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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1249
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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781.  白夜行 《ネタバレ》 
まず主人公の出身地に関して、劇中に出た首都圏の某県某市にそういう感じの場所が存在するとは思われない(あったら謝ります)。本物の地名を出してしまってはちょっと洒落にならないのかも知れないが、2人の境遇が現実にありうるものとして納得するには日本国中どこでもいいとはいえない。 また主に前半で登場人物が変にマンガ的なのは苛立たしい。男子高校生の引き起こす騒ぎはバカバカしく、また川島江利子の顔をわざとらしく汚したりするのでは真面目に見るのがつらくなる。これが映画的表現というものだろうか。 それに加えて被害者になる人物がことごとく不快で、あえて観客の同情を妨げているようなのはどういう意味か。川島江利子や篠塚一成もそうだが、特に栗原典子(原作の西口奈美江に相当)の独白は吐き気を催す。もしかするとこれには主人公2人の心境を観客に体験させる意図があって、“こういうバカは破滅して当然”という感覚を共有しろというなら確かにそのような効果はある。しかし原作では特別扱いだったと思われる篠塚美佳が映画ではただの被害者のように見えたこともあり(この人だけはかわいそう)、結果として主人公2人の非情さばかりが強調されたように感じられる。 ほかストーリーとしては、終盤で元刑事と亮司が唐突に泣かせる場面を演じる一方で、雪穂の方はますます調子づいていく方向性が示されていたようである。これから一人で真っ暗な中をご苦労様ということだろうが、どうせこの女なら何とでもするだろう、という突き放したような感情を催すので、どこに悲哀を感じればいいのかわからない。あるいは悲哀など感じなくてもいいのか。 なお個々の場面を盛り上げる背景音楽は、観客がここでどういう感情を持つべきか丁寧にリードしてくれているのだろうが、少なくとも個人的には全く共感できずやかましいばかりである。特に終盤は「砂の器」並みの感動の押し売りが気に障る。   違和感を覚える点としては以上である。原作と違うのが悪いともいえないが、だからといって映画ならではの効果を挙げているとも感じられないのは困る。ただし全体としては長大な原作をうまくまとめたようでもあり、また映画を見た後に原作を読んでも、雪穂は堀北真希が演じたイメージで全く問題ないと思えたので、キャスティングとしてはよかったかも知れない。
[DVD(邦画)] 4点(2014-01-13 18:27:54)
782.  死亡時刻<OV> 《ネタバレ》 
題名は「死亡時刻」だが、DVDの中身は「死角関係」との2本立てになっている。監督の公式サイトでは「密室シリーズ」と称しており、前者は2006年、後者は2005年の制作で、外部情報によると前者は2009年に渋谷・ユーロスペースのミディアムショートフィルムフェスティバル「真夏の夜の万華鏡」で公開されたとのことである。  それでまず「死亡時刻」に関しては、主演の粟田麗さんがとにかく可愛らしい。彼女のファンが全国にどの程度いるかわからないが、見て損はないと一応お知らせしておきたい(こんな所に書いても誰にも届かないだろうが)。内容の方は殺人をテーマにしたサスペンスのように想像するが、実際見てみるとそれだけでもない。短時間に各種要素を詰め込んで退屈せず、ラストもきれいに収拾されて一応しんみりさせる構成になっている。 また「死角関係」は女3人男1人の四角関係で、これもサスペンスフルな展開で先が読めないが、最後はちゃんと丸く収まりラストは爽快である。小粒でキュートだが心の広い主人公を主演女優(つぐみ)が好演していた。 両方とも小気味よさを優先した短編で深みはないが後味は悪くなく、また女優が好印象だったので少しいい点にしておく。  なおこの監督はもともと脚本家として関わった映画が多かったようで、監督としての代表作は上記2009年時点で「ホッタラケの島 遥と魔法の鏡」(2009)だと紹介されていたのは笑ってしまったが、それはそれで自分としても嫌いでないので結構である。
[DVD(邦画)] 6点(2014-01-13 18:27:49)
783.  君のままで 《ネタバレ》 
一応説明しておくと、主題歌を歌う”DEEN”のライブツアーに合わせて制作されたショートムービーとのことで、メンバーも出演しているようである(顔を知らないが)。また長野県上田市(別所温泉)のご当地映画的な性格もあるようだが、そういったことに関心のない人間にとっては、要は坂井真紀の主演映画として捉えておくのが妥当と思われる。  内容としては、ヒロインが東京で不倫相手に捨てられて帰郷し、昔の彼とよりを戻したいと手前勝手に妄想していたが、その婚約者に東京へ帰れと言われてしまい、どうすればいいかわからなくなって酔っぱらってしまった、という痛い感じのストーリーである。しかしラストは少し意外性があり、人によっては(主に同年輩の女性)著しく都合のいい話とわかっていてもなお泣ける、ということも考えられるので、そういう意味では価値のない映画ともいえない。季節感としては夏が終わって最後の花火といった感じで、短い時間にコンパクトにまとめた見やすいお話になっている。  なお全くどうでもいいことだが、劇中では市役所が著名なイラストレーターに依頼して地元の風景をバックにした少女の絵を描いてもらい、これを市のPR用ポスターにするという話をしていたが、今なら「サマーウォーズ」(2009)のポスターでも間に合うだろうと思われる。
