1. アレクサンドリア
《ネタバレ》 ローマ帝国が国教を神話的多神教からキリスト教へ変えた時代が舞台。宗教的な教義云々ではなく、統治に都合が良いからキリスト教を選んだように見えました。事実がこの映画の通りなら、あの宗教の布教手段って恫喝と暴力だったのですね。私には横暴な一神教宗教による自然科学への迫害を描いた映画としか映りませんでした。彼の宗教信者にはどのように映るのでしょう? 時おり挿入される宇宙から見た地球。漆黒の闇を背景にした私たちの星はハッとするほど美しい。あれが「神」の視線なら、地上で行われている権力闘争は醜く些末であり、「神」の想いからは逸脱した行為なのでしょう。 あの時代、太陽の視直径を正確に測る手段があったのだろうかと云う点が天文ファン的には気になりました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-06-09 02:40:17)(良:1票) |
2. レッド・ライト
《ネタバレ》 残念な結末でした。その結末は想像の範囲外で確かに驚いたのですが、満足感がほとんどありません。なぜだろう? どうやら、結末をどんでん返しにしたかったようです。でも、オチがどんでん返しだったと云うより、どんでん返しがオチになっている印象です。ややこしいことを言ってますけど、単に物語をひっくり返すためだけにストーリーがあって、2時間を掛けた前提が大して意味を持たない内容なのですよ。だから中身が薄いです。 無自覚な超能力って超能力の意味ないじゃん、って感じでした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-01-23 01:42:16) |
3. ワイルド・スピード/EURO MISSION
《ネタバレ》 最初の頃はショボかったシリーズだけど、前作あたりからドドッと予算が増えた感じで、良い意味でメチャクチャが極まってきました。フォーミュラ装甲車とか、戦車とか、長い長い滑走路(笑)とか、客が期待するものを見せていると思います。カーアクションだけじゃなく、ザ・ロックが参戦した前作から肉弾戦も盛り上がり、今回は女性同士のどつきあいも迫力ありました。ヴィン・ディーゼルって、アップになる度に主役の顔じゃないなぁと思う。だから小悪党が似合うんだけど、今回は「一般人を巻き込むな」的なことを言わせる。ポール・ウォーカーが言うなら分かるんだけど、このひと言でキャラの立ち位置がガラリと変わる。恩赦が頭にあったのでしょうが、正義の人にはなって欲しくない。似合わないから。 次作はトランスポーターとの対決。これも客が期待するカードでしょう。その予告のために潰される千原ジュニア(似てるよね)がご愁傷様。 [映画館(字幕)] 7点(2013-07-27 00:38:55) |
4. 人狼村 史上最悪の田舎
《ネタバレ》 劇場未公開作品はCMもやらないので、レンタル店に並んだ時の邦題がほとんど唯一の勝負ポイントなのでしょう。なので、配給会社の思惑が勇み足になることは多々あります。でも、本作はこの魅力的な邦題に恥じないご立派なB級映画でした。 故郷を訪ねた主人公が、祖先に掛けられた呪いのために災難に遭うストーリー。随所に予想を裏切る展開があり、イタイ笑いがありと、一筋縄では行かない捻りが効かせあります。 生贄として狼男に食われれば村に掛けられた呪いが解けるのですが、食われるのは嫌なのでアタマを使います。その解決策が爆笑でした。スペインのコミカルホラーはなかなかイケてます。テイストとしては、ちょっと「狼男アメリカン」を思い出しました。 呪いの波状攻撃に、それなりに理屈を付けて対応しようと奮闘する工夫がB級の醍醐味です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-12 23:01:41) |
5. ミッドナイト・イン・パリ
《ネタバレ》 タイムトラベル的な要素があるけど、SFではなくファンタジーです。全体がマイルドに、温かくまとめられています。その雰囲気に包まれ、とても楽しい時間を過ごしました。 パリが最も輝いていた(と主人公が思っている)時代の芸術家たちがゾロゾロと出てきます。美術的知識が乏しい私でさえ、名前くらいは知っている人ばかり。そして、みなさんとても個性的。彼らのアクの強さが可愛いく思えるのは過去の人として評価が定着しているからでしょう。本作は、そんな芸術家たちが集った街としてパリを捉えています。時間を越えてそこを訪れる主人公と、パリの空気感の中に息づく芸術家たちとの交流が愉快で刺激的。「芸術の都」の美術品めぐりではなく芸術家めぐり。その構成が秀逸です。 懐古に対する皮肉もチクリと効かせます。芸術は常に現在進行形の葛藤の中から生まれて来たということです。でも、そんなお題目がテーマということでは無く、単純にパリを魅力的に見せたい映画だったという印象が残りました。冒頭のパリのスナップが情緒に満ちています。特に演出されなくても絵になるところに、改めて感心した次第です。 NY以外は認めない人だと思っていたウデイ・アレンは、その反動なのか、このところは〝世界いい街発見〞で楽しんでいるようです。日本も撮って欲しいです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-02-21 13:05:26)(良:2票) |
6. ナインスゲート
