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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別 男性

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161.  センター・オブ・ジ・アース(ブレンダン・フレイザー主演) 《ネタバレ》 
TOHOシネマズ六本木で鑑賞。 3Dメガネ初体験だったので、予想外にゴツいメガメを渡されて、まずビックリさせられた。 肝心の3Dに関しては、ちょうど真ん中の席に座ったので、飛び出し具合は悪くない程度。 期待を裏切るほどではなかったが、体が自然と反応するような迫力ある仕上りというほどではなかった。 3Dの場合には、もうちょっと前方の席に座った方がいいのかもしれない。 こんなストーリーもない映画でもそれなりに楽しむことができるのが、3D映画の特徴だろうか。 技術の進歩には驚かされる。子どもが見れば、相当に楽しめる映画ではないか。 近い将来、アクション・ホラー・アニメ映画は3D映画が主流になるかもしれないと予感させられる。 しかし、もうちょっとストーリーを面白くする工夫はなかったものか(面白くさせるために、苦し紛れに携帯を鳴らすのは・・・)。 基本的には、「○○が出てきました」「××に襲われました」「△△に乗りました」「□□という状態になりました」という現象やイベントを単に映像化したにすぎない。 映画としては、非常にレベルが低い内容にはなっている。 アトラクションとして評価したものの、映画として評価した場合はもっと点数は低くてもよさそうだ。 子役と父親との関係や、それぞれが離れ離れになったりというイベントも単なる状態にすぎず、感情に訴えるような努力をほとんどしていないのはマイナスだった。 また、3Dの弊害は、字幕ではなくて吹き替えに見ざるを得ないという点になる。 ブレンダン・フレイザーを吹き替えた沢村自身は嫌いではない。 沢村だと知らずに見たが、吹き替えは抑揚がなくイマイチな印象。 子役の吹き替えはあまり印象には残っていないが、合格点とはいえず普通以下か。 ヒロインを吹き替えた矢口は、矢口だと知らずに見たが、それほど違和感はなかったという印象だった。 矢口自体は悪くはなかったが、実際のヒロインが個人的には好きではないタイプだったので、少々ガッカリした。 3人の登場人物と一緒に旅をするというシステムなので、肝心のヒロインにハマれないと少々ノメり込み具合が浅くなる。 ブレンダンと子役自体は特に問題はなかったように思われる。 この手のストーリーのない映画には、ブレンダンのような大味な役者は似合う。 彼の起用は正解だろう。
[映画館(吹替)] 6点(2008-11-01 23:33:42)
162.  僕らのミライへ逆回転 《ネタバレ》 
本作は「ハリウッド超大作」を自分たちでセルフリメイクするという内容になっているが、セルフリメイクした作品をしっかりと流してくれるわけではない(インターネットでは鑑賞できるらしい)。 セルフリメイクしたパロディ作品で観客を笑わせるという趣旨の映画ではないので、“爆笑”できると期待すると、肩透かしを食らいそうだ。 セルフリメイクした作品同様に、本作の中身もかなり粗い内容になっている。 “粗い脚本”“粗い演技”“粗い設定”という短所があるものの、本作を見ているとそんなことはどうでもよくなってくる。 本当に大切なものは、“完璧なディテール”や“完全なリアリティ”などではなく、“映画への愛情”ということを気づかせてくれる味わい深い映画に仕上がっている。 町の人々が参加して自由な発想やアイディアで映画を製作していく様や、完成した作品を皆で笑い合って楽しむ様を見ていると、“映画の原点への回帰”“古きよき時代を懐かしむような想い”を込めているのが分かる。 CGなどの技術に溺れたハリウッド大作に警鐘を鳴らしているかのようだ。 数多くの作品がリメイクされたが、リメイクされる作品に関するチョイスも何かしらの意味があるのかもしれないと感じた。 「ラッシュアワー2」は見たことはないのでなんとも言えないが、「ゴーストバスターズ」「ロボコップ」といった80年代の作品が映画にとってのターニングポイントということなのだろう。 見ていないので分からないが、ワイヤーやCGを用いない最後のアクション作品が「ラッシュアワー2」という趣旨なのだろうか。 そういえば、いつのまにか本作に描かれるような町の個性的なレンタルショップはなくなってしまい、画一的なビジネス優先の大手レンタルチェーンに取って代わってしまった。 現在のレンタル事業は、インターネットで予約してDVDが配達される形態も目立ってきている。 我々は確かに利便を得ているのかもしれないが、その代わりに何か大切なココロを失ってしまっているのかもしれない。 映画を通しての人々の触れ合いのようなものが無くなっているとしみじみと感じられた。
[映画館(字幕)] 6点(2008-11-01 23:31:49)
163.  ゲット スマート 《ネタバレ》 
「コメディ」と「アクション」を融合させた新しいタイプの映画だとアメリカ公開時から期待しており、きっと期待通りに楽しませてくれるはずと思っていたが、思い描いた作品ではなかったというのが正直なところだ。 肝心の“笑い”の部分が個人的に全くハマらなかった(楽しめなかった人は少数なので自分が例外と思われる)。 「飛行機内で大男をみたときのリアクション」「トイレ内の格闘」「デブ男を倒したあとの監視役の勘違い」辺りはよかったが、全体的にはあまり笑えなかった。 要するに、“飛行機のシーン”がピークであり、あれ以上おいしいシーンを作れなかったのが問題ではないか。 ビル・マーレーの出演シーンでサムいと思ったのは、自分だけだろうか。 ただ、基本的にはコメディというほど“笑い”には執着していないのではないかとも思われる。 冒頭にスマートが何枚もの鉄の扉を開けるシーンがあったと思う。 