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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1252
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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41.  都市霊伝説 クロイオンナ 《ネタバレ》 
分類としてはホラーだろうが、怖い場面はごく限定的である。あとは意味ありげな構図の取り方とか小道具とか控え目な音楽で一貫した不安感を出しており、その雰囲気だけでも一定の評価をしたくなる映画である。誰かがジーッと見ているのを「ジーッ」という音で表現していたようなのは面白い(微妙なので勘違いかも知れない)。 劇中では心霊現象が外的に起こっているのか、あるいは登場人物の内的な現象なのか区別がつきにくくなっているが、また一方では心霊現象なのかどうかの境界上にあるようなエピソードも見られる。例えば風船割りの夢は病気の予知夢とも取れるが、あるいは尻が痛いという事実がまず先にあって、これを深層心理で合理化しようとした結果が夢になって出たとも取れる。また電池の入っていない目覚まし時計が鳴るのは明らかに異常だが、このとき従業員が「わけわかんね」現象に分類して日常の中に押し込めたように見えたのは非常によかった。自分のことで精一杯で、心霊現象のことなど考える余地が全くないというのは意外に強いのかも知れないと思わされる。 そのほか微妙なことだが、登場人物が車内で話しているすぐ外を自転車に乗った人間の姿が流れて行ったのは一瞬驚かされた。これは別に心霊現象ではないのだろうが、仮にそうだったとすれば、衣服の色が白いことが邪霊でないことを意味していたのかも知れない。  ところでストーリーとしては何がどうなっていたのか丁寧な説明はなかった感じだが、基本的には母親と子の関係が主な話題になっていたらしい。劇中では、関係が破綻したようでも母の愛は確かな事例、母親に拒否されて自棄的ながらも柔軟に生き延びようとしている事例とともに、母親に呪詛されているとしか思えない事例を並べていた。この3番目がどういう経過でこうなったのか不明だが、これはこれで歪んだ愛ということなのか、あるいは母親の自己愛の延長ということなのか。こういう問題の当事者になったことがないのでわからないが、とりあえず母の愛は強かったということだと思っておく。 なお主人公姉妹は二人とも美形だが、顔だけでなく体型的にもきれいな人を揃えたのが印象的である。姉役はともかく、妹役の女優はほとんど映画初出演(多分)ながらこんな役というのも大変なことだった。どうか今後とも頑張っていただきたい。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-02 20:07:10)
42.  とある飛空士への追憶 《ネタバレ》 
全体として何が表現したいかは理解可能であり、雰囲気も大体伝わるので悪い話ではないとは思うが、残念ながら見る方の気持ちがついて行かない。特に初見時に問題と思ったのは、当初は控え目に見えたヒロインが途中で豹変してツンデレ化することであり、これはいかにも美少女アニメ的な悪ふざけとしか思われない。またクライマックスもほとんど気分が高揚せず不完全燃焼に終わった感があり、ここに至るまでの盛り上げに何らかの問題があったのだろうという気がした。 その後に一応原作を読むと、基本的な構造を損なわずに短縮しているのはわかったが、やはり細かい人物描写や台詞に出ない言葉を省略したことに無理があったと思われる。特にヒロインの人物像に関しては、原作の少し複雑な設定は完全放棄して単純化し、例えば当初のおとなしい人物のまま次第に思いを募らせていき、ラストに至って初めて感情を爆発させるとかの方が、短い映画の枠内に素直に収まった気がする。 また終盤で、主人公が愛機の心を思いやる(または、自分の思いを愛機に仮託する)箇所が省略されていたのは残念だった。