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1.  博奕打ち 総長賭博 《ネタバレ》 
これは本当に凄い。今まで見てきた任侠映画の中でも文句なしの最高傑作!これを超える任侠映画はない。二度と作られることはないであろう!とにかく全てにおいて完璧である。この映画は任侠映画ではあるけど、単なる任侠ものではない任侠映画の枠を超えた素晴らしい人間ドラマだ!やくざ社会に生きる男と男を影で支える女の哀しくも切ないドラマである。今まで幾つもの任侠映画を見てきたが、任侠映画を見てここまで泣いたのは初めてです。鶴田浩二と若山冨三郎の兄弟の杯を交わした二人が跡目問題で悩み、苦しみ、挙句の果ては鶴田浩二が弟分である若山冨三郎を自らの手で葬るという悲劇、これは悲劇を置いて他には考えられない。中井(鶴田浩二)の苦悩、松田(若山冨三郎)の兄と慕う中井に対する気持ち、兄貴分である中井にだけは解って欲しい(欲しかった)その哀しさと二代目としての責任を全うし、自分が良いように利用されても最後までその責任を貫いた上に殺される石戸(名和宏)の苦しみ、そして、誰も書かれてないのは何故?何故みんな音吉のことを書かないんですか?男の私としてはあの音吉に思い切り感情移入させられてしまった。雨の中、鶴田浩二に向って土下座する音吉、中井と松田の二人の仲を何とかしようとする音吉、そんな音吉が身体を張って中井に殺される場面、「これで俺も姉さんの所に行ける」というあの台詞に込められたその思い、音吉の男としての苦しみも私にはどうしようもなく泣けてばかった。そうそう、男社会の中にあって哀しくも自らの手で命を絶った女を演じてみせた桜町弘子のことも忘れてはならない。桜町弘子のつや子姉さんのことを思うとこれまた泣けてくる。この映画は最初にも書いたように単なる任侠映画ではない人としての生き様、男と男、男と女、様々な葛藤、苦しみを格調高く美しく描いてみせた素晴らしい人間ドラマだ!文句なし満点!
[DVD(邦画)] 10点(2008-06-27 21:30:02)(良:2票)
2.  拝啓天皇陛下様 《ネタバレ》 
俳優、渥美清(本名田所康雄)が「男はつらいよシリーズ」以外に主演している全ての作品の中でダントツのナンバーワン作品である。ヤマショウこと山田正助にとっては誰もが地獄だと嫌がる軍隊での生活が天国であり、三度の飯をきちんと喰える上に風呂も入れさせてもらえる。軍隊での生活が天国だというヤマショウの気持ちを察するだけで泣けてきて仕方がない。よっぽど辛い過去を背負い、苦しんで来たに違いないであろうという気持ちが見ていて物凄く伝わってくるだけに悲しい。意地悪な上官のイビリなどはヤマショウにとっては大したことないのだ。上官役の西村晃、良いですなあ!桂小金治演じる鶴西が奥さんからの手紙を読ませる場面でのあの痛烈なやりとり、一方で渥美清演じるヤマショウには全く正反対な態度を取る。加藤嘉の中隊長もこれまた素晴らしい。ヤマショウにとっての中隊長はまるで父親のようである。他にも素晴らしい俳優がこの映画にはいて、ヤマショウに字を教える藤山寛美も素晴らしい。そして、忘れてはならない軍隊で知り合った長門裕之の棟さんとの男の友情、これがまた何とも良いのである。ヤマショウにとっておそらく初めての親友であろうこの棟さんの言うことなら何でも聞くヤマショウ、二人の演技、友情、全てがこの映画を素晴らしいものにしてくれているのが見ていてもよく解る。これは戦争の悲惨さをけして、前面に出すことなく人間とは何か?人間の本質のようなものをこのヤマショウこと山田正助という一人の男の姿に感じることが出来る。山田正助が棟さんとその奥さん、左幸子演じる秋子の隣の家で生活している未亡人(高千穂ひづる)に好意を抱くも相手にはされず失恋する。まるで後の寅さんのようである。いや、寅さんの失恋パターンとは違うなあ?しかし、未亡人に惚れるというのは寅さんと同じである。山田正助というこの真っ直ぐな性格、優しさに満ちた表情、それこそ正しく俳優渥美清そのものであり、言葉のトーンで泣かせることの出来る数少ない俳優がこの渥美清である。この映画を見ると渥美清という俳優の持っているもの全てが見えてきて、とにかく泣けて仕方ない。渥美清ファンは勿論、必見であるが、寅さんファンにも是非、一度は観て欲しい素晴らしい作品です。
