241. SOSタイタニック 忘れえぬ夜
《ネタバレ》 噂には聞いていましたが、まさかこれほどキャメロン版の元ネタがてんこ盛りだったとはねー。いえ、実話ベースなんだから大筋共通するのはやむなしなんですが、演出のテクニックやカメラの動きまで思いっきり参考にしまくっているのがよく分かる。しかも、こちらではカルパチアやカリフォルニアンの状況まで加わっているのが、さらにスリリングさを高めています。あと、特撮や美術も当時にしては頑張っていますが、それ以上に、惜しげもなく投入したエキストラへのこだわりが凄い。 [DVD(字幕)] 7点(2014-05-11 03:09:50) |
242. 若草のふくらみ ファニー・ヒル
《ネタバレ》 田舎から出てきた娘が、泥棒に荷物を奪われて無一文になり、行くところもなく売春宿へ・・・となれば、どれだけ悲惨なストーリーになるのかと身構えてしまうが、そこからの展開は、そのまったく逆。ああだこうだとすったもんだいろいろありながら、何となくいつの間にか乗り切ってしまい、最後は主人公はなぜか勝利全開の笑顔とウィンクで締めてしまうのです。いや、これはあっぱれでした。制作側も、いかに主人公にいろんなシチュエーションでいろんな男と(だけではない・・・)いろんなパターンのエッチをさせるか、ということしか考えていない、潔い態度なのですが、しかも、衣装や美術や音楽には無駄に凝っているのが、さらなる楽しさを誘っています。 [DVD(字幕)] 7点(2014-05-08 22:18:30) |
243. 十二夜(1996)
《ネタバレ》 原作自体、400年以上前に書かれたとはとても信じられないほど洗練されたラブコメなので、それをそのまま素直に映像化したら、つまらないわけがないのです。ただし、キャスティングには無難に行っちゃった感があり、オリヴィアはもっと若く無鉄砲なイメージがある人の方がよかったし、フェステはむしろ少年くらいの人にやらせてほしかった。登場人物があれこれ勘違いして混乱する中、一番アホっぽく見える道化だけが実は幾分冷ややかにすべてを悟り澄ましている、というところに面白みがあるはずなので。 [DVD(字幕)] 7点(2014-04-23 22:53:45) |
244. ロミオとジュリエット(1968)
《ネタバレ》 オリヴィア・ハッセーの絶句するほどの可愛らしさはいうまでもないが、ただ可愛いだけでなく、きちんと演技をしていることも見逃してはならない。仰々しい台詞回しもごく自然にこなしているし、動作や表情にもきちんと指導が行き届いている。また、それぞれのシークエンスにじっくりと時間をとることによって、衣装なども含めた全体の構築美が作品世界として無理のないものになっている(決闘シーンだけ、少々長すぎか)。欲を言えば、神父は最後すたこらさっさと逃げるのではなく、二人が亡くなった後に現れて含蓄のある一言を決めてほしかった。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-04-23 22:49:16) |
245. トランスポーター3 アンリミテッド
《ネタバレ》 映画史上最もそそられないラブシーンとして、この作品はランキングに名を残すだろう。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2014-04-10 00:32:24)(笑:1票) |
246. ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
音楽自体は、普段聴かない分野のもので新鮮だったのでこの点数。ただし、作品としての構成には疑問があり、例えば、事実を伝えたい、もしくは記録したいのであれば、単なるインタビューの丸投げや映像の垂れ流しではなく、最低限の周辺データを盛り込まなければ記録にならないし、他方、解釈や表現を伝えたいのであれば、演奏と語りが交互に挟まれるだけという貧困な構成ではどうしようもないだろう。つまり、見ようによっては、全体が制作者の壮大な自己満足にしかなっていないということ。 [DVD(字幕)] 6点(2014-03-16 22:14:37) |
247. バンク・ジョブ
