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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別 男性

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561.  フューリー(1978) 《ネタバレ》 
「今度はクローネンバーグのパクリすか?」と思ったら、デパルマ先生の方が元祖だったようだ。人体爆発するシーンの前から作風がかなりクローネンバーグ(「スキャナーズ」「デッドゾーン」)に似ているなと思っていたけど、単にジャンルが似ていて、製作年が近く同種の古臭さを感じただけなのだろうか。まさか、クローネンバーグがパクるはずないしな。 映画自体は全く面白くないけど、デパルマらしさは随所に現れている。カメラワークは相変わらず流石だし、ロビンの最初の転落事故を再現するシーン(ギリアンと施設所長のやり取りの際に描かれる)の工夫には驚かされる。また、あのスローモーションの使い方は、今観ても、とても新鮮に感じた。デパルマの作品は、どの映画を観ても、必ず驚くべき演出がされている。もっと世間的に評価されてもよい監督だと思う。 しかし、本作のストーリーにどうしても入り込めないという印象を受けた。「デッドゾーン」もあまり好きではないけど、超能力者の悲哀だったら、まだ「デッドゾーン」の方がよかった。 友人に裏切られ息子を奪われ、息子を必死に探し続ける父親の姿も、観客を感動させるような流れになっていない。ラストでは、息子を救いたくても救えず、息子を救えなかったことへの後悔と、周囲を敵に囲まれ「もはやこれまでか」と感じたことから、父が息子の後を追って、身を投げるという悲劇的な展開なのに、ほとんど何も感じられないのは何かが足りないのだろう。 息子の方は、確かに空中浮遊はできるけど、あの落下事故は自殺に近いようなものではないだろうか。自己の能力を用いて、遊び感覚でアラブ系を抹殺し、監視役の女性も悲惨な方法で惨殺してしまい、もう自分が戻れないところまで来てしまったと感じたのではないか。だから父親が助けにきたとしても、父親にすがることもできず、父親を拒絶するしか、なす術がなかった。息子ロビンの気持ちは多少は理解できるかな。しかし、あの棒高跳びが、空中浮遊の伏線になっていたとは、夢にも思わなかった。
[DVD(字幕)] 4点(2006-10-14 23:48:07)
562.  記憶の棘
ミュージックビデオ界出身の新鋭監督の作品、二コールキッドマン主演、10歳の少年とニコールキッドマンの議論を呼んだシーンなどの関心事項があったため鑑賞したものの、はっきりいってストーリーはまるで面白くはない。 新鋭監督といっても、画像そのものにあまり目新しさはなかった。彼が多用したのは、俳優の表情をクローズアップで長時間撮るところ。 俳優に対してセリフではなく、「表情」で内面を語らせるようにさせている。しかし、ニコールキッドマンは、努力はしているものの、表情では上手く語れないようだ。ジョゼフ役を演じたダニーヒューストンという役者の方が数段上だった。 <以下ネタバレ>あの少年の気持ちは、少しは理解できると思う。 彼自身、自分がショーンの生まれ変わりだと信じたかったのだろう。父の仕事の都合で付き添った高級アパートメントでたまたま見かけたアナを密かに愛し、アナもショーンという10年前に死んだ夫を深く愛していることを手紙で知ったときに、彼の頭の中で何かが弾けとんだのではないか。自分がひょっとしたら、夫ショーンの生まれ変わりかもしれないと。だから、死んだショーンがアナのことを真剣に愛していないと知ったときに、真剣にアナを愛している自分はショーンの生まれ変わりではないとはっきり気付いたのだろう。 アナを真剣に愛しているからこそ、アナを裏切ることもできず、アナを真剣に愛しているからこそ、夫ショーンの生まれ変わりとして愛されることは望まない。 アナを真剣に愛していないショーンの生まれ変わりであると、アナから思われることは、自分にとって屈辱以外の何物でもなかったのだろう。 自分は、ただのガキだと知れば、いくら真剣に愛していようと関係はない。ただ彼女の前から立ち去る以外にすることはない。 アナもショーン少年を忘れて、ジョゼフと結婚しようと思うが、彼女は混乱するしかない。自分は、夫のショーンを愛していたのか、それともショーン少年を愛してしまったのか。夫への愛は本当のものだったのか。それともただの「幻」にすぎなかったのか。記憶や思い出は、どこかで美化されて、都合よく解釈されて、時間がたっても抜けない棘となって、心のどこかをチクチクと刺し続けるものだ。 この邦題は、映画の本質・奥深いところを捉えた、なかなかよいものではないだろうか。観客に対して、映画の解釈の手助けにもなるものだろう。
[映画館(字幕)] 4点(2006-10-02 22:27:49)
563.  イルマーレ(2006) 《ネタバレ》 