[DVD(邦画)] 10点(2005-07-12 22:09:15)(良:1票)
3.  晩春
「東京物語」と並ぶ小津監督の傑作!何度も観ているけど、個人的には「東京物語」を抑えて私にとっての小津映画のベストワンはずばりこの映画です。一番好きな小津映画を挙げるとすればやはりこれしかない。小津監督の作品を観ていると日本人であることの喜び、幸せを感じることが出来ます。そして、何と言っても小津作品に欠かすことの出来ない俳優陣、おそらくほんどの人が心に描く理想の父親像を演じる笠智衆さんの存在と原節子に杉村春子といった2人の女優の存在無くして語ることが出来ないと思います。特に画面に笠智衆さんが出てくるだけで何だかホット致します。
[映画館(邦画)] 10点(2005-07-03 17:42:37)(良:1票)
4.  パッチギ! 《ネタバレ》 
いやあ~井筒監督、凄い!これこそ青春、正に一直線というべき熱い映画でその漲るパワーに圧倒されました。最初の内は単なる暴力的な青春ものかと思って観ていたものの明らかに違っていて、在日朝鮮人と日本人の心の葛藤を鋭い視線と眼差しで見つめながら描くことに成功!青春映画であると共に人間ドラマとしてもラブストーリーとしても良く出来ていて、この映画の終わりの方で大友康平演じるラジオのディレクターが言う「歌っちゃいけねえ歌なんてねえんだよ!」の台詞に感動し、最後は涙、涙、涙のオンパレード!「イムジン河」本当に良い曲やね!と松山康介やないけど、私も言いたい気持ちになりました。間違いなく2005年今年の邦画ナンバーワンです。いやそれどころか洋画も含めて今年のナンバーワン映画決定かもしれません。ここ何年かの邦画の中でも最高の作品です。てことで10点!それにしても音楽の使い方、本当に上手いなあと思って観ていました。
[映画館(字幕)] 10点(2005-06-06 19:33:24)(良:2票)
5.  幕末太陽傳 《ネタバレ》 
川島雄三監督の才気溢れる才能が見事に発揮され、古典落語として有名な「居残り佐平次」「芝浜」「品川心中」などのネタを取り入れどこか良き昔のアメリカ映画の喜劇を感じさせるテンポの良さとセンスの良さと主演のフランキー堺の神懸り的な演技とでも言いますか?名演あって見事なまでの作品に仕上がっています。その他脇を固める俳優陣もそれぞれが持ち味を十分に発揮して、観ていて本当に楽しい映画です。それでもってただ楽しいだけでなく哀愁漂う雰囲気いっぱいでいつまでも心に残ります。落語をネタにこれだけの完成度の高い作品を作った川島雄三監督を始め、出演者、脚本家、その他この作品に関わった関係者全員に拍手!文句無しの10点です。それにしてもこの映画の中での芦川いづみも何という可愛さだ!あんなにも可愛い芦川いづみとならわたしゃ一緒に牢屋に閉じ込められても平気でございます。
[ビデオ(字幕)] 10点(2005-05-29 08:25:01)
6.  花筐/HANAGATAMI 《ネタバレ》 
