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Qfwfqさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 170
性別 男性
年齢 43歳
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21.  麦秋(むぎのあき) 《ネタバレ》 
超傑作。貧しい人々が集い、共同体となって農場を経営するという社会主義的な側面をもつこの映画は、大手スタジオが金を出し渋ったため結局自宅を抵当に入れて独力で作っただけでなく、発表後もその危険(?)な思想により批判を受けたらしい。この映画のどこが危険なのか、さっぱり分からないが、この映画が煙たがられるような時代は確かにあったんだろう。アメリカという国家が自由だと思ったことはないが、この偉大なアメリカ映画は限りなく自由である。ラストで、荒れた大地にぶっつかるように流れる怒涛の水があなた、ほんとに凄いんですから。まさに人間賛歌、大地讚頌。ぜひいつかスクリーンで観てみたい。
[ビデオ(字幕)] 10点(2006-05-30 20:51:00)
22.  ミュンヘン
実に暗くて冷たくて重たい映画だった。9.11が世界と映画のあいだにもたらしている歪みと、スピルバーグの内なる悪意(というか、なんか黒いもの)の肥大化が、20年以上前に起こったショッキングな事件をさらに不気味なものへとチューニングしてしまったような、そんな感じ。でもだからといって映画がグニャリとしているわけではなくて、映画自体は非常に洗練されているので見ごたえは十分。罪悪感ではない、エネルギーの消費としての殺人の重量みたいなものを感じられる映画だと思う。その最たる場面が、誰の印象にも残るであろうオランダ女の登場する部分。彼女の存在感はそのまま死を喚起させる。確か、彼女がらみで直接ではなくても仲間の3人が死んだはず。それが事実に基づくか基づかないかは置いても、イメージの喚起力が現実を凌駕してしまうような凄みがここにはあった。それにしても「映画のような」という形容詞すらついたあの同時多発テロだが、映画はこのミュンヘンのラストのように再びタワーを甦らせる事だって出来るということを忘れてはいけないと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2006-05-17 12:56:39)
23.  ラストデイズ(2005) 《ネタバレ》 
「ジェリー」や「エレファント」とまるで突然変異したかのように怪作を世に送っているガス・ヴァン・サントの新作「ラストデイズ」は、やっぱりジェリった(?)映画だった。「砂漠」、「学校」、「森」とガス・ヴァン・サントが向き合ってきた風景の変遷も興味深い。主人公の背中か側面をひたすら追い続ける視点は3作に共通しているが、「ラストデイズ」でのそれは、演じるマイケル・ピットがまるで幽霊のような歩行で、意味不明のつぶやき(これを字幕にする必要はあっただろうか?そこだけが不満)を続けている。意志とか目的みたいなものがなく、ただ歩きそして死んだように洋館にこもる。カート・コバーンの物語はここにはない。マイケル・ピットのアクションは、カート・コバーンの死という特殊性から遠くはなれる。「ラストデイズ」は、伝記映画が陥りがちな「事実関係>映画」の構図から回避し、むしろ映画の中に事実関係を包括してそれを新たなイメージとして表出する。そして終盤マイケル・ピットが曲を演奏するシーンでそれは一気に爆発する。
[映画館(字幕)] 9点(2006-05-08 13:54:57)
24.  ニュー・ワールド 《ネタバレ》 
この映画の凄い所は、新世界側の人間が旧世界を新世界として認識するドラマを前半のコリン・ファレルが新世界に触れる部分と等しく描いたことにあると思う。片方を描いた映画は沢山あるが、両方の視点をくっつけた映画はそう無いはず。ただでさえ自然光を生かした贅沢な映像や幾層にも積み重なるような編集が縦横無尽に駆け回るのに、加えて後半はポカホンタスがいっぱしのメロドラマばりに真実の愛を追究する展開が待っているのでクラクラしてしまう。この映画は前半よりも後半の方が、面白くそして新しいと思う。全てを理解したポカホンタスが最後に見せるパフォーマンスは必見必見。
[映画館(字幕)] 8点(2006-05-07 00:18:12)
25.  罠(1949)
