21. 八日目
《ネタバレ》 本物の障害者が持つ気持ち悪さ、怖さ、狡猾さ、計算の無い優しさ等がやり過ぎなくらいリアルに描かれている。しかしこの世で誰にも受け入れられない絶望感は例え障害者でなくても経験する。それだけに胸に迫る哀しいラストだ。社会で成功するための自己啓発セミナーで言われそうで、かつ現在の社会で正しいと思われている自己演出力のようなものの虚しさを取り上げてくれたところがとても痛快で嬉しい。 8点(2004-03-17 01:21:07) |
22. リトル・ヴォイス
全く外れの無い監督。細かい笑いから微妙な感情表現、人間関係まで隙がない。でもこの映画の肝は主役のLVの魅力そのもので成り立っている。すっかり惚れてしまった。彼女を閉じ込めていたカゴは、強烈な母でも外界への恐怖でもなく、実は愛する父親へのこだわりだったのでは。シャイなユアン・マクレガーが妙に似合ってました。 8点(2004-03-17 01:10:41) |
23. シーズンチケット
《ネタバレ》 一切の甘い希望を排除した後に残る絶望。その絶望の中に偶然できた一筋の光。その光を発見した時の感情。ラストシーンを見た時の形容しがたい温かさはこんな感じだと思う。親父が死んだ時の笑い、最後老人の家に入る時のわざとらしい愛想笑いがこの映画を素晴らしいものにしている。作品の根底にある最底辺の人々の諦観が心地よい。 8点(2004-03-15 00:18:48) |
24. ストレイト・ストーリー
見る前のイメージをまるで覆さない映画。それでも節々のエピソードに深みは結構あった。進み方はゆるい方だけど、その割りには退屈しない。途中出てくる鹿を轢く女には、「俺はデヴィッド・リンチだ」という主張を感じた。 8点(2004-03-06 04:33:56) |
25. ノー・マンズ・ランド(2001)
戦争を皮肉ったブラックコメディかな、と途中で思ったのですが、どうも違う。戦争というものがそもそも下らないもので、それを淡々と観察するするように撮っているから妙に笑えたんだな、と納得。どうせならとことんコメディにした方が・・・という気もしましたが実際に戦場に行って来た人が作ったのなら、何も言えません。 8点(2004-02-12 21:13:51) |
26. ミッション
心の中に生ずる怒りや憎しみを消し切れなかったメンドーサがとても悲しかったです。 7点(2004-04-23 01:01:57) |
27. ブリジット・ジョーンズの日記
《ネタバレ》 ブリジットの描かれ方が女の悪い面までさらけ出していてリアルに見えますが、作品はいたってノーマルなファンタジー。いい男に巡り合えなかった理由はほとんど内面的なものなのに、そこを何も努力しないまま2人の男前に惚れられる。全然リアルじゃない。傷つきやすいがゆえにひねくれてしまった人は大抵悪循環に陥るので、現実には何の参考にもならない話だけど、最後自力で追いかけて行ったところは素晴らしかった。 7点(2004-04-07 16:42:07) |
28. ブラス!
最底辺の人々が見る小さな夢。イギリス映画でこの手のものをいくつか見ましたが、何か好き。映像に凝り過ぎず自然に見せてくれるというか。内容で一つ気になったのは、結局男の理屈で女をねじ伏せて生活とか大事な問題をうやむやにしてしまっている印象を受けたところ。 7点(2004-02-27 21:44:27) |
29. キス★キス★バン★バン
《ネタバレ》 イメージと違ってたけれど、なかなか楽しめた。ババが適応力あり過ぎ、とか突っ込みどころは多々あった。しかしスカイブルーの使い方が素晴らしく綺麗。背伸びして「人間とは」とか語ってないとこがいい。見ている途中、ジミーが「ごんぎつね」に見えてしまったのは私だけでしょうか。 7点(2004-02-03 02:29:47) |
30. 10ミニッツ・オールダー イデアの森
割と素直なつくりの人生のメビウスに対して、これはやけに哲学的というか、芸術的というか。10分てこんなに長いのか、と実感した。最初のベルトリッチ作品だけは良かった。 6点(2005-01-22 17:23:35) |
31. ギャングスター・ナンバー1
若き日と現在が変わりすぎてて不自然。他の役者は変わって無いだけに、余計変に感じた。ポール・ベタニーのブチ切れっぷりは素晴らしいけれど、作品内の世界もせまいし、中途半端な印象が残った。 6点(2004-03-21 23:18:04) |
32. プラトーン
