521. 八月の狂詩曲
子役の演技が圧倒的に下手なのがすぐ目につくが、よく見ると、大人側も大した演技はしていない。つまり、脚本がそもそも凡庸でダメダメすぎるのです。全体的に、雰囲気がその辺のホームドラマレベルです。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2015-08-30 00:33:04) |
522. 肉弾(1968)
《ネタバレ》 ひたすらシュールな画面を次々に塗り重ねて作ろうとしたのがとてもよく分かる作品。前半の女郎屋~防空壕くらいのくだりまでは、白黒なのに絶妙に汚れ感が表現されている映像関係も含め、じめじめ感やぼろぼろ感がよく表現されていたと思う。しかし、砂漠のあたりからはそのシュールさが度を越してしまい、そもそもどういう世界観なのかという根本から迷走することになってしまった。ベースに不条理性を置くのであれば、あまりにじっくりしているのは逆効果で、90分台くらいに刈り込んでもっとペースを考える必要があったと思う。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-08-28 02:36:54)(良:1票) |
523. 大巨獣ガッパ
どうにも内容がないというか、パニックへの危機感もなければ怪獣そのものに対する愛情もないというか・・・テレビ番組だったら、30分以内でまとめられるような内容ではないのか。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2015-08-28 02:25:55) |
524. 運が良けりゃ
《ネタバレ》 いろんな話を複合しているので、やはり散らかった印象は拭えないのだが、そんな中でもインパクトを発しているのは、輿入れ話が飛んだときの倍賞千恵子のとてつもなく嬉しそうな絶妙な表情(誰にも気づかれてないのがよい)。それから、死人かっぽれを当たり前のようにそのままやってしまう突き抜け度。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-08-25 02:08:50) |
525. 壬生義士伝
《ネタバレ》 後半のダラダラぶりについてはいうまでもないが、ナレーションの複数展開という視点のブレが、それに輪をかけている。また、武芸の達人のくせに金や命に執着するという不可解さがスタートなのに、仕送りがどうのという時点でそれがすべて消化されてしまっている。つまり、物語としてはそこで終わっているということ。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-08-21 01:55:25) |
526. 卍(1983)
導入部こそ女優二人の頑張りで日常からの逸脱を何とか繰り出していましたが、途中からブレーキを踏みまくって迷走し、しかも演出のネタも尽きた感じで、グダグダのまま終わってしまいました。結局、テーマが大きすぎて制作側も手に負えなかったのではないでしょうか。 [DVD(邦画)] 3点(2015-08-20 01:09:36) |
527. 火垂るの墓(2008)
《ネタバレ》 すでにアニメ版が人口に膾炙している中で、何でわざわざこれを作るのかがすでに分からないのだが、そうであるにもかかわらず、肝となる役に松坂慶子とか松田聖子とか演技ができない人を当てている時点で、制作側の志の低さが見て取れる。しかも一番問題なのはラストで、この物語の根本は、最後に清太が駅の雑踏の中で誰からも顧みられずに野垂れ死ぬというところにあるはずなのに、そこを省略してしまってはそれまでの意味がまったくなくなってしまうので、さらに-1点。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2015-08-18 03:10:47) |
528. ビルマの竪琴(1956)
《ネタバレ》 リメイクの方を先に見ていて、期待していたほど感動しなかったのであれれと思っていたのですが、こちらもそう変わりませんでした。一番気になったのは、隊長以外の兵隊にきちんと個々の演技がつけられておらず、起こってくる物事に集団で右往左往しているようにしか見えないこと。それと、これはリメイクも同じですが、本隊と水島を(原作の叙述がどうであれ)並行描写すべきではなかったと思います。もっといえば、隊長が「水島は戻ってくるまいよ」と断定した時点で物語は終わっているので、手紙の意味がほとんどなくなっています。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-08-17 01:27:11) |
529. トラ・トラ・トラ!
