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コメント数 1963
性別 男性

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421.  野火(1959)
太平洋戦争末期の日本兵の過酷な状況がよく描かれている。そして、何よりも才気溢れる演技が凄み、迫力で観ていて圧倒される船越英二がとにかく怖い。怖い。もう、本当に人間は食に飢えるとここまでなるかというほどの恐ろしさがモノクロの画面を通して伝わってくる。人間が人間の肉を喰う。しかもそれが戦友の肉という恐ろしさ、けして、楽しい映画でもないし、感動的な映画なんかでもない。そこにあるのはひたすら人間の苦悩、恐ろしさであり、色んな意味でずしりと重い映画である。
[ビデオ(邦画)] 7点(2010-01-24 15:05:48)
422.  武士道残酷物語
えっ?何?これって時代劇だよね?て感じのスタートに最初はびっくりさせられたし、とまどいも感じられた。こんな風に時代劇を語るなんてその語り口がこれまた斬新であり、意表を付かれた思いでいっぱいです。ところが、時代劇調な語りが始まってからというもの、モノクロの画面から漂う凄みともう一つ、中村錦之助の一人で7役をこなすその芸達者ぶりに流石は中村錦之助である。やはりこの俳優、ただ者ではないというものがひしひしと伝わってきて怖かった。日本人としての誇りやら精神、7代にも渡る一家の武士道としての魂のような恐るべき迫力、日本人である以上、日本人としての誇りだけは捨てるな!持ちつづけろ!と今井正監督が訴えたい気持ちがこの映画からどんどんと伝わってくる。ただはっきり言うと、けして、面白いとか爽快とか時代劇としてのカタルシスなどはこの作品には全くない。あるのはただひたすら重苦しく、武士道とは何か?というテーマに乗っ取った内容なのでチャンバラ活劇だけを求める人は全く楽しめないと思うので、そういう人は観ない方が良い。だから人にお薦めすることの出来る映画ではない。それにしても今井正というこの監督さんはどんなジャンルであれ、観る者に何か考えさせたり、引き込ませる上手さを持った監督であることがこれを観ると改めて感じられ、名監督と言われるのが解る。
[DVD(邦画)] 7点(2010-01-14 21:49:14)
423.  大殺陣 雄呂血 《ネタバレ》 
これは恐るべし!何なんだ?あのラストの決闘シーンの凄さ、いったい、何人斬ったんだ?何人斬ればやっと落ち着けるんだ?って市川雷蔵の叫びが聞えてきそうなほどの数、凄い。タイトル通り正に「大殺陣」な映画だ!こんなに大勢の人達を相手に一人で戦うなんて、普通じゃないよ。凄すぎる。畳が飛んでこようが、車が突っ込んでこようが、車と車の間で挟み撃ちにされようが、刀が折れようが、絶対に全員を叩き斬って、自分を見守ってくれている女、八千草薫の為に死なないんだ。ボロボロになりながらも勝つというその執念、見習いたいものです。それにしてもここでも市川雷蔵の何とニヒルな顔付き、言葉少なく、女の為に戦う。市川雷蔵の魅力が十分発揮されていて、それだけでも観る価値十分です。阪妻のオリジナルの方も見たい。阪妻の方がより悲壮感溢れる仕上がりになっているように感じるが、そう思うのは気のせいかな?
