Menu
 > レビュワー
 > かっぱ堰 さんの口コミ一覧
かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1249
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1
投稿日付順1
変更日付順1
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  杉沢村都市伝説 劇場版 《ネタバレ》 
乃木坂46のメンバーが主演するホラー映画シリーズ3作の3つ目で、主演は伊藤寧々という人である。「劇場版」とあるが、ほかにOV版とかTV版とか小説版があるわけでもないらしいのは、同シリーズの「死の実況中継 劇場版」「デスブログ 劇場版」と同じである。 シリーズ3作はみな都市伝説を扱っているが、この映画の「杉沢村伝説」は本当にあった都市伝説であり、看板とか鳥居とか岩など結構忠実に見せている。もとの話では青森県にあったとされているが、それをこの映画では「噂で終わった」ことにしていたので別の場所ということになる。ちなみに登場人物が村へ行く途中で見えた看板の「高山・市民の森」は静岡市葵区の山間部にあり、山の斜面に茶畑らしきものが見える場面もあった。近年いわれるオクシズ(奥静岡)での撮影だったかも知れない。  内容的には、ホラーとしての密度はあまり高くない。主人公が村に行くまで全体の半分くらいが経過し、その間に怖さの演出もあるが雰囲気だけである。 村に行ってからの出来事は、もとの都市伝説に「津山事件」(1938)のイメージが含まれているので似た感じになるのは仕方ないとしても、殺人鬼の扮装まで「八つ墓村」(1977)や「丑三つの村」(1983)だったのはどうかと思う。同じく昭和初期の事件が廃村の原因だったという意味かも知れないが、しかし昭和初期にしては民家の柱にエアコンか室内照明のリモコンが取り付けてあったりして、撮影に使ったお宅の様子がそのままなところが見えたりする。屋外でも道がタイル張りだったりカーブミラーがあったりして、この世のものでないはずの村も時代に合わせて変化しているのかと思わせた。基本的に真面目に作ったようではあるが、何かと突っ込みどころの多い映画だった。  なお少しよかったのは女性2人が村へ行く途中の雰囲気で、道の近くに少し険しい山がそびえる風景は異界に踏み込む緊張感を少し出している(送電線は邪魔)。と思ったら交通量の多い道路に行きついたりして、現実との境界が入り組んだ様子を見せていた。 登場人物としては、主演の人は149cmとのことだが、同行した兄の彼女(演・美紀乃)もそれに合わせたのか小柄な人で、この可愛らしい女性2人が馬鹿な男連中のせいで危険に晒されるのが痛々しく見えた。兄がいなくなれば妹の自立が促されるはずとの発言もあったが、優しいお姉さんが一緒にいてくれれば全てうまく行ったのではと思うと少し悲しい。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-09-24 09:44:53)
2.  スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号 《ネタバレ》 
最初が1973年に始まっているが、40年も遡るというのは中高年向けのサービスなのか、あるいは現代のファンを含めて仮面ライダー世界の幅を広げようという考え方か。それにしても顔出しの主要人物で、時代の違うライダー(※)をばらばらに出すのはよほど年季の入ったマニア向けのようで、その間の経過を追って来たわけでもない自分としては誰が誰だか区別がつかず、かろうじて役者として竹内涼真の顔を知っていたくらいである(内田理央という人も見たことがある)。 1973年当時のことをいえば、個人的には仮面ライダーというもの自体が低学年向けと思っていたので真面目に見ていた覚えはないが、それでもアマゾン、ストロンガーといった一応名のある人々を小物のように扱うのは、当時のファンにはどう見えるのかと思う。また、たまたま最近見て嫌いでないと思っていたフォーゼ・ウィザードの扱いが適当なのはかなり気に入らない。過去のライダーを粗略に扱うのはこの映画に限ったことではないようだが、初めて実際に気分が悪くなる事例を見た。 ※仮面ライダーBLACK(1987-88)、BLACK RX(1988-89)、ファイズ(2003-04)、ブレイド(2004-05)、電王(2007-08)  また、最初に世界を改変して異世界設定にするのは劇場版だとよくあることかも知れないが、そのことで一応ディストピア風の話を作っておきながら、ラスト近くでスーパー戦隊が突然現れるのはさすがに場違いに見える。もともと「仮面ライダードライブ」(2014~15)と「手裏剣戦隊ニンニンジャー」(2015~16)のクロスオーバーという前提だったようで、個人的にもニンニンジャーは嫌いでない(かすみ姉のファン)ので出ること自体は結構だが、逆に出番が短すぎて人の顔がよく見えないのは非常に不満だ(山谷花純・矢野優花の2人、男は見なくていい)。そういう面では、霧子という人の出番以外に見どころがなかったようでもある…ただしレースクイーンは格好よかったかも知れない。 個人的には仮面ライダーシリーズ自体に特に思い入れはなく、部外者的な立場で見ても面白いものを作ってもらえればそれでいいわけだが、今回は残念ながらそのようにはなっていなかった。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-09-15 16:56:44)