《ネタバレ》 核心には到達しないストーリーですが、雰囲気だけで高得点を付けてしまうくらい好きな作品です。悪魔とはどんな存在なのか? 9つ目の門の先には何があるのか? 主人公は選ばれた人だったのだろうか? 妖しく光る女の目が、興味を掻き立ててくれます。超自然的な匂いを現実味のある描写のなかに散りばめるポランスキーの語り口が好きです。個人的にはジョニー・デップのベスト3に入ります。ちょっと癖のあるフツーの人。彼はこういう作品が似合うと思っています。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-24 01:16:02) |
7. 夕陽のガンマン
あのメロディを口笛で吹こうとしたら、鳴らない。えぇ~っ! 考えてみれば、口笛なんて何年も吹いていなかった。口の形が変わったのか、唇の型を忘れたのか、原因ははっきりしないが口笛が吹けなくなっている自分にショックを受ける。現在、口笛特訓中。そんなことに躍起になるくらい、このテーマ曲は名曲ですね。いちど聴いたら忘れない。久々の鑑賞だったけど、冒頭であのメロディーが流れるだけで気分が乗ってくる。マカロニ・ウエスタンのすべてを表現しているような気がします。「荒野の用心棒」でも同じようなことを書いたけど、楽曲としての味わいがさらに増した感じです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-04-11 02:03:03) |
8. グリーン・ゾーン
《ネタバレ》 大量破壊兵器があると言いがかりを付けて始めた戦争なのに、調べたらありませんでしたという恥ずかしい過去を今さら映画にする意味があるのか? 観始めてすぐにそう思ったが、途中から段々と分かってきた。よその国に押し入って、国防総省とCIAがいがみ合う。そこで暮らす人たちのことは蔑ろで、視界に入っていない。自国の謀略を暴こうとするマット・ディモンの行為でさえ、現地の人から見ると米国人同士の諍いにしか見えないはず。あの通訳をやっていたイラク人の言葉がすべてです。自分たちのことは自分たちで決めたい。誰かが口にした「民主主義」が何の価値も持たない空虚な言葉に聞こえるのは、それが米国のイラク政策そのものだからだ。それを感じられただけでも観賞意義がありました。激しく動く映像には辟易しましたが、それに怒って0点を付けた「ハート・ロッカー」よりはマシでした。でもやっぱり、臨場感を演出する前にもっと見せるべきものがあるだろうと言いたい。頑張っているマット・デイモンにさほど感情移入が出来なかったのは、この撮り方に依るところも大きいと思う。そもそもの話をするなら、米国の勘違いヒロイズムをこき下ろす映画にアクションなんぞを持ち込むから、画面と一緒に視点までブレまくった印象だ。 [映画館(字幕)] 5点(2010-05-31 23:47:02) |
9. それでも恋するバルセロナ
《ネタバレ》 ひと夏だけが舞台の映画とは思えないほどに、起伏があった印象。たっぷりと前置きしてから登場したペネロペの存在感は圧倒的。振り切れている。この映画の彼女こそ「猟奇的な…」と呼ぶに相応しいのではないだろうか。彼女主演のスピンオフを観たい衝動に駆られます。ウッデイ・アレンの映画は久しぶりだったけど、おどけた語り口のなかに、どこか真面目な空気が流れている作風は健在。ヨハンソンが居なければ続かないスペイン人の元夫婦の関係っていうのが可笑しかった。そういえば男声で入るご丁寧な解説も、なんだかウッディ・アレンぽくて嬉しかったなぁ。恋愛模様自体には特に共感することは無かったけれど、笑う映画ですよね、これ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-04-05 22:39:55)(良:1票) |
10. レッド・サン
《ネタバレ》 これ、子供の頃に初めてテレビで観て以来、番組表などで目にする度に必ず観ているタイトルです。何だかニッポン人として嬉しい映画なのね。「ラストサムライ」の何十年も前に、しっかり武士道の精神を表現しようとしたアチラの映画があったことは、今にして思うと奇跡的。技を極めた武士としての三船敏郎の描写に不満はないし、何よりブロンソンやアラン・ドロンに対して存在感で負けていないところが嬉しいのだと思う。先日久しぶりに観て、ブロンソンの奔放さや柔軟な対応力みたいなものを武士道と対照させる狙いがあったことを感じました。どちらが優れているということではない。思想や文化の違いを、それぞれをリスペクトしつつ描こうとしたのだと思います。それは、三船とブロンソンが、道中でお互いを徐々に認め合うストーリーとして心地よく映される。生き残ったブロンソンが、三船の生き様に敬意を払っていたことを感じさせるエンディングには爽やかな風を感じました。 [地上波(吹替)] 6点(2010-02-10 22:37:39)(良:2票) |
11. 永遠のこどもたち
《ネタバレ》 ちゃんと怖いし、それ以上に悲しいお話でした。霊の存在の有無をとやかく言うことに無駄な時間を使わず、子供の霊とのコンタクトに執着する描写で母の愛情の深さを滲ませています。そこに主人公の過去と、昔に暮らした施設を絡ませる構成は緻密で深い。とても上質なミステリーホラーです。ギレルモ・デル・トロは「パンズ・ラビリンス 」で死後の世界に安寧を求めました。今作も結果としてはそこに至っている。彼は死後の世界を信じてる人なのでしょう。それは中途半端に現世に希望を描くより潔い姿勢だと思います。悲しい終わり方に説得力を持たせる手法は、彼独特の世界ですね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-12-28 22:30:07)(良:1票) |
12. 28週後...
