421. 我輩はカモである
いや、何か、これは凄い。凝縮された熱さ、数秒間のやりとりにネタを詰め込む馬鹿馬鹿しさ。そしてそれを支える制作側の迷いのなさ。アホな内容だからこそ、真剣に考えて作らなければならない、という理念を忠実に体現したものとして、現在まで普遍性を有する作品です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-24 00:22:56) |
422. 縛り首の木
《ネタバレ》 主人公は何かそれっぽい過去があるんだけど、作品中でまったく消化されていない。よって、特に前半は主人公が何がしたいのかさっぱり見えません。ヒロインの顔と目の治療のあたりから一応少しずつ盛り上がってきますが、それまでも長いし、治療の部分も妙に長い。そして、いきなり金鉱掘りに行ってしまうというよく分からない展開。変な帽子のオッサンも、結局はストーリー上いいように使われているだけ。で、とっちらかったまま最後まで行ってしまうのですが、最後はそれをさらにグシャグシャに散らかすという、どこまでも迷走しまくりな作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2021-04-23 00:56:42) |
423. バイス
《ネタバレ》 「マネー・ショート」から予想はできたんですが、やっぱり今回も、全部を映像化して喋り尽くさないと気が済まない作り方だったんですね。まあ、ナレーションには一応トリックめいたものはあるのですが、だからといって何か効果的に働いているかというと、そうでもない。中盤からは9.11以降の怒濤の展開で、前半との色分けは意識したんだろうなとも思いつつ、逆にこれなら前半はほぼいらなかったのでは?とも思ってしまう。 [DVD(字幕)] 4点(2021-04-17 01:36:04) |
424. ディープ・インパクト(1998)
絡んでそうで絡んでいない3本柱を軸に進めるという発想はなかなかよい。しかし、肝心のその柱の中身が、どれも何とも薄くて、イライジャのパートに至ってはほとんど陳腐レベルです。結果、一番ドラマチックだったのは、最初の彗星発見のくだりだったということになってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2021-04-16 00:33:56) |
425. クリフハンガー
脚本は随所で突っ込みどころ満載、というか突っ込まないでいられる場面を探す方が難しいくらいなのですが、いろんな危機の見せ方やタイミングや裏のかき方などはそれなりに充実しており、一応は最後まで楽しんでみられるという妙な作品。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-04-13 01:24:04) |
426. ブラック・クランズマン
《ネタバレ》 黒人刑事の指揮の下に、あのKKKに(しかも別人が)潜入捜査をするとなれば、2人ともにとって命のリスクを覚悟しなければならないはずなんだけど、その辺の緊迫感があまり感じられない。一方で、リーダーの演説だとか、老人の語りと入会の儀式のクロスカッティングだとかは異様に気合が入っていて、そこだけで人目を引く力がある(ので、捜査云々はさらにどこかに行ってしまう)。ただ最後に実際の映像がいろいろ出てきて、ああそういうことか、と。つまり結局は逆にここを流したかったんでしょうけど、それなら何で設定を2010年代にしなかったの? [ブルーレイ(字幕)] 5点(2021-04-11 23:48:45) |
427. スパイ・ライク・アス
笑える場面が少なすぎです。こんなありえない設定だったら、逆に、周りの希望に反してすべてがうまくいって大活躍、みたいな路線が基本だと思うけど。最後の30分なんか、ほとんどぐちゃぐちゃで、制作者のやる気のなさすら漂ってきます。 [DVD(字幕)] 3点(2021-04-08 00:31:12) |
428. ビッグ・ダディ
《ネタバレ》 しつけのできてないガキは大嫌いなので基本的イメージは良くなかったが、ネタがたくさん盛り込まれていて、一応退屈せずに見ることができた。ただし、法廷の場面は無理矢理盛り上げすぎで、かえって興ざめ。レイラ役の女優さんは初めて見ましたが、なかなか魅力的ですね。 [DVD(字幕)] 4点(2021-04-06 23:51:57) |
429. アンタッチャブル