現役の日本の監督で最も好きな大林宣彦監督が癌に侵されている。余命宣告まで受けたと聞いて凄くショックで、そんな大林作品ももう観れなくなるのか?これが遺作になってしまう可能性がある。それなら絶対に劇場で観なくては、そう思って観てきた。これが死を目の前にしている人間の撮れる作品なのか?何という恐るべきパワーに圧倒させられた。大林宣彦監督にしか撮れない映像のマジック、白と赤がとにかく強烈です。ヒロイン役の矢作穂香という新人女優の素晴らしさ、彼女の白、そんな矢作穂香の姉を演じてる常盤貴子の赤、死を目の前にして、戦争中でもパーティーを開催したい。踊ると願う矢作穂香の白い服は人間の生命を表し、常盤貴子の着ている赤い服は人間体内を流れる血を表していると感じずにはいられない。生きる意味を問う様な物凄いメッセージが込められた死を目の前にしている大林宣彦監督だからこそ撮れる作品て気がするぐらいとにかくその目まぐるしい映像に目が離せません。作品の中で主人公の成年、窪塚俊介が放つ台詞「戦争に青春を邪魔されてたまるか」という強烈な叫びは人間が人間らしく生きることの大切さを描いている。この映画、戦争が背景にありながら戦争の場面など全く出てきません。それでいて所々で繰り広げられる祭りの場面、流れる能の音、木下恵介監督や溝口健二監督作品の様な映像に大林宣彦監督が尊敬する先輩の監督さんに対する思いがひしひし伝わってきます。大林宣彦監督、余命宣告されて尚、これ程までの作品撮るとはまだまだ新作が観たい。恐るべし!どこにこんな力があるのか?大林宣彦監督なら癌なんて吹き飛ばしてしまうのではないだろうか!まだまだ長生きしてください。今の日本映画界に貴方の力は必要です。
[映画館(邦画)] 9点(2018-02-03 22:08:52)(良:1票)
7.  白蛇伝 《ネタバレ》 
日本で初の天然カラーアニメとなる本作!これは凄い。普通、アニメと言うと出てくる人物、動物など皆、違う人が声を担当している。中には一人で二役てのもあるけど、このアニメは一人二役所ではない。ピーター・セラーズもびっくりの男の声は全て森繁久彌、女の声は全て宮城まり子とたった二人で全ての声をこなしている。たった二人の声だけで一本のアニメ映画を完成させている。何と言う凄さ!凄いのは何も声だけではない。今から五十年近くも前の作品なのに、古さを全く感じさせない。昔、子供の頃に観て楽しかった「まんが日本昔話」のような世界観、懐かしくて、だけど、とても新鮮!若い男女の恋物語、底に絡んでくる大勢の動物達のキャラクターも面白くて可愛い。タイトルにある白蛇になってしまっている愛すべき男を助け出そうとする女の優しさ、強力しあう動物達、妖怪だろうが、人間だろうが、動物だろうが、皆、優しい愛情に包まれている。何とも心温まる優しい映画である。このアニメ、間違いなく手塚治虫や藤子不二雄、宮崎駿、いやいや、日本中のアニメ作家、漫画化に大きく影響を与えている。漫画が日本文化であるように、アニメも日本の文化の象徴!絵が動くということの面白さをそれまでは黒白でしか表現できなかったものをカラーという初の試みで見せてくれている。いや、魅せてくれている。このアニメ映画の成功があったからこそ今の日本のアニメがあると言って良いだろう!とにかく素晴らしいアニメの傑作です。それにしても森繁久彌の声はいつ聞いても良いなあ!声だけで直ぐに森繁久彌と解る。俳優としても勿論だけど声優としても素晴らしい。日本映画は本当に惜しい人を失ったと思う。
[DVD(吹替)] 9点(2011-01-08 21:52:53)
8.  ハウス/HOUSE(1977) 《ネタバレ》 
大林宣彦の才気と少女マニアぶり、ある意味変態さが爆発していて、たまりません。ホラーだげど、ドロドロしてない所がいかにも映像の魔術師であると言えるし、ファンタジー映画を撮らせたら日本の映画監督でこの人の右に出る者はいません。これだけ美しくホラーものを撮れる監督は他にはいないだろうと思うぐらいこの監督デビュー作からして、早くも素晴らしくファンタスティクな映像の世界に酔いしれる。七人の少女という設定もどこか黒沢明監督に対するオマージュを感じるし、一人一人の少女の映し方がどこをどうとっても大林宣彦ワールド的な画き方で、これもまた大林ワールドが好きな私にはたまらない。更にこの映画、寅さんとトラック野郎好きな人にはたまらないシーンが用意されていて、それだげもとにかく見ていて本当に楽しい。大林宣彦監督の映画好きな部分が思い切り発揮されている作品でもある。ハチャメチャと言えば確かにそうなのだが、そのハチャメチャな展開、スピード感、そして、何よりも大林宣彦監督の少女趣味が醸し出すこの世界、やっぱり好きな人はとことん好きな世界だと思う。私は誰が何と言おうとこの雰囲気、大好きです。
