321. g@me.(2003)
《ネタバレ》 とにかくドンデン返しの連続。 最後まで飽きさせないとも言えるし、やりすぎとも言える。 でも、ここまでひっくり返しまくれば、結局は元に戻る。 つまり、二人は離れ離れになる。 その締め方が巧い。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-08-14 02:35:56) |
322. Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン
《ネタバレ》 北朝鮮を支持する団体の幹部であった父と、日本で在日として生まれ育った娘。 二人の間には、思想という点で、どうしても埋められない溝があった。 それは、どんなに父娘が愛し合っていても、埋められない溝だ。 日本で北朝鮮の思想活動を人生を賭けて行ってきた父親だが、老齢になり活力も失われつつあった。 そんな父親に、娘が「韓国籍」を取ってもいいか、と質問するシーン。 娘に幸せになってもらいたいという思いが頭をもたげ、韓国籍になることを許す言葉をひねり出す。 北朝鮮の思想を生涯信じ続けてきた男としての父親と、愛する娘の幸せを願う父親とが交錯し、葛藤するシーンだ。 父親は誰だって、娘に幸せになってもらいたいと心の底から願っている。 だけど、どうしても譲歩できない部分がある。 そんな葛藤から意を決してひねり出した言葉が、娘に韓国籍になることを許す言葉だった。 娘を持つ父親なら、感情移入できる部分に違いない。 それと、本作は北朝鮮の風景や人間たちを映像に残しているという部分でも、非常に貴重な作品である。 ピョンヤンの映像を撮った監督の勇気に敬服する。 個々の人間がそれぞれに持つ思想や価値観。 それを上回るものは、親の子供に対する愛情であった。 あらゆる試練や苦難を乗り越えてきた一人の男の、死に瀕するまでの過程を描いたドキュメンタリーで、人間の生き様、人間の業というものを深く考えさせられる作品であった。 [DVD(邦画)] 7点(2011-08-01 01:29:22) |
323. からみ合い
《ネタバレ》 さすが小林正樹監督作品、重厚な味わいで内容も面白い。 美術や音楽も独自性に富んでおり、ストーリーとは別に、映画として、画として楽しめるのがまた良い。 小林正樹監督作品の『化石』と似たような設定で、大企業の経営者が不治の病に侵され、今までの人生を反芻し、余生をどうにか全うしようと苦悶する姿が主軸となっている。 その社長の死に臨み、その遺産を狙う人々。 さまざまな欲望と策略、そして嘘が複雑に“からみ合い”、醜悪な人間たちの内面を見せつけられた。 法律の知識を武器に暗躍する企業顧問弁護士、愛人のごとく体を武器にして遺産相続人に名乗りを挙げる社長秘書、必至に自分の立場を守ろうとする若き妻、そしてその妻の元愛人・・・と実に複雑巧みに人間がからみ合う。 ドロドロとした人間ドラマで、もう一度観たいとは思えない内容ながら、これまたハズレのない小林正樹作品に、どっぷり黒々酔いしれることのできた2時間弱だった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2011-07-28 23:00:15) |
324. 接吻 (2006)
社会的に不適合者だと常に感じ、いつも孤独を感じている。 そのような人間が自分をどう見つめているか。 それは、自分のことを不適合者だと思っていない人には知る由もないことであり、そこには大きな溝がある。 不適合者が抱える心の闇。 不適合者同士しか理解し合えないこと。 しかし、不適合者同士とは言え、他人である以上すべてを理解できるとは限らない。 そこにはおのずと限界もある。 「この人なら私を理解してくれる。この人のことなら理解できる」 そう思っても、ちょっとした考え方のズレが、決定的な絶望感と孤独感を創り上げてしまう。 愛し合っている男女の関係にも同様のことが言え得るのではないか? お互いのことを完全に理解し合っていると信じている男女が居たとしても、ちょっとした価値観のずれが深い絶望感をもたらす。 深い絆で結ばれた人間同士でさえも、ひょんなことから深い溝が生まれる。 人間の関係性の難しさ、そして完全に理解し合うということの不可能性を本作を観て、痛烈に感じさせられた。 最後になったが、小池栄子は女優としてのプロ根性を発揮し、迫真の演技で実に素晴らしかった。 ついでに巨乳も相変わらず素晴らしい。 [DVD(邦画)] 7点(2011-07-17 02:40:07) |
