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プロフィール
コメント数 2398
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  悪魔のような女(1955) 《ネタバレ》 
有名な作品だけどほとんど題名だけしか知らず予備知識なしで観ましたが、これがなんと驚愕レベルの大傑作であることに気づかされました。 小規模なブルジョワ家庭の男児だけを預かる全寮制の私立学校(小学校か)。教師は四人しかいなくて女性教師は二人、そのうち一人(ヴェラ・クルーゾー)は実質学校のオーナーで、そのいけ好かない夫が校長だが彼は実業家タイプで教師ではない。もう一人の有能な女教師(シモーヌ・シニョレ)はなんと校長の愛人、つまり妻妾同居というわけです。生徒はともかく他の男性教師や使用人はその関係を知っているという、実に不思議な空間というか学校なんです。横暴極まりない校長は二人の女性を日常的に虐待していて、二人は共謀して校長殺害を計画して実行する。首尾よく彼を溺死させて水死を装うべく学校のプールに沈めますが、自然に発見されるはずの死体はプールの底から消えてしまった… 心臓病を患っていて終始弱気なヴェラ・クルーゾーと、颯爽とした金髪ボブカットで沈着冷静なシモーヌ・シニョレのキャラ造形の対比が見事です。この映画は死体が消えてしまった後半からの展開は、まさに息も尽かさぬという表現がドンピシャリなんです。「これはサスペンス映画のはずだ」と判っているはずなのに、クリーニング屋や集合写真の背景の窓に映る影の件などが続くと「まさかオカルトもの?」と劇中のヴェラ・クルーゾーと同様に観てるこっちまで疑心が湧いてきてしまいます。このストーリーテリングの特徴は、絶対にこれは伏線だと思うようなシークエンスを散りばめているのに、それがみな観客を惑わす地雷になっているところでしょう。こうなると、騙すテクニックに関してはヒッチコックをクルーゾーが凌駕していると考えざるを得ません。 ラストのどんでん返しの展開も、近頃の映画で観られるしつこい説明過多が無くて余韻が強烈です。それにしてもヴェラ・クルーゾーの死にざまは、実際に自分は見たことはないけど、心臓麻痺で死ぬ人はこんな感じなんだろうな、というリアルさでした。そしてラストシーンの子供の言葉、これはホントにゾッとしますね。このテイストはやっぱヒッチコックには無いものなんだよなあ。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2023-04-19 22:44:53)
2.  愛の亡霊 《ネタバレ》 
『愛のコリーダ』に続いてフランス資本が主導で撮られた一編、仏語原題と邦題の『コリーダ』との類似性から未だにハードコア作品と誤解されている節があるのはちょっと残念です。自分は『愛のコリーダ』は一種のゲテモノ映画だと思っているので、物語として何の繋がりもない本作の方が評価されるべきじゃないかと思っています。 茨城県で実際に起こった事件を基にした脚本だそうですが、大島渚映画の中でもピカイチと言えるぐらい映像が美しい。それもそのはず、撮影の宮島義勇を始め主要スタッフが小林正樹の『怪談』を製作した人たちなんですから。武満徹の音楽がまた絵も言えぬ独特の雰囲気を出しています。お話しは吉行和子と愛人の藤竜也が夫の田村高廣を殺して古井戸に隠すけど、その後田村の幽霊に悩まされるという割と単純なものです。前半では藤と吉行が田村を殺すに至る経緯があまりに雑なのが気にかかります、殺人から三年たっても二人の関係が変わらないというかかえって疎遠になった様な感じで、これじゃなんで夫殺しに走ったのか?って言いたくなるけど、実話って案外と雑なことが多いんですよね、まあ生身の人間のすることですから。でもそれから田村の亡霊が出現するようになってからは、俄然見どころが多くなってきます。この亡霊は自分を殺した妻の前にだけ現れるのですが、彼女を恨む様子はまったくないんです。そりゃ女房の方は恐怖のどん底ですけど、彼女の注ぐ酒は飲むし勧められれば芋は食べるしでで、こんな人の良い亡霊は珍しいです。だいたい幽霊が現生のものを飲み食いするのは初めて観た気がします。でもこの幽霊・田村はいつも寂しそうに出現するけど不気味さは高レベルで、生前は車引きだった彼が吉行を人力車に乗せて走るところなんかゾクッとさせられますよ。粗野で自分勝手な男としか見えなかった藤も、後半になると亡霊に悩まされて半狂乱になる吉行と供に苦しむようになる演技には胸を突かれました。 斜に構えたような映画を撮っていた大島渚ですが、本作はそんな彼の残した珍しい正統派の映画だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-04-23 22:37:50)
3.  あの胸にもういちど
「世界でいちばん有名なライダースーツの女」といえば、50年以上たっても本作のマリアンヌ・フェイスフルの王座は揺るぎません。いまやすっかりおばあちゃんになってしまいましたが、あの頃の衝撃的なおっぱいとお尻にどうしても眼がいってしまいがち、でもルックスは決して美人とはいえなくどちらかというとタヌキ顔で、よく見ると若いころのうつみ宮土理に似てる気がします。まあほとんどストーリーが無いも同然のこの映画ですから、ひたすらマリアンヌのライダースーツ姿とバイクの疾走を愛でるのが正解です。 監督したのは名カメラマンであるジャック・カーディフで、今となってはダサいかもしれないが当時としては先進的なサイケな映像が斬新です。彼やソウル・バスみたいな撮影や美術畑の人が撮る映画には突拍子もないものが多い気がしますが、カーディフの監督としてのピークはやはり本作だったと思います。なんせこの次の監督作が『悪魔の植物人間』ですからねえ、演出手腕は持っているのに何を考えていたのやら… アラン・ドロンはたしかに贅沢な使い方だとしか言いようがないですが、彼の英語のセリフはどうも吹き替えみたいです。でもこのキザでニヒルでツンデレな大学教授は、よくぞドロン様を引っ張り出してくれましたと賞賛したくなるナイスなキャスティングです。あの唐突な幕の閉め方は、やはり『バニシング・ポイント』などのニューシネマに影響を与えたんじゃないかな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-10-25 22:42:13)
