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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  太陽の墓場
10年ぶりくらいに見る大島渚監督作品で、初期の代表作とされる映画。大阪のどや街を舞台にした社会派映画で、名作ともされているが、イマイチ面白くない。「青春残酷物語」もそうだったが、本作も不朽の名作というよりは、リアルタイムに見ないと良さが分からない感じで、今見ると少し古臭く感じてしまう。でも、大島監督の映画では珍しく、伴淳や北林谷栄、小沢栄太郎、田中邦衛、小池朝雄など新劇系を中心に豪華な面々が出演しているのがみどころで、とくに黒澤明監督の常連俳優である藤原釜足と左卜全が大島作品に出演しているのは珍しいし、これら出演者たちが大島作品で共演というだけでも見る価値はある。そんな中で実質的な主演の炎加代子は役柄も芸名もインパクトがあり、印象に残るし、どんなに脇を名優で固めていても、主演は新人でという大島監督のこだわりがこの頃から見える。ラストの暴動が衝撃的と言われているが、今見るとそうでもない。もともと短い映画だが、実時間よりも長く感じるかと思っていたらそんなことはなかった。でも、「青春残酷物語」のほうがストーリー的には面白かった気がする。
[DVD(邦画)] 5点(2016-08-03 22:21:45)
22.  太平洋の鷲 《ネタバレ》 
本多猪四郎監督と円谷英二監督が初めてコンビを組んで手掛けた戦後初の東宝戦記映画。真珠湾攻撃から山本五十六の戦死までを描いているが、多少大作らしい大味さはあるものの、戦争はいけないというストレートなメッセージが感じられる作品になっていて、先週「ハワイ・マレー沖海戦」を見たせいか、戦後になってこういう映画が自由に作れるようになったんだなという妙な感慨深さを感じた。山本五十六を演じる大河内伝次郎は重厚な演技で戦争反対の立場でありながら、連合艦隊司令長官となり、戦争の火ぶたを切ることになる五十六の苦悩をうまく演じていて、彼は「ハワイ・マレー沖海戦」にも軍人役で出演していたが、それとは違う印象を与えるのも戦中と戦後の映画の違いかもしれない。脇の出演者も豪華で、本多監督の映画の常連俳優の一人である志村喬が冒頭にちょい役で出演しているほか、小林桂樹や三國連太郎といった本多監督の映画には珍しい俳優陣の好演が光っている。中でも珍しいと思うのは三船敏郎が脇役ながら本多監督の映画に出演していること。これがかなり新鮮で、例えるなら黒澤明監督がゴジラ映画を手掛けるような感じか。円谷監督による特撮シーンも一部「ハワイ・マレー沖海戦」の流用っぽいシーンがあるが、迫力満点で見ごたえじゅうぶん。ドラマとしては翌年に本多監督と円谷監督が手掛ける「さらばラバウル」のほうが好きだが、戦争の無意味さや悲しさがひしひしと伝わってくる映画で、これが山本五十六没後10年、戦後8年というまだ戦争の記憶が生々しい時代に製作されているというのも意味を持ったことだと思う。そして本作をリアルタイムで見た人は果たしてどう感じたのだろうと気になるところではある。
[DVD(邦画)] 7点(2016-04-22 22:17:33)(良:1票)
23.  探偵物語(1983) 《ネタバレ》 
松田優作が探偵役で出演していてタイトルが「探偵物語」というとつい「工藤ちゃーん!」のほうを思い浮かべてしまうが、薬師丸ひろ子主演の角川のアイドル映画である。(ああ、紛らわしい。)主演の薬師丸ひろ子の可愛さは本作でも出ているが、先日までBSで再放送されていた朝ドラ「あまちゃん」をすべて見終わった直後のせいか、それと比べると演技がすごくぎこちなく見え、今まで気にしたことがなかったが、こんなものだったのかと思ってしまった。確かにこの頃の薬師丸ひろ子は可愛くてわりと好きだが、女優としてはやはり今のほうがいいかも。(でも、いちばんの代表作は「Wの悲劇」)松田優作は工藤とはまったく違う探偵を演じているが、やはりタイトルのせいか、どこか違和感があったし、この役に松田優作というのはもったいない気がする。