たくさんの書類を手に持っており、いくらでも笑いのネタが詰まっているはずなのに、何の笑いを取ろうともしていない(何かありそうで結局何もないという高度なテクニックではまさかあるまい)。あのシーンを見て、「ちょっと様子が変だ」と思っていたが、その危惧はどうやら当たったようだ。 コメディとアクションのバランスを欠いており、あまりにも真面目に取り組みすぎてしまったように思われる。 「コメディ」を見ようと思っていたのに、全く予想外のものを見させられたら拍子抜けしても仕方がない。 いい意味での裏切りが功を奏する場合もあるが、自分にはいい裏切りにはならなかった。 本作のように「コメディとしても中途半端」「アクションとしても中途半端」「スパイモノとしても中途半端」「ラブストーリーとしても中途半端」という中途半端な映画は個人的には好きではない(逆に、いろいろな要素を堪能できるので、その点を好む人もいるだろう)のも楽しめなかった理由のひとつ。 また、主人公の設定が、エージェント合格レベルの能力を持ち合わせているという時点で“笑い”を取るというつもりがないのではないか。 エージェント試験に何度も落ちている奴が、急場しのぎで即席エージェントに仕立て上げられ、素人ならではの手法で事件を解決するというのがコメディの“王道”と思う。 失敗は多いが、普通の優秀なエージェントが活躍する映画ならば、スティーヴ・カレルが演じる必要はあるのか。
[映画館(字幕)] 4点(2008-10-25 19:56:54)(良:2票)
164.  宮廷画家ゴヤは見た 《ネタバレ》 
ゴヤの画家としての生涯を描く映画ではないとはもちろん思っていたが、ゴヤの眼を通してみるスペインの狂乱や異端審問がメインとは思わなかった。 思いも寄らない内容の映画だったが、傍観者・ゴヤの目や絵を通してみる当時のヨーロッパの狂気が上手く演出されており、インパクトの強い映画に仕上がっている。 ただ、ハマれる人はハマれそうだが、自分にはどこかピンとこなかったというのが正直な感想。 時代背景やゴヤなどの知識を持ち合わせていなかったからだろうか。自分にはレベルが高い映画だったかもしれない。 原題は「Goya's Ghosts」、直訳すれば「ゴヤの幽霊たち」になる。 本作における「幽霊」とは、顔が描かれていない絵の際に触れていたと思う。 本作でゴヤのモデルになったロレンソとイネスは歴史上の存在ではなく、架空の存在のようなので、これを指していることになりそうだ。 しかし、彼らの関係を通して、何をフォアマンは伝えたかったのかが自分にはぴったりとはハマらなかった。 彼らの間に“愛”などというものはもちろん存在しないだろう。 ロレンソはイネスのことを忘れており、その後も病院送りにしている。 イネスにとってもロレンソを愛しているというよりも、彼の存在と自分の子どもを拠り所にして15年間精神をかろうじて保っていたというところだろう。 最後にイネスとロレンソが手を繋いだのは、“愛”というよりも“家族”という想いを込めたためと思われる。 彼らの関係はそれほど重要ではないのかもしれない。 二人の関係よりも、ロレンソが最後に改宗しなかった辺りがポイントとなりそうだ。 異端審問をして、さらにその審問を異端視して、またその異端視を異端されるというエンドレスの抗争が描かれている。 今日にも通じる“宗教”という考え方の違う対立による根深さは永遠に消え去ることのないということを描こうとしているようだ。 これを解決する術はなく、紛争はいつまでも永遠に続くのかというフォアマンの憂いを感じられる。 狂った世界において、ロレンソ自身が処刑される際に窓辺にいる自分の娘と赤ん坊の姿を見て、何かを悟ったようなところが印象的であった。 一番人間らしい心を持っていたのは精神を病んでしまったイネスということなのかもしれない。 ゴヤの作品も理解するのは一筋縄にはいかないが、フォアマン作品も一筋縄ではいかないような独特の仕上りとなっている。
[映画館(字幕)] 5点(2008-10-21 23:09:59)
165.  イーグル・アイ 《ネタバレ》 
ストーリーに関してはリアリティゼロのトンデモ映画だが、リアリティを醸し出そうとしていない点によって救われている。 変にリアリティを出そうとすると、必ずボロが出るものだが、映画そのものが思い切りアクセルを踏み込んで突っ走っているため、もはや突っ込みようがない。 「どんなもんじゃい!」と高いテンションでここまでやってくれると、「はい、そうですか」とこっちは従わざるを得なくなる。 「アメリカ国家による監視・盗聴」「プライバシーの危機」といったテーマにはあまり触れずに、“アクション”に特化した戦略は功を奏したと思われる。 そのため、中身は薄っぺらい映画だが、個人的にはそれほど嫌いではなかった。 一言突っ込むとすれば、「あんな高度なシステムがあれば、テロリストなんて倒すのは簡単じゃないのか?」くらいか。 ラストのハリウッド的ハッピーエンドも怒りというよりも、呆気に取られてしまった。 「国家のために自分の身を挺する」なんて意外と立派なオチをつけるじゃないかと感心していたら、「おいおい・・・そんな訳ねえだろ!」というまさかの展開になってしまった。 「国家のために戦った若者は殺さない」というところがアメリカらしさを感じる。 この部分に関しても、もはや突っ込むのは野暮というものか。 製作総指揮のスピルバーグは何から何までハリウッドらしい娯楽映画という仕上りを目指したのかもしれない。 アクションのレベルや迫力、リアリティ度は高いので、何も考えずに頭を空にして見れば、鑑賞時間分はハリウッド大作映画をお腹いっぱい堪能できると思う。 まさにハリウッドアクション映画のお手本といっていい映画だ。
[映画館(字幕)] 6点(2008-10-20 23:20:54)(良:3票)
166.  アイアンマン 《ネタバレ》 