3.  スマホ拾っただけなのに 《ネタバレ》 
題名は見た通り「スマホを落としただけなのに」(2018)のパロディだが、中身は意外にも「カメラを止めるな!」(2017)に近い。登場人物の男3人が映画研究会なのも映画愛の表現といえなくはないが、要は洋物ホラーオタクなだけというのがレベルのほどを感じさせる。ちなみにオマージュ的な場面もあったようで、自分としても「シャイニング」(1980)はさすがに気がついた。  本家(カメ止めの方)がA-B-A'の構成とするとこの映画はA-A'-Bになっているが、問題なのは本家と同じく最初のAで見るのをやめたくなることである。どれほど低級映画に見えても一応ここは乗り越えなければならないが、さらにこの映画ではBを挟まないA-A'のため、すぐまた同じことを繰り返している印象があるのと、種明かしの面でもなるほどと思わせるものがなく、こういうところはやはり本家がうまく作ってあったということになる。なお一か所だけ、賞味期限の件は笑った。 最後のBはスプラッターになっており、これも大して面白くはないが、本家(スマホの方)にもあった遠隔操作を別の方法でやっていたのが目についたほか、序盤から予告されていたしつこい妄想展開が特徴だったとはいえる。少し和まされたのは素朴な恋物語をからめていたことで、これは基本的には悪くないと思ったが、終盤の悲惨な展開のあとに最後だけ暢気なのは呆れた(人が死んでいる)。 キャストとしてはヒロイン役(冨手麻妙)の胸と脚を目立たせているのが見どころだが、この女優が出るからには素直で可愛いヒロインで済むはずがない、と最初から思わせるのが重大なネタバレ要因になっている。また孫娘役の神田美優という人(熟女系AV女優とは別人、モデルの神田みゆとも違う人)は地元の群馬県桐生市出身とのことで、役者としての今後の活躍を期待したい。  以下余談として、この映画は劇場公開ではなく2019/4/17にDVDレンタル&配信開始だそうだが、劇中で「最近の老人は運転危ねえからな」という台詞があったのは、リリース2日後に発生した池袋の悲惨な事故を思わせる。ただこの映画では運転者側に落ち度はなく、また当時も言われていたように自家用車がないと生活が困難な地域の事例であるから、一概に運転をやめろと言って済む話ではない。東京都板橋区などは問題外として、地方での免許返納を促進するための支援や仕組みづくりが望まれる。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-08-17 09:56:53)
4.  スケート靴の約束 ~名古屋女子フィギュア物語~<TVM> 《ネタバレ》 
「テレビ愛知開局30周年記念ドラマ」とのことである。同種のものでは名古屋テレビの開局50周年記念映画「ギャルバサラ -戦国時代は圏外です-」(2011、主演・有村架純)というのを見たことがあるが、内容的にはこっちが勝っていると断定する(圧倒的に真面目)。  物語としては「フィギュアの聖地」といわれた名古屋の大須スケートリンクで、母親に期待されてスケートに打ち込んできた娘(姉)が事故で引退せざるを得なくなり、今度はその妹が同じ道を進む話である。姉妹がそれぞれ自分の夢に向かっていくわけだが親が邪魔しており、特に母親は自分本位な押しつけ・決めつけが甚だしく、娘の意向のわざと反対を向いているようでもある。これを見ていると、コーチが言った“才能をつぶす手伝いはできない”というのは親にも共通のはずだというのが一つの主張なのかとも思われる。 一方で娘たちがまっすぐしっかり自分で考えているのは頼もしい。特に姉が妹に寄り添いながら妹自身の選択を促していたのはよほどちゃんとした母親のようで、終盤の「特別リンク」で手を離したところの演出は泣かされた。自分自身の意思が大切だということは、題名の「約束」が誰と誰の約束なのかという点でも表現されている。姉本人もまた本来の自分の指向性を生かした将来を考えていたようで、そのことは引退セレモニーでの選曲にも反映していたと解される。 なお姉が自分のことで泣く場面を出さないのはよかった。かわいそうな顔を見せて泣かすドラマではない。  