325. ピョンヤン・ダイアリー 1994-1997
オーストラリア人が北朝鮮を旅した際に、手持ちカメラでもって、北朝鮮の実態を映像におさめようと、旅先の日々を綴ったドキュメンタリー映画。 日本のニュース映像で垣間見る北朝鮮の映像は、非常に限定、いや、人為的に偏った映像であり、それが日本人の北朝鮮という国に対する偏見を生んでいる。 アメリカ傘下の日本では、北朝鮮の実態そのままをニュースで報じることは現実的には不可能である。 そんな中で、オーストラリア人が北朝鮮を旅して、監視付きながらも北朝鮮の映像を中立的立場で撮って見せた本作はとても価値があり、有意義なものであると私は感じた。同じ人間である以上、日本人も北朝鮮も平和を願っているという点では共通である。 勿論、できれば戦争は避けたいと北朝鮮人も思っている。 だが、アメリカが世界を牛耳る世の中で、アメリカにおんぶにだっこである日本が、北朝鮮を正しく理解できるはずもない。 それはアメリカに影響を受けた報道規制の中でしか、我々日本人は北朝鮮の思想や実際の姿をニュースで見ることしかできないからだ。 北朝鮮は小国ながら、社会主義国としての立場を貫こうと奮闘している。 こういった北朝鮮の真っ直ぐな姿勢を、もっと日本人は客観的に評価すべではないか? もちろん、北朝鮮の全てを肯定しろという意味ではない(飢餓問題など)。 報道規制されたマスコミの情報だけで、北朝鮮を悪い国だと決め付けている日本人、アメリカにぶら下がり安穏としてアイディンティティを持ち得ない日本人は、北朝鮮のこういった真っ直ぐな姿勢にもっと興味を持ち、理解する努力すべきなのではないかと思う。 アメリカに抑圧され、操作された日本報道文化の中で、どうしたら我々日本人が、同じアジアの国で自国のアイデンティティを貫いている北朝鮮を理解できるのか。 中立的な本作を観ていると、そういった疑問や不満がわいてくる。 念のために書いておくが、本作は決して北朝鮮寄りに創られたドキュメンタリー映画ではない。 オーストラリア人が、極めて中立的な立場で創り上げたドキュメンタリー映画である。 極めて客観的で中立的な本作を観るにつき、アメリカ式資本主義に対立する、社会主義国に関する日本人の理解の低さ、そしてマスコミ報道を丸ごと無意識に信じ込んでいる日本人の愚かさを感じずにはいられない。 [DVD(字幕)] 7点(2011-05-31 03:21:42) |
326. ユダ(2004)
新宿歌舞伎町、お馴染みの区役所通り入り口にあるミスドから始まるドラマで、手持ちカメラの臨場感も手伝って、何かものすごく身近でリアルに体感できる序盤だった。 そういった一人称カメラワークから、徐々に離れていき、光石研が出てくる辺りで、少し自分自身の作品に対するノリみたいなものが薄れてくる。 ユダを演じたホモセクシャルの青年が、生理的に受け付けないという気分の悪さもあり、後半にいくにしたがって、置いてきぼりにされる。 だが、つまらないという一言ではくくれない、何か強烈なインパクトを残す作品だった。 瀬々敬久という言わば中堅どころの映画監督が、デジタルカメラ(DV)を駆使して、まるで学生の自主制作映画のような雰囲気でもって作品を撮っているということが、その一つの要因かもしれない。 良い意味での違和感というか、それなりの技量を持った監督が、現在のイメージからする素人っぽいDVを使って作品を創ったところが、本作の最大の特徴であるかもしれない。 かわいいコが沢山出てくるのも見所の一つ。 だけど、主演の女性は、微妙なライン。 だけど、微妙なラインだからこその、このリアルな雰囲気。 むしろ、彼女が演じたからこそ、余計にその気持ち悪いくらいの臨場感が生まれたとも言えよう。 そう考えると、知名度の高い光石研をキャスティングしたメリットってあったんだろうか。 光石研は嫌いな俳優ではないが、この作品の全体からすると、少し浮いていたように思う。 [DVD(邦画)] 7点(2011-05-20 22:12:04) |
327. お葬式
