301. セント・オブ・ウーマン/夢の香り
《ネタバレ》 もしかすると、これは一種の変則的なラブストーリーでもあるのかもしれません。 「目が覚めたときに自分を包んでくれる人がいてくれたら・・・そんなのは夢のまた夢なのだが・・・」 と、遂に本音を明かすフランク。 つまりは結婚願望。多くの人に訪れるイベントが、フランクには夢のまた夢という現実。なぜならあの性格だから。 ですがクリスというありえないくらい心清らかな青年と出会い、フランクの人柄に変化が。だからこそ、最後の演説は見応えのあるものになったのだと思います。 フランクは長所より短所の多い人間です。そのフランクの人としての最も良い部分が、それこそ最も良い形で表現された演説。 それは見ず知らずの女性の先生のハートを少しだけ動かしてしまいました。 声をかける女性の先生。ちょっとだけ口説くフランク。 足取り軽やかに、子供たちとふれあうフランク。 映画はそこで終わってしまいますが、その子供たちとのふれあいのシーンで、明らかにその後のフランクの人生が再び輝きだすことが暗喩されています。 とても心地よい余韻が残りました。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-25 01:12:06) |
302. いとこのビニー
《ネタバレ》 チャラチャラして見えるビニーとリサ。ところが中身は二人とも全然チャラチャラしていない、真面目人間。しかも二人とも良い人。更に一生懸命。このギャップが、二人をとんでもなく魅力のあるキャラクターにしているのでしょう。 寝不足で経験不足。実力はあるのだが、ぜんぜん本領発揮できないビニー。 観ている側も、最初は「こいつだめなんじゃ・・・」と不安に。 ところがビルがスタンにビニーを擁護するシーン。 ここでビルは、ビニーが過去に凄腕マジシャンのネタをことごとく看破するエピソードを話します。「ビニーって実はすごい力を秘めているのでは・・・?」と、期待させるのに十分な伏線。 そしてついに・・・!ビニーならではの弁護が炸裂し始めます! この爽快感!最高ですね! 「父が整備工。」「父の父も整備工。」「兄弟も、・・・」のシーン、超笑っちゃいました。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-17 12:04:01)(良:1票) |
303. 壁の中に誰かがいる
《ネタバレ》 先に「みんなのシネマレビュー」で平均点とジャンルだけチェックしていました。 ホラー+コメディという先入観で観賞。 はじまりはじまり~。 ・・・・んーーーー!?超怖えぇ・・・。怖い。怖い。!!ひゃぁああ、見つかるー! なんで「コメディ」がジャンルにあったんだー? と、謎だったのですが、なるほど。 いつの間にか「ホームアローン」状態に。 この映画のジャンルは 「ホラーのち、コメディ」 ですね。 本当に、気づいたらいつの間にか映画のテイストが変わっていました。 後半は爽快ですらあります。 それはそうと、この映画、なかなかの好き放題っぷりです。 ですが、なかなかの掘り出し物でもあります。 個人的には大好きです。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-13 00:17:54) |
304. 真実の瞬間(1991)
《ネタバレ》 このような映画が作成されること自体、今のアメリカは良い国になったのだろうなと思われます。 「赤狩り」。帰国したときのメリルにはまだ他人事。なぜなら共産党員ではない自分には関係のない話だと思っていたから。 ですがメリルの考えは甘かったようです。 密告の強要。自白の強要。事実の歪曲。仕事関係者への圧力。 メリルの想像もつかない国家権力の暴走がハリウッドを侵していました。 振り返れば、帰国時のラリーの様子は、これからメリルの身にふりかかる災難を予想させるうえで十分すぎる効果を発揮しています。 一人の無実の人間が、容疑をかけられ、仕事をうばわれ、友人関係を壊され、社会から強制的に排除され、何一つむくわれないままラストを迎えるので決して後味の良い映画ではありません。(ラストの友人の証言には少し救われますが) ですが「赤狩り」の歴史を知る映画としては、国家権力の暴走の恐ろしさを知る映画としては、とても良い映画だと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-10 16:03:37) |
305. わが街(1991)
《ネタバレ》 理性より感性を直撃してくるような映画です。 ドラマとは、虚構の世界ではなく、私たちが生きる日常に起こっているのだと気づかせてくれます。 理不尽なこと。不運なこと。予期せぬこと。 そういった出来事に遭遇してしまう人々。 彼らは、まるで私たちの気持ちを代弁するかのように思いを語ります。 「この世の中、どうかしている!」 ですが、そのどうかしている世の中で、幸運なことも同じように起こりうるのです。 不運な出来事があった次の一瞬には、幸運な出来事が起きています。 日々の生活はその繰り返し。その連続。 きっと、平凡な人生などなく、人生はただそれだけで感動的なドラマなのでしょう。 それを気づかせてくれる、この映画の人々の名台詞の数々。 特に後半の、クレアさんの名言の数々は必見です! [DVD(字幕)] 8点(2012-06-09 02:38:16) |