出演者としては、主演・安田成美ということだろうが個人的には姉妹を軸にして見ていたので親は脇に追いやってしまった。お姉さん役の小芝風花さんは「魔女の宅急便」(2014)の少し前の状態で可愛らしいが、引退セレモニーでの厳しい表情は少し大人びたようで泣かされる。また妹役の本田望結という人(当時9歳とのこと)も愛嬌のある顔で和まされる。この人は当然として、小芝風花さんもフィギュアスケートを本格的にやっていた時期があるとのことで、劇中では単独あるいは2人で実際に演技する場面があって素直に感心した。 ほか妹のライバル役として実姉の本田真凛という人が出ており(当時12歳くらい、台詞なし実演あり)、また「野辺山合宿」というものの指導者役で伊藤みどり・浅田舞の両人が顔を見せている。特別協力の荒川静香という人は名前しか出ないが特別番組などで協力したという意味か。この方面のファンには見どころのあるドラマかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2019-07-27 12:59:19)
5.  スマホを落としただけなのに 《ネタバレ》 
個人的にはスマホ依存度の低い暮らしをしているので問題ないかというとそうでもなく、要はネット社会の怖さ全般を語っていたらしい。ちなみに紛失したことはないが落下させたことはある。 最初の方では複数の問題が同時並行していく感じでそれなりに見ていられたが、真犯人が正体を現したところは意外というより唐突で呆れた。また終盤で取ってつけたような真相が明かされて人物イメージの統一性が失われてしまい、これで普通にハッピーエンドというのは素直に受け取れない。最後はスマホのいいところとして「宝箱」というオチを付けたようだったが、そういうお宝をやたらにその辺に置いておけば悪用されるだろうがと当然言いたくなる。 ほかに気付いたこととして、プラネタリウムの中でああいうことをする映画が作られるということは映画館でやってもいいという考え方と思われる。主人公の彼氏は「三田大学」の出身とのことだったが、太陽が爆発してから8分間で何をするとかいう話をしていたのは主人公が(観客が)無知だからと侮っていたのか(因果律に反する)、それとも超光速通信とか何とかで知りえたというようなSFっぽい荒唐無稽な想定か。 そういうことで特に憎しみを覚えるほどのものでもなかったが、「劇場霊」(2015)よりましで「クロユリ団地」(2013)と同程度と思っておく。  なお続編が来年公開されるそうで、貞子はもう出さなくていいが、新米刑事はなかなか愛嬌のある奴だったのでレギュラー化するのも悪くない(が見ない)。それとは別に「スマホ拾っただけなのに」(2019)(主演・冨手麻妙)というのもあるようなのでそれもいいかも知れない。 出演者に関しては、岩井堂聖子・松山愛里の両人は知らない人でもないのでお疲れ様でしたと書いておく。粟田麗さんは最近お母さん役しか見ていなかったが、今回はまた幸薄そうな女性の役で、荒れた表情とともに優しいお母さんの顔も見せていたのでよかった。ほかエンドクレジットに菅野莉央さんの名前が出ていたが、もしかすると彼氏の会社の総務部にいた人だったかも知れない(台詞あり)。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-07-20 16:58:27)
6.  スイッチ! ~短篇.jpルーキーズ第2弾~ 《ネタバレ》 
一応説明しておくと(第1弾のところでも書いたが)、「短篇.jp」という動画コンテンツの配信サイト(現在は停止中)が運営されていた時期に、新人監督育成の目的で製作されたのが「短篇.jpルーキーズ」である。この第2弾を含めて第3弾まで製作されており、それぞれDVD化もされている。 内容としては監督の違う全6話のオムニバスになっている。以下それぞれにコメント。  【ジャパニーズセラピー】 全否定。 【永遠と10分】 オチ付きの小噺のようで面白い。世の中絶対に正直に言ってはならないことがあるわけだが、この2人は自然体のようで結構だ。新婦はなかなか愛嬌がある。新郎役の深水元基が若い。 【洗濯女】 予告編でヒントが出ているがそれでも意味不明。人物がいなくなったり出たりする、風景の非現実感、昼夜の突然の転換といったあたりは夢を見ているような感覚。宇宙人の夢だったのか。 【ウチの○○知りませんか?】 川崎市多摩区在住の家族の話。ほのぼの系で楽しいが、下世話なもの好きの監督らしく排泄物ネタも出している(犬と女子高生)。ちなみに予告編が非常に端的に内容を語っていて、ほとんどネタバレである。 【たとえば、てるみの場合。】 話の内容と人物の姿をわざと一致させていないようでわかりにくいが、どうやらハッピーエンドだったらしい。心が昔に戻っているのか、また10年も待たなくてよかったはずだという思いもあるか。「開いてる」というのは連続性の表現のようだが可笑しい。 【東京はみだしゲーム】 ラストがありきたりだが感動的でないこともない。弟と話していると地が出て来るようなのはよかった。特に若い女性など、それこそ兄弟とでも会わない限り、東京で(屋外で)方言丸出しでしゃべることもなかっただろう。  第1弾のように共通の登場人物で統一感を出すこともなく、画面サイズも違う小品を寄せ集めた形になっている。自分としてかなり愛着を覚える話もあり、一つだけ無視すれば全体としては見ごたえのあるものになっていた。
