181. 丹下左膳餘話 百萬兩の壺
確かにチャンバラでありながらコミカルで面白い、笑いの間、リズムの良さは天性のセンスでしょうか。セリフや小道具の利かせ方、ネタの振り方、オチの付け方も上手いです。ただ本作には余話と付くように、一番のネタ振りは丹下左膳=チャンバラというイメージが既に出来上がっているからこそなんですよね。王道の丹下左膳あったればこその本作なのではないでしょうか。 [ビデオ(吹替)] 7点(2005-04-23 23:49:26)(良:1票) |
182. 血と骨
梁石日、鄭義信、崔洋一彼らの想いが十二分に詰められており、戦前・戦後を生きた一人の在日朝鮮人一世の一代記としては、かなり真に迫っており、在日の物語としては一番のデキじゃないでしょうか。一世世代には結構こういう人がいたんじゃないでしょうか?あの時代、国では飢餓が蔓延していたでしょうし、まともな職もなく、出世も望めない。野心と欲望に燃え、時と場合には国を売る覚悟(当時は日本国籍なのかな?)で海を渡ってきた人間です。日本人からの差別も受けるだろうし、コレくらいのバイタリティを持たねばならなかったのかもしれない。父を憎めども父に似ていく正雄、父は高瀬川のごとく愛すればこそ人も殺すが、自分は姉を死に追いやる。自分の最期を考え、後継者に指名するも、父を許せない正雄。この父にしてこの子あり、血の因果といったところでしょうか。海を渡ってからカマボコ屋を興すまでの語られない時間が描かれないからこそ想像を掻き立てられます。仕事上知り合う、土建屋の社長で在日一世の人って皆、大なり小なりこんな感じのところがあります。 [DVD(吹替)] 8点(2005-04-21 17:56:20) |
183. 日本のいちばん長い日(1967)
日本人ならば知っておかねばならない一日であり、忘れてはならない一日、思想の左右を問わず見ておくべき作品ではないでしょうか。だから戦争反対、9条を守るべきなのか?いやいや日本は日本人が守るべきなのか?中国、韓国等に平身低頭謝り続けるべきか?日本としての自主性、独自性を貫くべきか?「東京裁判」や本作などは学校で鑑賞し議論すべき映画だと思うんだが、実際はこのあたりの歴史は端折られてしまうのが残念。 [ビデオ(吹替)] 8点(2005-04-20 22:17:38) |
184. 独立愚連隊西へ
この世に存在しない、靖国に眠るはずの独立左文字小隊、焼焦げた軍旗一枚をめぐって繰り広げる戦争、軍隊という規律の厳しい組織を風刺することが滑稽さを際立たせている。一癖二癖ある無頼漢な面々でありながら、上手く一つにまとまった愚連隊がとても魅力的です。フランキー軍との爽やかな男の友情も好きです。緊張と緩和のバランス、最も喜八監督らしい作品ではないでしょうか。 [ビデオ(吹替)] 9点(2005-04-17 10:39:14) |
185. 独立愚連隊
独立愚連隊という得体の知れない存在を探る従軍記者が一人で馬に乗ってやってくる。チクチクッと陸軍批判を入れながらサスペンスタッチに進んでゆく。戦争批判というよりも軍隊も含めた日本の官僚体制そのものが、戦前も戦後もさして変わることなく組織的に腐敗してと思わされる。 [ビデオ(吹替)] 7点(2005-04-17 09:55:27) |
186. 怪談(1964)
どれもこれも美術、映像に目を惹かれます。メインとも云うべき耳無し芳一は圧巻、文学では伝わらない部分を映像で十二分に伝えてくれます。茶碗の中の不条理ワールドもかなり気に入りました。 [DVD(字幕)] 7点(2005-04-16 18:30:43) |
187. 幸福の黄色いハンカチ
子供の頃TVで見たときに、目いっぱい吊るされた黄色いハンカチ見て笑ってしまった。「オイオイそんな干さんでも」って突っ込んでた。 TV放映にて再見。随分年もとって恋もそれなりにしたせいでしょうか、ハンカチ一杯干す気持ちは納得できました。知り合ったばかりで一緒に旅をする若い男女と何年も離れ離れで暮らしながら相手の事を思い続ける男女、本当の愛は紙切れ一枚でどうこうできる物ではない。コレはコレで良いんです、健さんもカッコいいですが、根本的にこの男の身勝手さが合わない。+1点しておきます。 [地上波(吹替)] 4点(2005-04-16 08:13:30) |
188. 若き日の信長
元々は歌舞伎劇らしいです。父の死後、家督を継いだが相変わらずのうつけ振り、重臣達から責められた平手政秀が自害。そんな中、海道一の弓取り今川義元が動き出す。さあ、いよいよ桶狭間!というところで終わります。見所は市川染五郎時代の松本幸四郎の「敦盛」の舞、いざ桶狭間と騎馬が合戦に向かうシーンを正面から捉えた躍動感溢れるシーン、清洲城内の美術セットもナカナカ、カメラのターンも実に上手いです。青山京子の色っぽい目つき、妖艶さも良いです。雷蔵の舞はチョッとガッカリでした。 [ビデオ(吹替)] 7点(2005-04-10 19:59:51) |
189. 珈琲時光
