1221. ワルキューレ
《ネタバレ》 最初見たときは、予想よりもこぢんまりとまとまっているし、計画に至るまでの背景とか相手方の動きとかもあまり突っ込まれてないけど、それでもなぜか印象に残るなあと思っていたのです。で、改めて考えてみると、例えば爆破のシークエンスとか、決起が崩壊するくだりとか、ラストの処刑への流れとか、余計な寄り道をすっ飛ばして、むしろサクサク進んでいる。この、逆に過剰なほどの手際の良さが、現実の刻々と過ぎ去る時間の経過とシンクロして、全体の敗北の容赦なさを醸し出すことに成功しているのです。その偶然によって、作品の質がぎりぎりの一線を確保しています。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-11-11 02:16:24) |
1222. パニック・ルーム
《ネタバレ》 例えば携帯電話を取りに行くくだりのような、あるいは警官とのやりとりのような、単純な中にも双方の思惑と作戦があるようなところが光っているわけです。終盤はいつものような銃頼み&肉弾戦になってしまったのは残念でした。それと、ルーム自体には(備品など含めて)もっといろいろ仕掛けがあるのかと思っていたのですが・・・。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-11-06 02:36:57) |
1223. ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人
《ネタバレ》 コレクターの姿を追ったドキュメンタリーなんだから、例えばこの作品は、こうやってこうやってこんなことまでして入手しました・・・とか、そういう側面からの突っ込みを期待していたんですが、その辺は全然ありませんでした。美術品それ自体の紹介が半分、集めたそれをどんな風に生かしているのかが半分といったウェイトでしょうか。しかし、コレクターのドキュメンタリーであって美術品のドキュメンタリーではないので、美術品そのものがどんなものであるかということは、実は本質ではないはずなのです(コレクターを浮き彫りにする要素という限度で言及する必要はあるにしても)。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-11-04 01:49:57) |
1224. イエスマン "YES"は人生のパスワード
初期設定の面白さはさておき、そこからほとんど予想できるような展開だったのが、何だかなあ。あと、周辺人物をいろいろ配置している割に、ほとんど上手く機能していないのが気になりました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-10-31 00:42:40) |
1225. モホークの太鼓
《ネタバレ》 例えば、砦を抜け出して援軍を要請しに走るシーン。平原を、川を、森を、ただ走る、走る、走る。途中で転んだりずり落ちたり絶壁に直面したりして目先の危機を煽ることはしない、純粋な肉体と肉体の対決。だからこそスリリングだし、こういう撮り方こそが現在の映画製作でも参考になるのである。全体のストーリーとしては、まあ、牧歌的というか楽天的で特筆すべきところはなく、ヘンリー・フォンダもまだ若くて芝居がフワフワしている。マクレナー夫人が登場すると一瞬で食われている。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-10-25 02:58:16) |
1226. キャバレー(1972)
登場人物のやりとりはチマチマしていて、歌はストーリーと一体化しているわけでもなくて、どこが良いのか、実は見ていてもそんなに分からなかったのですが・・・。 [DVD(字幕)] 3点(2015-10-17 00:16:08) |
1227. 第九軍団のワシ
そもそもこの2人にはどういう背景があって、何の理由でどうしようとしているのかが、さっぱり見えない。つまり、ストーリーを映像の形にするだけで精一杯であるという雰囲気がにじみ出てきてしまっているのです。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-10-15 20:27:23) |
1228. ハイスクール白書/優等生ギャルに気をつけろ!
「高校の生徒会長選」という、常人なら映画の主題にすることなど考えもしないようなことをここまで真面目に仰々しく取り立てるセンスが素晴らしい。しかしその中にも、皮肉と示唆を織り交ぜ、人生をも考えさせるほろ苦い裏青春映画にまで作品を高めています。これであのしつこいナレーションを5分の1くらいに削って、邦題をきちんと考えておいてくれればねえ・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2015-10-14 21:02:55) |
1229. アザーズ
《ネタバレ》 オチばかりが注目されますけど、それ以外にも、いかにも「お屋敷」と表現したくなるじめっとした雰囲気、光を抑えた暗めの色調(設定から必然なのですが)はなかなか印象的です。結末を知っていても、2回目以降も十分楽しめます。 [DVD(字幕)] 7点(2015-10-14 20:49:08) |
1230. 光の旅人 K-PAX
《ネタバレ》 タイトルから勝手に大風呂敷系拡散SFを想像していたので、意外に上質の緊迫感ある心理サスペンスだったのにびっくり。結論をどれとも出さずに、いろいろな解釈を残しているラストが、清冽な余韻を残している。ただし、ケビン・スペイシーの神憑り的演技に対して、ジェフ・ブリッジズの「受け」の演技が弱いのがちょっと残念。 [DVD(字幕)] 7点(2015-10-14 20:48:00) |
1231. タイムマシン(2002)