[DVD(邦画)] 6点(2017-06-24 09:39:36)
7.  好きっていいなよ。 《ネタバレ》 
原作がどうなっているのか知らないが、とりあえずこの映画に関してはエピソードを5個つないだ総集編のように見える。もともと孤立的だった主人公が、最初のエピソードで男と出会ったのをきっかけにして人間関係を広げていき、最後に最大の危機を乗り越えて題名の言葉に至る、という構成自体はまとまって見える。 しかし各エピソードが掘り下げ不足のように見え、形式論だけ述べて簡単に終わってしまう印象がある。また延々と自分語りをするとか登場人物同士で説教し合っているようなのがかなり変な感じで、恐らくは原作からの縛りがあったであろう不自然な台詞をそれなりにこなさなければならない役者の皆さんはご苦労様だった。  登場人物に関しては、主人公(ヒロイン)は特に好きになれなかったが、最後まで地味な顔に見えたのは方針として徹底している。主要人物で一番感じがよかったのがおっとりした友人で、胸がスイカかどうか関係なしに和むキャラクターだった。ほか男は基本的にどうでもいいわけだが、金髪の男はなかなかいい奴なのに最後まで独りだったのは不運を背負わされた感じで残念だ。 この映画で若年女子の皆さんがキュンキュンしたとすれば成功なのだろうが、ちなみに自分が少しキュンとしたのは「…考えどこなの」と言っていた役名なしの女子(ちゃんと高校生に見える)で、自分がこの高校にいたらこの人が好きになるだろうと思ったが、恐らく実際は高望みである(どうせおれなんか相手にしてもらえない)。ほかバイト先のお姉さんは感じのいい人で好きだ。なんでこんな映画を見ようとしたか自分でもわからなくなったが、見てしまったからには自分なりに見どころを探すということが重要だ。
[DVD(邦画)] 3点(2017-05-30 19:54:32)
8.  杉原千畝 スギハラチウネ 《ネタバレ》 
製作委員会の中に某旅行社が入っているが、劇中でもその会社の「客船乗務員」が出て来て、難民を助けたいと領事館に対して涙ながらに訴える場面があった。自社の美談として世界に広めたいのかも知れないが、子どもの顔など見てしまえば助けたいと思うのは人として当然のことであり、それ自体が特に美談という気はしない。仮に史実とすれば領事館の功績だろう。 自分としてはあからさまな美談にみずから進んで感動したい種類の人間ではないので、この映画も最初から斜に構えた姿勢で見ていたが、しかし話の本筋としては結構まともだったようである。主人公は「世界を変えたい」と言っていた割に具体的な目標があるわけではなく、基本的には大日本帝国の国益のために働いていたようだが、そのために持てる能力を活用したいという思いは結局満たされずに終わったことになる。しかし、いわば本国政府にまでPersona non grata扱いされたビザ発給の方が、結果的に希望の実現につながったのだと解される。 一人の人間が直接世界を変えるほど大きな仕事をするのが難しいのは当然で、それは優秀な外交官でも同じことだろう。しかし普通の人間が普通の人生の中で、普段の行動を通じて周りの人々に伝えることが多ければ、それが少しずつでも世界を変えていくことになる。一人の人間ができることなど結局その程度でしかないわけだが、そのような意志を持つこと自体は誰にでもできるのであり、逆にそういうレベルで考えるなら、主人公のやったことはまさに偉業ともいえる。それを改めて示したことが、単なる美談の紹介にとどまらないこの映画固有の価値と思われる。  ところでこの映画では、主人公が科学者を逃がしたのが結果的に「別の命を救った」という話になっていたが、さすがに日本人の立場として、広島・長崎の人々が殺されたのは世界平和のために有益だったなどというメッセージを許容するわけにはいかない。所詮アメリカ人の監督だから、アメリカの正義は世界の正義と言いたいのだろうと解していいのか。このことでロシア女が主人公を薄ら馬鹿のように憐れんでいたらしいのも腹立たしい。劇中の出来事が事実とは限らないにせよ、これで主人公のモデルになった実在の人物の名誉が損なわれないよう願うしかない。 なお主人公の妻がケーニヒスベルクの近郊で「日傘を差す女」を気取っていたのは意味不明だったが、こういうのは単なるお遊びと思っていいか。
[DVD(邦画)] 6点(2016-07-30 21:41:02)
9.  砂の器 《ネタバレ》 
