681. しあわせのパン
《ネタバレ》 わざとやっているとしか思えないくらい、中身何にもなしのすっかすかな作品。タイトルにまでパンと謳い、作中でもさんざんパンを出しておきながら、誰が何を考えてどのようにしてパンを作ったか、あるいはそれに付随する料理を作っているのかというディテールが一切ないので、パンは主題から外れたネタ以下の存在に貶められてしまっている。内装はさっきニトリで揃えたのかと思うくらい人工的でぴかぴかで、生活感もなければ使用感もない。したがって、主人公がそこで店を営んできたという設定や、そこでドラマが起こるという設えに説得力がまったくない(この点では「かもめ食堂」も大概ひどかったが、これははるかに上回っている)。そもそも、原田知世や大泉洋にあんな棒読み以下の演技をさせて平気な演出側の神経が理解できません。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2014-10-23 02:03:51) |
682. 劔岳 点の記
《ネタバレ》 山岳映像の数々は撮影の大いなる苦労を想像させるが、肝心の脚本が説明台詞ばかりのグダグダなので、映像としては良くても、映画としてはほとんど機能していない。また、測量や登山をテーマとしていながら、その技術的ディテールや専門知識の部分にまったくふれていないのも問題です。あと、最後にもっともらしく登場する手旗信号ですけど、手旗は1文字1文字の発信に手間がかかるので、文字数を最小限にするのが常識です。本当にやっている人なら、あんな情緒的でダラダラした文面は送りません(そして、本当に送信しているのであれば、あんな高速の読み上げにはなりません)。何でも事実どおりにやるだけが能ではないとは思いますが、肝心のクライマックスのところでこうして露骨に手を抜かれると、さらに醒めてしまうのです。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2014-10-14 00:18:05) |
683. 夜汽車
《ネタバレ》 演技も演出も映像も、豪華キャストにふさわしく、ひたすら重厚かつ丁寧である。とりわけ、十朱幸代の気力充実の名演技ぶりは素晴らしい。秋吉久美子やショーケンですら、十朱との共演場面になると急にぎこちなく見えるほどである。脇役のMVPは萬田久子かな。しかし、一番強烈なのは、ラストを「消息を絶つ」で終わらせている点。こんな容赦なく素っ気ないエンディングはほかに思い出せないのですが、これが登場人物の存在に奇妙な現実感を与えています。 [DVD(邦画)] 8点(2014-09-22 22:23:26) |
684. ガメラ3 邪神<イリス>覚醒
ほとんどの登場人物が、状況に対し真剣に本気で危機感を持っているように見えないのです。なので、いくら特撮を頑張っても、まったく意味がありません。焦点が絞られていないだらけた脚本が、それに輪をかけています。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2014-09-21 01:55:23) |
685. 月光の夏
《ネタバレ》 かなり期待外れ。大体、何で現在の取材側の行動の描写にあそこまでの比重を置いていたのかが謎。あんなことをされると、戦時中のストーリーがぶった切りになってしまい、独立した世界に浸ることが妨害されることなどすぐに分かりそうなものだが。今そこにあるピアノの背後に隠された過去の話を浮き彫りにしたいのであれば、現在の描写は最初と最後だけに凝縮して、その間は、特攻兵や女教師の人となりや思考生活をきちんと完成させることに重点を置くべきでしょう。それと、軍服や当時の教室など美術関係が妙に作り物っぽいのも気になった。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2014-09-12 22:02:08) |
686. ハチ公物語(1987)
《ネタバレ》 もっとわざとらしくお涙頂戴で塗ってくるイメージを勝手に持っていたのだが、意外に素直で明快な作りだった。主人の死後、周りの人たちが結構素っ気ないのもかえって現実味があるし、ことさら仰々しく酷い目にあうエピソードを入れたりせず、淡々と「駅で待つこと」を基本に置いているのも良い。 [DVD(邦画)] 6点(2014-09-10 00:59:19) |
687. 陽暉楼
