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1.  飢餓海峡 《ネタバレ》 
物凄い重圧感!これこそ映画です。「飢餓海峡、それは日本のどこにでも見られる海峡である。その底流に我々は貧しい善意に満ちた人間のどろどろした愛と憎しみの執念を見る事が出来る」というナレーションで始まる物語通りの人間の善意とは何か?三国連太郎演じる犬飼多吉が二人の仲間と犯罪を犯した後、本州の土を踏む前半の物凄いリアリズム、ダイナミックな展開の凄さ、素晴らしさ、あの津軽の海峡の壮大なる景色、荒れ狂う大波の中、傾く船、この描写の凄さ、スケールの大きさに圧倒させられる。犯罪を成功させた犬飼多吉が出会った女、杉戸八重(左幸子)が美味そうに食べているおにぎりを美味そうに見ている犬飼多吉の姿に人間の持っている欲望、食欲という欲の姿が見てとれる。あの場面こそ人間の飢え、正しく飢餓海峡とタイトルにあるように人間の飢えている姿というものを感じることが出来る。犬飼多吉との出会いにより一人の男を知った杉戸八重、また一方で八重との出会いがその後の人生を更に変えることとなる犬飼多吉、多吉が己の過去を忘れようと名前を変え事業を成功しかけていた矢先に多吉にとっては忘れていた女、八重が十年前の礼を言いに来た後のここでの左幸子の演技が物凄い。この映画を見ると役者とは何か?演技とは何か?と色々考えさせられる。とにかく役者の演技の素晴らしさにより人間の善と悪、その全てが物凄いリアルに迫ってきて圧倒させられぱなしのままあっという間に3時間もの時間が過ぎてしまうぐらいの物凄い映画!ラストのあのお経のような音楽と八重のお参りを船上からする場面、海の中へと自ら落ちて死を選んだ犬飼多吉の姿に自分の犯した罪の深さを感じられずにはいられない。何とも重く切なくそして、やるせなさ、余韻の残る人間ドラマの大傑作!文句無しの満点!
[DVD(字幕)] 10点(2005-06-27 23:24:39)(良:2票)
2.  君と別れて 《ネタバレ》 
何と切ない別れの映画だ!この映画は何と言っても水久保澄子演じる照菊のものだ。彼女が見せる眼の演技、表情、仕草と、どれを取っても画面に釘付けになってしまい、一瞬足りとも、目が離せません。とにかく美しさと可愛さの両方を持ち合わせていて、それだけであっという間の1時間が過ぎてしまいました。もう、何度でも言いたい。言わせてください。水久保澄子、水久保澄子、水久保澄子、義雄の為に身体を張って不良達に刺され、病院のベッドの上から義雄を見る眼、美しい瞳、その全てが美しい。ラストの駅の別れのシーンの切なさ、余りにも切ない別れだが、見終わった後、水久保澄子にもう一度、会いたくてまた最初から見てしまいました。映画の初めの方で出てくる中山競馬の本を見て、今年もそろそろそんな季節か!メジロパーマーの逃亡劇以来、一度も当ててない有馬記念、いつになったら私の連敗は止まるのだろう?色んな意味でこの映画は切ない。そして、久しぶりに観る成瀬巳喜男監督作品、しかも、サイレント映画の成瀬映画は私にとっては凄く新鮮!久しぶりの成瀬映画も、相変わらず素晴らしくてこの監督は私にとって少なくとも日本映画の5人に入る好きな監督である。
[インターネット(邦画)] 9点(2020-11-20 19:59:25)(良:1票)
3.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
