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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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201.  死命 ~刑事のタイムリミット<TVM> 《ネタバレ》 
先に原作を読んだがあまりいいとは思わなかった。このドラマもかなり原作準拠のようで、不自然だとかちょっと無理がある感じの設定は大体が原作由来である。ただしTVドラマ化に当たって、見てわかりやすいよう予告を入れたり言葉を足したりの工夫をしており、またラストに少し救われる場面も加えている。有名なクラシックの曲が使われていたのは別にいいとも思わなかったが、これは亡き妻のためのテーマということだったか。  登場人物には共感しにくいところがあるが、主人公に関しては仕事自体が妻への献身だったという事情、及び最終的に死への恐れを解消できた理由はわからなくはない。犯人の方は人格的に理解不能だが、主人公が死を恐れなくなった理由がそのまま犯人に死を恐れさせたということではあるらしい。過去を切り捨てようとしても結局いわば最後の審判があるということで、自分のこととして考えてもこれは実際に不安要因かも知れないと思った。一瞬ホラーのようで怖い場面もある。 犯人もそれなりの事情があったわけなので、嘘まで言って恐れさせる必要はあったのかとは思うが、しかし社会に一定数いると思われる「死ぬことさえ恐れていない人間」を強いて恐れさせることが本当の罰だという主張かも知れない。地獄が実在するとはいえないが、パノラマ視現象というのは実際あると言われているので、このドラマがオカルトに依存しているわけではない。  登場人物に関してはそれほど違和感がない。若い刑事はコミカル寄りでこの役者らしいいい味を出している。また主人公の娘については、ダンサー志望の印象が少し弱まっているのが残念なのと、目が大きいので両親には似ていなかったが、父親に対しては反発するだけでなく、ちゃんと親子であろうとしていることが表現されていた。原作のディズニーランドはみなとみらいの観覧車になっていたが、この場面での娘の様子には和まされる。終盤でもこの娘との関係で少し泣かされるところがあり、視聴者の目からはこの人が一番いい役に見えた。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-03-27 11:34:08)
202.  フェイクプラスティックプラネット 《ネタバレ》 
ネットカフェ住まいの風俗嬢の物語だが、殺伐とした世相の一部を切り取って社会への怒りや憎悪を煽りたいわけでもなく、人間の心を縛るもの(いわば縄)を解いて前へ行かせようとする、意外に良心的な映画だったようである。 ただし素直に受け取れない箇所が多いので絶賛はできない。不思議な偶然が起きるというのは予告されているので意図的なわけだが、あまりに話が出来すぎていてさすがに偶然の範疇から外れてしまい、「シンクロニシティ」が単なる言い訳のようでもある。また消火器で殴るとか露天の場所に電気器具が置かれているとか拳銃が出現するなど、表現の自由度が高すぎるのは突っ込まずにいられない。これは舞台演劇風ということか。 ほか「占い客」(役名)の再登場の場面では、感謝するなら3万円くらい置いていけ、と言いたくなった。  終盤の占い師の場面も言葉でまとめ過ぎのように感じられる。目で見えるものは信用できないなどとは独り善がりな偏屈者の言いそうなことで、主人公も困惑気味の顔をしていたが、ただし物事には表に出た部分だけでなく必ず裏があるというか、背景事情を含めて全体像を掴めといえば一般的な教訓ではある(実際よく思う)。主人公もそのうち同じように思う機会があるかも知れない。 また「今を大事にする」というだけでは抽象的だが、未来を決めるのは現在だというのは当然といえる。ラストの雨は、未来が過去から現在の延長上にあるとも限らず、これから何が起こるか本当にわからないという意味なら悪くない。 そのほか宗教的なものに関しては、日本では頭ごなしに全否定する人々も多いと思うが、この映画はわりと柔軟な態度だったらしい。神の存在など当てにすべきものでもないが、悪いことを悪霊のせいにするよりなら、よかったことを神様のおかげと思うのは健全とはいえる。またキリスト教の聖書をまるごと受け入れろともいえないが、その時々で役に立つ/心に染みる言葉を抜き出してかみしめるのはいいかも知れない。  出演者については「劇団青年座」の役者が中心らしい。主演の山谷花純さん(エイベックス)は一人の人間のさまざまな様相を幅広くカバーしており、結構いろいろな顔が見られたが、特に黒縁メガネは新鮮だったかも知れない。 ちなみにどうでもいいことだが、劇中で印象的だったスカイツリーの見える場所は足立区ではなく、台東区浅草の言問橋の近くのようである。
[DVD(邦画)] 6点(2021-03-20 14:53:41)
203.  N.Y.マックスマン 《ネタバレ》 
イケメンで固めた特撮変身ヒーロー物のようで(一応大人向け)、アメコミのヒーローが実体化したようなものらしい。同じシリーズの3作目だが、続編はなかったようなので三部作の最後ということになる。 初代と二代目のヒーローは東京で同じTV局に勤める兄弟という設定だが、今回の三代目はなぜかニューヨーク在住ということになっている。つまり題名の「N.Y.」とはアメリカのニューヨークのことで、冒頭では本物の空撮映像なども出ていたが、舞台挨拶によると撮影は全て東京の100m以内で収めたようなものらしい。実際見てもほとんどTV局の屋内で撮っている感じだった(テレビ朝日の中?)。  内容としてはヒーロー物ながらコメディ調で笑えるところもなくはない。またレギュラーで出ている悪者のせいで起きた事件の謎を、主人公の探偵が解明していくミステリー調の展開のようだったが、結局最後はありがちな結末で終わってしまう。敵が普通の人間なので、変身ヒーローとしての活躍があまりないのも不足感がある。 ただし終盤で、今回の主人公だけが持つ特殊能力が初めて明らかになり(ほとんど反則)、そこまでの間で不可解に見えた場面の真相を明らかにしていくのは少し意外で面白かった。どうせ安手のしょうもない映画だろうと思っていたが、いかにも低予算でTVドラマ風ながら、最終的な印象は意外に悪くなかった。  なお若手の顔ぶれを見ると、仮面ライダー/スーパー戦隊の出演経験者に出番を用意するための映画のようでもある。自分がこれを見たのは「手裏剣戦隊ニンニンジャー」(2015~2016)の「かすみ姉」(百地霞/モモニンジャー)が出ていたからで、この映画では印象の全く違う役どころだが、演者の山谷花純さんはもともとこういう感じの役が多い気がする。今回は「許さない」と「キモ」の表情が見どころか。 ちなみに二代目ヒーローの相手役の内田理央という人は今回も主要人物で出ているが、初代ヒーローの婚約者役である山本美月という人はほとんど見えなかった。またどうでもいいことだが、千葉雄大という役者はいつ見ても年齢不詳だ(この時点で28歳と本人が言っていた)。