ストーリーにヤクザが絡んでくるところなどは、赤川次郎原作ということもあってか「セーラー服と機関銃」を思い出した。そのストーリーも対して面白味があるわけではないので、映画としては可もなく不可もなくといったところ。ラストの空港のシーンは原田知世の「早春物語」の逆パターンだが、エンドロールの間、ずっと立っている松田優作を映し続ける長回し演出もあってか、こちらのほうが印象に残る。それに映画の主題歌といえばエンドロールで流れるイメージだが、本作ではラストシーンの直前に流れ、エンドロールではインストが流れるというのが意表を突いていた。ところで本作を見たのは「あまちゃん」で薬師丸ひろ子と松田龍平が共演しているのを見たからなのだが、本作では若手として松田優作と共演していた薬師丸ひろ子が「あまちゃん」ではベテラン女優としてその息子である松田龍平と共演していることは時の流れを感じるとともにちょっと感慨深くもある。(見た順番、逆だけど。)ロングショットで分かりにくくはあるが、ワンシーンだけ蟹江敬三が出演しているのも「あまちゃん」にハマって見ていた者としては嬉しい。ひょっとして自分、立派な「あまロス」か?
[DVD(邦画)] 5点(2015-10-31 13:24:29)
24.  Wの悲劇 《ネタバレ》 
原作は推理モノらしい(未読)のだが、本作は原作のストーリーを主人公・三田静香が研究生として所属する劇団の舞台劇として表現し、メインストーリーは研究生の静香が女優へと成長していく青春ドラマとなっているというのが非常に大胆。静香の年齢を当時の薬師丸ひろ子本人と同じ二十歳に設定することによって役柄と実際に演じる女優をダブらせているのが見事で、薬師丸ひろ子のアイドル時代の出演作は何本か見ているが、本作で三田静香を演じる薬師丸ひろ子はそれらとは違う印象を残していて、とくにラストシーンの静香からはもう映画の役柄とかは無関係に、これからはアイドルとしてではなく、本格的な女優としてやっていこうという薬師丸ひろ子本人の決意のようなものが感じられて、映画と現実をシンクロさせたようなこの配役は成功していると思うし、このラストシーン自体も素晴らしい。本作は紛れもない薬師丸ひろ子の代表作といえるだろう。(以前、何かのインタビューで薬師丸ひろ子が自身の出演作で忘れられない作品として「セーラー服と機関銃」とともに本作を挙げていたが、本作で静香を演じている間はそうとう苦しかったのではないかと思う。)劇中劇として登場する舞台「Wの悲劇」は、劇中にも本人がモデルと思しき演出家役で登場する蜷川幸雄が監修した本格的なもので、劇中劇という扱いなのが勿体ないと感じるほど作り込まれていて、つい最初から最後までこの舞台を見ていたいと思ってしまうほど。(この舞台で刑事役を演じている三田村邦彦演じる五代を見て「危険な女たち」を思い出してしまった。)舞台のストーリー展開と演じる側のドラマが二重構造になっている点も凝っていて、ドラマとしても見ごたえがあるものになっている。そして忘れてはならないのが自分のスキャンダルの身代わりになる代償として舞台の主役を菊池かおり(高木美保)から静香に交代させる大女優・羽鳥翔役の三田佳子の悪女ぶりもすごくハマっていて、苦手な女優なのだが、静香に話を持ちかける長回しのシーンなどはこの人が演じるからこそ出せる迫力というのが確かにあって、印象に残る名シーンとなっている。本作は先ほど書いた薬師丸ひろ子の代表作であると同時に三田佳子の代表作でもあると思う。とはいえ今見ると、「私生活と舞台となんの関係があるの?」という翔のセリフはこの映画の数十年後に次男が逮捕され、それがスキャンダル化して干された三田佳子本人の本音のような気がしてしまう。劇中劇の舞台をもっと見ていたかったのと、後半が少し駆け足気味に感じたのでもっと上映時間が長くても良かったのではと思ったので少し低めの点数にするが、映画としてはじゅうぶんに面白く、今まで見た角川アイドル映画の中でも傑作のひとつと言える映画だと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2015-07-18 19:11:49)(良:1票)
