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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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181.  HANA-BI 《ネタバレ》 
北野武の映画は、北野が出ない「キッズ・リターン」とか「あの夏、一番静かな海」みたいな映画の方が好きなんだけど、北野が監督・主演で唯一好きなのがこの「HANA-BI」だ。  北野のファンの中には「“ソナチネ”のような鋭利なものが無くなり、優しさばかり溢れている」という人もいる事だろう。  だが、俺は優しさと冷たい暴力が共存するようなこの映画が好きだ。  「ソナチネ」や「あの夏、一番静かな海」の蒼き海の美しさ、「その男、凶暴につき」の孤独な警官の物語。  まず、武が多くを語らないのが良い。  劇中で咲き乱れる花、花、花。 火花のように散る血、血、血。 少しかすめただけでも噴出すような真っ赤な血液。 特に劇中の北野が演じる警官は、すぐに爆発して散ってしまいそうな存在だ。 夜空に打ち上げられ、一瞬美しく咲き乱れ、消えていく花火のように。  子も失い病の妻を気遣う警官。 妻が死んだら自分はどうするか。生き続けるか、それとも・・・。 そんな時に、同僚が撃たれ彼は部下と共に犯人を追う。  駅の売店で犯人を見つけ、捕まえようとする北野。 揉み合いになり、犯人が放つ拳は爆弾の起爆剤を押すように口から血を噴出させる。  たけしだったら自分の足ごと犯人を撃ち抜いていただろう。静かな怒りが主人公を動かす。  警官をやめ、ヤクザのような黒装束とサングラスで身を包む北野。 「銀行強盗やろうと思ってよ」なんて嘘か本当か解らないジョークを飛ばす。これが有言実行なんだから恐ろしい。 “ナイフ”の場面でアクションを影だけで演出するのが面白い。 そのナイフを相手がパッと両手で受け取るのなんか思わず笑ってしまった。  妻の治療費のため、そして残された部下のためにヤクザ相手に独りで立ち回るのだ。  終盤の怒涛の如き流れも、静かな空気が肌を刺す。  偶然出会った少女に、主人公は亡き子供の面影を見たのだろうか。 胴体だけ先に行き、残った両手もまた後を追う・・・。  ラストの海を見ながら「ごめんね」と呟く妻と静かに過ごすシーンが印象的だ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 20:14:27)(良:1票)
182.  機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編 《ネタバレ》 
俺が子供の頃、猛烈に熱狂したのがこの「ガンダム」だった。 小2の頃にやったBSでの劇場版三部作再放送。BSは「パトレイバー」や「七人の侍」、チャップリンやヒッチコックにも出会えた感謝してもしきれないチャンネルだ。 俺にとっては劇場版のスピーディーな展開が「ガンダム」だったし、小5の頃に見たTV版の「ガンダム」はちょっと退屈してしまった(それでもグフ戦とかズゴック戦とかギャン戦とかスッゲーのよ!) 古ぼけた画面がかえって新鮮だったし、今見ると変テコリンな服装や髪型、モビルスーツのデザインも良い意味で“時代”を感じた。 デブのオッサンかと思ったリュウが誰よりも仲間思いで、チームを引っ張って、後輩のために死ぬ覚悟もある男の中の漢だったり、 ブライトが白目の無いクソ野郎かと思ったら、苦労を背負い込む本当は優しい大人だったり、 スレッガーの覚悟を決めたセリフと行動・・・・ガンダムからは色々学んだ。あの頃は。 ガンダムが起動するシーンは今見てもワクワクするよ。 ビームサーベルがザクの心臓部に深々と刺さっていく描写、テキサスコロニーでの一騎打ち、エルメス戦、ソロモンでの死闘の数々・・・そして倒れ様に敵を撃ち抜くガンキャノンのカッコ良さよぉ!! 「ラスト・シュート」が一番の名場面だけど、俺は心も体も成長したカイの奮闘が一番心に染みるぜ。 俺個人は富野の最高傑作は「イデオン 発動篇」だと思っているが、終わり方は「∀」や「ザブングル」と並んで一番好きだ。 ラストの曲は最高に卑怯だ。安彦の美しい絵も卑怯だ(80年代の安彦は神)。あと永井さんのナレーションも。合唱・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 19:01:26)