まずは最初に、舐めてました。評判が良いけど本当?ぐらいにしか思ってませんでした。たまっているポイントで無料で見て来たけど、もう一度観たい。必ずもう一度見に行く。そのぐらい良かった。何が良い?て言われると、夢の中で入れ替わってしまった二人が面白い。そして面白いだけで終わらない刹那さ、前半のコミカルな展開から後半の想像もしてなかった重苦しく、刹那い物語に心を引き裂かれる思いがしました。この作品の凄い所は時間軸の描かれ方、一つの事故、それをどのようにして防ぐか?とても考えられない様な方法での信じられない展開の前にこれは、アニメだからこそ可能な方法で見せる事に成功しています。あんなの実際にやったら、大問題です。所で中身は瀧だけど身体、見た目は三葉になって何度もおっぱいを揉む瀧の気持ちは同じ男として痛い程、解り過ぎて、凄く、刹那い。そういう刹那さを深め、色んな意味でこの作品は刹那さいっぱいの作品です。
[映画館(邦画)] 9点(2016-08-27 16:18:44)
4.  彼奴(きゃつ)を逃すな
こいつは面白い。知り合いからのオススメ映画てことで以前、CSで放送したらしいのを録画してあるというビデオを借りて来て見たけど間違いなく傑作!まずは木村功に志村喬に土屋嘉男に宮口精二、何たるメンバー!この名前を見て真っ先に黒澤明監督の「七人の侍」を思わずにはいられない。そこにきて、津島恵子である。もうどう考えても「七人の侍」しか最初に浮かばない。オープニングの電車に合わせたかっこ良いタイトルの文字、そして物語は前半は犯人の姿が解らない、見えない犯人からの脅迫に怯える恐怖に後半は目の前の犯人がいる中でのどうやって逃げだそうかという緊張感、とにかく最初から最後までダレることなく進むのでハラハラしっぱなし!それにしても、津島恵子の可愛いこと、可愛いこと!この監督、噂には聞いていたけど他にもまだまだ凄い作品が幾つもあるらしい。中でも私は司葉子主演の「その場所に女ありて」が見たい。物凄く見たい。まあ、それはさておき、この映画の緊張感は最近の映画じゃなかなか味わえない本物の映画俳優達による演技合戦と凌ぎ合い、モノクロの画面と汽車の走る瞬間の揺れ動く木造の家だの、そしてこの時代の庶民の暮らしぶりも味わうことも出来て、とても興味深く見る事も出来た。しつこいようだが傑作!傑作!こういう作品こそ多くの方に見て欲しいし、見せてあげたい。DVD化を希望!こんな傑作を眠らせておいては勿体無い。 
[CS・衛星(邦画)] 9点(2008-12-22 22:17:11)(良:1票)
5.  狐の呉れた赤ん坊(1945) 《ネタバレ》 
いやあ~参った!これは本当に泣ける。どこをとってもチャップリンの「キッド」を思い浮かべずにはいられない。阪妻の魅力がぎっしりと詰まっていてとにかく泣けるのだ!思わぬ形である時、赤ん坊を拾ってきた阪妻演じる寅さんが仕方なく子供を育てることとなるのだが、全編に渡って阪妻の魅力、優しさ、それは子供の面倒から子供と遊んでる時も、更に更に6年という長い間、子供を捨てたままでいながらのこのことやって来て返して欲しいと言う本当の父親やその仲間のお侍さん達に対して、今更、何をみたいなことを言って怒る時のあの顔つき、阪妻の子供に対する優しさがとにかく観ていて泣けるのだ!最後、子供を肩車して歩く阪妻の表情ときたらもうたまりません。本当に良い顔していて、私はそれだけで泣けてきた。あっ!そうそう、この映画の中でもう一人、いや、正確には二人だな!7歳の善太を演じている沢村アキヒコ(後の長門裕之)と、おときを演じている橘公子という女優の美しさも印象的なとにかくこれまた阪東妻三郎の代表的傑作の一つです。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2007-05-06 14:50:48)
6.  喜劇 とんかつ一代