確かに途中からまったく別の話になってしまって面食らうのですが、そういった中でも、段々と元に戻れなくなってしまうタイムトラベラーの悲哀みたいな雰囲気が漂っていて、なかなか悪くないのです。視覚効果関係と美術関係の頑張りもほめてあげたい。それと、エマ役の人って、ラブ・アクチュアリーでコリン・ファースの弟と浮気する彼女だったんですね・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2015-10-14 20:42:37) |
1232. ボウリング・フォー・コロンバイン
何が優れているかって、とにかく監督の毒々しいほどの執念と自己主張が最初から最後までみなぎっているということ。だからこそ、作品としてのインパクトがあり、見た人の間に議論を巻き起こす力がある。その初期衝動的パワーが、手法上の問題も編集のアラも吹き飛ばす。内容は正確でも小綺麗に無難に最大公約数的にまとまってしまった作品よりも、こちらの方が良いと思うし、見る価値もあると思う。 [DVD(字幕)] 6点(2015-10-14 20:40:42) |
1233. パッセンジャーズ
《ネタバレ》 オチ一発の作品と言えば言えるし、そのオチも先行作品の模倣と言えば言えるのだが、作品全体に漂う静謐感とか、つじつまが合うように頑張って持っていっている脚本とか、誰かが向こうにふっと登場するときの一瞬の映像の強力感とか、いろいろと努力と苦心の形跡があるので、一概に切り捨てられないのです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-10-13 02:34:14) |
1234. ダークナイト ライジング
《ネタバレ》 3時間の間片時も飽きさせない大風呂敷拡げ力は、やはり素直に凄いと思う。前作に比べると思索性という点では少し落ちるが、三部作の総括としては十分すぎるほどの内容。ただし、これだけのネタと素材を揃えておきながら、随所でカメラがいい加減なのが気になった。 [映画館(字幕)] 7点(2015-10-12 21:46:46) |
1235. インターステラー
クリストファー・ノーラン十八番の大風呂敷は、ついに全宇宙を包み込み、そして強引に作品として成り立たせる。その力技と豪腕ぶりに、ただただ唖然。細かい突っ込みがどうでもよくなってくるくらい、体力と脳の力を絞り取られる映画。ノーランはいったいどこまで行くのか? [映画館(字幕)] 7点(2015-10-12 21:40:55) |
1236. プラダを着た悪魔
《ネタバレ》 見る前は、ヒステリック上司とどんくさい部下の苛々するやりとりが展開されるのかと危惧していたのですが、さすがはやはりメリル・ストリープ、そういうことにはならないわけですね。口調は穏やか、会話は理性的、しかし一つ一つの発言に一切の迷いがなく、そして言っている中身は滅茶苦茶。ただ、仕事に対する誠実性や情熱というものはベースとしてあるので、周りにいたら嫌だけど、画面で見ている分には不快ではない。この役作りができる人に主役を振った時点で、レベルは保証されるようなものです。ストーリー自体は定番そのもので、確実にヒットを狙いにいき、かつ、実践している。まあ、ファッションの点を除けば、「ワーキング・ガール」と何が違うのか、と言われれば難しいけど。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-10-11 01:02:25)(良:1票) |
1237. 幸せの教室
《ネタバレ》 トム・ハンクスという人は、もともと演技はそんなに上手くなくて、脚本や演出の巧妙さでその魅力や才能が引き出されてきたと思うんだけど、勘違いして自分で監督や脚本をやっちゃったらこうなりました、ということ。スピーチの授業が舞台なのに、肝心のスピーチ指導は何一つなされていない。クラスメートがまったく機能していない。若いカップルはあからさまなほど単なるダシ。ジュリア・ロバーツはよく出演をOKしたなあ。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2015-09-27 00:51:44) |
1238. ニュースの天才
《ネタバレ》 結論を知ってから見ると、序盤から中盤にかけても、各登場人物の心理がさりげなくぶつかり合っていて、スリリングに展開しているのが分かる。いろんなシーンで、それぞれの編集部員の表情や雰囲気を丁寧に撮っているのが効いている。それにしても、普通の人間だったら、フォーブスからの突っ込み一発で、これはやばいことになったと動揺しそうなのに、常にとりあえず謝罪しながらもぎりぎり逃げ道は確保している、それを呼吸するようにナチュラルに行っている主人公は、やはり何かの異人格を感じる(し、それを表現したヘイデンの演技も絶妙)。さらに、そういった人間にはどう対応すべきかということも、チャック・レーンが教えてくれる(し、それを表現したサースガードの演技も絶妙)。記事の裏を取りに行く場面で、ひねりも何もなくごく単純に、裏を取るだけで捏造を破っていくあたりに、逆にサスペンスを感じる。 [DVD(字幕)] 7点(2015-09-23 02:42:02) |
1239. ワン チャンス
《ネタバレ》 序盤があまりにもちゃっちゃかちゃっちゃか進んでしまうので、まさかそのまま行ってしまうの?と思っていたら、イタリアで挫折した後がやっとスタートだったのですね。ただ、恋人との衝突だとか、疾患なり事故だとか、障壁の部分が1エピソードなみにあっさり済まされてしまうので、結局は最後の番組放送のところが作りたいだけの作品だったという感は拭えません(しかもそこもあっさり)。 [映画館(字幕)] 5点(2015-09-23 02:27:37) |
1240. エンド・オブ・ザ・ワールド(2012)
肝心の2人に世界の終焉という前提がもたらす空気感が感じられず、単なるロードムービーにしか見えません。かといって人間関係の変化の部分に何か突っ込んだものや目新しいものがあるわけでもなく、結局全部が中途半端。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-09-23 02:23:20) |