183.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 
筒井康隆のSF小説をアニメで復活させた。 長馴染みの男女3人。 他愛の無い青春を送る彼らだが、ヒロインは突然「時を超える」能力に目覚める。 何も起こらず退屈な日々を送っていたヒロインにとって、突然の「能力の目覚め」は彼女を虜にした。  過去を行き来して夢のような毎日を送るヒロイン。 だが能力は次第に「ひずみ」を産んでいき、友達の身も危険にさらしてしまう。  目覚めた「異質の能力」、そして大切な友人との別れ。 だがそれは元の「つまらない毎日」に戻るワケではない。  いつか「友人」と再び巡り合う事を信じて・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 21:18:25)
184.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
題名通り「夏休みのとんでもないひととき」に巻き込まれるストーリー。 「ぼくらのウォーゲーム」を拡張したような世界観で、さらに複雑に入り組んだ展開である。 何がしたいのかよく解らないヒロイン夏希にいざなわれる主人公の健二。 一貫性が無くて飽きやすい性格、自分のやりたい事がハッキリしないグラグラのヒロインを、一本筋が通った健二が支えていく。 理想を具現化したような大家族に囲まれながら、今の世の中には無くなってしまった懐かしさも感じられる。 大家族のほとんどがネットゲームやアバターに興じるというところは現代的だが、全員が戦力になり得るというのはちょっと疑問。 だが、事件は世界中のネットで突然起こり、主戦場は片田舎である。 「ラブマシーン」と呼ばれる凶悪なウイルスに食い荒らされるネット空間。 何でもかんでもデータにして情報を統一しようという「OZ」の危うさと人間の限界を語りかける。「OZ」を破壊されれば、それが管理する医療機器に繋がれた命も危ない。 栄ばあちゃんもそれが原因で助けが間に合わなかった。 最悪「ラブマシーン」に侵食された軍事システムが街を焼き払うだろう。  仇討合戦誰がやる? 誰もやらなきゃ誰がやる? 俺たちがやってやる! 今作の“戦”は刀や槍ではなく、それぞれの知恵と能力を武器にして立ち向かう。 「いくら大家族とはいえ戦力揃いすぎバロス」というツッコミはこの際ヤボだ。  数学に強い学生健二、 ネットゲームのチャンピオン佳主馬、 生まれた時代を間違えたネトゲーじいさん万助、 自衛隊の理一、 オーバースペックな電気屋である太助、 戦う覚悟を決めた夏希、 そして曲者の侘助。 41歳にしては若すぎる(伊丹十三モデル)容姿だが、そこにはラブマシーンの開発者として責任を払おうという覚悟が芽生えていく。 そして夏希の家族たち。 ひと時の夏に全てをかけた老若男女の男女たちの映画。 TV版では夏希と侘助が花札に興じる場面がカットされていたり、最終決戦の重要な伏線が削られてしまっていた。今度TVでやる時は是非ともフルで鑑賞したいものだ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 19:54:40)(良:2票)
185.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 《ネタバレ》 
