1. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!栄光のヤキニクロード
《ネタバレ》 悪くない。前半から中盤にかけてはかなり笑えたが、後半だれたのがいたかった。エンディングロールは良かった。やり方は違えど、クレしん映画の根底にあるものは変わらないなぁと観ながら思った。でももっとギャグに走っても良かったかな。 6点(2004-03-27 21:00:27) |
2. 天国と地獄
《ネタバレ》 ものすごいテンポの良さ。3時間近い長さをまったく感じさせない。グイグイ引き込まれて、本当に楽しめる。作品にみなぎる緊迫感、映像の持つ温度感も凄まじい。犯人の動機をもう少し細かく描いてほしい気もしたが、面会シーンに圧倒されてしまった。後味が悪い。しかし素晴らしい映画。 9点(2004-03-13 14:36:27) |
3. 東京物語
《ネタバレ》 人間の汚さ、ずるさ、優しさを深く描き出した作品。淡々と進むが、ものすごい奥行きを持っていると感じた。そして、あまりに現実的で冷たさを感じるシーンと、優しくてあたたかなシーンの対比が鮮やか。最後の「日が長うなりまして」と笠智衆さんのいうシーン、空間の空き過ぎた部屋の構図が心にしみる。 10点(2004-02-22 10:54:51) |
4. 一人息子
《ネタバレ》 この映画に華やかな東京はほとんど描かれていない。煙りのあがる焼却場であったり、辺鄙なクラブであったり。東京での生活の厳しさを、母親と一緒に見る人もだんだんと感じ取っていく。後半、母親は息子が妻の着物を売って手に入れたお金を、隣家の子どものけがの治療費にやってしまうのを見る。「在郷への一番のお土産」や、信州へ帰った後の「息子も偉くなって……」という台詞に、母親の息子を誇らしく思う気持ちが現れる一方、最後の表情には本音ものぞく。さっぱりとして、奥の深い映画だった。 8点(2004-02-22 10:35:57) |
5. クラッシュ(2003)
《ネタバレ》 レース中事故に遭い、全身に大火傷を負ったレーサー太田哲也を追ったドキュメンタリー。凄まじい事故の後の壮絶なリハビリを経て……というと苦労話のようだが、主題はむしろ彼と家族との愛情に置かれる。入院中の彼のために録音した励ましのテープや、献身的な介護の様子は感動的。愛に支えられた強さ、そして最後はほのぼのして、良かった。ゆったりとしたテンポで進んでいくのもいい。 9点(2004-01-12 20:38:42) |
6. ソナチネ(1993)
《ネタバレ》 これを観て、監督のバイク事故は、少なからず自殺を意識していたのではないか、と思ってしまった。疲れて、淋しくて、それでも弱音を吐く事の出来ない弱い男が、沖縄で幼稚な楽しい時を過ごす。「あんまり死ぬのが怖くなるとな、死にたくなっちゃうんだよ」と言う台詞に監督の気持ちが集約されている。死ぬのが怖いと思える幸福な気持ちのまま死にたい、と。女を残して自殺、なんて男の一方的なエゴであるが、エゴのない愛など薄っぺらなものだろう。心の中の深い部分でぐるぐると渦巻く心理的葛藤を、美しい画で描き出した名作。 9点(2003-12-31 10:35:55) |
7. Dolls ドールズ(2002)
《ネタバレ》 はじめて観た北野映画だった。浄瑠璃の「冥土の飛脚」の筋をよく知らないために、それとのつながりが分からないのは残念だが、それを差し引いても素晴らしい。破滅していく愛を四季に乗せて、すっとさり気なく描いてみせた監督に脱帽。こういう「空気」を持った映画が少なくなる中で、貴重な映画。死の匂いは強烈だが、極めて象徴的だ(しかもさりげない)。それがいっそう悲しい。ラストは、わずかに救いを感じた。 9点(2003-12-31 10:16:29) |
8. 影武者
《ネタバレ》 黒沢映画はそれほど数を見ていないのだが、モノクロ時代のようなムンムン、というか、どろどろした香気は薄くなったように思う。オープニングの長回しはよかったし、映像も文句ないのだが、かつてのちょっと突けばどろどろと粘液が出てくるような、そう言う熱さがなかった。特に中盤。後半は、悪くなかった。長篠のシーンも、あれはあれでいい。ただ、全体的に軽いのは残念。コッポラ、ルーカスの功罪か。それに、池辺晋一郎(音楽)はクロサワと言う感じではない。早坂文雄ならどんな音楽を付けただろうか。7.5点。 7点(2003-12-31 10:01:41) |
9. 七人の侍