《ネタバレ》 旦那が奥さんを見捨てる。これは普通の映画の文法ではありえない行動なので期待感が高まる。感染者たちが餓死した後の街で試験的に生活が始まるのだけど、最初の夫婦が引き金になって再び感染が拡がってしまう。旦那の人としての弱さというか、人間らしさ?が事態を引き起こしているので、救いようがない展開という意味で秀逸。でも自分は想定できる事態に対して、何もシミュレーションしていなかったと思える軍隊の管理体制に気を取られて仕方が無かった。発症はしていなくてもウイルスを持っている奥さんの危険性を考えれば、監禁している部屋を見張る人がいなかったことは大変なご都合主義だ。全員殺しちまえ、という選択もシナリオを練る作業の放棄と思える。そしてお話は軍による大量虐殺から逃げ延びた数名のグループに移行して行くんだけど、こいつらの行動も馬鹿っぽくてストレスが溜まる。なぜわざわざ逃げ道が限られる地下に降りて行くんだ。エスカレーターから滑り落ちたら勝手に居なくなるし…。しかもそこで親子の対面! 面白くなりそうな設定がご都合主義に塗りつぶされ、でどうしていいストーリーに変貌してしましまった。前作や「サンシャイン2057」も中盤からのトーンダウンが同じ軌跡を描いているので、もうダニー・ボイルという人の癖としか思えない。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2009-03-22 21:01:49)(良:1票) |
13. WATARIDORI
1985年につくばで開催された科学万博のサントリー館の映像コンテンツを思い出しました。それは確かアイマックスという高精細の映写方式で、大きな映画館の2倍くらいはある巨大なスクリーンに、真横から見た編隊飛行中の鳥たちを映してました。そのスクリーンの巨大さと、見たことのない視点から撮られた鳥の飛翔映像に度肝を抜かれました。その展示映像は短編で、今では懐かしく思い出すだけでしたが、この映画は1時間半の尺で堪能させてくれました。自分は旅行に行くなら、なるだけ人のいないところに行きたいタイプなので、人の手が入っていない自然を背景にほとんど鳥しか映らないこういう映画は好きですね。DVD買って持っていたくなる。ただ、他の映画とは違う目で観てるので同列に評価しにくい作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2009-01-21 02:31:23) |
14. パンズ・ラビリンス
《ネタバレ》 つらい現実に身をおいた少女が幸せな妄想のなかで死んで行く話です。似たような話はたくさんあるような…。でもこの映画はかなりイケてます。その辛い現実の描き方が冷徹です。ゲリラ掃討の任を負った義父にあたる大尉が一直線に残忍な奴で、過激な暴力を振るいまくります。彼女が夢見る王国も楽しいだけの世界観ではなく、たどり着く為にはかなり厳しい試練が課されます。それぞれの描写にしっかりとした骨格があり、この映画を筋の通ったファンタジーにまとめています。辛党の人にもチョコパフェを食べさせるようなハリウッド映画とは違って、鑑賞後の感触がとてもスッキリしていました。映画全体のトーンの勝利だと思います。おかげで、悲しい終わり方ではあるが主人公の少女は現実に未練を残さず最期を迎えられたようです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-12-06 01:11:39) |
15. ボーン・アルティメイタム
敵対する組織の裏をかく機知と行動力、アクションシーンの見づらいカット割り、といったところは前作までと何も変わらず。主人公の過去も「あっ、そう」っていうくらいでした。なので、少し飽きた感じです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-09-16 00:18:50)(良:1票) |
16. ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
かつてオウム裁判をやってた頃、首謀者は極刑以外にありえないと思っていたので、死刑の是非を問うのがテーマだとすると勝手にやって下さいって感じです。ケヴィン・スペイシーの芝居は確かに達者ですが、ケイト・ウィンスレットのダイコンさが気になったのは私だけでしょうか? [DVD(字幕)] 5点(2008-09-08 21:37:59) |