[DVD(邦画)] 4点(2014-01-13 18:27:44)
784.  nude 《ネタバレ》 
実在の人物とは関係なしに書く(といっても本人が出ているので困るが)。 まず事務所のマネージャー?は、人を扱う立場として非常に理性的に見える。本人の意向や思いを利用または誘導しながら営業が成り立つ方向へ持って行こうとするのは当然のことであり、これはAVでない俳優やタレントやアイドルなども含めて事情は同じだろう。リタイア可能であることも折に触れて示されているが、これに応じないのは本人側の原因も根深いはずである。現に主人公は自分を見せることにこだわりはあっても具体的な将来像は持っていなかったようで、これでも当初志望の範囲内だったのだろう。一方で、劇中に出ていた女性としての素直な心情を基準にすれば、AVと枕営業(実態は知らない)の差は表に出るか出ないかだけのことになり、その意味でもAVとそれ以外との間がそれほど隔絶したものとは思えない。   またある程度歳を取ると、たまたまなってしまったことを受け入れる、というのも職業生活(及び人生)の本質に関わることだろうという気がして来る。昔の貧しかった頃の人々であれば初めから職業に理想など持っておらず、その時点で食っていけると思った仕事を迷わず選び、結果的にそれを天職と思うようになる場合も多かったのではないか。劇中の出来事に即していえば、有名になるにはAVを経由する必要があるというのはこの事務所固有の事情だろうが、しかしAVを経由したからこそ今の自分がある、という思いも本人にはあるだろう。その上で、この主人公がいわば開き直ってこれからの人生を肯定していこうとするのなら、あとは他人がどうこう言うことでもなく、自分の思うように進めというしかない。   ところで主演女優は個人的趣味の範囲外なので、何の思い入れもなく冷やかに見られる。代わりに友人が可愛いのは好印象だが(少しやかましい)、劇中ではこの人がいくら親友だったとはいえ、何でここまで主人公の行く末にこだわって怒ったり泣いたりしているのかがわからなかった。しかし終盤で、主人公が真っ暗な海の前に取り残された場面では少し鳥肌が立った(ホラーかと思った)。故郷との絶縁によって失ったものの大きさを、この映画では元親友が一人で体現していたということかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2014-01-09 21:24:11)
785.  高速ばぁば 《ネタバレ》 
「先生を流産させる会」の内藤瑛亮監督の映画ということで注目される(が、個人的には女優の未来穂香を見ようとしただけである)。 まず登場するアイドルグループはコンセプトが極めて適当で、持ち歌を聞いても脱力感を免れず(これのフルバージョンをぜひ見たい)、こんなののファンもバカばっかりだろうと思わせるものがある。メンバーそのものは劇中に出た通り少し性悪な普通の女子なわけだが、アイドルグループとしてのおバカな印象とのギャップがほのかに可笑しい。 またストーリーとしては、最初の事件が起こってこれは大騒ぎになるだろうと思うと場面が飛んで、また何事もなかったように芸能活動が続いているのがとぼけた感じだが、その後も事態が進展して登場人物が次々に破滅していき、これはさすがにただでは済まないだろうと思うような大事件が起きても、なお無反省に脱力系アイドルの営業を続けているのが非常に変である。画面上では公園のステージや事務所の外観が出るたびに、まだやるつもりなのかと呆れてしまう。まったく懲りない連中だと思うが、結果としては微妙にシュールでブラックな世界が表現されていたようで、これは意外に面白い(変な)ものを見せられた気がする。最後のソロデビューの曲は「夢見る少女日記」とのことで、これも聴きたかったが果たせずに終わったのは無念だった。   ところで出演者としては、アヤネ役の女優(未来穂香)はある程度キャリアもあり、この人が主役と思っていたら実際はそれほど出番がなく、かえって他の2人に焦点が当たる場面が多くバランスがいいと感じられる。特にナナミ役(北山詩織)はモデル出身らしく細身で美形だが、劇中人物としてもわりと良心的で実質的な主役のように思われる。一方で最も可愛くなくてアヤネに嫉妬していたという設定のマユコ役(後藤郁)も、現実にはアイドルグループ「アイドリング!!!」のメンバーとしてファンに愛されているらしい(よく知らないが)ので決して侮ってはならない。 [2014-05-13追記] 先日、マユコ役の後藤郁が6/7を最後に「アイドリング!!!」を卒業するとの発表があった。映画の価値には関係ないことだが、かおるんの新しい旅立ちを祝して+1としておく。