なるほど、この映画は上映時間と映画内の時間がシンクロしていたのか!全然気がつかなかった・・・ミュージカルの人という印象が強いロバート・ワイズだが、こんな美しいフィルムノワールを作っていたとは。盛りを過ぎた、あと一歩がいつも足りないベテランボクサーとその妻を主軸としたストーリーはもちろん素晴らしいが、リングに集まる脇役達こそがこの映画最大の魅力になっていると思う。気の弱い新聞売りのオッサン、盲目の男、ボクサーに罵声を浴びせるおばあちゃん、八百長を企んだ奴ら、そして主人公のボクサー仲間たち。リング内での彼らの熱気を上手くコントロールするように、妻が歩く夜の街のシーンは何度か出てくるが、やはり屋台で二人分の食事を買うシーンはグッと来る。「ミリオンダラーベイビー」にノックアウトされた後でも、この「罠」を見れば立ち直れる、かも知れない。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-05-02 23:07:20)
26.  キャット・ピープル(1942)
ジャンル映画だけど、この映画は自由、とにかく自由。檻に入れられた黒ヒョウは一見人間の支配下に見えるが、実は彼らこそこの映画の支配者であったように、この映画はジャンルという檻のなかに入っていながら外にいるように自由。プールでの恐ろしいシーンも印象的だし、さらに夫から離婚を告げられたとき無意識にソファを引っ掻いて出来る裂け目が凄い。メスが皮膚をサァァーッと切るときのような、薄い紙で指をスゥゥーッと切ってしまうような、ゾクッとくるあの感じ。超必見。
[ビデオ(字幕)] 10点(2006-04-24 17:24:16)
27.  暗黒街(1927)
フェザーズの身に付ける羽毛がユラユラと・・・これでもう思考は止まってしまう。サイレント映画はいつも、映画を「理解する」という地点から「感応する」ことへと引き戻してくれる。ラストの10分は、まさに人生そのものが濃縮されていると思った。ジョージ・バンクロフトの不敵な笑み、猫と戯れる姿、そして最後警察に連行される時の清々しい表情。そういえば「近松物語」のラストにおける香川京子の表情も、こんな風に清々しかったのだった。
[ビデオ(字幕)] 10点(2006-04-16 15:34:41)
28.  ヒストリー・オブ・バイオレンス
戦慄の映画である。一見、ひねりのない平凡な映画に見えるが、同時にこんな映画は見たことがないかもという不思議な感覚がある。この手の映画はふつう、傾く。暴力を映画で扱いきれず、奇抜な脚本とか編集あるいは特殊な映像表現という、いらん飾りをつけてしまう。そうすることで暴力の危ういバランス感覚がどこかへいってしまう。だがこの映画は暴力をスタイリッシュという文法に乗せないで、極めてシリアスに扱っている。スタイリッシュ暴力はそのほとんどが「痛み」感覚を追求しており、映画でしか味わえない暴力体験を擬似的に与えようとする。しかしヒストリー・オブ・バイオレンスはそんなに甘くない。痛いじゃ済まない。そもそも痛みは猶予でもある。痛がる前にもう死んでるのがこの映画。そして素早いカット割りで無駄のない殺しを実行するヴィゴ・モーテンセンの目にこそ暴力の本質が現れるのである。そしてバイオレンスとくればセックスという安易な発想から逃れた、バイオレンスの地続きとしてのセックスがあの階段でのシーンとなり、観る側の血を凍りつかせる。ラストは、暴力というバランスの危うさに傾き堕ちることを免れたこの映画だからこそ到達できた屈指の名シーンだと思う。この映画を見てしまうと、あれほど面白いと思った「オールドボーイ」や「ファイトクラブ」が単なる曲芸のように見えてしまうのだから恐ろしい。
[映画館(字幕)] 9点(2006-04-11 12:26:41)(良:1票)
29.  荒野のストレンジャー
西部劇異聞みたいな感じの不思議ラストである。西部劇という舞台が持つ場所感覚は魂の彷徨みたいなベクトルをすっぽりと受け入れるようだ。どこまでも広がる荒野は確かに地獄であり(COWBOY FROM HELLって歌もあるし)、この映画では小さな水辺の集落がその地獄の舞台となる。イーストウッドがならず者を撃ち殺しすぐさま女をレイプする野獣のごとき姿を見せるという冒頭からシャレにならない展開。そして村を赤く塗りたくって「地獄」と変えてしまうイメージ感覚もビックリだが、この映画が本当にシャレにならないのは切り返し構図の強烈さである。特に終盤の炎に囲まれた復讐シーンでイーストウッドが鞭を放つ画と叩かれる男の画はこれだけでご飯がすすむ、みたいなよくわからないがそれぐらいの鮮烈な画面であった。近年のイーストウッド作品がもたらす、開き直りともいえるぐらいの恐ろしい歪みがここにあるのかどうかはわからないが、イーストウッドイズムがとってもよく溢れた必見の作品だと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-10 20:03:09)