アニメで表現するのは難しいだろうが、これがあってこそ主人公が最後にわざわざ飛んで来て「踊ってる」理由も明らかになるというものである。ついでに軍艦の機銃員が思わず撃墜したくなりそうな危ない動きも避けてもらいたかった。  ところで声の出演に関しては、特に最初の方で主人公の声が生硬に思われるところがあったが、後半はまあ慣れた。ヒロイン役に関しても、そもそも人格設定に一貫性のないキャラクターの役をそれなりにこなしていた印象がある。 そのほか、ヒロインの姿は原作の挿絵よりは抵抗感がないので結構である。また海空の映像もそれなりに印象的だが、まあこれがなければこの原作を映画化する意味そのものがなかっただろうとは思う。全体として佳作ともいえないが駄作という感じのものでもなく、暖かい目で見ればそれなりの感慨を残す映画ではあったので、原作に免じてここは少し甘い点を付けておく。
[DVD(邦画)] 6点(2015-02-16 23:23:15)
43.  飛べ!ダコタ 《ネタバレ》 
まず終盤の村長の言葉は、印象的ではあるが微妙である。軍部の起こした戦争だった(国民は無責任)というのは現在も国民的常識であるから、ここであえて国民側の責任を指摘してみせた度胸は買う。しかし続いての“次の戦争を止める”との発言を聞けば、結局“誰か(要は国)が戦争を起こそうとしているので国民は止めなければ”といった昔ながらの脅威論のようで鼻白む。 当時はともかく、現実に有権者の投票行動が国の方向性を左右している(実際にした)現代においてこそ、民主主義の制度を通じた国民の主体性と責任感の発揮が求められており、その中で、今後の戦争の抑止に向けた現実的な努力も期待されることになる。そういった意図なら賞賛するが、そうでなければせっかくの感動作に古風な政治的メッセージなど込めるのは歓迎できない。むしろ劇中の経過を素直に受けた形で、広い民間交流が世界平和の礎を築くのだ、という素朴な文脈で語ってもらいたかったというのが率直な感想である。   ところで、劇中で変な親爺が日露戦争時の歌(「広瀬中佐」)を歌った後で「昔の同盟国」と言っていたのは、近視眼的な敵味方の区別をあざやかに無化してみせていて説得力があった。これはどちらかというと建前論の部類だろうが、その後の母子の情愛や歌の場面を見ていると、いわゆる諸国民の融和というような内容が、庶民(イギリス側を含む)の自然な感情に根差した形で表現されていて心に染みるものがある。 また登場人物では、その辺のオカアサンのように出ていた2人がユーモラスで、結構ブラックな軽口をたたいておいて結局笑いに巻き込んでしまうのが可笑しく、これはある種庶民のたくましさの表現だろうかという気がした。方言のため何を言っているかわからない場面とか、背中の叩き方など見てもこれは本当に地元の人かと思ってしまうが、こうした住民の姿が役者の力で映像化されているのは嬉しくなる。 そのほか、冬の日本海の風景は寒々としているが美しい。全国的観点からは“裏日本”などただ陰鬱なばかりと思われているかも知れないが、そこにはちゃんと四季もあり、ちゃんと人間が住んでいて喜怒哀楽も人の情もある。自分は佐渡と直接の関係はないが、同じく日本海沿岸の四季と人を知る者として、佐渡の皆さんの幅広い協賛と参加で作り上げたこの映画を(前記の苦情を除き)ほぼ全面的に支持したい。これは見てよかった。
[DVD(邦画)] 8点(2015-01-24 17:47:36)(良:1票)
44.  トリコン!!! リターンズ triple complex RETURNS 《ネタバレ》 
好きな女優が出ているとかいう動機がない限りわざわざ見るものではないと思うが、見ればそれなりに面白い。本編では登場人物の心が揺れている場面で、強い風のために海面も不穏な感じで揺れている映像が印象的だった。こういう天候の時を選んでうまく撮るものだと思う。 また登場人物に関しては、本来は主役のイケメン俳優3人を見るための映画なのだろうが、自分としては当然ながら男に関心はない。三輪ひとみが出ているのは同じ監督の別映画の縁からかも知れないが、せっかく少し色っぽい服装で登場したのだから、もっと色っぽく活躍してもらいたかった。 そのほか個人的趣味としてはゲスト出演の妹役がかわいいので見ていて和む。この女優は女性としては比較的長身で、黙っていればどちらかというと落ち着いてクールに見える人だと思うが、こういうかわいい役をやると本当にかわいいので感心する(ウ○コしてもかわいい)。しかしこの映画の性質上、見たのはほとんど若年女性だったろうから、公開当時この人はほとんど注目されていなかったと思われる。それでは悔しいので、せめて自分がちゃんと見たということをここに書いておく。どうせ誰も読まないだろうが。