25.  弾痕(1969) 《ネタバレ》 
「狙撃」に続く加山雄三主演のハードボイルドアクション映画。脚本家もプロデューサーも「狙撃」と同じなのだが、続編風の映画にはなっておらず、雰囲気も全く違う映画になっているところに製作陣の単なる二番煎じではないというこだわりが感じられていい。「狙撃」はかなり日本映画離れした印象があったが、本作はそれ以上に日本映画とは思えない雰囲気で、どこかヨーロッパ的というかフィルムノワール的な映画で「狙撃」で不満だった意味不明なシーンもなく、映画としては「狙撃」よりもこちらのほうが完成度は高いのではと思う。森谷司郎監督は黒澤明監督の助監督出身だが、こういう演出もできるのかと新鮮に感じた。一匹狼の殺し屋だった「狙撃」の主人公と違い、本作の主人公は組織に属しているが、日本とアメリカ、二つの祖国を持った男という設定が利いていて、これにより、主人公の孤独さが「狙撃」よりも強調されている。ラストは当時流行のアメリカンニューシネマの影響が見られるが、それでも強烈なバッドエンドで印象に残る。ヒロイン役は太地喜和子で、「狙撃」の浅丘ルリ子(二人とも「男はつらいよ」シリーズで印象に残るマドンナを演じていた。)とは違ったタイプの女優であるが、やはりこちらも良く、とくに目の前で恋人である主人公を殺されたあとの物悲しい表情の演技がとても良かった。劇中に流れる「死んだ男の残したものは」が主人公の行く末を暗示してるような使われ方なのだが、もっと効果的な使い方もあった気がする。それよりもヒロインが街中で女性アナウンサーに味噌汁についてインタビューされるシーンも暗示的で、そちらのほうが印象に残ってしまった。ほかの出演者ではやっぱり岸田森。「狙撃」では主人公のパートナー的存在を演じていたが、本作では一転して主人公たちから拷問をうける中国人のスパイ役を演じていて、その拷問シーンの演技がまさに熱演という感じ。全体としては「狙撃」に比べてやや分かりにくい部分もあったかもしれないが、それでも本作もじゅうぶん面白かった。ちょっと迷ったのだが、「狙撃」と同じく7点を。
[DVD(邦画)] 7点(2014-11-14 00:14:51)
26.  太陽の王子 ホルスの大冒険 《ネタバレ》 
高畑勲監督のデビュー作。高畑監督といえば宮崎駿監督と違ってあまり活劇寄りの映画はやらない印象があるのだが、デビュー作となる本作は冒険アクションもので、どちらかと言えば宮崎監督の作品に近い印象で、保護者を亡くした少年が仲間を求めて旅に出る冒頭は「未来少年コナン」、登場する銀色の狼は「もののけ姫」の山犬を思わせていて、本作にアニメーターとして参加している宮崎監督に与えた影響が大きいことがうかがえる。ストーリーはやや子供向けにしては暗めで爽快感に欠け、そのくせつっこみどころも多いが、人間同士の信頼や団結といった社会的側面をこういった子供向けアニメに持ち込んでいたりするのは今ではちょっと考えられないこと。このあたりにスタッフの本気度が伝わってきて、ただの子供向けには終わらせないぞという熱意が感じられる。(このあたりも宮崎監督の作風に影響してそう。)ヒロインであるヒルダの存在感も子供向けとは思えぬもので、それが本作をより印象深いものにしている。(とはいえ、声は市原悦子で、ヒルダが喋るとつい「まんが日本昔ばなし」を思い浮かべてしまうのだが。)本作は現代のアニメを見慣れていれば、古臭く感じるかもしれないが、ストレートなメッセージ性があり、一度は見るべき映画だと思う。それにしても高畑監督は最近は「金曜ロードショー」でも監督作を放送しなくなり、新作の話も聞かず、忘れさられたような存在になってしまっているのはちょっと悲しい。
[DVD(邦画)] 7点(2013-10-17 23:30:54)(良:1票)
27.  大戦隊ゴーグルファイブ 《ネタバレ》 