[ビデオ(邦画)] 8点(2010-01-13 21:15:54)
424.  悪名一番勝負 《ネタバレ》 
このシリーズの最終作品となる今作は監督がマキノ雅弘監督というだけあって、まるで同じマキノ雅弘監督の撮った別のシリーズ、高倉健主演の「昭和残侠伝」や「日本侠客伝」や「日本残侠伝」シリーズぽい雰囲気が最初からして漂う。マキノ雅弘監督らしいテンポの良さで見せてくれる反面、やはり「悪名」シリーズと言えば欠かせない田宮二郎の不在は物足りないし、勝新演じる朝吉が自分の頭を突き出して、どつけ!とやる所は確かにかっこ良いがラスト、殺された政吉(田村高廣)の敵討ちとばかりに乗り込む場面、あれって、まんま高倉健主演の任侠ものを勝新に置き換えて見せてるだけだと感じてしまう。そんな中にあって、津川雅彦のキャラ、あのしゃべり方は「次郎長三国志」シリーズの石松みたいで、森繁久彌ファンとしては監督からの石松への愛情みたいなものが感じられて嬉しい。 私も津川雅彦をもう少し見たかった気がする。マキノ雅弘監督以外の監督ならば7点、いや、8点付けてもとは思うけど、やはりマキノ雅弘監督作品としては物足りないので6点という低い点数になってしまう。最後に勝新主演によるこれとは別のマキノ雅弘映画ももっともっと撮って欲しかったし、見たい。
[DVD(邦画)] 6点(2010-01-10 18:25:40)
425.  雪夫人絵図 《ネタバレ》 
木暮実千代のエロス、魔性の女にクラクラです。溝口健二監督らしい美しさ、魔性の女を演じても、けして下品にはならずに見せる。いや、魅せると言う方が正しいぐらい、とにかく美しい。木暮実千代の色気、美しさを溝口健二監督は流石、よく解っている。美しく色気たっぷりの大人の女を描かせたら本当に上手い。木暮実千代の雪が霧の立ち込める芦ノ湖の山のホテルに現れる場面と消えて行く場面は幻想的で息を飲む程美しい。あっ!女優の魅力と言えばもう一人、久我美子も雪への憧れや同性に対する愛を抱く難しい女の気持ちを上手く表現していて、これは完全に女の気持ちを描いた女のドラマとして見込み十分!
[DVD(邦画)] 8点(2010-01-06 22:10:05)(良:1票)
426.  にっぽん昆虫記
今村昌平監督の女性の描き方が何とも凄い。タイトルの如く、本当に昆虫のようにして描くこの今村昌平監督の人間観察、主演の左幸子の凄まじい演技力あってこそ成り立つこの映画、一人の女性の生涯を生々しくリアルに捉えることで人間の生命とでも言うのか?何か凄いドキュメンタリーものでも観ているような気分になる。今村昌平監督のこのねっちこくしつこい演出に応えて見せた左幸子、この女優の演技力はただ者ではない。歩く姿まで本当に昆虫のようだ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-01-05 22:34:33)
427.  王将(1948) 《ネタバレ》 
阪東妻三郎、この俳優を見ていると役者とは何か?それを超えて一人の人間とは何か?って考えさせられる。同じような役者に今は亡き名優、渥美清という人がいる。この二人の共通点、それは言葉のトーンで泣かせることの出来る俳優であって、言葉の奥に秘められた感情表現の仕方、演技、身体全体から伝わってくるユーモアと優しさの全てを持った正に名優中の名優!それが阪東妻三郎という俳優であると言いたい。この映画の主人公、坂田三吉などその典型的人間味溢れる男の中の男!「無法松の一生」の富島松五郎と同じで、阪東妻三郎の男粋、優しさが画面全体を通して伝わってきて、もう、そこにいるだけで泣けて泣けて仕方がないぐらいだ!将棋のことしか頭になく、自分の大事な妻と娘のことをほったらかし状態にしてしまうほどの大の将棋バカであるそんな三吉が将棋など辞めると将棋の駒を投げ捨てる場面で落ちた王将と書かれた駒を拾う妻、水戸光子の演技も素晴らしい。夫の為にと尽くす姿、そこには夫と妻という夫婦の絆が見事に描かれている。そして、再び将棋の世界へと足を踏み入れた三吉がどさくさ紛れに放った手で勝利し、それを見ていた娘(三条美紀)に勝ちさえすればそれで良いの?と涙ながらに訴えかけられるあの場面、どこかのプロ野球チームの関係者全員に聞かせてやりたい!そんな娘の涙する姿に自分が間違っていたと涙する三吉!そんな三吉が関根名人の祝いの会で関根名人への思いを打ち明ける場面と、大阪に残してきた妻がもう、命は短いと解りながらも電話の受話器を持って一生懸命と妻に語りかける場面なんて、見ていて眼の前が涙で雲ってしまうぐらい本当に泣けてやばかった。これは単なる男と男の闘いのドラマではなく、それ以上に人間ドラマとして、素晴らしい大傑作の名に相応しい映画である。文句なしの満点です。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2010-01-05 22:30:48)(良:3票)
428.  男はつらいよ 私の寅さん 《ネタバレ》 
以前、観た時、初めて観た時はなんて嫌なマドンナだと思った。寅さんがマドンナに対してここまで怒るなんてこれが最初で最後である。ところが、段々と寅さんがマドンナを好きになっていく。岸恵子って女優さん、これ以外の作品を幾つも観ているうちに、好きだなあ!て思えてきてしまい、よって最初の時よりも点数アップしたい。シリーズ全体の中で考えると特別に面白いとは思えないし、けして、傑作だとも思わないけど、寅さんがおいちゃんに代わって留守番するというのと、そういや、満男が初めて長い台詞を言うのはこの作品からじゃないかなあ?