《ネタバレ》 中盤過ぎまでは、日本側が美術関係も会議の台詞一つ一つも異様にこだわっているのに対し、アメリカ側は司令室みたいな室内でああだこうだやっているシーンの繰り返しで、撮影の空気感自体がやたら呑気なのである。しかし、いざ攻撃シーンに入ると、突然怒濤の大反撃というか、やはり零戦が存分に宙を飛び交う(ただ零戦を撮るだけではなくて、背景と比較した見え方まで配慮している)迫力満載の映像大展開です。というわけで、真珠湾攻撃自体は、まあきちんと描かれているとは思いますが、これをきちんとしようとするのであれば、その背景になったアジア情勢とかヨーロッパ情勢とかも、ほんとはその前に盛り込んでおかないといけないんだけどね。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-08-14 02:35:24) |
530. 奇跡(2011)
肝心の子役の演技のつけ方や撮り方が、揃いも揃って作為的、官僚的。それだけ人工甘味料たっぷりのプラスチック画面を見せられた後で奇跡とか言われても、少しも奇跡に感じない。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2015-08-12 23:09:13) |
531. 紙屋悦子の青春
《ネタバレ》 設定からして、観念的・感傷的・情緒的に流れるだけの内容になることを危惧していたのだが、意外に良い出来なので驚いた。流れを逸脱せず、かといってストレートに中心だけを目指すこともなく、一つ一つ丁寧に積み上げられる会話の数々。それを辛抱強く息を潜めて追い続けるカメラ。各役者の、感情を安易に露出させない忍耐の演技。それだけで十分です。それから、この作品の中心テーマは反戦ではないです(要素の一部ではあるとしても)。肝は現代の老夫婦にあって、いろんなことを乗り越えてきた二人だからこそ、あんな何でもない会話を、息の合った状態で繰り広げられる。私はそこが一番の見所だと思いました。あと、残念だったのは、衣装や小道具がえらく新品っぽくて、日常的に使い込まれた生活感が表されていなかったこと。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-08-10 01:22:46) |
532. 長崎の鐘
《ネタバレ》 後年の「この子を残して」に比べると、特に前半は、普通のホームドラマ風の描写が続いており、永井博士の思想や背景に踏み込んでいるとは言いがたい。しかし、原爆投下後の世界の反転、そして如己堂での生活の描写は、果てしない重みをもって迫ってくる。何よりも重要なのは、この作品が製作されたのは原爆投下からわずか5年後であり、永井博士のご存命中であり、若原雅夫と月丘夢路は実際に如己堂で生前の永井博士と面談して役作りを行っており、その上でGHQの検閲をくぐり抜けて作られたものであるということ。内容もそうなんだけど、それ以上に、当時の息づかいがダイレクトに聞こえてくるという点において実に貴重。 [映画館(邦画)] 7点(2015-08-02 20:30:42) |
533. 忍者武芸帖 百地三太夫
とにかく、真田広之、真田広之、真田広之と、まあそういう作品。広之さんを鑑賞するという目的(謎のインチキバレエも含めて)に絞って見れば、必ず目的は達成できる。志穗美悦ちゃんは、分かりやすく出番が削られている上に使われ方もひどいんだけど、まともに悦ちゃんを活躍させれば、主役を一気に目立たなくさせてしまうことが容易に推測できるため、作品の目的からいえば仕方ないのだろう。僅かなアクションでも、この人の技の切れは異常。 [DVD(邦画)] 5点(2015-08-02 01:27:01) |
534. 天城越え(1998)<TVM>
《ネタバレ》 田中美佐子のハナには期待したんですが、裕子版ハナを意識したのか、えらく蓮っ葉な感じが美佐子さんに合っていなくて、かなり無理している感じでした。せっかく美佐子さんを起用したんだったら、もっと全然別の感じに作り変えてもよかったんじゃないかと思うけどな。ただ、回想終了後に追加されている現代パートは、この種の展開には珍しく作品世界の雰囲気を壊すことなく、上品にまとまっている。 [DVD(邦画)] 4点(2015-07-31 18:55:55) |
535. 股旅 三人やくざ
