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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2405
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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381.  10億ドルの頭脳 《ネタバレ》 
ご存知ハリー・パーマーが活躍するシリーズ3作目で、監督はなんとケン・ラッセル!モーリス・バインダー謹製のカッコ良すぎるオープニングタイトルは必見です。まだ若きころのケン・ラッセルですが、やはり「らしさ」は垣間見ることができます。後半エド・べグリー演じるテキサスの反共大富豪が登場してからはもうハチャメチャです。彼がソ連侵攻のために編成した私設軍の旗なんか、ナチスのハーケンクロイツそっくりというベタぶりです。そしてこの映画の特色は、フランソワーズ・ドルレアックの遺作ということです。峰不二子の様な謎の女として登場しますが、結構出番も多くて彼女の美しさを堪能できます。ラスト、ハリー・パーマーに微笑みかけながらヘリで去っていく姿には、本作の完成直後に本当にこの世から去っていってしまったことを知っているだけに涙が出ます。
[ビデオ(字幕)] 5点(2009-09-22 20:22:03)
382.  わらの犬(1971) 《ネタバレ》 
ペキンパーが初めて撮った現代劇ですが、それまでとはがらりと違う作風です。後半の殺戮シーンにはお約束のスローモーションが使われて、そこら辺はペキンパーらしさが見えるのですが。再見して感じるのは、思っていたより知的な映画だったなということです。ダスティン・ホフマンの演技も良いのですが、普通のちょっと臆病な人間が暴力を行使することに躊躇しなくなる過程が説得力ある映像で表現されていて、ペキンパーという監督の奥の深さを見せつけられました。公開当時から暴力賛美の映画だという批判(もっともこれはペキンパー作品にはつきもの非難ですが)がありましたが、ホフマンはバイオレンスを楽しんでいるのでは無く、自分の力の行使に酔っているだけであり、ペキンパーは人間の理性と暴力性は薄い壁で隔たれているだけなんだと表現したかったのでしょう。男の眼からはちょっと問題が多いスーザン・ジョージの奥さんですが、ラスト最後に残った暴徒を射殺して初めて亭主のホフマンと心がつながったように見えるのは皮肉でした。
[映画館(字幕)] 8点(2009-09-21 19:55:37)
383.  マッケンジー脱出作戦 《ネタバレ》 
捕虜収容所からの脱走映画は数多いですが、ドイツ側の脱走をテーマにしているのが珍しい。いわば「大脱走」逆バージョンですが、「大脱走」とは全然違うテイストの映画です。第二次世界大戦中、スコットランドのマッケンジー捕虜収容所が舞台です。序盤はなかなか快調で、ドイツ兵捕虜と英国収容所側との駆け引きが面白く、中でもスパイと合流するために二人を先に脱走させますが、点呼のときにばれないようにマネキンに軍服を着せて「代返」で監視兵の眼を欺くというエピソードは傑作です。総じて英国側がちょっと無能すぎるところがありますが、いくらなんでも捕虜が収容所内でモールス信号機を作って外部と連絡をとるというのは話が出来過ぎです。捕虜のリーダーはUボートの艦長だった種ルーター大尉で、他の陸軍や空軍の捕虜を差し置いてUボート乗員の捕虜だけを脱走させようとして捕虜内で軋轢を生みます。また英国側も脱走計画を探るため情報部がコナー大尉を所長の補佐として送り込みます。このコナー大尉が新聞記者上がりで女性士官にすぐ手をつける規格外れのアイルランド人ですが、有能ではあり脱走計画をかぎつけることには成功します。先手をとってシュルーター大尉は脱走を決行するのですが、その手段が捕虜仲間を犠牲にする冷酷非情なもので、映画の方もそれまでのちょっと明るい知恵比べの雰囲気が吹き飛んでしまいます。コナー大尉は最後に脱走したUボート乗員を追い詰めるのですが、ラストは両者敗北というカタルシスのない結末に終わります。コナー大尉というキャラは、ズル賢いですが行動に穴が多くて、そこがこの映画から爽快感を奪うことになっています。脱走映画はその計画と準備をいかにもっともらしく描くかが重要なのですが、本作の場合特に脱走後の展開が荒っぽすぎて、前半の面白さを吹っ飛ばしてしまったのが残念でした。
[DVD(字幕)] 6点(2009-09-21 01:21:08)
384.  ピーター・セラーズのマ☆ウ☆ス 《ネタバレ》 