[DVD(邦画)] 4点(2014-09-07 09:21:25)
45.  東京兄妹 《ネタバレ》 
年代感の表現があまりに不自然で素直に見ていられない。冒頭のブラームスまでがカビ臭く感じられるのはとばっちりのイメージダウンである。 まずは映画の舞台に閉塞感を覚えるが、それは周囲に90年代の東京の都市空間が広がっているはずなのに、高度成長期以前のように見える場所だけ選んで暮らしているように見えるからである。東京にこのような生活空間があった(ある?)こと自体は否定しないがあまりに作為的で、時々映る超高層ビルもわざとらしく見えている。また家屋が古いのはまだしも、兄妹の行動様式があまりに古臭いのは正気が疑われる。もともと親世代からしてかなり古風な人物だったのだろうが、その生活態度を子がまた固守するのではタイムトラベルものになってしまう。買い物の途中で会った友人の台詞も言い訳のように聞こえていた。 一方でストーリーに関しては、兄妹に何やら心境の変化があったらしいことはわかるが、しかし極めて特殊な家庭の話であり、どうせ他人事であるから深入りしても仕方ないという気になって共感するどころでない。名前は似ていても、見る人それぞれが何らかの感慨を覚える「東京物語」とはやはり全く違うものと感じられる(そういう比較は求められてないかも知れないが)。そのほか人間を豆腐に例えるのは、そこはかとなく嫌悪を催すのでやめてもらいたい。   以上、妹役の女優(映画初出演)に敬意を表して最大限好意的に見ようとしたわけだが、結局好きになれない映画だった。これまでDVD化を待望していながら嫌いというのも何だが、まあ以前から内容はわかっていたので今回見て初めて落胆したというわけでもない。 なお個別の場面では、妹の「何もしてないよ」という台詞には微妙に感心した。ここで彼女は雑誌か何かを見ていたようだが、それは一家の主婦としては“何かしている”うちには入らないというわけである。そのほか昔の日本家庭の細かい描写は気が利いており、また全般的に説明に頼らない心理描写には見入ってしまうところがあった。
[DVD(邦画)] 4点(2014-08-04 20:05:40)
46.  トラベラーズ 次元警察 《ネタバレ》 
劇中の「次元警察本部」の所在地は台北だったようで、4つのパラレルワールドにわたってストーリーが展開されるため設定の上ではスケールが大きいが、実際はどこに行っても台北にしか到着しなかったようなのはこの本部の管轄が台湾限定だったからか。その割に主な登場人物がことごとく日本人なのは変な世界だが、日台合作なのでまあいいことにしておく。出演者も多くはないが、4つのパラレルワールドそれぞれに対応する人物が存在する設定のため1人を最大4人まで増やすことができ、けっこう複雑な人間関係になっている。これは少し面白いかもしれない。  ところで長澤奈央・木下あゆ美の2人は以前の戦隊シリーズの人気ヒロインだが、3人目のゴスロリキャラも仮面ライダーのヒロインだったのは知らなかった。その他男連中も過去の東映特撮の出演者を充てており、またスーツアクターが顔出しで出ているのはマニア向けの趣向かも知れない。 上記2人がWヒロインで出ているからには、すらりとした脚で激しいアクションを展開するようなものが期待されているのだろうが、そのような期待にはそれなりに応えていると思われる(一部は代役らしいが)。また長澤奈央に関しては特に胸が強調されており、唐突なシャワーなどグラビア風の場面もあったりするが、ストーリー上でも2人が同列ではなくこの人の方がメインになっているのは少し意外だった。2人は基本的には相棒のはずなので軽妙なやり取りなどがもっとあると面白かったろうが(少しあるが)、ストーリーの都合上、そういう場面があまり作られていないのは残念だ。  当然ながら大感動作というほどのものではないが、事前予想をそれほど裏切らない内容にはなっており、東映特撮ファンであれば愛情をもって見られる映画になっているのではないかと思われる。ただし鼻血は汚いのでやめてもらいたかった。
