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よしのぶさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  タイタンの戦い(2010) 《ネタバレ》 
見所は兵士達と大暴れする怪物達との戦闘シーンであり、十分堪能できる。ただ動きが早すぎて目がついていけない場面が多いのは残念。緩急をつけるのがこつ。クリーチャーをじっくり観察できる静の部分は必要。メドゥーサとの戦いは合格点。蝙蝠怪物は飛び回りすぎ。◆ギリシア神話のペルセウス英雄譚が下敷き。神話にはないキャラが登場するが魅力に欠ける。怪物狩人の兄弟には期待したが、さほど活躍せず、途中リタイアして、最後で少し顔出し。もったいない。カリボスは説明不足。ペルセウスとその母を入れた棺桶を海に投げ入れたアクリシス王の落魄した成れの果で、ハデスにより力を得て復活するが、敵として弱すぎた。精霊ジンは、木炭の身体を持つ砂漠の魔術師らしいが、メドゥーサとの戦いで自爆して死ぬ?最終怪物クローケーンは中世の海の怪物。タコの形で描かれる。さほど大暴れしなかった。◆鑑賞後さほど痛快さが残らない原因。まず役者が役に合っていない。ペルセウスは半人半神で17歳くらいなのに、ごつい顔の五分狩り中年男が演じる違和感。半神としての品格がなく、兵士達と区別できないほど没個性。アンドロメダは絶世の美少女が演じるべき。神話では、母により神に勝る美貌と讃えられたのが奇禍の原因となるのだから。ペルセウスとの恋愛もないのは期待外れ。守護者イオも容姿凡庸で品格不足。◆次に兵士達の仲が良くないのが難点。儀仗兵と老兵ばかりとなじり、イオは邪魔者扱い、ペルセウスをも冷笑する。ペルセウスも独りよがりな行動が多い。「人間として戦うのが信念」と主張し、神の力を否定。観客は彼の人間性よりも英雄としての神性を期待しているのに。最終的には神の力を借りるので、信念が問われそうだ。異種混合、一致団結して神との闘いに向かう姿勢がないと、観客はついてこない。神相手なのに緊張感が足りない。三つ目にゼウスの優柔不断と自家撞着ぶり。人間への最後通牒の使者としてハデスを派遣し、最終怪物クローケーンを放ったのに、陰でペルセウスの味方をしている。そもそも人間の愛と尊敬が天上の神々の糧となり、人間の恐怖と苦痛がハデスの糧となる。つまり利害が一致しないのだから意見が一致するわけがない。それに人間の怒りを買ったのはゼウスの無慈悲さによるもの。煮え切らない神々に観客も混迷。あとペガサスは神話どおり、メドゥーサの首が飛んだときの血から生まれる白馬でよかったのでは?
[DVD(字幕)] 7点(2012-08-13 03:05:23)
22.  スノーマン<TVM> 《ネタバレ》 
子供たちに愛される要素がいっぱい詰まったアニメ。スノーマンというユーモラスなキャラ。これが主人公の男の子に負けないいたずら好きで、見ていて楽しく、ほほえましい。これだけで成功の半分は約束されたようなもの。このスノーマン、重そうなのですが、意外にも空を飛んで男の子を雪の国に連れてってくれます。そのときに流れる曲は名曲、感動的です。男の子を待っていたのはスノーマンの仲間とサンタクロースでした。クリスマス・イブだったのですね。そして贈り物のマフラーをもらって帰ってくる。翌朝、ちょっぴりほろ苦い別れがあるが、贈り物は現実のもので、夢ではなかった。話の骨子はセンダックの「かいじゅうたちのいるところ」と同じ。母親に叱られ、ちょっぴり孤独を感じる少年。そこへ想像の翼がふくらみ、冒険の旅にでる。冒険を十分堪能すると家が恋しくなり帰宅。「かいじゅうたち」の場合は、あたたかい母親の食事が待っていました。本作の場合はサンタの贈り物のマフラー。このマフラーは両親の贈り物であった可能性がある。両親の子供を思う気持ちに男の子の精神が感応して、スノーマンとマフラーの夢を見させたという解釈。どっちにとっても夢のあるお話。「別れ=自立」で、男の子は一歩成長しました。さらに掘り下げると、このスノーマンは男の子が丹精込めて造ったもの。途中スノーマンのモデルの人形が出てきますが、男の子は普段からこの人形を好きだったのでしょう。だからその姿をまねて雪だるまを造った。それも自分の背丈をはるかに超えるビッグサイズ。途中で夕食を挟んでおり、造るのにかなりの時間と労力を要したことが分ります。これが重要で、簡単に手に入っては愛着も薄くなる。少年はちゃんと夢の代償を払っており、観ている方も、スノーマン=かけがえのない友達と無理なく思えます。男の子が雪だるまにマフラーと帽子をあげたのは笠地蔵と同じ気持ちでしょう。それだからこそ別れの場面で涙がでてくる。名作です。
[インターネット(字幕)] 8点(2012-07-16 00:10:57)
23.  ザ・コア
地球の核の回転が停止した為に磁場が消失し、太陽風に曝されて人類は滅亡するというアイデアは目新しい。残念なのはその原因が人工地震装置だということ。原因不明でよかったのに。国家陰謀の要素を加えたことで焦点がぼけてしまった。◆人類滅亡の危機にしては、いろんな場面でシリアスさが足りない。特殊船の性能が漫画的だし、大統領も出てこないし、乗務員の家族との別れの場面もないし、船内でも些細なことで争っている。冒頭、男が突然死する場面があるが、演出がふざけている。そのままカメラがパンして、交差点の交通事故を映すが、肝心の事故場面は映らない。◆最大の矛盾は高エネルギー武器専門学者や政府首脳部が地震装置を使ったのが原因なのに、核の停止による地場異常を博士に指摘されるまで知らないということ。◆ハッカーをメンバーに入れるのは甚だ疑問。国家レベルのアクセス権限があるのだがら、専門家がやればよい。ハッカーがインタネットを管理するなんて噴飯もの。しかも64回も逮捕歴がある最低レベルハッカー。