《ネタバレ》 この映画は、山崎努と宮本信子が主役の夫婦を演じているが、実質的な主役は、大滝秀治であり、菅井きんである。 他の映画では端役を演じることの多い大滝秀治と菅井きん。 この映画でも端役ではあるのだが、その見せ場が素晴らしい。 まさに熟達した役者の演技を見せてくれた。 さて本作は、表題通り『お葬式』の内容を、3日間に分けて時間軸に従って忠実に描いている。 その中で、ちょっとしたブラックユーモアが散りばめられていて、監督である伊丹十三の器用さと職人芸を堪能できる。 しかし、宮本信子がやっぱり気に入らない。 監督の実際の妻だからという理由で、ここまで露出していいもんだろうか。 だって、華がないし、存在感も薄い。 そして、顔が私の好みじゃない。 お葬式の流れをかなり忠実に描いているので、一種の“お葬式マニュアル”として、特に、お葬式で挨拶をするのが苦手な人には、実用的で役に立つ作品である。 それと、晩年の藤原釜足、田中春男、吉川満子が出演しており、往年の日本映画ファンには嬉しいキャスティングも、本作の隠れた魅力の一つである。 [DVD(邦画)] 7点(2011-05-15 01:29:01) |
328. 現代性犯罪絶叫篇 理由なき暴行
《ネタバレ》 まず1960年代の新宿の風景を観ることができただけでも満足。 新宿にたむろする3人の青年。 お金もなく、女にももてず、将来の展望もない3人。 そんな3人が、6畳一間のボロアパートに住んでいる。 これだけの設定で既に面白いと予感した。 作品名や性描写などは過激な部分もあるが、それは一つの表現方法であって、あくまで本作が訴えたかったのは、やり場のない若者が鬱屈し、そしてその欲求のはけ口を見つけられないまま、性欲にはしる。 その結果、待っていたものは、社会により抹殺されるという結末。 なんという救いの無い話なんだろうか。 学生運動が盛んだった時代背景もあり、その学生運動にすら興味を持てない若者は、結局は社会の隅に追いやられ、行き場をなくす。 現代日本においても、不景気続きで、似たような窮地に追い込まれている若者も多いかもしれない。 そんな若者達が、どうしたらそんな境遇から自力で抜け出せるのか。 それを真剣に考えさせられた。 単なるポルノ的作品ではなく、社会派的な要素も持った作品で、新宿に当時、確かに存在したであろう、ジメジメとした実に陰鬱な世界をリアルに描いており、この時代の新宿に興味がある私にとっては、十分に楽しめる作品だった。 [DVD(邦画)] 7点(2011-04-30 00:50:48) |
329. 人間の條件 第六部 曠野の彷徨
《ネタバレ》 何ていうか、これは凄まじいという他、言い様がない。 仲代達矢はただでさえ目を剥いている顔つきだというのに、それを更に鬼気迫る勢いで目を剥かせているから、背筋が凍る様な迫力を感じる。 はっきり言って、後味は悪い。 あそこまで愚直にタフに頑張ってきたのに、妻の幻影を見ながら力尽きなくても・・・と思う。 11時間も見せておいたら、生はんかな落とし方では、落とし前がつかないのかもしれないけど、あの終わらせ方は虚しすぎる。 虚しい、悲しい、惨め。 それが全てのラストだ。 戦争の酷さを伝える映画として、これ以上うってつけの日本映画は他には無いであろう。 だが、それだけに、観た後の虚しさは計り知れないものがある。 ぐったりと日曜の午後に見終えた。 明日から元気に働けるかな? いや、きっと働ける! 私には、「雨風をしのげる我が家がある」のだから。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-04-03 17:58:15) |
330. 人間の條件 第五部 死の脱出
敗残兵の生き残りをかけた脱出劇。 雄大な自然をバックに、緻密な人間の内側を見せる。 最終部へとつなぐ第5部なので、一つの作品としてみると物足りなさも感じるが、それでも十分楽しめた。 戦争ものとしても秀作であるし、人間ドラマとしても良くできている。 生き残るためには、非情なこともせざるを得ない状況下で、少しでも人間らしさを維持しようと悩み続ける、仲代達矢の姿が痛々しい。 それにしても、本作の仲代達矢は超人的にタフだ。 肉体的なタフさ。 いくらでも歩けるし、飢えや渇きにも強いし、喧嘩も強い。 戦時下ならなお更のこと、平和な世の中でも、これだけタフなら何でもできるだろう。 特に、男にとっては、これだけの肉体的頑強さというものは宝である。 そんなタフに対する羨望を本作の仲代達矢に感じ、そして、その男としてのタフさに魅力を感じた。 それを違和感なく演じる仲代達矢は、やはりもの凄い俳優だ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-04-03 00:53:37) |