[DVD(邦画)] 9点(2007-08-22 21:53:26)
9.  麦秋(1951)
「晩春」とよく似た作品!「晩春」とどっちが好きか?ただそれだけの理由で9点と「晩春」より1点低いのが私の気持ちである。しかし、この作品も良い映画である。小津監督らしい会話による楽しさ、フレーズの楽しさとでも言うべきか?原節子と淡島千景が結婚したばかりの親友をおちょくるシーン、あの喫茶店でのやりとりがとにかく面白くてこの作品も私は大好きな1本!脇を固める俳優陣も相変わらず好演!タイトルにもある「麦」を風景として描く姿も見ていて何だかとても良い気持ちになる。
[映画館(邦画)] 9点(2005-09-24 21:52:57)
10.  遥かなる山の呼び声 《ネタバレ》 
山田洋次監督作品で高倉健と言うと「幸福の黄色ハンカチ」ばかり取り上げられて「遥かなる山の呼び声」が殆ど取り上げられないのがどうにも納得いかず書き直しますが、負けず劣らず素晴らしい映画になってます。高倉健が食べる為に世話になる中で色々な人と出会う。余り多くを語らない高倉健が吉岡秀隆に名前は何て言うのか訪ねた後に吉岡秀隆が博って応えたら面白いのになんて考えてしまう程、寅さん的キャスティング、山田洋次監督が描く北海道の景色の美しさも印象に残る。印象に残ると言えばゲスト的扱いとして出てくる渥美清が相変わら笑わせてくれる。渥美清が出てくるだけで周りが明るい雰囲気になる。こんな俳優なかなかいません。そんな渥美清ももう居ません。そして高倉健が亡くなって改めて見直して見てこの二人の共演作品もっと見たかった。山田洋次監督って高倉健と同じ歳らしいけど二人の分まで長生きしてください。高倉健のご冥福を祈りつつ書き直しますす。最後にもう少し。 高倉健に国民栄誉賞をて話が出てるらしいけど亡くなってからてより生きてる間に与えろよ!て毎度ながら思う。 訂正2014年11月19日
[DVD(邦画)] 9点(2005-06-11 07:57:45)
11.  白昼の死角 《ネタバレ》 
岸田森の焼身自殺から始まる只ならぬスタートからこれはタダでは収まらない予感通り、夏八木勲がどんどん変わって行く。夏八木勲に忍び寄る悪魔、島田陽子の美しくも悲しい姿にどんどん引き込まれていく。地獄の果てまで付いて行くと言う島田陽子の幸薄い演技、この女優さん程、幸薄い役が似合う女優さんは居ない。犬神家の一族の珠代さん、砂の器の高木恵理子に今作といい、幸せとは無縁な儚い女が似合う。他には役者の顔ぶれ、ギラギラした雰囲気、犯罪映画として見所満載!夏八木勲と藤岡琢也のやり取りは可笑しくて笑ってしまいます。可笑しいという意味では西田敏行の初登場シーンが釣りバカシリーズの浜ちゃんみたいで、笑ってしまう。犯罪映画には不向きな俳優が何人か居るが、それを補うだけのスリリングなストーリー展開に2時間半の長さも苦にならない。それにしても藤岡琢也の嘘芝居といい、西田敏行の浜ちゃんみたいな感じやら、まんまと騙される長門勇といい、本物の木下の丹波哲郎、誰もが役に相応しい顔触れを見せてくれているのが凄い。
[DVD(邦画)] 8点(2019-02-07 19:14:49)
12.  花咲く港