クレしんらしいナンセンスな世界観に「哲学」をぶち込んだ作品。 子供向けの作品で哲学は通じるのか? いや、本作は「親子」に向けた強烈なメッセージの詰まった映画であろう。 子供でも解る「疑問」を大人にも向けて投げつけた。 懐古主義でも何でもない、「懐かしむ」ことの大切さと「今の時代を否定」することの誤りも思い出させてくれる。 オトナ帝国の人々は、昔には当たり前のように溢れていた「夢と希望」が今の時代には無いと嘆く。 だがそれは彼らの主観でしかない。 現代を生きる「しんのすけ」たちは自分たちなりの「夢と希望」を持って必死に生きている。  世代で違う流行や主義主張の形。 共有できるものと出来ないもの。 それの衝突と対立・理解、そして世代間を超えた親子の絆が本作のテーマだ。 「オトナ帝国」のマインドコントロールで「昔」にとり憑かれる大人たち。 今までの映画シリーズで、頼りになった大人たちが敵となる。 子供たちにとっては恐怖でしかない。 その恐怖に子供たちは立ち向かい、大人たちの心を呼び戻す。 大人たちも、子供だった頃を思い返して、「自分たちの子供も同じように生きた。それを経験した大人がなにやってだ」と家族の大切さを思いしていく。  ノスタルジックな風景。 それは今の世の中には無い「幻想」でもあるし、もう一度作れるかもしれない「夢」に生まれ変わったのかも知れない。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 19:28:42)
186.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 《ネタバレ》 
ストーリーはクレしんらしい単純さ。 戦国時代が舞台というと「雲黒斎の野望」を思い出す。あの映画も戦闘描写が凝ってて面白かったぜ。 本作も「クレしん」らしからぬリアリティ、「クレしん」らしい散々笑ってアホみたいに泣かされる。  タイムスリップした先が戦国時代で、そこに居合わせた武将と姫を野原一家が助けるというシンプルなもの。 だが今回のクレしんは馬鹿馬鹿しいドタバタや「陳腐」を「爆笑」に変える破壊力は控えめ。 論点になって来るのが、クレしんの単純な娯楽性に「戦国時代の「リアリズム」をねじ込んだ点。  確かに合戦の様子はリアル。 当時の合戦のルールを娯楽映画の「お約束」として利用する方法は素晴らしい。  とまあ、合戦に関するリアリティは良いが、肝心の姫様側はリアルとは言えない。  何故なら姫君がそのまま後を継げばそれで良いのだから。 実際の戦国武将は、後継に男がいなければ女でも城主になれた。 巴御前や甲斐姫といった女武将がまかり通っていたなら、女城主が認められないわけがない。 鶴姫という実例もあるし。 本多忠勝の姪だか妹も城を任されていたっけな。 あと秀吉の嫁の茶々とか淀殿とか。 あの上杉謙信だって「実は女だったじゃないか」と疑惑が向けられるほどだ。  まあ余りにリアルにしすぎたらそれこそ「つまらない」。 「七人の侍」のようにリアリティとありえない描写をマッチングさせた「娯楽活劇」とするか、 「乱」みたいな城下町すら無い「悲劇」を描くか。 その点で言えば本作は「親子に見てもらいたい」からこそリアリティをねじ込んだ。  でも、それよりも大きな論点はラストの「唐突な最期」だろう。 戦場のリアリティにこだわった結果、いつものクレしんには無い哀しみが訪れた。 いままでの「クレしん」からは予想も出来ない事さ。 俺だってガキの頃は又兵衛があんな事になって泣いたよ。 ちくしょうちくしょうって悲しくなった。 死ぬ間際に大切な刀をしんのすけにあずけてさ・・・。  戦国武将のクセに女に弱かったりさ、人間臭い又兵衛。 静かな静かな幕引きはちょっと切ない。  クソ・・・もう100回見ても又兵衛のシーンで泣く自信があるぞコンチクショウ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 19:22:45)(良:1票)
187.  赤ひげ 《ネタバレ》 
語りがメインのヒューマン医療時代劇「赤ひげ」。 「生きる」は重すぎてダメだったけど、この作品は嫌いじゃない。 俺としては「椿三十郎」や「七人の侍」みたいに刃を抜いて戦って戦いまくる映画こそ黒澤だと思うけど、こういう心と心をぶつけて“闘う”ヒューマンドラマも好きだぜ。ヒューマニズムこそ映画だ。 当時の医療や人々の交流を通じて、人間の本質に迫ろうとする。 かなり長いし、全体的に淡々とした語りで退屈してしまうかも知れないが、この映画は見れば見るほどじんわり染み込む類の作品だと思う。 しかもこの作品は前・後篇に別れている上にオムニバス風味。