[DVD(邦画)] 6点(2021-03-13 20:22:33)
204.  劇場版 動物戦隊ジュウオウジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージ from スーパー戦隊 《ネタバレ》 
スーパー戦隊恒例の“VS”シリーズとのことで、その時点での現役戦隊(動物戦隊ジュウオウジャー)が前任戦隊(手裏剣戦隊ニンニンジャー)と共演し、そこに放送開始前の次の戦隊(宇宙戦隊キュウレンジャー)が予告的に姿を見せる形になっている。 また今回はスーパー戦隊シリーズ通算40作記念が謳われており(ジュウオウジャーが40番目)、ドラマ的にもここで戦隊の歴史が途切れそうになる状況をわざわざ作っておいてから、メンバー同士のつながりと、歴代戦隊の応援のおかげで未来につなぐことができたという形にしている。結果としては「スーパー戦隊恐るべし」ということで大変結構なことだった。 ニンニンジャーは今回ゲストの扱いだろうが、アカニンジャーとその息子と父親の3世代が揃って親子のつながりを見せつけるので、現役戦隊よりかえって強い印象を残していた。主役のはずのジュウオウジャーが荒唐無稽な忍術で振り回され気味に見えるところもあり、現役戦隊もまだいろいろ学ぶべきものがあるのだろうと思わせる。 なお序盤の段階で、次の日に死ぬ運命だった男に息子がいるのはなぜか、という疑問を持たされたままラストに至る映画だったが、最後に真相が明らかにされた場面では、本当にこんな話でいいのかと唖然とさせられた(あまりにいい加減)。しかしニンニンジャーの最後を飾った前回のFINAL WARS(2016)のあと、メンバーがそれぞれの道を歩み始めてからの後日談のようなものとすれば、その間に意外な事情の変化があっても不思議でないといえなくはない。それにしてもこのオチにはかなり呆れた。  主役のジュウオウジャーは前回のVS映画で姿を見たことがあるが、今回はトラの人が色っぽいのが目についた。サメの人は性格がきつそうな感じかと思ったら、女子だけ(スーツアクター)の場面では女の子っぽい動きを見せていたのが微笑ましい。 またニンニンジャーは人格的な軽さが目立つようだったが、この緩い感じがやはり結構心地よく、本放送開始から6年も経って今どきこのニンニンジャーが好きになって来た。個人的にはかすみ姉のファンだが、この人の出番としては「ずっとあなたのことを疑っていたんです」の微妙な表情が面白かったのと、「ナーイスです!」がかわいい。 ほか未来のアカニンジャーの子役はけっこう凛々しい顔を見せていた。父親よりよほどまともな人物に見える。
[DVD(邦画)] 6点(2021-03-13 20:22:30)
205.  ハイサイゾンビ 《ネタバレ》 
沖縄の映像関係者が地元で撮ったホラーである。場所はかつてコザ市と呼ばれた沖縄市だが、今も中心街はコザというらしく、「コザ花園(かえん)」の看板とか「ゴヤ中央市場」の表示が見えたのがご当地感を出している。ちなみに「ゴヤ」とは、米軍のキャンプ・コザが置かれる前からあった「胡屋」という地名を残しているものらしい。 市や観光協会も協力している地元PR映画だが、最初の公園だけが明るい雰囲気で、市街地に入ると人もいなくてゾンビばかりの寂しい街ということが印象づけられてしまう。しかし商店街がゾンビであふれかえる場面がかつての賑わいを想像させ(そういう意図か?)、また横丁のような所でエロいゾンビが登場して(「踊るゾンビ」演・水井真希)男ゾンビの股間に何気に触っていたりしたのは、こういう風俗面でも栄えた過去を偲ばせるものがあった(そういう意図か?)。  内容的には「カメラを止めるな」(2017)と比較されているが(制作年はこっちが早い)、別にワンカットで撮っているわけではなく、映画撮影中に本物のゾンビが現れたという設定が共通している。一応は本物のホラーだがコメディ色が強く、人がゾンビにやられて血が飛んで、登場人物の衣服が(レフ板も)どんどん真っ赤になっていくのは笑ってしまう。とにかく血が飛ぶ映画という印象だった。 物語としては、崩壊の兆しが見えた自主映画制作グループが、千載一遇の機会を得て再び映画への情熱を燃やす話になっている。人でなくなってもなお映画を撮ろうとする(生きようとする?)執念を描いており、最後はいわばゾンビの、ゾンビによる、ゾンビのための映画になってしまったかと思ったが、一応は人間ドラマとして、いわゆる映画愛のようなものも感じられた。いかに低予算に見えても嫌いになれない/好きにさせられるという点でもカメ止めに近いかも知れない。 キャストはみな沖縄在住の人々のようで、当然ながら地元市民もエキストラとして大挙出演している。劇中劇のヒロイン役の人(演・川満彩杏)がなかなか可愛いと思ったが、途中でいったん退場してしまったのは残念だ。この人がゾンビに噛まれて意識が薄れていく表情は好きだ(少し惚れた)。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-01-23 08:59:12)
206.  花嵐の剣士~幕末を生きた女剣士・中澤琴~<TVM> 《ネタバレ》 