まず刑事ドラマの部分については普通に面白い。警視庁の刑事が普通行きそうにない場所を訪れて、「北の旅 海藍色に 夏 盛り」と詠んでおいて「ぜいたくな旅行させてもらったよ」というのが和む。この警部補は旅好きだったようだが、この映画での「旅」の意味づけが不明瞭なのは残念だった。「急行 鳥海」とか「山陰周遊券」を使って行ける現代(当時)と、徒歩で放浪した父子の対比を出そうとしたのかも知れないが、どうも説明不足に終わった感じがする。 一方で謎解きのポイントが方言だったことから登場人物の言葉には気を使っていたらしく、羽後亀田で川にいた中年女性の言葉などはかなりそれっぽく聞こえた。また奥出雲で若手警官が、東京から人が来たので言葉には気を付けていると言っていたのは、当時すでに世代による使い分けの能力差があったことを示していたようで興味深い。この土地の年寄衆の言葉はなるほど東北方言のように聞こえた。  ところで原作は読んでいないが、自分としてはこの映画を見て犯人の心情を思いやるのは無理だった。 確かに正義面(せいぎづら)の世話焼きが煩わしいというのはわからなくもないが、“息子に会いたい”以外に話題のない手紙を24年もやり取りしていれば、元巡査が息子を強く説得しようとするのも無理はない。一方で息子が再会を拒んだ理由といえば、自分が成り上がるためには父親が物理的に邪魔だった、というだけではないか。父親側が知らないと言い張ったことで免責されるわけでもない。 また劇中曲は芸術音楽というより映画音楽のような薄さだが、それは使用目的に合わせたことなのでまあいいとして、そもそも共感できない人間の心情を切々と訴えられても到底受け入れられるものではない。この男にとって大事なのは自分を表現することだけで、自分が孕ませた女を死なせてしまったことなどはこの曲の中で表現されてないだろう。 大体そのような理由で、自分としては犯人が一番悪いと言って終わりにしたい映画だった。ちなみに題名の意味をこの映画から読み取るのは難しいのではないかという気がする。  なお余談として、療養所の老人の嗚咽と元巡査の説得の言葉、及び警部補がハンカチを取り出す場面ではさすがに泣かされた。警部補の隣にいた刑事(丹古母鬼馬二)までが柄にもなく目を伏せていた。
[DVD(邦画)] 5点(2016-05-28 14:11:00)
10.  隙間女 劇場版 《ネタバレ》 
アイドル主演のホラー映画など最初から全く期待していないわけだが、この映画では少し珍しい題材を選んだのが悪くない。ただし劇中での取扱いにはかなり無理があった気がする。 まずは物理的に人がいられないような場所に何かいれば不気味だろうが、押入れなども居場所にするのでは、普通にバケモノが隠れているのとどこが違うかわからない。終盤で姉妹が2LDKの話をしていた時に、怖いのは隙間でなく押入れだったかのように言っていたのは開き直ってごまかした印象があった。あるいは、たまたま開いていた戸の隙間から覗いていたなら怖いだろうが、閉まった戸を自分で開けたりするのは反則ではないか。あらかじめできている隙間を狙うのが最低限のルールだろうという気がする。その上に、障子から半身を乗り出したり這ったりするのでは自由度が高すぎて、この題材を選んだそもそもの意味が薄れてしまう。 さらに全体構成の面でも、終盤で主人公が現場に突撃してバケモノと対決し、最後は救いのない終わり方をするというのはC級邦画ホラーの定番のようで、こういうのはもう少し何とかならないものかと思う。かろうじて全体的に、映像や音響面でホラーにふさわしい雰囲気を出していたことに救われている。 ところでこの映画では、20歳過ぎた出演者に無理に女子高生の制服を着せないところがアイドルホラーにしては新鮮といえる。日頃アイドルに関心がないため、主演の菊地あやか(当時AKB48チームA)がどういう人か知らないのだが(現在は既婚で1児の母?)、別のホラー映画で見たときは大して印象に残らなかったのに対し、今回は相応の色気も見せていて好印象だった。隙間から顔が半分見えている宣伝写真が非常にいい(注:暗がりからバケモノが覗くものとは反対に、明るいところから主人公が覗いている写真もある)。 なお似た感じの映画として、「のぞきめ」というのが4月から全国公開されるようなので期待したい(が当分見られない)。
[DVD(邦画)] 4点(2016-03-04 19:51:15)
11.  スイッチを押すとき 《ネタバレ》 