306. モブスターズ/青春の群像
《ネタバレ》 ファレンザーノファミリー。マッセリアファミリー。そこへ台頭してきた新進気鋭の4人組、ルチアーノ、ランスキー、シーゲル、コステロ。 マフィアものです。青春しています。バトルもあります。 戦力のない4人が、知恵と友情と人脈を武器に、戦略をたててのし上がります。 かなり面白いです。 ただほとんどルチアーノとランスキーがぶいぶい言わせています。 殺し担当の人もなんとなく目立っています。 よって、消去法でどうしても一人だけ影が薄くなっちゃっているのがちょっと残念ではあります。 娯楽作品に徹しているので、難解なストーリーではありません。 誰が見ても理解しやすく、のめりこみやすい作品でしょう。 オススメです。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-07 16:57:06) |
307. ドライビング Miss デイジー
《ネタバレ》 人種差別。貧富の差。老い。 様々なテーマを抱きながら、デイジーとホークの人間関係の在り方は、そういった諸問題をあっけなく超越していきます。 二人の関係は、最も単純な人と人との関係。 その関係を象徴するデイジーの「あなたは友達よ。」のたった一言のせりふ。 泣きそうです。 難解になりそうなテーマに、起伏の穏やかなストーリー。 にもかかわらず、堅苦しくならないのは、ひとえに二人の役者さんの演技がすばらしいのと、脚本なのかなぁ、と素人ながらに感心。 お墓のシーンやラストシーンは特にぐっときます。 もはや運転手ではないホークに、「あなたはまだお給料をもらっているの?」と尋ねるデイジー。 真偽のほどはともかく「はい。」と答えるホーク。 ああ、この人はたとえ車を運転していなくても、ずっとずっとデイジーの運転手なんだと気づきました。 もし本当にお給料をもらっているのだとしたら、ブーリーもなんて素晴らしい息子なんだ! [DVD(字幕)] 8点(2012-06-02 12:20:55)(良:1票) |
308. フライトプラン
《ネタバレ》 母親っていうのは、子供のためであればおかしなくらい理不尽になれるものかもしれません。そういった意味では、ジョディ・フォスターは見事なまでにリアルな母親を演じていたと思います。 そのリアルな母親だったからこそ、一緒に騙されました。 ぼくはもう途中で完全にパニック。 だって、あの母親だったらありえるじゃないですか。すべてが妄想だったってオチ。 「え?娘は死んでいる?まさかすべて母親の妄想だったのか?」 ってな感じで・・・お恥ずかしい・・・ ですので、もう娘が出てきたときの衝撃といったらそりゃあもう。 僕は単純なので、一緒に騙されて、一緒に「よっしゃあ」って思って、最後爽快で、アラブ人にはちょっとだけごめんね、って思いました。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-25 12:39:05)(良:1票) |
309. シティ・スリッカーズ
《ネタバレ》 笑いと感動がぎっしり詰まった最高のエンターテイメント映画です。 一番盛り上がるのは当然カウボーイ体験が始まってからですが、そこにいくまでのプロローグの出来が尋常ではないくらいに良くできています。 漠然とした不安や悩みを、序盤でしっかり見せてくれるので、ツアーが始まってからの期待と解放感が半端ないです。 また、カウボーイ体験ツアーで出会う人々も、脇役ながら個性をしっかり発揮していて、魅力的です。 中盤くらいまでは、特にミッチがやたらとトークで笑わせてくれます。 次第に、感動のエピソードの割合も増えてきて、けっこう目頭の熱くなる場面も。 ただ、おそらく年齢層によって共感の仕方が変わってくると思うので、やはりアラサー、アラフォーあたりの人が一番共感できるだろうし、映画を楽しめると思いますね。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-20 19:18:21) |
310. モ’・ベター・ブルース