[DVD(邦画)] 6点(2014-01-09 21:24:08)
786.  ことりばこ<OV> 《ネタバレ》 
ネット発祥の著名な怪談を題材にした映画ということになっている。 冒頭に文章で延々と説明が入るので、元の話を下敷きにしているのはわかるが中身は別物になっている。元の話がかなりまともにできている(素人の創作とすれば秀逸)ので、その通りに映像化したものを見てみたいとは思うが、そのようにできない事情があるのかも知れない。 ホラー映画としてはどこかから既成のイメージを借りて来ただけのところもあるが、しかし見せ方や演技でけっこう雰囲気と迫力を出している。出演者も若年者らしく自然にふるまうべきところは自然に見せる一方、演技すべきところはそれなりに演技しているように見えており、主要キャストについての印象は悪くない。   物語に関して真面目に考えると、機能不全のおかげで(いわば代償として)生き延びたはずの主人公が、結局は逃れられずに終わったことで、やはり本当に怖いのは呪いよりも生きた人間だということが言いたかったのかと思われる。しかしそれが見る者の心情に訴えかけるかというとそうでもなく、やはりまず村人の演出に問題があって真面目に見る気がしなくなるのと、片思いの先輩がそれほど魅力的な人物でもないので、主人公の純な心情が素直に受け取れないというのが残念なところである。またその機能不全ということ自体も理屈先行という感じで、特にこの主人公をめぐるドラマがもう少しうまくできていればという気がした。 結果として、それなりに作ろうとしているようには見えたが惜しい映画だった。
[DVD(邦画)] 3点(2014-01-09 21:24:04)
787.  クネクネ<OV> 《ネタバレ》 
脚本・演出・編集といったことのうち何がどのように問題なのか的確な指摘はできないが、とにかく全般的に低調に見えている。素人がこういうのも何だが、素人が映画を作るとこんな感じになるかといったところである。 ストーリーも作り物感が強く、ラストの締め方も理屈はわかるが戦慄を覚えるようなものではない。また残念なのは元の話のうちどの要素を生かそうとしたのかがわからず、題名以外は全く違う話に見えることである。特に対象物を見てはならないというのは“正体を知ってしまえば正気ではいられない”という意味だったろうから、変に実体化して小理屈まで付けてしまっては底が浅いのが丸見えになった印象がある。 加えて主演女優がきれいに見えないのも味気なく感じられる原因だろう。すらりとして長身(172cm)なのがこの人の特徴だろうと思うが、このビデオではただ単にすらりとして長身、としか見えておらず、役柄のせいもあって義姉役(所里沙子)の方がまだしも普通に好印象である。どういう意図なり事情があってのキャスティングだったかわからないが、この主演女優を魅力的に見せることも一つの使命ではなかったのか。これでは「アイドルもの」として位置づけるにも躊躇する。 そういうことでほめる点がほとんどなく、そもそもどれだけ本気で作っていたかもわからないのだが、少なくとも外見的には特にふざけたところもなく、基本的には真っすぐに作ってあると見えたので、自分としては極力好意的に評価しておく。
[DVD(邦画)] 2点(2014-01-09 21:23:59)
788.  大巨獣ガッパ 《ネタバレ》 
当時の特撮怪獣映画としてはそれなりというしかない。特に前半の南洋の場面はかったるいので、以前見た時には洞窟探検の前あたりで寝てしまったこともある。それでも改めて全編を見れば、中盤で米潜水艦の近くの海面から親ガッパが飛び立つ場面はなかなか迫力があるとは思える。熱海に上陸した場面では、建物が倒壊して出た塵埃のために、せっかくのタコがほこりまみれになるのではないかと少し心配だった。  ところで、この映画の何年か前に公開されたイギリスの「怪獣ゴルゴ」が親一人子一人の親子怪獣だったのに対し、それを受けた?この映画ではさらに設定を強化して両親+子一人の家族怪獣にしてあり、そのためにドラマ部分でも“家族”をテーマにしなければならないよう運命づけられたともいえる。劇中ではヒロインと社長の娘が子ガッパの心情に共感し、周囲を動かして親子を故郷へ返していたが、またこの2人がそれぞれ核になって人間世界にも2つの家族(踊りの先生を含む)を誕生させたのだろうと想像される。現代ではキャリア志向の女性を家庭に押し戻そうとするかのようなお話を作るなど考えられないが、一方では立身出世を第一義とする男の論理にも再考を促しているようであり、この時代に理想として提案された家族のあり方を改めて現代に示すこともまた有意義ではないかと思われた(誰も見なければ無意味だが)。  一方、この映画で最も感動的なのは何といってもヒロイン役の山本陽子さんであり、撮影時点で24歳くらいかと思うが(設定は22歳)、とにかく可愛いらしいので心なごむものがある。全体としてはすらりとした体型でも、あごの下の肉が少し余って見えるのが何ともいえず愛らしい。ラストでは、相手役の男がヒロインを追いかけて二人が寄り添うなどという場面もあってまことに微笑ましく、ちゃんとした万人向けの娯楽映画になっているのが何より嬉しい。この点はネタ元になったイギリス映画と一線を画すところであり、わが国怪獣映画の美点がこの単発映画にも確実に受け継がれていると感じられた。
