛烈なアイロニー。「奴隷解放の人格者」的側面だけが喧伝されるエイブラハム・リンカーンのもう一つの側面、(米国最大の内戦であり、米国型戦争の原型でもある)「南北戦争」の強面指揮官・戦略家としての姿とその功罪を考えたとき、劇中で強調されていた戦闘的なチンパンジーの凶暴さ・残忍さとシンクロするラストが戦慄すべきものとなる。最後に画面上に登場する猿人が、警察・マスコミ関係者であるという意味深さ。「イラク侵略」の元凶たる、公開当時の悪名高き大統領が歴代の中で最もリンカーンへの信奉を広言していたという皮肉。ティム・バートン監督らしい現代風刺だ。
[映画館(字幕)] 7点(2007-10-14 22:13:55)
228.  ジオストーム 《ネタバレ》 
マーケティングの都合がまる解りのロケ地選びに、親子愛・兄弟愛の類の官僚的配置。 ちょっとトレンディな宇宙空間無重力描写に、エメリッヒ風の天変地異スペクタクル。 シネコン映画の必需要素を適所適所に嵌め合わせて1丁上がり的な王道ぶり。 都市を襲う津波の図などは既視感が先に来るくらいの陳腐さだが、香港のビル群ドミノ倒しなどに新味を感じる。  黒幕確保シーンでの、赤と青の明滅などは如何にも政治絡みのカラーリングだが、鮮やかな光のドラマを為している。  シークレット・サービス役のヒロインの凛々しさ、アンディ・ガルシアの貫禄も光る。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2018-01-19 22:49:56)
229.  オリエント急行殺人事件(2017) 《ネタバレ》 
シドニー・ルメット版のアルバート・フィニーよりも、より紳士的なケネス・ブラナーのポワロである。 列車内で通路を譲るなどの、女性への対し方がスマートだ。 彼がキャサリンと呼ぶ美しい女性の写真を見るシーンが幾度かあるが、彼の愛した女性か、あるいは娘か、彼女に関する説明は明確には為されない。 が、このさりげないシーンの積み重ねが彼に関するささやかな人物描写となってラストでの彼の決断に納得性を与える。  大筋も謎解きも一緒であるから、このリメイクの見どころは新旧キャストの比較でもあり、時代に即したマイナーチェンジの数々でもある。  車外シーンは実景主体だがほぼ列車内を舞台にしたルメット版に対して、CG感満載だが、スペクタクルとアクションを加味した本作。 クライマックスの舞台も、トンネル内の長テーブルと声の反響、白と黒を活用して12対1を巧く演出している。  スター映画らしく顔のアップ主体だが、ジュディ・デンチをはじめとして表情が大変美しく撮られているのがいい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-12-11 23:25:07)
230.  ノクターナル・アニマルズ 《ネタバレ》 
黒をバックにしたシンプルな構図。その中で、主に髪型やアクセサリーの微妙な変化によって現在と過去、 劇中小説の部分を演じ分けるエイミー・アダムスの表情に引き込まれる。 ところどころに置かれる赤の配色も、彼女の物憂い表情の白を一層引き立てる。 夜のハイウェーの恐怖もその背景に広がる黒い世界ゆえだろう。  それぞれのパートを、エイミー・アダムスとジェイク・ギレンホールの対比的な構図で幾度もカットバックさせるような 繋ぎをしてみたり、ディゾルブの頻度が非常に多いのも特徴だが、少々くどい感じだ。  小説パートの保安官役:マイケル・シャノンの凄みがいい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-11-06 22:52:27)
231.  バリー・シール/アメリカをはめた男 《ネタバレ》 
TWAパイロット時代のエピソードがまずは語られる。何を思ったか、自動操縦を手動に切り替え、 機を揺らして乗客を怖がらせて楽しむバリー・シール。 手動⇔自動のシーンはこの後のエピソードでも登場するが、ここでは彼の大胆不敵さ、茶目っ気、 ふと日常から逸脱して刺激を求める彼の性向のようなものを描写したのだろう。 それと共に、安定した人生から自分の腕一つを頼りに波乱の人生を選択していくドラマを冒頭で簡潔に示唆する挿話でもある。  人生の選択を迫られる転換点というべき契機がいくつもあるが、そこで主人公が逡巡したり悩んだり決断したりという描写はほとんどなく、 一呼吸置いて次のショットでは彼はすでに行動に移っているという繋ぎが多い。  場当たり的で選択の余地なく状況に流されているような印象を生むが、そうした巻き込まれ型的な展開が テンポの良いカッティングと場面転換の軽快さ、そして常に動き回る手持ちのラフなカメラワークと相乗して、 映画の疾走感となっている。  主人公バリー・シールはいわゆるワルであるながらトム・クルーズの好漢ぶりが中和して憎めないキャラクターに仕上がっている。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-10-26 23:00:44)