[DVD(邦画)] 6点(2013-12-10 18:54:27)
47.  特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション 《ネタバレ》 
木下あゆ美という人が一番若かった頃にどんなことをしていたか見るのが鑑賞目的だったが、実際はあまり目立っていないので少し落胆した。この人(イエロー)が冒頭で言っていた「なんたるチア、サンタルチア」というのは、うちの元上司(団塊世代)の口癖だったため脱力感を覚えたが、これはそもそもこういうキャラクターだったらしい。 一方、ピンクの人はひときわ小柄で宇宙警察にしては可愛すぎだが、中盤でこの人のお風呂シーンがあったのは少し驚いた。これも外部情報によれば入浴が趣味とのことで、それならグリーンとかイエローと同じようにナレーションで説明してくれればよかっただろう。TVではこれが定例行事になっていたのだろうが、この劇場版ではゲスト出演の人も一緒に入っていたのがスペシャル感を出していたのだろうと想像する。 このゲスト出演の人はお姉さんキャラで、落ち着いた役柄をけっこうシリアスに演じているためレギュラーのおちゃらけた連中との対比が変に際立つ。この人が悪人の前に横たわり「何でも言うこと聞くから」などと言うので、そんなことを言うと凌辱されてしまうのではと心配になったが、戦隊モノなのでそういう展開ではないのだった。それにしても、もう少し格好いい衣装を着せてあげればいいだろうにと思う。 また一瞬だが「忍風戦隊ハリケンジャー」に出ていた敵の女幹部2人がさりげなく友情出演していたのは、その劇場版を見たばかりだったため微妙に嬉しかったりする。個人的好みとしては小柄な方(山本梓)が可愛いと思うが、以前は「宇宙コギャル」と呼ばれていたのに今作では宇宙女子大生に成長していたようなのは喜ばしい。 なおこの映画を見た裏の動機は「白鳥スワン」(同義反復)役の人が出ていたことで、見るとさすがに容色はわずかに?衰え、演技の面でも少々心もとない感じだが、自分の世代からすればこの人の顔を見るだけでも幸せである。  以上が女優に関するコメントである。  そのほか全体としては、戦隊と宇宙刑事の融合というのが目新しく、刑事ドラマ風に“夜の大都会”の風景がさりげなく入れてあるのが笑える。序盤で、エレガントな感じのお姉さんに「いい人ね、あなた」と言われてしまうバカがレッドだというのは心外だったが、ほかに頼りになるイヌ顔のボスがいるので安心なのだろう。この人が変身した姿はさすが宇宙刑事という感じで格好いいのだった。
[DVD(邦画)] 5点(2013-12-10 18:54:20)
48.  ドッジGO!GO! 《ネタバレ》 
一応は合作ということになっているが、これだけ無邪気な映画であっても日本でしか公開されなかったとのことで、一方通行の友情もいい加減にしろという気になる。専門家のコーチを呼んで本気でトレーニングして作ったのだから、せめて国内の普及促進にでも役立てないと作った甲斐がないように思うが、そうすると妙な友好ムードがかえって異物になるようにも思われる。どういう事情でこうなったのかわからないが。 内容としては主に子ども向けの映画だろうから、多少リアリティに欠けるところはあっても大目に見て構わない気がする。直前にかき集めた連中をいきなり試合に出したり、試合中も息抜きのような形でコメディが入っていたりするが、それでもおバカな映画に見えたりしないのは、映画がこの競技に対して真剣に向き合っている様子がちゃんと映像化されているからだと思われる。またエンディングで出ていた国境を越えたボールパスも心温まるものがあり、製作目的に対して極めて誠実に取り組んだ映画には見える。  ところでこの映画を大人が見た場合、主人公の母親が家を出たという設定は著しく不自然に思われる。