《ネタバレ》 どろどろしていた。あの雨の中の戦闘シーンを筆頭に、人間同士のからみ合いも濃密。このどろどろは、やっぱり日本人ならではの「情」なのだと思う。ヨーロッパの映画にこういうのはないだろう。それから、人間の「恨み」のパワーに驚いた。結局一番恐いのは百姓だったんじゃないか。 9点(2003-11-15 11:52:40) |
10. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
《ネタバレ》 最近の邦画の中では、実写を含めてもかなりレベルの高い作品。込められたさわやかなメッセージがいい。ひろしの回想シーンのあとのやりとりがいい。あのしんのすけを抱きしめるシーンは「たかがアニメ」と言って終われるものではなかった。「家族のいる幸せをわけてやりたい」の台詞など、ひろしが隠れた主役、という感じ。ひろしファンには嬉しい。エンディングは小林幸子じゃなくて拓郎だったらもっと良かった。 追記:皆さんのレビューを見ていて泣けてきてしまう不思議。1回見ると涙腺を開けるスイッチみたいになる作品(笑) 9点(2003-11-07 06:26:11) |
11. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
《ネタバレ》 監督が「クレしん」というカンヴァスの上で自由に作品を作っている感じ。ところどころに散見されるこだわりもいい。5歳児の目に映る戦国時代の合戦というのはあまりにむごいものがある。とどめに井尻又兵衛の暗殺。「殺し」の多いアニメに過剰に反応する大人がいるが、こういうものは積極的に観せるべきだと思う。未来の日本はいい国になっている、という廉の台詞がいい。それから、映画のひろしはかっこ良すぎる。最高です。 9点(2003-11-07 06:13:49)(良:1票) |
12. HANA-BI
《ネタバレ》 邪魔なものを全て振り払って妻への愛に突き進む西刑事。妻子に逃げられ、感情のはけ口をひたすら絵に求め描き続ける堀部刑事。この二人の感情の流れが映像からばしばし伝わってくる、すごい映画。一方で愛する者(西夫妻の場合の子供、堀部刑事の場合の妻子)を失った悲しみが主調低音として流れる。そしてところどころに挿入される笑いの優しさ。驚くほど純粋な感情の映画。久石譲のメロディも、見事にマッチしている。エンディング曲はさながら二人へのレクイエムか。 10点(2003-11-05 19:03:05)(良:1票) |
13. 座頭市(2003)
《ネタバレ》 勝新太郎の座頭市を知らなかったので、純粋に楽しむ事が出来た。かなりエンターテインメントに傾いていて、今までの北野映画らしい静謐な感じは薄いが、「全編リズム」と言うから、それも狙いか。北野映画の新境地だろう。最後、黒幕の目を潰して石につまづいて…と言うのは、やはり北野風味。「めくらの方が人の気持ちが分かる」と言う台詞、R指定にするのが勿体無い。 タップがどう絡んでくるのか、と言うのは観る前から興味があったが、違和感なく絡んでいたと思う。大工にあのリズムをやらせた事により、最後の大団円で「町の復活」を感じさせるものになった。 タカの「殺陣師コント」は見事だったが、もうちょっとギャグ少なくても良かったかなぁ。 8点(2003-09-13 18:51:24)(良:1票) |
14. その男、凶暴につき
色で表すとしたら黒とか、濁ったグレー。救いようがない暗い映画。後味も悪い。人間の嫌らしい所をまざまざと見せつけられる。皆さん御指摘のとおり、この映画めちゃくちゃ痛い。暴力シーンのリアリティは相当なレベル。我妻の最後の一発、悲しい。 これ、薬物乱用防止教育に使ったら効果あるのでは?(笑) 9点(2003-08-30 13:05:52) |
15. あの夏、いちばん静かな海。
《ネタバレ》 台詞らしい台詞はほとんどなく、役者も決して上手くはない。それでもここまで引き付けられてしまうと言うのは、やはり監督の腕なのだと思う。ラスト近くで女の子が海へ向かって歩いていくシーン、きれいではないけど、美しい。あと、バス停のシーン、好きだなぁ。感動が押し寄せてくる、と言うより、さざ波のように静かに、サーッと何かが引いていくような感じがする。 音楽もなかなか。 9点(2003-08-15 00:08:07) |
16. ウォーターボーイズ
チープさが上手く生きた良質なコメディ。それでいてただのコメディで終わらずに、ラストであれだけのシンクロを完成させるのは大した物。 7点(2003-06-24 23:27:23) |