原作はレナード・ウィバリーのユーモア小説「子鼠ニューヨークを侵略」です。フランスの隣に「大フェンウィック公国」という世界最小の独立国があり、その国はグロリアナ12世という女王が治めていました。中世に英国人貴族が創った国ですがずっと平和に過ごしてきたので、軍隊は持っていますがなんと武器は弓矢で軍装は中世時代の経帷子。唯一の産業はワインの輸出で「フェンウィック・ワイン」として世界的に売れていたのですが、カリフォルニアの業者が「エンウィック・ワイン」という偽ブランドでシェアを奪い、大フェンウィック公国の財政は破たん状態になってしまいます。困った首相ルパート伯爵は突拍子もない戦略を考えます。それは米国に宣戦布告して開戦し、すぐに降伏して米国に占領してもらいます。米国は寛大だから敗戦国大フェンウィック公国に財政援助をしてくれて、きっとお国の財政状態は回復して繁栄するに違いないという思惑です。ここら辺の理屈は、太平洋戦争の敗戦国である日本人には耳が痛いジョークです。この作品では、ピーター・セラーズが女王・首相・NYに派遣される軍司令官(本職は森番)の三役を演じています。最も本作では「博士の異常な愛情」ほどアクの強い演技ではないので、ちょっと拍子抜けですが。弓矢を担いで経帷子を着た22人の遠征軍は苦労してNYにオンボロ船でたどり着きますが、そこで降伏してくるはずが指令を間違えて、開発中のポータブル新型核爆弾と開発者父娘たちを人質として連れて帰国してしまいます。そこから英・仏・露を巻き込んで、子鼠の様な小国が世界を相手に思わぬ駆け引きをすることになります。と、ストーリーは諷刺が効いて面白いのですが、監督がB級SF専門のJ・アーノルドなのでもたもたした印象しか残らないんですね。後半は核兵器廃絶を訴えるメッセージが前面に出てくるのですが、その分皮肉が薄れて笑えないのが残念でした。英国人で、リチャード・レスターの様な人が監督したらもっと面白かっただろうと思います。それから本作はコロンビア映画の配給ですが、最初に映るトレードマークの女神がびっくりさせてくれます。これは観てのお楽しみ。
[ビデオ(字幕)] 5点(2009-09-17 08:09:08)
385.  愛と哀しみの果て 《ネタバレ》 
実は私は邦題が「愛と~」とつく映画にアレルギーがあって、70~80年代に撮られたこれらの作品をリアルタイムで観たことがありませんでした。この映画も今回初めて観ましたが、さすがシドニー・ポラック監督らしく王道中の王道を行くロマンスで、想像していたよりはるかに楽しめました。自分の琴線に響いたのはブロア男爵役のクラウス・マリア・ブランダウアーの演技で、ロバート・レッドフォードの死をメリル・ストリープに告げに来るシーンに、怠け者で遊び人なのに彼が不思議とすごく男らしく感じてちょっとホロりとさせられました。ジョン・バリーの音楽がまた美しくてこの作品の印象を良くしています。あの素晴らしいアフリカの空撮は、やはり劇場のスクリーンで観ないといけませんね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-09-15 21:14:56)
386.  シンプル・プラン 《ネタバレ》 
確かにコーエン兄弟的な世界ですが、ラストにあの夫婦がたどり着いた結末はちょっと肩すかしをくらった様な気がしました。ビル・パクストンはこの映画の中で結構人を殺していますが、あのまま平穏な生活に戻れるとはちょっと考えにくいですね。そういう風に感じさせてくれるラストでした。頭がきれるブリジッド・フォンダが指図すると、それがことごとく予想もしない展開になるのがおかしかったです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-13 15:27:07)
387.  フランケンシュタインの逆襲(1957) 《ネタバレ》 
意外にも、ハマー流ではありますが正統的な「フランケンシュタイン」のリメイクでした。クリストファー・リーがドラキュラ伯爵を演じる前にフランケンシュタインの怪物だったとは驚きでした。ハマー映画として出来はまあまあってとこですが、フランケンシュタイン博士がラスト死刑になるところがちょっと変わっていて良かったかな。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2009-09-08 23:03:02)
388.  トリプルクロス 《ネタバレ》 