冒頭、敵の女幹部が仲間に追われているところを助けるゴーグルファイブ。その幹部から敵の新たなる計画を聞きだす。だが、女幹部の話を聞いて罠かもしれないと疑う二人と信用しようとする三人にメンバー間できちんと意見が分かれているのがいい。結局は信用することになるが、やっぱり罠だったという展開は王道すぎる。でも子供向けの映画なのでこれはこれでいいのだろう。それにしても敵の側もだまし討ち作戦とはいえ、あんなにしゃあしゃあと自分たちの計画をばらすのはちょっと疑問が残る。モグラの怪人相手にモグラたたきで戦うのはあまりにも単純な発想だが、こういうコミカルな戦いも子供向け映画らしくほのぼのとしている。
[DVD(邦画)] 5点(2013-03-02 15:57:16)
28.  太陽戦隊サンバルカン 《ネタバレ》 
テレビシリーズは小さい頃に再放送で見ていたおぼえがある戦隊シリーズの劇場版。「デンジマン」のそれよりも単純な作りで本当にテレビシリーズの一本として普通に放送してそうな内容。戦隊シリーズの怪人は倒されると巨大化してロボ戦というのがパターンだが、冒頭から巨大化してサンバルカンのメカと交戦するのにはこのままロボ戦かと一瞬驚いたが、さすがにそれはなかった。長官役の岸田森は特撮ヒーロー番組でもおなじみで、やっぱりかっこいいが、昔の日本映画を多く見るようになった今では岡本喜八監督の映画の常連俳優のひとりという印象が特撮作品での印象よりも強くなってしまったなあ。
[DVD(邦画)] 5点(2013-03-02 14:19:21)
29.  ダメおやじ 《ネタバレ》 
うだつの上がらない万年平社員の主人公とその妻子との日常を描いた野村芳太郎監督の喜劇映画。こう書くと何やら家庭に起きる騒動を描くほのぼのした映画なのかと思ってしまいそうだが、出世欲のないダメおやじである主人公(三波伸介)に対して妻(倍賞美津子)と小学生の息子が今でいうDVをするという展開である。原作の漫画がそういう内容らしいのだが、70年代の日本映画においてこういうのは珍しいと思うし、実際に男より女のほうが強くなった感のある現代になって見るとかなり先見の明がある映画のように思う。三波伸介扮するダメおやじに対してDVを振るう倍賞美津子の演技がすごく、朝ドラ「梅ちゃん先生」でいつも見てるせいか役柄のギャップに少々驚いた。(元々、ヒステリックな役のイメージがないというのもあるのだが。あと、ついでに言えば若い頃と今とではかなり見た目の印象が違うように思う。)三波伸介の主演映画というのも初めて見たが、お笑いの人だけあって喜劇俳優としての魅力もじゅうぶんあり、ふくよかな体型も相まって愛嬌があり、見ていてなんだかかわいらしく見える。少し過激な映画かもしれないが、「男はつらいよ」シリーズの同時上映作として劇場で流してもいいような感じの映画で、この後何本かシリーズ化してもよかったかも知れない。ただ、係長への昇進試験を妻に強要され、妻子にあれこれ言われながら試験勉強をした挙句ノイローゼになるという後半のエピソードは喜劇として見るには話が少し深刻すぎて笑えないのだが。伊東四朗が最後のほうにチョイ役で出ているが、この頃既に戸塚睦夫は鬼籍に入っていて、てんぷくトリオは二人になっていたんだなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2012-09-26 17:25:44)
30.  大決戦!超ウルトラ8兄弟 《ネタバレ》 