けっこう気合の入った映画らしく、現場スタッフもキャストも真剣に取り組んでいるように見える。人の生死を真面目に考える映画かどうかはともかくラブストーリーとして見た場合、最後にいわゆる天国で二人一緒になることを新たな希望にしたなら切ないものがある。映像特典には脚本通りのラストも収録されていたが、これをあえてカットして公開版の形にしたのは正解だったと個人的には思う。最後に題名が表示されるのも印象深かった。 しかし絶望的に駄目なのは背景設定である。どうせ原作段階でもシチュエーション優先で背景などは適当にでっち上げたものだったのだろうが、この映画ではその絵空事に生真面目に対応しようとした結果として、まともな大人が耐えられる限界を超えてしまったように見える。同種類似の他の映画では、荒唐無稽な設定に気を取られず中身に集中できるよう作られたものもあるが、この映画ではその処理を誤った点で大失敗作と言わざるを得ない。原作のせいもあるわけだが残念なことである。 なお若手の出演者の皆さんはおおむね好印象だったが、自分としてはヒロインが目立つのは仕方ないとして、もう一人の若手女子がひたすら地味な人物のままで真っ先に退場してしまったのは期待外れだった。
[DVD(邦画)] 4点(2015-11-11 20:08:40)
12.  スクールガール・コンプレックス~放送部篇~ 《ネタバレ》 
そもそも女子高というのが自分にとっては異世界だが、さすがにガールズラブ(以下GL)には全くついて行けない。劇中で登場人物の感情があふれ出す場面では、その感情自体は伝わるものの、自分としては共感できずに気恥ずかしいので笑ってしまうということを3回くらい繰り返した。主人公の親友(演・近藤真彩)の告白場面は切なくて笑ったが(笑ってごめんなさい)、最後の発表会の場面もいたたまれなくなって悶えながら笑い泣きした。  その一方で、部活の場は意外に規律正しいので安心できる。屋上の練習風景は常に青空で清々しく、これこそが明るく正しい青春という感じを出していた。その延長で、発表会でも最終的にはちゃんとやってくれるはずと信じていたわけだが、しかしそこでGL世界からの悪しき影響力が及んでしまい、規律担当の副部長(怖い方/演・吉倉あおい)の組織力で何とか支えようとはしたものの、結局全てがぶち壊しになってしまった。 これはいわゆる黒歴史だろうと思ったが、しかし終わってみれば「みんなふられちゃったね」とか言って意外に気分が明るい。どうやら一部の部員の生々しい心情の吐露が青春の真実の一端を明らかにし、この年の3年生だけのユニークな価値を太宰治の短編小説に付加したと解されるようである。ラストもまた開放感のある爽やかな屋上に戻り、全てが明るく正しい青春の一幕に組み入れられて終わったらしい。 結果として、この劇中世界ではGLというものが全面肯定されていたことがわかり、なるほどそういう映画だったのかと呆れるというか感心した。究極のノーマライゼーションともいえるが、あるいは女子高という環境からすれば、異性との恋愛に踏み出せないまま学校内部で悶々としている状態の表現と取れる。 自分の立場としては感動的ともいえないが、後味が変にいい映画だったので(エンディング部分の手書きと音楽)悪い点はつけられない。ほか細かいところでは貞子の場面が好きだ(意味不明だが)。  登場人物としては、女子高が舞台ながらいかにもな美少女はほとんどいない。特にW主演の一方は高校生には全く見えず、脂ぎったような顔が誰かに似ていると思ったらうちの同僚Aであって、その連想もかなりマイナス方向に働く(本人のせいではないが)。もう一人の主演は個性的な風貌が非常に好印象で、単なる普通の女子のようでいながら場面によって愛らしさも美しさも出せるという特徴を見せている。副部長2人も存在感を出していたが、その他の部員は関西弁しか記憶に残らないのが残念だった。
[DVD(邦画)] 7点(2015-06-29 19:30:41)
13.  スウィングガールズ 《ネタバレ》 
いきなり序盤の悪ふざけを見て機嫌が悪くなり、それが結構後まで尾を引く。主人公を含めた女子高生が揃いも揃って全く可愛気がないのも感心する(関口香織を除く)。自分としては主演女優が今でも好きになれないのだが、それは恐らくこの映画を見たせいだと思われる(関口香織役には好意的)。 ところで自分はこの手の方言が分布する地域の生まれではないが、近隣出身者としての感想を書かせてもらうと、劇中の方言が最もそれっぽく聞こえたのは意外にもフォークデュオの2人だった(兄役が地元出身とのこと)。このあたりからようやく機嫌を直して笑えるようになり、最後のステージ場面まで行けば制作側の意図にも素直に乗れるようになるので、最終的には挽回していたと言えなくもない。会場になだれ込んだ女子高生が鼻を赤くしていたのは何気にリアルで可笑しく、またネズミの御守りというのも悪くない。 ほかストーリーとしては、ご都合主義もいい加減なのも適当なのもそれ自体はそれほど気にならない。出演者が陰でまともに楽器の練習をして、劇中でも面白そうにやっている(関口香織役を含む)のでまあいいのではないかという気になるが、それより自分としては本仮屋ユイカという人の存在を知ったというのがこの映画最大の意義だった。
[DVD(邦画)] 5点(2014-07-29 19:51:48)(良:1票)
14.  スノープリンス 禁じられた恋のメロディ 《ネタバレ》 