こんな子がいれば、普通の親なら可愛くて仕方ないだろうから置いて行くなど考えられず(劇中に顔も出さない)、一方で母親に捨てられたはずの子どもが、これほど屈託なく前向きなのも奇跡のようである。まあこの子もパパのことが大好きだったようだし、父親も溺愛とは言わないまでも可愛がっていたようなので、愛情には不足していなかったのだろうとは思う。劇中でこの子が笑ったり泣いたり一生懸命だったりする姿が、この映画の価値をかなり高めているというのが実感だった。 なおこの子役は外見的にはボーイッシュというか男の子のようにしか見えないが、いま見るとなかなか魅力的な女優さんになっているようで、時間が経つのは早いものだと思う。これも一応は21世紀の映画なわけだが。
[DVD(邦画)] 7点(2013-09-09 19:58:05)
49.  同窓会(2008) 《ネタバレ》 
いくらコメディにしても、最後のオチがあまりにもチャンチャン、という感じの幕切れだったのは映画としてどうかと思うが、まあ全体として面白いのでいいことにしておく。そもそも最初からネタバレしているわけなので、見る側としては何があっても騙されてやる、というくらいの気分でいた方が楽しめると思われる。単純に面白おかしいだけでもなく、劇中の雪の人柄には心惹かれるものがあり、こういう人を粗末に扱ってはいかんだろうという気にさせる。最初の方では「むごかばい、神様」が切なく、また終盤で主人公が病院へ向かった場面では普通に泣けた。  一方キャストに関しても、永作博美は本当に可愛い人だとこの映画を見てしみじみ思う。また高校時代の雪もかわいいが、個人的には「口裂け女2」で悲惨な役をやった飛鳥凛が普通の女の子の役で出ているのでほっとする。そのほか主人公の同級生の娘2人の動きが可笑しくて仕方ないとか、校長役で出ていた本物の島原市長(当時)がなかなかの芸達者で笑えるとか、いろいろ指摘したくなる事項も多く、総じて登場人物は魅力的である。そういったことも含めて、少年時代の主人公が語っていたような、笑って泣けて心が暖かくなる娯楽映画にちゃんとなっていると感じられた。
[DVD(邦画)] 7点(2013-06-03 21:08:06)
50.  東海道お化け道中 《ネタバレ》 
いま思えば「ガメラ対大悪獣ギロン」と併映で見たのがこの映画だった。話の筋は忘れていたが、赤く染まる杯、刃物を捨てた場面と枯木の怪は憶えており、子どもにとっては十分怖い映画だった。個人的にはこれが妖怪映画の原点である。 この映画でも妖怪は集団化してしまっているが、場所にまつわる個別の怪異として現われる場面もあり、本来の妖怪談としての味わいが出ていたように思う。また今作でも妖怪は別に人間の味方をしていたわけではなかったようで(そう見えるのはたまたま)、妖怪は怖いものという前提を基本的には崩さない姿勢が感じられた。  それで、ストーリーの方は第一作の雰囲気に戻ってまるきりの時代劇である。画面で見る限り、登場人物は東海道を藤川宿(江戸から37番目)-浜松宿(29)-由比宿(16)-蒲原宿(15)と移動していたが、子役の台詞では掛川(26)の名前も出ており、またDVDの資料によると「八ツ墓山」は岡部(21)にあったらしい。ほか「蛇骨婆」の出身地は袋井(27)とのことだが、出たのは浜松の前なので出張していたと思うしかない。浜松から富士が大きく見えるとか、最初の藤川宿を「駿州」と言うといった考証的な問題もあるが、まあそういうのは大目にみるものだろう。 また古風な人情劇でもあり、特に子役の女の子が健気で、DVDの「索引の巻」十三の題名が「古城門昌美ちゃん名泣き芝居」とか書いてあるのは笑った。主人公の博徒としては、おれも堅気で所帯を持っていたらこんな娘がいたかもな、と思って世話していたのだろうが、最後は惚れて尽くした女にあっさり裏切られたように見えていたのが可笑しい。一時の夢に終わった悲哀感もあるが、まあ親の情をしっかり見せた方の勝ちに終わったのは仕方ないだろう。もう一人の少年もけっこう誠意をもって頑張ったのに報いがない感じで、あとは残った二人だけで親交を深めてもらえればと思う。  ところで「蛇骨婆」の話では東海道の宿場ごとに妖怪の一族がいるということだったが、天地開闢以来そうだったわけはないので、これはもともと全国各地に一定密度で分布していたのが、江戸幕府の五街道整備によって人の流れが活発になり、そっちの世界でも東海道沿いに横の連絡がついたと解釈すればいいのではないか。このへんな生きものは、まだ日本にいるのだろうかと思うが、いるわけないなどと言うと、いる、と言って出てくるかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2012-11-12 22:03:36)