平成ガメラシリーズのように怪獣が実在しないリアルな世界を舞台にしたウルトラマン映画だが、後半はいつもどおりのウルトラマンという感じになってしまっているのが少々勿体ないが、イベントムービーとしてはまあしょうがないか。しかし、「ウルトラマンメビウス」でも思ったが、この映画でもオールドファンを意識した脚本になっている。しかし、昭和のシリーズでの主人公とヒロインが夫婦の設定だったり、アキ(榊原るみ)が重傷を負うところまで再現していたり、当該のシリーズを思わせるようなセリフがあったりと多少やりすぎてしまったという印象は否めないし、1966年に小学生ぐらいだった子供が現代でもやたら若すぎるのは突っ込みどころ以外のなにものでもない。(ついでにいうと、ダイゴ、アスカ、我夢なんて名前の子供はあの時代にはいないだろう。)別の世界ではウルトラマンである登場人物たちにパラレルワールドでの記憶が宿り、変身するというのも強引に感じる。しかし、シリーズに少しでも思い入れがあればそこそこ楽しめるとは思うし、平成三部作(あまり見てないから思い入れはないに等しいのだが。)と昭和の4人が居並ぶ姿はやはり爽快。石坂浩二がナレーターを担当しているのもよくぞ引き受けてくれたという感じである。貶していたわりに最後にフォローを入れてしまったが、結局は自分がこのシリーズが未だに好きだってことだな。
[DVD(邦画)] 5点(2012-04-11 22:29:14)
31.  TAKESHIS’
北野武監督の「芸術家三部作」の一作目。方々で酷評されていたので死ぬほどつまらないのではないかと覚悟を持って見たのだが、案外楽しめた。ネタ的には押井守監督の「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」に近いものがあるのだが、あれと比べるとインパクトが薄いにもかかわらず、ふたりの「たけし」が出会うことによって起こるたけしの創造するイマジネーションの世界に見ているうちにだんだんと引き込まれた。お笑い芸人から大御所タレントとなり、映画監督としても巨匠と呼ばれる存在になったたけしだが、本当はコンビニのアルバイトをしながら売れない芸人のままでいたかったのではないかと思ってしまう。また、この映画を大ヒット作である前作「座頭市」の次回作として手がけたのも、「座頭市」で世間一般についた「売れる映画を撮る監督」というイメージを覆したかったのではないかと思う。大ヒット作を世に送り出してしまうとその次の作品は二番煎じを狙った映画であってもおかしくないのに、本人がその大ヒットや自分に対する周囲の評価に戸惑っているふうにも見え、「おいらはそんなたいそうな人間じゃないんだよ。」というそれらに対する返答(反論)をこの映画一本使ってしているように見え、たけしの人間性も少し垣間見えた気がして、ちょっと興味深かった。でも、世間的に駄作と言われている(それもたけしはそうなることを分かっていながらわざとやっているのかもしれないが。)理由もよく分かるので、今まで見たたけし映画の中ではもっとも他人(とくにたけし映画を一本も見たことがないような人)には薦められない映画だろうなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2011-10-01 23:13:03)(良:1票)
32.  丹下左膳餘話 百萬兩の壺 《ネタバレ》 
加藤泰監督の伯父としても知られる山中貞雄監督の現存する三本のうちの一本。戦前の時代劇とあって見る前は少し抵抗があったが、実際見てみると全体的に76年前の映画とは感じさせないほどテンポがよく、またフィルムの保存状態もビックリするほどよくて、とても見やすくて楽しい映画だった。丹下左膳ものの映画を初めて見たのだが、見る前に得た情報から抱いていた丹下左膳の個人的なイメージというのはもっと殺伐としたものだったが、この山中監督による左膳は実に人間味あふれる人物として描かれ、好感が持てる。話はなんの値打ちもなさそうな壷が実は百万両の値打ちのある代物だったことから巻き起こる騒動を描いたコメディーだが、ちゃんとペーソスも漂わせていて、これが映画に深みを与えているし、この映画が初めて見る山中監督の映画なのだが、なにかものすごく才能を感じさせる演出で、間の取り方のうまさや、カットとカットのつなぎによってテンポよく見せていくところなどは先ほども書いたがとても1935年の映画とは思えないほどで全く古びていない。それに完成度も高く、思わず唸ってしまった。