NHK・BSプレミアムで2017/1/14に放送したドラマである。現在はNHKオンデマンドで見られる。 主人公の中澤琴という人は幕末に剣士として活躍した実在の人物である。出身は上州(現在の群馬県沼田市)で、このドラマ製作の前年には地元で「お墓が建立されました」とのことである。剣も強いが長身で美形の“男装の麗人”的人物だったようで、ひところ言われた“歴女”好みのキャラクターということかも知れない。伝えられているとおり薩摩屋敷で踵を斬られる場面が入っており、また一生独身だったとされることの背景も何気に語られていたようだった。 この主人公が参加した「新徴組」というのは、京都の新撰組と並ぶ江戸の浪士組だというのは知っていたが、それをまともに取り上げたドラマは初めて見た気がする。鮮やかな紅色のかたばみ紋が見えたほか、「おまわりさん」の語源だったことにも触れられていた。  物語は、幕末に京都に集められた浪士組が後の新撰組と新徴組に分かれたところから始まる。主人公が兄とともに新徴組に加わり、江戸で活動してから戊辰戦争を経て上州へ帰郷するまでを扱っており、三田の薩摩屋敷への討ち入りが全体の山場になっている。なお開墾に従事する場面はない。 ドラマ的には、主人公が自分と剣とを切り離せない状態から、自分が何のために剣を生かすのかを悟る過程になっていたらしい。薩摩方が起こした騒乱で、庶民が泣かされるのを見かねて参戦したのは心正しい人物像の表現になっている。「剣は、いつかそれを捨て去る時のために使う」という台詞もあったが、少なくとも国内的にはそれが実現して終わったことになる。 なお浪士組を集めた清河八郎という人物のことは実はよく知らなかったが、「攘夷とは…暮らしだ…」という台詞からすると立派な人物だったらしい。攘夷というと過激なようでも、本意はそのように解されるということなら共感できる。その意図が兄を介して主人公に引き継がれたようで、それがまた上州に伝わる「法神流」にも通じるところがあったのかも知れない。  登場人物としては坂本龍馬なども顔が出ているが、沖田総司の兄に当たる人物も新徴組にいたとのことで重要人物の扱いになっている。主人公はきりっとして嫌味のないのが好印象で(少女時代から強そうだ)、「見とれてしまった」という台詞は意味不明だが少し笑わせた。ほかにも葭町の姐さんとか訳ありの女とか千葉道場の娘とか人物が多彩で楽しめる。終盤で出た甥の表情も面白かった。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-12-26 15:29:55)
207.  大阪少女 《ネタバレ》 
監督は本来バイオレンス映画を得意とするとのことで、DVDでも過激な映像が含まれている旨のテロップが最初に出る。場所はいわゆるディープな大阪ということらしく、屋外映像では主に西成区が映っていたように見える。山王2丁目あたりとすれば飛田新地に近く、あいりん地区からも遠くない。 物語としては、現地社会に適応しながら成長してきた少女が、祖母に任された家賃の徴収業務と、それに関わって起きたちょっとした出来事(現地では普通にある?)を通じて、社会性と人間性を向上させた話らしい。中学に入ってから1年後とすれば中学2年生ということになる。  最初のうちは主人公の過激な言動が小気味よかったが、次第にこれはやりすぎではないかと思うようになる。「今日から暴力は卒業です」と言っておいて特に変化がないように見えたのは、そもそも何をもって暴力というかの基準が違うということか。ただ人間のクズでもなく滞納もしない相手には、暴言だけで暴行はしないというくらいの違いはあったらしい。 相手構わず凄味をきかせるやり方は、本人がどうみても「お嬢ちゃん」だから通用していただけのことで、相手によってはかなり危なっかしい場面もあり、最後は祖母の人脈と人徳で守られたことを本人も思い知ったと思われる。それでも最後まで口が悪いままだったのは、これが本人のいわばベースラインだったのかも知れない。現地では本当にこれで普通なのか。 ちなみに劇中描写が現地事情をそのまま反映していると思うわけでもないが、もしかすると昔気質の極道の気風(「ゼニカネだけで動いたらあかん」)を解しない外来後発の勢力が波乱要因になることはあるのかと思った。人でなし連中をいきなり埋却処分したのは正直笑った。  全体としてはそれほど大感動というようなものでもなかったが、ただし主人公が、あまりに人情味がなさすぎたかと気にしていたところで、いきなり取り返しのつかない事態になってしまい、さすがに少しこたえたようだったのは若干泣かせる場面になっている。 そのほか単純に面白かったのは、「妄想ノーベル文学賞受賞作家の妄想の娘」(役名)がポルノ小説家のところにも出たことだった。意味は不明だが、個人の妄想が実体化して独立的に活動し始めたということか。それなら「ポルノ小説家の妄想女性」も実体化させればいいだろうがと思った。
[DVD(邦画)] 6点(2020-11-07 08:56:55)(良:1票)
208.  はらはらなのか。 《ネタバレ》 
監督の酒井麻衣という人は、映画と音楽のコラボレーションによる映画祭「MOOSIC LAB」に出品した「いいにおいのする映画」(2015)で各賞を受賞して注目された人物らしい。ちなみに同じ音楽祭の出品作としては、個人的に加藤綾佳監督「おんなのこきらい」(2014)、松本花奈監督「脱脱脱脱17」(2016)を見たことがある。 この映画はその映画祭と関係ないらしいが、やはり映画×音楽のコラボ風のようで複数のミュージシャンが出演・演奏している。また物語の中心になる劇中劇は、実際にこの映画の主演女優が2015年に主演した演劇とのことだが、その舞台の演出家もこの映画に脚本協力するとともに本人役で出演している。ちなみに主演女優もいわば本人役ということになるらしい。  内容としては役者の道を目指す少女の物語になっており、ポスタービジュアルの印象ではコメディかと思うが実は笑えない真剣ドラマである。ただ突然始まるミュージカル風の場面はコミカルで、また主人公の見ている幻影を現実に紛れ込ませるのがファンタジックではある。 解説によると子役から俳優へ移行する過程の話だそうで、演技することの意味を主人公が悟るのと、母親の不在を満たすのが最後に重なる展開だったらしい。子どもの頃なら妄想や願望でしかなかったものを、仮想的に実現する場として演劇を位置付けるようになったということか。ほかに個人的感覚としては、役者になるための基礎条件として、本人が役者になると頭から決めてかかっている必要があることが表現されているかと思った。 