かなり期待をしていたが、意外と平凡で物足りなかったのが正直な感想。 自分の体調が悪かったのか、集中力が途切れたのか、期待があまりにも高すぎのかが分からないが、それほど楽しむことはできなかった。 ロバート・ダウニーJr.のヒーローらしからぬヒーロー像、美しく緻密なデザイン・フォルム、スーツを流れるように身に纏う描き方、掌からの光線をぶっ放すシーンなど、確かにカッコいいと感じられるシーンは随所に見られたが、既存のアメコミヒーローモノに比べて、それほど評価すべきポイントが見当たらなかった。 ユーモアかつクールな仕上がりともなっているが、この点においても“好み”というわけではなかった。 スタン・リー作品の「インクレディブル・ハルク」が全く面白いと感じなかったこともあり、この手のアメコミヒーローモノはそれほど“好み”ではないかもしれない。 ラストの“アイアンモンガー”とのバトル以外の見所は、ほとんど予告編で嫌というほど見てしまったためか、目新しさがほとんど感じられなかったのも面白いと感じられなかった原因かもしれない。 また、トニー・スタークの内面の部分があまり深く描かれているとは思えなかった(ヒーローの苦悩があれば、良い作品というわけではないが)。 序盤の能天気なプレイボーイ武器商人の姿から、拉致られて武器根絶という決意を固める姿への変化がそれほど著しいわけでもなく、決意を固めた後に自分の信念を貫き一人孤独に戦う姿が描かれているわけでもない。 何度も命を救われたペッパーとの関係や絆についても、深そうでそれほど深くは描かれていない部分もあると感じた。 完全には恋愛関係にならない微妙な関係というのは面白いが、その微妙な関係の描き方に物足りなさを覚える。 「失いたくないからもう仕事を手伝わない」といった趣旨のセリフはあったが、表には出せない信頼感や愛情をもっと伝えて欲しかったところだ。 ラストのバトルについても見応え十分というわけでもなく、意外とあっさりとしたものとなっている。外見的にはボロボロになっているものの、追い込まれているようで大して追い込まれているという状況でもなく、ハラハラ感など微塵も感じなかった。 ボロボロになっても立ち上がり続けるという感傷的なラストではなく、アメコミらしい大味なラストだったと思う。
[映画館(字幕)] 6点(2008-09-29 22:08:19)
167.  ウォンテッド(2008) 《ネタバレ》 
現実離れした馬鹿げたマンガ的な世界観であるが、個人的には好みのストーリーと世界観だった。 独特の自虐的なユーモアを交えつつ、勢いのあるストーリー展開によって、強引にこの世界観に引き込まれてしまった。 多少の無理や無茶も、許容できてしまうほどだ。 製作陣がきちんと独特の世界観を作り上げた成果だろう。 スタイリッシュな映像もまたこの世界観を構築する一役を買っている。 アンジェリーナ・ジョリーはさすがの存在感を放っていた。 彼女の妖しい魅力がなければ、本作のイメージも大きく失われていただろう。 彼女がいたから、なんでもありの世界が許容されたのかもしれない。 現実離れした彼女の存在が、現実離れした本作の“扉”を開ける“鍵”のような存在になっており、この“鍵”がなければ、あの世界観に上手くハマり込むことはできない。 マカヴォイの代わりはいても、ジョリーの代わりはいなかっただろう(ジョリーのファンではなく、ファンになるつもりもない)。 彼女の最後の選択も納得できるものに仕上がっている。 自分の過去を話し、彼女に刻まれた刻印を示すことで、本当の自分は、幼いころにとっくに死んでいるという気構えであり、彼女はこのシステムと心中する覚悟があるのがよく分かる。 彼女を主役にしたスピンオフを作ってもヒットするのではないか。 父親に関しては上手いミスリードを観客にさせることができたので、組織に関してももうちょっと上手いミスリードをして欲しかったところだ。 あの描き方では、見ていて組織が破綻しているのが分かり、組織の秘密が分かっても驚きを感じることはできなかった。 伏線の張り方が下手というわけではないが、もうちょっと観客の頭を信用してもいいのではないか。あれでは分かりやすすぎる。 もうちょっと使命感のある組織ということを強くアピールして、さらに観客をミスリードさせてもよかった。 ラストの仕掛けに関しては物足りないと思ったが、オチ自体はあれ以外考えられず、多少の無理を承知で、あのオチを選んだものと思われる。 フリーマンが誤解するようなストーリーを変に小細工して作るよりも、オチを優先させた思い切りの良さも評価したいところだ。 ストーリーがおかしな部分はあるが、細かいところを描くべき映画でもなく、ストーリーよりも映像を優先させることが大事と考えたのだろう。
[映画館(字幕)] 7点(2008-09-23 12:35:20)(良:1票)
168.  ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝 《ネタバレ》 
あまり期待していなかったせいか、それほどつまらないとは感じなかった。 むしろ、イエティやドラゴンが登場するなど、盛りだくさんの内容となっており、飽きずに楽しむことができる。 レイチェル・ワイズが降板してしまい、ジェット・リーの出番も少なく、ストーリーもご都合主義万歳であり、練りに練られた脚本とは言いがたいが、万人が楽しめる作品に仕上げようとしている。 「どうやってこのピンチを脱出するのか」というドキドキ感がなく、先が全く読めない作品でもないので、傑作とは言いがたいが、気軽に楽しむ映画としては落第点ではないと思う。 また、詳細には書かないが、「ハムナプトラ」の「3」の作りや構造は、基本的に「2」と変わりがない。 はっきり言って、エジプトから中国へ舞台が変わっただけのほとんど焼きなおしに近いものであり、このシリーズが好きな人には楽しむことができるようにという製作陣の意図が感じられる。 オコーネル夫妻のキスシーンを見た息子の反応や、カバンに入れられた大量の武器を親子で競い合うシーンなどは、このシリーズを観た者には特に楽しめるだろう。 既存のシリーズと大きくズレることなく、期待を大きく裏切らなかったので、続編としては悪くないものとなったのではないか。 