1. 傷だらけの山河
山村聡といえば我々年代からすると、ホームドラマの理解ある良き父親というイメージが強い。だから、大勢の女を妾に持つ悪党役にはおよそ不向きと思っていた。ところがどうだろう、この映画ではぴったりなのだ。金の力にものをいわせ次から次へと事業を拡大しまくる手法があくどいを通り越してご立派。何もない安い土地を買い占め、電車を走らせる噂を流し地価を高騰させ、その土地の半分を売って線路を敷く資金を作る。駅もまた何もないところに作って新しい街作りをする。それは私利私欲のためではなく、多くの人々の暮らしが良くなるためだという持論は、ある意味すごく納得がいく。高度成長期の事業家は皆似た者だっただろう。その裏側にあるものを、主人公は考えることができなかったということだろう。 [DVD(邦画)] 8点(2018-04-24 11:39:02) |
2. 君の名は。(2016)
「君の名は」といえば、佐田啓二の春樹と岸恵子の真知子が思い浮かぶ世代にとって、こういう現代物を見るのは一苦労。それでも男女の身体が入れ替わるのは昔もあったなと思いつつ、映画の前半は楽しめた。ところが彼が3年前の彼女を捜しにいくあたりからついて行けなくなってしまった。つじつまがあわないというか理解不可能、過去を変えて別の現代になるのは他にもたくさんあったが、その過程がよくわからない。そもそもどうやって父親の町長を説得し町民を避難させたのか。計画は失敗したんじゃなかったっけ。ま、見るべき人たちにはいい映画なんだろう、これだけ人気があるのだから・・・。 [DVD(邦画)] 4点(2018-01-12 15:16:56)(良:2票) |
3. きみはいい子
小学校の先生って大変だなと思う、いやそれ以上に子育てする母親の方がもっと大変なのかも。三つの別々の物語が一つのテーマにまとまって考えさせられる良い映画だった。 [映画館(邦画)] 8点(2017-05-22 16:43:15) |
4. 銀河鉄道999
昔見たときはそれなりにおもしろかったが、再度になるとストーリーがわかってるのでワクワク感がなくなるのは仕方ないところ。あれだけの長編をうまくまとめたとも言えるし、登場人物の描きかたがあっさりしているとも言えそう。宇宙のはてまで旅するのは途方もない時間が必要となるはずだが、ま、冒険アニメとして一度は見る価値があると思う。 [映画館(邦画)] 6点(2017-04-24 09:32:35) |
5. 巨人と玩具
巨人とは何か、玩具とは何か。パンチの効いた社会風刺映画の力作。着火が悪くて何度もカチカチとするライターの火花とキャラメル製造や写真のフラッシュとが重なる。時代の先を見通した発想が光る。宇宙服だってびっくり、この頃は初めて人工衛星が飛んだ頃だったはず。そういえば私の子どもの頃にも空から広告ビラをまいたりというようなこともあったな。 [DVD(邦画)] 7点(2015-07-26 07:25:26) |
6. 嫌われ松子の一生
最初の方では「なんじゃこの映画、見ちゃおれん」と思ったけど、あまりの展開にぐいぐい引き込まれた何とも味の濃い映画だった。一見コメディ風、ファンタジー風、エロティック風、そしてサスペンスにも見え、ヤクザ映画にも見えた。不運というか不幸というか、それでも暗いところがない不思議な映画でもあった。そしてまた中谷美紀の演技力、監督からは怒られっぱなしだったそうだがここまでの映画を作る側も相当な者。好き嫌いは別に凄い映画だったと手放しに賞賛。 [DVD(邦画)] 8点(2015-02-21 22:46:21) |
7. 喜劇 一発大必勝
冒頭いきなり「お婆ちゃん、墓場行きですよ」と脅かされる。ボルネオ帰りのゴリラ男が出てきて、骨をすりつぶした汁を無理矢理飲ませるシーンには目をつぶりたくなるほど、かなりアクが強い。山田洋次というより森崎東の映画という感じ。長屋だってオンボロだし汚いし、左門を除く男たちはだらしないし・・・。だが掃きだめに鶴、いやつるちゃん、私の好きな倍賞千惠子が何と言っても良い。ポパイとオリーブにそしてブルートーといったコンビを思わせるドタバタ喜劇なのだが。ところで死んだ馬さんの写真はいかりや長介だと思うが・・・。 [DVD(邦画)] 6点(2014-03-03 10:50:08) |
8. 清須会議
コメディ風に描きながら、誰にもわかる歴史教科書でもある。無骨な柴田勝家に対し、機転のきく策略家秀吉の対立が実におもしろい。見る前は秀吉がどうして大泉洋なのか疑問に思ったけど、大正解だったと思う。 [映画館(邦画)] 8点(2013-11-19 14:44:37) |
9. 疑惑(1982)
ふがいない男や法廷シーンなど現実にはありえない部分が多々あるが、そういうことにこだわるとおもしろくなくなる。映画だからおもしろいのだ。その映画の中の女優二人、桃井かおりと岩下志麻が凄すぎ、インパクトの強い映画だ。 [DVD(邦画)] 8点(2013-10-09 19:31:01) |
10. 霧の子午線
岩下志麻、吉永小百合という二大女優が共演するだけでも感動ものだし、二人の持ち味がすごく出ていたと思う。彼女たちが共通の男性を愛し苦しむ姿は美しく切ない。美しいと言えば、真っ赤に色づいた紅葉もまた美しかった。ニュースキャスターの筑紫さんが突然出てきたときには大変びっくりしたが・・・。 [DVD(邦画)] 7点(2013-10-01 11:23:07) |