《ネタバレ》 芸妓の皆様が集団で廊下を歩いているという、ただそれだけで醸し出されるど迫力。演出側も役者側も技術側も、すべてのイメージと照準がぴたりとあっているから、このような奇跡的な瞬間が生まれる。池上季実子は最初から最後まで衣装負け・美術負け・メイク負けしない存在感を放っており、「100年に1人あるかないかの芸者」という作中の台詞が誇張に感じない。緒形拳も、チンケな女衒に自分を位置づけつつ、実はいつでも極道にも刃向かえる牙を持っているという役柄を絶妙に演じている。桃若と珠子の席同士でのにらみ合いからキャットファイトに至るまでのシークエンスの緊迫感はもちろんだが、四人の芸妓が舞ながら会話を交わすシーンなど、演出の冴えも見事。 [DVD(邦画)] 8点(2014-09-06 01:14:05) |
688. もっとしなやかに もっとしたたかに
《ネタバレ》 平凡な設定ながら、結構面白く人間模様が交錯していて、それなりにドラマとしてまとまっている。高沢順子と森下愛子の堅実な演技が光っている。しかし、結局のところ主題が何なのかは最後まで不明だし、タイトルも中身とは別につながっていない。それと、あのラストはいくら何でも無茶だと思うけど・・・。 [DVD(邦画)] 5点(2014-09-05 02:41:43) |
689. ガメラ2 レギオン襲来
最初のパニック発生の部分で、人々の顔に少しも緊張感がない上にえらくあっさり淡々と進行していて、これはどうなるのかと思っていたのだが、まさか最後までそのとおりに進むとは思わなかった。住民の「変化」を捉えずに適当に右から左に動かしておいて都市壊滅などといわれても、何のことか分かりません。レギオンの造形が醜いだけなのも困りもの。敵が格好良くないとヒーローが光らないのは、怪獣映画でも同じです。水野美紀の演技も問題外。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2014-09-03 01:29:25) |
690. アンノウン(2011)
《ネタバレ》 ランジェラとブルーノ・ガンツの対決シーンに象徴されるように、ところどころやたら出来が良い一方で、相も変わらぬ無意味なカー・チェイスとか、相も変わらぬ無駄な肉弾戦とか、どうみても足を引っ張っている部分も存在する。いろいろ削って100分以内くらいにしていたら、もっとすっきりしたのでは? [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-09-02 01:30:35) |
691. ガメラ 大怪獣空中決戦
主人公は緊急時でも化粧濃すぎ(それを消すほどの表情や演技もない)な上に、危機に立ち向かう立場としての有能さも見当たらない。政府関係者はただ狼狽してうるさく騒いでいるだけ。これでは怪獣がいくら頑張っても、格好良く見えないんですよ。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2014-08-30 15:08:40) |
692. のぼうの城
2分に1回くらいの割合で、明らかな現代語的言い回しが台詞にほいほい混じっている。この脚本は考証に出さないまま使ってしまったのでしょう。したがって、作品の根本軸が存在しないので、それに基づいて誰が何をやっても意味がありません。もっとも、言葉の問題を抜きにしても、このグダグダの脚本とダラダラの演出では、役者も技術陣も相当辛かったと思いますが。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2014-08-24 00:04:39) |
693. 親鸞 白い道
誰が何をしたいのかということはさっぱり分からないのに、全編を通じて制作者の気合だけは異様に感じられるという、謎の怪作。これだけのキャストを埋没させ、シーン同士の相関関係などほぼ無視してでも、とにかく撮りたい絵で撮りたいシーンを撮るという執念の徹底ぶりは、逆に凄い。 [DVD(邦画)] 5点(2014-08-21 03:05:23) |
694. 竜馬を斬った男
《ネタバレ》 せっかく佐々木唯三郎という人物を題材に選んだのであれば、幕末の時代における彼の立ち位置を明らかにした上で、坂本竜馬が何をしようとしていたのかを明確にし、その中で佐々木がなぜ竜馬を斬ろうと考えたのかということを提示しなければならないはずだが、見事にそれらが全部すっ飛ばされている。輪をかけて、各シーンの切り方やつなぎ方が、悲しくなってくるくらい、ぶっきらぼうで雑。情報だけ台詞で一言言わせて、すぐ次に行く、だなんて、ほぼ素人作業レベルの脚本です。 [映画館(邦画)] 3点(2014-08-17 21:55:32) |