◆人類を救うための自己犠牲によるミニ・ヒューマンドラマが展開しますが、これがチープ。例えば「家族三人を守るため」の人の家族が描かれてない。子供の描いた父の絵と犠牲死だけ提示しても感動は生まれない。伏線が必要。そもそも死と隣り合わせの任務だというのに誰の家族も描かれていない。これで感動しろというのは無理がある。 ・地球内部の映像化が売りだが、肩透かしの感がある。晶洞と落下するマグマがよかっただけで、あとは手抜きにしか見えない。スペースシャトルや崩壊するパリの街並等のCGは合格点。◆危機に次々と直面する展開は評価できる。が、どれも通り一遍の危機、解決でしかない。予定調和的すぎるのだ。驚かすものがほしい。原爆を連続爆破させる方法は良かった。あらかじめ船の機能、性能を説明していないのも減点材料。危機になってから、実はこうなのだといわれても、とってつけたようにしか感じない。◆乗務員の関係だが、不仲やしっくりしない上司と部下だったりするが、人類救済の任務の前にあっては不要だろう。あの任務中、中傷や仲たがいするのはそぐわない。シリアスさに欠けるところ。◆感心したのは船の超音波に鯨が寄ってくるという伏線。海底を進む場面で、さりげなくみせておいて、最後の救出の重要なキーとなる。見事。
[DVD(字幕)] 6点(2012-06-29 02:15:38)
24.  アンナ・カレニナ(1948) 《ネタバレ》 
アンナは貴族の妻として平穏な暮らしを送っていた。愛する息子にも恵まれていた。運命のいたずらで、そんなアンナが青年将校ブロンスキーと恋に落ちる。初めて知った燃え上がるような恋。アンナは全てを捨ててブロンスキーの元へ走る。だがその代償は大きかった。夫は離婚してくれず、息子とも会えない。ブロンスキーの子を宿すが流産して、生死の間をさまよう。アンナの夫の寛大な態度にショックを受けたブロンスキーは拳銃で自殺未遂する。二人は出奔し、ヨーロッパを旅行したが夫を裏切り、子供を残したきた思いが心に影を落として楽しめない。帰国したアンナは夫に内緒で息子に会うが、夫に見つかり、離婚は絶対しないと宣言される。二人は社交界からも見放され、孤立を深める。精神的に追い詰められた二人の心は離れて行った。アンナは二人が初めで出会った駅で自ら電車に轢かれ死亡する。 ◆アンナは優雅で美しく、誰にも優しく寛容で、何自由なく暮らしている貴婦人でした。それが不倫の恋に落ちます。総てをなげうっても悔いの無い情熱的な恋でした。しかしすべてがうまくいかず、アンナは顔に悲愴さを漂わせ、皮肉屋で、打ち解けない女になります。そしてブロンスキーの心が離れていったのと悟った彼女は死を選ぶのでした。二人だけでなく、アンナの夫の苦悩も描かれています。他に、ブロンスキーに婚約破棄させられた娘が幸せな結婚生活を送る事。不倫は秘されているうちは明るい噂話に過ぎないが、大っぴらになると非難を招く事。アンナは兄の不倫の仲裁にやってきてブロンスキーと出会うが、そのときは不倫をたしなめる役だった事等皮肉たっぷりです。汽車の事故を最初に見せる伏線もうまいですね。ドラマティックな展開はあるのですが煽情的に描かれておらず、あっさりと進み、見ていて少々退屈ですが、文豪の長編をダイジェストで見せてくれるだけでもありがたいと思いましょう。ビビアンとローレンス・オリビアの実生活での「ダブル不倫、結婚、破局、精神を病むビビアン」もこんなだったのかという穿った見方もできます。ある意味貴重かもしれません。
[DVD(字幕)] 6点(2011-09-23 20:07:30)
25.  PUSH 光と闇の能力者 《ネタバレ》 
謎が次々に提示され、めまぐるしく変わる展開を手ぶれカメラと高速多カット編集で息つく暇なく一気に見せる演出が新感覚。殺されかけたキラがディビジョン(D)から逃げ出し、ニック(N)の元にDの二人が現れ女を探していると告げ、次にキャシー(K)が現れ600万ドルの儲け話をもちかけ、NとKが市場で中国の超能力家族から攻撃され、傷ついたNはKの母の友人に助けられ、その頃キラは港で目を覚ます。観客を惹き付けますね。特に冒頭、患者の手から落ちたボールが、ドアに当たって向きを変え、絶妙のタイミングで扉に挟まりキラの脱走を助けるシーケンスに痺れました。この映画は面白い!その後の怒涛の展開。期待は膨らみます。ああ、しかし、鑑賞後自分は”ウォッチャー”じゃなかったことに気付かされます。広げた謎が収束しないですね。加えてKの母を取り返す計画、ディビジョンの軍隊化計画が全く動かない。延々三つ巴でキラとスーツケースの取り合いに終始するドタバタ劇に成り下がっています。Nは父から「花をくれる少女を助けろ」言われますが、この大伏線の決着がついていない。父は何をしたかったのか?キラが殺人をするのも後味が悪い。本物のウォッチャーならこの映画は見ない! 【スーツケースの謎】Kがスーツケースの薬を追うのは母のため。薬とKの母と交換するDとの交渉に用いる。Dを憎むNはKに協力。Dは取り返したい。中国人は金のため。薬の作用は超能力を倍増させるがほんどの人が死ぬというもの。この薬はキラが脱走するときに盗んだ。だがKの話では母が自分が生まれる前からの計画という。Dにとっては薬はいくらでもあるのだから、タイプゼロであるキラの方が大切。だが国家機密のため中国人に渡るのは困る。最終的に薬はNとKの手に渡ったところで終了。肝心の母を助け出す場面がない。冷静に考えると大して重要なものじゃないですね。キラにしか効かないのだから。恋人がプッシャーだと騙されっぱなし? 【疑問】 ①最高のウォッチャーであるKの母は何故捕まったのか? ②ウォッチャーは宝くじ、競馬、株などで金儲けしないの?他の能力者も使いようでなんとでもなりそう。 ③Dの二人が最初にNの元に現れて室内を嗅ぎまわったとき、Nの元恋人であるキラのことに何故気づかなかったのか? ④Nはカーバーが香港にいるのをどうして知ったか? ⑤Nはキラにあったとき「捜した」というけど本当か?