オリジナル版は随分前に観たので詳細は覚えていないが、結構よかったということだけは覚えていた。リメイクが創られると聞いて、ハリウッドもなかなか目の付け所はいいなと思い、しかも、キアヌとサンドラの二人が共演と聞けば、いっそう期待は高まる。しかし、リメイク作の肝心の出来栄えは、何かが足りなさ過ぎて、相当イマイチである。 まず、演出家に問題があったように思われる。全体的にかなり薄っぺらく、安っぽくなった仕上がりとなっている。「風邪に気をつけてください」と言って、直後にくしゃみをさせるなんて今日日、小学生でもやらない演出ではないか。 「時間」という障害に阻まれたラブストーリーというネタ自体は面白いのだけれども、このネタを上手く活かすことができておらず、ラブストーリーのよさも感動もなにも感じられない。 オリジナルを覚えていないけれども、この二人はしょっちゅう逢っているという印象がする。あまり障壁が感じられず、愛し合う二人が、運命の悪戯からか、なかなか会うことができない、もどかしさのようなものは感じられない。 人物の掘り下げ方も中途半端な印象だ。キアヌは父親との確執に悩む建築士、サンドラは医者という激務に対して、やりがいや意義を感じながらも、「このままでよいのか?」と人生に悩む女性である。父親の作品集を送り、キアヌが抱えた苦痛を取り除いてやるというのは、感動的な場面なのだが、演出が感動的ではないので、感動できない。 逆に、サンドラのキーとなる本「説得」も、ドラマティックで効果的な使われ方をされただろうか。自分にはそうは感じなかった。このアイテムがサンドラの気持ちを大いに揺さぶるとともに、観客の気持ちを揺さぶったとは思えない。 結局、二人の気持ちに対して上手く感情移入できない創りになっているので、ラストのクライマックスでも、やはり何も感じられなくなっている。「想い続けて待ち続けること」の素晴らしさが描かれていないのが残念である。
[映画館(字幕)] 4点(2006-10-02 21:57:26)(良:1票)
564.  おいしい生活 《ネタバレ》 
アイディアやテーマなどは面白いけれども、その素材の良さを活かさずに、全く面白く調理されていない作品。 捻りもなく、唸らされる深さもなく、アレン監督作としては物足りなく、彼の作品群の中で悪い部類に入るのではないか。 面白くない理由として、まず、テンポが悪すぎると思う。 動きのある銀行強盗ネタを開始30分ほどで早々に切り上げてしまったため、後半が完全に間延びしてしまっている。 銀行強盗は、本作のテーマとはあまり関係ないただの導入部分に過ぎないのかもしれないが、もう少しクッキー屋が繁盛するのと共に、銀行強盗が上手くいかない様子を対照的にじっくりと描いた方がコメディ作品としては動きが出て面白かっただろう。かなり端折ってしまったために、ようやくトンネルを掘り進めたのに、その先には…という面白さが感じられない。繁盛しているクッキー屋なのに、とんでもない音がしたり(クッキーを焼いている音とか誤魔化しているシーンはあったけど)、泥だらけのアレンが場違いなセリフを言って笑わせたりと、もっと展開を広げられそうだった。 また、中盤部分は、もっと金持ち成金主義を皮肉を込めて、さらに毒気を強めて描いた方が良かったのではないか。おぞましいほどのセンスのなさ、組み合わせの悪さ、教養のなさをもっとコミカルに描いた方が面白い。こういう場面では、甚だしいまでの勘違いっぷりを描かないと引き締まらないだろう。あの程度では全然生ぬるく、手ぬるいと思う。 そして、肝心の「お金ではなく、本当の幸せとは何か」ということにお互いが気づくまでの過程がイマイチすぎないか。 お金では品格もセンスも愛も買えない。でも、お金がなくても幸せな生活というのがあるんだよという強いメッセージが伝わってこなかった。 せっかくいいテーマだけにもったいない。オチは悪くはないとは思うが、そこに至るまでの過程がきちんと描ききれていないので、観客にはあまりピンと来ないと思う。 やはり、アレン作品としては、ストーリーに深みがなく、脇役もあまり活きていない。脚本も含めて、ちょっと手抜き作品に感じる。
[DVD(字幕)] 4点(2006-08-17 22:18:33)
565.  スーパーマンII/冒険篇 《ネタバレ》 
ライバル設定は面白いけど、結末がすっきりしなかった。 当時の技術では映像化できなかったのかもしれないけど、もう少しちゃんとしたバトルを展開させないと、このせっかくの設定がもったいないだろう。これだと、スーパーマンはただの騙まし討ちで勝ったとしか思えず、結局あまり強くはないんだなとしか感じない。そして、ゾッド将軍とデカイ無口な男は事故のような形で死んでいったが、チカラを失ったもう一人の女性をロイスがぶん殴って奈落の底に叩き込むというのは、ただの殺人であり、興ざめもいいところだ。ロイスはスーパーマンの正体を明らかにしたいがために川に飛び込んだり、エッフェル塔に登ったり、勝手に悩んで一睡もできずに泣き崩れたりと、やることの度を越えている。そりゃあ、記憶を消されて、次作で別の女性に走られても文句はいえないよね。 