第二次世界大戦で最も功績をあげた二重スパイであるエディー・チャップマンの伝記の映画化です。実はこの作品が製作されたときはチャップマンのスパイ活動の詳細はまだ国家機密で、映画でもそこを補う意味で大幅に脚色されており、当時存命だったチャップマン本人も内容に非常に不満だったそうです。戦前ダイナマイトを使う強盗として暗躍したチャップマンは、英仏海峡に浮かぶ島ジャージー島で警察に逮捕されます。第二次世界大戦が始まりジャージー島はドイツに占領され、島内の刑務所で服役していたチャップマンは占領しているドイツ軍にスパイを志願します。訓練の後英国に潜入したチャップマンはすぐに英国情報部に寝返って二重スパイになり、ドイツ軍は最後まで彼が二重スパイであることに気づかないでチャップマンの送る偽情報に踊らされることになるのでした。最近出版されたチャップマンの伝記を読みますと、なんと監督のテレンス・ヤングは犯罪者時代のチャップマンと親交があったそうです。その本によるとヤング自身も戦前は結構ワルで、彼が監督した007のボンドのキャラはヤングのワル時代をモデルにしているそうです。このテレンス・ヤングという人、監督としては本当にヘボで007シリーズ以外は駄作ばっかしですが、その中でも本作は一番ひどいのではと思います。チャップマンはクリストファー・プラマーが演じていますが、彼がなぜ二重スパイになったかという描写が皆無で、いたずらにジェームス・ボンドになぞらえているだけです。また、ドイツ側の情報将校役をユル・ブリンナーがあのスキンヘッドで演じていますが、ほんとこれは似合わなかった、ミス・キャストです。私が鑑賞したのは相当前にリリースされたビデオ版ですが、テレビ放映版を使ったのかなんと30分も短いバージョンでした。チャップマンの話は本当に「事実は小説よりも奇なり」を地で行く驚愕の実話なので、スピルバーグあたりに是非リメイクして欲しいものです。
[ビデオ(字幕)] 3点(2009-09-05 15:41:23)
389.  ナイト・オン・ザ・プラネット
オムニバス好きな自分ですが、この作品が今まで観たなかでのベスト・オムニバスです。冒頭L.Aで夜が始まり、最後のヘルシンキで朝が来るという一夜の出来事なのですが、地球上ではこれだけのドラマが生まれたのですね。私には何も起こらなかったヘルシンキの話が意外と琴線に触れました。そしてジーナ・ローランズ、さすがいい味です。
[DVD(字幕)] 9点(2009-09-03 21:43:03)
390.  恐怖の魔力/メドゥーサ・タッチ 《ネタバレ》 
出だしは正統ミステリー調で始まります。冒頭リチャード・バートンが何者かにぼこぼこにされ瀕死の重傷を負います。そしてなぜかロンドンの警察に所属しているリノ・バンチュラ刑事(フランス警察が交換研修で送り込んだという説明ですが、リノ・バンチュラを起用するための苦肉の設定)が担当で捜査を始めます。バートンが精神科医にかかっていたことを知り医師リー・レミックから話を聞きますが、そこからバートンの妄想なのか現実に起こったことなのか判断つきかねる過去の事件が浮かび上がってきます。B級テイストの映画とは思えない豪華なこの配役、特に謎の男バートンの怖さを巧みに語る脚本の秀逸さ、なのにこの映画が日本で劇場未公開だったとは驚きです。大聖堂の破壊などスペクタル・シーンも、今の眼で見ればちゃちぃのですが、しっかり押さえています。バートンのサイコキネシスで旅客機が高層ビルに突っ込むシーンは、思わず9.11テロを連想してしまいました。掘り出し物です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-09-03 20:37:35)
391.  撃滅戦車隊3,000粁 《ネタバレ》 
007初期作品を撮ったテレンス・ヤングが監督した戦争映画です。時代は第二次世界大戦で、英国陸軍に入隊し戦車部隊に配属された英国人と米国人のふたりの友情と死がテーマとなっています。1950年製作の映画ですが、この映画には軍隊批判といった視点がなく、まるで戦時中に作られた戦意高揚映画の様な錯覚するほどです。本編がモノクロのうえ記録映像が多用されているのも一因でしょう。前半は訓練シーンが多いのですが、これはなかなか良く撮れています。戦車隊なのにひたすら三週間も行進の練習をさせられるのがおかしいです。見どころは実物のM4シャーマン戦車が走り回るところがふんだんに観られることで、考証も行き届いています。そして1シーンですがドイツのタイガー戦車の実物が登場するのもファンにはうれしいところです。米国人は第二次世界大戦で英国人とともに血を流した、ということがこの作品のテーマなのですが、米国人である主人公のひとりがどうして英国陸軍に入隊できるのかが不思議なところです。
[DVD(字幕)] 4点(2009-09-02 22:45:04)
392.  恐竜100万年 《ネタバレ》 