木下恵介監督の監督デビュー作です。まるで小津映画の様な雰囲気が充満している。俳優の顔ぶれを見ると小津映画なんじゃないかとさえ思ってしまいます。そんな雰囲気ながらやっぱり後の木下恵介監督作品に見られる街の景色を上手く生かした映像、走る自転車、海沿いの景色、打ち上げられる花火やら何から何まで後の木下恵介監督作品らしい映画作り、あの二人のペテン師でさえも皆の為にと頑張る姿は木下恵介監督らしい優しさを感じずにはいられない。
[DVD(邦画)] 8点(2014-07-21 14:52:25)
13.  はじまりのみち 《ネタバレ》 
原恵一監督ファンであり、木下恵介監督ファンでもある私として、やっと見る事ができた。国の圧力により思うような映画、自分が本当に撮りたい映画を撮らしてもらえなくなり、一度は映画監督を諦めて辞める。しかし、そんな中で出会った一人の青年便利屋の「陸軍」を見て泣いた話を聞き、更に母親の今いるべき場所はここじゃない。映画監督に戻りなさい。という問いに再び映画監督に戻る決意をする木下恵介、正吉から再び恵介へ!木下恵介監督が今まで世の中に送り出した数え切れない程の名作の数々が蘇ってくる。この映画は原恵一監督が木下恵介監督ファンであることがよく解る作品になっている。今まで一度も木下恵介監督作品を見た事がないであろう今の人達(10代20代)の若者に一人でも多く木下恵介監督の素晴らしさを木下恵介監督作品の素晴らしさを知って欲しいという気持ちが伝わってくる。私も原恵一監督と同じ気持である。同じ日本人として木下恵介監督は黒澤作品や小津、溝口、成瀬監督達と並んで誇りに思う。この映画を見て一人でも木下恵介監督作品に興味を持てたら嬉しい。  
[DVD(邦画)] 8点(2013-12-21 10:18:15)(良:1票)
14.  裸の十九才
新藤兼人という人の人間観察の鋭さ、見つめる視線の先には日本社会がその後、次から次へと犯罪者が増え、どんどんと悲惨な状況になっていく。人が人でなくなるような乾いた空気がこの映画では充満している。主人公の男は実在したと聞いたけど、本当にこのように人間は何かがきっかけで過ちを犯す生きものなんだとばかり言っているような映画である。作品全体の乾いた感じ、冷たい雰囲気、映像美は日本映画というよりはどこなくフランス映画の臭いを感じる。自分の居場所を見つけ出すことの出来ないこの映画の主人公の姿は昨今の人間にも数多く存在するし、そういう人間の孤独のようなものをここまでストレートに見せられると誰もがこの映画の主人公のようになっても何ら不思議ではない気がして、色々と考えさせられる。既に時代の一歩先を進み、見つめる新藤兼人監督の凄さを思い知らされることになった。
[DVD(邦画)] 8点(2012-08-22 22:16:00)
15.  はなれ瞽女おりん 《ネタバレ》 
何だか凄いものを観ているようなそんな感じがこの映画を見ている間と観終わってからもそう思わずにはいらなくなるほど映像の素晴らしさ、宮川一夫カメラマンの映し出す日本海の景色の素晴らしさ、冬の景色の中で切なくも悲しい大人の男と女、眼の見えないおりんが姿は解らなくてもどんな男なのか解っているような女の表情が何とも悲しくてあの結末も哀れ、愛した男にはなかなか抱かれなく、愛してもいない男達には抱かれるという不憫、刹那さ、水上勉原作らしい女の哀しみ、不幸な生い立ちから逃げたくても逃げれないまま自ら命を絶つ姿にあの沢山のカラスの飛び立つ瞬間のどろどろとした不気味さ、最後に映し出される海、同じ原作者による「飢餓海峡」と何か通じるものを感じます。ストーリーとしての面白さという意味では「飢餓海峡」に比べてしまうと見劣りする。しかし、女が一人生きて行くということの厳しさ、ましてや眼が見えないというハンデによる苦悩、この映画を観ると人は一人では生きていけないというものがよく解る。おりんが愛した男にも苦悩というものがしっかりと描かれているのでただ単に女だけが苦しいという映画なんかではなく、愛した女のハンデを解るからこそ、そんな女を林の中で好き勝手に抱いた男を殺すという行為がその後の二人の人生が更なる苦悩を生む。岩下志麻の美しさと原田芳雄の男臭さがドラマを更に盛り上げる。はっきり言って面白い。楽しいそんな映画ではんい。この原作者の作品全てに通じる男と女の苦しみ、岩下志麻の言おうとしている全てを宮川一夫カメラマンが美しい映像によって語っているようなそんな映画です。