331. 忍ぶ川
《ネタバレ》 ストーリー自体は単調で、とりわけ特筆すべきものはない。 しかし、モノクロ映像がそのストーリーと世界観を巧みに増幅しており、モノクロ映像が十二分に良い影響を与えている。 単なる男女の恋愛ドラマの域にとどまらず、例えば加藤剛の兄弟たちの多くが自殺をしているという設定が、ちょっとした猟奇めいた独特の雰囲気を醸し出している。 そして実家の田舎に暮すサングラスをかけた目の不自由な姉。 この人の存在が、前半からずっと不気味に描かれているが、意外にも嫁いできた栗原小巻に優しかったり、サングラスを外して弟の加藤剛に泣きつくシーンなどで、不気味に見えた姉が、実はとても人間的で普通の優しい人だった、と分かるくだりも素晴らしい。 それと、東京の木場や洲崎、浅草などの風景描写、東北の田舎の風景、こうしたその土地土地の描き方にも、観る者をモノクロ映像の世界に深く誘う効果を発揮している。 私は自宅で鑑賞したが、映画館で観たら、更に深くその世界の雰囲気にどっぷりと浸れたに違いない。 医学や自殺といったテーマとの絡みに、熊井啓監督ならではの個性も感じられ、ありがちな恋愛ドラマと一線を画す出来栄えである。 [ビデオ(邦画)] 7点(2011-03-27 03:40:21) |
332. 人間の條件 第一部 純愛篇
《ネタバレ》 仲代達矢、三島雅夫、山村聡、小沢栄太郎という濃いメンツを中心に、全6部にわたる壮大な絵巻が斬って降ろされる。 現地民を搾取して利益を上げるという至上命題を持った企業の中で、正義という矛盾を、仲代達矢がどこまで突き通せるかが見ものだった。 自分の正義感は曲げたくない、だけど組織に属している以上は上部の命令には逆らえない時もある。 そうした精神的な苦悩を描いたこの第1部は、序章を飾るにふさわしい内容となっている。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-03-21 21:37:43) |
333. 狂った果実(1956)
《ネタバレ》 何不自由ないボンボン達だが、これといった目的もなく、ただダラダラと夏を過ごす。 若者達の欲望の先には、結局“女”があった。 狂気を孕んだ若者達の中にあって、唯一、純な心を持った津川雅彦。 後のエロオヤジ役を演じまくった津川が、唯一、純な少年を演じたところが皮肉で面白い。 ラストシーンは鮮烈。 常軌を逸したあぶない目つきで、石原裕次郎と北原三枝の乗るヨットを、ぐるぐるとボートで迂回する津川。 その目は極めて危険でうつろだ。 そして、津川はボートで二人をはね殺す。 普通に考えれば、これだけあぶない目つきで、二人をボートで無惨にもはね殺したとなると、津川が一番あぶない人間になるだろうが、実は一番人間的でまともだったのは、津川ではなかったか。 やることなすこと、全てあべこべで倫理観に欠けた若者達の中にあって、その純な心を裏切られ、その怒りを殺意に代えた津川の心情こそが、一番ストレートに理解できる。 “殺す”という、社会的に一番狂気な行動をとってしまった津川が、一番同情されるべきナイーブな心を持った登場人物として描かれている辺り、単なる青春映画では片付けられない、深い内容を感じさせる名作である。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-03-08 23:03:59) |
334. ピノイ・サンデー
《ネタバレ》 フィリピン・台湾合作映画。 生粋のアジアンテイスト全開! ストーリーは何てことないし、支離滅裂な部分も感じられる。 しかし、アジアの香りが画面いっぱいから感じられるのが良い、いや、それだけで観る価値がある。 中盤のメインとなる、赤いソファーを運ぶ珍道中のエピソードは少し長かったかなぁ。 前半と終盤の人間模様をもっとメインに据えて、ドラマ仕立てにしてくれれば、もっともっと面白いアジアン映画になったかも。 もし逆に、赤いソファーを運ぶくだりをメインに見せたいのなら、最初から最後まで赤いソファーを運ぶことを題材にしたロードムービー色豊かな作品にしてしまうとかもありだったようにも思う。 その辺の完成度とか、構成のゆるい感じが、逆に言えばこのアジア映画の魅力だったりするのかもしれないが。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-03-01 22:53:08) |