《ネタバレ》 ほかの方と同じく、順々に良くなっていくという印象ですね。1本目は、ただじめじめと暗いだけで、見所あまりなし。2本目は、3人揃ってからやっとドラマが動き始める。3本目は、この主人公は全然戦闘経験はないと、何も説明がなくても、見ただけで分かるのが素晴らしい。股旅とはそもそも何であるかという点も反映しているのも素晴らしい。脚本も細かいところまで練られています。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-07-21 21:11:29) |
536. 馬鹿まるだし
《ネタバレ》 まさに「無法松」と思っていたら、本当に劇中劇で登場してしまうのにはちょっと笑ってしまったが、しかし、労働争議やテロリストが日常生活の中に当たり前に絡んでくるある種の背景的暗さが、あちらと一線を画している。そして、最後の安五郎のあの「告白」、あんなに悲しい、哀切に満ちた告白の台詞は、私は聞いたことがない。●最後のダイナマイトの場面、安さんは当初、ご新造さんの依頼があったと思ったからこそ突入を決意します。しかしその後、ご新造さんはそんな依頼などしていないという正しい情報が伝えられます。それなら安さんが突入する理由はなくなったので、そこで止めてもいいはずなのですが、安さんはやっぱり突入します。なぜ安さんはそうしたのでしょうか?台詞では「人に頼まれれば嫌とは言えねえ」みたいな説明がされますが、あのシーンのハナ肇の芝居は、そんな単純な心境の表現ではないように思えます。解釈はいろいろ考えられますが、かなり奥の深いシーンです。 [DVD(邦画)] 7点(2015-07-19 13:41:00) |
537. 春琴抄(1976)
《ネタバレ》 いきなりヒステリックで高飛車な百恵ちゃんというのもびっくりしたが、その百恵ちゃんと、それにひたすら忠実に仕える友和さんという図式で最後まで一貫して押し通したのには、もっとびっくりした。こういうのができるところからも、やっぱりこの二人、単なるアイドルカップルではなかったんですね。何と百恵ちゃんは、作中で笑顔の一つすら見せない。結構演技の難易度が高い役柄だと思います。妊娠の背景説明ゼロで謎を残したまま平然と先に行っちゃうというような作り方も、今日でも参考になると思う。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-07-15 03:00:08) |
538. 浪花の恋の物語
肝心の錦之介さんが、びっくりするくらい最後までナヨナヨしっぱなしで・・・これではいくら悲恋を設定しても、当事者の感情の衝突がないので、何も生み出していません。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-07-15 02:52:15) |
539. ザ・スパイダースの大進撃
《ネタバレ》 前作に比べると、一応は事件らしきものが起こって怪しげな連中がうろうろしたり、マチャアキと順の二人にスポットを当てて中心人物っぽく設定したりと、とりあえず、一般的な映画の体裁を整えようという意思の一端は見受けられる。しかし、突然競技場だの国会議事堂の上だので演奏するシーンが意味もなく挿入されたりだとか、さしたる必然性もなく鹿児島まで飛んで行っちゃったりとか、肝心の本体の無軌道ぶりは健在。何よりも凄いのは、執拗に狙われるタンバリンとか書類には結局何の意味があったのか、一切何の説明もないこと。創作活動が即断即決で実行されてしまったときの底なしパワーを、まざまざと感じさせる。あと、作中で演奏されるスパイダースの楽曲にはマイナーな曲が多く、その意味でも貴重。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-06-30 02:27:14) |
540. クライマーズ・ハイ(2008)
《ネタバレ》 しつこいくらいの内部対立や足の引っ張り合いの描写を見ていると、いったいこの作品は何が言いたかったのか、心底不思議になってくる。この未曾有の大事故発生直後という超緊急時期に、何ら前向きでない怒鳴り合いをする社員も、事故の報道自体に消極的な上司も、これは自分の記事だ何だと寝言を言う記者も、どこかの新聞社にはひょっとしたら本当にいたのかもしれない。しかし、そんなものはわざわざ映画として表現する価値はまったくない。何よりも腹立たしいのは、主人公にさんざんもっともらしいことを言わせていながら、肝心のこの作品のつくり自体が、「現場」も「御巣鷹」も「鎮魂」も、何も感じさせないこと。小手先の登場人物の言葉遊びだけで終わっていること。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2015-06-28 03:10:37)(良:2票) |