1. 板尾創路の脱獄王
板尾さんはマジメな人なんだろなぁって思う。やりたい事も分かるんだけど、残念なことにそこに深みがないんですよね。感情というか人となりを掘り下げてくれてこそキャラの行動1つ1つに意味も感じられるようになってくるんですけどね。ありがちな脱獄モノの壁を崩そうという狙いはあるんだけど、それを具現化するまでの落とし込みが弱かったんじゃないかなあ…。オチまでの引っ張りも長いので中盤から中だるみ…。中盤~オチまでのスピード感がもっと欲しかったです。 それともう1つ、吉本の仲間を思い切って出さないという決断も手かもしれません。これだと仲間内でやってる感じがハッキリ伝わってきてしまい、映画の世界に入るということがしずらい。もっと言えばドラマの延長にしか感じず安っぽい印象を受けます。 板尾さんの才能はこんなもんじゃないでしょう。というわけで次作は是非「板尾創路のブラックジャック」でお願いします。 [映画館(邦画)] 4点(2010-02-02 14:18:07)(笑:1票) (良:2票) |
2. ICHI
《ネタバレ》 勝さんの座頭市を知らず、ビートたけしさんの座頭市のイメージが中心である私には、殺陣のシーンの少なさとスローモーション&カット割のごまかしの多さ、人間ドラマ部分のテンポの遅さがどうも乗れなかったです。獅童と竹内力のコントみたいなキャラ設定がOKなら、綾瀬はるかさんももっと突き抜けて現実離れした圧倒的強さの市にしちゃっても良かったかあと思います(二刀流とか 笑)。 大沢たかおもなんなんでしょうか・・・。理由は分かるけど、いつまでも抜けない抜けないって。最後に抜けた!っていうスッキリ感よりも、その前の殺陣での抜けないでうろうろしてる事への苛立ちが勝ってしまって・・・。 綾瀬さんは頑張ってましたね。映像と共に非常に綺麗だった。ただその映像の綺麗さとこの作品のもつ座頭市という世界に求められる「色」の部分での絶対的な矛盾が消化しきれなかったなあと・・・。お疲れサンボの人もこの作品には不要だったかと。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-09-13 19:38:41) |
3. 犬神家の一族(2006)
登場人物が多いせいか、誰にも感情移入できませんでした。わざとそういう作りにしているのか、それとも肝心な部分の役者の演技がクサイからなのか・・・。松嶋菜々子は美人だけど、大きすぎて着物が似合わないなあ(どうしようもないけど)。スケキヨさんを見た時、先日たけしの番組で物まねをしていたダチョウ倶楽部を思い出してしまいました(^^;サスペンス映画としたら良く出来ていると思いますが、市川監督はなぜセルフリメイクを決意したのでしょうか?富司純子さんや萬田久子さんてあんなに演技クサかったかな?あと富司さんの息子さん、せりふまわしが歌舞伎役者丸出しで残念です。 [地上波(邦画)] 6点(2008-12-30 02:04:14) |
4. 一番美しく
《ネタバレ》 映画の裏に国策・戦意高揚の狙いがあった事を抜きにしても、黒澤監督らしくないけど、美しい映画だなと思いました。主演の矢口陽子さんが眼に力があって、若手女子工員を引っ張っていくに値する適役だったと思います。 戦争中だし女だからと言って男に負けたくない気持ちと、無理がたたっての病気、そしてマンネリと疲労からくる能率の下降のイライラ。全てがリアルで1つの人間ドラマが展開していました。先生と呼ばれる入江たか子さんも非常に美しく、見守る立場としての役割がピッタリでした。 ラスト、故郷の母親の訃報を聞いても「故郷には帰りません」と突っぱね、仕事のレンズを検査しながら涙するシーンが非常に美しかった…。あのレンズ越しには確かな黒澤監督の愛情を感じました。気丈な女性がホロっと見せる弱さに男は弱いなあ・・・、60年以上経った今見返してみても、黒澤監督がこの女優さんを好きになった理由がなんとなく分かる。それだけでも十分価値のある作品ではないでしょうか?激甘ですが6点です! [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-05-09 16:55:18) |
5. 生きものの記録