[DVD(邦画)] 8点(2011-08-12 22:06:39)
16.  ばかもの 《ネタバレ》 
ばかもの!これほどの作品なのに1本しか置いてない近所のレンタル屋にまずは「ばかもの」だ!どうでも良いようなアニメの実写だのテレビの映画化の劇場版何々だのとくだらんものきり沢山置くレンタル屋に「ばかもの」だ!そして、いくら内田有紀のような年上の美女に誘われたからってのこのこ付いて来てはSEXしまくるとんでも野郎の成宮寛貴の「ばかもの」エッチする前に餃子なんて買って来て、その後、女みたいな声だすんじゃないよって言われるほど本当にお前はどうしようもない「ばかもの」だ!年下の男と年上の女、何とも不器用な男と女、飛び交う台詞のリアルさにそして、本当にリアルなほどのだらしない男の駄目さ加減が男からしたら解るほど解りすぎてどうしようもなくなってくる。内田有紀の年上女のいやらしさがかもし出すほどに観ていて本当に「ばかもの」だと思わずにはいられなくなる。内田有紀が感じている時にアホみたいに「気持ち良い?」ってそんなこと聞くなよ!本当にこの男も女以上にどうしようもない「ばかもの」だ!最後に内田有紀が脱いでる。全裸が完全に見れるんだと思ってそれだけの為に借りてきた私にも「ばかもの」と言いたい。競馬場のシーンで熱くなる男達、観客も含めての熱気やら何から何までこの映画の持つ熱気が私は何だか好きです。拝啓、金子修介監督様、正直、エッチなシーンきり期待して借りてきた本当にどうしようもない「ばかもの」な私をどうかお許し下さい。金子修介監督、この監督って「ガメラ」シリーズといい「毎日が夏休み」といいもっと評価されても良い監督さんだと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2011-08-06 19:53:17)(良:1票)
17.  裸の島(1960) 《ネタバレ》 
この映画には台詞らしい台詞がほとんど無い。笑い声や掛け声、子供達の歌声などはあるけれど、会話という会話が無いのである。そして、そんな会話を一切省くことで省略することによって、新藤兼人監督は互いが相手のことを全て受け入れてこそ伝わる人間としての正しい姿、人間が人間であること、人としての有り方、それを認めているからこそ、そんな関係のある者の間には言葉など要らない。言葉など無くても伝わるのである。言葉というものはお互いを確かめ合う上において時には不要であると言っているようである。そうなのだ!信頼しあっている者同士の間には言葉は要らない。相手を受け入れ、相手の気持ちを知る。また自分の気持ちも相手に伝える。人と人との関係、繋がり、この映画が意味するものは何なのか?全く知らない別の世界で生きている者同士なら言葉が無ければ解らないだろうが、この映画の人達の間には相手をよく理解している者同士、同じ島に住む者同士であるから言葉は無くても良いのである。人と人との繋がり、そして、人間って凄い。生きること、生きていることの凄さを映像だけで見せてしまうこの新藤兼人監督という人の凄さ、今の日本映画には無い。欠けている要素、何でも台詞でやってしまう今の日本映画とは正反対な作品である。
[DVD(邦画)] 8点(2009-08-19 22:52:53)(良:1票)
18.  (ハル)(1996)