見ている側は12歳の少女でも役者志望でもなく、共感しにくい題材だったのは仕方ないが、結構深みのある映画ではあった。なおラストの場面が「心で見たい世界」を舞台の上で見るという意味だとすれば、いきなり異次元世界に入り込んだ印象だったのはわかりにくかった。  キャストとしては、主演女優は満13歳になった直後くらいの撮影だったようで、最初は心許ないかと思ったが実はそうでもなく、主人公の心の変化を表現できていたようで感心した。また松井玲奈という人は大人のおねえさん役で惹かれたが、13年前の場面も13歳くらいらしく可愛く見える。ほか先輩役の吉田凜音という人は、「女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。」(2015)と似たような服装で出るのでまたこれかと思わされるが、まだ若いのに顔に迫力があるのは特徴的だった。ギターで歌う場面もある。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-11-07 08:56:52)
209.  犬鳴村 《ネタバレ》 
地元PRに使えるネタではないはずだが、現地の自治体が実名を出して特別協力していたのはかなり驚いた。県警名と車のナンバーも実在であるのに電力会社だけ架空になっているが、ちなみに現実の犬鳴ダムは県営である。 ストーリーはかなり説明不足に見えるので、欠落部分を勝手に補うと次のようになる。 ***** 村人は昔から周辺住民に忌避され恐れられてきたと想像される。ダム建設なら金と脅しで立ち退かせれば済むはずが、皆殺しにまで至ったのは会社の意向というよりも、この機会に忌まわしいものを一掃したい、という周辺住民の集団意志があったからではないか。その先頭に立った旧家に主人公の母が嫁に来たのは、憎むべき家系の廃滅または乗っ取りの意図が背後にあったと思われる。また今回の事件がきっかけで、それまで知らぬふりをしていた周辺住民も、まるで全てが旧家のせいだったかのように責任転嫁を始めたようだった。 事件のあと、旧家は家庭崩壊を免れたようでもあったが、しかし村人の子孫は確実に社会に紛れ込んでおり、その異能はやがて周辺住民の脅威になっていく恐れもある。そうするとダム建設時の虐殺も、社会の多数派たる周辺住民にとっては一理あったことになるか。あるいは大した脅威でもなかったものを、脅威のように言い立てて差別し迫害した多数派への復讐が始まるということかも知れない。 ***** 家単位で見ると憑物筋の特徴も出ていたようだが、村単位ではネット発祥の怪談「コトリバコ」や、欧州でのポグロム(イェドヴァブネ事件など)を連想させられた。ちなみに実在した犬鳴谷村はこれとは全く違うものであり、上記はこの映画限りでの解釈である。 個別の場面としては、若年女子が股間を黄色くして歩くのが衝撃的だった。白い服に映る映像を振り払おうとする演出も悪くなかったが、終盤のトンネル内の揉め事は早く終わらせろと言いたくなった。なおラストのトンネル映像が本物だったとすれば、ここが一番怖かった。  人物関係では、三吉彩花嬢は長身で美形の医師かと思ったら臨床心理士だそうで、女性っぽさは抑えていたがすらりとした姿には終始見とれていた。ちなみに劇中の子役はこの人の子役時代とは似ていない。また村娘役の宮野陽名という人は撮影当時まだ中学3年生だったとのことで、若いのにプロ根性があるようなのは感心した。ほか突撃バカ役の大谷凜香という人は、「ミスミソウ」(2017)でも悪役だったが今回またひどい役だったので、今後もどうか頑張って演技者として大成してもらいたい。逆さになった一瞬の表情は輝いていた。 [2022/7/23変更] 突っ込みどころの多い映画だが、「牛首村」までのシリーズ3作の中では最も総合的なエンタメホラーになっていて悪くないと思ったので点数を+1にしておく。エンディングの空撮とテーマ曲が心に残る。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-10-17 08:22:32)(良:2票)
210.  海底軍艦 《ネタバレ》 
名前は海底軍艦だが実は陸海空の万能戦艦で、かえって普通に海上を航行する場面がない(黒と赤の塗り分けが無意味)。見た目は昭和じみて古風な気もするが、劇中の雄姿を見ればシンプルで精悍なデザインだと思わされる。 また怪竜マンダは目がネコなので、大写しの顔が出るとニャンといいたくなった。  物語に関しては、この当時なりに戦争を扱ったものになっている。愛国心など今の若い者には理解できないだろう、と言われた神宮司大佐の娘は、女優が1941.12.17生まれ(開戦のすぐ後、戦艦大和の竣工の次の日)とのことで、戦争中に生きてはいても、戦争自体は覚えのない人々が成人する年齢になって来たという感慨が当時の人々にあったのかも知れない。 それでも戦わなければならない場面というのは依然としてあるわけで、この映画に関していえば、まるで帝国主義時代の感覚で世界に覇権を拡大しようとする悪の帝国を国際社会は許さないということである。海底軍艦は国際連合の要請を受けて出動した形になっており、かつての日本海軍が世界平和のために役立ったというのはまことに喜ばしい。 ただし、ムウ帝国というのは人口何人だったのかわからないが、結局全滅してしまったらしいのは悲惨だ。再生可能エネルギーである地熱を高度に利用していたらしく、技術面で協力できれば人類社会に貢献できたはずだが残念なことだった。  人物の関係では、ヒロイン役の藤山陽子という人は正統派の美人女優のようで、特撮関係では「宇宙大怪獣ドゴラ」(1964)にも出ている。知らない間に娘がこんな清楚な美女になっていたのを見てもっと驚け、と神宮司大佐に言いたくなったが、その娘に大嫌いと言われてしまって大ショックという気持ちはわかる。 また皇帝陛下は小林哲子という女優で、劇中では高貴で高慢な顔をしているが、頬が結構ふっくらして、男と並ぶと小柄だったりして可愛く見える。終盤この人を連れ回して帝国の滅亡を見せつけるのは酷ではないかと思っていたが、やはり悲しい最後だったのは心が痛かった。 ほかに水着モデル(リマコ)役は北あけみという女優で、端役だがなかなかいいキャラクターになっていた。  ちなみに全く関係ないことだが、「ムー」といえば個人的には昔懐かしい雑誌の名前である。今も続いているとは知らなかったが、先日創刊40周年とのことで記念号を買ってみると「読者投稿 ムー民広場」というのがあって笑った。おれもムー民と名乗ってみたい。