[DVD(邦画)] 6点(2014-01-06 23:46:28)(良:2票)
789.  宇宙大怪獣ギララ 《ネタバレ》 
上映当時は見ておらず、衛星放送が始まった直後くらいが初見だったが、昔の怪獣映画など期待して見ても落胆させられる場合があることを初めて思い知らされた映画だった。 まず一応褒められる点としては、ミニチュアセットの中で小さい車両を動かすのにこだわっていたことである。また怪獣のデザインも未来的で、外見だけ見れば「宇宙大怪獣」にふさわしい。しかしこの怪獣が変にオーバーアクションで、鳴き声もBGMも単調でやかましいのは評価を落とす。ストーリーに関しても、特に人類の火星到達を阻止しようとした勢力が何だったのかわからないまま終わってしまい、せめて登場人物の台詞で“宇宙にはまだわからないことが多い…”くらい言わせないと最後が締まらないだろう。   一方で登場人物としては、主役のオヤジじみた男、香港映画にでも出そうな通信士、可愛くない外人女性、わがままいっぱいの外人医師など全てが魅力に欠けている。特に主役は和洋で両手に花状態になるのが極めて不自然に思われる容貌だが、まああまりこの人の悪口を書いてしまうと「ミラーマン」<TV>(1971~1972)の村上チーフに対して失礼ということになるので自粛する。 劇中でかろうじて好意的になれるのは日本人ヒロインであり、見た目はわりと地味だが外人女性に比べていかにも若々しく(撮影当時は17歳程度?)、またすらりと背の高い人のようで外人女性に負けておらず、日本人の男連中が低身長に見える。この原田糸子さんという人は女優としての活動期間が短かったようだが、この映画のほかには「レモンのような女」<TV>(1967)の第6-1話(佐々木守脚本、実相寺昭雄監督)で主演しており、昭和特撮ファンにとっては少し重要人物かも知れない。
[DVD(邦画)] 4点(2014-01-06 23:46:23)(笑:1票) (良:1票)
790.  怪竜大決戦 《ネタバレ》 
忍者物の時代劇という位置付けなのかも知れないが、自分としては幼少時に見た怪獣図鑑に載っていたので特撮怪獣映画の扱いとなる。着ぐるみについてはそれなりだが城のミニチュアにはなかなか力が入っており、建築物の倒壊時にはそれ自体が重量をもった木造建築が倒れる感じがうまく出ていた。また個別の場面としては、何といっても塀の上からカエルが黙って覗いていたのがいい出来である。 それから映画の前半で、関門の通過に当たって主人公の正体を隠すため、同行者が難癖つけて打擲してみせる場面はまことに古典的な趣向で時代劇らしいが、この話はすでに「義経記」に載っているので、下手をするとここの門番にもネタがばれてしまう恐れがあったわけである。  ところで唖然としたのはラストの締め方である。自雷也というキャラクターが一国の主として納まるはずがないのはその通りだろうが、それにしても統治の責任を放棄して愛人とともに去るというのは何といういい加減な筋書きであろうか。主人公を助けて死んだ親爺は、彼が近江国を正しく治めることに賭けたのではなかったのか。支配者がいなくなれば民衆はみな幸せ、という発想はあまりに安直で腰が抜けるような思いだった。 一方で登場人物としてはヒロイン役が非常に愛らしい(当時17歳くらい?)のだが、この女優のその後のイメージからすると素直に賞賛するのも憚られる。代わりに村娘を応援するかと思ったら早々に悪人に拉致されてしまい、早く助けないと手籠めにされてしまうのではと心配だったが結局ずっと放ったらかしのままだった。終盤で再登場はするものの、最後はまた放ったらかしになったのも変である。一時はダブルヒロインの重要人物にも見えていたにもかかわらず、この人はストーリー的にどういう位置付けだったのか結局よくわからない。 いずれにせよ最後に釈然としない印象を残す映画だったが、全体としてはまあ付き合い切れないというほどのものではないので、それなりの点数にはしておかなければならないという気はする。
[DVD(邦画)] 4点(2014-01-06 23:46:19)
791.  江ノ島プリズム 《ネタバレ》 
主要人物の3人はそれぞれいい雰囲気を出している。前半はずっとコミカルな展開が続き、とぼけた感じの主人公に友人2人が突っ込むのがユーモラスで、ギャグのセンスもいいので気持ちよく笑える。それから何といっても地縛霊の今日子ちゃんが清楚で可憐で真面目で超かわいいのが感動的で、他の3人には申し訳ないがこの映画のベストキャラに思われる。花火の場面でこの人が喜んでいたのは観客としても嬉しかった。ほかオカルト研顧問の教員(吉田羊)も、端正な顔立ちながらけっこう笑わせる。 また物語の内容としては、劇中では「デロリアン」という言葉も出ていたが、時かけファンの自分としては「時をかける少女」との類似性が強く感じられる。女1人男2人の組み合わせは基本的な共通点だが、特に無邪気な三角関係がやがて崩れる展開は2006年アニメ版を思わせるものがある。一方で劇中の「タイム・プリズナー」という言葉は、1983年版風にいえば「時の囚われ人」とかいう表現になっただろうが、あるいは同作に出る「時の亡者」そのままの意味かも知れない。   