《ネタバレ》 中盤過ぎたくらいまでは普通の映画なのですが、終盤からはすごいです。 人間ドラマが突然加速し始めます。 まずブルークがジャイアントの巻き添えをくらい、なんとトランペット奏者の命とも言うべき口を大怪我しちゃいます。すると、ついさっきまで大喧嘩していたシャドウが真っ先にかけよります。これだけでも熱い展開なのに、そのとき彼の言ったセリフが・・・。このシーンだけでも見る価値はあります。 ところがまだまだ続くんです。 事件から1年後、シャドウはクラークと成功していて、元ブルークのバンドメンバーと演奏しています。そこへブルークが復帰します。シャドウとクラークはブルークを快く迎え入れます。そう、あの名台詞付きで。本編を見ていたら、これだけで感動するはずです。シャドウとクラークがもう最高です。 ところが、ブルーク、やはり怪我の後遺症で、もう・・・ そこからブルークは、そう、あの彼女の元へ・・・ もちろん彼女のリアクションは・・・ いや、ほんとに切なさ№1映画ですが、最後は妙にほのぼのと終わりますので、良かったら見てみてください。大人向けの良質映画です。 あ、それからジャズのことはよくわかりませんが、1時間22分辺りで演奏される、「モ’ベター・ブルース」というタイトルにもなっている曲は、妙に聞き入ってしまうくらい良い曲でした。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-17 04:32:12) |
311. ダンス・ウィズ・ウルブズ
《ネタバレ》 どこに視点を置くかでこの映画のイメージは変わりそうな気もしますが、僕にとってはこの映画は「異文化交流」の映画でした。もちろん、当時の世界史に明るければ、もう少しこの映画を違う視点から見ることもできるかもしれませんが。 ちなみに「異文化交流」としては最高の映画だと思います。 僕は映画を見るときマイノリティー側に自分を重ね合わせることが多く、この映画でもかなりシンクロしちゃいました。そのシンクロ率はかなり高く、いつもは3時間という長さの映画は敬遠しがちなのですが、その長さを全く感じませんでした。 そういえば、初めは白人としての主観で観てしまうのですが、気づくとネイティブアメリカンとしての主観で観てしまっているこの不思議・・・ 個人的には誰が見てもその世界に引きこまれる素晴らしい作品だと思います。 ただ、あくまで娯楽作品のフィクションだとして観るほうが良いかもしれないですけどね。最後にさもノンフィクションと誤解しそうなメッセージが出てきますから。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-16 13:15:03)(良:1票) |
312. クラス・オブ・1999
《ネタバレ》 前半の教師ロボットは普通に良い先生達だったんですけどね。 コディを体育で痛めつけたあたりからもはや教師ではなかったですね。 というか、感情むき出しでロボットらしくもなかったですが。 ラストはとても良かったのですが、せっかく手を組んだわけだからもう少し人海戦術見せてくれても良かったかな。あんなにいた仲間たちがなぜか全然出てこないですからね。 仲間がたくさんいて、みんなで攻撃しまくっているのに、全然歯が立たない。みたいなシチュエーションのほうが面白そうです。 最後はほとんどターミネーター。でも面白かったからパクリでも何でも良いんです。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-07 02:37:19) |
313. ワン・モア・タイム(1989)
《ネタバレ》 一言で言うと、上手できれいな映画です。 設定からいくと、普通いらいらしたり、破天荒な内容になったりしそうなんですが、全然そうはなっていません。 しかも、登場人物たちがそれぞれ良識や常識をもったまま行動しているので、どの人にも共感できるし、どの人も応援したくなります。 ただどうしても設定上、もう元には戻らないことがわかっている上で鑑賞しないといけないので、特に序盤はずっと切ない気持ちがつきまといます。 ただ、切なくなりすぎないのは、やはり要所要所にちりばめられたおしゃれなコメディがバランスをとっているからでしょう。寄付金をもらえるように動いたり、悪徳判事の悪事を暴いて就職が決まったり、メインストーリーではないところでサクセスを用意しているところなんか、かなり好きな演出です。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-30 04:31:52)(良:1票) |
314. ミクロキッズ
《ネタバレ》 ディズニー映画にはずれなし、ですね。 本当に良い映画が多いです。 ディズニーのコメディは、鼻に付くようなわざとらしい笑いではなく、普段の生活のなかで普通にありそうなことを笑いにする「あるあるネタ」が多いから好きです。 電話がかかってきて、「パパ、ママだよ。」と言った時、パパが「どこ?」って探す天然とか、姉の作った焦げた朝ごはんを見て、「僕炭素は食べないことにしている。」と言って、姉が怒って犬にあげたら犬も食べないとか、べたなんだけど面白い。 犬の自動えさ出し機は最高にGOOD。 仕事命の母、研究命の父、とにかく釣りに行きたい趣味命の隣人のパパ。 ですが子供がいなくなったことに気づくと、それぞれの大切なものより、子供の安全を一心に考える姿が素敵でした。 普段あって当たり前のものが、ふっと目の前から消える。そのとき、自分たちにとって本当に大切なものが何なのかに気づく。 当たり前のことなんですが、大切なことに気づかせてくれました。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-28 15:06:37)(良:1票) |