[DVD(邦画)] 6点(2010-01-05 21:40:13)
429.  釣りバカ日誌20 ファイナル
松竹映画において、昭和の人気シリーズと言えば「男はつらいよ」であるように平成の人気シリーズと言えばこの「釣りバカ日誌」シリーズである。普段、映画館になど行きそうにもないお歳よりまでもがこの映画を楽しみに映画館に足を運ぶ。それは何故か?「釣りバカ日誌」このシリーズにはこういうご時世だからこそ見て笑って、嫌なことなど全て忘れようではないかというものが見える。だからこそこのシリーズはここまで長きに渡って撮られてきたのではないだろうか!私もこのシリーズ、毎回映画館で見てはいるけれど、寅さんシリーズ同様、初期の頃の方が好きだし、楽しめた。それでも何故だろう?必ず劇場で観ようと決めて映画館で見て来たのは、それはやはりこのシリーズが好きだからである。どんなに出来は良くなくてもどこの誰だかも知らない人達と同じように映画館の中で笑い、みんな、私と同じでこのシリーズが好きなんだなあ!て思うとそれだけでも何だか嬉しくてたまらない。遂にこのシリーズも今回をもって完結か!て思うと見終わった後に寂しさを覚えてならなかった。映画が終わって最後にこの作品に出演したみんなが出てきて握手したり、抱き合っているのを見て、良いなあ!て思った。西田敏行の浜ちゃんと三國連太郎のすーさん、このコンビは最高です。本当に今までありがとう!そして、お疲れ様でした。作品としての面白さや他にも不満も多い。出来ることなら最後ぐらいは石田えりの初代みちこさんや初期の頃に出ていた鈴木建設の社員でもあった戸川純や山瀬まみの姿も見たかったなあ!いずれにせよ、寅さんシリーズが終わり、釣りバカシリーズも終わり、松竹映画のドル箱シリーズが共に完結してしまって、これからの松竹、いや、日本映画界はどうなるのかなあ?これで「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」しか観ない人達が劇場から遠ざかるなんてことのないよう頑張って欲しい。三國連太郎の年齢のことを考えるとこれ以上続けて行くのはしんどいだろうけど、三國連太郎には渥美清、森繁久彌といった昭和を代表する名優二人が居ない今、二人の分まで長生きして欲しい。心からそう思う。いつまでも長生きして下さい。
[映画館(邦画)] 6点(2009-12-31 00:49:55)(良:1票)
430.  釣りバカ日誌
記念すべき「釣りバカ日誌」シリーズの第1作!みんな、みんな若くて今以上にとても元気です。西田敏行と三國連太郎の素晴らしきコンビはここから出発!石田えりのみちこさんもとても可愛い。この作品については色々と文句言うよりも面白ければ全て良しとしよう!余計なことなど考えずに楽しむ。それがこの作品の正しい見方であると思います。
[映画館(邦画)] 8点(2009-12-30 23:49:18)
431.  殺陣師段平(1962)
中村鴈次郎の存在感が凄い。ここまで頑固で殺陣に対するこだわりを持ち続けるその執念深さを圧倒的な存在感ある演技力で見せる。上手い。本当に上手い。頑固親父であり、それでいて、ちょっした愛嬌も感じられる。市川雷蔵のあの眼鏡姿も結構、似合っている。マキノ雅弘監督のオリジナル版よりもこのリメイク版の方が面白く見られた。話そのものはしんみりしすぎているのが気にもなるけど、中村鴈次郎演じる段平を影で支える良き妻、田中絹代に山茶花究、浪花千栄子と上手い役者が脇を固めることで面白く見ることが出来た。
[ビデオ(邦画)] 7点(2009-12-22 21:17:19)
432.  忠臣蔵(1958)