東京物語が戦後の新たな女性であるならば、本作は平成か、21世紀の新たな女性像なんでしょうか?一青窈の考え方、生き方、こんなのも有りといった意味では、東京の女性の香りを確かに感じさせる。共感はしないし、個人的にはこういうタイプの女性が苦手だし、タイプではない。でもこの町のどこにでもいそうな女性という存在感には納得させられる。ただ小津監督の絵に対するこだわりや思い切りの良さに比べ、微妙に動くカメラが潔さがなく残念。 カメラが人を追うのでなく、人がカメラの枠で芝居するのではなく、ただそこにある風景をカメラが描く、そんな映画にして欲しかった。 [DVD(吹替)] 6点(2005-04-07 21:42:33) |
190. この子の七つのお祝いに
原作を読んでから観に行きましたが、映像として血や赤を鮮烈に印象付けられるため、想像以上に怖かったです。血が血を呼び、愛を以てしても血をとめることは出来ない。復讐という使命を背負わされる娘と真実は、心理的にもかなりダメージを与えられる。 [映画館(吹替)] 7点(2005-04-05 22:57:25)(良:1票) |
191. 華岡青洲の妻
今まで息子を思うあまり自らの体を差し出す母、愛するあまり体を捧げる妻という単純な思いを描いていたが、そんな生半可なものではない本物の嫁姑バトルでした。その根底は家名を守るための保身であり、家名を上げるための名誉であり、全ては”家”のためという世間体を重んじる日本古来の封建的な一家のまさに血みどろの戦い。妹・小陸が兄・雲平を激しくなじる言葉が全てであり、男のズルさを端的に現している。見るからに気の強そうな若尾文子がぐっと堪えて耐える様、一見温和そうな高峰秀子が厳しく嫁に当たる様は身震いするほどの迫力がありました。 [ビデオ(吹替)] 9点(2005-04-05 22:33:22)(良:3票) |
192. ラストシーン
監督の撮影所に対する思い入れや職人スタッフに対する尊敬は良くわかりますが、物語的にはもう少し盛り上がりが欲しかった。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2005-04-04 01:03:33) |
193. 青の炎
二宮くんって上手ですねえ、多感な思春期の高校生の持ちえる危ない輝きが上手く出ていました。相手役はあややじゃない方が良かったね、もっとクールで冷たい感じの女の子の方が良かった。2人の関係性も最初はもっと離れた関係であった方が良かったのではないだろうか。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2005-04-03 23:20:13) |
194. 青春の蹉跌
この70年代の薫りがたまんなくイイんですけどねえ。野心に燃え、学生運動もアメフトも捨て、司法試験を目指す学生が中絶を勧め、やがて殺人者となる矛盾。全ては上手くいく筈だったのだが、思うように行かない人生。若さゆえの浅はかさ、焦燥感がいい感じです。ただ桃井かおりはチョッと違うよなあ、秋吉久美子なんかの方が似合った気がします。 7点(2005-03-28 23:55:51) |
195. 名探偵コナン 銀翼の奇術師
漫画も毎週やってるアニメも見ない私が、映画のコナン君は以前面白かったのでつい見たのだが・・・あんまり文句いってもしょうがないけどヒドイねコレ。昔もムチャクチャしてたけどもう少し楽しめたんだけどなあ。 0点(2005-03-28 23:34:42) |
196. 東京大空襲 ガラスのうさぎ
オフクロと姉ちゃんと見た記憶があるが、蛯名由起子ちゃん可愛かったからね、どうしても入浴シーンのインパクトしか印象が残ってないんですよね。たぶんいい映画だったと思うよ。 5点(2005-03-27 23:10:06) |
197. 東京兄妹
市川準監督を面白いと思ったことがないんですよ。この映画も兄妹のお飯事チックなのが生理的に合いませんでした。小津監督が好きなのは判るんですけど響かないんですよ。 2点(2005-03-27 23:06:14) |
198. ションベン・ライダー
みんなでマッチの「ふられてBANZAI」を唱ってるのだが、正直訳のわからん、一風変わった映画だった。 1点(2005-03-26 20:49:17) |
199. 国東物語
大友義鎮が二階崩れの変により父・義鑑を殺害し、家督を簒奪する一方ザビエルを招きキリスト教、南蛮貿易を行なうなど、宗麟が義鎮を称していた頃の物語でしたが、戦国モノで派手な合戦を期待していたので物足らなかった。この後の戦国大名・大友宗麟となってからの方が面白そうな気がする。 3点(2005-03-26 10:45:50) |
200. 淑女は何を忘れたか
面白いし上手いですねえ。現代と何も変わらない、何でもない日常の中での笑いと夫婦愛がこれぞ小津流でしょうか。飯田蝶子は相変わらずのいい味出してますし、突貫小僧も好きだなあ。ラストで鐘の音と共にライトが消えていき、残されたライトの中での夫婦の動きがとても自然な感じでいいんですよねえ。 7点(2005-03-24 23:52:04) |