[DVD(邦画)] 6点(2020-08-16 09:52:52)
211.  妖星ゴラス 《ネタバレ》 
企画段階で当時のSF作家がアイデアを出した、と小松左京氏が書いていたのを読んだ覚えがある。黒色矮星という言葉は実際にあるようで、劇中でも「老年期に入った太陽」と説明されており、造形物の印象と違って表面は気体(水素)という設定だったらしい。半径は地球より小さくても質量が6千倍というのは、当時の一般人の感覚からすれば意外な設定なのではないか。 こういう場合に最も現実的なのは逸らすことではないかという気がするが、劇中の人々もそのような考えではあったらしい。しかし質量が大きすぎて不可能だったため、結果的に逃げるというユニークな方法になったと見える。対策の開始から結果が出るまで時間がかかり、途中で正月が挟まるのがいい雰囲気を出していた(決戦前の小休止のような)。 特撮に関してはそれなりだが、南極の工事現場はかなり本物っぽいので感心させられる。また本邦初公開のジェットビートルが、ちゃんと怪獣を攻撃できる仕様だったのは安心した。この映画が1979~82年、「ウルトラマン」が90年代の話とすれば、これの改良型を科学特捜隊で使っていたと考えても変ではない。  政治面ではリアリティがあるともいえないが、隼号の尊い犠牲(万歳!)に応えられない政府や国民でなく、科学者主導で地球を救うというのが昔のSFらしい理想論かも知れない。偉い学者が徒然草を引いて、人間はいつの時代も目先のことに追われている、と語ったところで街の風景を映したのは「日本沈没」のような悲哀感を出していた。理系だろうが古典にも親しんでいるのは本物の知識階層である。 また宇宙省の長官(大臣でなく?)が、突然押しかけた若い連中を座らせて、ちゃんと話して聞かせたのはさすが人間が大きいと思わせる。「話せばわかる」とはこのことだ。しかしその「宇宙のパイロット」に関して、隼号はともかく鳳号はあまりにいい加減な連中なので呆れた。軍隊でないから規律が緩いのかも知れないが、今後は宇宙省も採用方法を見直した方がいいのではないか。  ほか女優陣では、ダブルヒロインの白川由美さんと水野久美さんが、冒頭で何と服を脱ぎ始めるのでドキッとしてしまう。いつも清楚な印象の白川由美さんも、この場面では女の子っぽく見えたのは和まされた。水野久美さんはお色気場面もあったりしたが(これ見よがしなので笑った)、幼馴染に見せる気安い表情が可愛いのは感激した。
[DVD(邦画)] 6点(2020-08-16 09:52:44)
212.  地獄少女 《ネタバレ》 
マンガもアニメもドラマも見ていない。この映画で見た限り、「地獄少女」役がこの人なら少女である必然性もなく、制服姿も不要なので和装の超絶美女で通せばいいだろうと思った。 もっと殺伐とした話かと思っていたらそうでもなく、前半の物語では復讐の連鎖があっさり止まり(ただし事故物件が生じた)、後半では手前勝手な理屈で世界を破壊しようと企んだ奴が一人で滅んだのはいい結末だ。意外に人道的な映画という印象だった。  基本設定はよくわからないが、恨む相手に対面して直接殺害できるならそうすればいいだけなので、一般人が手を出せない相手(拘置所にいるなど)に復讐してくれる仕事人のようなもの、というのが地獄少女本来の役目らしい。ただし必殺シリーズとは違い、「人を呪わば穴二つ」の原則で厳しい歯止めをかけていると取れる(本人が直接殺してもどうせ地獄に堕ちる)。 地獄少女の立場としては、依頼されれば実行するのが基本のようではあるが、実行時に本音を吐露する場面もあり、また場合によっては再考を促すこともあったらしい。口上を聞けばこの世の悪を裁くのが本来の目的のようでもあり、そこに近づけるようその都度いろいろ配慮しているということではなかったか。非情なようでも決して無情ではないように見えた。  ところで主人公少女の末路について、結論的にいえば地獄に堕ちなくて済むと思われる。それは主人公が恨みを晴らすのでなく、自ら地獄に堕ちる覚悟で親友の生命を救おうとしただけだからである。それでは依頼の条件が満たされないので契約も成立せず、処罰はフリーライターに代行させる形にしたのではないか。ラストの場面でも、地獄少女(とカラス)が空から2人を見守っていたように見えなくはない。 この監督だからといって救いのない結末とは限らない??わけだが、何より観客側としても、この主人公が地獄に堕ちては絶対困る、という気持ちで考えることが大事だ。そのように見れば悪くない映画であって、エンディングの雰囲気も余韻を残した(縦書きと曲が古風でいい感じ)。  キャストとしては、玉城ティナさんが人間離れした恐怖の最強美女になっているのは見ればわかるとして、実質主演である森七菜(もりななな?)という人も、天然小動物系少女をベースにしながらいろいろ個性的な顔を見せている。しょうもない邦画ホラーではあるが、新進女優にとってはなかなかいい出演作になったのではないか。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-07-04 09:59:36)
213.  血を吸う粘土 ~派生 《ネタバレ》 