タイトルにもあるようにいきなり豚の映像を大きく見せて強烈なほどの印象を植え付ける。川島雄三監督らしい始まり方に自然と画面の中へと引きずり込まれていく。とんかつをネタとして、一本の映画を撮ってしまうなんて流石です。森繁久彌、フランキー堺に加東大介、そして、三木のり平とまるで「社長シリーズ」に「駅前シリーズ」のような面々が繰り広げるギャグの数々、特に三木のり平のクロレラの研究者の凄さ、やはり三木のり平、もしかしたら日本映画史上で最も笑える人物ではないかと思うぐらい凄い。他にも川島雄三監督作品の常連と言って良いメンバー達のとんかつととんかつ屋の経営を巡る駆け引き、川島雄三監督らしいテンポの良さで飽きることなく観れる。それにしてもこの作品の団令子の色気は一体?これまた川島雄三監督らしい人間の描き方、また一つ川島雄三監督作品で面白い映画を観た気がする。 頼むからこの作品も「人も歩けば」「とんかつ大将」同様、DVD化してくれ~!森繁久彌のあの歌、CDあるのかな?あったら欲しい。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-09-16 08:45:28)(良:1票)
7.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 
うわあ~何か物凄いものを観てしまった気がする。この映画、内容はとんでもなく悲惨な話なのに、何故だ?最後の方なんて感動してしまった。松子の妹(市川実日子)の「お帰りなさい!」と松子(中谷美紀)の「ただいま!」には完全にやられました。不覚にも涙してしまった。まさかこんな暗くて悲惨な物語に感動するなんて、予想もしませんでした。松子の女性としての愚かさ、したたかさはまるでどこか「風と共に去りぬ」のスカーレットの様だ。本当は物凄く心の弱い人間なのに強そうにふるまうその姿は正しくスカーレットそのもの!そして、そんな松子の不幸な人生を演じた中谷美紀のあまりのぶっ飛んだ演技に、私の脳裏はがつんとやられました。これだけの不幸な物語を監督の中島哲也監督は素晴らしい映像の数々、あまりの不幸な物語をまるで一種のファンタジー映画の様に描く辺り、本当にお見事としか言いようがありません。早くも今年の洋画も含めてのナンバーワン候補に会った気がする。10点でも良いぐらいの本当に凄い映画ではあるけど、「火曜サスペンス劇場」の片平なぎさはちょっとやり過ぎの気がするので、マイナス1点!しかし、間違いなく私の中では2006年を代表する傑作の一つであることだけは変わりません。
[映画館(邦画)] 9点(2006-06-03 19:20:20)(良:4票)
8.  Kids Return キッズ・リターン
たけし作品でどれか一本だけ挙げろと言われたら迷わずこの作品を挙げます。北野武監督作品の最高傑作!ほとんどの方が既に書かれているように何と言ってもこの映画、ラストシーンが最高です。 あの最高のラストシーンのお陰で、多くの人達がまだまだやれる。どんなに傷つこうが、立ち向かう姿勢さえあればやれるんだということを教えてもらい勇気付けられた気がします。間違いなくたけし作品の最高傑作であって青春映画の傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2005-06-02 22:28:51)(良:2票)
9.  君も出世ができる 《ネタバレ》 
やっと見ること出来た。以前、CSで放送して録画してると言う親戚から借りて見たけど、フランキー堺が最初に筋トレしながら歌いながら出てくる所からノリノリで、そんなフランキー堺の魅力で通す映画て気がする。出世できる〜できる〜と歌うフランキー堺、フランキー堺に釣られる様に社長の見送り、お迎え、社長が戻ってからのミュージカルシーンで一斉に踊り出す会社の人達、良きハリウッド映画のミュージカル映画を見てるような気持ちになります。アメリカでは〜アメリカでは〜て、アメリカ人が見たらどう思うのか気になります。アメリカ人は本当にコカコーラで顔洗うのか?高島忠夫の歌も初めて聞いた気がする。