これが噂に聞いていた「忠臣蔵」映画の中でも最高傑作と言われる作品か!なるほど、これは確かに面白いし、よく出来ている。何よりも大映映画のオールスター勢揃い、男優も女優もこれ以上は無理であろうと言えるほどの豪華な顔ぶれに、それだけでも観ていて飽きないし、それに一つ一つのエピソードがこれまた泣かせるではないですか!どう泣かせるかって?それは見てのお楽しみてことで、いやはや、それにしてもこの顔ぶれは本当に凄い。長谷川一夫の大石蔵之助がはまりすぎていて、台詞にしてもかっこ良い。これほどまでにこっか良い大石蔵之助は他では中村錦之助しか知らない。そんな長谷川一夫の仲間達の中でこれまた鶴田浩二が特に良い。若尾文子との別れのシーンでのあの時の二人が良い。若尾文子に対する鶴田浩二の見せる優しさとそれに応えようとする若尾文子の可愛さ抜群です。他にも山本富士子のこれまた白い服のお似合いなことといったらない。何度も言うようにとにかく出演者の顔ぶれだけでも見ていて飽きないし、そんな中で市川雷蔵と勝新の使い方、使われ方が何だか勿体無く感じたのが残念です。美しい映像美と男たちのかっこ良さに美しく華やかな女性達と見所たっぷりな2時間40分でした。
[ビデオ(邦画)] 8点(2009-12-20 12:34:46)
433.  結婚のすべて
岡本喜八監督のデビュー作は何と男臭い活劇が得意な監督からは考えられないような女性映画になっていて驚かされた。出ている俳優陣の顔ぶれを見ると、如何にも岡本喜八監督が好みそうな感じ、後の岡本喜八監督作品に出てくる俳優やら日本映画全盛期の頃の顔ぶれやらと色んな顔ぶれが見られるという意味で貴重な映画でもある。台詞回しのテンポの良さは既にこの監督デビュー作から見られる。テンポが良いのでただでさえ短い上映時間がより一層、短くも思えてしまうぐらいです。ただ岡本喜八監督らしい才気や爆発的な面白さはまだここでは影を潜めている。ところで三橋達也と新珠三千代の二人が同じ映画に出てくると、どうしても川島雄三監督の顔が浮かんできてしまいます。団令子もこれまた川島映画を思わせるが、団令子ってそういや岡本喜八監督の傑作「血と砂」での印象が物凄く強烈に残っていて、ここでもこの女優が出てくる女優さんの中ではダントツに面白い上に魅力的である。これで遂に岡本喜八監督のデビュー作と遺作の両方を見たことになる。岡本喜八監督による女性映画ももっと見たかった。そう思われるのは私だけじゃないはずです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-12-19 22:13:30)
434.  冬の華 《ネタバレ》 
高倉健と池部良の二人が並んでいる最初の海辺のシーン、何だかその時の会話、やりとりはまるで同じ二人が出ている「昭和残侠伝」シリーズを思わずにはいられない。健さんの役名が同じ秀さんだしね。この時の池部良の高倉健に対する台詞がラストに別の人間、小池朝雄によって使われるシーンを持ってくるというのはちょっとあまりにもやりすぎの感がしなくもない。ただこの作品、やはり健さんあっての映画になっている。高倉健というこの俳優の持ち味、男は黙って勝負しろみたいなものがひしひしと伝わってまいります。冒頭で「娘がいるんだ」と頼まれてもそれでも池部良に対して物言わずに殺した娘が大きくなり、その娘と何度も何度も会っているのに自分がおじさんであるということを明かさない。ここに男である辛さ、義理と人情、やくざ世界に生きる男の辛さを健さんは演じている。こういう耐える男が本当に似合う。健さん以外の脇役に関して言わせてもらうとハマリ役である人と全くのミスキャストな人がいる。小林亜星は完全なミスキャストとしか思えない。とてもやくざの親分には見えません。作品全体に漂う哀愁、音楽にクラシックとこれまたなかなか良い感じであるが、監督の差なのか?これ、同じ脚本でもしも、マキノ雅弘監督が健在だったら素晴らしい傑作に成り得ている気がしてそういう意味でちょっと残念である。そうは言うものの面白いことは面白いし、よく出来てはいるし、隆旗康男監督作品としては上出来な部類に数えて良いのではないだろうか?