無理をせず少しずつ消化していくのも良いし、好きな人は一気に見てその積み重ねを味わうのも良い。 時に冷たく、時に辛辣に、時に暖かく見守るような描写は見応えがある。 加山雄三演じる若い医者。最初生意気だったけど、幾つもの修羅場を潜って徐々に成長していく。王道だが、こういうのは良いもんだね。 アクションシーンは全然無いけど・・・え? 何処ぞの用心棒そっくりなオッサンがゴロツキぶちのめしまくって暴れてる? 恐ろしい表情の香川京子が加山雄三を殺そうとしてる? やだなあ~。そんなエグイシーン出てくるわけ無いじゃないですか~(棒読み) あれだけ痛めつけておいて自分で治療をはじめるんだから面白い。でも骨が飛び出てるのはやりすぎ(笑) 地震の被害を地震後の惨状だけで語る、まっ裸の女の治療も傷口を見せない(乳首は見えた)、生死をさ迷う子供がどうにか一命を取り留める様子を見せない“演出”。もどかしさも黒澤映画随一。 でも井戸に向かって全員で一斉に叫び続けるシーンは胸に響くぜ。 体も病めば心も病む。 内も外も健全でこそ健康と言える。 ラストの二人の会話も印象的。 情の厚い人間ドラマだ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 19:13:08)
188.   《ネタバレ》 
俺は「二十四の瞳」といった辛気臭い話よりも、「風前の灯」みたいなブラックコメディ、この作品みたいに初期の方が惹かれる。  ロードムービーのような流れで男女の恋愛と亀裂を描いていく映画。  登場人物はたった二人。  あてもなく流離う二人の間に生じる関係。  直接的な描写はせずに、女の表情と少し乱れた服だけで「情事」を感じさせるこの演出の見事さ。  たった1時間ちょっと、限られた登場人物でここまで戦後の洞察について話を膨らませられるとは・・・ラストの火事のシーンも凄い。  実験的な要素たっぷりの作品だった。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 18:36:45)
189.  デジモンアドベンチャー 《ネタバレ》 
アニメ版「デジモン」のプロトタイプ。 アグモンと太一の初めての出会いを描く。太一がもっと幼い頃で、光も赤ん坊。卵からかえったアグモンとの交流。最初はまだ喋れなかったけ。そのまま進化していく様子がちょっと不気味に描かれていたんだよなあ。それがパロットモン?が来てアグモンも太一たちを守るために・・・最初見たときはアグモンの最後が少し寂しかったが、TV版を見た後だとちょっぴり感動するのだ。第1話で“再会”するシーンがさ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 18:14:52)
190.  ファイブスター物語 《ネタバレ》 
「ファイブスター物語(FSS)」の1巻に相当する話。  映画がキッカケでOVAシリーズとかもやればと思ったが、肝心の連載が不定期だったので出来なかったのだろう。 映画の方も1巻相当とはいえ少しエピソードがカットされていたりする。  それでも音楽は素晴らしいし、結城信輝のキャラデザは永野の絵柄を尊重しながらしっかりした仕上がり。モーターヘッドに乗り込んだラキシスの顔がエラい事になっている(褒め言葉)もしっかり再現。  ソープがラキシスと出会い嫁を奪取、一瞬とはいえ騎士団大暴れ、終盤のモーターヘッドの圧倒的重量感、殴り合い、斬り払い、砲撃で何もかも薙ぎ払う一撃。  ファンとしては必見の1作。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 19:56:41)
191.  銀河鉄道の夜(1985) 《ネタバレ》 
タイタニック号(細部は違うけど)から乗船してきたメンツ以外みんな猫になってしまったファンタジー。  ますむらひろしの可愛らしく躍動的なイメージの絵、細野晴臣の幻想的な音楽。  ストーリーは原作に沿っているが、あの宇宙空間に飲み込まれるような美しさ、絶望感、終盤の“別れ際”は或る意味原作以上のものがあるかも。この辺は映像で味わえる映画ならでは。 つうか船の件で乗ってきた女の子がスゲエ可愛い。  カンパネルラ~!