ラストであの例のレストランに戻るのは面白いが、チカラがなければ何もできないという描き方は最低だ。 いったい、彼が一旦「人間」になって何を学んだのかがまるで見えてこない。暴力と金だけで解決するというのが、彼が「人間」になって学んだことなのか。 チカラを失って初めて、チカラを誇示したり、暴力だけで全てが解決できるわけではないということに気づいて欲しかった。 例え、チカラが戻ったとしても、チカラで対抗するのではなく、大男に殴られても殴られても、こちらからは一切手を出さない。相手に対して暴力を振るっても意味がないことを諭す必要があったのではないか。そして、殴られても殴られても倒れない彼の姿を周囲の人々に見せつけて、彼らを奮い立たせることによって、暴力という手段を取らずに大男に謝罪させ改心させるということも必要だったのではないか。あれでは、大男はまたあのレストランに来て、これまで以上にひどいことをするだろう。 「せっかく修理したのに」と叫ぶ店の主人をよそに、私怨込みでボコボコにし、店内を必要以上にメチャクチャにした挙句、金を放り投げて立ち去る姿にヒーローの資格はあるのだろうか。
[DVD(字幕)] 4点(2006-07-31 23:21:06)(良:1票)
566.  ザ・メキシカン 《ネタバレ》 
脚本自体は面白いと思う。伝説の銃を巡り、様々な欲望・思惑が絡み合いながら、主演の二人が別れて旅する二つのロードムービーというのは珍しい作りだ。 主演の二人はちょっとオーバーアクト気味であったがビッグネームであり存在感がある。他の共演陣もそれほど悪くなかったと思われる。 それにもかかわらず、この映画はまったく面白くないと感じられない。どうしてこの設定で、ここまで面白くない映画になるのかを考えると、まず演出のリズムのテンポが悪いからではないか。全体的にダラダラとした印象を受けた。ストーリーを踏まえると、この映画はもっとこきみよいテンポかつスリリングにみせた方がよかった。 そして、監督があまりテーマを意識してないようにも思えた。この映画のテーマは、「愛し合っている二人が上手くいかないとき、本当の終わりはいつ来るのか」というものである。 こういうテーマを意識しない創りのために、スパイスがなく締まりが悪い、ダラっとした印象を受けるのかもしれない。 観客は本作を鑑賞して、主役の二人がこの事件を経験して、二人の関係やお互いに対する意識が何か変わったと感じただろうか。主演の二人がパートナーと離れて一人になったときに、失って初めて気づく大切な存在、失って初めて気づく喪失感がまるで感じられない。メキシカンという銃も愛し合っている二人が引き離されそうになった際の愛の結晶ではなかったか。そういう設定や今の二人と昔の二人のストーリーが上手くリンクしていない。 また、せっかく主演二人が別れて旅をしているという面白い設定が全く活かされていない。この二人は果たして再会できるのかというドキドキ感も感じられないのは勿体無さすぎないか。ラストも驚くほど悪すぎる。ブラピがジュリアに対して、銃を撃つなと言っているにもかかわらず、構わず銃を撃つジュリア。たしか、プラピに対してジュリアは利己的だという点に対して怒りを覚えていたような気がしたが、あの行為のジュリアは利己的ではないのか。途中でも触れたが、やっぱりこの二人は何も変わっていないように思える。普通ならば、ラストはお互いの二人の絆を確かめ合えるような展開を用意するのが常道ではないだろうか。
[DVD(字幕)] 4点(2006-07-18 00:06:34)
567.  パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト 《ネタバレ》 
ラスト1分間だけは面白いが、残りの2時間余りは面白くもつまらなくもない可も不可もない映画。一言でいえば、冒険映画だけれども全く冒険しない無難な仕上りとなっている(既存の映画のごった煮的な作り)。 問題はディズニーとかブラッカイマーではなく、監督のゴアヴァービンスキーでしょう。彼の作品は何本か観たけどリズムやテンポが致命的に悪すぎるし、盛り上げ方や緊張感の出し方など全く考えていないような気もしてしまう。まだ、マイケルベイの方が数倍マシではないか。いいドル箱シリーズだけに他の監督の演出だったら、もっといい作品になっただろうと悔やまれてしかたない。 監督の演出だけが悪いとは言えないにしても、今回は悪役も含めてそれぞれのキャラクターが全く輝きを欠いている。ジャックスパロウも今回も頑張っていたけど、前回よりもやや存在感を欠いた印象。前回のようなサプライズアカデミーノミネートは今回はないだろう。 ウィルターナーは今回は主役ともいっていいはずなのに、ビックリするくらい全く存在感が感じられない。むしろノリントンの方が存在感あったような気がした。 エリザベスは今回最重要の役柄だったけど、あまり苦悩というか、行動の理由付けが感じられなかった。伏線は張ってあるので脚本は問題ないはず。 <ネタバレ注意>演出の何が問題なのか具体例をあげると、ターナー親子がデイビージョーンズと賭けをする際のやり取りなどは、自分の命を賭けているのだから最大に盛りあがってしかるべきである。