アメリカ人を沢山乗せた観光バスでのやりとり、高島忠夫がアメリカの観光客2人に英語でサービスは無料と説明するも、社長の娘からは良い気にはされなかったり、何度も名前を間違えて言われたりとちょっと気の毒だけど、シャワー浴びてる最中に電話で呼び出されたり、しかも、そのままで良いからて言われた後のやり取りの楽しさや作品全体に漂うどうにでもなるみたいな雰囲気もこの映画の魅力です。最後までアメリカでは〜て頭から離れなくなってしまいます。日本ミュージカルながらハリウッド映画でも見てるんじゃないかて錯覚になるぐらい陽気です。フランキー堺の風邪引いた時の様な声の出し方がお相撲さんみたいで笑える。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-02-18 18:50:39)
10.  キングコング対ゴジラ 《ネタバレ》 
キングコングとゴジラと誰もが知ってる二代怪獣をどう戦わせるのか?と思っていたら何と眠らされたキングコングが上空を黄色の風船みたいなもので移動。そして、運んでいる途中で薬が切れて眼が覚める。その時の嫌がる姿の可笑しなことといったらない。キングコングを目覚めさせる時のあの島の住民達の変な踊りもやたら可笑しい。これは完全にコメディだと思って観ることにしよう。そうすれば全て笑い飛ばせてしまうほどとにかく変な魅力で笑えて面白い映画として評価も出来る。コジラの後ろから不意打ちのように突如現れるキングコング、ゴジラもまたやはり一番最初のあの大傑作のような恐ろしさも見せてくれる。カラーなのがちょっと残念ではあるが(だってモノクロの方が怖さがより強調されるだけに)キングコングとゴジラの対決を実現させてしまう試みに、そして、ラスト海の中へと消えて行くゴジラに監督がゴジラ映画生みの親である本多猪四郎監督からの全てのゴジラファンへのオマージュを思わせるシーンで締め括る。良い終わり方です。それにしてもこの映画での日本人キャストの面子は何だか「社長」シリーズや「若大将」シリーズや植木等の映画を思わせるし、そんな中でも有島一郎の可笑しさは際立っており、本来なら主役であるはずのキングコングとゴジラをも食ってしまっている。最後にこの映画を初めて観る方へ、これから観る方へくれぐれも食事しながら観るのは止した方が良い。特にタコ料理は禁物です。
[DVD(邦画)] 8点(2011-12-07 21:13:55)(良:1票)
11.  喜劇 女売り出します
やっと、見つけたあ!これ、ずっと前から見たかった映画の一つで、森繁久彌、やはりこの俳優が動く。しゃべる。もう、何だかそれだけでも見ていて楽しい。そんな森繁久彌ともう一人、市原悦子、この二人が経営するストリップ劇場、そこに集まってくる連中との何てことのない、会話、その中には人間の欲やら、哀しさ、空しさがきちんと描かれている。人間らしく生きるということ、それをストレートに描くこの森崎東監督の演出を見ると、この監督が喜劇の監督としての上手さ、松竹映画的な笑い、それは「男はつらいよ」の脚本を手掛けたり、後に「釣りバカ日誌」も書いてたり、監督するというその話の持っていき方、人情映画としての上手さがこの映画を見ていると感じられる。脇を固める俳優陣も芸達者で個性的なメンバーが揃っていて、それだけでも十分に楽しめる。そして、やはり森繁久彌、日本映画は改めてこれほどの偉大なる名喜劇役者に対して、亡くなってから国民栄誉賞とは、渥美清同様、何故生きているうちに与えないんだ?て思う次第でありまして、良い俳優を失ったこと、その大きさを感じずにはいられない。最後にもう少しだけ言わせて欲しい。森崎東監督って、もっと評価されても良い監督であると声に出して言いたい。
[ビデオ(邦画)] 8点(2010-02-17 21:44:34)
12.  侠骨一代