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 19:27:07)
192.  飢餓海峡 《ネタバレ》 
日本映画の黎明期から活躍を続けた内田吐夢の傑作サスペンス。  マキノ省三が日本のD.W.グリフィス、 衣笠貞之助が日本のセシル・B・デミルなら、 内田吐夢は日本のキング・ヴィダー! どんな地味な題材でもスリルを帯させダイナミックに描いてしまうのだ。  「土」や「限りなき前進」なんか正に究極の地味映画。  本作は3時間という長さを感じないスリルに満ちたドラマ。  戦後の台風や火災から一つの殺人事件が浮かび上がってくる。  強盗事件が様々な人間や街一つを焼き尽くすほどに膨れ上がっていく。  だが一度強盗に手を染めた人間は何処まで行っても警察の影が付きまとう。  女を助けた男、愛されていると信じた女、それぞれの顛末。  「限りなき前進」「土」「大菩薩峠」と多くの名作を残した吐夢監督。  本作は邦画黄金期の終焉が迫った65年に制作された。  水上勉の原作を映画化した作品はこの後も多く作られたが、原作の緊迫感を如実に映像化した作品はこの内田吐夢の映画だけであろう。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 19:10:59)
193.  無法松の一生(1958) 《ネタバレ》 
前作「阪東妻三郎」の無法松から15年。 バンツマ以上のエネルギーと荒々しさを持ち合わせた三船敏郎が松五郎を演じきった。 いつも一本調子などなり声で叫ぶ(そこが良いのだが)三船が、今回は方言も見事にまったく違う三船を見せてくれた。 悪党から正義感、屈強な無頼漢から優男まで動きで魅せてきた三船敏郎の真骨頂とも言える作品の一つ。 表向きは博打に興じる暴れ者、本当は女子供に優しい繊細な男。その二面性が見事。 そして極めつけの祇園太鼓! 太鼓も上手な三船の腕が唸る唸る! あばれ太鼓のように太鼓を打ち鳴らす様は迫力満点。 園井恵子と違った切り口で良子を演じきった高峰秀子、涼子の夫の小太郎に扮する芥川比呂志、撃剣師範役の宮口精二の演技も良い。 前作が不本意なカットで泣かされた稲垣浩にとって、今作は前作以上のパワーと映像(+カラーとシネマスコープ)で完成させられただろう。 これほど血が騒ぐ日本映画は滅多に無い。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 19:00:37)
194.  無法松の一生(1943) 《ネタバレ》 
岩下俊作の小説「富島松五郎伝」を原作とする本作。 福岡県小倉の暴れ者「富島松五郎」こと「無法松」の顛末を描く人情もの。 街で大暴れするエネルギッシュな松五郎の身分を超えた情念を絡めた人生。 稲垣浩が魂を込めたこの映画だが、度重なる検閲で泣く泣くカットしてしまった部分も多く、今となっては不本意な出来となってしまっている。 松五郎が賭博に興じるシーン、良子に思いを打ち明ける場面などなど、重要な場面の多くが失われてしまった。 宮川一夫が収めたこの数々のシーンの一部が2007年に発見され、角川から出されたDVDで要約補完された。 ストーリー自体は後にリメイクで本懐を遂げたといえるが、本作で主演を務めた阪東妻三郎の素晴らしい演技が一部カットされた点は残念極まりない。 「雄呂血」の勇ましい二枚目が、この映画で見事に三枚目だが心の厚い熱血漢を演じる! 久世竜が代役を務めた雪のシーンですら、最初は自分の体で挑んで中耳炎を起こしていた。 サイレントからトーキーとなり、声の高さに一度は挫折したバンツマ。 それを声を出しまくった喉を潰し、ドスの効いた声に作り替える!役者魂ここに尽きる。 そして本作の一番の見所といえば、そんなバンツマのダイナミックな祇園太鼓。 監督の依頼を受けた太鼓打ち「田中伝次」が創作したオリジナルのものだったが、この映画がヒットした事で、松五郎の人物像とともにこの映画の太鼓打ちも全国、世界中に広まったという。 上記の太鼓を含め、宮川一夫の素晴らしいショットなどなど、見所も多い。 良子夫人を演じる園井恵子、結城重蔵を演じる月形龍之介の演技も素晴らしい。 特に園井恵子はこの「無法松」以外に映画には出ていない。彼女の最期を考えると、誠に残念でならない。 本作を見た方は是非とも三船敏郎主演のリメイクも見て欲しい。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 18:57:31)(良:1票)