主人公の少年はともかくとして相手役の少女は怒っても泣いても可愛らしく、また犬もストーリーには直接絡まないながら健気な感じに見えており、あえて突っ込まなければそれなりに見られる娯楽映画と感じられる。 ストーリーに関しては、個人的には「フランダースの犬」に「野菊の墓」の縁談話をくっつけたような印象があり、また祖父の存在は「おしん<TV>」(1983)の脱走兵のようでもある。そのような別作品を思わせる各種要素が劇中で効果を上げていたとも思えないが、ほかに当然ながらこの映画独自の趣向も用意されていたようであり、サーカス小屋での少年少女とピエロのやり取りは素直によかったと思える。  ところで終盤の現代の部分について若干の苦情を書かせてもらうと、戦前の少女が本気で泣いていたにもかかわらず、現代の本人は終始うすら笑いしているようなのはどうしても違和感がある。「おしん」のように戦前生まれの人だから、表面は穏やかに見えても実は悲惨な過去を心に秘めている、という感覚なのかも知れないが、その直前に観客が号泣したはずの悲劇も悲劇として認識しておらず、甘く切ない初恋の思い出に浸っているだけのようでは本人の人格が疑われる。 一方で孫娘は容姿が現代的で適役に思われる。この人が最後に述べたことを聞くと意味としては理解可能であり、あるいは別映画で残した悔いをここで挽回しようとしたのかも知れないとも思えるが、しかし言葉があまりに軽いのがまた残念なことである(役者のせいとは思っていない)。
[DVD(邦画)] 4点(2013-10-15 22:52:55)
15.  スキトモ 《ネタバレ》 
冒頭の場面でドアを開けてセーラー服の女の子が入って来るので、これは美少女に違いないと思ったらそれほどでもなく拍子抜け。美少女でない上に色気も乏しく、友人の色香にも明らかに負けている。私服になると体型が貧弱なのが余計に目立ち、服装そのものも含めて小学生のように見える。兄と比べると年齢も体格も著しい差があって、実の兄妹でないとはいえまともな恋愛対象とはとても思えない。 しかし、それだからこそかえって一途な思いがいじらしく、妙によからぬ企みをするのも微笑ましい。兄に叱られて拗ねた場面で初めてこの子が愛らしく見えたが、終盤に至ると女性的魅力も幾分増し、また他者へのいたわりを含んだ柔らかな笑顔は文句なしに可愛らしい。そういうことで自分にとってのこの映画は、いわゆるBLというより妹萌えの映画のように思われたのだった。妹役の小松愛梨という人も好演だったように見える。  以上で終わりでもいいが全体的なことも一応書いておくと、とにかく純粋で清々しい映画で、登場人物も善意の人ばかりで安心できる(妹が最も邪悪)。薄目のBL風味にあえて反発せず、また「お兄ちゃんなんて大っきらい!」という感じの展開も冷笑せずに受け入れられるなら、ほとんど万人が楽しめる作りになっている(どことはいわないが爆笑する場面もある)。まったくこんな映画とは予想もしていなかった。 ただ個人的に気にかかるのは、途中まで出ていた気のいい大学生のお姉さんはその後どうしたかということである。見ているとこの人もかなり魅力的であるから放っておく手はないはずで、個人の嗜好はあるにせよ、わが国の出生率を向上しようとする観点からすれば、やはり基本的には異性間の結合を求める方向での行動が広く望まれるところである。
[DVD(邦画)] 7点(2013-09-30 18:59:50)
16.  SLAP HAPPY 《ネタバレ》 
こういう奴を応援したいというのが映画の趣旨のようだが、それにしては何とも救いがない。昔であれば、これも一生のうちのこの時期だけの苦悩であり、いずれは“あんな時代もあったね”と振り返る時が来るだろうと思えたかも知れない。しかし今になってみれば、もう30代後半になっているはずの主人公がまだこういう状態を引きずっている恐れもあるように思われて、まことに洒落にならない映画と感じられる。 当然ながら自分としても覚えがないわけではないが、今さらこの主人公に共感しようという気にはならず、見てよかったとも思えない。だからといって無用な映画と切り捨てることもできず、どう扱えばいいか困るというのが実感である。ラストの音楽が変に耳に残るのも困る。
[DVD(邦画)] 4点(2013-09-09 19:57:54)
17.  sWinGmaN 《ネタバレ》 