しかし、緊張感も感じられず、「この三人さっきから何やってんだ」っていう風にしか自分には見えなかった。ただ単に鍵の在りかを探るだけにせよ、その後も鍵の強奪も簡単に事が運びすぎる。「これで観客がドキドキするだろうか」と観客を意識して本気で創っているのかと疑いたくなる。ただ単に脚本をスケジュール通りに撮っているだけじゃないか。 また、最大のラストのエリザベスとジャックスパロウのやり取りも淡々としすぎている。これはキーラの演技もやや足りないと感じたが、あまり観客に訴えてくるものがなさすぎる。あのシーンには色々な感情(キーラのジャックとウィル両者への想いなど)が混ざり合ってしかるべきだ。  脚本の問題としては、宝箱の中身は大した事ないけどラストまで明かすべきではなかっただろう。途中で明かさなければ、観客の緊張感がちょっとは違ってくるはず。
[映画館(字幕)] 4点(2006-07-16 16:39:50)(良:3票)
568.  サスペクト・ゼロ 《ネタバレ》 
前々からネタが面白そうだなと気になっていたけど、ようやく見たもののどうもネタの面白さを活かしきっていない気がする。 まず、透視能力者の苦悩というあまり共感できないテーマを前面に押し出すのはいかがなものか。 やはり、FBIが透視能力者を追い、透視能力者が連続殺人犯を追うという二重の構図を活かしてスリリングかつ新タイプのサスペンスを創りあげた方が良かったのではないか。 そして事件の裏に透視能力者の苦悩や、連続殺人犯を殺す深い動機みたいなものが感じられるようにした方が万人受けしそうな気がする。 キャラクターを見ると、キングスレーの役柄はほとんど理解できるのだけれども、エッカートとモスの役柄がイマイチ中途半端に思える。 エッカートの過去の失態や透視能力の有無などが本編のストーリーに上手く活かされていないのではないか。 むしろ、エッカートは透視能力者の資質を備えた者という描き方をせずに、FBIのプロのプロファイリングという設定にして、プロファイリングvs透視能力者という構造にした方がより万人受けしたかもしれない。
[DVD(字幕)] 4点(2006-07-09 23:35:04)
569.  アイス・ストーム 《ネタバレ》 
面白くもなんともない映画、正直嫌いなタイプの映画である。だけど、演出は凄いかもしれない。この映画でいう「虚空」というか「負の地帯」に陥った「家族」を見事に描ききっている。普通にどこにでもありそうな家族で、言い争いをするわけでもなく、何かが決定的におかしくなっているわけでもない(夫婦仲に問題があるわけではないからセラピーも止めたと言っている)けど、どこか間違っていると感じられる微妙な空気感、違和感を「冷たい風景」と併せて感じさせている。映画化するには難しい脚本をここまで演出できるのは素晴らしい。さすがアンリーだ。 しかし、正直言って①この映画って結局何が言いたいの?②マイキー(イライジャウッド)をなぜ殺す必要があったのか?③ポール(トビーマグワイア)ってこの映画に必要なのか?について疑問に思った。 自分なりにこれらについて考えてみたところ、①については、「家族」について描いた作品であるのは誰でも分かることであるが、ポールがいうように「家族」というものは「反物質」なんだろうと思う。家族という一つの「核」の中で互いに反発しあうけれども、人間というのは「家族」という「核」がなければ反発する力を失い活動することができないものなのではないか。反物質でありながら離れたくても離れられないという矛盾を抱えた存在が家族なのではないか。だから、どんなに腹がたって旦那を裏切りたくてもエレナ(ジョアンアレン)はベン(ケヴィンクライン)を見捨てることはできずに、ベンがいるトイレに戻っていったし、ポールは好きな女の子を置き去りにして家族の元へと帰っていった。人はやはり一人では生きられない(ジェイニー(シガニーウィバー)がラスト間際で一人くるまって眠る姿・表情には孤独を感じずにはいられない)。皆心のどこかでは何か家族の温もりのようなものを求めているのではないかということを言いたいのではないか。 ②マイキーを殺す必要については、どんなに離れたくても離れられないものが家族であるが、簡単に家族から離れることができる方法が「死」である。その「死」は突然に警告もなく訪れるもの。ベンがラストで車で涙したのも、マイキーの死を目の当たりにして単に「家族四人で居られることへの喜び」からくるものであったと思う。②で喪失感を描き、③ポールの帰還を描くことで、家族が無事にいられることの感謝を伝えたいのでないか。
[ビデオ(字幕)] 4点(2006-03-29 01:19:14)
570.  フライトプラン 《ネタバレ》 