少なくとも「インディ・ジョーンズ」や「ナショナル・トレジャー」の続編に比べれば、あまり文句のないものに仕上がっている。 さらに、中途半端であり、深くはないが、素直になれない父子関係、息子を心配する母子関係、夫婦関係、恋愛関係、三角関係などの定番の基本的なネタは盛り込まれており、努力の成果は見られる。 肝心のオチはつまらないものだったが、オチのつまらなさは予想通りなので、全く驚きもしなかった。 観ている途中から、これは大したオチにはならないと思っていたので、あの程度でも「まあ、こんなところか」と納得できた。 素晴らしいオチを付けてくれると期待すると、裏切られた感が強くなるかもしれない。 気になるのは、ハリウッドの若手俳優の層の薄さだ。 もし、オコーネルの息子に華があるスターをキャスティングできれば、彼の息子が活躍する新シリーズを展開させることもできただろう。 ルーク・フォードは特別悪くはなく、落第点というわけでもないが、個性を発揮できたとはいえず合格とはいいがたい働きだった。 少なくとも、彼を主役にすることはできないだろう。
[映画館(字幕)] 6点(2008-09-02 03:16:19)
169.  スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ 《ネタバレ》 
「スター・ウォーズ」については、それほど詳しくはなく、素人からの目線でレビューしたい。 画像については、それほど違和感がなかったが、実写ではない分、バトルシーンにはどうしても迫力を欠いてしまうところがある。 実写では迫力などでごまかすことができるので飽きずに済むところがあるが、飽きずにもたせるには展開の面白みがなく、短い映画にも関わらず非常に長いと感じられた作品。 また、アニメ作品「クローン大戦」を見ていないと、ヴェントレスという敵キャラクターが分からないので、やや違和感があるのではないか。むしろグリーヴァス将軍の登場を期待していたので、やや拍子抜けしたところがある。 まだまだ続きがありそうだが、ⅡとⅢを繋ぐブリッジストーリーとしては、本作だけでは物足りなさすぎる。 ジャバの息子の誘拐など、子ども騙し的なネタしか描かれていないので、本作を観たとしても、大きなものはあまり得られないと思う。 最初から最後まで、クローンとドロイドがただ無益な撃ち合いをしているという印象しか残らなかった。 一番驚かされたのは、アナキンがパダワンを取っていたということだろう。 ただ、このエピソードも個人的にはあまり好ましいとは思わなかった。 パダワンを持つということは、ジェダイの騎士としてそれなりに責任が増すのであるから、ジェダイを裏切るという最終的な方向とは逆の意味に繋がってしまう。 また、パダワンを持たせるというアイディアは、オビワンとヨーダの考えのようであるので、二人はアナキンのことを一人前と認めている証拠でもある。 一本立ちを認めないオビワンのことをアナキンは憎んでいたはずではなかったか。 パダワンを持ったことでジェダイを憎むような展開になればよかったが、そんな展開にもならなかったので、やはりアナキンにパダワンを持たせる効果がよく分からない。 任務を優先することを第一に考えるジェダイと、ピンチに陥ったパダワンの生命を考えるアナキンとの間に亀裂が生じるという展開にでもなれば、本作にも意義が生じるとは思ったが、結局パダワンが自分の危機を一人で切り抜けるという面白くもない展開になってしまった。 慎重派オビワンと無鉄砲アナキンとのコンビとは違う、無鉄砲コンビの誕生もそれほどすっきりしたものを感じられないのも惜しいところであり、全体的には評価しにくい作品となっている。
[映画館(字幕)] 5点(2008-08-24 22:51:28)(良:1票)
170.  ハンコック 《ネタバレ》 
深みは全くないが、十分楽しめる内容になっている。気合を入れて観るというよりも、夏の暑いときにボケッとしなかがら眺めるには最適ではないか。そういう製作趣旨の映画と感じられた。 シャーリーズ・セロンにも鑑賞前は全く分からなかったサプライズがあったのも大きな裏切りとなっており、前半と後半で雰囲気がやや異なる点も面白い作り。 前半は「嫌われヒーロー・ハンコックの更生とヒーローとして認められるまで」を描き、後半は「スミスとセロンの関係」を中心に彼らの正体や秘密が描かれており、前半と後半で二度美味しい映画となっている。 ただ、面白いのも事実だが、物足りないのも事実。 意外と簡単に更生してしまうハンコックなど、軽さと重さのバランスの取り方がこれで適していたかどうか判断するのは難しい。 あまり重くすると一般性を欠き、これ以上軽くすると非難を浴びる。 一般的に好まれる作品を目指せば、この程度で妥当だったかもしれない。 個人的には、もうちょっとスミスとセロンの関係を重めに描いて欲しかったところだ。 彼らの関係というのは、軽くはないと思われる。 互いに引き合いながら、近くにいればいるほど自分達の能力が無力化していき、かつ敵を引き寄せるという設定はメチャクチャでもあるが、面白い設定でもある。 スミスのカラダに刻まれた傷の深さだけでも、彼らの長年に亘る関係は奥深いと分かる。 彼らが愛し合えば愛し合うほど、スミスたちの体が傷ついていくので、彼らが別れと出会いを繰り返しているということが分かる。 それだけ二人の愛情も深いはずだ。 セロンは今の旦那とも上手くいっており、ようやく幸せをみつけたと言っていたが、今の旦那とスミスとの間で葛藤があってもいい。 セロンに葛藤なかったので、こういう葛藤が生まれようもないが、スミスにもセロンとともに暮らして、人間として生きるか、ヒーローとして生きるかという葛藤が生まれるとさらに深みが増したかもしれない。 このような葛藤の結果、セロンは今の旦那を選び、スミスはあれほど嫌われていたにも関わらずヒーローとして生きる道を選べば、もっとココロに残るストーリーになったかもしれない。 もっとも、能力がないのにスミスを庇うセロンや、セロンを救うためにフラつきながら飛び出していくスミスの姿を見れば、お互いがお互いのことを真剣に考えているのはよく分かる作りにはなっていると思う。