ところでこの映画で非常に残念だったのは、修太の行動が引き起こした現象が納得できなかったことである。これは1983年版の最後にある“記憶のない再会”を再現するための設定だろうが、旧作では理解可能な理由で人為的に記憶を消去していたのに対し、この映画では自然の摂理で起こることにしたのは若干の無理が感じられ、またその自然現象が駅の場面でタイミングよく、かつ時間差をつけて起こっていたのは都合良すぎである。 それからその“記憶のない再会”の場面も実はよくわからない。ここで修太が拾ったプリズムの三面は幼なじみの3人の本来の姿を象徴していたわけで、そのことを他の2人も修太自身も知らないというのが哀しいのだと思われる。それならそれでいいのだが、青春映画に求められるのはやはり恋愛感情に基づく切なさだろうし、少なくとも個人的には泣けない場面になっていたのが大変遺憾である。これは女子の立場でミチルに感情移入すると泣けるのだろうか。 ただそれとは別に、せっかく心の通じた今日子ちゃんが修太に忘れられてしまったことの方は確かに切なく感じられ、男子にとってはこっちが本筋かとも思われる。とにかく自分としてはこの今日子ちゃんがかわいそうで仕方ないのだった。
[DVD(邦画)] 7点(2013-12-22 17:45:44)(良:2票)
792.  風切羽~かざきりば~ 《ネタバレ》 
公式サイトに経過が書かれているが、もともと後半のロードムービー部分を先に制作し、後に前半部分を追加して長編にしたとのことである。撮影自体は2012年だが、序盤で出ていた震災関連のニュースは2011年のものであり(4/17日曜日、気仙沼の朝市)、自分としては現実世界のこの時期に、春の明るい陽射しと裏腹に感じていた内心の不安を呼び覚まされる気がしたが、これは意図されたものかどうかわからない。  映画のテーマは“親に愛されない子ども”ということらしいが、劇中の出来事自体は個人的知見から想像しうる範囲に収まっていて特に目新しいものはないように見える。しかし改めてこのように見せられるとやはり心穏やかではなく、劇中の少女が弛緩したような荒んだ感じを全身で出しているのも痛々しい(4月中旬にこの格好では寒いだろう)。まるで世の中にまともな大人がいないように見えるのは同じ大人としてつらいものがあるが、逆に少女の境遇が周囲をこういう連中ばかりにしていると解すべきか。 今回の件で、この少女としても何かふっ切れたものがあったようではあるが、しかし少年と違って閉じられた円環からは抜け出せず、元の場所に回帰しただけのようにも見えている。劇中で生じた現世的トラブルは残されたままであり、携帯を使う営業からも簡単に抜け出せるのか怪しい気がするが、まあ根本的な解決は劇中人物というよりも、現実世界での対策如何によるというのが映画の趣旨だろう。  ところで主演女優に関しては、舞台挨拶で「あたし走るのが本当に下手で…」と言っていたが本当に下手である。自分としてはこの人をよく知っているわけではないが、よく知っている人が持つイメージとはかけ離れた役をやっているのは間違いない。前髪を下ろしたことでも雰囲気がかなり違っているが、特にこの人の顔で特徴的な目が、いつもと同じはずだが全く違う目のように見えており、冒頭では視点の定まらないうつろな表情がいきなり印象的だった。公式サイトを見れば、オーディション時にこの人がとりわけ努力家だったことも記されている。 そういったことから私情にはなるが、評点はこの人のために若干加点しておく。
[DVD(邦画)] 7点(2013-12-22 17:45:39)(良:1票)
793.  人生、いろどり 《ネタバレ》 
マーケティングの観念もなくいきなり市場に持ち込むなどということをしていた時代から、農家の老婦人が端末を操作する現代までの数十年間を2時間に収めた形になっており、駆け足に見えるのは仕方ない。よく知られた「葉っぱビジネス」の話であるから新規事業の立ち上げに関わることも一応入っているが、それより現代農山村や高齢化をめぐる問題点を手際よくまとめた映画という感がある。  まず基幹農作物の低迷により、これまで家計を背負ってきた男衆が勢いを失う一方で、農村女性が力を発揮できる機会が増えたことが明瞭に示されている。特に劇中で印象的だったのは、主人公が働く理由は自分の人生を具体的に豊かにし、またその成果を愛する者と共有することだが、それが夫には理解できていないことだった。 また高齢者の生き方に関することが大きなテーマになっており、主人公の友人が途中で死去したのも悲しいというよりは、最後まで夢をもって前を向いて生きたのが幸せだったと取るべきなのだろう。最近は定年帰農という言葉もあり、自分などは農家出身の人々は死ぬまでやることがあって羨ましいと思っていたわけだが、むしろ農家かどうかを問わず人間は死ぬまで働き楽しむ機会が与えられていると解すれば、これは高齢化社会全般に通じるメッセージともなる。逆にその点で、農山村の生活にこそ人間本来の生き方があるといえるのかも知れない。 ところで劇中では仲卸のお嬢様がとにかく不快で、こんなのが嫁入りする話にするくらいなら、主人公のところの働き者の嫁さんに早く子どもを作らせろと思っていたのだが、最後はちゃんと腹が大きくなっていたようで喜ばしい。ただ主人公が樹を植える話に関しては、申し訳ないが一般論としては悲観的にならざるを得ない。次世代の者の進路を縛るわけにもいかず、また劇中の新ビジネスのようなものがよほどの所得を生まない限り、食っていけない場所に人は住まないということだが、まあそれを何とかするためにもこの映画が作られているわけである。   なおこの映画を見ていると、出演女優が何歳になっても年齢相応の役を務めているのに感服する。特に佐々木すみ江氏は相当の年齢だろうが、それでもできうる限り役者人生を続けていこうとされている姿は、この映画のテーマに照らしても鑑になるものと感じられる。