演技や演出等については悪くはないけど、観終わった直後の感想は「なんだかなぁ」という一言にしかでてこない。とにかくこのプランは稚拙以外の何物でもない。 【以下完全ネタバレ】①離陸してフォスターはすぐに後ろの座席に移動して寝たが、もし後ろの座席に移動しなかったら、この計画は実行できたのだろうか。移動せずに窓際に娘を座らせて、横に母親が寝ていたら、とても連れ出すことは不可能。なぜ客室乗務員が共犯にいるのに、あんな真ん中の席にあの親子を配置させたのかが理解に苦しむ。親子連れの先入れを利用して、奥の目立たない席でかつ娘を連れ出しやすい席に配置させる位のことは必要だろう。結果論としてうるさい子どもの陰に隠れてジュリアが目立たなかったことが幸いしただけで、普通ならばあんな母親似の小さい可愛い子どもには誰か気づくはず(飛行機に32以上の子どもが乗っていたとして)で完全犯罪にはほど遠い。 ②フォスターのバックグラウンドが描かれていないのでよく分からないが、旅行中でもなさそうなフォスターの旦那を殺せば、なぜアメリカに棺で戻るということが事前に分かるのかが不明。共犯に安置室関係者がいるのならば、旦那を殺す必要はなくただ事故死の情報を貰えばよいのではないか。そもそも航空保安官や客室乗務員がいるのに、わざわざ棺を利用する必要があるのだろうか。そんなにチェックが厳しいのか。そもそもフォスターが棺を開けっぱにしなかったら、この計画はお終い。 ③娘がいたところに確か男と女が調べに来たはずだが、仮に共犯が調べに来ていたのならば少しは納得できるが、あんな目立つところに娘をおいておく神経がよく分からない。娘が見つかったらこの計画は全てお終いなのに。 ④正当防衛とはいえ人一人殺した上に、三人に対して殴りかかり、飛行機内をメチャクチャにして乗客400名以上を恐怖のどん底に叩きこんだフォスターの行動には引くのに最後の感動ストーリーはないだろう。アラブ人可哀相すぎ。 ⑤フォスターをハイジャック犯にしたてた後に爆弾で殺したとしても、その後、口座から金を引き出した瞬間逮捕されるのがオチ。 〇消えた子どものネタはいいネタなんだが、「フォーゴットン」といい、この映画といい使い方が間違っている。最初は「シックスセンス」の方式で攻めて、ラストにとんでもない大どんでん返しが待っているようにしないと観客は納得しないだろう。 
[映画館(字幕)] 4点(2006-01-29 01:00:52)(良:3票)
571.  コレリ大尉のマンドリン
テーマは深そうだけど、映画自体は正直言って全くつまらないものに仕上っている。 全体としてみると散漫かつ説明不足ではないだろうか。このテーマならば、もっとペネロペとニコラスの関係は深めに描かないといけないと思う。この内容では親父さんの言う「恋と愛」の違いを具現化したものにはなっていないのではないか。もっと「音楽」を絡めて二人の関係が「愛」に高まるまでを描くべきだろう。 この映画を観る限り最終的には、むしろニコラスの関係が「恋」で、クリスチャンベールの関係を「愛」として描いてもよかったのかもしれない。それだけペネロペとニコラスの二人の関係は希薄なものと感じたし、ベールには真実の愛に気づいたという流れと感じた。 また、ベール自身や、ドイツ人大尉とニコラス、かばって死んだ軍人とニコラスとの関係があまり見えてこないので、やはり物足りないと感じた。 しかしながら、戦争の中で「音楽」や「愛」を描いており、あの陽気な世界には「争い」とは真逆の想いが感じられる。充分「反戦」に対する気持ちが伝わってくるが、やはりこれでは何もかも描き方が不充分すぎると思う。 映画自体は全く異なるが、「パールハーバー」と似たり寄ったりといっても言いすぎではないだろう。むしろ、あちらはアクションが優れているので、まだ見れる気もする。
[DVD(字幕)] 4点(2006-01-10 00:02:20)
572.  キングコング(1976)
ジェシカのお色気路線にまず引く。 そして、コングがあらゆる点において、あまりにも人間的過ぎる点でかなり引く。 さらに、コングが可哀相な存在だとしても、ジェフとジェシカのコングに対するあまりにも感情移入しすぎる点も引く。 やはりコングは猛獣だからこそキングコングなのであって、コングが本能のまま行動している感じがせず、人間的な感情をもっているようには描くべきではないだろう。 ラストのジェフの行動だけは男としてそこそこ評価はできるが、オリジナルに比し何もかも劣っていると言わざるを得ない。
[DVD(字幕)] 4点(2005-12-12 01:23:28)
573.  デッドゾーン
悪い映画ではなかったけど、それほどいい映画だろうか。 ラストについても、訳の分からん政治家のためというよりも、ストレートに元恋人のために自分の身を犠牲にした方がよりよかったかもしれない。 それにしても、ストーリーと演出がどうもたんたんとし過ぎている感じもする(それがよいのかもしれないが)。子どもを救う等のために超能力を使い、超能力を使う度に好きな人と離れなくてはならないという孤独をもっと描いてほしかった。あの医者のおっさんに聞くというよりも、ラストももうちょっとウォーケンに苦悩が必要か。
[ビデオ(字幕)] 4点(2005-11-23 23:46:24)
574.  エリザベスタウン 《ネタバレ》 