見た後に何の感慨もなかった。怖くもなく悲痛でもなく切なくもない。全体的によくわからない話なのだが疑問を解消したいという気にもならない。 まずは主人公が今回初めて変になったというより元から変だったようにしか思えないため、普通に恋人や友人がいるのが自然に感じられず、こんな男に少女が同情を寄せるのも気が知れない。またこの主人公のために、少女や恋人という癒しの要素があらかじめ用意されていること自体が安易で甘ったれた感じがする。自分としては北村一輝が画面に出ると閉塞感が破られて救いのように感じられたのだが、そんなことも主人公には気に入らなかったらしく、あくまで観客側の感情移入を拒む映画になっていた。 外部情報によれば主演俳優のために作られた映画とのことだが、個人的にはこの俳優に注目する理由はなく、また世間的な価値としては宮崎あおいの映画キャリアの初期段階が見られることだろうが、その面でも自分としては特に関心がない。ほか主人公の恋人役に関しては、キャラクターとしての魅力が感じられないので特に面白くはなかったが、「だから煙草だってやめてたじゃん!」という台詞にはどきりとした。
[DVD(邦画)] 1点(2012-07-27 21:25:33)
18.  SPACE BATTLESHIP ヤマト 《ネタバレ》 
今年に入ってから酷評が多いので気が引けるが、自分としてはやはり年代のせいもあって、大昔のしょうもないアニメを現代風に映像化したこと自体を評価してしまう。また前の方のレビュアーも書かれているように、特に褒めたいのがエンディングで出たクレーターのある風景で、こうなるだろうと昔から思っていたことをちゃんと映像化してくれたことには感謝したい。これは間違いなくこの映画の功績である。 それからキャスティングについて、主役の個性が出過ぎているのは確かに気に障るが、それはまあ少々我慢すれば済むことである。それより、もともとどうでもいい扱いの相原の性別を変えて出した女優にはちょっと注目してしまった(結構目立っている)。艦が揺れたときにこの人(多分)が「うわぁ!」と声を上げる場面は好きだ。 そういうわけで大体好意的なのだが、ただ一つ納得できない点としては、やはりイクサブネでやってはならないことというのがあるわけで、もともと変に雇用均等が徹底されている上にそういうことが許されるなら、そこら中で野合状態になるだろう。失われた家族の復元という趣旨はいいと思うし、エンディング部分もそれなりに感動的だが、こういう軍紀違反を前提にしないとストーリーが成り立たないのはつらいものがある。 なお余談だが、大和の沈没地点の放射線量がマイクロでもミリでもない「14シーベルト(おそらく毎時)」だったのは、今になってみると本当に危ないと思う。 [2015-10-14追記] 改めて見直したが、西暦2012年の時点で書いたことに変更はない。昔の名作?を安易にリメイクしようとする企画側の姿勢がどうかは別として、できたものはそれほど悪いとも思えない。TV第1シリーズと「さらば…」からいいとこ取りしてちゃんと2時間強に収めてあり、また放射能除去装置の話が嘘だったという意外な設定をもとにして、“わずかな可能性を希望に変える”ことをうまくストーリー上で表現できていたと思われる。他の映画との調整の関係から、場合によっては点数を変えるかとも思っていたが(具体的には1点減程度)、そこまでしなくてもいいようである。
[DVD(邦画)] 6点(2012-05-14 22:34:26)(笑:1票) (良:1票)
19.  涼宮ハルヒの消失 《ネタバレ》 
文庫で出ている限りの原作は全て読んでいる。TVアニメも一応全部見た。 原作はわりと淡々とした印象の小説だが、映画化に当たってはストーリー上のポイントになる台詞が特に強調されていたり、また原作ではモノローグのようだった箇所に独自の映像が充てられているなど明らかに効用を増しており、かつ原作のストーリーの根幹も完全に保たれている。原作をいわば純粋な形で映像化したもので、そこまで含めてファンの期待通りである。 また、いわゆる“消失長門”に関してもファンが見たい映像の宝庫だろうと思う。個人的には別に消失長門フリークでもないのだが、それでも見ていて破顔というかニヤニヤしてしまうような場面が多かった。映画では、このキャラクターを象徴するアイテムとして、眼鏡のほかに膝かけが加えられていたのも要注意かも知れない。  ただし、この映画を一般の人が見てどう感じるのかはわからない。長編一冊分をまるごと映画化しているので一応のまとまりはあるわけだが、シリーズ開始以来の登場人物の微妙な変化が前提となって今回のストーリーがあることや、このエピソード自体がシリーズの一つの転機になっているといった背景事情がどの程度伝わるのかと思うと、一本の映画としては疑問があるのも確かである。 しかしそれでも、結局は見た本人がどう思うかが基本だろうから、一応のファンとしては、やはり見てよかったと開き直るしかない。  なお余談として、この映画ではTV第1期のオープニングテーマが復活していて嬉しいのだが、その直前に県立北高校の空撮映像があり、劇中の部室が校舎のどの位置に設定されているのかわかったので、Google Earthで目印をつけておいた。どうでもいいことだが。
[DVD(邦画)] 7点(2012-02-26 17:47:05)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS