521. 拳銃王
《ネタバレ》 わずか80分強の尺とは思えないくらい、序盤から中盤まで、次々にいろんな設定と登場人物が降りかかってきて、しかもそれが最小限の描写で的確に整理されている。この洗練ぶりには驚きです。後半は「制限時間」が大きくのしかかってきて、まるで真昼の決闘のような雰囲気が漂ってきますが、こっちの方が先立ったんですね~。もう後はみんなが一点に集中して爆発する手前、というタイミングになっても(留置場のオッサンだけはほったらかしですが・・・)、主人公を変化させる農場の青年が現れたり、ラストの伏線になっている保安官との会話がずっしり挿入されたりと、手抜きがないどころか、さらに脚本の冴えが際立っています。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-13 00:26:52) |
522. ボビー
グランドホテル内でグランドホテル型の映画か、と思っていたら、何と本当にただのグランドホテル型の作品でした。頑張っていろんな役者を集めてきたはいいけど、全然使いこなされていない。相互の絡みもないから、設定や登場の必然性もない。つまり、役者はただ集められてその場にいたというだけです。よって、最後の衝撃(的なはずの)シーンも、生きてきません。 [DVD(字幕)] 4点(2020-09-10 01:00:34) |
523. ニクソン
まあとにかく、アンソニー・ホプキンスが物真似演技しかさせられていなくて、彼の本領発揮には全然至っていない。ジョアン・アレンも、ピリピリ怒っているシーンばかりで、珍しく魅力なし。また、全体のつくりかたとしても、各シーンがやたら細切れな上に、得意気に差し込まれるリアル記録映像(またはそれに似せた映像)が邪魔でしかなく、そして意識して入れているっぽい斜めカメラのアングルのショットが、さらに邪魔。これと対置されるはずのJFKでは3時間以上を一気に見せ切ったストーン監督も、さすがにそれをもう一度とはいきませんでしたね。 [DVD(字幕)] 4点(2020-09-09 01:27:31) |
524. ザ・ウォッチャー
殺人鬼系でこれほど怖くもなければスリリングでもないのも珍しいような・・・。 [DVD(字幕)] 2点(2020-09-04 00:37:46) |
525. デュラン・デュラン:アンステージド
《ネタバレ》 デュランというバンドは、90年代中盤くらいの時点ですでに、「何とまだ頑張って活動してます!」みたいな捉えられ方をしていたのです。そこから20年経ってもまだ健在です。彼らもまた「怪物」の1つです。●というわけで勇んで見てしまうわけですが、見た人は誰でも10秒で分かるとおり、デヴィッド・リンチがグシャグシャにかぶせて崩しまくった特殊映像があまりにも酷すぎる。メンバーのステージの姿を邪魔しまくっている上に、それ自体に何の表現の意味があるのかも分からないという、最悪の手法。●そんなわけで映像面では躊躇なく0点なのですが、"Planet Earth"とか"Notorious"とか"Hungry Like The Wolf"とかが炸裂してしまうとつい体が反応してしまうので、点数はその辺に対して。他方で、セットリスト全体はむしろ近時の曲中心であり、懐メロヒットパレードになっていないところも良い。●個々のメンバーで見ると、サイモンはすっかり熊親父になってしまったのに、一声発すれば昔のとおりのチャラチャラ声(褒め言葉)なのは偉い。ジョンは渋いミドルになりましたねー、かつて一番嬌声を浴びていたのはこの人なのですが。ロジャーはほぼ違和感がないのですが、昔から老け顔だったのかな。そして「元祖男性版クール・ビューティー」のニック・ローズは、顔に皺は刻みつけられても、やはりキザ道を貫いておられます。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2020-09-02 01:54:46) |
526. 127時間
《ネタバレ》 亀裂の底で腕を岩に挟まれて身動きができなくなりました、さあどうしましょう、という設定なので、場面も限られれば、カメラワークなどはもっと限られる。それをどうするのかだけでも大変なのですが、さすがダニー・ボイル、進行もカメラもあれこれ手を変え品を変えて、きちんと作品として成り立たせていますね。回想や幻覚の織り交ぜ方、ハンディカム映像や(たまに入る)外側の風景など、技術面では水際立っています。一方で、話の性質上、助かって終わり、にはなってしまい、それ以上の発展の余地に乏しいので、結局はエピソードを見せられただけ、という気もしなくはないですが。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-09-01 00:58:14) |
527. ポリス/インサイド・アウト
これは、メンバーのスチュアート・コープランドが、自身のプライベート・カメラで撮った映像の集積なのです。よって、画質は最悪レベルですし、カメラワークなどということもほぼ考えられていません。しかし、特に初期の駆け出しの頃のどさ回りの映像などは、かなり貴重だったりもします。ビッグネームとなった後半では舞台が世界各地に広がり、その中で日本も出てきますが、ポリスも当時はアイドルのようにキャーキャーと追っかけられるバンドだったのですね。それと、スチュアートのナレーションが全体を体系づけているのですが、途中からは大スターとなってしまったことについて一方的にネガティブコメントばかりになっているのが、ちょっと笑えます。 [DVD(字幕)] 5点(2020-08-26 01:46:30) |
528. ウォーク・ハード ロックへの階段
《ネタバレ》 ジョン・C・ライリーがロックシンガーだって?とびっくりしたのだが、ステージ上のアクションはそれなりに様にはなっている。しかし、日常のシーンが何とも・・・。ライリー自体、どう頑張っても人の好い小父さんにしか見えないし、そもそもすべてのシーンがどこかの音楽サクセス系作品で見たようなものでしかない。しかもどのシーンもブツ切りで切り貼り感満載だし、途中でいきなり何十年も続けてスキップしたときには、これは何かのトリックなのかと思ったくらいです。まあ、何とか頑張ったビートルズのパロディシーンから窺えるように、全体が1つのパロディと解釈すれば何とか分かりますが、それならば笑いのネタが不足です。というわけで、国内では劇場未公開になってしまったのがとてもよく分かる内容でした。 [DVD(字幕)] 4点(2020-08-25 00:38:46) |
529. ザ・ローリング・ストーンズ/レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー
MCもなければ解説もない、バックステージシーンもない、ひたすらステージと客席を撮っているだけなのですが・・・一方でそのカメラは、ほとんどミックだけしか追っていない。ビル・ワイマンなんて、居るのか居ないのか分からないような扱いです。いくら動いているのがミックだけとはいえ、もうちょっとやりようはあったのではないかと。そういえば、このツアーでの前座がプリンスだったんですよね。 [DVD(字幕)] 5点(2020-08-24 02:43:01) |
530. キャットウーマン
《ネタバレ》 最大の致命傷は、肝心のキャットウーマンのアクションがちっとも格好良くないという点。猫の動きを取り入れたアクションと、猫の真似そのまんまというのとでは全然違うよ。その他の部分も工夫なさすぎで、例えば、この種の主人公が警察に疑われて逮捕されて留置場行きというごくごく一般人的なピンチを迎えるなんて、センスがありません。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2020-08-21 00:31:54)(良:1票) |
531. ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女
《ネタバレ》 何よりも呆れたのは、主人公4人組が、最後まで、自ら何かをするということがなあんにもなく、成長もなければ挑戦もないということ。子供だから武力に劣るというのは分かるが、それなら知力とか技術とかチームワークでそれをカバーすればいいのに・・・。基本的に子供向けの作品らしいのですが、子供にこんなものを見せたら、他力本願の楽な道指向ばかりが強くなって、教育上逆効果だと思います。ビーバー夫婦に2点。 [ブルーレイ(字幕)] 2点(2020-08-20 01:29:24)(良:1票) |
532. さすらいのカウボーイ
《ネタバレ》 タイトルからどんな孤高のカウボーイ戦士が登場するのかと思ったら、前半は本当にほとんどたださすらっているだけだった。しかも、その2人組の会話が、いちいち希望がなくてチマチマしているのが、逆に妙にリアルだったりする。ヒーロー的な活躍はまったくなし、そうかこの作品は71年作だったんだな。後半はかつての居宅に帰り着くのですが、何とそのまんま使用人として地道に真面目に働いている。娘との関係も、正体が分かって感動の対面、なんてことはない。最後も盛り上がると見せかけてあっさり風味。映画というよりも、一編の詩篇を見せられているような感じです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-08-19 00:18:15) |
533. ストップ・メイキング・センス
とにかくデヴィッド・バーンが格好良い。異常なほど格好良い。パフォーマンス中はあまり他のメンバーとも絡まなくて、最初から最後までひたすらナルシストなんだけど、だからこそ格好良い。これからステージに上がろうという人たちが今見ても十分勉強になる、いやむしろ必修映像だろう。あ、あともちろん、ベースを弾きながらくるくる踊るティナ・ウェイマス姉ちゃんのキュートさについては、言うまでもないですね。●再見して気づいた点。メンバーの表情からパフォーマンスから演奏まで、あくせく動かずにきっちりフレームに入れているカメラ(と照明)が凄い。複数人を射程に入れている際も、その画面構図バランスまでが美しい。特に前半。 [映画館(字幕)] 8点(2020-08-15 02:00:49) |