51.  となりのトトロ 《ネタバレ》 
20年以上前にTVで見た時は、まずはオープニングの画面に蠢く気色悪い生物が印象に残った。通常の美化された自然描写では出ないこういうものをあえて引っ張り出し、この映画はありのままの自然に向き合っておおらかに受け入れているように感じられる。ただしメイが脇目もふらずに歩いていく前後で気色悪いのが時々表に出て来ることもあり、たまたま遭遇を免れたため気づかないでいた危険の存在を示しているようにも見えている。 また最初に見た頃は、親子向けアニメなど自分の見るものではないと決めつけていたところもあったわけだが、歳とってから改めて見るとこれが結構切ないものがある。お母さんが心配で泣き出すサツキがかわいそうでならない、などと若い頃なら絶対思わなかったろうが、これに追い討ちをかけるように劇中ではメイまでが失踪してしまい、子どもらが日常のすぐ裏にある不安や危険に常に晒されていることも示されている。そうした重層性は、実はトトロやネコバスのいる並行空間にも言えることだが、幸いおばけの世界は子どもの味方だったようである。  一方エンディングでは、秋になってお母さんが無事退院した後の様子が描かれており、幼かったメイが年下の子と遊んでやるようになったりして、少しずつ変化しながら季節がめぐって行くのが表現されている。キャッチコピーの「このへんな…」というのも、成人後のサツキが昔を振り返って語った言葉だろうから、この家族には未来につながるしあわせが約束されていることは疑いない。いくら裏のあるアニメでも、このストーリー自体をバッドエンドとして裏解釈することなどは無理だと思われる。 ただし、例の都市伝説に出る陰惨な事件がこの映画(S33の所沢市と仮定)とほぼ同年代の同地方で起きたこともまた事実である。劇中の時点では事件の被害者もすぐ近くに住んでいて、かつサツキとほとんど同年輩だったはずだが、しかしそういう暗い背景があればこそ、かえってこの映画の明るく楽しい子どもの情景がさらに奇跡のように輝いて見える気もした。子どもにそんなことを教える必要は当然ないが、この世界に現実にある不安や危険を知る大人であればこそ、この映画で描かれた家族のしあわせがどれほど貴重なものか認識できるのも間違いない。これに気づくことで、単なる子ども用アニメを超えた価値を改めてこの映画に感じることができたというのが、今回見直した後の実感だった。
[DVD(邦画)] 8点(2012-10-01 22:02:13)(良:1票)
52.  となり町戦争 《ネタバレ》 
原作既読だが、主演女優が目的で映画を見た。この映画には出てほしくなかったという思いが残るものの、とりあえずこの人のために2点つけておく。 内容については、最後が真面目な感じで終わったことから、基本的には真面目なことを語ろうとした映画だと想像するが、実態としてはドタバタばかり見せられて呆れ返る。役場が原作でいう“バカドモ”扱いなのは世間の常識通りとしても、ヒロインにまでコントの役を振るのでは真面目に見る気が早々に失せる。 もともと原作も完璧とは思えないが、それでもこの社会のありように対する作者の思いは確かに感じられた。しかし映画ではそれが全部抜け落ちて、その跡を空々しいセリフと取ってつけたようなBGMで埋めてあり、登場人物が真面目な顔で語るほど鼻で笑いたくなる。大変残念な映画化と思う。 [2012-09-02変更] 配点を変更し、主演女優のために2点、それ以外を-2点とする。
[DVD(邦画)] 0点(2012-03-12 20:30:43)(良:1票)
53.  時をかける少女(2010) 《ネタバレ》 