《ネタバレ》 導入部はややもたもたしていてぎこちないが、金庫室突入あたりからは一気呵成の勢いで、それなりに楽しめます。一番面白かったのは、間の抜けてそうな無線役が無線を落としてしまったら、それによって助かったというところ(登場人物は誰もそれに気づいていないのがいい)。ただ、最後のホームのところは、せっかくいろいろな思惑が一点に衝突するところなんだから、もっと見せ方はあったと思うし、その後の締め方はえらく平凡。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-02-17 02:27:39)(良:1票) |
248. ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式
冒頭、変な人たちが吸い寄せられるように集まってくるシークエンスでは大いに期待させたのですが、その後の発展がありませんでした。これだけ変な人たちが一所でぶつかり合えば、もっといろんなギャップや摩擦やねじれがあって、それが笑いを生じさせるはずなのですが、初期設定そのままで終わってしまっているのです。 [DVD(字幕)] 4点(2014-02-14 02:29:10) |
249. 愛情は深い海の如く(2011)
レイチェル・ワイズ主演の不倫ロマンスものなんて、それだけで期待が高まるのですが、がっかりするような内容でした。台詞を必要最低限にしているのは、もしかしたら原作の戯曲との違いを設けたのかもしれませんが、そうだとすればそれが裏目に出ている。つまり、登場人物は会話ともつぶやきともつかない発言をぼそぼそしているだけで、しかも各シーンは役者が演技力を発揮する前に容赦なくブツ切りにされて次に行っているのです。設定から来るはずの背徳感も焦燥感もあったものではありません。これは残念だな・・・。 [DVD(字幕)] 3点(2014-01-06 00:48:02) |
250. マリーゴールド・ホテルで会いましょう
《ネタバレ》 導入部で、それぞれがいともあっさりと目的地を決定してしまい、しかもお互いのコミュニケーションも最初からできている時点で、「ああ、もったいないことをしてしまったな」と感じました。あえて異なる環境や生活の登場人物を設定する以上は、それぞれがこの場所に集ってくる過程や理由にこそ最初のドラマがあるはずで、その辺の可能性をあっさり飛ばして、こじんまりと刈り込んだ導入をしてしまった時点で、重要な魅力を捨て去っているのです。はたして、そこから展開される個々のストーリーも、似たり寄ったりの感じで、せっかくのこれぞブリティッシュというキャスティングが生かされませんでした。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2013-12-23 23:31:55) |
251. ゼロ・グラビティ
《ネタバレ》 作品全体が「生誕」の1つの隠喩になっているのはすでに指摘されているとおりなのですが、例えば、エアロックにたどり着いたサンドラが、作中で初めて宇宙服を取り払ってその肉体(手足)を見せるところは、胎内における人体の完成を意味しているのか?とか、それならばそれまでつながった状態で浮遊していたクルーニーとサンドラはもしかして?とか、いちいちシーンの意味が丁寧なのです。それに加えて、人や物が接触したり衝突したりするときの力のかかり方の描写なんかもいちいち丁寧で、それによって独立した完結世界を作り出すことに成功しています。見終わったときには、自分自身もまさに"Gravity"を体感してしまいました。 [映画館(字幕)] 7点(2013-12-15 21:00:32) |
252. 戦場のメリークリスマス
やはりこのキャスティングですね。デヴィッド・ボウイに坂本龍一にビートたけし(決して「北野武」ではない)なんて、誰が考えついたんでしょう。全員演技は素人レベルで、それによってまわりの人たちまで巻き込まれてしまっているんですが、しかしその謎のようなぶつかり合いの中で、制作者の、とにかくこういう映像でこういうシーンは撮りたいという情念は伝わってきます。この日常からの逸脱こそが映画ですし、だからこそこの作品は、客観的な出来とは別に、時代を超えて今でも語り継がれるインパクトを有しています。 [映画館(字幕)] 6点(2013-12-08 22:34:15) |
253. わたしの可愛い人―シェリ
ミシェル・ファイファー様と年下青年の恋愛沙汰なんて、想像しただけで胸キュンもので期待が高まるのに、何ともしょぼい内容。最大の敗因は、その場を乗り切るだけの最低限の会話しかさせていない脚本であり、例えば元高級娼婦(ココット)という設定も、ただ言葉で説明されているだけであって、それを反映する言動が何も設定されていない。したがって、登場人物が全然生きていません。ミシェル様を投入しておきながらこれはもったいない・・・。 [DVD(字幕)] 3点(2013-12-02 02:23:11) |