30.  ウォーク・ザ・ライン/君につづく道
非常に良い映画だった。ていうかジョニー・キャッシュという人もジューン・カーターという人も全く知らず、さらにボブ・ディランにもエルヴィスにもあまり縁がないのだが、全然問題なかった。だって映画自体が素晴らしい。ウェルメイドという枠では収まらない音響の臨場感だったりライブの光景だったり両主演の存在感だったりが心に響く。監獄コンサートのシーンは音だけで泣けてしまうし、ホアキン・フェニックスが会場入りする前のリーズ・ウィザースプーンとの距離感もすごく良い。釣りのシーンも印象深く、この映画のキーポイントとしてうまく機能している。ていうか、単にあの静かな時間の流れがとても好き。そしてなんといってもこの映画はアメリカの物語で、非常に映画映えするのである。
[映画館(字幕)] 8点(2006-04-07 19:24:34)(良:1票)
31.  ヒズ・ガール・フライデー
面白すぎた。男みたいな女ロザリンド・ラッセルとケーリー・グラントの喋りは、もはやこの映画のBGMになっている。ロザリンド・ラッセルが良いです。帽子が素敵。スカートをたくし上げて疾走、しまいには逃げる男にスピアーをかます。この躍動感。躍動感といえば、殺人囚の恋人役が男への自分の愛情を示すために窓から落っこちる、あの落ち方は凄い!「あっ、落ちた!」感が出すぎ!そうかと思えば電話の使い方のように、大量のセリフの裏側でしっかりと綿密な演出が組まれていたりして、面白いだけでは済まされない完成度を持っている。でも、面白すぎて味わう暇がないっ!
[ビデオ(字幕)] 10点(2005-12-07 01:02:13)(良:1票)
32.  ドミノ(2005)
途中で一瞬「ミリオンダラー・ホテル」のホテルが出たような気がするけど、気のせいか?ドミノは「一瞬」と「気のせい」のマシンガンである。「マイネームイズ、ドミノ・ハーヴェイ。アイアム ア バウンティハンター。」っていうセリフから映画が終わるまでトニー氏は、流行というにはちょっと旬の過ぎた感のある映像効果を超速で、顔どアップの切り返し連続で、しかもカメラをぐりぐり動かしながら、2時間チョイの時間飽きることなく(途中飽きるんじゃないかと思ったが、やりのけた)描く。早送り巻き戻しスローストップ3倍標準。再生モードの無いビデオデッキみたいなものだ。テレビ番組の速すぎるスタッフロールで「そーたに」しか確認できないかのようだ。でも、キーラ・ナイトレーが指輪を人差し指と薬指でいじる姿、ルーシー・リューが神経質そうに削った鉛筆をグラスにガンガン叩く姿、最後に登場する本人さんの不思議な表情、なーんか心に残る。激しい視覚効果の中でも被写体を的確に捉えているということなのか(【まぶぜたろう】さんがすでにおっしゃってますね。)実際、それぐらいにキャラクターが豊かだったように思う。銃撃戦も最高だった。エレベーターのドアが閉まる時の演出とか、ミッキー・ロークに「今日は死ぬには最高の日だ!」とか言わせるのもクサいとは思いつつ、大学のサークルで女子大生をぶん殴った後のキーラ・ナイトレーよろしく、拳を振り上げたくなるのである。
[映画館(字幕)] 8点(2005-11-14 00:41:06)(笑:1票) (良:2票)
33.  ランド・オブ・プレンティ
グラウンド・ゼロから次第にカメラが上昇し、夜になりかけた空を映し出す。その空は、以前では見ることが出来なかったものだ。それを虚空と名づけるには思いが込められ過ぎている。それでも撮る。正しいとかそういう以前に、このシーンを入れなければならないという義務みたいなものが働いている気がした。だがヴェンダースとアメリカという、多くの人を困惑させ幻滅させたであろう組み合わせがこの映画ではもっと接近し、それゆえに離れてしまったような感じもまた、このラストシーンで抱いた。この感覚は矛盾しているようだが、この映画自体アメリカという矛盾で成り立っている事にも気がつく。イスラエルから母の手紙を持ってアメリカに帰った一人の少女と、その伯父(つまり少女の母の兄)――ベトナム戦争の後遺症を引きずりながら、アメリカの理想へと盲進する――との出会い。