[映画館(邦画)] 6点(2013-12-22 17:45:36)
794.  トラベラーズ 次元警察 《ネタバレ》 
劇中の「次元警察本部」の所在地は台北だったようで、4つのパラレルワールドにわたってストーリーが展開されるため設定の上ではスケールが大きいが、実際はどこに行っても台北にしか到着しなかったようなのはこの本部の管轄が台湾限定だったからか。その割に主な登場人物がことごとく日本人なのは変な世界だが、日台合作なのでまあいいことにしておく。出演者も多くはないが、4つのパラレルワールドそれぞれに対応する人物が存在する設定のため1人を最大4人まで増やすことができ、けっこう複雑な人間関係になっている。これは少し面白いかもしれない。  ところで長澤奈央・木下あゆ美の2人は以前の戦隊シリーズの人気ヒロインだが、3人目のゴスロリキャラも仮面ライダーのヒロインだったのは知らなかった。その他男連中も過去の東映特撮の出演者を充てており、またスーツアクターが顔出しで出ているのはマニア向けの趣向かも知れない。 上記2人がWヒロインで出ているからには、すらりとした脚で激しいアクションを展開するようなものが期待されているのだろうが、そのような期待にはそれなりに応えていると思われる(一部は代役らしいが)。また長澤奈央に関しては特に胸が強調されており、唐突なシャワーなどグラビア風の場面もあったりするが、ストーリー上でも2人が同列ではなくこの人の方がメインになっているのは少し意外だった。2人は基本的には相棒のはずなので軽妙なやり取りなどがもっとあると面白かったろうが(少しあるが)、ストーリーの都合上、そういう場面があまり作られていないのは残念だ。  当然ながら大感動作というほどのものではないが、事前予想をそれほど裏切らない内容にはなっており、東映特撮ファンであれば愛情をもって見られる映画になっているのではないかと思われる。ただし鼻血は汚いのでやめてもらいたかった。
[DVD(邦画)] 6点(2013-12-10 18:54:27)
795.  特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション 《ネタバレ》 
木下あゆ美という人が一番若かった頃にどんなことをしていたか見るのが鑑賞目的だったが、実際はあまり目立っていないので少し落胆した。この人(イエロー)が冒頭で言っていた「なんたるチア、サンタルチア」というのは、うちの元上司(団塊世代)の口癖だったため脱力感を覚えたが、これはそもそもこういうキャラクターだったらしい。 一方、ピンクの人はひときわ小柄で宇宙警察にしては可愛すぎだが、中盤でこの人のお風呂シーンがあったのは少し驚いた。これも外部情報によれば入浴が趣味とのことで、それならグリーンとかイエローと同じようにナレーションで説明してくれればよかっただろう。TVではこれが定例行事になっていたのだろうが、この劇場版ではゲスト出演の人も一緒に入っていたのがスペシャル感を出していたのだろうと想像する。 このゲスト出演の人はお姉さんキャラで、落ち着いた役柄をけっこうシリアスに演じているためレギュラーのおちゃらけた連中との対比が変に際立つ。この人が悪人の前に横たわり「何でも言うこと聞くから」などと言うので、そんなことを言うと凌辱されてしまうのではと心配になったが、戦隊モノなのでそういう展開ではないのだった。それにしても、もう少し格好いい衣装を着せてあげればいいだろうにと思う。 また一瞬だが「忍風戦隊ハリケンジャー」に出ていた敵の女幹部2人がさりげなく友情出演していたのは、その劇場版を見たばかりだったため微妙に嬉しかったりする。個人的好みとしては小柄な方(山本梓)が可愛いと思うが、以前は「宇宙コギャル」と呼ばれていたのに今作では宇宙女子大生に成長していたようなのは喜ばしい。 なおこの映画を見た裏の動機は「白鳥スワン」(同義反復)役の人が出ていたことで、見るとさすがに容色はわずかに?衰え、演技の面でも少々心もとない感じだが、自分の世代からすればこの人の顔を見るだけでも幸せである。  以上が女優に関するコメントである。  そのほか全体としては、戦隊と宇宙刑事の融合というのが目新しく、刑事ドラマ風に“夜の大都会”の風景がさりげなく入れてあるのが笑える。序盤で、エレガントな感じのお姉さんに「いい人ね、あなた」と言われてしまうバカがレッドだというのは心外だったが、ほかに頼りになるイヌ顔のボスがいるので安心なのだろう。この人が変身した姿はさすが宇宙刑事という感じで格好いいのだった。