695. ゴジラ×メカゴジラ
釈由美子が隊員としての現場経験があるようにはまったく見えない。宅麻伸が有能そうにはまったく見えない。隊員の皆さんも、閣僚の皆さんも、緊張感がありそうな人が1人として存在しない。そりゃ、こんな人たちに国防を任せていたら、何でもないことでも大ピンチになるでしょう、としか言いようがありません。制作者はやる気があったのか? [CS・衛星(邦画)] 1点(2014-08-16 02:16:57) |
696. 鬼龍院花子の生涯
《ネタバレ》 俳優陣の巧演、美術関係の職人芸、明暗を駆使する映像の美しさといった点はいうまでもなく。後からじわじわ湧き上がってくる味わいは、なぜタイトルがこれなのかということ。花子の登場自体はほとんどないにもかかわらず、あくまでもこれは「花子の生涯」なのである。隆盛を極めた鬼龍院にたった一つ欠けていたもの、それは鬼政を継承すべき実子だった。花子の誕生は、誰も否定できない、全員から崇め奉られるものとして迎えられる。しかし、その画竜点睛が埋まった瞬間から、鬼龍院は着実に傾いていく。その象徴であり、もしかしたら裏からの原動力でさえあったかもしれないのが、花子の存在なのだ。だから、鬼政や松恵がいくら主役であっても、すべての登場人物は、花子の存在を前提とし、またそこに帰着するものとして位置づけられている。そんなあっと驚く構成を一言で象徴し、また拉致以降は一切描かれない花子のその後を存分に想像させるものとして、あまりにも見事な、これ以上はないタイトル。 [映画館(邦画)] 8点(2014-08-15 22:57:18)(良:1票) |
697. ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
いくら怪獣が頑張っても、人々が怖がっているようにも驚いているようにも全然見えず、怪獣に真剣に立ち向かっているようにも見えないため、意味がない。役者陣の演技も、主演の彼女を筆頭に、まったくダメレベル。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2014-08-13 03:14:51) |
698. 天国からのエール
《ネタバレ》 すべての描写と台詞が説明的で事務的だとか、そもそも主人公が弁当屋をどのようにやっていたのかの描写がないので、後半の展開にも意味がないだとか、問題はいろいろあるのだが、一番致命的なのは、当の高校生たち自身が、音楽や演奏が好きなようにはまったく見えないということ。そして、クライマックスで、ステージを進行できないのを観客に助けられて場を取り戻しているという甘さ。それを物語の着地点としてしまっているという鈍感さ。音楽をなめるな。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2014-08-10 01:49:04) |
699. 日本の熱い日々 謀殺・下山事件
《ネタバレ》 例えば序盤の新聞社内のシーンで、ただ「暑い」という一事を表現するために、小道具やエキストラやメイクを積み重ねる丁寧さ。ああ、手間暇かけてるなあ、と嬉しくなる。実際の映像や写真や記事も随所で挿入されているが、見せ方やつなぎ方が自然なので、違和感が生じない。そうした積み上げの上に、主人公はひたすら地道に、ただ調査と裏付けを繰り返していく。ここぞというところで捜査本部がいきなり消滅するとか、もっともらしく登場する伊藤孝雄についても結局何も起こらないなど、現実の厳しさもきちんと踏まえているのが、作品の重みを増している。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-09 02:45:38) |
700. ゴジラVSデストロイア
《ネタバレ》 都市襲撃のシーンで、下の方では車や列車が当たり前に動いている。この辺の志の低さだけで、どんなスタンスで作られたかが分かります。そもそも、どういう危機が起こっていて、それに対し、どういう人たちが、どういう対策を取ろうとしているのかという基本設計がまったくなくて、ただ怪獣が暴れていてただみんなが慌てているだけなんだから、制作者は何がしたかったのかさっぱり分からない。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2014-08-04 02:19:30) |