232.  アトミック・ブロンド 《ネタバレ》 
デヴィッド・ボウイの「キャット・ピープル」のイントロが早々に流れてくるのだが、 その時点で『イングロリアス・バスターズ』の鮮烈な印象のほうが先行して思い出されて、 あれと同じような使い方をするのだろうな、と却って鮮度感を失ってしまう。 既視感が先に立って、スタイリッシュとはほど遠い。  ところどころで角度を弄って奇を衒うカメラや、 幾度も時制を往還してブレーキをかける語り口も少し煩わしい。 回想談にする必然性は一応あるのだが、顔の痣を先に持ってきてしまった為に終盤の一大立ち回りのインパクトが 薄れてしまっていないだろうか。  危険な階段落ちあり、打撃系アクションありで次第に顔面が変形していく壮絶長回しアクションは 舞台空間の立体性が意識されているし、乱闘の中たまたまその場にあり合わせた小道具をアドリブ的に利用しているような 生々しい迫真性があって素晴らしいが、ここだけ突出してしまっている感も否めない。  ジョン・グッドマンはじめとする癖のある俳優の起用や、タルコフスキーのかかるスクリーン、傘のカモフラージュなどの画は面白い。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-10-20 22:15:23)
233.  僕のワンダフル・ライフ 《ネタバレ》 
転生のドラマということで老衰や病死や銃の被弾などによる看とりのシーンが幾つかあるが、 煽情的な愁嘆場に陥ることなく抑制的なトーンで区切りをつけ次の犬生に移っていくのがいい。  邦画でも『いぬのえいが』というオムニバスがあったが、本作は転生を扱うことでオムニバス形式を採りつつ 一匹のキャラクターと飼い主のドラマで全体を貫いているのが特長だ。  モノローグによる犬の擬人化、動物と人の別離・流転・再会のドラマはスピルバーグの『戦火の馬』あるいは さらに遡ってジョン・フォードの『香りも高きケンタッキー』の感動をふと呼び覚まさせたりする。  ラストで犬種も変わってしまっているデイジーが、自分が生まれ変わりであることを熟年に達した飼い主に如何に伝えるか。 ある小道具を介しての二者のやり取りが実にいいのだ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-10-09 23:02:31)
234.  ベイビー・ドライバー 《ネタバレ》 
音楽に合わせて街中を闊歩するオープニングの長回し。ショーウィンドウやガラス戸の前を通過する箇所では カメラマンの映り込みをポスプロで修正しているのだろうが、際どい見せ方が巧妙でカメラワークのみで 対応している風にもみえるところがなかなかやる、と思わせる。  レコード盤やコインランドリーのカラフルな回転や、スピーカーの振動の触覚とか、面白い細部にも事欠かない。  白昼の銃撃&逃走劇はマイケル・マンの『ヒート』のようでもあるが、それだけにその後のシーンが大きな不満点となる。  リリー・ジェイムズの待つダイナーに入店するアンセル・エルゴート。 本来ならそこで彼女には『ヒート』のアシュレイ・ジャッドが視線と指先の動きのみによって ヴァル・キルマーに危険を知らせたように、主人公を危険の待つ店内に入れさせない行動をさせるべきなのではないか。  結果的にジョン・ハムとのカウンター席での駆け引きに持っていければ良いわけで、その工夫ひとつで彼女のキャラクターももっと引き立つはずなのだ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-09-03 20:38:59)
235.  ジョン・ウィック:チャプター2 《ネタバレ》 
危険な階段落ちや車両との接触、ミラールームの活用など、様々に工夫を凝らして 見せ場をつくっている。 単に発砲数やアクションの手数をインフレ化するのではなく、 静から動へ切り替わる瞬間に向けてのテンションの高まりが重視されていること(特にメトロでのモブ乗降シーン)や、 一貫して科白がごく短く切り詰めているのがいい。 中盤で標的として狙われ始めるシーンの時系列弄り等はただ混乱を招くだけで紛らわしい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-08-31 00:02:09)
236.  パトリオット・デイ 《ネタバレ》 