[DVD(字幕)] 6点(2011-09-22 17:33:03)
26.  蜘蛛女(1993) 《ネタバレ》 
ジャックは風采の上がらない軽輩の刑事、給与の低さを嘆く。妻を愛しているが、女と快楽には人一倍弱く、マフィアに情報を流して大金を得、愛人とよろしくやっている。大金は将来の夢のためにとってある。彼の売った情報が偽情報になったことから窮地に陥る。ここから転落人生が始まる。マフィアのボスからも、女殺し屋からも狙われる。最終的に罠にはまり愛人を誤射してしまう。妻は女殺し屋に殺される。汚職がばれて逮捕される。怒りに満ちたジャックは、全ての元凶である女殺し屋を射殺する。ジャックは別の身分をもらい、夢であった食堂を開く。そこで年に2度、妻と落ち合う約束の日に幽霊と出会うのを待っている。 ◆コメディタッチなのに悲惨な内容なので反応に窮してしまう。監督の意図として悪女をスタイリッシュに描こうとして、そこだけが突出してしまったのだろうか?原題は「Romeo is bleeding」色男は血まみれという意味だ。それとジャックの喪失感が半端じゃない。「失ってしまったときに、はじめて、失ってしまったものの大切さがわかる」「本当の幸せは、何気ない毎日の積み重ねの中に、ひっそりとある。その大切さがわかるのは、それが逃げたときだ」 これをテーマにするのならもう少しシリアス路線にすべきだったと思う。日本の題名は「蜘蛛女」キャッチフレーズは「愚かな男の死骸がゴロゴロ」。女殺し屋を主人公にしてユーモア路線を暗示している。女殺し屋のやる事なす事みんなギャグにしか見えない。しかし最後には女三人は死んでしまう。その内二人はジャックが殺す。女殺し屋のはちゃめちゃぶりとジャックの転落ぶりが見どころだが、両者は噛み合わない。やはりコメディで、ハッピーエンドに路線変更した方が良いと思う。 ◆気になったのは、妻が「あなたを安心させるある物をタンスに入れておいた」と言い残し、それはアルバムと結婚指輪だった。ところがアルバム中にはジャックの浮気現場を写した写真も入っていた。浮気調査をしていたのだ。これをどう解釈すべきか? ◆待ち合わせ場所は「フェニックスのホリデー食道、国道10号線」。ジャックがその食堂のオーナーに収まっているのは、店を継いだということか。
[DVD(字幕)] 7点(2011-09-21 05:46:51)
27.  Re:プレイ 《ネタバレ》 
病院で目覚めたサイモン(S)は過去2年間の記憶を失っていた。クレアという美貌の女性が現れ去っていくが、彼女は兄の婚約者だと後でわかる。妻のアナが現れ、Sの兄を殺したのはあなただと告げる。ショックを受けるSだったが、気がつくとそこは2年前の世界だった。謎が謎を呼ぶ展開は好意が持てた。特殊効果を加えた映像による心理描写は秀逸。欠点はサスペンスにこだわりすぎて人間ドラマが希薄であること。恋愛に絞ればよかったのに。残念。 ◆それにしても大変わかりづらい映画。2度観ないと理解不能でしょう。ラストで種明かしがあるが説明が必要。改変された未来である2002年のSの自宅。兄は生きていて、Sを寛容に受け入れる。S持参のワインボトルを置くが、そこには何本ものワインボトルがある。これはSが持参してきたもの。つまり同じことを繰り返しているのだ。父の写真があるが、その顔は2002年の事故時の担当医ニューマンだ。つまりすべてはSの妄想で、父の面影を医師に投影したものだった。Sも兄も兄の婚約者のクレアも2000年の交通事故ですでに死んでいる。Sの妻アナは看護師を投影させた架空の人物に過ぎない。それでも時間のループは終らない。兄のうんざりした顔。「俺たちはみな死んだんだ」Sは今度はうまくやると言う。Sはまた2002年の事故直後から架空の人生をやり直すのだった。 ◆2000年での行動が2002年に反映されるのがポイント。何とか兄の命を救おうと過去を改変するが結局はうまくいなかい。運命は変えられないのだ。不幸なうちに人生を閉じた三人の残留思念が病院に残って妄想を観させているのだろう。 【疑問点】 ①Sに危害を及ぼそうとする医者の恰好をしたマスクの男は誰か?強迫観念の賜物か。何の説明も無いのは不親切というもの。 ②クレアは2000年事故で一緒に死んだのか?そうだと推測されるがはっきりとは示されていない。 ③Sは天窓から落ちた兄を車ごと崖から落とそうとするが、その理由が不明。警察には兄があやまって転落したと説明すればよいだろう。完全に息の根を止めようとしたのだとしても放置しておけば済む話だ。 ④2度目にSは天窓から落ちた兄を病院に運ぼうとする。何故救急車を呼ばないのか?死んで判断能力が減っているためか。 ⑤2002年の事故の経緯はどのようなものか。Sが自宅をリフォームしようとして塗料の毒を吸ったのが原因か?全てが妄想であるなら、何でもアリだが。
[DVD(字幕)] 7点(2011-08-29 16:50:13)(良:1票)
28.  戦場にかける橋 《ネタバレ》 
戦争という悲劇と虚無を描いていることに間違いはないがわかりづらい。初見で、落下した汽車には英兵が載っていると思っていた。ニコルソン大佐が前夜のスピーチで「君たちの多くは明日新しい収容所に送られる」と述べていたからだ。それなら大佐が必死で爆破を阻止しようとした意図も明白になるし、戦争の皮肉、悲劇性がぐんと高まる。だが再見して、そうではないと判明。日本兵しか乗っていないのだろうが、乗客を全く描いていないのはどうしてだろう?結局日英共同で竣工した橋は爆破され、ニコルソンも斎藤も決死隊の三人も死んだ。それぞれにとって価値があるものが一瞬で無に帰し、勝者はいない。痛烈な反戦メッセージになっている。◆脚本にブレがある。最も顕著なのは英雄である筈のシアーズ中佐の扱いだ。無事脱走を果たしたものの、看護婦といちゃついたり、収容所への道案内を拒否したり、階級を偽称していたりと散々である。米兵である必要性も感じない。途中でルートが変更され、彼が道案内をする意義さえ失っている。彼を軍に忠実な英国兵士として描けば”戦争の狂気”という主題がより浮彫になった筈である。彼をシンプルな人物として描けば、ずっと分りやすい映画になった。  ◆兵士たちより、現地人女性の方が凄いと思いました。華奢で美人な上、兵士よりも重い荷物を背負ってジャングルを楽々横断するのだから。そして兵士にとても親切。他に基地内をセクシーな女性が闊歩して、それを皆が見惚れるという場面があった。これらの演出意図が不明である。 ◆一日で川の水位が下がったが、そんなこと本当にあるのか?水が何かによって堰き止められない限り、ありえないと思うのだが。ご都合主義の賜物でしょう。 ◆ニコルソンが橋に異変を察知し、斎藤に「一緒に来てくれ」と川下誘う。このとき斎藤は一人で従うが、これはありえない。将校には常に兵士がつくはずである。二人が導線に気づいた時点で誰も呼ばないのも疑問。 ◆ニコルソンとジョイスがもみ合っている時、シアーズは「殺せ、殺せ」と叫びナイフを持って対岸に渡ろうとするが、どうして銃を使わないのか?近くまで行って銃で撃てばよいのに。 ◆最終的にニコルソンが爆破スイッチを押すと皮肉。これは演出過多でしょう。倒れ方も不自然。  ◆爆破はオープンセットで本物の汽車を使ったにも関わらず迫力不足。技量不足です。
[DVD(字幕)] 8点(2011-07-26 03:57:42)
29.  トゥモロー・ワールド 《ネタバレ》 
【世界観】納得できない点が多数。世界観が分りづらい。人類に生殖能力がなくなったらしいが、どうして英国以外の国は崩壊してしまったのか。作物が収穫できなくなったわけでもないのに。まさか民衆が絶望して暴動を起こしたのか。何の目的で?主人公の勤めている官庁ではネットがあるが、どうして一般社会で情報(ヒューマン・プロジェクトなど)が伝わらないのか?ケータイは無いのか?反政府組織は、政府が難民を受け入れないのに反対しているだけなのか。どうして一般市民を爆弾テロに巻き込んで殺すのか?それでいてボスであるジュリアンは、平和主義的すぎるという理由で仲間から殺される。 【不妊】人類が同時に不妊になる筈が無い。ウイルスであれ、放射能であれ、影響の及ばない地域がある。あり得ない設定にするのなら、それらしき理由を提示せよ。人類は全力を上げてその原因を追究した筈である。クローン技術はどうした? 【赤ん坊】あんな簡単に赤ん坊は産めないと思うけど。18年ぶりの赤ん坊は人類の宝物。全女性不妊の原因解析にもなるだろう。主人公ファロンは、従兄弟が政府高官という強力なバックグランドがある。実際に通行証も入手している。どうして政府に保護を求めないのか?電話一本で済む話じゃないか。危険を冒してまで、実態も知らない組織に渡す理由が無い。マスコミに知らせるという方法もある。◆反政府主義者はどうして妊娠中のキーの乗っている車を襲ったのか?ジュリアンをを殺すのならいつでもチャンスはある。そもそも彼らはどう利用しようというのか?◆赤ん坊を見て感動を露わにしていた兵士たち。どうして赤ん坊を保護しないのか。最重要任務じゃないか。感動は嘘だったのか。赤ん坊の父親は無視で良いのか。父親も人類にとって重要なのだが。 【カメラ】長回しの失敗例。俳優の横に、こうカメラマンが立って、次はこう向きを変えた、とかが分ってしまうので映画に集中できない。カメラは神の目線なのに、血糊が付くのはおかしい。 【人物】魅力的な人がいない。主人公はいつもおろおろするだけ。元妻はすぐ死ぬ。黒人娘は無愛想。全く母親らしく無い。母性が無いのだ。活躍したおばちゃんは英語がしゃべれない。興行的には失敗で、制作費も回収できなかった点もうなづける。リアルな戦闘シーンだけが見どころ。ジョンレノンに似たおじさんや、ジョンの母ジュリアンの名を何故出すの?リスペクト?
[DVD(字幕)] 6点(2011-02-19 18:16:14)(良:1票)
30.  赤い影 《ネタバレ》 
怖くも面白くもなく、楽しめませんでした。ジョンとローラの夫婦の物語。赤い服を着た娘が、池で水死する。ジョンは教会の修復の仕事でベネチアに来ており、妻も同行。妻は盲目の霊媒師と出会い、亡き娘とのコンタクトに成功。霊の世界で元気にしていることを知り、娘の死のショックから立ち直る。霊媒師が言うには、ジョンに危険が迫っているのでベネチアから立ち去りなさいと亡き娘が警告しているとのこと。ジョンはそれを信じない。一方周囲で不思議なことが起る。赤い服の影が現れては消え、連続殺人が発生。寄宿学校の息子が怪我をして妻は帰国。ジョンは修復作業中、空中物見台から落下しそうになる。その後いない筈の妻が霊媒師と一緒にいるのを目撃。警察に依頼して探すが、結局人違いと判明。妻は戻ってくる。ジョンは警察にいた霊媒師に謝罪し、家まで送る。ジョンが帰ると霊媒師は急変し、「彼を行かせてはだめ」などと叫ぶ。そこへローラ登場。ジョンを探す。ジョンは赤い服を来た人物を発見し、追跡する。追い詰めるジョン。向き直った人物は気味悪い老婆の顔。刺殺。◆解釈。ジョンに自覚はないが、未来を見る能力があった。書斎でスライドに無い筈の血があるのを見て、娘の死を予感。その血は自らの死ともつながっていた。ではジョンを死に至らしめたものは何か?赤い服の人物の正体は?連続殺人と関係があるのか?妻の幻の意味は?何の説明もないまま物語は終る。細かいが、ジョンが赤い影追跡中、わざわざ門の鍵を閉めるシーンがある。これによって妻が追跡できなくなるのだが、どう解釈するか。無意識に妻を守ったのか、無意識に助けを遮断したのか。いずれにせよ妻は鍵を開けようと思えば開けれたわけだし、追跡の最中にわざわざ鍵をかけないだろうと揶揄する意見もある。ジョンは妻がいるのを知らなかったのだし。◆オカルトものとは知らずに観るとがっかり。霊媒師はフェイクで、牧師が連続殺人の黒幕と思っていた。演出は趣味が悪い。意味無く長いベッドシーンや水中から引き上げる死体然大音量と共にくどいフラッシュバックの大袈裟さ。登場人物をみな薄気味悪く見える。唯一良かったのはジョンが空中物見台にいるときに材木が落ちてきてぶつかるシーン。これは迫力があった。衝撃のラスト?一目で血糊と分るんですが。帰国せず、ベネチアで葬儀を上げるのも解せないなあ。
[DVD(字幕)] 4点(2011-02-13 00:34:29)
31.  ジャガーノート 《ネタバレ》 