どん底に落ちた人生からの再生というのはなかなかよいテーマだったが、映画自体は監督が個人的な趣味で創っているような感じだった。やや観客を置き去りしているように思えるので、日米でコケたのはやむを得ないかもしれない。 また、終始滑り気味な笑い(60Bを行き過ぎて一人怒り狂うドリュー、サムソン等)と、センスはよいのだろうが映像よりも主張し、目立ってしまっている音楽(ムーンリバーやクルマでの旅行の際の音楽はよい)も多少難点だ。 また、人生の再生という主題に対してやや焦点がぼやけてしまっている感が否めない。確かに人生の再生を一つの事柄で表すのは難しいのは分かるが。 父の死を乗り越えようと料理やタップダンス等に精を出しつつ、悲しみに浸るよりもユーモアを忘れない母のスーザンサランドンや、昔の恋人?を忘れられなく、ドリューと同様にどん底にいながら健気に頑張るクレアなどがドリューに与えた影響が多少分かりづらいような気がする。 また、父の遺灰と共に(本当は生きている父と行きたかった)旅行にでて、心が癒されていく様もちょっと端折り過ぎではないか。本当の意味で一人になって自分を見つめ直す旅行であるはずなのだから。前半と中盤にやや無意味に時間を要されたのも痛い。 肝心のクレアとの関係の描き方も「恋人までの距離」のジェシーとセリーヌを見ているようで中々良かったとは思うが、一番中途半端な感じになったような気もする。もっと描くか、もっと描かないかのどちらかではないか。二人のやり取りは電話だけにして、最後に再会するという流れでもよい。 しかし、近くに居た人は泣いていたような感じだったし、終了後に一人か二人ぐらいが拍手していたのでよいと感じる人もいるようだ。
[映画館(字幕)] 4点(2005-11-21 01:15:42)
575.  ドミノ(2005) 《ネタバレ》 
アメリカでは完全に黙殺されてしまった本作だが、トニースコット監督は才能があり、もっと評価されてもよい監督の一人だと思っており、自分は密かに注目していた。公開前に亡くなってしまったが実在した女バウンティハンターの生涯を描くというのも面白そうな題材だ。また、キーラナイトレーも今後主演女優として一本立ちできるかどうか重要な作品となった。 本作での(無駄に)凝った映像、(無駄に切り刻んだ)ストーリーの組み立て方などは個人的には彼の演出は評価したい。 しかし、実在した人物を描いた映画としては、全く評価できる部分はない、ひどいものであった。 いったいどういうつもりなのかは分からないが、アフガンとか、病気の少女(あのボスは30万ドルもないの)とか、後半の展開は「ひょっとしてそれはギャグでやっているのか」というストーリー。タランティーノやトニーの過去の作品に類似するストーリーにはただただ唖然とするばかりであった。 なぜ実在の人間を題材としながら、このような捏造されたでっち上げたストーリーを描いてしまうのか理解に苦しむ。この内容ならば「based on true story(たぶん)」とするよりも「inspired」程度に留めて、登場人物も別名でやるべきだろう。ドミノという冠が付いているがために、あまり本人と離れした映画にもできずどっちつかずの訳の分からない映画になってしまっている。実在の人物を描くという足枷が本作をダメなものとしてしまっているのではないか。この内容ならば当然アメリカから黙殺されてもやむを得ないだろう。 さらに付け加えると、本作はドミノという人物が全く描けていない。彼女が何を思い、何に苦しんで、何を得たのかというものが全く見えない。マザーに向かって「Ilove you」と言ってもなんだか全くわからない。「そういう映画だったっけ?」と自問したくなる。実在の女性を描くのならば、シャーリズセロン主演の「モンスター」ような映画にするつもりはなかったのだろうか。ないとすれば、架空の女バウンティハンターの映画を作ればよいのであってアプローチを間違えているとしかいいようがない。 また、キーラのイメージビデオとして見ればどうかと思ったが、主役の割には焦点がぼやけまくってこれも上手くいっていない。キーラ自身は頑張っていたが、この役には合っていないようだ。無理をして貧乳をさらすよりも自分にあった役を選ぶべきではなかったか。
[映画館(字幕)] 4点(2005-11-05 23:52:15)
576.  コクーン
自分はまだ若いので、この「老い」というテーマを身近に感じられるわけではない。恐らく70、80歳になって、ようやく「老い」に対する自分なりの答えを出せるかもしれないが、現在の年齢でこの映画を観て、この映画に対する自分なりの'甘い'感想を述べたい。 他の人も言っているように銀河鉄道的発想でもあるが、人生や時間というのは限りがあるから、素晴らしいのではないかという根本的な発想が自分にはある。例え、永遠に生きられるとすれば、何もかも後回しになり、逆に何もしたくなくなるような気がする。 また、いかに自分の人生に満足できるように過ごせるかは、'若さ'というフィジカルな問題ではなく、時間や人生に対する考え方に問題にあるのではないか。それを'永遠の命'に回答を求めたところに、思想というか哲学の違いがある。 