[映画館(字幕)] 6点(2008-08-23 23:24:11)(良:1票)
171.  インクレディブル・ハルク(2008) 《ネタバレ》 
アン・リー版から方向転換を図り、アクション重視にすることについては、戦略的に全く問題がないと思う。 「ハルク」になったプロセスをものの数分で描いたのは、アン・リー版の反省がみてとれる。 ただ、これではあまりにもストーリーをないがしろにしすぎではないか。 本作は「軍隊に追われていた男と、暴走した一人の軍人が、化け物に変身して戦う」というストーリー以外に何もない。 本当に、ノートンがリライトしたのかというほど、つまらない脚本となっている。 彼が手を加えたのならば、ひょっとして間違った方向に手を加えたのではないか。 アクションなのだから、深いストーリーは要らないのかもしれないが、肝心のアクション自体も画面に釘付けになるほど立派なものではなく、全く楽しむことができなかった。 「ボーン」シリーズ、「キングコング」辺りのネタを拝借しているようにも感じられ、つまらないと言われるアン・リー版の方がむしろ個性を感じられる。 アン・リー版のジャンプ時の浮遊感は必見だ。 肝心の化け物同士の戦いも、一方が圧倒的に優勢だったのに、訳の分からない地味な必殺技一発で形勢逆転するというつまらない描き方には呆れた。 逆転の仕方や、必殺技など、バトルシーンにもうちょっと工夫があってもいいだろう。 また、ノートン、タイラー、ティム・ロスといった役者の個性も全く活かすことができておらず、誰に対しても共感できるものではなかった。 三人のそれぞれの感情が、あまりにも伝わってこないのは評価できないポイントだ。 本作の唯一の見所は、「ハルクが中和されて素の人間になりかけた」というシーンではないか。 その見所をヘリコプターから飛び降りただけで終了というのはあまりにもヒネリがなさ過ぎる。 「ハルク」は怒れるオトコなのだから、もっと“怒り”に着目して欲しい。 いったんは中和されて、心拍数200を超えても変身しないが、彼の怒りが頂点に達したときに再び緑色の化け物になるというのが当然のスジではないか。 そのために、タイラーという存在がいるのだろう。 彼女が殺される(変身できない彼をかばって死ぬのが悪くない描き方)、もしくは彼女の身に危険が迫ったときに、怒りで我慢できなくなって再び変身するという描き方はできないものか。 重厚感がなく、何もかも薄っぺらく感じてしまった。
[映画館(字幕)] 4点(2008-08-16 13:58:08)(良:2票)
172.  ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 
“完璧”としか言いようがない作品に仕上がっている。 たったの2時間30分で本当にこれほどヴォリュームある内容を詰め込めことができるのかというほど充実したものとなっており、なおかつストーリーが無理なく流れている。 「悪者を懲らしめる」「地球の危機を救う」という単純なヒーローモノとは一線を画しているのが特徴。 「正義とは何か」「善と悪との表裏一体性」「復讐と正義」などを観客に真摯に問いかけている。 トゥーフェイスを通じて、高潔な人間でも簡単に悪に染まるという“人間の弱さ”を描き、一方で二つのフェリーに託された起爆装置やバットマンの姿を通して、自己を犠牲にしても厭わないという“人間の強さ”を描いている点を評価したい。 殺しあうのも人間の本能だが、他人を守ろうとするのも人間の本能ということか。 簡単に悪に染まりもするが、簡単に悪に染まらないのも人間ということを描きたかったのではないか。 また、バットマンもジョーカーも、確かに一歩間違えればやっていることは同じことなのかもしれない。善良な人間を無差別に危険に陥れるのがジョーカーならば、悪人を無差別に倒すのがバットマンともいえる。彼らの姿は表裏一体のところがある。 しかし、バットマンは怒りに任せてジョーカーを殺そうとはしていない。 正確には覚えていないが、劇中で誰も殺していないのかもしれない。 バットマン自身も愛する者を失ったにも関わらず、「復讐と正義」の一線を超えようとはしておらず、“ゴッサムシティを守るため”という大義名分を守り続けている。 バットマンの姿を通じて、「正義とは何か」を問いかけている。 復讐することは正義ではなく、復讐は暴力の連鎖しか生まないと訴えているようにも思える。 このシリーズのバットマンは影が薄いが、今回はジョーカーに完全に食われることなく、真の意味では主役であったと思う。 最後まで見れば、タイトルに込められた想いが深く噛み締められる。 ヒーローとして賞賛されることが真のヒーローではない。 悪に負けないこと、正義を守り抜くことがヒーローということを伝えようとしている。 ジョーカーはあくまでも人間の弱さの象徴であり、自分の弱さに付け込まれたマフィアや汚職警官たちが本当の意味での敵だったのかもしれない。 ただのヒーローモノというよりも、奥深いメッセージが込められた作品である。
[映画館(字幕)] 10点(2008-08-04 23:24:44)(良:4票)
173.  カンフー・パンダ 《ネタバレ》 