また見てしまった。派生というか続編のようでもあり、若手多数出演の中で黒沢あすか姉さん(監督の妻)が奮闘するフォーマットができつつある。 今回も主要キャストとして、講談社主催「ミスiD2018」の関係者6人が出ている。選ばれただけあって容姿も高水準の人を揃えていたが、揃い過ぎて劇中人物としては不自然だった。なお主演の藤井愛稀(ふじいいつき)という人は、さすが主人公なので一筋縄ではいかない個性的な可愛さを見せている(母親とも津田寛治とも似ていない)。 バケモノ造形は、今回は粘土の素材感にそれほどこだわった感じには見えなかったが、鳥を捕って食うのが面倒くさいのは印象に残った。最後は何が出たかと思えば結局これかという感じだったが、このとぼけた顔を見せなければこの映画でないということではあるらしい。 ほかに映像面では、今回は普通にアーティスティックなビジュアルで見せていると思ったら、結局最後は本来の泥臭い世界が現出するという趣向だったようでもある。ビニールカーテンを使った虚構空間とかは面白くなくもない。  ストーリーとしては12年後の話だったようで、前回の怨念は薄れてしまって惰性的に凶行を繰り返すのかと思ったら、最後だけ唐突に前回並みのスケール感で大惨事が起きていた。この騒動の元凶になったジジイはいったい何がしたかったのか。ちなみに前回イモムシ(モスラ)と思ったのはミミズだったらしい。 ほかに人間ドラマ的なものとして、今回は主人公を中心にした家族関係のテーマがあったように見える。実父への思い、それとは別に実母への思い、養家の娘との関係など複雑だったようだが、切れ切れなのであまり心に残らない。どうもそういうところが素直に受け取れない作りなので、次回は(あれば)改善願いたい。  以上いろいろ書いたが、面白くなくもないが絶賛するほどでもないという微妙な感じなのは前回同様だった。しかし今回は総体的な映像面の印象と、主人公の可愛さで前回+1点にしておく。 なお笹野鈴々音さんがどこに出るのかと思っていたら何と顔が見えていないではないか。スーツアクターになってしまったのか。せっかく出るのだから可愛く見せてもらいたい(共演者のブログのようなものに打ち上げ時の写真が出ている)。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-07-04 09:59:34)
214.  ダンスウィズミー(2019) 《ネタバレ》 
宣伝文では「ハッピーミュージカルコメディ」とのことだが、ミュージカルに徹するわけでもなくそれほど大笑いもしない。しかし一応ハッピーな気分で終わるので悪くない映画ではある。ちなみにミュージカル成分は、昔の映画でいうと優香出演の「恋に唄えば♪」(2002)と似たようなものかと思った(もっと少ないか)。 序盤のオフィスやレストランのミュージカルパートでは、せっかく周囲を巻き込んで歌とダンスで盛り上がったと思ったのに現実が悲惨だったのは非常に落胆させられたが、これはそれこそミュージカルの虚構性の表現ということか。その後のロードムービー部分で仲間と歌っているのは普通に楽しげで、特に恥ずかしいトラブルもなく、こういう純粋に音楽を楽しむところまでいったん戻ってから最後のトラウマ解消に至ったという全体構成だったのなら納得できなくはない。歌につられて自然に身体が動くのは変ではないだろうとはいえる。 歌の選曲としては少し古い方へ寄っていたようだが、個人的には「夢の中へ」とか「年下の男の子」のあたりは劇中人物のノリに同調できた。また普段、映画を見ながら先読みなどはしない方だが、3人組での「ウエディング・ベル」に関しては直前の予感が当たった(この状況ではこの歌しかありえない)…実は自分としては柄にもなくこの歌が心に刺さるものがあって痛い。 ちなみに何の説明もなく突然方言を聞かせるのが好きな監督ということなのか、今回また耳慣れない方言が出て来ていたが、これは新潟県の言葉だったのか(新潟市はほぼ標準語だと思っていた)。  キャストに関して、主演の三吉彩花という人は子役時代からいろいろ出ていたのを見たことがあり、昔から長身で美形だったので、周囲の子役の中で変に目立ってしまうところがあったように思うが、ここに至ってやっとふさわしい姿で出られるようになって他人事ながら感無量である。単純な美人女優でもないようで、今後とも幅広く活躍できる役者になってもらいたい。 ほかに名の知れた役者もいるがあらかじめ情報が出ていなかったようで、黒川芽以が出演しているのは実際見て初めてわかった(姉の「友美」役)。また「ウォーターボーイズ」(2001)のエンターテインメント性を一気に向上させた立役者である秋定里穂さんが出ているのは最初から知っていたが、実際見ると出番が少ないので不満に終わった。ここはもう少しファンに配慮してもらいたかった。
[DVD(邦画)] 6点(2020-05-03 20:29:16)(良:1票)
215.  学校の怪談3 《ネタバレ》 
シリーズ共通だろうが大人が見て怖いところは全くなく、ひたすら微笑ましい子ども向け娯楽映画になっている。あらかじめ死んでいる人物を除き、劇中の教員や子どもらが次々死んでいくなどという悲惨な展開にはなりそうもなく、安心して子どもが喜ぶお化け屋敷的怖がらせに付き合ってやろうという気分になる。なお撮影場所の学校は岐阜県下呂町(当時)にあったらしい。 ちなみに自分の幼少時には「合わせ鏡」が特に不吉なものという感覚はなかったが、この頃はもう怪異の元凶というのが常識だったのか。鏡の世界では文字が左右反転していたが、右書きと左書きが混在していたのは意図不明だった。  お話としては小学校高学年向けの恋物語がちゃんとできていて、最後はそれなりにキュンとさせられる。ヒロインの美少女が「泣いちゃうよ」と言ったところは切なくて笑った。なぜか女子だけ美少女揃いで男はどうでもいい感じという対比ができており、長身でキュートな女子のお相手が肥満気味の男子だったのは釣り合いが取れないが、これは容姿にかかわらず万人に同様の可能性が与えられていることの表現か。それにしてもこんな奴の全裸(尻)など見たくはないわけだが、重要テーマの「運命は自分で変えろ」という言葉は特にこの人物のためにあったらしい。 他の登場人物としては、担任教員は微乳を売りにしていたようだがそれはまあいいとして、特に主人公の義妹が見せるとぼけた感じの表情が非常に可愛らしいので和まされた。また現在も女優として活動している秋定里穂さんが中学生くらいの年齢で出ているが、特に美少女の扱いはされていない(「ゾンビバス」の女子高生役)。なお肥満児の母親役で渡辺真知子さんが一瞬出ており、この頃はもうこういうキャラクターだったのかも知れないが、昔は歌っている姿だけ見て“かっこいいお姉さん”と思っていた。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-05-03 20:29:13)
216.  櫻の園 -さくらのその- (2008) 《ネタバレ》 