出演者も当時、左膳を当り役としていた大河内伝次郎がおそらく今まで自分が演じた左膳のイメージと違うであろう(←今まで丹下左膳を見たことがないのでこういうことを言うのも失礼かもしれないが。)山中監督の描く左膳を見事に演じており、お藤(喜代三)との夫婦漫才のようなやりとりに笑わされ、またいなくなったちょび安を探しにいくシーンでは左膳の父性のようなものも感じさせていて素晴らしく、大河内伝次郎をこんなにいいと思ったのは初めてかもしれない。沢村国太郎も本当にいい味を出している。原作者の林不忘が左膳のイメージのあまりの違いにクレームをつけたというエピソードもある映画だが、立派に後世に残るに相応しい人情時代劇の傑作だと思う。本当に面白かった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-09-01 00:11:11)
33.  大誘拐 RAINBOW KIDS
初めて見た岡本喜八監督の映画で、今回、約12年ぶりに再見した。北林谷栄扮する飄々とした刀自をはじめとした登場人物たちがとても魅力的に描かれていて初見当時と同じくとても楽しく見た。しかしやはり喜八監督の全盛期の映画をたくさん見た状態で改めて見返すと、面白いんだけど、喜八監督の映画としてはちょっと普通すぎる気がして何か物足りなさも残る。そこがやはりちょっと残念といえば残念だが、最後に国に対してさらりと釘をさすところに喜八監督らしさは少しだけ感じられる。でも、喜八監督ならばもっと弾けてもよかったのではないかと思うのも事実で、誘拐犯3人のキャラクターなど昔の喜八監督ならばどのように描いていたかもちょっと興味あるところなのだが、喜八監督はこの映画を作るために相当苦労したようで、その熱意に映画監督としての情熱を感じる。これが喜八監督の映画の中で評価が高いのはちょっと疑問だけど、娯楽映画としてはなかなか面白く仕上がっていて楽しかった。でも、喜八監督の喜劇映画としては「ああ爆弾」とかもっと弾けた映画のほうが個人的には好きだな。(2010年12月26日更新)
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-12-26 14:40:09)(良:1票)
34.  単騎、千里を走る。
チャン・イーモウ監督が若い頃からファンだった高倉健を主演に迎えて手がけたロードムービー。イーモウ監督は「あの子を探して」でも演技未経験の素人を俳優として起用し、名作に仕上げていたが、この映画でも中国の部分に登場する俳優は健さん以外はオール素人で、やはり素人ならではの素朴な演技がいい味出しているし、健さんも実に自然に溶け込んでいて、きっと撮影以外でもこんな雰囲気だったんだろうなあと感じられ、映画自体もとても心温まるもので、イーモウ監督の持ち味がじゅうぶん発揮されている映画だと思う。中国に到着したばかりの健さんが言葉が通じない異国で孤独感に苛まれるシーンなどは思わず感情移入してしまった。しかし、そんな健さんが中国の田舎で携帯電話やデジカメを使っているのを見ると、なにかそこだけ浮いて見えるし、中国到着後も息子(中井貴一)の妻(寺島しのぶ)と携帯電話で話をするシーンが多く、画面に寺島しのぶが登場するととたんに違和感を感じてしまうのは残念。日本のシーンはイーモウ監督の希望で降旗康男監督以下日本人スタッフによるもので、外国映画特有の日本描写ではないので安心感があるが、中国に舞台が移ってからの日本のシーンも浮いて見え、物語に対する観客の集中力をそいでいるのではないか。とくに、ラスト近くで電話越しに手紙を読むくだりなどは感動を狙っているのだろうけど、やりすぎかな。はっきり言ってもっと日本のシーンは短くても良かったような気がする。最初に書いたようにとても心温まる映画ではある。けれど、やはり健さんが中国に行ってからはその後の日本のシーンが邪魔に思えて全体的に見ると正直そこまで入り込めなかったなあ。あと、通訳を介してのやりとりのシーンで、これから通訳が訳す中国人キャストのセリフに日本語字幕がつくシーンがいくつかあるが、少々くどい気がする。