11. 飢餓海峡
ずいぶん昔に見た感動の映画。主役は三國連太郎だが、弓坂刑事の伴淳三郎、杉戸八重の左幸子の印象が強い。伴淳三郎はコメディアンとしか見ていなかったし、左幸子がこれほど情の深い役をするとは思っても見なかった。爪を大事にとって哀願するさまは目に焼きついて離れない。 [映画館(邦画)] 8点(2013-09-30 07:13:12)(良:1票) |
12. 希望の国
不謹慎だとは思うが見るのが疲れる。それにしてもストレートな表現だ。ここまでしなくても十分にメッセージは受け取れると思うのだが・・・。 [DVD(邦画)] 6点(2013-09-12 06:44:10) |
13. 祇園囃子
新憲法が交付され基本的人権が尊重されるような時代になってもなお残る古くからのしきたり、そして悲しくも切ないさだめ。旦那というスポンサーを持つ持たないなど、一間華やかに見える芸妓の表と裏の世界が垣間見える。この手の女性を描かせたら溝口の右に出る者はない。若尾文子の若さに驚くと共に、理不尽なさだめを強く生きる木暮実千代にうたれる。 [DVD(邦画)] 7点(2013-08-11 06:03:33) |
14. 奇跡のリンゴ
文句なしの良作、実話に基づいているだけに圧倒的な感動を覚える。不可能と信じられていた無農薬のリンゴを作り出したと言えば簡単だが、その苦労は大変なもの。その大変さがストレートに伝わってくる。だが、これは何かをやり遂げた偉人伝ではなく、家族愛に満ちた映画だろう。 [映画館(邦画)] 9点(2013-06-18 13:56:30) |
15. 喜劇 一発勝負
「馬鹿まるだし」から続いてきたハナ肇と山田洋次のコンビもこの頃になるとややマンネリ化。石油ならぬ温泉掘り当ての一発勝負も、おもしろさはまずまずだがたいした代わり映えがない。 [DVD(邦画)] 6点(2013-05-06 08:18:01) |
16. キネマの天地
「蒲田行進曲」に10点を付け、しかも山田洋次監督が大好きな私にとって、この映画の評価が悪くなるはずがない。とても好きな映画であり、ある面では、蒲田行進曲よりも思いが強く感じられる。当時バリバリの大女優だった松坂慶子や倍賞千恵子らを脇に置いて、さほど実績がない新人有森也実を主役にしたのは物語の中の田中小春と同様。だから主役の演技がどうこうとか、中井と有森のロマンスが云々と言っても始まらない。この映画の主役は松竹蒲田のキネマの世界だ。「男はつらいよ」の役者陣が勢揃いするだけでなく、「蒲田行進曲」にも出演したメンバー、それにクレイジーの面々やら豪華なキャストが、ちょっとしたワンシーンの中にも映画(活動写真)に対する思いを込める。森の石松、月形半平太など、おもしろいシーンもたくさんあって、なつかしくも感じられ、さすがは50周年記念作品と映画への情熱をひしひしと味わった。 [映画館(邦画)] 9点(2013-03-20 20:42:47) |
17. 狐の呉れた赤ん坊(1945)
《ネタバレ》 そうか「キッド」か。私はこの映画を見る前には「神様のくれた赤ん坊」が思い浮かんだが、それよりはずっと良い。感動の泣ける映画だった。映画の前に山本晋也監督が「津川さんがロケーションに出て阪妻が出てくると、見物人が数百人いてもシーンと水を打ったように静かになる」と言っていた言葉を思い出す。なるほどあの肩車シーンはシーン(洒落)となるはずだ。おそらく敗戦直後の日本に光を与えた映画だったろうと思う。 [地上波(邦画)] 9点(2013-03-20 10:14:57) |
18. 喜劇 男は愛嬌
前作「喜劇 女は度胸」よりおもしろいが、ダンプが家に飛び込むなど乱暴なところが好きでない。割れ鍋に綴じ蓋ということだろうが、結末も・・・。「乙姫様のへその下」は僕らも歌ったけど、「もしもし亀よ」は毛が生えたではなく、いい気持ちと歌った。どうでもいいことなのだが。 [DVD(邦画)] 6点(2013-02-27 05:43:47) |
19. 喜劇 女は度胸
《ネタバレ》 女は度胸というから、その女性は倍賞美津子か沖山秀子かと思っていたら、何と何と一番度胸のある女性は清川虹子だった。花沢徳衛の泰三、渥美清の勉吉、河原崎建三の学の三人がいかに騒ごうが暴れようが、一言もしゃべらず平然と素知らぬ風。このまま終わるのかと思いきや・・・。ストーリーはあまり好きではなかったが、この清川さんがぐっと締めてくれた。 [DVD(邦画)] 6点(2013-02-26 19:51:50) |
20. 霧子のタンゴ
「霧子のタンゴ」は当時低音の魅力で名をはせたフランク永井の大ヒット曲。映画はもちろんこの曲を主題歌として作られたわけだが、原作は別にちゃんとあって主人公の名も霧子というわけではない。でも当時はそういうことは何も知らず見たのだが、何と何と主人公待井千代役の松原智恵子のきれいなことにびっくり。それまでは吉永小百合のファンだった私が一変に・・・、という思い出深い映画。三角関係のつらさを痛烈に味わう。ところでフランク永井は役者として名を連ねていたが、クラブで歌っただけ、なあんだとその方はがっかり。 [映画館(邦画)] 7点(2013-02-21 20:35:16) |