こんなメソメソしている健さんも良いねえ!やたら気取っている奴よりはこういう健さんのような男の方が私は好きだ。既にぐるぐるさんが書かれているようにここでの健さんはとにかく最初から何か様子が違う。この作品、任侠映画なんだけど、どちらかというとメロドラマ的要素が強くて、そんなメロドラマを撮らせてもマキノ雅弘監督は上手い。そして、ここでもまた健さん同様、藤純子が良い。あの何とも色っぽい牛乳の飲み方といったらない。健さんと藤純子、マキノ映画におけるこの二人はやはりどれを見ても安心して見ていられる。まあ、ある意味安定しきっているので、物足りないと思う人もいるかもしれないけど、私にはこの安定感、安心感が好きである。勿論、任侠映画としてのお決まりのシーン、殴り込みシーンも迫力十分!マキノ雅弘監督に高倉健主演にヒロインに藤純子、外れるはずがありません。
[ビデオ(邦画)] 8点(2009-10-20 21:57:28)
13.  銀嶺の果て 《ネタバレ》 
これは黒澤映画=黒澤映画と言えば昔の日本映画ファンにとっては明で決まりである。の特徴である男と男のドラマであり、役者の魅力に尽きる映画と言っても良いぐらい三船敏郎のギラギラした悪人ぶりとそれとは対照的に心優しき悪人でありながらも一人の可愛い女の子の前に人間的な心を開く男を演じている志村喬の二人がとにかく素晴らしい。そして、もう一人の共犯者を演じている小杉義男を観ると私はマキノ雅弘監督が撮った「次郎長三国志」シリーズを思わずにはいられなくなるのである。それはスキー小屋の娘、若山セツ子も同じである。それとこの映画の助監督に本名岡本喜八郎(岡本喜八監督)の名前があるが、これもまた「次郎長三国志」シリーズの助監督としても有名であるので、そういう意味でも何とも興味深く楽しむことが出来た。三船敏郎をはじめとする三人の悪人がスキー場で出会う一人の少女、若山セツ子の初々しさの前に次第に人間らしい何かを掴んでいく。三人が犯罪者であるなんて全く知らずに無邪気に「ヤッホー!」「ヤッホー!」と連呼する若山セツ子の何と言う初々しさ、健気さ、若山セツ子という女優の持っている初々しさが私はとにかく好きでたまらない。ラストの志村喬とのやりとり、蜂蜜をもらって見せる志村喬の笑顔の素晴らしさ、あの音楽がこれまた切なくて、まるで志村喬と若山セツ子の二人の別れ、雪の降る中での若山セツ子の見送る姿と見送られて去っていく時の志村喬の背中からは物凄いオーラ、男の哀愁が漂い、背中で演技の出来る数少ない俳優の一人である志村喬という俳優の凄さは「無法松の一生」の阪東妻三郎演じる富島松五郎や「男はつらいよ」シリーズの渥美清に匹敵するぐらいのものを感じます。アクションもの、サスペンスとして見てしまうと少々物足りないものの、人間ドラマとしての見応えは十分で、これは完全に黒澤明監督脚本の勝利と言っても良いぐらい(勿論、谷口千吉監督のダイナミックな演出も忘れてはならない)が、黒澤映画が本当に良かったと思える頃(三船敏郎、志村喬の二人のいる黒沢映画はどれもが本当に面白かった。素晴らしかった)のギラギラした感じが観られる映画になっている。そして、最後まで私には若山セツ子の「ヤッホー!」と笑顔に蜂蜜を美味しそうに飲む姿が忘れられない。忘れられないと言えば高堂国典の親父も忘れられないぐらいの凄い印象を残します。
[DVD(邦画)] 8点(2009-08-29 22:24:43)(良:1票)
14.  切られ与三郎 《ネタバレ》 
美しい!まず何よりも最初に出てくる言葉は美しい!これに尽きる。宮川一夫撮影のカメラの相変わらず美しさに、そして主演市川雷蔵と市川雷蔵を惑わす、誘惑する女、中村玉緒の美しくて可愛い女ぷりに眼を奪われる。全身傷だらけになりながらの市川雷蔵、あの三味線の見事な腕前と歌声、全編歌舞伎の世界を感じさせるいかにも日本的な味わい深さ、画面からほとばしるエネルギーと美しさ、この美しさよ!この美しさは日本映画にしか表現出来ないであろう!これまた狂四郎とは一味も二味も違う市川雷蔵の美しくてかっこいい代表作間違いなし! 