画像だけ眺めていれば、それなりに楽しむことはできる。ただ「CGスゲエな」「パンダ強いな」「○○カッコいいな」「○○カワイイ」程度の感想しか持ち得なかった。 子ども向け作品とはいえ、もうちょっと味付けが必要ではないか。 あまりにも薄味すぎて、物足りなさを覚えた。 シーフー老子とポーの関係と、シーフー老子とタイ・ランの関係をもうちょっと対比させてもよかったかもしれない。 自分の弟子でもあったタイ・ランを信じ切れなかったので彼を悪の道に走らせてしまったが、ポーを信じ抜くことができたので、ポーも変わることができ、自分も変われたという落としどころのようなものが必要だったかと思われる。 シーフー老子とタイ・ランの関係は、甘やかして育てる現在の家庭のようなものにも通じる。 甘やかすのが本当の愛情ではなくて、自分を信じてもらい、厳しくされることが本当の愛情のようなメッセージを込めると、本作を見た子どもと親にとって何か得られるものがあったのではないか。 子ども達の可能性のようなものを信じることができるというメッセージを込めれば、本作は傑作になりえたかもしれない。 シーフー老子は、弟子を信じるというよりも、自分の師匠であるウーグ・ウェイ導師のことしか信じていないような気がするのが引っかかった。 また、「特別なことは必要ない」というメッセージも上手くは落ちていないのではないか。 「強くなること」「おいしい料理をつくること」どちらにも早道や抜け道はない。 現在の子ども達に送るメッセージとしては、「スポーツが上手くなること」「アタマが良くなること」のようなものに通じるだろう。 何事にも特効薬や魔法の力のようなものはなく、地道な努力が必要ということになる。 そう考えると、ポーが「特別なことは必要ない」と気付くのはもうちょっと早い段階でもよかった気がする。 タイ・ランもマスターファイブももともと強かったわけではないのだから、現在は雲の上のような存在であっても、自分が努力すれば彼らに近づけるはずというメッセージに繋がるはずだ。 今がどんなにダメであっても、諦めなければ雲の上の存在にも一泡吹かせることができる。そのためには、血と汗が滲むような訓練が必要ということになり、訓練の意義が活きてくる。 強くなるための近道は訓練や努力以外ないのだから。
[映画館(字幕)] 4点(2008-08-02 14:34:42)(良:1票)
174.  ハプニング 《ネタバレ》 
「なぜ起きたのか」「なぜ収まったのか」という説明は必要ない、「自然ってよく分からないね」という説明で十分だ。特別なオチや、どんでん返しも必要ない。 しかしながら、「何を伝えたかったか」は必要である。 「環境破壊」「自然の驚異」「地球温暖化」「人口増加」「ミツバチの必要性(=生態系)」といった面から、本作を眺めても何も感じられない。 「夫婦の絆の強さ」「壊れかけの夫婦の再生」「子ども(世界の将来)を守り抜く責務」といった面から、本作を眺めても何も感じられない。 何もかも中途半端な描き方しかできていない。 ただ単に、「植物が放出する毒素によって、人々が自殺する姿をショッキングに描いた」というだけの映画でしかない。 脅威となる存在がモンスターやゾンビなどの可視的ではなく、“風”から逃げるという点はユニークであり、珍しいパニックムービーを作りたかったのかもしれないが、その観点からも演出が足りなさすぎる。 本作を見る限りでは、脅威となる存在はやはり目に見えないと面白くないという結論になってしまった。 また、本作のラストがあまりにも酷い。酷いという言い方は語弊があるかもしれない。 本作の設定を踏まえて「一番批判を浴びないラストを考えろ」と言われたら、このようなラストになるだろう。過度な批判は浴びないだろうが、あまりにも安直であり、捻りもなく、冒険のないラストである。シャマラン監督は良くも悪くも記憶に残る監督だったはずではないか。野球選手に例えれば、三振を恐れずにホームランを狙って大振りするような選手だ。その大振りが、時には我々に驚きを与えたり、期待の大きさから、逆に落胆させたりもする。しかし、本作は三振しないように短くバットをもって、ボールに当てただけのような気がする。 毒にも薬にもならないような作品を作ることは、自分自身を貶めるだけではないか。 今度三振したらもうプレイすることができないという状況に追いつめられているのは分かるが、長い目で考えれば自分のスタイルを捨てて平凡なプレイヤーになるべきではない。 ジョーイというキャラクターを自分自身で演じているが、過去の作品に比べて、存在感のあるキャラクターではないのも批判を恐れて自分のスタイルを捨てた証しではないか。 「シックスセンス」から「レディインザウォーター」まで、彼の作品をそれなりに評価してきたが、本作は評価できない。
[映画館(字幕)] 3点(2008-07-30 09:37:54)(良:4票)
175.  スピード・レーサー 《ネタバレ》 
平日の最終回とはいえ、470人キャパの有楽町の劇場に20人ほどの観客しかいないという惨憺たる光景を目の当たりにするとは思わなかった。 観客の中には『「マッハGOGOGO」懐かしいな』と楽しそうに語っていたおじさんもいたが、自分は生まれてこのかた、元ネタを見たことは一度もなく、元ネタの情報を一切知らずに鑑賞した。 原作を知らず、ゲームもやらないのでこんなことを言っていいのか分からないが、誰も見たこともない世界・映画を構築しようという高い理想を感じられるようにはなっていると思う。 問題点はあるが、製作陣は一切妥協をせず、批判を恐れずに、真摯な姿勢で努力している跡が窺われる。 画面だけ見ていれば、それなりに楽しむことはできるだろう。 ただ、その世界観に上手くハマれず、乗り切れなかったというのが正直なところ。 やや、自分と映画の間に温度差を感じてしまった。 「この人たち、なぜ一生懸命走っているのだろうか?」「この人たち、なぜ戦っているのだろうか?」「主人公、なぜ家を出ようとしているのか?」と感じる冷めた自分が劇場にいた。 なんでもかんでも詰め込もうとして、まとまりが悪くなってしまったのが問題か。 世界観は豊かなのだから、子ども達が楽しめるようにもっと単純でも良かったのではないか。 「レースを金儲けの道具にしている悪い奴を倒す」「レースは八百長ではない」というだけでよく、株価がどうのこうのとか、ビジネスがどうしたとか、買収とか、訳の分からない、どうでもいい背景などは要らない。 余計なことを描きすぎたために、「スピードの兄が自分の身分を隠してまで本当にやりたかったこと」なども上手くは伝わってこず、「家族の繋がり」などの重要なメッセージも伝わりにくくなってしまった。 余計なストーリーだけではなく、余計なキャラクターも多いので、各キャラクターが生殺し状態に陥っている。 本作の描き方では、真田広之、RAINの扱いに合格点を出すことはできないだろう。 肝心のレーサーXですら、あの程度の出番では足りない。 「マトリックス」と同じく世界観を広げすぎたために、上手く収束させることはできなかったようであり、反省が活かされていないようだ。 優れたクリエイターではあるが、もっと単純にまとまりよく物事を伝えることができないと優れたストーリーテラーとはいえない。