爆弾処理のサスペンスもの、同時に進む犯人探しの捜査もあざやか。構成は合格だ。だが残念に思えるところが多い。第一に伏線が活かされていない。乗船に脱落した海軍のメンバーに変わって船員が参加するが、その後活躍しない。船員の嘘を見破った町長も、結局何の活躍もしない。浮気したことあるのと奥さんに問われるが、あの奥さんじゃ誰だって浮気したくなると思うよ。捜査員の一人の家族が船に乗っている。彼の苦悩が思いやられるが、さほどの心情も表わさず普通に心配するだけ。これらはもったいないですね。彼らをヒーローに仕立ててこそ映画は面白くなるというもの。第二に演出の問題。子供が勝手に厨房に忍び込み、子供を探しに来た給仕と共に爆発に巻き込まれる。給仕は死亡するが、子供はそれを嘆くどころか、父親にそのことを誇るような電話をする。母親も給仕に対して何とも感じていないようだ。悲劇を盛り上げる気がないのか。船長とその恋人の曖昧な恋は最後まで煮え切らないまま。美人でもない中年の恋人に辟易。爆弾が仕掛けられてあり、生きるか死ぬか、絶体絶命のピンチである。それなのに仮装パーティなど開くか?皆思いっきりつまらない顔をしているが、それなら参加しなければいい。このあたりの不用意な演出で作品に散漫な印象になっている。追い詰められた乗客の演出が必要。爆弾は二回爆発するが、被害かよくわからない。爆発で穴の開いた船を見せていないから。船長も妙に落ち着いている。爆弾のある部屋を閉鎖しておけば、全部爆発しても船は沈まないと思えてくる。爆発があっても乗客の態度に変化はない。これではだめ。徐々に盛り上げなければ。監督はパニック映画の基本がわかっていない。最後はキャラ設定。犯行手口と犯人のキャラが合致しない。刑事に船のパンフを見つけられただけで鼻血を出し、すぐに自白。動機は自分を重用しなかった政府への復讐とお金。金の回収に失敗すると、取り決めは全てキャンセルと丁寧に電話。あの方法では失敗するだろう。平凡過ぎて、複雑なトラップを仕掛けた犯人とは思えない。「スピード」の爆弾犯のような毒が欲しい。一方主人公の破天荒な言動や行動は個性的で好ましい。犯人は上司だったわけだが、両者の関係をもっと踏み込んで欲しかった。作品に重みが出る。七つのドラム缶をどうやって運んだのか?船があれだけ揺れて爆発しないのは何故?
[DVD(字幕)] 7点(2011-02-11 10:42:39)(良:1票)
32.  穴(2001) 《ネタバレ》 
悪女の奸計と狡知により完全犯罪が成功したわけでなく、総て偶然ととっさの嘘の産物。こういう映画を作った関係者を付け上がらせてはいけません。どんどん突っ込みましょう。 ①リズはマイクに片思い。リズの親友フランキーとジェフはラブラブ。野外研究授業をさぼって四人でシェルターで三日間過ごす?あんな不気味なところ誰が行くか!野外授業の方が絶対楽しい。 ②リズが鍵を閉めたわけだが、そのことに誰も気づかない。自然に鍵が閉まるわけがないのに。 ③10日目にフランキーが食道の血管の破裂による心臓麻痺で死亡。それでも言い出さないリズ。水と食料がわずかで、死体と一緒に過ごす方を選択をする理由がわからん。 ④コーラを黙って飲もうとしたジェフをマイクが殴って過失致死。ちょっと不自然。 ⑤18日目リズが扉を開けると、真相を知ったマイクが激怒。リズを殴りにはしごを登って墜落死。マンガだね。 ⑥電燈が徐々に消えてゆき、トイレの水も流れなくなるけどどうして? ⑦警察に電話したときキャーと叫ぶのは芝居? ⑧警察に真相を言えないリズ。とりあえず男友達マーティンのせいにする。すぐにばれる嘘をつくな。 ⑨警察はリズに「どうやって出てこれたのか?」を追求すればよかったのに。誰かが鍵を開けたのは明白。身体検査をすれば鍵は発見できた。 ⑩マーティンは釈放されるとリズの家に。リズを糾弾するが逆襲に遭い殺される。鍵をポケットに入れてダムから川に投げ込まれる。弱い男だね。そもそもマーティンは警察に監視されていた筈だが。 ⑪警察はマーティンを自殺と判断するけど根拠がない。そもそもリズ発見の日にはマーティンは海外にいた。どうやって鍵を開けられる?また犯人だとして、いつまでも鍵を持ってないでしょ。捨てるでしょ。 ⑫精神科医にシェルターに行きたいと言い出すリズ。意味不明。勝手に中に入る二人。そこで真相をしゃべるリズ。不自然、不可解。 ⑬精神科医の同僚がやってきて「マーティンが自殺した。まずいことになったな」と精神科医を責めるが、なんでそうなるの?精神科医はマーティンとは接触してないのに。 ⑭「彼は年老いることも私を裏切ることもない、永久に。いつまでも理想の恋人のまま」勘違いも甚だしい。お前が殺したんだ! ⑮誰も手記を残すことを思いつかなかったのか。 ⑯扉の傍ならケータイつながるでしょ。
[DVD(字幕)] 3点(2011-01-26 09:14:18)
33.  コレクター(1965) 《ネタバレ》 
男は社会的不適格者でも病的変質者でもない。元銀行員であり、通常の社会生活は営める。両親がおらず、貧乏で育ち、孤独な青年。人見知りが強く、対人関係が苦手で、人から嘲笑される人生をおくってきた。美人画学生Mに片思いしているが、声をかけることもできず、遠くから眺めて、崇拝しているだけだ。趣味は蝶の採集。そんな男にクジが当り、金持ちになる。地下室のある家を購入。蝶の採集をまねてMを捕獲し、自分への愛が育つのを待つことにする。◆男が欲しかったのは性的関係ではなく、愛だ。あるいは性的不能者なのかも知れないが。いずれにせよ、人間を虫のように扱って監禁し、人間らしく愛してくれというのは無茶な要求だ。愛されずに育ったせいで、愛というものを理解できず、人を真に愛することが出来ない。「ライ麦畑でつかまえて」を読んでも人の心の痛みが分らない。ピカソの画集を見ても、その創造性を理解できない。人に愛されたかったら、愛される人間にならなければならない。男はMを愛しているといってもそれは上辺のことだけに過ぎない。◆好きな女を監禁して、自分の思うようにしたいと妄想するのは珍しくない。この作品では、性的関係は強制せず、「自然に愛が芽生えてくるまで待つ」というところが新しい。愛欲よりも愛情に飢えている。