この映画を観て、老人たちが結局宇宙に行ってしまったのは、個人的には残念に思った。それが果たして本当の幸せを掴む方法なのかと疑問に思った。自分に残された人生を、娘や孫たちと過ごす数年と、娘や孫たちがいない一生を天秤にかけて、後者を選択することが果たして本当の幸せなのだろうか。 あの宇宙人たちも初めて仲間との死別という別れを経験し、恐らく初めて流したであろう涙や初めて感じたであろう別れの悲しみから、何を学んだのかということを問いてみたい。 したがって、宇宙に行くのは、奥さんを亡くし地球への未練を亡くしたバーニー(見送りに来た老人)と、宇宙人を愛してしまい別れたくないはずの船の操縦員と思われるが、全くの真逆の展開になったのは、ある意味でここまで感覚が異なるものかと、非常に面白いと感じた。 ラスト辺りで、必至に追いかけてくる孫の姿を見て、宇宙人なり、老人たちが真の生き方に気づくという展開の方が良かったのではないか。なぜ孫が追いかけてくるシーンを描いたのか。あそこまで必至になって慕ってくれる孫がいるのになぜ宇宙に向かうのかは分からない。やはり'その時'が来ないと答えは出ないかもしれない。自分はこの映画を反面教師として、高齢化社会に伴い、老人が老人として生きがいの持てるような社会を創ることこそが必要なのではないかと考えてみた。
[DVD(字幕)] 4点(2005-08-22 22:08:49)
577.  ミッシング(2003)
映画自体は真面目に創られており、役者も子役を含めて上手い人ばかりでしっかりと演じられていると感じる。 しかし、映画ははっきり言って、面白くない映画としか言いようがない。 原作を知らないので映画化すべきか否かという根本的な問題は置いておいて、なんでこうも面白くないのかの原因を考えると「演出」と「脚本」に問題があったのではないだろうか。 「演出」の問題点は、圧倒的に緊迫感が欠如していると感じられる。 自分たちがいつ殺されるのかも分からない、リリーが無事なのかどうかも分からない、相手もよく分からないという状況下において、それぞれやけに余裕が感じられる。 極めつけは、救出後に山の頂上に陣を張っている際に、父が大切にしていた十字架を返すシーンだ。このシーンは、断絶していた父と娘が心から和解するシーンで、映画のキモでもある大切なシーンである。十字架が和解の象徴にもなっている。そういう大切なシーンだからこそ、戦闘状態という一種の緊張感とは異なる空気になっているが、どうにも相当の違和感を感じる。このシーンだけが緊張感がないと言っているのではなくて、やはり映画全体に漂う空気があまりよろしくない。もっと生きるか、死ぬかといった空気が必要ではないだろうか。 「脚本」の問題点としては、この映画は「親子の断絶と和解」が一つのテーマになっているはずである、にも関わらず論点がやや不明確になっている点が問題だ。この映画には、ジョーンズとマギー、そしてマギーとリリーという二組の親子が登場する。一方は母を捨てて突然いなくなってしまい亀裂が完全に入っている、そしてもう一方は暮らしに不満を抱き、母に対して怒りを抱えており今まさに亀裂が入りつつある。こういう二組の親子がいて、対比的に色々と面白くできそうなのに全く利用できていない。 一方の娘は父の気持ちを理解して再び愛する気持ちを取り戻し、もう一方の娘も母の気持ちを理解して再び愛する気持ちを取り戻すという二点がこの映画には必要であるが、ジョーンズとマギーの話で終わっているのが勿体無いと言える。しかも、「自分がいると家族に迷惑になる」というやや具体性に欠ける父の訳の分からない独白でしかないのも、感情移入ができない点となっている。 それにしても、アカデミー賞を取った次回作がアメリカだけでなく日本までもこれほどまで無視されようとは…。
[DVD(字幕)] 4点(2005-08-14 00:16:52)
578.  ピーウィーの大冒険
アメリカのテレビ番組で相当な人気があったというピーウィーハーマンのキャラクターを活かすために創られた映画。一般の日本人には馴染みが全くなく、時たま奇声を発する彼をすんなり受け入れるのは個人的にはかなりしんどかった。 個人的にはピーウィーのセンスとは全く合わず、笑いの対象としては真逆であり、観るのは正直苦痛だったけど、バートンワールドがあらゆる部分に浸透されている感じがしており、映画自体は意外と楽しい映画に仕上がっているという印象。 もしピーウィーを受け入れられるのなら、結構楽しめるかもしれない。 しかし、映画の中身は何もなく、すっからかんと言っていいでしょうね。ピーウィーが成長するわけでもなく(製作者はそういう趣旨を入れているかもしれないが)、ピーウィーと出会った人達がピーウィーの何かに感化されて変わるわけでもないのが惜しい気がする。もっともシモーヌはピーウィーに感化されて、フランスに旅立ったのだが、逆にこれはちょっと突飛すぎて、ストーリーが違った方向に進んだ気がした。 でも、バートンのセンスだろうか、ピーウィーとシモーヌが見た朝日がとても印象的に残っている。 それにしても、一般の日本人からはよく分からなかったのだが、バートンはテキサスの人達を馬鹿にしているのかどうなのか。その他に、見方によっては、ハリウッドを多少批判しているようにも映るが、どうなんだろうか。