「子供たちは恐竜に、お父さんはラクエル・ウェルチに」、これは番組案内文ですが思わず爆笑です。この作品、あのハマープロの製作なのですね。確かにラクエル・ウェルチの肢体にはこの歳でも眼が釘づけでしたが、どうしてどうして、その他大勢のハマー・ガールズもなかなかでしたよ。黒い髪の山の部族が闘争的な気質で、海辺に住む部族は金髪で山の部族より文化が進んでいるという設定は、どこか北欧人種優位の人種感が感じられていやらしいところですが。そうそう恐竜でしたね、これはあまり活躍していませんでした。冒頭いきなり実物トカゲさんが登場でちょっと引きましたが、あいつは大写しで見せられると結構気持ちが悪いものですね。洞窟に住む猿人みたいなのが出てきて仲間を殺して食っちゃたりするところや、翼竜どうしが戦って勝った方が負けた方のヒナを捕食したり、結構ハードな自然の掟の描写もありました。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2009-08-25 19:40:57)(良:1票)
393.  マッキントッシュの男 《ネタバレ》 
あたり・はずれがあるジョン・ヒューストン作品の中では凡作です。原作は未読ですが、ウォルター・ヒルの脚本がサスペンスを盛り上げるのに失敗していて、ストーリーからするともっと面白い話になるはずなのにと感じてしまいます。そもそもポール・ニューマン演じるリアデンが、冒頭ダイヤを強奪する作戦の意味がよくわかりません。ヒューストンは本来脚本家ですが、監督作で脚本を手掛けてない映画はハズレである傾向が強いようです。ラスト、ニューマンとドミニク・サンダがそれぞれとる意外な行動が、男と女の本性が出ていて面白かったですが。
[ビデオ(字幕)] 5点(2009-08-25 00:48:12)
394.  ダーリング 《ネタバレ》 
思ったより難解な作品でした。主人公のジュリー・クリスティーは幼いころから「ダーリング」と呼ばれてかわいがられ若くして結婚しますが、TVの街頭インタビュー出演をきっかけに妻子あるTVプロデューサーダーク・ボガードと同棲を始めます。やがて彼女はチャンスをつかみキャンペーンキャラクターとして活躍し始めますが、スポンサー企業の御曹司ローレンス・ハーヴェイともできちゃってそれから華麗な男遍歴が始まります。このクリスティーの役柄が、自己中な性格のうえ上昇志向が強くてあまり魅力的でないのが難点。なんせ最後はイタリアの旧王家の王子様と結婚しちゃって、「王女様」とまで呼ばれる御身分になるのですから。そんな彼女の恋愛模様をシニカルにある意味冷めた眼で描いているのですが、ローレンス・ハーヴェイ以下の登場人物がみんな現実離れした言動をするので、なんか昔のATG映画を見ているような雰囲気でした。ラストはロンドンの街角でいきなりおばさんが「サンタ・ルチア」を歌いだしてエンド・クレジットなのですが、いまだに「?」で訳がわかりません。ところで、この映画のダーク・ボガードはいいですよ。「ベニスに死す」や「愛の嵐」といった癖のある役が多い人ですが、繊細で知的な普通の男を鮮やかに演じています。
[DVD(字幕)] 5点(2009-08-18 01:33:49)
395.  ナック 《ネタバレ》 
オープニングはとってもシュールです。白いセーターにスカートの美女たち(数十人はいますが、全員同じ服装)がモテ男の部屋に呼ばれるため階段に行列している光景は強烈なインパクトを与えるシーンで、リチャード・レスターはこれが撮りたくてこの映画を作ったのではと思えるほどです。「ザ・ナック」とは「女の子をひっかけるコツ」という意味で、女の子に縁がない教師の主人公が何とかして「ザ・ナック」を習得しようとするスラプスティックコメディですが、色んな映画で見慣れたスラプスティック演出手法が展開されます。製作年度を考えれば、当然この作品がそれらの元祖なわけで、当時としては相当斬新でアートな映像だったのでしょう。この作品は良く「モッズの青春を描いた映画」と紹介されますが、登場人物で“モッズ”と呼べそうなのはモテ男トーレンぐらいです。モッズと60年代のロンドンを描いた映画としては、個人的にはマイケル・サーンの「ジョアンナ」の方がレベルは高いと思っています。まあ勢いで獲っちゃったのでしょうが、カンヌでパルムドール受賞するほどの出来かなと思います。
[DVD(字幕)] 5点(2009-08-13 14:08:56)
396.  歩兵の前進 《ネタバレ》 