妄想の視点が違うのだ。どのような成育歴により、このような歪んだ精神になったのか、また男が昔からどんなにMを崇拝していたかなどが十分に描かれていないので、単なる変質者に観られてしまう恐れがある。男は常に無表情で不気味、その内面でどれほど愛に飢えているのかを描いていないのが最大の欠点だろう。男の苦悩、心の叫びが見えてこない。不条理、理解不能を前提としながらも、いつしか男に同情してしまうほど人間が描けていれば成功しただろう。男を罰する終わり方にすれば少しは共感できた。◆虚弱な男なので、隙を見て鈍器のようなもので後頭部を殴って逃げ出せば良いと思う。お風呂に入ったとき熱湯をぶっかけるとか、暖炉の焚火を利用して放火するのも良い作戦。廊下を突き落すのもグッド。こういう男は懲らしめて矯正しないとタメ。もっと知的に攻略したいのなら、散歩したいとか、ドライブしたいとか、仮病を使うとかして外に出る機会をつくること。相手は気弱で、すでにかなり譲歩しているので強気に出れば可能。自殺未遂という手もある。
[DVD(字幕)] 7点(2011-01-18 23:03:39)
34.  バルカン超特急(1938) 《ネタバレ》 
冒頭のおもちゃのようなセットの町に口あんぐり。何もかもがユルイ。密室、鉄道、サスペンス、アクション、ラブコメ。道具立ては良いのだが、詰めが甘い。◆ホテルで小夜曲を歌う男が突然出てきた手によって絞殺された。あの歌は暗号だったのか?何故そんなまどろっこしいことをするのか?で、スパイの老嬢がその曲を覚えて、駄賃の小銭を投げる。殺されたのに気づけよな!翌日出発の駅で老嬢が娘に向かって、「私の茶色のバック知らない?」知るわけないよね。そして階上から老嬢めがけて植木鉢が落とされる。が手元が狂って、隣の娘の頭に激突。自分が狙われていることに気づかない老嬢。本当にスパイ?◆植木鉢の件から推察するに、敵は老嬢を拘束して尋問したいのではなく、ただ殺したいだけのようだ。それなのに随分と手の込んだことをする。同席の乗客を買収。ウエイトレスの一人は仲間。高名な医者も仲間。老嬢の身代わりを病人に化けて乗車させる。付添いの尼僧も仲間。娘が寝た隙をついて、老嬢を拉致、病人とすり替える。そんな面倒なことをしなくてもスパイ罪で逮捕するか、毒殺でもすれば済むものを。三流国の警察のやることはわかりませんね。◆娘と音楽家は列車の物置場で奇術師の男と対決する。倒した男を箱に閉じ込めたら消えてしまったが、どこに消えたのか?男はどうやって客車に戻ったのか。◆・尼僧の裏切りで敵の策略が明らかとなり、老嬢を取り戻してからもドタバタは続く。銃撃戦だが、敵は最終ターゲットである老嬢が逃げても追わない。撃たれて死んだと思ったのか。それでも銃撃戦を続けるのはなぜ?銃撃戦が始まっても逃げない運転手達。あーあ、結局殺されちゃった。◆外務省に着いた娘と音楽家。音楽のことはまかせてくれと言っていたのに旋律をすっかり忘れている男。旋律を弾く老嬢に出会うが、科の尉はどうやって早く戻ってくることができたのか。一方は鉄道、一方は徒歩だよな。◆いつも喧嘩ばかりしているダブル不倫カップル。男は死んでしまった。女のその後は描かれず。それにしても6週間の不倫旅行とは…。◆クリケットファンの二人の紳士。ロンドンに着いたら試合が中止。唖然とする二人。だが観客も唖然とする。登場人物が一体となって同じ方向を向き、勝利することでカタルシスを得る。なのにこの映画は最後まで登場人物場がばらばらの方向を向いている。おしゃれなコメディのつもりだろうか。
[DVD(字幕)] 6点(2011-01-18 01:05:40)(笑:2票)
35.  ナイル殺人事件(1978) 《ネタバレ》 
良かったのは、エジプト観光気分を満喫できた点。気になったのは、エジプト人に対するリスペクトが無い点。エジプトでは上映不可だろう。◆終始一貫のんびりムード。遊覧船の乗客ほぼ全員に犯行動機があるというのに。殺人が起きて誰も警戒しない、鍵もかけないし、部屋に閉じこもらない。その割に死体がゴロゴロ。アンバランスだね。◆捜査は至って楽。なにせ犯人が、わずか数名の乗客の中にいるのだから。とりあえず容疑者の手を観察し、匂いを嗅いで、硝煙反応を確認すれば良いね。◆この手の作品の良し悪しは、犯行計画が見事かどうか。サイモンは妻を殺したいのなら、事故にみせかけてピラミッドから突き落すとか、コブラ使うとか、いくらでも機会はあった。わざわざ元恋人ジャッキーと手の込んだ芝居をする必然性が無い。彼女がサイモンをフェイクで撃ったとき、目撃者一人の他に駆け付けたのが一人だけだったから成功したが、他の人も駆け付ければ計画は破綻。それが医者だったら負傷して無い事がばれるし、妻ルイーズが来ればどうするつもりだったのか。妻は寝ていて射殺されたけど、ついさっきまでカードしてたよね。起きて他へ行っていたらどうする?そもそも撃った弾が足元の床にめり込んでいるんだから、ばればれ。その場はごまかせても現場検証で確実に発見される。空砲を使いなさい!そして妻射殺の際の爆音に誰も気づかないのはどうして?このとき誰かが駆け付ければ計画は破綻。目撃されるだろうし、少なくともサイモンは自傷する機会を失う。◆拳銃だが、ジャッキーが床に捨てたのに、みんなが現場に戻って来たら無くなっていた。その拳銃が殺人に使用されたわけだが、現場に残っていたのはサイモンだけなのだから、彼が知らないはずが無い。第三者が持ち出せた可能性はあるが、誰も拳銃のことに言及しないのが不思議。凶器が床に落ちたのに、拾おうともしない。◆目撃した小間使いは犯人にお金を要求して刺殺。でも紙幣の破片が指に残ることは無い。死後硬直して無いのだから。◆目撃した女流小説家は2メートルくらいの距離で射殺されたんだから、逃げる姿くらいは目撃できたでしょ。◆即死なのにダイイング・メッセージ。肩掛けにハンカチと拳銃を包んで捨てればいいのに、わざわざ灰皿を重しに使用。真珠を盗んでも返したらおとがめ無し。母親を殺された翌日に婚約。睡眠薬を飲まされ、毒蛇を部屋に放たれる愚鈍な名探偵。
[DVD(字幕)] 6点(2011-01-08 17:14:05)(良:3票)
36.  チャップリンのニューヨークの王様 《ネタバレ》 