悪くないとしか言いようが無い、ほどほどの映画。想像を裏切るような展開も特に無く、いかにも常識に溢れたビジネスマン的な性格の監督だな、という感じ。「このシーンを見せたい」という気持ちが強すぎて、ややあざとく感じられるのが難。戦争の皮をかぶった社会人一年生物語。 6点(2004-03-21 20:33:01) |
33. 恋におちたシェイクスピア
シェイクスピアについてあまり知らなかったのですが、それなりに楽しめました。しかし、主演男優は他にいなかったのでしょうか。勢いだけで大雑把な感じ。もうちょっと繊細なイメージが欲しかったです。実際のシェークスピアは素顔があまり知られてない謎の多い人物ということをもっと利用して、独自のシェークスピア像を作ればいいのに、と。あれでは恋する男を表すための人形でしかない。 6点(2004-02-16 23:04:31) |
34. ゴスフォード・パーク
ミステリー好きの人が期待して見たら、かなり裏切られます。群像劇は好きな方なのですが、これは登場人物も多いし関係もややこしい。きつかった。人に使われる側の本音と建前、使う側の貴族の滑稽さ、人間関係の機微などはこれでもかと言うほど見られました。 6点(2004-02-14 14:03:48) |
35. ナック
物事を深く考えない楽しさというか、表面に極めて特化した不思議な映画。こういうのをおしゃれというのかもしれないが、とにかく鼻につく。堤幸彦監督が一番好きな映画らしいが、何となく通じるものがあるかな、と。つまらないこともないけど、二度と見たくない。 5点(2005-03-03 00:55:04) |
36. マン・オン・ザ・ムーン
感性が鋭すぎて周りがついていけず、いつのまにか一人ぼっちになってしまう孤独感は結構出てた。でも親を出した割には芸事に反対っぽかった父親がいつのまにか折れてるし、エピソードはゼロ。ラリー・フリントでも思ったことだけど、社会での出来事が面白いと、それをただ追うだけになってしまい、感情的に薄っぺらくなってしまう。フィリピンでの自虐的な笑い等良いシーンもポツンポツンとあるものの全体的に中途半端。 5点(2004-04-07 17:26:25) |
37. ミーン・マシーン
《ネタバレ》 結構後ろ向きで甘い。ラストパスは、自分の運命をヘタクソに任せた逃避だと思う。期待が大きかっただけにちょっとがっかり。 4点(2004-05-07 18:55:12) |
38. シャイニング(1980)
悲鳴担当の情緒不安定な女。ちょこまか逃げ回って最後の方まで残る子供。ホラーの定番ですね。私はこの両者にイライラしてしまう、余裕の無い人間なのであんまり楽しめませんでした。そもそもホラー自体あまり好きじゃなのかもしれない。それでも得体の知れない恐怖の演出と凝った映像は一見の価値あり。あと、ここ一番でカメラの高さを登場人物と同じ目の高さにするところは、福本伸行の「カイジ」を思い出しました。感情移入させるには良い手段だと思います。 4点(2004-02-09 04:40:28) |
39. ロリータ(1962)
妖しげな期待をし過ぎた自分が悪いとは思う。でもこれがロリコンの語源になった物語とは信じられない。当時の時代背景も鑑みないと理解できないのだろうか。中年男の若い娘への報われぬ恋、というよりは神経 症気味の人にばかり縁がある薄幸の少女ロリータが、普通の女の子とし ての感性を保ちつつ普通の生活と幸せを取り戻そうとするいい話にしか思えない。途中からはロリータの応援ばかりしてました。 3点(2004-05-26 02:30:48) |
40. ダンサー・イン・ザ・ダーク
《ネタバレ》 こんなに見てて不快になる映画は初めてだ。この監督は、見てる人間を不愉快にさせてほくそ笑む悪趣味の持ち主としか思えない。見てる途中、ヒロインに対する強烈な不快感と怒りが湧き起こり、なぜだろうと考えてみたところ、この女が自分主演のドラマの中でのみ生きている精神病患者なのだな、と納得。だから親切な友人の行為にも、自分が理想とする筋書きと違ったら拒絶してるし。妄想癖に虚言癖、困ったら他人に頼り(男は足代わりに利用する)、ここ一番ではオロオロ泣くだけで何もせず、自業自得でどうしょうもなくなったら脳内ミュージカルに逃避。よくここまでクズみたいな人間を創作できたものだと感心した。ビョークの顔からしてすでにイラつくタイプの不細工だし。何より最大の穴は、あんな自己中のロクデナシ女に周りの人々が無償の親切をし続けるところが現実的にありえない。0点にしようかと思ったけど、カトリーヌ姐さんと鉄橋のミュージカルシーンは良かったので3点で。ラストまでずっと「何だコイツ」と引き続け、ラストで「さっさと死ね」と思った私は冷たい人間なのだろうか。 3点(2004-02-15 14:38:53)(良:3票) |