[DVD(邦画)] 7点(2009-12-13 20:43:33)
435.  歌行燈(1943)
何だろう?この不思議な感じのする作風は?何だか成瀬映画を見ているというよりは溝口健二監督の映画を見ているような錯覚を起こす。それは全てにおいて力強い感じが漂う。芸に生きる男と女、話としての面白さを楽しむ映画というよりは俳優の演技を見る映画である。出演者の演技が皆、素晴らしい中で特に山田五十鈴の演技は凄い。舞の場面のなんたる迫力!ただただ圧倒されました。成瀬作品らしからぬ雰囲気の中にも常に女の美しさと力強さとを難なく描き切るところは凄い監督であることを認めつつも成瀬作品としては普通の出来栄え!(好みという意味でも8点以上は付けられない)普通と言っても7点レベルには達している所は並みの監督とは大違いである。これ、はっきり言って下手な監督、下手な脚本家に下手な俳優なんだかもよく解らないような人が演じていたら駄作間違いなしに終わっていたであろう!やはり映画は良い監督と良い脚本、そして、良い役者が揃ってこそ良いものが出来上がると言っていい。成瀬巳喜男監督の映画を見ているとそう思わずにはいられないのである。成瀬巳喜男監督だからこそ傑作に成り得た映画がいったい、この世に幾つ存在することか?いずれにしてもこの映画も成瀬巳喜男監督だからこその映画であることだけは間違いない。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-12-10 22:16:06)
436.  弁天小僧 《ネタバレ》 
市川雷蔵の前に弁天なし、雷蔵なくして弁天なし!とにかく市川雷蔵の美しさとかっこ良さ、その両方が遺憾なく発揮されている。歌舞伎役者としての市川雷蔵もこれもまた良し!女方を演じても、違和感なく見せれる貴重な俳優の存在、それがこの市川雷蔵という俳優の持ち味でもあり、それでいて、勿論、男らしい活きの良さ、粋という意味でも見せてくれる。男が男に惚れる俳優の一人である。市川雷蔵演じる弁天小僧菊之助が青山京子のお半さんに対して襲おうとする場面なんてどこか同じ市川雷蔵主演による人気シリーズ、代表的シリーズの眠狂四郎みたいです。宮川一夫のカメラは相変わらず美しく、市川雷蔵が屋根を登るシーンや部屋を出入りする時の外からの風景や川の水の美しさなども印象に残る。とにかく全てにおいて美しい。ところで、最初、あの遠山の金さん、勝新だとは解らなかった。しばらくして、ようやく勝新であることが解ったけど、なんだろう?遠山の金さんと勝新ねえ!何だかイメージ的に違う気がする。あまりにも良い人過ぎて物足りない。勝新にはやはり「座頭市」の市や「悪名」の朝吉のようなアウトローな役こそ似合う気がする。
[ビデオ(邦画)] 7点(2009-12-05 16:46:31)(良:1票)
437.  幸福(1981)
市川崑監督の作品の中で観ることは出来ないと思っていたこの映画、本当は東京まで行って映画館で見たかったぐらいだが、なかなかそうはいかない。CS放送での観賞となる。市川崑監督の希望によると、本当は完全モノクロの世界、映像で撮りたかったらしいけど、映画製作会社の反対によって実現しなかったと聞くが、何故?監督の希望通りにやらせてあげなんだ?ここらがもう1980年以降の日本映画の駄目なところである。それはさておき、市川崑監督らしい如何にもこれが今の日本である。昭和の日本の美しさ、映像だけでなく、親子の絆、それは妻に逃げられどうして一人で二人の子供を育てながら刑事という職に付いている水谷豊演じるこの父親と子供達とのやりとりの中に親子の絆、人間としての大切さを描いている。市川崑監督の描く世界はいつも何かドロドロした人間関係の中に見え隠れする絆、絆を大切にすることの重要性、タイトルにあるように「幸福」とは何か?