とにかくヒロインの芳山あかりが陽性で表情豊かで楽しい。タイトルを生かすため冒頭で無意味に元気よく走ってみたり、タイムリープの場面でも走りまくっていたのはご愛嬌。深町の本名を聞いた時の微妙なリアクションは可笑しかった。他の登場人物もみな魅力的だったが、変にナイスガイになった深町が、冷徹なようでいても情に負けて目こぼししてしまうのは少し見直した。彼も心に痛みを感じていたのかも知れない。  今回のヒロインが行くのは1974年で、その年代自体には特に必然性が感じられないが、劇中に出ていたような“窮鳥懐に入らば”的な律儀さが生きていた時代とすればわかるような気もする。現代人が体験する70年代の青春というのも、時間モノとしては面白い趣向かも知れない。また、この時代から見た21世紀のイメージは劇中に出たとおりの未来都市が典型だったのだが(ちょっと古臭いか)、その後実際に起きたのは、あかりが誇らしげに示した携帯電話に象徴される情報通信ネットワークの急速な発達だったわけで、この辺の現実認識は適切だと思う。  ところで劇中では、中学生の和子が「記憶は消えても…心で憶えてる」と言っていたが、それよりも現実に誰にでも起こりうるのは、劇中の涼太が危惧したように“記憶はあるが思いは失われる”ことだろう。そこで涼太が、いわばタイムカプセルに封入するような形で思いを残そうとしたのは自然なことであり、あかりの側でも記憶がないことで、かえってその思いだけを前向きに受け取れたようだった。また和子も実際には記憶を取り戻して、双方が相手をちゃんと認識した上で再会を果たしており、1983年版のシビアな印象がかなり緩和されていた。これは映画全体の雰囲気からすれば妥当と思える。 ただ、ストーリー作りのために死人が出たことだけは理不尽だ。能代の母はこの先どうすればいいのか。  なお余談だが、完全版DVDの特典ディスクには劇中映画の完成版が入っており、何となくその後の新たな展開を予想させる内容になっているが、これは完璧なハッピーエンドを期待する特別なファンの思いに応えようとするものかも知れない。
[DVD(邦画)] 7点(2012-02-11 22:49:09)(良:1票)
54.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 
[2012.10.27改訂] アニメヒロインっぽい元気な女の子の青春物語。終盤には“時かけ”の通例どおり切ない別れが待っている。 別れの場面では、千昭が「未来で待ってる」と告げ、真琴が「走って行く」と応えていたが、実際は千昭のいる未来と現在との間には絶望的な懸隔があり(原作の27世紀という設定を採用)、これが永遠の別れになるのだろう。しかしどれほど遠くても、現在とはいわば地続きの未来であり、時の向こうに間違いなく千昭はいる。真琴はもう自分自身で時間を超えていくことはできないが、はるか未来で待つ千昭のために、あの絵を残すことならできるはずである。そのためにいま何をすべきなのか、終盤で夏雲を見上げた真琴は心に決めていたに違いない。 この映画での「時をかける」とは、原作や他の時かけ映画のような、単なるタイムトラベルの言い換えではない。何の特殊能力もない女の子が、ただ時間に流されるのでなく、自分の意志と力で能動的に未来へ向かって行動しようとする姿を示している。そう思えばこそ、終幕であらためて表示されるタイトルに深い感動を覚えるのである。 なお劇中で真琴が魔女おばさんに持って行った手土産のケーキは、都内の実在の洋菓子店(エンドロールに出る)で調達したものだったが、その店名の”à tes souhaits!”という言葉を真琴に贈りたい(同店公式サイトに意味が書いてある)。  ところでこの映画では、時間というものの性質についてかなり柔軟な見方をしているらしい。他の時間モノでは、定められた時間の流れを寸分たりとも変えてはならないなどという厳しい制約がかけられている場合もあるが、この映画では同じ時間を何度も経験すれば全く違う展開が生じており、そのことで一人の人間がもつ無限の可能性が示されていた。また途中で“シュレディンガーの猫”が登場していたが(静止画)、別の場面でも一時点で複数の可能性が並存していて、フタを開けてみなければ確定しないという状況が描かれていた(功介の態度)。 “未来は変えられる”とか“やってみなければわからない”というのは、言葉にすれば当たり前のことだが、年を取るとどうしても未来の自由度が狭まるので、そもそも自分はこういう運命だったと考えて納得してしまうことが多くなる。自分にはもう無理であっても、せめて若い世代には、その当たり前のことをもっともっと言っていきたい気がしている。