「1942年、官僚主義に支配された英国陸軍の総数は過去最大に…」とアニメーションで解説するタイトルバックは古さを感じさせず期待が高まるのですが、中身は全然面白くないのでした。大学生の主人公が招集されて陸軍に入隊しますが、どんくさい彼はへまばかりするというお決まりの展開です。主人公と対照的に要領がよい兵隊を若き日のリチャード・アッテンボローがアクの強いキャラで演じています。皮肉を利かせてコミカルに軍隊内の矛盾を描けば面白いのに、そこが中途半端でドリフのコントを見せられているみたいでした(決して、ドリフを貶しているわけではありません、念のため)。やがて伯父の少佐の計らいで主人公は特殊部隊に採用されますが、その作戦が敗戦も近いドイツ国内に潜入して美術品をかっぱらってくるというものなのですが、そこからご都合主義の展開になってゆきます。ドイツ将校役でこれも若きクリストファー・リーが出ていますが、「ウィッカーマン」でも感じましたが、ドラキュラでない素顔の彼って結構知的な紳士に見えます。50~60年代のイギリスの娯楽映画は日本では未公開だった作品が多いのですが、こんな珍品がソフト化されるとは意外でした。どうせなら、「暁の出撃(ダム・バスターズ)」を早くDVD化してほしいものです。
[DVD(字幕)] 3点(2009-08-06 00:23:34)
397.  運命の逆転 《ネタバレ》 
米国で無罪が確定している事件なのに、こんな映画の撮り方をして実在のフォン・ビューローから抗議されなかったのでしょうか?原作は未読ですが、著者は映画にも出ているフォン・ビューローの弁護士だそうで、それって結構えげつない話ですよね。プロデューサーにオリヴァー・ストーンが入っているので、こういう作品になってしまったのかな。この映画はジェレミー・アイアンズとグレン・クローズの演技をひたすら堪能するのが正解なのでしょうが、この弁護士の言動がどうしても不愉快でしかたなかったです。この事件のほかに黒人少年の冤罪事件を無償で弁護しているという設定が、またわざとらしく偽善的でした。
[ビデオ(字幕)] 5点(2009-07-25 22:59:16)
398.  遥かなる戦場 《ネタバレ》 
戦史上有名な「バラクラバの軽騎兵の突撃」を、トニー・リチャードソンらしいシニカルな視点で再現しています。英国史における「バラクラバの軽騎兵の突撃」は、日本史でいうと「日露戦争の旅順港閉塞作戦」みたいな英雄的な戦闘という位置づけになりますが、無能な高級軍人たちの愚行が原因で起きた悲劇であると喝破しています。この映画の面白いところは、時代背景やクリミア戦争勃発にいたる経過をリチャード・ウィリアムスの手によるアニメーションで説明しているところで、当時の諷刺画を基にした画でヴィクトリア朝時代の雰囲気を見事に再現しています。軍装や時代考証は行き届いていて、当時の英国軍の服装や装備が50年前のナポレオン戦争時代から進歩していないことが良くわかります。前半は主人公たち3人の三角関係が物語の中心になりますが、戦争が始まる後半になるとそんな話は影も形もなくなってしまい、脚本のバランスの悪さが目立ちます。公開当時この作品は、興行的に失敗し批評家からも酷評されましたが、歴史物としては良くできた作品だと私は思いますし、再評価されても良いのではと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2009-07-21 01:03:24)
399.  スターリングラード(2001)
独ソのエーススナイパー同志の死闘と、ソ連兵同志の三角恋愛というかけ離れたコンセプトをバランス良く描かいた作品です。ただそのバランスが良すぎるのが難点で、冒頭15分のボルガ河渡河から始まる戦闘シーンは壮絶で迫力ありますが、その後の展開は小じんまりした印象でいまひとつインパクトが薄くなってしまいました。ソ連側の兵士や将校はジャン・ジャック・アノーらしく「薔薇の名前」の修道士たちのようなリアルで人間くさい顔つきなので、主人公たち三人の美男美女ぶりがちょっと浮いてしまっている感じがしました。
[DVD(字幕)] 6点(2009-07-10 23:38:39)
400.  トム・ジョーンズの華麗な冒険 《ネタバレ》 
アルバート・フィニーが実に若々しく生き生きとトム・ジョーンズを演じているのが楽しい。いま観ても、古さを感じさせない演出なのは見事です。アルバート・フィニーとジョイス・レッドマンが宿屋で肉をむさぼり、牡蠣をすすりながらお互いに色目を使って誘惑するシーンは確かにこの映画の見ものです。あと地主ウェスタンのヒュー・グリフィス、ほとんど怪演と言っていいほどの存在感でした。
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-07-09 23:16:50)
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