335. 女たちは二度遊ぶ
この手のオムニバス映画は好きで、ツタヤとかで発見してしまうと、何も下調べもせずレンタルしてしまう。 当たりハズレも多いのが、この手のオムニバス映画の特徴で、それが何だかスリルだったりするわけで・・・ さて、ラブストーリーというくくりで、5本の短篇映画が収録されている。 その中で印象に残った作品が、相武紗季・柏原崇主演の「どしゃぶりの女」と、長谷川京子・ユースケ・サンタマリア主演の「つまらない女」の二つ。 「どしゃぶりの女」は、主演二人の人物造形が秀逸。 最後まで性格を掴みきれない面白さがある。 「つまらない女」は、ユースケ・サンタマリアの素に近い演技が功を奏した作品。 彼の人間臭さが、良い方向に出た面白い作品。 万人にオススメはしないが、もし私と同じようなオムニバス映画好きがいたら、是非オススメしたい一本! [DVD(邦画)] 7点(2011-02-19 18:17:05) |
336. 女獄門帖 引き裂かれた尼僧
《ネタバレ》 待ちに待って、ラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞成功。 いきなりネタバレなのだが、「引き裂かれた尼僧」なんて、結局最後まで出てこねーじゃねぇかバカヤロウ!って感じ(笑)。 だって、実際、誰も引き裂かれてないし。 エロ・グロ・ナンセンスを、とことん突き詰めた内容で、グロいシーンなのに、ゲラゲラと笑えてしまうところなんか、まさに石井輝男テイストを感じた。 ここだけの話、あの少女に一番ゾクっときてしまった、、ヤバイヽ( ´ー`)ノ [映画館(邦画)] 7点(2011-01-30 01:09:22) |
337. スイートリトルライズ
《ネタバレ》 矢崎仁司監督目当てで鑑賞。 やっぱりこの監督の最近の作品は映像が素晴らしい。 何気ない映像だけど、透明感がある。 そして、どこか一歩ひいたような冷たい映像がまた良い。 中谷美紀があまり好みでないので、そもそも入り込みづらかったが、それでも大森南朋の相変わらずな疲れたクマ顔(目の下にクマがあるという意)に、なんとなく引き込まれてしまった。 まさか、テディベアの「クマ」と「クマ」顔をかけた訳じゃないだろうけど・・・ 大森南朋はやっぱりオヤジ(まろあかじ)には似ていない! 中谷美紀の不倫相手を演じた俳優さんは、アップだと顔の皮膚が汚い。 こんなのと不倫する女性の気がしれない! 池脇千鶴は、妻子持ちの男を誘惑し過ぎ! 何が「先輩♪先輩♪」だ。 歳、離れ過ぎだろ! 以上は、文句や不満でなく、結局楽しめたというところのブツ切れ感想です。 やっぱり矢崎仁司監督の作品は良かった。 寡作なのが非常に残念。 あ、大島優子が、妙にエロカワでドキドキした。 最後に内容について触れるのも何なのだが、冷え切った喧嘩もロクにしない夫婦って、まさにこんな感じなんだろう。 喧嘩しない、ではなくて、正確には喧嘩できない、なんだろうけど。 夫が部屋に鍵をかけてとじこもり、一人でゲームをする。 それで寂しがる妻。 それを露骨に拒否はしないが、明らかに一人にしてくれ、と言わんばかりの夫。 非常に身をもって分かってしまうこの構図が怖い。 お互いに不倫し合うけど、結局元のさやに戻る夫婦。 意外と実際こんなもんなのかもしれない。 だって、お互い過去に「この人と一生一緒に過ごしたい」と思った仲だからこそ、夫婦になったわけだから。 一時の刺激だけを求める不倫に、本当の安らぎはない。 だからこそ、良いとは言い切れないまでも、夫婦という元のさやに戻ったんだと思う。 そういう意味では、極めて現実的で、最後まで冷え切った内容で押し通された一貫性を感じた。 矢崎色というより、江國色がより濃く出た作品だったんじゃないだろうか。 [DVD(邦画)] 7点(2011-01-30 00:49:38) |
338. アウトレイジ(2010)