《ネタバレ》 戦後さほど経過していない製作時期等を考えると、一家の大黒柱が核や放射能被害に遭わないように家族ぐるみでブラジルに移住(多分日本の裏側に位置する国だからという意味だと思う)しようと言い出す明確な心情までは分かりませんが、戦争体験をして死と隣り合わせの部分までいくと、ひょっとしたらこういう風になってしまうのではないかなと考えさせられてしまいました(でも地球上どこでも100%安全な場所は無いと誰も家族が言わないのが不思議)。今の時代で言えば、あの国のミサイルに置き換えられると思います。しかしどんなテーマであれ、ある程度スッキリとした結末を見せてくれていた黒澤映画の中でも、後味の悪さはズバ抜けています。主の考えを阻止しようと準禁治産者の申し立てが通った事がきっかけで更に精神は病み、結局は自分の工場に火をつけ刑務所行きとは・・・。しかも彼は刑務所の中を地球以外の星だと思い込むなんて・・・。もしかしたら危険と隣り合わせの中で平気な顔して暮らしているこっちが普通ではないのかなと考えさせれてしまいました。凄く重いテーマなのに「三船先生が頭の中で移住した星は、こりん星?」とかネタを考えてしまった自分が情けないです・・・。 [DVD(邦画)] 5点(2006-08-16 17:01:45) |
6. 生きる
これは本当に重いけど、でも凄い映画です。志村さんの捨てられた子犬のような目が何とも印象的です。癌と知って自暴自棄になってもおかしくない所を、部下との交流からやるべき事を模索する辺り、何とも真面目な生き様そのものだなあと思いました。ただ終盤の葬式での回想シーンはエピソード毎に区切らず、公園作りに奔走した渡辺さんの行動を一気に見せた方が感動は倍増したかもしれません(公園を作るシーンは全く無いのが意外でした)。あと部下を演じた小田切みきさんのハツラツとした表情が凄く可愛いなあとか思ってしまいました(チャコちゃんケンちゃんのお母さん役の方なんですね!)。あと黒澤監督の作品は、台詞回しが舞台調で皆常にオーバー気味な演技ですので、そこらへんは特に気になりませんでしたが、黒澤監督は志村さんにもう少し肩の力を抜いた演技を期待したみたいですね。。ちなみに志村喬さんがモーガン・フリーマンに似ているという声をよく聞きますが、モーガン・フリーマンの方が志村さんに似ているんですよね。是非「七人の侍」の時に志村さんが見せた照れた時の仕草、頭を撫でつつ微笑で「いやー、かたじけない」をモーガンに日本語でやってもらいたいです。 [DVD(邦画)] 8点(2006-08-13 13:55:15)(良:2票) |
7. いぬのえいが
オムニバス映画なので、佐野史郎と渡辺えり子が「うちの子の方がかわいいでしょ~」と踊りながら唄う「うちの子NO.1」とか、田中要次さん(ヒューゴヴィーングではない 笑)がバウリンガルの開発をした話「犬語」など笑えるエピソードもふんだんに盛り込まれている。勿論中村獅童がCMプランナー役で、伊東美咲演じる「白鳥美咲」を起用したドッグフード「愛犬モリモリ」のCMが、各事務所の要望を取り入れていってどんどん崩れていく様を描いたエピソードも面白かった。エピソードの合間合間に挿入されるクレイアニメも地味だが時間がかかっている。だが、私はきっと多くのこの映画を観た方と同じ部分に触れたい。宮崎あおいちゃんと「マリモ」の話。つまり1番最後の10分あまりの短い話だが、ぶっちゃけあれは反則だ(@@;何か観終わるとあそこしか残らない。小さな頃から高校生になるまで共に生活をしたマリモが死んでしまう。「後から生まれてきてなんで先に死ぬの?」という少女の寂しさがテキストショットで埋め込まれる。ところがそんな少女に今度は、マリモの視点から「今までありがとう」という内容のテキストショットが思い出と共におり込まれる。私は物凄く小さな時に犬を飼ってて、4歳から今まで途切れる事無くネコを飼っている。この映画はきっと動物好き、特にペットの死を経験した事がある方ならば痛感できるエピソードだと思う。始めは「こんなもんか?」と思って見た映画だったが、ポチの話でじわっと温かさがきた後、とどめを刺すのは宮崎あおいちゃん演じる美香とマリモの話。何だか今飼っているネコに対して愛情が増しそうな映画を観てしまいました(笑) [DVD(字幕)] 5点(2005-11-08 15:53:23)(良:2票) |