[映画館(字幕)] 6点(2008-07-20 00:50:02)
176.  告発のとき 《ネタバレ》 
鑑賞中は「つまらない映画」と思っていたが、鑑賞後は「素晴らしい映画」と感想ががらりと変わった。 「アメリカがイラクで行った暴虐に対して告発する」という大きなテーマを描くのかと思って見てみたら、大間違いだ。 見終わった後は、それよりももっと大きく深いテーマを扱っていると気付くだろう。 “戦争が人間性を崩壊させる”というテーマを、感傷的にもヒステリックにもならずに、静かに怒りを込めつつ冷静に告発している。 見終わってから全てがみえてくるというポール・ハギスの計算された作風が見事だ。 息子を殺された父親と、その息子を殺した加害者が「パンスト話」で笑い合ったり、酒を飲んだりするというシーンの恐ろしさは、最後まで見ないと分からない。 息子を殺された父親に対して、ともに戦った戦友の殺害を冷静に罪悪感もなく語るシーン、戦友を殺して切り刻んで燃やしたあとに腹が減ってきたのでチキンを食べたと語るシーンには、言葉も出ない。 この“異常性”こそが本作の真相であり、その“異常性”を見事に描き切った。 戦争によって“異常”な人間になってしまったが、父親に対して送ったメッセージ、父親に対して贈った写真と国旗には、元の“正常”な心は完全に失われていないことも伝えている。 ポール・ハギスは、アメリカが異常な国になってしまったと告発しているが、正常な国に戻れるはずだという想いも込めたのだろう。 ラストに登場する青年兵士の姿、そして逆さにした国旗に込めた想い、どれもこれも深くて熱い。 原題のタイトルの由来となっている「ダビデとゴリアテ」の話が恥ずかしながらよく分からなかった。 「ダビデ」はシャーリーズ・セロンの息子の名前の由来なので、アメリカの若い兵隊を言い表しているのだろう。ダビデ(若い兵士)はパチンコ(現代に置き換えれば銃)をもって、巨人「ゴリアテ」に立ち向かう。 巨人「ゴリアテ」は、イラクを指しているのかもしれないが、この場合“戦争”そのものを指しているのかもしれない。 結果的には、ダビデ(アメリカの若い兵)は巨人との戦いには勝つことができた。 しかし、ポイントは小人が巨人に勝つことではなく、なぜそもそも小人のダビデが巨人と戦わなければいけないのかが問題ということなのだろう。 勝ち負けの問題ではなく、アメリカの希望ある若い兵隊が戦争に赴くことに対する問題とその矛盾を示したという解釈をしたい。
[映画館(字幕)] 8点(2008-07-16 20:13:10)(良:5票)
177.  イースタン・プロミス 《ネタバレ》 
男の理想ともいえる世界が構築されている。 男性ならば、この世界に酔うことができるはずだ。 善と悪の世界の狭間に生きる男の、美しくも不器用な生き様に引き込まれるだろう。 悪の世界にどっぷりと浸っているために、もう善の世界に引き返すことの出来ない辛さを抱えるとともに、悪の世界の汚れた美しさの魅力にも惹かれてしまっている。 ヴィゴだけではなく、ワッツも危険なものに手を出さざるを得ない状況に陥っている。 男性におススメの映画だが、本作に描かれているのは性別を問わない美学かもしれない。 絶対的に悪でもなければ、絶対的に善でもない。 好きな女に好きといえなければ、放っておくこともできない。 好かれた男に応えるわけでもなければ、放っておくこともできない。 組織にハメられたと知りながら、認められたことを喜ばずにもいられない。 何もかもニュートラルな状態が本作の魅力かもしれない。 ニュートラルにすることによって、優しさと残忍さを併せ持つ男の相反する二面性のようなものがきちんと描かれていたと思う。 ナオミとのラストのキスシーンで善の世界を捨て切れていない感情を表し、ラストのレストランでのシーンで悪の世界も捨て切れない感情を表している。 この二つのシーンが、非常に良い対比となっているのではないか。 また、ヴィゴとナオミとヴァンサンの隠れ三角関係がいいスパイスとなっている。 ヴァンサンのナオミに対する攻撃的な姿勢がいい伏線となっているのかもしれない。 父親に対して頭が上がらないはずなのに、ヴィゴをハメた父親と喧嘩するということは、ヴィゴに対して相当ホレ込んでいたのだろう。 ヴィゴとナオミも良かったが、ヴァンサンもなかなかいい仕事をした。 好きな男がゲイかどうかを調べるために、彼にヤラせて、その最中をずっと見続けるというところに彼の倒錯した感情が上手く表れている。 注目のサウナでのバトルシーンはバトルに夢中になって、さすがにあっちには全然目がいかなかった。
[映画館(字幕)] 8点(2008-07-04 23:25:49)(良:1票)
178.  JUNO/ジュノ 《ネタバレ》 
作り物のような別世界のストーリーではなく、ナチュラルで身近に感じられる点が本作の良さではないか。 賞を狙って背伸びしてカッコつけるのではなく、ジュノたちのようにありのままの姿を自然体で描こうとしている点に好感がもてる。 本作には、映画やドラマにありがちな劇的な事件や劇的な変化があるわけでもない。 ただただ、それぞれの登場人物がゆっくりと前に向かって歩んでいこうとしているだけだ。 したがって、感じ方はなかなか難しいものとなっている。 つまらないと感じさせる部分は皆無だったが、「メチャクチャ感動した」「メチャクチャ面白い」「非常に共感した」というようなことはなかったのが正直の感想。 アカデミー賞で評価されるほどの作品かどうかはやや疑問だ。 ただ、男性と女性、又は年代(特にティーンかどうか)によって感じ方が異なる作品かもしれない。 個人的に強く感じたことは、人生においては失敗するということは何度もあるけれども、深く悲観する必要はないということではないか。 人生が完璧ということやパーフェクトということはあり得ない。 