195.  ルパン三世 風魔一族の陰謀<OVA> 《ネタバレ》 
声が違う?それがどうしたっ!! これぞルパンよ。 「1st」を意識した作画、 声は違えど確かな実力派キャストにより名演、 スリル満点のカーチェイス。 不二子を演じる小山さんの声がエロかった。   Wメガトロン(トランスフォーマー&ビーストウォーズ)を聞けるだけでも最高だと思うのだが。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 17:36:42)
196.  虎の尾を踏む男達 《ネタバレ》 
黒澤ファンには不評気味だけど、俺は「デルス・ウザーラ」と共に黒澤嫌い・ファンにもススメたい傑作の一つだと思っている。  何せ黒澤映画最短(オムニバス「夢」を除けば)となる1時間に凝縮されたエッセンス! 日本の伝統芸能、歌舞伎の代名詞の一つ「勧進帳」。 源義経と弁慶が箱根の関所を突破しようという一節だが、それをミュージカル風にやってしまおうというこの映画。 弁慶の鬼気迫る演技、そしてエノケンのひょうきんな役どころ! 特に終盤、弁慶と関所が繰り広げるやり取りを短いショットを交互に見せ緊張感を高めるッ場面!この場面だけは何度も見てしまう。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 17:27:43)
197.  浪華悲歌 《ネタバレ》 
確かに溝口らしくない部分もあったけど、女が好き勝手やって自滅するという図式は溝口作品屈指の出来だと思うんだ。 ネオンが光る夜、朝には光が消えて静まり返るファースト・シーン、家族の食卓で始まるところ。漬物をポリポリ噛む音を楽しめるのはトーキーだからこそできるね。 時折ギラリと輝く父ちゃんのメガネで吹くわ。 ヒロインの綾子が夜遊びに進む過程。 良い歳した中年おやじが若い娘の胸元に名刺を差し込む辺り・・・溝口はこういうのが本当上手い。 ガラス越しの電信での会話、綾子の手紙の文字、戸をガラッ開けて“男”を見せつける場面と。 クローズアップも結構多く、要所要所の挿入は印象に残る。 山田五十鈴が若くてキレイだなー。 暗闇で家に入る人影、妹さんそんなところに「ぬうっ」といたらホラーだよ(演出が完全に怪談じみてた)。 遊び好きの活発な女性が男二人引っ掛けて、どちらとも「おまえはそんな女だったのか!」と失望されて家に帰ったら「そなアホな女家族や無い!出て行けや」と勘当。 あんなに笑った溝口映画は初めてだ。兄貴、妹の素っ気ない返事のワンツー・パンチがまたツボ。この殺伐とした空気が最高だぜ。オマケにあれだけ高慢なヒロインも流石に落ち込むだろ・・・と思ったらまったくヘコたれてない(爆)もう何なんだよこの女wwwwwwww「不良少女」どころじゃないよもう。 山田五十鈴の演技が最高すぎる。 梅村蓉子夫人とのやり取りも最高だった。人形浄瑠璃の劇場に不倫相手の男と一緒。 そこに嗅ぎつけた奥さんがズンズン乗り込んできて「何してんやアンタ!」と問い詰める。奥さんの剣幕に逃げ出す男どもがまた面白い。 そして地味に志村喬が出ていたり。この頃から刑事やってたんだなー志村さん。後ろ姿だけでもカッコ良いのは何故だ。  またラストシーンが良いねー。 例の名刺を川面に向って投げ捨てる。暗闇ながら水面の美しいこと。 過去との決別だね、ハッキリした女だ。 それで通りかかった男に「あたい“不良”ちゅうビョーキなんや。ねえ“お医者さん”、どないしたら治るやろか?」と聞く場面。 ただの通りがかりの男を医者と呼ぶこのセリフの面白さ、解ったもん勝ちだね。  「祇園の姉妹」は丁寧だったけど、パンチが足りなかった。この作品は少々荒いけど、パンチが効いてるからコッチの方が好み。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-17 07:34:43)
198.  野良犬(1949) 《ネタバレ》 