という問いに対し考えさせられる内容の見応えのある作品になっている。所々で金田一シリーズを思わせる人物をここでも使うことで、金田一ファンにとっても別の楽しみを見せてくれているこの辺りの市川崑監督らしい映画を観る上での楽しみ方や、また特殊なシルバーカラーという映像によって、普段は見ることの出来ないようなこんな東京の姿までも映し出す。その市川崑監督の映画ファンは勿論、そうでない人にまで興味をという引き付けられる魅力がこの映画には存在する。それにしても市川崑が亡くなったからこうして観ることが出来るのか?と思うと何だかとても哀しくなるし、やりきれない。生きている間に誰もが見ることが出来なかったものか?日本映画だけの問題ではないが、監督が生きている間にDVD化して欲しかったし、全国の映画館で上映して欲しい。そういう映画があまりにも多過ぎる気がしてならない。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-11-28 11:32:36)(良:2票)
438.  その男、凶暴につき 《ネタバレ》 
北野武の監督デビュー作品は後の武作品を語る上で絶対に通らなくてはならない。外すことは出来ない暴力的な世界の中に人間の持っている危なさ、警察であれ、刑事であれ、一人の人間であることには変わらないというものをこの映画を見ていると感じずにはいられなくなる。どんな人間だろうと、所詮は人の子、それはこの映画のビートたけし演じる刑事の性格にもよく現れている。北野武が北野武及びビートたけしである限り存在する危険性、冒頭の中年が少年達に暴力を振るわれた後に一人の少年の家に乗り込む所から既にこの映画には危険な匂いが充満している。坂道を走り、バットを持って逃げる男を捕まえに行く場面、車で跳ねたのか?と思わせておいて、犯人がボンネットの上に乗ってフロントガラスをぶち壊す所なんて上手いと言わずにはいられない。白竜が出てくる中盤からのシーンの殺気、少ない台詞と音楽をほとんど使わないことが余計にその殺気を感じさせる上手さ、更にこの映画、武らしいコメディセンスとしての場面も見ることが出来る。それは白竜を捕まえる所が何とラブホテル、しかも裸の男と一緒という所の如何にも武らしいこのセンス、妹がチンピラに捕まって薬を打たれる所でここでも一人のオカマを登場させるというのもこれまた北野武、いや、ビートたけしらしい。色んな意味でたけしらしいセンスを感じさせ、白竜との戦いに勝ち、白竜の遺体のポケットから薬を探す妹を見てる時の視線の怖さ、作品全体に怖さを十分に見せつけることに成功している。これがとても本職が映画監督でない人間の成せる技なのか?というぐらいの緊張感、全てにおいて、殺気が漲っている。監督デビュー作にしてこれだけのものを撮る北野武、そこらの芸人なんかとはまるで違うものを感じずにはいられない。最後にもう少し!北野武が映画を撮れるなら俺にも俺にもとやたら監督でもないタレントや俳優やら歌手やらが同じように真似して映画界に乗り込んでいくという現在の日本映画の現状がどれだけ今の日本映画を駄目にしていることか!ということを日本映画界全体として考えるべきである。はっきり言うけど、北野武(ビートたけし)はどうすれば映画として観ることが出来るのか?ということをよく勉強していると思うし、解っている。この映画は北野武以外では成り立たない映画であることをきちんと理解しないといけない。そういう映画である。
[DVD(邦画)] 8点(2009-11-26 20:42:17)(良:4票)
439.  博奕打ち 総長賭博 《ネタバレ》 