[DVD(邦画)] 5点(2013-12-10 18:54:20)
796.  劇場版 忍風戦隊ハリケンジャー シュシュッとTHE MOVIE 《ネタバレ》 
長澤奈央という人が一番若かった頃にどんなことをしていたか見るのが鑑賞目的だったが、この映画では変身後の場面が多いため女優の顔があまり見られない。そういう目的で見るのは間違っていたらしく、本編よりもDVD特典でしゃべるのを見ている方がまだましである。その一方で、外人名前ながら日本人好みの可愛らしい丸顔のお姫さまが出ていたのはよかったかも知れない。この人が拉致されたときはケダモノどもに凌辱されてしまうのではと心配になったが、戦隊モノなのでそういう展開ではないのだった。最後の「見送り大儀!」という台詞はかわいすぎて笑ってしまう。 そのほかの登場人物としては、西田健氏が顔出しで出ているのは劇場版での特別の趣向だったらしく、昔の面影を残しているのが懐かしい。またこの人の娘役で、なぜか関西方面の人も出ていたが、この人も本当に可笑しい役者だと思う。   それで本編は何といっても29:56の長さしかないのが拍子抜けで、TV放送の一本分とほとんど違わず、これで劇場版というのもどうかと思う。併映の仮面ライダーは78分とのことで、その半分以下というのが情けないが、それでも劇中では一応のドラマらしきものを入れようとしているのが笑える。これを見た年少の観客は“逆タマ”の概念を勉強できただろう。ラストは敵味方総出演で歌うテーマ曲が微笑ましく、見た後は少し幸せな気分になれるのだった。
[DVD(邦画)] 4点(2013-12-10 18:54:17)
797.  うた魂♪ 《ネタバレ》 
主演女優は普通の美少女かと思っていたが、この映画では変顔を惜しみなく見せており(これを見るのが鑑賞動機)、それでいてちゃんと美少女としての印象も出している。何よりこの女優の表情が見どころの映画である。 また序盤のコメディ部分がかなり笑える。主人公の我田引水的な妄想が実体化して飛んでいくのも可笑しいが、フェロモンに誘引されて鱗翅目の昆虫(大型!)が飛来したのは爆笑した。  ところで個人的に合唱にはいい思い出がない。熱心な音楽教員が児童に歌わせたい理想の歌を、学年全員に歌わせたことで一体その何割が合唱嫌いになったことかと思う。合唱部なり合唱団に属していれば、どんな曲でもいわば“業務”としてやらなければならないだろうが、それでも個人の嗜好に関わらず「自然な笑顔」を強いられるのでは多少なりとも自己洗脳が必要になり、「将軍様を讃えてる」と揶揄されるのも無理はない。 しかし逆に人間であるからには感情が顔に出てしまうのは仕方ないわけで、劇中でも「私の青空」を即興的に歌ったときの楽しそうな表情は見ている側も嬉しくなる。一連の事件の経過を受けて主人公の心境にも変化が生じていたらしく、アンコールの段階になればもう、写真愛好家の馬鹿に見せつけてやるに十分な最上の笑顔を見せていた。ソロ部分の歌い出しは主人公のドラマに即して聞くと心に染みるものがある。 ここで指揮者が反対向きになっていたのは実際あることなので珍しくはないだろうが、アンコールとはいえ“業務”だったはずの合唱が、最後は全員が心から共感できる歌に変わっていたのは本当に感動的だった。独りで歌えばいいと思っていた主人公がこういう場面に居合わせることができたのも、やはり初めから「みんなと歌う」ことを志向していればこそのことだろう。自分としては今でも合唱など男のすることではないと思っているので他人事ではあるが、この映画を見ていると、改めてそういう人々がうらやましいと思わなくもない。 そのように一般人にも歌う喜びを感じさせる一方、合唱側の人々にも一定の注文を付けたように見えるところがあり、合唱人と一般人の間の越えられない深い溝に何とか橋をかけようとした映画のように感じられた。コメディ部分はともかくとして、合唱というものを真正面から真摯に扱った映画として評価したい。
[DVD(邦画)] 9点(2013-11-25 18:58:41)(良:1票)
798.  たそがれ清兵衛 《ネタバレ》 
まず劇中では同じ藩内の上流部だけで餓死者が出ていたようだが、これは飢饉にあっても当局は手をこまねいていたという意味のようで、民衆が苦難にあえいでも権力者は知らぬ顔、という前世紀の歴史観そのままらしいのは鼻白む。悲惨な状況でも殿様は人のよさそうな顔をして徳を語るのを皮肉に思えということなのか。一般大衆向けの映画だから権力は悪で庶民が善というステレオタイプはそのままで、ただ貧乏な下級武士を権力側でなく庶民扱いにしたというのがこの映画の新しいところらしい。世の中それほど簡単ではないだろうと思うが。   また主人公に関しては、まずは風呂くらいまともに入れと思う。不潔なのは貧しいからではなく無精なだけだろう。映画では終業直後に帰宅する理由も含め、何から何まで小理屈つけて貧乏のせいにしていたようで見苦しいが、前妻が言っていたように出世して家族の生活が楽になるならそうすればいいはずで、能力があるのにそうしないのは無気力な人間だからとしか思われず、立身出世に関心がないというのも言い訳にしか感じられない。 また主人公が再婚話を断る理由にも説得力がないのだが、それは前妻が悪妻だったのに懲りた、とはっきり言わないせいだろう。