森田芳光監督って脚本さえしっかりしていれば良い映画を撮れるんだということを証明する上で最適な監督であるように思うわけで、この映画の主人公、言葉というものの意味合い、コミニュケーション、時代の一歩先を既に感じ取っていたかのようなそんな内容のこの映画を観ると言葉って大切なんだなあ!気持ちというものの表し方、相手に対する優しさやそういう人として最も大切なものをこの映画では見せてくれているようで色々と考えさせられる。この映画を観るまでは深津絵里って特に意識したことなかったけどこの映画を観てからというものすっかりファンになってしまった。顔の知らない何処の誰とも分らないメールだけの会話、やりとりなんて凄く不安だし、もし、その相手が自分の思い描いている人とはまるで別人のような感じだとしたら私にはなかなか会おうなんて勇気が湧かないけれど、でもそれが深津絵里みたいな彼女だとしたらなんて想像するという楽しみもこの映画の魅力なのかもしれない。いずれにしてもこの映画の深津絵里はとにかく文句なく可愛い。
[DVD(邦画)] 8点(2009-03-17 22:37:18)(良:3票)
19.  同胞
山田洋次監督の温かさ、応援歌のようなものを感じることがこの映画を通し、また、出演者全員の演技、表情から伝わってきて、やっぱり人間て良いなあ!田舎って良いなあ!私自身が田舎で生まれずっと田舎で生活してるから余計にみんなの頑張ってる姿に応援したくなります。田舎者の田舎者による田舎者達への励まし、青春という言葉の正にこれは若者よ!頑張れば報われる。てメッセージがこの映画にはある。山田洋次監督作品、それも山田洋次監督と言えば誰が何て言おうが絶対に男はつらいよ、寅さんシリーズなのだ!のそんな寅さんシリーズの常連である賠償千恵子、更に下條正巳に三崎千恵子のおいちゃん、おばちゃんコンビにそして、何と言っても渥美清、このメンバーだけで内容なんか気にならないぐらい嬉しくなってしまいます。寅さんシリーズにゲスト出演していた井川比佐志や大滝秀治など、とにかく寅さんシリーズのキャストが沢山、見られるだけで良いのだ。皆さんが書かれてる通りこの頃の山田洋次監督作品は良いものが多い。しかも、寅さんを毎年二本づつ撮りながらである。凄いことだ。
[ビデオ(邦画)] 8点(2009-01-20 21:33:07)(良:1票)
20.  晩菊 《ネタバレ》 
成瀬映画と言って思いつく女優は?と質問されたら大抵の人はまずは高峰秀子の名前を真っ先に挙げるであろう!次はとなると原節子か香川京子が司葉子かまたまた草笛光子かいやいや、やっぱり浦辺粂子だろ!とかええ?杉村春子でしょ!とかまあ、色々な意見が飛び交うことであろう!で今作はというと成瀬=高峰秀子である彼女も出てなければ原節子も香川京子も司葉子も出てない。それなのに面白い。ここらがこの監督さんはただ者ではない。三人の中年女性が主人公の話なんて普通、つまらんだろうと思うものだが、そうならないところが成瀬巳喜男という監督は素晴らしい監督である。普段は脇役専門の杉村春子の凄さを引き出す演出の凄さ、人間の欲、金に対する欲望、金貸し女のずるがしこさ、いやらしさというものを徹底的に描き出している。人生についての本音の部分、年老いた中年の女にしか解らないであろう本音の部分を包み隠さずに堂々と見せつける。これぞ人生の辛さ、人間の持っているいやらしさというものを上手い役者の抑えた演技で見せてくれていて面白い。あのラストの方の望月優子のマリリン・モンローの物真似、変てこな歩き方の場面の面白さ、やはり成瀬映画は面白い。成瀬映画を見ていると川島映画を見ている時のような人間のだらしなさと人生に対する皮肉みたいなものが画面を通して迫ってきてこの監督さん、今じゃ川島雄三監督と並んでやめられなくなってしまった。成瀬映画も全部観たいぞ!
[CS・衛星(邦画)] 8点(2008-12-03 20:23:13)
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