[2020/4/12視聴] 1990年の旧作の続編のようなもので、前回が1980年代とすれば20年くらい後である。この映画の学校でも過去に毎年「桜の園」を上演していたが、平成9年(1997)に停止され、それを11年後(2008)に再開したのが今回の物語ということになる。季節の面でも今回は4月14日の前日?から始まり、桜が散った後の情景も加えて、最後を6月で終わりにしていたのが旧作の後という印象を強めている。 ちなみに部員の姉の差し入れとか(今回はシュークリーム)、終盤のツーショットなどが旧作との連続性を感じさせる。ほか序盤で学園ホラーっぽいところがあったのは個人的に好きだ。  前回からの流れでいえば演劇の上演は学校の伝統だったはずだが、劇中の教頭の考えはそうではなく、生徒が学校の決まりに従う校風の方を伝統と思っていたらしい。そのような前時代的な(前々時代くらいか)規制に主人公一派が従わず、“あきらめないことが生きる価値”(上戸彩の歌)という感覚で上演を実現させ、新しい伝統(=校風)を作ったという前向きな物語ができている。全体的に軽い印象はあるが、旧作の古風な話を同時代の若者が受け入れやすいよう作り変えたということなら意味はわかる。 最後はかなり都合のいい結末で、教頭のそれらしい言葉も適当に格好つけただけのようで意味不明だったが、要は時代が変わって自分も老いたことを自ら認識したというなら悪くない。もう変われなくなった者は去り、前に進んでいける人間に後を託すべきということだ。 ちなみに演劇の出演メンバーが、自分の役の台詞を使って上演に向けた決意を語った場面は何気に感動的だった。旧作よりもかえってこの映画の方が、元になった戯曲も読んでみるかという気にさせるところがある。  ところで旧作とはっきり印象が違うのは美少女を揃えていることで、大島優子嬢を含めたカワイイ系女子には和まされる。製作委員会のオスカープロモーションから主演の福田沙紀、舞台監督役の武井咲のほかにも著名女優を特別出演で出しており、前回とは映画の作り方自体が違うということらしい。 主演の福田沙紀という人は若干きつい雰囲気だが(一応かわいい)、役柄との関係ではいい感じを出している。また前回の主人公に相当する役の寺島咲という人は、美少女と言い切るには微妙な容貌なのも旧作に似ているが、終盤の自撮りの場面では目の覚めるような美男に変わる一方で倒錯的な可愛さを見せていた。
[DVD(邦画)] 6点(2020-04-18 08:58:03)
217.  天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬 《ネタバレ》 
この人物の映画は2つ目だが大体どんなものかはわかっている。大笑いというほどでもないが終始にやけ気味の顔で見ていた。 ネロとパトラッシュがまるきりそのままの姿なのは感動的で、この格好で実名付きで出てきても誰も気づかないのは意外に知名度が低かったらしいがそれはいいとして、人間社会に恨みがあるなら日本でなくベルギー(フランドル)社会に復讐してもらいたい。小ネタもいろいろ出ていたようだが自分としては世情に疎いので、「浜崎」というのはこういうイメージを持たれていたのかとか、「こまごめピペット」とは何のことだったか(器具でなく)と考えてからもしかしてアレのことかと思い出したというところはあった。また時節柄、鼻の粘膜に指で触るなとか、南米産のサルなど何がついているかわからないといった心配をさせられた。 物語的なところでは、これまで何十年間も隠されてきたものすごい秘密が明らかにされるのかと期待していたら、最初からネタバレしていたことに気づかないでいたおれはバカかと思ったが、それもウソだったらしく結局どうでもよくなった。しかし日昇ということに関しては、途中で極めてまっとうな理屈を説明していたにもかかわらず、最後になって荒唐無稽な超自然現象を起こしておいて「これでいいのだ」と言われても、別に悪いとは言わないが、宇宙の秩序が崩壊しているとしか思われないのでハジメちゃんに何とかしてもらいたい。ちなみにママは優しそうでちゃんとした人なので和まされた(好きだ)が、夫の奇矯な行動を周囲に詫びる様子など見ると、やはり昭和(戦前)生まれの人物像が表現されているようでもある。 そのようなことで、あまりまともな感想が出て来ないがそういう映画だった。好きな人は好きだろうとは思う。決して面白くなくはない。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-04-06 19:51:59)(良:1票)
218.  デスフォレスト 恐怖の森2 《ネタバレ》 
同じ監督の第2作だが脚本の主担当は代わったらしい。前回が基本型とすれば、今回はドラマ性と娯楽性を増して強化した形になっている。 場所設定は一転してなぜか女子高だが、撮影場所にした廃校を、校舎移転中の寂しい場所として使ったのは悪くない発想だ。禁断の園っぽい雰囲気ながら演者はとても高校生には見えないが(1人だけ当時10代か)、高校演劇部らしい?わざとらしさがかえっていい印象につながっており、一応この劇中世界につき合ってやるかという気にはさせられた。  今回は特に物語面の充実が特徴である。前回タイプの人物は簡単に死んで破滅型の愛も報われず、結局は単純バカ的に心正しく前向きな人物と、その人物に引っ張られて現状打破を決意した人物が残っていた。その上で人助けということを軸にして、完璧主義に縛られてはならないということと、他人のためが自分のためにもなることをそれぞれ知った形になっている。結果として、危機に際して居合わせた人物同士が影響し合って人間的に向上したという、極めて正統派の青春物語になっていたのが自分としては非常に心地いい。 バケモノ類に関しては、大顔キャラに立体感があるとか白塗りが実体感を増しているのは進化した印象もある。大顔が正面から迫るのは一応怖いが、同時に笑いの衝動を抑えられないところもあり、またフラッシュをたくと慌てた顔でプルプルっと震えるのは可愛かったりする。ほかにあからさまなドッキリで爆笑させられる場面もあったりして、これならよくいうように皆で集まって騒ぎながら見るのにふさわしい。ちなみにグロ場面は比較的リアルだが、演出的にドライなので嫌悪を感じるものでもない。 なお「ロケーション/熱海市観光推進室」はガキっぽい俗悪映画に名前が出ていて呆れたこともあったが、今回はいい映画に協力した(たまたまだろうが)。  キャストに関しては初めて見た人ばかりだが、W主演はそれぞれいい感じを出していて好きだ。倉持由香という人は、一般映画としては当然だろうが尻ばかり強調する場面はなく、主に顔の雰囲気を見せている。下垣真香という人は本来もっと大人の役をすべきだろうが、今回は確信犯的天然真面目キャラになっていたのは嫌いでない(ちょっと惚れた)。なお脚本家役をやった人は、現在は芸能活動をやめて帰郷して結婚して子育て中とのことである。どうかお幸せに。