このために映画では、主人公がわざわざ不利な道を選ぶ愚かな人物と印象づけられてしまい、それならいつまでもこのまま浮かばれないだろうと突き放したくなる。そんな人間が唐突に告白などするものだから単なる馬鹿かと思うわけだが、それでいて最後は相手がちゃんと待っていてくれるというのは著しく都合のいい話である。 ほか上意討ちの場面も、全体のストーリーと無関係ともいえないが話が濃すぎて不調和に思われる。結局、登場人物の違う3つの短編から適当に切り貼りしたため辻褄が合わなくなり、統一的な理解が困難になっていると感じられる。   一方で最後はめでたくハッピーエンドになっており、その後は全てがうまく行きました、父のことは誇りに思っています、というのだから文句のつけようがない。しかし途中までは世間の厳しさを出そうとしたようにも見えていたのに、最後は結局生ぬるいばかりの世界になってしまったようで締りがなく、自分としてはどうも受入れがたいものがある。 そういうわけでいい点は付けられないが、ただし同名の原作は読めばほのぼのと涙する短編であり、できれば多くの人に読んでもらいたいものだと思う。
[DVD(邦画)] 2点(2013-11-25 18:58:22)(良:1票)
799.  湯殿山麓呪い村 《ネタバレ》 
終始殺伐とした雰囲気で観客が共感を寄せる人物が誰もおらず、盛り上がりにも欠ける地味な映画であり、不気味な予告編も実は完全なこけ脅しである。江戸時代の呪いが現代に生きているというような内容で、戦中期に起こった事件が現代との間を中継ぎしている点では八つ墓村のような構造になっているが、出来事の間の連関が不明で運命性のようなものは感じられず、劣化八つ墓村といった印象がある。  ところで劇中の「新学説」については、劇中人物が言っていたテレビの視聴率よりも観光資源の整備に例えた方がわかりやすい。江戸時代の寺社参拝は現代でいうツアー旅行のようなもの、という話は90年代には聞いていたように思うので、この基本的な考え方自体は否定できるものではないと思われる。ただしこの映画の「協力」として、地元の村の名前が挙がっているのには正直呆れる。また実物の即身仏も映っているので寺院も撮影に協力したということかも知れないが、実在の信仰の山に対して侮辱的な内容であるにも関わらず誘客につながるならどんな映画にも協力するというのでは、この新学説の信憑性を自ら高めるようなものである。まあ当時は現実問題として拒否することなどできなかったかも知れないが、少なくとも今なら観光誘客にせよ映画誘致にせよ、もう少しまともな意識のもとで行われているものと信じたい。   なお、変に真面目な映画のため笑えるところがないのは残念だが、終盤で主人公が元恋人を殴った場面では、冒頭にあったように死んだと見せてウッソピョーンと復活するかと思ったらそのまま死んでいたのが意外だった。
[DVD(邦画)] 3点(2013-11-19 00:07:16)
800.  北の零年 《ネタバレ》 
DVDの時間表示で02:48:58にも及ぶ長大な映画であり、物理的な大作感は十分である。欠点と思われることはここまでの間にほとんど書かれているが、特に自分としてはわざとらしく芝居がかった感じの人の動きや事件や展開が気に障る。序盤はまだしも後になるほど違和感が拡大して、終盤に至るともう嫌悪すら覚える。また、最初はさんざん嫌な奴に見せておきながら実はそれぞれ事情があり真心もあり愛もあって、最後は全員が都合よく”本当はいい人”の範疇に取り込まれていくような展開は、全ての人に暖かく優しい目を向けています、というようなことかも知れないが、個人的には安っぽく幼稚に感じられる。   一方、この映画で感動的だったのは何といっても中盤の「夢を見ているようだ」であり、これは具体的にそういう経験がないにもかかわらず激しく共感する。堰を切ったように号泣するなどというのでなく、娘を膝に抱いて微笑みかけようとしながらも感情があふれ出てしまうのが奥ゆかしい。「どうして泣いているの」と尋ねるこの子がかわいいから泣くのである。 しかし、そういったプラス評価を完全に覆してしまうのが終盤の展開である。この映画は男が生命を棄てて正義を回復し、妻子のために殉じようとするのを無益なものとして否定するのか。それだけの決意をした男を「死なないで」で泣き落とそうと思う発想が気に食わず、また「生きてください」という発言も“とにかく人は死んではなりませぬ”という程度の観念的かつ無責任な綺麗事のようにしか聞こえない。“下郎”の妻のように生物学的に生きて繁殖するのが第一義というなら随意にすればいいだろうが、個人のプライドなど全く頓着なく自分のペースに巻き込まなければ気が済まないというのはどれだけ能天気で傲慢であることか。  そういうわけで激しい憤りを覚えたので、当然ながら零点である。  なお知り合いの淡路島関係者が、劇中の稲田家当主の扱いが変だといって怒っていたのでついでに書いておく。それからどうでもいいことだが、見ているとまず戸を閉めろと言いたくなる場面が目立つ。北海道は冬でも温暖なのか。
[DVD(邦画)] 0点(2013-11-18 19:54:46)(良:3票)
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