対話の不可能性を示しながらも、両者の体験を共有してゆくことで新しい何かが生じる。そしてその何かを、まずはあの空に求めてみる。真摯な姿勢だと思う。だが見終わったときは、それだけか、とも思った。そもそも短期間で、しかもビデオで撮るという機動性は、正面から取り組みすぎたこの作品のテーマとは相反しているような気がする。だからといって、しっかりと腰をすえて撮ったところで何がしかの獲得があるかどうかは、わからない。だが、ドイツ生まれのヴェンダースがこのテーマを撮ったのにアメリカの映画監督はまだほとんど、この映画のラストシーンに正面からぶつかっていないようだ。ランド・オブ・プレンティのラストは「始まり」でもある。必見。
[映画館(字幕)] 8点(2005-11-05 01:13:40)
34.  シン・シティ
アメコミ風世界観は結構だが、映画館ではやっぱりアメシネが観たい。この作品は映画的な想像力とはほとんど無縁の場所に存在していると思った。これは映画というよりも「画」である。面白いことは面白い。話が進むごとにシンシティという街の全貌が見えてくるようなストーリー展開は結構好きだし豪華な出演陣が持ち前の魅力を出しているとも思った。だけど、何かが足りない。というよりも不純物が多いのかもしれない。それは逆に言うと監督の原作に対する思い入れの深さゆえか。でも、映画は算数ではないので足し算しても結果は必ずしもアップしない。逆に引き算したほうがアップしたりする。B級映画的世界をA級映画風にする必要があったのか。シンシティは、「これは、~な映画である」といった時の「~」が多すぎる。実際の所「これは映画である」と単純に言うことは難しい。
[映画館(字幕)] 6点(2005-11-02 00:23:28)
35.  チャーリーとチョコレート工場
面白い映画ではあったが、そこまでは・・・という感じもある。ビッグフィッシュもそうだったけど、なんか薄い。彩度は高いけど明度に欠けるというか。まあ、無邪気じゃないということかもしれない。一番痛かったのは、工場内の見学が保護者同伴になってしまったせいで、工場内に漂うべきだったと思う不穏な空気(極端に言えば、一度工場に入ったら二度と戻れない、みたいな空気)が、ただのバカ家族ショーを披露する舞台にしか感じられなかった点。というか、ファンタジーという要素から一番かけ離れているものは、実は家族なんじゃないかと思うのだが。
[映画館(字幕)] 6点(2005-10-18 23:28:38)(良:2票)
36.  エスケープ・フロム・L.A.
Rock=American Spirit≒映画、ってことなのか?カーペンターの映画を見てから、ストーリーとか映像のチープな部分について突っ込むのは止めようと思いました。それって映画とは別の話ですし。映画としての完成度とかもどうでもいいっす。あの波とかさぁ・・・ここまでやっちゃったら、こっち側も一緒に壊れるしかないじゃないですか!大衆消費文化の申し子、映画。このことを体で理解して作っているに違いないカーペンターの映画は、映画の歴史という巨大なビッグウェーブに対しても、ピーター・フォンダのようにハイテンションでどこか狂ってる。このバランス。
[映画館(字幕)] 10点(2005-10-03 00:27:58)(良:4票)
37.  宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 
父娘の命がけの逃避行は終わりを迎え、また運の良いことに、宇宙人たちも地球に棲むウイルスによって壊滅しつつある。家族とも無事に再開を果たし、爆死確実と思われた息子も我が家のドアから登場し、父との和解を果たす。トム・クルーズが演じた父親は無事に生還したのだった。ただしこの生還には家がない。まず、2番目の旦那が妻の隣にいる以上、トム・クルーズに居場所はない。となるとどこかへ戻るしかないのだが、その再帰還地点となる場所のなれの果ては、彼が撲殺したティム・ロビンスのそれかも知れない。それにもかかわらず、あのラストでスピルバーグが用意するのは残酷なまでに理想化された再会であった。死んでいればヒーローだったろう。だが、生きているうちは「前のパパ」であるしかない。「宇宙戦争」は、スピルバーグの無邪気さが歪んだ形で提示された作品とも言えるだろうが、それ以上に歪みつつある現前のアメリカについての言及という要素も多分にあるのだろう。という事なると、最初はそう思わなかったが、やはり同時多発テロ以降の作品という色合いが強い作品と言えるかもしれない。