[DVD(字幕)] 6点(2010-09-15 20:31:12)
35.  旅の重さ
見る前はちょっとだるい映画かもと思っていたが、美しい四国の風景や主演の高橋洋子の若々しさがすごく印象的で、それからなにより70年代の独特の空気感が全編に渡ってとてもよく出ていて、全体的な雰囲気がとても良い。ストーリー的には「十五才 学校Ⅳ」を思わせるが、現代とは違うこの時代の空気感と内容がマッチしており、70年代ならではの佳作と言える映画だと思う。(「十五才 学校Ⅳ」もいい映画だけどね。)そして忘れてはいけない、この映画を盛り上げているのはメインテーマになっている吉田拓郎の「今日までそして明日から」。名作と名高い「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」の中でも印象的に使われていた曲だったが、この映画でもやはり印象に残る。とくにエンディングで流れてくるとこの「旅の重さ」という映画の全てをこの一曲が表しているようだ。改めて名曲中の名曲だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-14 02:59:10)(良:2票)
36.  大菩薩峠 完結篇(1959) 《ネタバレ》 
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演の「大菩薩峠」三部作の完結篇。今回は千恵蔵演じる龍之介の狂気が一作目のように戻ってはいるが、残したわが子を思う気持ちが描かれていたのは良かった。嵐によって橋が崩壊し、龍之介が奈落の底へ堕ちていくラストシーンは凄まじく、ちょっと複雑な気持ちにさせられるが、長い物語のラストとしては見事だった。兵馬役の錦之助が一作目に比べて随分と貫ろくがつき、「宮本武蔵」シリーズ同様に彼の役者としての成長が見られるシリーズでもあるのだなと最後まで来ると感じられる。この完結篇は大映版の完結篇と比べてもこっちのほうが違和感がなく、話としても納得がいく。(少し宗教臭いのはちょっと抵抗があるが。)でもシリーズ全体としては大映版のほうが入っていきやすいのも確かという気もする。これで三人の机龍之介を見たわけだが、三人それぞれの龍之介像というのがあって三人とも印象が違うのが面白い。中でもやはりいちばん印象にあるのは仲代達矢の異様に殺気を帯びた龍之介かな。それにしてもこの東映版が終わった翌年からもう大映の三部作が始まってるのはすごいと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-30 14:07:04)
37.  大菩薩峠 第二部
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演による「大菩薩峠」三部作の第二作。今回も千恵蔵演じる机龍之助は独特の存在感を放っていて他人を寄せ付けない得体の知れないオーラを放っているのだが、前作に比べるとやや丸くなり月を見ながら子供と戯れるなど前作からは想像もできないような一面が描かれているのが意外。龍之助が前作ほどの狂気を感じさせていない分ソフトな印象となり、前作よりは見やすくなっているが、大映版を先に見ているにもかかわらず登場人物のあまりの多さにはちょっと混乱した。(大映版ではそんなに混乱しなかったのになあ。)今回龍之助を助けるお徳を演じる木暮実千代がやはり素晴らしかった。ラストの千恵蔵の殺陣も見ごたえ充分。ところで本作は子供と戯れる千恵蔵や、ラストの槍を使った殺陣などどことなく同じ監督の「血槍富士」を思い起こさせる部分がある。きっと内田監督は意識して演出しているんだろうなあ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-22 14:17:48)
38.  大菩薩峠(1957)