王様は、原子力エネルギーを平和利用し、理想的な社会を建設するという計画を持っていたが、反対に逢い、同時に革命が起り、米国に亡命する。王様はお金のことを第一に気にし、女っ気も抜けない俗人である。一方で妻には優しいし、演説好きの天才少年にも親切である。つまり平均的な人間、人間らしい人間である。それがアメリカ文明の洗礼を受け、受け入れられず去ってゆくという物語。 ◆前半はギャグや笑える風刺満載で十分楽しめる。後半はマッカーシズム(赤狩り)に対する反論が強く出てつまらなくなる。「『ニューヨークの王様』は私の映画のなかではもっとも反抗的なものだ。私は、今話題になっている死に行く文明の一部になるのはごめんだ」という彼の言葉が残っている。ビクトリア朝生まれのチャップリンにとって、50年代後半のアメリカ文明は荒廃しきっているようにしか見えなかったのだろう。無理もないことだ。ロック、フィルム・ノアール、あくどいほどのコマーシャリズム、人権侵害。「死に行く文明」と見えなくもない。 ◆「新しいモダン・タイムズ」を目指したということだが、文明批判としては弱い。自分の主張を子供に代弁させるのは大人気ないだろう。結局失われたのは天才少年の童心だけである。王様はお金を失ったが心に傷は負わなかった。王様にとって米国亡命は、珍しい経験ができて良い休暇になった程度のことに過ぎないだろう。コマーシャリズムの権化であるCMタレント、アン・ケイも良い人で終わる。決定的に毒(ブラックユーモア)が足りないのだ。王様が失うものが大きければ大きいほど、観客に訴えるものがあったに違いない。 ◆マッカーシズムが収まってから発表された作品で、タイミングも悪かった。米国では上映出来ず、商業的には失敗だった。皮肉ではないが、この内容が受けるのは米国くらいだろう。 ◆良いところもある。映画予告には笑いころげた。パロディ精神は衰えていない。突然CMをしゃべりだすのは秀逸。もっと見たかった。キャビアや亀のマイムは面白い。映画館でロックが演奏されるが、マイクスタンドがあるだけで歌手は見えないというのはシュールすぎたか?。笑いのアイデアは古びていない。自分が大衆受けしているのに気づかないところやペンキ塗りコントなど「サーカス」を彷彿させるものがある。喜ぶ仕草など、一部で原点返りしているのは嬉しい。
[ビデオ(字幕)] 6点(2010-12-14 18:37:25)
37.  チャーリー(1992) 《ネタバレ》 
◆監督はチャップリン(C)の作品よりも、私生活、特に女性遍歴に興味を持っているようだ。女性の年齢を強調し、必要以上に裸を見せる。C本人が観たら激怒すること間違いない。 ◆Cが成熟した女よりも少女に興味を抱くのは、恐らく彼の完璧主義的性格が原因だろう。不幸な生い立ちのせいで、理想の高い家庭像を抱いているが、それにはCの言うことを何でも聞いてくれるタイプの妻が必要。1から全てを教えて理想通りの妻に育てたいのだ。だがそれはうまくゆかず、離婚再婚を繰り返す。 ◆映画ではCが恩人の元を去り、独立したのはお金のためだとしている。貧困育ちの彼が人一倍お金に執着するのは理解できる。しかし、それよりも彼の完璧主義的性格の方が主因だと思う。自分の思い通りにやらないと気が済まない性格なのだ。彼が監督、脚本、プロデューサー、主演、音楽を一人でこなしたのは偶然ではない。そうせざるを得なかったのだ。それだけの実力があったし、成功も収めてきた。だがそれ故に多忙となり、疲弊し、家族のことがおざなりになる。それが私生活の乱れにつながる。 ◆貧困時代が興味深い。兄や母との涙の別れ、孤児院の所員との追いかけっこ、ひょこひょこ歩きの集荷人、盲目の少女など、彼の後の映画のモチーフがさりげなく紹介されているのが心憎い。舞台時代のパフォーマンスが見れるのも嬉しい。初恋の女性ヘティに求婚したとき「愛の言葉もなくて?」と言われ、「言葉なんて必要かい?」と返すところは、彼の後のサイレントへの執着を暗示している。 ◆「浮浪者がしゃべったら魔法を失う」という彼の主張は的を得ていると思う。しかし同時に彼の限界でもある。初の完全トーキーは「独裁者」。最後の長い演説を聞かせる必要があったからだが、世界中に愛の言葉を伝えたいという情熱が、自分の壁を打ち破ることにつながったことは興味深い。監督はその演説シーンのスクリーンにペンキをかける。監督がCファンでないことは明らかだ。 ◆母親には限りない愛情を注ぐ一方で、父親に対してはひどく冷淡だ。終生嫌悪していた二番目の妻に対しても同様だが、一度嫌いになると許せないらしい。世界に愛を伝えたCが、自分の父を愛せないとは皮肉なことだ。伝記映画で父親が一度も登場しないのは不自然だし、残念だ。父不在が彼を幼少期から独立心を育ませた。彼が渇望していたものは常に愛であり、作品に強く反映されている。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-12 19:55:16)
38.  名探偵ポワロ エンドハウスの怪事件<TVM> 《ネタバレ》 
大富豪のシートン卿が亡くなる。遺産を受け継いだ甥のマイケル・シートンが、飛行機世界一周冒険旅行中に事故に遭うというニュースが流れる。シートンはマギー・バークレーと婚約中で、財産をマギーに与えるという遺書を残していた。お金に困っていたマギーの従姉でエンドハウスの主人ニック(美女)は、二人の婚約が秘密裡に行われていることを知っており、遺産奪取を企む。マギーを亡き者とし、正式名がマギーと同じマグダラであることを利用し、シートンと婚約していたのは自分だと主張する計画。  先ず自分の命が何度も狙われているという作り話をし、ポアロの前で銃に撃たれたように芝居。ポアロの勧めで後見人としてマギーを呼び寄せる。自分のドレスをマギーに着せ、射殺。マギーが人違いで殺害されたと見せかける。なおも芝居を続け、自作自演の毒入りチョコをで食べる。あらかじめマギーの家からシートンからの手紙を盗んで自分の部屋に置いておくという小細工もしていた。ポアロはニックを死んだことにして捜査する。 【ミスリード】①エンドハウスの園丁夫婦がニックの偽の遺言状を作成。