[映画館(字幕)] 9点(2005-09-20 15:41:37)(良:1票)
38.  ジェリー
ある「意図」を映画に放り込む、ということを先端まで突き詰めていくと結局こういう形になるんじゃないかと思う。それこそシネマスコープで撮ったということにも意味を感じてしまうぐらい。で、そこから「そういえば「エレファント」はスタンダードだったな」みたいな。こういう、どんな解釈も可能な、含みだらけ(実は何もないかもしれないという含みも入れて)の映画はあんまり好きじゃないが、この映画は、作った監督自体が可能性以上に不可能性をジェリーという同じ名前の人物に感じているみたいで、この作品に正面から付き合うには自分も「ジェリって」みるしかないな、という気分にさせる。感情移入じゃなくて自分を砂漠に置くという感じ。で、こういう感覚って映画館の中でないと生じにくいし、最初に書いたようにシネスコだからテレビだとめっちゃ画面が小さくなる。鑑賞という方法では多分死ぬほど退屈に違いない。真っ暗な映画館の中で、幾人かの観客と一緒にこの映画を共有する。そのことの重要性を想起させるだけでもこの映画は貴重な存在なのだが、この映画の配給会社(アメリカの)はつぶれたそうだ。で、日本でも実際に映画館で上映するにしてもどうせ大きいところではやんないから単館上映の小さな小屋で掛かるのがせいぜい(しかもレイトショー)。そりゃあ儲かんないだろうし、だからソフト化して回収できる分は、とか思ってるんだろうけど、これ、儲ける為の映画じゃないし。いやほんとに、環境映画のコーナーに置いてあげるべきだと思う。今度この映画が日本で上映されるのはガス・バン・サントが死んだ時かな・・・あーあ。まあ、「商売」としては完全に間違えた映画です。堪らなく良い映画だと思うんだけども。
[映画館(字幕)] 10点(2005-08-31 02:12:19)
39.  ソウ
アイディアは面白いと思う。糸鋸というアイテムが個人的には好き。そして謎解き案内人の二人は観客の興味を減退させない、良い語り部だったように思う。この手の不条理サスペンスはまず第一に謎解きの快感を映画の人物とともに共感していく過程をどう描くか、というのがあると思うがそれは時間の制限というオプションも相まって結構成功していると思う。しかし、第二の点。ここがヒド過ぎた。つまり犯人である殺人鬼をどう描くか。アメリカという、殺人者のバリエーションが世界でもっとも多様であると思われる国で作られた映画にもかかわらず、その人物の造形があまりにも貧弱で、見る側を平気で置いてけぼりにするような突き抜けた想像力も持ち合わせていない。緩慢な死に対する大衆の圧倒的な無視だなんてあまりにも・・・。医者の蒼白の顔色ともう一人の男の最後の悲鳴が煽るのは10分もすれば忘れる表層的な恐怖に過ぎない。シチュエーションの異常さを装いつつも、そのアイディアに人物が勝てなかった残念な作品。
[DVD(字幕)] 4点(2005-08-20 03:12:23)(良:1票)
40.  メメント
主人公の最終的に(つまり最初に)とった行動は、映画を作る等といった創作という部分に深く関わってくる。失われた記憶を探すという行為が、同時に虚構という概念の本質を断続的に照らすという離れ業をこなすこの映画は、最近のアメリカ映画に多く見られるアイディア一発オチ吃驚系の映画とは明らかに一線を画している。映画館を出て10分も経てば、箱の中で2時間大勢の人と共有した時間はほとんどが失われ、確認するためにパンフレットを買い、あるいは「みんシネ」を覗く。が、またすぐに忘れる。この反復の循環があるからこそ創作物は創作物たりえているのだと思う。そしてその創作物は、我々が忘れないようにと体のあらゆる部分に残したわずかな刺青によってゆっくりと進化している。でも実際の所それが進化かどうかはわからない。というのも、その刺青の記述が正しいかどうかは分からないわけで。話が脱線してしまったが結局の所「メメント」は、その映像手法や稚拙な演出はとりあえず置いておいて、語りの方法を引っくり返しかねない問題作だと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2005-08-16 02:29:56)(良:1票)
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