315. レッド・アフガン
《ネタバレ》 アフガニスタンを材料に、当時のソ連という国を痛烈にこきおろすための映画ったんでしょうか?ロシアの人がこの映画みたら激怒しそうですね・・・ いくらなんでもあのキ○ガイ上官は・・・ 砲撃手もかなり嫌なやつでしたけど、あいつはちゃっかり逃げてしまいましたね。キ○ガイ上官と一緒にリンチを受ければ良かったのに。 主人公が対戦車砲を直してあげるシーンが一番好きです。ああいうのを見ると、戦争はやっぱいかんなと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-21 05:29:44) |
316. トーク・レディオ
《ネタバレ》 社会派映画の傑作ですね。 目に見えない相手との討論の恐ろしさを実感できます。 複数のメッセージを同時に発信しているような映画なので、観る人によって大きく印象が変わるでしょう。 DJバリー個人に注目すると、孤独を恐れる人ほど、わざと自分を孤独に追いやってしまうことがあるというのがよくわかります。 バリーはおそらく普通の人でしょう。 普通にトークを楽しみ、自分を表現することをただ楽しみたい人です。また、好きな人のことを大切にしたいし、自分も大切にされたいと、普通の人なら誰もが抱く感情を彼も持っています。 ですが劇中でバリーは全く逆の行動をとり続け、自分自身を追い詰めていきます。まるで本当の自分をさらけ出すことを恐れるかのように。ですが、バリーが自分を偽ろうとしても、時折一部のリスナーからバリーという人間を見破られる質問がとんできます。 核心をつく質問にはいつも返答までに間ができてしまうバリー。 人間の心理のパラドックスを見事に表現した作品だと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-20 04:35:37)(良:1票) |
317. キャッツ・アイ(1985)
《ネタバレ》 「禁煙セミナーの話」→9点 「高層ビルの賭けの話」→8点 「壁の中の悪魔の話」→6点 といったところでしょうか。 好みもありますが、1話目と2話目はひねりがあって面白いです。特に1話目は精神的にくる怖さがありますね。「世にも奇妙な物語」が好きな人は絶対楽しめます。 3話目はそれなりに楽しめますが、ただの子供向けファンタジーホラーコメディになっちゃってます。あれ、最後のネコがベッドに駆け上がるシーンいるかな・・・ [DVD(字幕)] 8点(2012-04-14 12:54:03) |
318. 死霊のえじき
序盤から中盤にかけての人間ドラマ。良かったんですけど、ちょっと長すぎました。途中で飽きてしまった・・・ ラストは良かったです。ラストだけでも良かったかも。 ああ、でも部屋をリゾート風にしていたのも良かったですね。混沌と無秩序な世界のなかにある健康で文化的な最低限度の生活。これもきっとラストには崩されちゃうんだろーなーって思ったりして・・・ それにしても研究所や地下道のシーンは、なんだかバイオハザードを連想します。やっぱり影響与えているのかなー。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-13 04:15:43) |
319. フィラデルフィア・エクスペリメント(1984)
《ネタバレ》 タイムスリップ系は見ていて落ち着かなくてそわそわするので苦手なのですが、これは面白いです。 アリスンが優しいから信じるふりをするわけですが、デヴィッドの故郷のガソリンスタンド(元デヴィッドの父親の店)でデヴィッドの43年前の写真を見て真実だと確信する瞬間が一番好きです。 農場でパメラだけでなく、ジムとも出会えてしまったのがまたプチサプライズで良かったです。 ジムだけ戻ってきて、デヴィッドは戻って来なかったという真相をパメラから聞いたときはショックだったんでしょうが、最後まで観て、戻れなかったわけではなくて戻らなかっただけだとわかって良かったです。 一応メインの人達はみなさんハッピーエンドですが、車を取られちゃった人や、事故った人、何よりエルドリッジの乗組員のみなさん、なんだか犠牲も多かったですね。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-09 10:22:54) |
320. 新・死霊のはらわた
《ネタバレ》 とても良いです。僕にとってのゾンビ映画の醍醐味は、日常と非日常、秩序と無秩序、本来ならば同じ空間に存在するはずのないものが、同じ空間に同時に存在する、そのぎりぎりのバランスを楽しむことにあります。 よってこの映画は、登場人物があほばっかりでも、映像が粗くても、平均点が低くても、全然OK、僕が欲しかったものを満たしてくれる映画です。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-07 03:15:24) |