北野武監督作品の中では、『座頭市』と並ぶ完成度の高い娯楽作品。 現在の日本人監督の中で、単純に楽しめる作品を撮らせたら、最近の北野武監督に勝る者はいないのではないか、というくらい良くできている。 ストーリーの顛末よし、音楽よし、映像よし。 特に、ヤクザものを撮らせたら、間違いなく現在においてはナンバー1の監督だろう。 北野武が、ただ撮りたいものを撮っていた初期の頃と比べて、“職人監督”と呼ぶべきに相応しい、監督しての巧さを感じさせる。 ただし、それが良いか悪いか。 個人的には、少し残念だと感ずる。 初期の頃に感じた、心に深く突き刺さるものが感じられない。 何か、角がとれて丸くなった印象。 監督としての総合的技量は、年数を経るにつれ、格段にアップしていると感じるが、逆に初期作品の頃に感じられた、鋭利なナイフのような切れ味がなくなっている気がする。 だが、それは北野武の計算なのかもしれない。 何故なら、比較的最近でも、『TAKESHIS’』の様な、自分の撮りたいものを好き勝手に撮っただけの作品も、撮ってはいるから。 商業的な作品と、自分の取りたい好き勝手作品とを、器用に撮り分ける北野武。 それはそれで凄い。 でもできれば、娯楽性が低く世間一般の評判は低くとも、初期の頃の様な作品や、最近で言えば『TAKESHIS’』の様な自分勝手な作品を、もっと撮って欲しい。 [DVD(邦画)] 7点(2011-01-26 01:00:36)(良:2票) |
339. 毒婦お伝と首斬り浅
《ネタバレ》 待望の牧口雄二監督特集がラピュタ阿佐ヶ谷で組まれ、感激もひとしお。 期待してのぞんだ本作だが、序盤は何だか石井輝男ワールドをスケールダウンしたような内容で、ガッカリもした。 しかし終盤の展開が凄い! それまでワイワイガチャガチャやっていたのに、お伝の首斬りシーンになると雰囲気が一変、辺り一面に雪が降り、無音となる。 それまで終始うるさい内容だっただけに、序盤とこのラストシーンの、“喧騒と静寂の対比”に思わず息をのんでしまった。 幕切れもまた素晴らしい。 首を斬られる直前は怖がって暴れていたお伝が、自分の命を救ってくれた男に首を斬られると知った瞬間、覚悟を決めておとなしくなる。 何とも人情深いお話。 ただのうるさい悪ふざけエロ映画かと思いきや、終盤での、この怒濤の盛り返し! 牧口雄二監督が、カルト映画界で一目置かれる所以を、存分に味わうことができた。 [映画館(邦画)] 7点(2011-01-23 00:00:40) |
340. ノルウェイの森
《ネタバレ》 原作はリアルタイムで既読・・・っていうか、既読か未読か、そんな事は映画を観る上で、ほとんどどうでもいい事。 この作品を、どのような動機で映画館まで観に行ったのか? それが、この作品を観た人の満足感を左右するだろう。 私は、監督のトラン・アン・ユンと撮影のリー・ピンビンが好きだから観に行った。 彼らのコンビが創り出す映像美は、『夏至』などで既に証明済み。 そのコンビが、かの世界的ベストセラー小説『ノルウェイの森』をどう料理するか? あくまで主眼点は、トラン・アン・ユンとリー・ピンビンにあった。 それに対し、『ノルウェイの森』という孤高の小説が主眼点になっていると、観た後の違和感や不満足感は免れないだろう。 さて、肝心の映像だが、まずまずといったところだろうか。 ただし、草原に風が吹きすさぶシーンは実に素晴らしかった。 あの風が吹きすさぶシーンこそが、私にとっての最大のインパクト。 問題点は、妙に中途半端なラブシーンが、しつこい位に出てきたこと。 それも菊地凛子たちの観たくもないラブシーンばかり。 肝心の水原希子のラブシーンは無し。 水原希子の、あの細くて綺麗な脚を、もっと触って欲しかったのになぁ。 演技うんぬんは、元々、淡々として退廃的なムード漂う内容なのだから、まあいいんでしょう、あんなもんで。 ラストの、松山ケンイチがヨダレを風に吹き飛ばしながら、絶叫するシーンには息をのんだ。 それと、恐怖を煽る様な音楽とともにカメラが横移動して、菊地凛子の首吊りシーンを映す演出なんかも、なかなか良い。 トラン・アン・ユン監督を目当てで観た人でないと、問題作『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』と同様、観る者を置き去りにしてしまうに違いない。 [映画館(邦画)] 7点(2010-12-23 23:39:21)(良:1票) |