《ネタバレ》 当時でもすでに珍しかった単純勧善懲悪作品。しかし、コネリーの重厚さ、ガルシアの若々しさ、デニーロの敵ボスキャラとしての格好良さという適材適所な配置によって、後々まで名を残す作品となっている。美術関係の職人的な頑張りも評価してあげたい。ケビン・コスナーの大根ぶりだけが残念。●よく考えると、この作品は脚本もしっかり絞り込まれているのです。最初に挫折して落ち込んでいるネスが、なぜ突然正義の味方になるのかという点について、カフェ爆発シーンと母親の訪問シーンの2つだけで実に手際よく説明されている。ネスの家族関係も、僅かな描写だけでしっかり重みを残している(その妻役がこれで映画デビューのパトリシア・クラークソンというのも、制作者は恵まれていた)。すべてのシーンに意味づけがはっきりしているので、役者も演じていて楽しかったのではと思います。それだけに、ケビン・コスナーの大根ぶりが返す返すも残念。 [映画館(字幕)] 8点(2021-04-04 14:52:10) |
430. ビール・ストリートの恋人たち
《ネタバレ》 前作「ムーンライト」でもそうだったような、ちょっと突き放したような感じの冷めた描写。冤罪逮捕勾留という一大事も、割と淡々とした視点で進んでいく。わざとらしく盛り上げないところは一応好感が持てますし、時系列操作なども工夫が窺えます。ただそれが、突き抜けたところまで成功しているかといえば、そうでもないのですが。●ところで裁判は結局どうなったの?肝心の証人が行方不明という台詞がありましたが、それだけで公判は飛んでしまうんじゃない?何で長期間拘束されてるっぽいのか、そこからしてよく分かりませんでした。●主演のキキ・レインは、これが映画初出演のようなのですが、いい感じの目力と存在感で、今後に期待です。 [DVD(字幕)] 6点(2021-04-02 00:58:09) |
431. 地獄への逆襲
《ネタバレ》 やっぱり前作は、ジェシー&フランクの2枚看板のバランスで成り立っていたんだな。こっちの方は、とりあえずフランクが復讐するんだろうというのは一応理解できても、話がちっとも前に進まない。その上で、子分とか女性記者とかが足を引っ張ってくる。裁判以降の部分はさらにグダグダでした。物語としては一応前作で完結していたわけで、その後にもう一作作るというのに無理がありました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2021-03-31 01:37:45) |
432. グリーンブック
《ネタバレ》 よくまとまった作品だとは思いますが、逆にいうと優等生作品の枠に収まった作品でしかない。一つ一つのシーンから、「ほ~らこんなところにも自分たちは目配りができてるでしょ~」「一方に偏らないバランスとった描写してるでしょ~」という制作側の自慢(と計算)が随所で見えているのです。一方で、例えば「北部ではチヤホヤされて金も稼げるドクが、なぜわざわざ苦労が目に見える南部を目指すのか?」という最も重要な点は、同行者からの台詞でしか語られない。いや、説明はそれだけでいいんだけど、それがドクの行動に具現化されていないので、それぞれがばらばらに完結しているだけ。●トニー役には、やっぱりイタリア系俳優を当てるべきだったと思いますけど。作中でその点が再三言及されていることからすればなおさらです。アリは、気品と高貴性ある主人公を頑張って表現しようとはしていますが、まだ頑張りが見えるレベルであって、内面からそれがにじみ出てくるところまでは至っていない。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2021-03-28 23:54:58) |
433. 地獄への道
《ネタバレ》 導入部は、なかなか正統派的な復讐譚で、この後主人公が仲間を率いて各地で強盗に大活躍!かと思ったら、いきなり自首という超展開に唖然。その後兄が助けに来て持ち直すものの、そこから妙に停滞してしまう。再び前線に戻るのが、どうも妻子が別の男とうまくいきそうだからという小市民的動機なのにちょっと笑いつつ、そこでさらに大暴れかと思ったら、どうも終幕に向けては腰砕けに終わってしまいました。振り返ってみれば、ヒロインが全然機能していなくて、何か主人公を助けるわけでもなく、ひたすらうじうじ愚痴っているだけ。その割に出番は比較的多いものだから、そのたびに作品がエンストを起こしてしまうのです。こういう系統でヒロインが魅力的でないというのは、なかなか致命的。しかしフォンダの渋いサポートで一定の質は維持されているという、微妙なバランスの作品。 [DVD(字幕)] 6点(2021-03-23 00:41:34) |
434. ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択