[ビデオ(邦画)] 8点(2009-07-01 22:21:33)
15.  疑惑(1982)
ここ何年もずっと思ってることの一つに俳優の演技で見せることの出来る映画が少なくなったと思う今日この頃、1980年以降、本物の役者魂、女優の凄みで観ることの出来る数少ない作品がこの映画だと思うぐらい二人の女優、桃井かおりと岩下志麻の演技、醸し出すオーラ、凄みというものにとにかく圧倒させられぱなしで、ぐいぐいぐいと引きずり込む力強さ、桃井かおりって女優さん、私は苦手だし、嫌いではあるが、この映画のあの役はこの女優に正しくぴったりの役ではないかと思うぐらいのはまり役!夫の通夜の日に一人だけ派手なかっこでやってくる所からして、この映画の凄さが見ることが出来る。法廷シーンにおける女と女の戦い、そして、不利な証言に対して見せるあの桃井かおりの演技、暴れぷり、見ていて本当になんて嫌な女だ!こんな女はとっとと有罪にして死刑にしちまえと言いたくなるぐらいの嫌な女を演じているが、この女優だからこそ出せる嫌な女ぷり全開、とにかく見ていて腹が立って仕方ないものの、犯罪映画としても裁判映画としても面白いこと面白いこと!この映画を見て私はいくらお金の為といえ、絶対に弁護士なんて職業にはなりたくないと思ったのと(最も頭の悪い私には弁護士になることなど無理だろうけど)男の弱さ、だらしなさと女の強さ、恐ろしさというものを知らされた気がして、あぁぁぁ~やっぱり女って恐ろしい生きものだと思わずにはいられません。
[ビデオ(邦画)] 8点(2008-10-13 13:12:34)(良:1票)
16.  魚影の群れ 《ネタバレ》 
この映画を一言で表すなら「壮絶」て言葉で表したい。緒形拳と佐藤浩市の二人の男のもたらす一騎打ち、漁師としてのプライドをかけた男とそんな男を慕う男の闘い、愛する女の為になら頭を下げ、どんなことにも耐え、少しぐらいのピンタも耐えて見せる男、そして、二人の男に関係する女、父親への愛と愛する青年への愛、待つ女を見事に演じて見せてる夏目雅子の存在があればこその作品になっていると言っても過言ではないぐらい夏目雅子という一人の本物の映画女優の存在が大きい。緒形拳と佐藤浩市が船に乗ってマグロを釣りに行く。あの釣り糸が間違って佐藤浩市の顔へと行く場面の凄まじいことといったらないぐらい漁師という職業の厳しさ、辛さが物凄くリアリティーを持って伝わってくる。半端じゃないぐらいの映像的な力強さ、それはオープニングのあの長回しからしてこの監督らしい力強いショットとして現れている。夏目雅子が自転車に乗って坂道を下ってくるシーンにおいても映画的な力を感じることが出来る。夏目雅子というこの女優の持っている魅力、男に対する態度、待つ姿、そして、やはりあの日傘、夏目雅子に日傘、森崎東監督の「時代屋の女房」の中でも日傘姿の彼女が映し出されるが日傘がこれほど似合う女優は果たして他にいるだろうか?ただ見た目が可愛いだけでない、きちんとした演技力を持っているこの女優の若くしての死は本当に不幸である。映画史において各年代事に必ずその時代を映し出す本物の女優がかつての日本映画にはいた。少なくともこの映画が撮られた1980年代において最も女優らしい、それでいて、誰でも親しみの沸くことの出来る女優は夏目雅子で決まりである。この映画は男と男の格闘であると共に女も女で男達と共に何かに向って戦いを求めているような感じがしてならない。いずれにせよ、夏目雅子がいる。彼女がいるといないではここまでの作品になったであろうか?僅か27年という短い人生においてまた短かった映画人生において夏目雅子の代表作であると共にこれもまた若くして亡くなった相米慎二監督の代表作の一つであると思います。
[DVD(邦画)] 8点(2008-09-06 14:29:25)(良:2票)
17.  銀座化粧 《ネタバレ》 
やったあ!やっと見れたよ。長い間、探しに探し求めていたこの映画のDVDをようやく見つけることが出来たので買ってきた。これは成瀬巳喜男監督の映画の中では比較的、知名度は低いのかもしれないし、地味と言えば地味ではある。例えるなら川島雄三監督の「とんかつ大将」や同じ銀座が舞台の「銀座二十四帖」のような知名度は低くても心に残る。そんなタイプの映画だと思います。例え地味であっても、しかし、やはり上手い。相変わらずこの監督の映し出す風景の素晴らしさ、銀座の街並み、昔の銀座の感じが本当に見ていて漂う素晴らしさ、時折流れる三味線の音、夜中に店にやって来る花やお土産を売りに来る子供達、この時代は今とは違って子供も大人と混じって働かなければ食べてはいけないというようなものが伝わってきて、やはりそういう描写にしてもこの監督さんは時代背景やその時の何気ない雰囲気作りというものの描き方に毎度ながら感心させられる。