これは本当に凄い。今まで見てきた任侠映画の中でも文句なしの最高傑作!これを超える任侠映画はない。二度と作られることはないであろう!とにかく全てにおいて完璧である。この映画は任侠映画ではあるけど、単なる任侠ものではない任侠映画の枠を超えた素晴らしい人間ドラマだ!やくざ社会に生きる男と男を影で支える女の哀しくも切ないドラマである。今まで幾つもの任侠映画を見てきたが、任侠映画を見てここまで泣いたのは初めてです。鶴田浩二と若山冨三郎の兄弟の杯を交わした二人が跡目問題で悩み、苦しみ、挙句の果ては鶴田浩二が弟分である若山冨三郎を自らの手で葬るという悲劇、これは悲劇を置いて他には考えられない。中井(鶴田浩二)の苦悩、松田(若山冨三郎)の兄と慕う中井に対する気持ち、兄貴分である中井にだけは解って欲しい(欲しかった)その哀しさと二代目としての責任を全うし、自分が良いように利用されても最後までその責任を貫いた上に殺される石戸(名和宏)の苦しみ、そして、誰も書かれてないのは何故?何故みんな音吉のことを書かないんですか?男の私としてはあの音吉に思い切り感情移入させられてしまった。雨の中、鶴田浩二に向って土下座する音吉、中井と松田の二人の仲を何とかしようとする音吉、そんな音吉が身体を張って中井に殺される場面、「これで俺も姉さんの所に行ける」というあの台詞に込められたその思い、音吉の男としての苦しみも私にはどうしようもなく泣けてばかった。そうそう、男社会の中にあって哀しくも自らの手で命を絶った女を演じてみせた桜町弘子のことも忘れてはならない。桜町弘子のつや子姉さんのことを思うとこれまた泣けてくる。この映画は最初にも書いたように単なる任侠映画ではない人としての生き様、男と男、男と女、様々な葛藤、苦しみを格調高く美しく描いてみせた素晴らしい人間ドラマだ!文句なし満点!
[DVD(邦画)] 10点(2009-11-22 18:09:52)(良:2票)
440.  空気人形 《ネタバレ》 
何だ?この異常な世界、怪しい雰囲気、危なすぎる世界、全てにおいて、とにかく異常である。空気人形と横になる中年の男、そして、男が居なくなった後に立ち上がり、人形が人間の形、姿へと変化して行く所の不気味さ、空気人形であるペ・ドゥナが人間の姿に変えて外に出て行くシーンも怖い。全くもって無表情なのである。ところがそんな彼女がレンタルビデオ屋さんに勤めることになってからはそれまでは見せなかった笑顔を見せる。この笑顔こそが彼女が空気人形でありながらも人間の心を持ったことの印であり、それはレンタル屋さんでの若い男や店長との会話でも解る。心を持つことでそれまで知らなかった別の世界を生きる彼女、男の為の性の道具としか扱われない彼女が心を持ってしまったことによる辛さ、別の意味での辛さを見せる何ともこの不思議で不気味な世界にどんどん引き込まれていく上手さというものがこの映画にはある。代用品扱いされてたペ・ドゥナを自分のおもちゃのように扱う男もこれまたレストランでの仕事では代用品としてしか扱われないという何とも皮肉めいたものを感じさせ、それはレンタル屋さんで知り合い、愛し合うようになった相手の若い男のお願いを聞くシーンにも現れている。ラスト、ゴミ袋の横で寝そべっているペ・ドゥナがあまりにも切なくて悲しい。燃えるゴミと燃えないゴミ、人間は死ねば燃え、人形は燃えないゴミ扱い。そこにある人間と空気人形としての違い、差別など色んなものを考えさせらる映画でもある。けして、楽しい映画ではないし、むしろ、嫌になるほど絶望的な話だが物凄く引き込まれ、余韻の残る映画になっている。本当は8点にしても良いぐらいだが、血なまぐさいシーンは苦手なのであれさえなければというこで7点です。
[映画館(邦画)] 7点(2009-11-22 12:03:29)
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