《ネタバレ》 とりあえず3人の女性のストーリーがあって、それが3本柱になっているという予想はしたのですが、その3本柱がいろいろ絡み合ってまとまっていくのかと思ったら、まったく絡まない。最初の30分くらい、いきなりローラ・ダーンのパート、その後はミシェル・ウィリアムズのパート、と別々に進行していきます。これはもしかしてオムニバスなのか、と思ったら、よーく見るとちょっとだけ絡んでいました。しかしそれならこんな構成にする必要はなかったというか、もうちょっと何とかできただろ。●各パートでいえば、出来が一番いいのは最初のローラ・ダーンのパートです。ただこれも、ジャレッド・ハリスの怪演あってのことですね。 [DVD(字幕)] 4点(2021-03-22 01:16:19) |
435. 踊る大紐育(ニューヨーク)
《ネタバレ》 最初から最後まで突っ走るテンションの高さであるとか、全体をきっちり24時間に収める様式美であるとかがとりあえず目につきましたが、実は歌とダンスの影で脚本もしっかりしているのではないかと思います。3組のカップルがきちんと使い分けられていることはもちろん、その絡みの中で研究家のお姉さんがミス地下鉄に裏で気を遣うところなど、何とも細やかです。また、すでに指摘されていますが、笑われ役のルーシーにも最後に配慮しているところが、作品に奥の深さと気品を保っていますね。●今の脚本だったら、最初にミス地下鉄を探し出すまであれこれステップを入れたりとか、エンパイア・ステートにたどり着くまででもハプニングがあってハラハラしたりするんでしょうけど、そんなものはなくてもよい!というかない方がよい!ということもよく分かります。●唯一、終盤入口の、それまでの話をダンスで再現、は要らなかったと思います(そこまでにダンスで十分表現されているからこそなおさら)。ここは、ケリーの独唱で悲しみのダンス、とかでもよかったんじゃない? [DVD(字幕)] 7点(2021-03-22 01:06:28)(良:1票) |
436. 足ながおじさん
最初の部分の、そんなに簡単にアメリカ行きを承諾するな!君は今の仕事に誇りはないのか!に始まり、突っ込みどころは多数あるのだが、オジサン達の永遠の憧れのシチュエーションを恥ずかしげもなく堂々と(ほめ言葉)作品化して完成させてしまったという度胸の良さは大いに評価したい。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-03-21 01:58:14) |
437. バッドボーイズ2バッド
あまりにもひどかった前作よりはまし。しかし、マーティン・ローレンスの空回り+足引っ張りぶりは前作以上。キャラ勝負のはずの作品に、何であんなのがいるの? [DVD(字幕)] 4点(2021-03-19 20:11:33) |
438. バッドボーイズ(1995)
説明台詞のオンパレード、陳腐な場面の連続もひどいが、あのギャーギャーうるさい上に足を引っ張りまくり、頭も悪そうなヒロイン(と呼びたくもない)は一体何なのか。はっきりいってひどい内容です。 [ブルーレイ(字幕)] 2点(2021-03-18 00:46:10) |
439. バッファロー'66
《ネタバレ》 “Moonchild”で踊ってしまうという発想にもびっくりしたが、トップレスバーのBGMに“Heart Of The Sunrise”を使うのはやめてくれよな。しかし、エンディングテーマが“Sweetness”というのはセンスが良い。●再見して、実は朝から深夜までの一日の出来事だったという様式美に気づいたので+1点。 [映画館(字幕)] 6点(2021-03-14 21:02:10) |
440. 禁断の惑星
《ネタバレ》 いや、何か、これは凄い。宇宙船にしても、博士宅にしても、最小限のセットをフルに使い回している感がありありで微笑ましいんだけど、その中で予想もしないような内容が展開されていく。何よりも、博士の人物造形と語り口がいいです。変にエキセントリックさを強調することもなく、探検隊に対しても、強気で警戒心まるだしでありながら、同時に紳士的で丁寧でもある。そしてその口から淀みなく出てくる怒濤の過去話。そう、変な再現映像とかがないが故に、言葉には説得力があるし、全員が真剣にならざるをえないのです。そしてだからこそ、ラストのあのオチが説得力を有してきます。一方で、すでに数多く指摘されているとおり、というか見た人は誰でもそう思うとおり、あのミニスカワンピお姉さんによる彩りが作品の価値を高めていることは、いうまでもありません。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-03-11 00:19:28)(良:1票) |