534. 新・ガンヒルの決斗
《ネタバレ》 汽車から登場する「お嬢ちゃん」が、それまでの(一応)スリリングな展開を根こそぎひっくり返すインパクトがあって、これでもうホノボノ系ロードムービーの路線は確定してしまうわけです。しかし一方で敵リーダーの悪辣というかむしろ陰湿ぶりの描写にも気合が入っていて、それが見事に融合していない。おまけに、「奴に手を出すな」という命令は遵守される前提なので、緊張感も高まるべくもなく、現に野営場所での対決シーンの緩さといったら・・・。なぜか都合良く登場する女主人も唐突だし、そして何といっても、あれだけ前フリをしていたラスボスとの対決がない!という衝撃のラスト!というわけで、あれやこれやが思いっきりかみ合わずに終了してしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-08-15 01:56:11) |
535. アリー/スター誕生
ポイントとなるべきいくつもの場面について、引っ張るべきところを引っ張らずに、ただ「そのシーンを撮りました」というだけのブツ切りで次へ行ってしまう。つまり、ストーリーを再現するだけで手一杯になっています。したがって、物語として面白い部分がありません。歌のシーンで何とかなっているだけです。それと、時代設定はいつということになっているのかがまったく分からないのですが・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2020-08-13 01:15:12) |
536. 女王陛下のお気に入り
これほどまでに「ドロドロ」という単語が似合う映画も珍しい。導入部の主役はレイチェル・ワイズ、いやー本当に生き生きと(しかもやりすぎずに)芝居をしてます。この人がこの種の敵役なら、それだけで品質が保証されたようなもの。「ナイロビの蜂」「アレクサンドリア」と並ぶこの人の演技代表作ではないでしょうか。一方で成り上がり役のエマ・ストーンも、随所でやり過ぎたり逆にふわっと怯えたりして、単なるサクセスストーリーではない脚本をきちんと体現しています。で、この2人を抑えてオリヴィア・コールマンがオスカー?と最初は不思議だったのですが、中盤以降、地響きがせり上がってくるような存在感でした。技巧に頼らない、存在と振る舞いの演技。唸らされました。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-08-12 01:27:37) |
537. 頭上の敵機
《ネタバレ》 この設定だったら、さぞや華麗な空中銃撃戦が・・・と思っていたら、いつまで経っても空のシーンは出てこない。代わりにあるのは、説教だとか叱責だとか議論だとか、そういう地味なシーンばかり。まあ、軽薄にそれっぽい派手な映像を入れられるよりはましですが・・・。終盤には主人公が崩壊していくという展開になって、これはこれで斬新で冒険的なのですが、今日の作品だったらこここそをまさに強調することでしょう。その意味では物足りませんでした。あと、この内容にしては尺も長すぎるような。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-08-11 02:00:49) |
538. ナイルの宝石
最初から最後までわーわー大騒ぎしているだけで、前後のつながりすらまともに考えられていません。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2020-08-05 00:12:34) |
539. プラトーン
最初に見たときからずっと違和感があったのが・・・最近やっと分かりました。つまり、地道な戦闘をひたすら描き続けるというアプローチの方針は分かるのですが、戦いの全体像がさっぱり見えず、一方でバーンズとエリアスの対立軸は分かりやすくくっきりしているため、結局物語がその限度に収斂しているのです。よって、いくらジャングルの苦難の戦が続いていても、それを撮っただけで終わってしまっています。なのに何で当時の世評が高かったのかというと、誰も活躍しないというアンチヒロイズムが斬新に感じられたから、じゃなかったのかな。 [映画館(字幕)] 4点(2020-08-03 23:44:24)(良:1票) |
540. 戦場(1949)
冒頭で10人くらいの隊員が集まってきて、この人たちが主役ですよ~という雰囲気で始まるのですが、その個性が描き分けられていないため、せっかく登場人物を設けた意味がないのです。その後はあれこれ戦闘に巻き込まれていきますが、制作側の視線が目の前のことだけで、なぜそうなっているのかの作り込みが不足しているため、結局迫力もリアリティも欠けることになっています。そしてそのまま最後まで、とにかく戦っているだけで終わってしまいました。まあ、そう考えると、原題と邦題は間違っていない、ということはいえますが。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-07-31 01:44:26) |