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演による「大菩薩峠」三部作の一作目。何年か前に見た時は話についていきづらく、途中で屈折してしまったが、大映(市川雷蔵)や東宝(仲代達矢)で製作されたものを見ているなら、この東映版も見ておこうと思い、再挑戦。千恵蔵の机龍之介は、この頃の千恵蔵の年齢が50歳を超えていたこともあり、先の二人がそれぞれ20代、30代だったのに比べれば若さという点ではだいぶ劣っているが、狂気じみた独特の存在感とオーラがあり、不思議と違和感を感じない。映画としてはまだ三部作の最初だというのに展開がやたら早く同じく三部作だった大映版のほうがややゆったりとしてる印象ではある。しかし、大映版と東宝版を既に見ているのもあるのかも知れないが以前見た時のような退屈感はなく、むしろ本作は本作なりに見ごたえがありけっこう面白かった。のちに「宮本武蔵」五部作で内田監督と組むことになる錦之助が兵馬を演じているが、その初々しさも印象的。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-16 14:32:01)
39.  太平洋奇跡の作戦 キスカ
キスカ島に残された日本兵五千人を米軍に全く気づかれずに全員を無傷で救出することに成功したキスカ島撤退作戦を映画化した東宝の戦記映画。第二次大戦を背景とした邦画、それも実話を題材としている場合だとどうしても悲劇的な映画という印象が強いのだが、これはそんな実録戦争映画でありながら、純粋な娯楽映画として楽しめた。邦画の戦争ものにありがちな「お国のために命を捧げよう」とかではなく反対に絶対に全員を生きて救出するという作戦を描いたストーリーで、この救出作戦をいかに成功させるかが物語の骨子となるわけだが、もちろんこの部分だけでもハラハラドキドキもので見ごたえがあるのだが、キスカ島に残された側のドラマも平行して描かれており、そこでのいつ玉砕するかもしれない状況下で一縷の希望を持って救出を待つ兵たちのドラマも見ごたえがあり、これがあるから、ラストのカタルシスも大きい。この作戦の存在自体をこの映画で初めて知ったのだが、やはり、日本兵は消耗品とされていたであろうこの時代において、この人道的なエピソードが実話というのには正直驚かされる。
[DVD(邦画)] 8点(2010-03-18 02:50:24)(良:2票)
40.  大怪獣ガメラ
ガメラシリーズの記念すべき一作目。昭和ガメラシリーズは20年ほど前の小学校の頃にビデオでよく見ていたが、本作を見たのは今回が初めて。当然この当時のヒットシリーズであった東宝のゴジラシリーズに便乗して作られた怪獣映画だと思うのだが、カラー映画で作ってもおかしくないような時代に敢えて白黒で作っているあたりにゴジラシリーズの一作目を意識しているような感じがしなくもない。(単に制作費をケチっただけかもしれないが。)しかし、「ゴジラ」のような重厚感は微塵もなく、軽い仕上がりで、ドラマ的にも盛り上がる部分はなく、脚本もご都合主義全開な感じで、船越英二、浜村純といった大映映画でよく見かける俳優陣も生かしきれておらずイマイチな感じ。だが、1作目である今回から既にガメラと子供を絡ませるというシリーズのカラーが出ているのはちょっとすごい。(まだこの頃はシリーズ化なんて考えてなかったろうに。)それにやはりゴジラにないものをと考え出されたと思われるジェット噴射で空を飛ぶというシーンが初めて登場したシーンが印象的だった。でもやはりさっきも書いたように深みのないご都合主義なストーリーははっきり言って面白くないし、「ゴジラ」には確かにあった恐怖感というものがないので、ラストもカタルシスに欠けるのも本当のこと。なので、一本の映画としては完成度は抜群に低いと言わざるを得ない。だけど、昭和ガメラに対する懐かしさがあるので、まあ5点が妥当かな。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-02-04 15:28:29)(良:1票)
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