ファーストシーンが最高にキマッてる映画は大抵傑作が多いが、この「野良犬」もそうだ。 オープニングの漆黒の犬! そこからまずインパクトがデカい。 ワクワクするね。  若い刑事が失態やらかしてそれを死にもの狂いで追っていく映画。 軍人だった三船にピッタリの役回りだ。 復員兵姿で闇市に潜入する場面なんか凄い様になってる。 若さと責任感に溢れる主人公だが、焦って間違いをおかしかねない危ない場面が続く。 真っ白白のスーツが印象的だ。 後編から現れるベテラン志村喬の刑事。 歴戦の勇士という感じで渋くてカッコイイ。 志村と共に事件を追っていく主人公。スーツも板に付いてきた。 そして犯人との一騎打ち。 仇の犯人を泥にまみれても捕らえる! その執念の様! スーツが黒く染まる姿が最高にカッコイイ! やっと新人刑事に「色」が付いて成長したわけだ。 新人刑事の悩みや犯人たちの苦悩。 戦争が犯罪も産んだ。 そんな様子が力強く描写されている。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-17 07:08:35)
199.  対馬丸 さようなら沖縄 《ネタバレ》 
後味の悪い話だ。 子供の頃、TVで見て以来トラウマだった。それを偶然BSの再放送で見た時は、トラウマが蘇るような感覚に襲われた。絵柄からは想像できないような哀しい哀しいアニメだったよ。  実際にあった対馬丸の沈没・・・いや撃沈事件。 本土から沖縄に疎開させ、子供達を安全な場所に運ぼうとする船。船の上で「もう安心だね」とばかりに談笑もし始める。だが、かすかな不安が画面を包んでいる。 アメリカの潜水艦が民間船を魚雷で攻撃し、船が沈んで人々がパニックになる瞬間。さっきまで喋っていた子供の一人が、船の揺れるショックで壁に後頭部を強打して、沈黙する場面。悲鳴をあげるでもなく、血が出るでもなく。一瞬にして奪われてしまう命。あの瞬間だけ妙に脳裏にこびりついているんだ。  その後も生き残った人々が筏に身を寄せて島を目指す。途中、鮫の餌食にされてしまう人や、子供を眠らせまいと手にナイフを刺す場面とか、怖かった。筏にからまった髪を切ったり、赤ん坊が寒さで死んだり・・・。 俺の記憶では、たどり着いた浜辺で遠く海の向こうを見つけるような光景で終わっていた。 が、本当はまだ続きがあったんだ。   この後を考えると、何処に逃げたって・・・そんな沈没後の悲劇も描かれる。  事件の事を憲兵に黙っていろと言われて、子供の母親にその子がどうなったのかも言えない苦しみ。押入れで黙って泣き、壁に「しんだ」と書く・・・。  その後も空襲で家を焼かれ、母親と逃げ延びた先にも火の粉。でも母親に「ほんとうはみんな死んじゃったんだ」と泣きながら叫ぶシーンのやるせなさ。本当に戦争は嫌だなあと思ったよ。ああ、何で2回も見てしまったんだろうか・・・。
[地上波(邦画)] 9点(2014-12-17 07:02:42)
200.  ある街角の物語 《ネタバレ》 
哀しい話だが、とても素敵な映画だ。セリフが一切ないのに、映像だけで総てが伝わってくる。 正直この作品を見るまで、手塚治虫をナメ腐っていた時期があった(中学生の頃)。だが、試しに見てみたこの作品で意識を改めた。漫画だけでなく、アニメでもこんな凄いのを残したのか・・・!と。やっぱり手塚治虫は凄い。この作品はもっと多くの人に見てもらいたい。  戦争の足音が迫るヨーロッパのとある街角。街灯が暗い路地を照らし、ポスターの中で静かな演奏を続けるヴァイオリニストとピアニストの淡い恋。空間で遮断された二人は、そこから抜け出して手を取り合うことも、愛し合う事もできない。 屋根裏部屋に住む女の子、その子が大事にしているクマのぬいぐるみは落ち、それをイタズラ好きのネズミが見つける。 恋人たちの穏やかな日々。直接手を取り合えなくとも、こうして見詰め合っているだけで、それだけで良かった。 それを引き裂くように戦争は激化していく。独裁者のポスターが嘲笑い、脅かす。  やがて戦火が街を包むが、皮肉にもその焔が恋人たちを結びつけ、空高く誘うのである。 
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-17 05:56:28)
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