254. マイ・ビューティフル・ランドレット
《ネタバレ》 何かここで危機が起こりそうだというところで、みんなが飄々とやり過ごしてしまうところが、いかにもイギリス映画。ただし、デイ=ルイスが出てくると、どんな軽そうな登場人物でもえらく気品があって重々しく見えてしまって、何か作品の方向性が明確にとれないまま終わっているのだな・・・。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-11-18 02:14:06) |
255. ブラックブック
《ネタバレ》 見ているときは先の見えない展開を面白く見ていたのですが、結局はエンターテインメント作品の枠を出ていないんですよね。牢獄に突入して救出するシーンでも、突入もあっさり成功、官憲側の反撃もあっさり成功。同種の例はほかにもいろいろあります。これではいくら物語上の障壁を周到に準備していても、全体が予定調和的に見えてしまいます。主演の女優さんの力の入った演技に+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2013-09-29 03:27:32) |
256. Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!
《ネタバレ》 オチの1つ1つが説明的すぎて笑えません。ラストで劇中の本来の上映作品が換骨奪胎されていくところは面白かったけど、それってもともとの笑いの次元とは違う気もするしなあ・・・。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2013-08-22 00:20:07) |
257. 冬のライオン
ひたすらキャサリン・ヘップバーンの凄味を知るための作品。登場人物関係の予備知識がなくても、彼女の表情を見て台詞を聞くだけで、大体、どんな話で何が起ころうとしているのかが分かってしまう。その迫力には、若き日のホプキンスも歯が立っていないし、オトゥールはかなり健闘してはいるものの、逆に変な力みが入ってしまっている。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-08-11 03:08:40) |
258. 2001年宇宙の旅
《ネタバレ》 猿人がただうろうろしているだけの沈黙の空間がもたらす重量感と暴力性。そこから一気に宇宙空間に転じる映像内革命の破滅的なほどのインパクト。ここまでで私には十分お腹一杯でした。贅を凝らした宇宙船内描写をもってしても、この導入部分の衝撃には及んでいません。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-08-04 01:46:43) |
259. レ・ミゼラブル(2012)
《ネタバレ》 やはり、ジャックマン、クロウ、ハサウェイをもってしても、「歌いながらの演技」は難しかったようですね。みんな、神経が歌に集中してしまって、ほかのことが抜けてしまっています(しかも歌唱も大して良いわけではない、というか、そもそも楽曲自体が台詞回しに引っ張られて曲として完成していない)。その辺のところで安定していたのは、「マンマ・ミーア」でも唯一まともな歌唱を聴かせていたアマンダ・セイフライドと、そのコゼットとどちらがヒロインか分からないくらいの存在感を見せていたサマンサ・バークスくらいでした。それとは別に、マダム・テナルディエがヘレナ・ボナム=カーターというのは、キャスティング一覧を見ただけで笑ってしまうほどはまりすぎで、歌いながらではない本来の演技で見てみたいところでした。 [DVD(字幕)] 5点(2013-07-29 01:10:46) |
260. あの日の指輪を待つきみへ
《ネタバレ》 戦中の恋愛沙汰の描写やキャラ設定が何とも凡庸なので、せっかくマクレーン・プラマー・ボスルスウェイトという豪華メンバーを投入していながら、50年を経た歴史の重みというものがまったく出てきていない。指輪が掘り起こされて届け出されるという設定だけによりかかって、そこから先のことがあまり考えられていないのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2013-07-28 03:17:38) |