あの夫婦や、ジュノの父親も一度は失敗している。 失敗や何かを恐れて行動しないよりも、自分を偽らずにありのままの姿を晒して、自分らしく生きろということだろう。 あの夫婦のうち、夫の方はあきらかに自分を偽っていた。 そして、妻は夫に偽りの姿を演じさせることを強要していた。 自分らしく生きることができないと夫婦関係や恋人関係には歪みは生じるということなのだろう。 そんな欠点のある妻に、ジュノは自分の息子を託したのは、子どもを持ちたい・子どもを愛したいという彼女の気持ちには偽りがないとジュノは感じたからではないか。 彼女は子どもが欲しいという気持ちをありのままさらけ出していた。 分かりやすいコメディタッチの女子高生妊娠モノ映画と思われがちだが、演技・演出・脚本など、細かい部分を繊細に描かれているような気もする。 一般向けというよりも、やや玄人向けの映画と思われるので、自分には少々向かないところもあった。
[映画館(字幕)] 7点(2008-07-02 23:39:33)(良:2票)
179.  ラスベガスをぶっつぶせ 《ネタバレ》 
まさに起承転結通りの教科書映画であり、予想外には楽しめないが、予想通りに楽しめる。 友情あり、恋愛あり、親子関係あり、嫉妬あり、挫折あり、復讐ありのフルコースが描かれており、バランスも悪くはない。 ただ、“友情”以外は、どれもこれもやや中途半端に終わっており、“傑作”と手放しで誉める映画には仕上がっていない。  特に、本作のキーでもある「教授と主人公の関係」が弱すぎる点はもうちょっと補強した方がいいのではないかと思われる。 本作の描き方では、学生を利用するだけの強欲で冷酷な金にガメツイ教授としか映らない。それでは単純すぎるので、好ましくない。 師弟関係は磐石ではないものの、師弟の絆が相当に良好であることを示すエピソードをトレーニング中にもっと描いた方が、ラストのオチを考えるとより効果的になる。 二人の関係は良好だったが、感情に走らずマシーンのようになることを望む教授と、マシーンではなく、感情に左右される単なる人間であった主人公とのズレが彼らの関係にヒビを入れるということを上手く描いて欲しかったところだ。 教授をハメる作戦についても、しょせん教授も人の子であり、彼もまたマシーンではなく、ただの人間だったというような趣旨も加えてもよかったのではないか。 いくら大金を儲けても、チョコレートやシャンパンを盗んでしまうように、人間の本質は変わらないということを描く必要もある。  また、ブラックジャックがテーマでもあるので、ブラックジャックの勝負をもっと上手く描くことはできなかったか。 どんどんとコインが増えていくだけの演出は、はっきり言って二流の演出としかいいようがない。 カードカウンティングのシステムはよく分からないが、勝負すべきところと勝負すべきではないところを上手く描いて、彼らの神業的な凄さをより分かりやすく演出すべきだ。 そもそも本作の導入部分である「3つの扉の後にある新車とヤギ」のネタがピンと来ない描かれ方をしているのがもったいない。 カードカウンティングの説明を映画の中で事細かく描くことはできないので、こういったネタを一つだけでもしっかりと押さえておけば、その後のストーリーはなんとかなるはずだった。
[映画館(字幕)] 7点(2008-06-16 01:27:33)
180.  インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 《ネタバレ》 
再びインディ・ジョーンズと冒険を出来るのは、喜ばしいことだ。 過去のシリーズで良かったアイディアを流用している部分があり、好ましいと感じられるところもあった。 しかし、肝心の冒険の内容はあまり好ましいものではなかった。 ストーリーは分かりにくいものではないが、あまりに変な方向に大きく膨らましすぎて、付いていけない。付いていくことができないのではなく、付いていきたくないというストーリーだ。 あり得ないようなストーリーが本シリーズの特徴でもあるが、今回ばかりはちょっと間違えた方向に進んでしまったのではないか。 そういった存在をぼやかす程度ならば許せるが、ここまでモロにやられるのは困惑する。 また、キャラクターも多数登場するが、誰も使い切れていないのが問題だ。 敵役のケイト・ブランシェットは頑張っているものの、全体的に出番が少ないため、魅力や存在感が薄い。悪役としては合格点とは言い難い。彼女よりも「最後の聖戦」のエルザの方にまだ魅力があり、もっとイヤらしさを醸し出して欲しかった。 シャイア・ラブーフもロープアクションやバイク、ナイフなど頑張っているものの、こちらも存在感が少々薄すぎる。母親マリオンとインディの恋愛にヤキモチを焼く子どもっぽさは悪くないが、出番が足りない。 親が子のために、子が親のために命をかけるような展開に出来なかっただろうか。 親子愛という要素をもうちょっと工夫すれば、いい展開になった。 マリオンの同行は許せるが、マックとオクスリー教授は本当に必要なキャラクターなのかと問いたくなる。どちらにも確かに重要な役割はあるが、脚本を工夫すれば同行させる必要はない。同行させるならば、それ相応の役割を演じさせるべきだろう。 マックのとって付けたような退場のさせ方は酷すぎた。 主役であるハリソン・フォードのアクションは悪くないが、還暦近い考古学者のオヤジが殴り合いで屈強の兵士に勝つという設定よりも、歳を取ったなりにもっとアタマを使ったクレバーさやスマートさも身に付けて欲しいものだ。 アクションはもっとシャイア・ラブーフに任せてもよかったのではないか。 全体的に既視感のある演出・ストーリーであり、目新しさを感じることができない。 キャラクターも魅力ある活躍をせず、ストーリーもおかしな方向に進んでしまったため、高い評価はしにくい作品だ。
[映画館(字幕)] 6点(2008-06-15 02:54:11)(良:1票)
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