②ニックの友人たちが麻薬常習者。一人は麻薬売買で金を儲けている。③女友達のコートの中に拳銃。 【感想】事件が起こる前からポアロが絡み、展開する。いくつかの異なった証言があり、どちらから嘘をついているのだが、それがなかなか明らかにされず、最後までサスペンスが持続する。人違い殺人と見せかけたため、殺害動機が終盤まで不明。ミステリーとしてかろうじて合格ラインには達しているレベル。そもそも婚約者の取り替えは不可能だろう。いくら秘密にしていても周囲には分る。ニックがシートンの遺言の内容を知っていたことにも疑問がある。盗んだ手紙にしても宛先が違う筈だ。マギーだが、婚約者が事故で死んだかもしらないという重要な時にのこのこやって来るだろうか。毒チョコは誰に頼んで送ったのか。帽子を貫通した弾が座席近くに落ちていたのも不自然。ニック一人の犯罪としては無理が多く、誰か協力者を作ればよかった。命を狙われている本人が犯人だというのが最大のミスリードだが、他に大したミスリードもない。事件が一つしか起こらないのも物足りない。死んだふりや霊媒会などの小芝居は鼻白んだ。美女の演技は良かった。
[ビデオ(吹替)] 6点(2010-12-09 22:30:13)
39.  リトル・ダンサー 《ネタバレ》 
◆物語はサクセスストーリーの王道。炭坑町の貧しい少年がクラッシック・バレエを目指すという視点は興味深い。 ◆最大の見せ場はビリー少年の踊り。気迫とパワーは感じる。でも体は固いし、足は上がってない、高度な業はなし、軸もぶれている。バレアは体の柔軟性を求められるので、あれでは不合格か。「特別な素養」は感じられず。吹替えでよかったのに。 ◆違和感のあったのは音楽。T・レックスのブギー、クラッシュのパンク、ジャムのロック。少年の目指していたのは何か。ロックに陶酔してバレエを目指す人はいないと思う。 ◆あの旧弊で頑固な親爺はバレエなんか絶対理解しないと思う。町を出たこともなく、炭坑のことしか知らない。文化には無関心の男。ラストの男だけの白鳥の湖なんて反吐が出るのじゃないかな。妻のピアノを薪にする男だ。普通売るよね。その親爺が息子のダンスを見て急変し、性格も手の平返しの家族愛、自己犠牲モード全開。こういうのは徐々に変わっていかなきゃ不自然。兄も同様。弟なんかと馬鹿にしきっていたのに、「Imiss you」。二人が偏見を捨てて少しずつ理解を示してゆく様子が人間ドラマの見せ場も筈。周囲の偏見もあっという間に無くなり、資金援助。 ◆父のスト破りが感動場面。兄に咎められて男泣き。これはよかった。史実としてストの暴動で死者が出たし、スト破りには凄惨なリンチがあった。 ◆師弟愛が中途半端。最大の功労者の女教師は、何故ショーに招待されないのか?ビリーが「あなたは負け犬だ」と詰った罪は償われていない。両者の関係は最後までよく解らないままでしたね。普通は合格目指して猛特訓とか、強い絆が出来る場面があるのですが。 ◆ビリーは本当にバレエを目指していのか。ダンスが好きとは言うけど、バレエが好きとは言わない。自ら臨んで試験を受けたいという場面がなかったような。試験に臨んでもやる気ない態度だし、話しかけてきた少年は殴る。どこでバレエに目覚めたのかあやふやです。 ◆ホモの少年マイケルは、ビリーと同じ異端者、アウトサイダーとして登場。でもお互い理解しあっているのか。マイケルはビリーに惚れていたのですけど。大人になって女装して、恋人が黒人、それで幸せなのかな。 ◆祖母は痴呆症と思うんだけど、直るんですね。 ◆最大の謎、開始15:10のところで車の影になった教師の娘の姿が消える。
[DVD(字幕)] 7点(2010-07-23 22:20:59)
40.  勝利への脱出 《ネタバレ》 
◆全体的に緊迫感が足りない。冒頭場面では脱出者が銃で撃たれた。これは厳しい収容所だなと思っていたが、あとはゆるゆる。ハッチ(スタローン)が脱出する場面はうまくいきすぎ。何度か気づかれそうになるが何とか切り抜けるという演出を何故しない。それからハッチは一度収容所に戻るように説得される。ここの葛藤も描かれていない。同じく腕を骨折させられる選手の人間性がどれだけ描かれていたか?上辺をなぞっているだけだ。そして最大のクエスチョンは、ハーフタイムで脱出するのを選手たちが拒否する場面。それまで選手たちのサッカーに対する思い入れが語られてはいない。だから彼らの思いが伝わってこないのだ。このあたりの演出の不首尾が映画全体としてのドラマ性の希薄につながっている。演出上のタメがなく、なにもかもあっさりと進みすぎる。 ◆恋愛部分にしてもしかり。子持ちの未亡人じゃヒロインにはなれない。せめて彼女の悲惨なバックグランドが語られていたら反戦映画になれたのに。女性レジスタントという魅力的なキャラがもったいない。 ◆捕虜にハングリーさが感じられないのも残念。顔や眼にぎらぎらするものがほしい。彼らはただ安穏と生活しているように見える。 ◆サッカーの試合が決まったとき、コルビーコーチは各収容所から有名選手を集める。これは明らかに間違い。あの収容所のメンバーで試合することが大切なのだ。素人が一丸となって我武者羅に練習し、チームワークにより、奇跡的に勝利するという筋書きが一番感動できる。寄せ集めチームじゃ感情移入できない。 ◆サッカー場面はそこそこ見れたが、不満要素も多い。もっと華麗なプレーが見たかったし、スローやアングルにも工夫が欲しい。実際のサッカー選手を使っているのだからもっと魅せることはできたはず。ハッチのキーパーは全くの素人で見どころがない。最後ももっとぎりぎりのところでセーブすべきだろう。ところで同点の場合は延長戦があるはずだが、アメリカ人は知らないのだろうか。 ◆最後のどんでん返しは賞賛できる。なだれこんだ観衆と共に脱出というアイデアにはしびれた。脱帽です。ドイツ軍将校が紳士的なのにも好感。同点で終わらせたのも気遣い?サッカーファン、脱出ものファンなら楽しめる作品には仕上がっています。
[DVD(字幕)] 6点(2010-07-07 03:40:49)(良:1票)
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