[DVD(字幕)] 4点(2005-08-01 00:54:24)
579.  オープン・ウォーター 《ネタバレ》 
題材の良さを活かし切れていないかなというのが第一印象。個人的には、わざわざ映画館に足を運ぶよりも、DVDで充分かなという感じがした。 あえてなのかどうか分からないが、変なストーリーやエピソードを組み入れずに、素材をそのままの状態で召し上がれ、というのがこの監督の狙いのような気がする。 しかしながら、そういう狙いがあったとしても描くべきポイント等はきちんと描くべきだったと思う。個人的には、この題材をどのように調理するかのポイントとして①演技、②人間、③恐怖の三つがあるのではないかと思う。 ①『演技』 役者の演技をあまり非難したくないのだが、どう見ても彼らは上手くない気がする。彼らの演技では、ああいう状態に陥った際の気持ちや心の動揺など正直いって、観客には何も伝わらないのではないか。 恐らくああいう状態に陥った際の心の動きとしては、「(船がいない)一時的なパニック」→「(救助隊が来るであろう)楽観的な予測」→「(助けにこない)不安」→「(完全に海に取り残されたという)恐怖」→「(死にたくないという)パニック」→「(生きることへの)諦め」という段階を経ると思われるが、これらの心情や精神状態が演じられてはいない。 ②『人間』 ああいう極限状態になった際にどうしても出てしまうのが人間性である。本作でも「こうなったのはオマエのせいだ」と罵る場面もあるが、あれではやはり弱すぎる。 人間の汚い部分、綺麗な部分を両面見せるべきだろう。上手くやらないと「I LOVE YOU」が響かない。 そのためにも、ダイビングに行く前、彼らがどのような「夫婦」であったのかの情報を観客に上手く伝えるべきだったと思う。序盤は刺身の「つま」のような飾りではない。素材を活かす「わさび」のようなものだ。 ③『恐怖』 サメという物理的な恐怖も確かに大事だが、海に取り残されるという恐怖はむしろ精神面の恐怖(助けに来るものがいない、早く助けが来ないと溺死する、サメに襲われるのではないかと精神面でパニくる等)が重要と思われる。やはり①の演技と、物理的ではない恐怖を演出できる腕が重要になってくる。 また、肉体的な変化も描き足りないだろう。脱水症状や太陽の熱さ(曇ってはいたが)や海水の寒さは描くところだろう。そこを②の夫婦としてどう助け合い、励まし合ったのかを描くべきだろう。
[映画館(字幕)] 4点(2005-07-18 21:29:18)
580.  パール・ハーバー
鑑賞前は、観るに耐えないほど凄まじい駄作という期待感を持っていたのだが、観終った第一印象としては、怒りで手が震えるほどというものでもないかなという感じがする。0点を付けようと思っていたのに、やや期待ハズレだった。 もっとも、観終わった後に「結局何がやりたかったんだ」という印象は確かに持ったが。 史実がどうのこうのとか知識がないため自分には分からないが、ブラッカイマーとマイケルベイの映画に対して史実と違うと怒るというのは、彼らの今まで創ってきた映画を見れば、ちょっと筋が違うかなという気もする。例えが悪くて申し訳ないが、プロレスを八百長だと文句をつけるのと同じような感じがする。 史実云々よりも、この映画の最大の欠点は「長さ」ではないだろうか。決して「長い」映画を否定するつもりは全くないが、「長さ」に見合う「質」が問われるべきだろう。 この映画には残念ながら、「長さ」に見合う「質」が圧倒的に足りない。 真珠湾攻撃をテーマにしているにも関わらず、レイフとダニーとイブリンの三角関係や、レイフとダニーの友情などを描くというのは、なかなかのチャレンジャー精神が感じられ、それほど悪い設定でもないと思う。しかし、描き方が非常に甘すぎる。もっと重厚かつシリアスに彼らの関係を描くことができれば、真珠湾攻撃の悲劇との相乗効果があったのかもしれない。 残念ながら、彼らの関係が中途半端に軽い感じに描かれてしまっているため、「空虚さ」が二乗三乗され、映画が虚しく感じられるようになってしまっている。せっかく爆撃シーンがよく撮れているのに相当勿体無いと思う。そのため結局、何を伝えたいのか分からなくなってしまっている。戦争の悲劇も何も伝わらずに、単なるアメリカ万歳の映画で、普通の感覚の日本人を怒らせるだけの結果となってしまっているのではないか。 マイケルベイの映画というのは本当に難しいと思う。 看板だけ見ると「バッドボーイズ」は刑事モノと思うし、「アルマゲドン」は宇宙モノ、「パールハーバー」は戦争モノと思うのだが、中身が想像とは全く違う別モノを観させてくれる。看板と中身のギャップが、ある意味では観た人の失望に繋がっている気もする。
[DVD(字幕)] 4点(2005-07-16 19:40:24)
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