[DVD(邦画)] 10点(2012-01-21 21:22:05)(良:2票)
55.  時をかける少女(1997) 《ネタバレ》 
昭和40年が舞台で全編モノクロだが、初めから古いものを使えばかえって映画が古びないというのが監督の考えらしい。ただしそれは前半だけのようで、後半は時間を超越した異空間のような場所で話が展開しており、さらに終盤で未来と当時の警察が協力関係にあるらしいのを見ていると、アメリカ政府が宇宙人とのコンタクトを隠蔽していたような陰謀論的超現実感まで生じるので、もう年代など関係なくなってしまう。 またこの映画では深町と和子が再会できたので、これで一応はハッピーエンドのつもりなのだろう。しかし30過ぎるまで待たされた和子が、これで本当に幸せになれるのかどうかは怪しい気がする。深町は一生逃げ回るようなことを言っていたし、和子の方にも15年の間にいろいろあっただろうと勘ぐってしまい、どうも素直に喜んでやる気になれない(すでに浅倉のものにされてしまっていて、ここで再度「助けて、連れ出して」と深町に懇願したなど)。加えてこの場面は映像的にも、登場人物が演歌の世界に移行したような中高年風味が感じられ、切ない青春物語を期待していると裏切られた気になる。こんな風にこねくり回されるくらいなら、21世紀の時かけは世代交替して正解だったと思う。  ところでヒロインは外見的にはカワイイ系の人ではなく、特に前半では高校生らしさは出ているものの全く愛嬌が感じられない。ここだけ見れば史上最も可愛げのない時かけヒロインということになるが、しかし後半になると表情が変わって俄然魅力的になり、深町と話すときの幸せそうな顔は普通に可愛らしかったし、尋問されている時の顔は毅然として美しかった。どうやらわざと差をつけていたらしい。個人的には「さよなら!」という場面がけっこう気に入っていたりする。 ほか登場人物の中で無条件に好感が持てるのは英語の先生で、演者はこのとき×十歳くらいのようだが、生徒にも美人とほめられていたのは同感である。映画を見たあと、思い出したようにアイドル時代のCDを購入してしまった。
[DVD(邦画)] 3点(2012-01-21 20:59:37)
56.  時をかける少女(1983) 《ネタバレ》 
冒頭の場面で原作のオチを軽く蹴飛ばしてしまい、この映画は違うんだと宣言しているかのようだ。違っている点は、原作の登場人物が中学生のため思春期の一時的な心の揺れで済ませられるのに対し、この映画では年齢が高校生まで上がっているので、劇中の出来事がその後の人生を直接左右する恐れがあるということである。果たしてこの映画ではヒロインと、その幼馴染みがとばっちりで人生を狂わされてしまった。こんな理不尽な映画に誰がした、と怒りを覚える。どこが理想の愛だ。だいたい深町が憎たらしい。  しかし、本編終了後のプロモーション映像のような場面になると一転、ヒロインがにこにこしてとにかく可愛いので、見ている方も顔が緩み、テーマ曲に合わせて身体を左右に揺らしてしまう。周囲の登場人物もヒロインを盛り立てようとしているのが嬉しい。この幸福感で本編のいろんなことは全部許してしまい、あーよかったという気分になって映画の評価が確定。終わりよければ全てよしという結末。  ところで、舞台の街が超レトロであり、また一部の特殊効果が超安手なのは、映画自体が古いせいだと思う人がもしかするといるかも知れないが、これはリアルタイムで見てもそのように感じられたと証言しておく。
[DVD(邦画)] 7点(2011-12-31 23:49:07)(良:3票)
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