田中絹代のいかにも昭和的な雰囲気漂う女将さんぶり、更には何と言っても香川京子!香川京子が画面に出てくると、それだけで周りの雰囲気も和らぎ、そして、見ていても心がほっとする。あの笑顔、口元のゆるんだ時の顔付き、どれもこれもたまりません。 また他にも田中春男が他ではなかなか見られない真面目な男を演じているのも新鮮だし、三島雅夫にしても川島雄三監督の「雁の寺」のあのスケベ坊主からはとても想像の出来ない普通のどこにでもいるような親父さんを演じているのも「おかあさん」同様に新鮮さを感じる。いずれにしてもこれまた成瀬巳喜男監督らしい時代を映すことに関して上手い一本になっていると思った。
[DVD(邦画)] 8点(2008-02-03 10:51:10)(良:2票)
18.  昨日消えた男(1941)
マキノ正博生誕百年の今年、なかなか見ることの出来ないこんな映画、貴重な一本を今夜めでたく見ることが出来た。流石はマキノ正博監督です。僅か九日間で一本の映画を撮ってしまうとは、それもただ早いだけじゃない。早い上に面白い。そこがこの監督の凄さ、偉大なところです。まずは冒頭のあのロングショット。雨のシーンの静けさから始まって、あっという間に物語の中へと入って行けるテンポの良さ、主演の長谷川一夫と山田五十鈴のやりとり、掛け合い、あのカンカンの振り付けを見せる長谷川一夫のコメディアンぶりには新鮮さを感じ、また脇役に眼を向ければ高峰秀子のあまりの可愛さ、他にもマキノ映画らしい一人一人の個性的な演技と相成って脚本の面白さを失わせることなくこのようなテンポの良い話を僅か九日で完成させるとは、いやはや、本当に頭が下がります。マキノ正博見ずして日本映画を語るなかれ!そして、同じ日本人としてマキノ正博という素晴らしい監督がいたことに誇りを持ちたいと思う。 
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 8点(2008-02-02 22:49:32)
19.  銀座二十四帖 《ネタバレ》 
さて、さて親戚に借りて来てもらった「風船」に引き続き勢いに乗って川島雄三監督のこの作品も鑑賞!で、個人的には「風船」より私はこっちの方が好みです。タイトルにもなっている銀座の街並み、風景、昭和三十年代の銀座とはこんな感じたったりするのかなあ?と何だか観ていてそんな雰囲気を十分に感じることが出来た。森繁久彌のナレーションと歌声、やはりこの人「喜劇・とんかつ一代」でも披露しているように歌もなかなかのものです。そんなこの映画、いかにもフランス的な何ともお洒落な雰囲気十分の見応えのある内容に私は満足です。あの名作「第三の男」のパロディも面白かった。そして、相変わらずこの監督の描く女性像、映し出す女性の魅力的なこと!川島雄三監督は女を撮らせても上手い。月丘夢路の異常なまでの美しさ、北原三枝にしても若くて元気で魅力的です。あっ!もう一人、浅丘ルリ子演じるルリ子も可愛い。大した話でもないとは思うのに、これだけ面白く見せることが出来るのは、やはりこの監督の才能の証であると言っても良いだろうし、これは川島雄三監督にしては爆発的なものは無いにせよ、私は十分、楽しむことが出来たので良いと思います。
[ビデオ(邦画)] 8点(2007-07-16 23:04:59)(良:1票)
20.  祇園の姉妹(1936)
溝口健二監督という人は本当に女を描くのが上手いと改めて思った。芸者の世界に生きる一人の女の世界をこうまでして、力強く描く。流石です。芸者に生きる者でも単なる芸者としてでなく、一人の人間として、きちんと描いている。感心させられます。溝口健二監督らしい構図の美しさ、画面構成の巧みさ、溝口健二監督が一流の監督と言われる要員の一つにある構図の見事さとリアリズム、これぞ溝口映画の基本だとこの映画の中でも感じることが出来ます。話としてはかなり古い気がするものの、それでもやはりこの作品の完成度の高さは役者の演技とその演技を映し出すカメラワークとによって見応えのある作品として観ることが出来るし、どのシーンにしても今の日本映画には見習って欲しいと思うほどの美しさと力強さがあります。それにしてもこれだけの愛憎劇の中で見せる当時、若干19歳の山田五十鈴の演技の素晴らしさ、美しさが光ります。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2006-08-31 19:39:02)(良:1票)
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