アーカイブ映像なども多々織り交ざっているだろう事件現場のスぺクタキュラーな再現ぶりが見事。 監視カメラ映像の挿入も巧妙でドキュメンタルな効果を大いに発揮し、 中国系移民の青年を始め、表情の良い俳優が多いのでアップも苦にならず、爆発現場や銃撃現場のシーンでは緊張に満ちた臨場感が出ている。  現場保存のために路上に放置された、毛布にくるまった遺体。その傍に付き添って立哨警備する警官の表情。 ようやく回収車が到着し、遺体は車に乗せられる。それに対し、警官は敬礼をもって静かに見送る。そんなさりげない点描がグッとくる。  ラストは常套的で、如何にもあざとく、ナショナリズム紛いのメッセージに少し感動が冷まされるが。
[映画館(字幕)] 6点(2017-06-17 00:10:03)
237.  グレートウォール(2016) 《ネタバレ》 
3D映画で思わず顔を避けそうになってしまったのはゼメキス『ザ・ウォーク』の綱渡りシーンでバランス棒が画面に向かって落下してくる俯瞰ショットだが、 形態と速度感が似通ったこちらの弓矢もなかなかの飛び出し感覚である。  序盤はさして立体効果のあるショットもなく、短いショットの羅列で見づらいのだが壁の登場から高度と奥行きの画面が活きてくる。  濃霧を使って、いつどこから飛んでくるのかを予測させないところに音響の効果も目一杯駆使してスリリングな3D効果を挙げている。  カラフルな色使いも良。クライマックスの塔内部の空間を照らすステンドグラスが色鮮やかでいい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-05-02 12:48:48)
238.  ゴースト・イン・ザ・シェル 《ネタバレ》 
ガラス面や水面への反射、ダイブのアクションなどメタファーのイメージが充実している、といってもそれは押井版の功績だから こちらには加点出来ない。広角レンズの画角の歪みが特長的な押井流のレイアウトシステムがそもそも実写的感覚を強く志向していたわけで、 背景などは3DCGに近いとはいえリアリズムを意識しながら撮るとなると必然的に押井版のコピーに近い構図とイメージとなってしまうという事だろう。  象徴的イメージである高層階からのダイブや、乱立するホログラム、水飛沫、割れて飛び散るガラス破片などの3D効果も、やはり元の押井版のスタッフが 優れて立体的なレイアウトを達成していたということである。  射殺されるジュリエット・ビノシュを映し出す、割れるガラス。雨の中で刺客に止めの銃弾を撃ち込む北野武のハードボイルドスタイル。 押井版では夕刻だった潜水シーンの、ナイトシーンへの変更。 そうした本作独特の細部は『ブレードランナー』風味とも相まって、フィルム・ノワールの趣をより強く印象づける。  『アヴァロン』のヒロインも草薙素子のイメージに近いと言われたが、それよりも断然華があるスカーレット・ヨハンソンのヒロインの凛々しさもいい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-04-13 23:02:35)
239.  パッセンジャー(2016) 《ネタバレ》 
主要なキャラクターは若干4名。そういう意味では経済的なのかも知れないが、その分船内の美術のスケールと豪華さによって 見る楽しさが持続する。それでもドラマをほぼ二人だけで見事に牽引するのだからどちらも大したものである。 中盤までは、ジェニファー・ローレンスを除く二名と観客が秘密を知っている、その事がサスペンスを生み、 後半は二人の愛憎の劇とスペクタクルで魅せていく。 命綱を使った救出劇は『オデッセイ』には及ばなかったか。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-03-26 21:59:54)
240.  キングコング: 髑髏島の巨神 《ネタバレ》 
BGMを伴うヘリの編隊飛行。その中で執拗に強調されるローターの回転運動。空爆。ジャングルの暗闇を染める炎。水牛のイメージ。 無言の原住民。河を下るボート。L・B・ジョンソン。そして「王殺し」。 嫌でも連想されるコッポラ『地獄の黙示録』のイメージの数々である。  中盤でチームが二手に分かれると、南洋版『八甲田山』的な展開かと思わせたりもする。  その割に本家33年版への思い入れが少し稀薄であるのが物足りない。  対戦相手が次第に弱っていく断末魔の細かい動きとか、その死を念を押して確認する動きとか。そうした手の込んだ細部の描写による 映画的リアル感の演出のことである。やたらにピント送りで視線を誘導したがるのも鬱陶しい。  結局は帰還兵のエピソードを以てエピローグとなるが、個々のキャラクターのドラマも半端にすぎる。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-03-26 02:25:32)
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