1. 橋(1959年/ベルンハルト・ヴィッキ監督)
《ネタバレ》 派手な戦闘シーンは全くない。「勇敢にたたかってカッコよく死ぬ」のと対極にあるような、どうしようもない死に方ばかりしていく。しかし実際にはそういう死の方が多いのであろう。 ■前半はやや退屈。子供たちに感情移入させるためにはある程度は必要なのは分かるが、わりとダレる。妙な色恋沙汰とかは趣旨に沿わない気がする。 ■後半は一転して戦場に放り込まれる。お話の中でしか知らない「勇敢にたたかう物語」から一気に現実に引き戻され、戦場にあるのは無様な死か無様な生でしかないことを思い知らされる。「戦争は遊びじゃない」という一喝がすべてであろう。 [DVD(字幕)] 8点(2013-11-16 23:34:02) |
2. 追想(1975)
《ネタバレ》 ナチスドイツ下のフランス、妻子を村に疎開させた医師が、遅れて村に着くと子供は撃ち殺され、妻は目の前で火炎放射機で焼かれるという目に遭い、復讐に燃えてドイツ兵を一人ずつ殺していくという話。 ■復讐に転じた主人公が、兵士相手に強いのは、城の秘密を知り尽くしているから、という設定は面白いアイデア。ただしそうすると、顔を洗っているときに兵士に銃を突きつけられた後、普通に闘って勝てているのはなんかおかしい気がする。また、途中から敵兵士の人数がやたら減った気がするのは気のせいだろうか。 ■確かに壮絶なんだけれども、タイトル通りロマンスの回想のウェイトが多く、いささかテンポが悪くなっているように思った。現在と関係のある回想(教会とか、散弾銃とか、鏡とか)はまだしも、関係のよく見えない回想シーンを挟み込むのは展開を悪くしてるだけに思う。 ■城の秘密を利用するというわりには動きまわっているだけであまりうまく利用している気がしない(特に中盤)。もっと仕掛けめいたものを使う方が面白かったように思う。回想を挟むなら、もっと現在の戦いと結び付けた方がよかった。素材はよかっただけに残念 [DVD(字幕)] 7点(2013-08-26 00:51:05) |
3. ストーカー(1979)
《ネタバレ》 この映画は、徹底して「描かない」ことによってゾーンを描きだすという逆説的手法をとっている。ただ淡々と、そして部分のみを描き出すことで、観客は己の想像力で周りの空白を埋めていく。そう、それはまさにゾーンの「部屋」の構造と同じである。「部屋」は自分の無意識(本性)を表に出す部屋であるが、それは自分の想像=本性が埋めていく「周りの世界」そのものである。 最も身近でありながら究極の謎、自分の真の存在を知ることのできる「部屋」。ストーカーはそれを特権的なものと認識し、ゾーンに依存してしまう。だが作家と教授は「自分」を謎に包むことによってリアルを生きる方を選択する。真実はときに残酷であり、認めがたい。だから「部屋」は封印される。 しかし信じがたいことも起こる。最後の「奇跡」はリアルに生きるしかないわれわれに一片の希望を見せている。 しかし長い! [DVD(字幕)] 7点(2010-07-11 23:40:18) |
4. パリ、テキサス
《ネタバレ》 何だかわからないけど、いい映画。 あのまったりした流れで2時間半飽きなかったから、なかなかのものでしょ。 うまく言い表せないけど、人生というものを感じさせられた。 あと、画がきれいでした。 [DVD(字幕)] 9点(2008-09-18 19:18:48) |
5. 戦争のはらわた
《ネタバレ》 ある意味戦争映画の最高峰。 いわゆる「反戦」じゃなくて、ただひたすら最前線が描かれている。 まさしく「人がゴミのようだ」といわんばかりの死に方が、これでもかとばかりに映し出される。さすがはペキンパーだ。彼のバイオレンスが余すとこなく生かされているように思われる。 そして漢が存分に描き出されている。 「結局、戦争ってこんなんだよ」といわんばかりの後半。 命からがら帰っていった自陣で待っていたものは・・・あまりにも悲惨だね、あれは。 だからこそ将校を打ち殺すシーンが光っている。 貴族崩れも蜂の巣にしてほしいところもあるが、ああやって醜態をさらさせて死なせるというのもありなんだろうな。ただやっぱり自分なら撃ち殺すが。 ラストの高笑いが徹底した軽蔑を象徴している。あの笑いに深い意味は読み取らなかった。 [DVD(字幕)] 7点(2008-08-12 23:14:05) |
6. 暗殺の森
《ネタバレ》 はっきり言って意味不明。だらだらと時だけがすぎていく。最後は何?、妄想?、狂気?、個別カットを適当につないだようにしか見えない。 リンチはもともと無意味そうに見えるからいいけど、これは見かけだけ有意味っぽくて実は何にもない。 ここでの高得点が不思議。 [DVD(字幕)] 2点(2008-03-03 20:13:19) |
7. U・ボート
《ネタバレ》 名作らしいが、だらだらとしていてあまり楽しくなかった。最後もあれだし。クリムゾンタイドは面白かったんだがなぁ。やっぱそういう系か。 [地上波(吹替)] 4点(2006-12-26 22:08:43) |
8. 合衆国最後の日
《ネタバレ》 命がけで大統領だけは守る映画がほとんどの中で、大統領も所詮雇われた象徴、みたいな扱いをするのは衝撃的。 ただ、パッケージ見てる限り大統領を人質にするというのがヤマかと思っていたが、そこはあっさり通って機密文書公開の方がみんな抵抗するんですね。まさにアメリカです。 そしてラスト、絶対に、絶対にありえないと思っていた展開に凍りついた。よくまあこんなラストにしたもんだ。 [DVD(吹替)] 10点(2006-12-19 08:51:01) |
9. カサンドラ・クロス
《ネタバレ》 電車という地味な道具ながら、最後までしっかりと見せきってくれる。 1000人を抹殺という軍の姿勢、それを必死に食い止めようとする医師や乗客。犯人が伝っていくときにはホント「見るな」でしたし、銃撃戦のときも「出てくるな」だった子供に腹が立つぐらい、みんなに感情移入していた。「後ろだけでも助けるしかない」というのは、あまりに厳しい決断であった。 [DVD(字幕)] 8点(2006-12-18 23:43:02)(良:1票) |