[DVD(邦画)] 6点(2020-01-25 10:29:27)
219.  新・御宿かわせみ<TVM> 《ネタバレ》 
平岩弓枝の時代小説シリーズを原作にして1980~83年に放送されたNHKのTVドラマ「御宿かわせみ」の続編で、旧作から30年後の製作になる。このドラマも同じ著者が2007年から発表している同名シリーズが原作で、その原作自体はこの後も続いているがドラマの続きは実現しておらず、現時点ではこの単発ドラマで終わっている。旧作は幕末だったが今回は明治5年とのことで、名前が東京になって建物や風俗は欧風化してきているが実はほとんど江戸のまま、という微妙な時代を映像化している。  もとのドラマはほとんど見たことがなく、宿屋を舞台にした人間模様という程度にしか思っていなかったが、実際は毎回何らかの事件が起こって解決して終わる短編シリーズのようなものだったらしく、このドラマもその作りを踏襲していたようである。もとからそうなのだろうが少し古風でわかりやすい時代劇を目指したようで、「あら茶柱が」には笑ってしまったが「下郎」というのは好きだ(3回も言っていた)。 登場人物の多くは旧作から引き継いでいるが、今回は主要人物の息子・娘に当たる若い世代がドラマを動かす形になっている。前時代から生き延びてきた極悪人を縛につかせるため奮闘し(叩き斬ればよかったが時代が明治)、同時に登場人物がこれまで引きずってきたものにも片をつけ、それぞれが新しい時代に向き合う覚悟をした物語ということらしい。 ちなみに若い世代に関しては、青春ものらしく男2人女1人の緩い三角関係(時かけパターン)ができていたように見える。実際は母親の違う兄妹が入っているので三角関係にはならないが、ラストでじゃれ合っていた姿には和まされた。また主人公の娘にとっては、今回は通りすがりの青年にちょっと心惹かれたエピソードという意味合いがあったらしい。  キャストに関しては、物故者を除き以前の役者がほとんどそのままなので往年のファンには嬉しいだろうが、年齢も一斉に+30になっており(60代中心)、その分若い世代を新鮮に見せる効果を出している。若手も名のある役者だが、その中で前田希美という人はちょっと異色な感じで、これは以前からNHKの番組に出ていたことの流れかも知れない。周囲がベテランぞろいの中で、時代劇の少し改まった物言いや立ち居振る舞いは大変だったのではと思うが、主人公の娘にふさわしく可憐でいじらしい表情は見られた。また結城美栄子という人も久しぶりに見た気がする。
[DVD(邦画)] 6点(2020-01-11 00:20:23)
220.  うしろの正面<OV> 《ネタバレ》 
監督・脚本とも女性だが、妊娠中の女性には向かない映画かも知れない。 映画宣伝でいう「レディース・ホラー」とは何かと思って見ていたが、妊婦のいわゆるマウンティングのようなものとか、寄り添ってくれているようで認識がずれている夫、歓迎されているようで本当に安心していいのかわからない義実家、という感じのものが見えた気はした。当事者にはかえって不快な場面もあるだろうが、これだけでもホラーとしては異色に思われる。 物語的には変則ながら一応の邦画ホラー形式に乗っていたようで、主人公が遭遇した呪いの発祥地がたまたま夫の実家にあり、出産前の里帰りという形で恒例の現場突撃をやる展開になっている。  ところで呪いの真相に関しては、安手の邦画ホラーでよくあることだが無駄に難解で(はっきりいって独りよがりだ)、各種の解釈をやたらに取り入れたことでわけがわからなくなっている。 ①まず歌詞について、最も普通の解釈は“悪意による堕胎”ということだろうが、これは劇中でいえば主人公が「美紀」に?石段で突き落とされた場面に当てはまる。また10年前の死産も例えば姑のせいだったかも知れない。この場合の「鬼」は堕胎させられる側になるはずだが、実際は美紀?(または姑?)の方が鬼に思われる。 ②しかしその後は、歌詞でなく遊びの解釈としての「口減らし」説が前面に出たらしい。胎児を取られた「舞衣子」が今度は「神からのお告げを受ける役目」の鬼になり、胎児を取る相手を指名する権限を行使していたようだが、実際は神の意志というよりただの八つ当たりに見える。その点、産婆だった義祖母の方が神の執行者としての鬼に近いかも知れない。 ③しかしその後にまた鬼の意味が変わり、最後は主人公の立場で“他者を排除しても自分の子を守る母親”という解釈に落ち着いたように見える。「鬼は私」という台詞もあったが、その主人公にも“何であいつに子ができるのか”といった負の感情は当然あったわけで、そのため最初のうちは主人公が元凶のように見えたが、最終的には守りの意思の方を強く出していた。 以上について感覚的にまとめると、妊娠・出産(+育児もか)にまつわる悪意(鬼)は至るところに存在するので、それをはねのけるため母親自らも鬼になれ、というメッセージだと勝手に受け取った。レディースというよりオンナのホラーという印象だったが、それにしてもこういう面倒くさいものの解釈を強いられるのは疲れる。  ほか世間ではかごめの遊びを降霊術と関連づける説もあり、劇中でも霊媒師が出る場面がある(漫才師は不要)。また鏡に映すと降りたものが見えるという説もあるようだが、スマホの自撮りと終盤の鏡は“鬼を映すもの”として機能していたように見える。そういうことを調べているうちに怖くなって来たので、ホラー映画本来の性質も備えていたといえなくはない。 なお映像面では天井から降る鋏がユニークで、また西部劇の決闘場面のようなのも悪くない。赤い食物は他者を食って自分の子を生かすということの隠喩か。主演の吉田裕美という人はそれなりのお年頃だろうが、なかなかいい感じの女優さんだった(惚れた)ので悪い点はつけられない。
[DVD(邦画)] 6点(2020-01-04 09:29:39)
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