4.  愛すべき女・女たち 《ネタバレ》 
原題通り「人類最古の職業」を有史以前から20分程度の尺で時代を追うオムニバスです。「古代」は無名の監督で単なる緩い艶笑コメディという感じです。「ローマ時代」もオチがバカバカしいんですけど、エルザ・マルティネリの妖艶さはちょっとお得感があります。「フランス革命」はわたくし御贔屓のフィリップ・ド・ブロカが監督で、ジャンヌ・モローが溌剌としていて微笑ましい。さすがド・ブロカらしいエスプリに満ちた一品です。「ベル・エポック」はラクエル・ウェルチの独壇場です。これまた聞いたこと無い監督でしたが、所々に妙に凝ったカットがあったのが印象に残りました。「現代」は大ベテランであるクロード・オータン=ララが撮ってます。20分の尺とは思えないほどのスピィーディーなシーン展開ですが、走る救急車を仕事場にする娼婦というのは斬新なアイデアですね。たしかに簡易ながら寝台も装備されていますからね(笑)。そしてゴダールが撮ったのが「未来」編。これって『アルファビル』と同じ手法、つまりふつうの現代の風景や服装を「これは未来の社会を撮った映像です」で押し通すあれです。でも期待してなかったのに、なんか妙に引き込まれてしまってゴダールに一本取られてしまいました。なんでもこれがゴダールが撮った最後のアンナ・カリーナなんだそうです。 というわけでトータルで考えるとド・ブロカとゴダールの活躍もあって5点というところでしょう。でもこの手の艶笑コメディは、おフランスよりもイタリア製の方が気取りが無くって愉しめますね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-12-27 22:34:05)
5.  悪徳の栄え 《ネタバレ》 
ロジェ・ヴァディムの映画は全部観たわけではないですけど、特徴としてはとにかく“まず女優ありき”をモットーとしているところです。そして意外とオリジナルな脚本が少なく、ゾラやラクロといった古典的な作家の名作を現代に置き換えて脚色したストーリーが多いというとこでしょう。本作は題材をサド侯爵に求めてそのヒロインにカトリーヌ・ドヌーヴを引っ張り出してきましたけど、さて出来栄えはいかがでしょうか。 サドの『悪徳の栄え』と『美徳の不幸』をミックスして舞台をナチ占領下のパリに変更し監督は耽美的な映像が身上、これだけでもワクワクする様なプロットなんですが実は出来上がったのは退屈な凡作でした。正直言ってサド文学の映像化とはとうてい思えない生ぬるさに、「これのどこがサドやねん!」と激怒してしまいました。ナチズムとサディズムはとても親和性が強いと思うんですけど、登場する親衛隊の面々も何がしたいのかさっぱり伝わって来ず、これじゃ単なる“ナチごっこ”を見せられるだけでした。ドヌーヴは確かにハッとさせられる様な美に溢れていますが、まだ若いということを差し引いてもちょっと演技が下手過ぎですね。アニー・ジラルドにしても中途半端なキャラで、彼女のどこが“悪徳”なのか伝わってきませんでした。 後半古城のハーレムみたいなところに舞台が移ってからはかなり支離滅裂な展開で、城をフランス軍に攻められてナチたちとジラルドは全滅しますが、ドヌーヴだけじゃなくハーレムの女たちが皆救出されるというハリウッドも真っ青の超ご都合主義です。 けっきょくロジェ・ヴァディムのサド文学やナチズムに対する理解は、とっても底の浅いもんだったみたいです。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2015-09-28 22:51:57)
6.  アップサイドダウン 重力の恋人 《ネタバレ》 
重力と反重力が存在する双子の世界、このアイデアとプロットはセンス・オブ・ワンダーに満ち溢れていてグッドです。緻密に創りこまれたCG映像もレベルが高くてよかったんですが、この映像は大スクリーンで観ないと真価が判らないでしょうね、なんせTV画面では小さすぎて映像の情報量に全然追いつけないですからね。でも脚本はびっくりするほど稚拙です。リュック・ベッソンの『フィフス・エレメント』じゃないけど、まるで監督が中坊の頃に自分のイマジネーションを書きとめた脚本を映画化したみたいな出来です。そのイマジネーションは確かに凄いんだから、せめて脚本は腕のたしかなプロに任せた方がよかったですね。プロットやディティールには『ブレードランナー』など過去のSF映画からの影響が強く感じますし、何度も出てくるカフェのシーンでは『ガタカ』の世界観と雰囲気が彷彿されました。 「これはまた別のお話し」なんて思わせぶりなナレーションで終わるけど、続編を撮る計画があるのかな?
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-04-13 20:13:29)
7.  愛の神、エロス 《ネタバレ》 
このエピソードがM・アントニオーニの遺作になるわけですか。残念ながらアントニオーニという映画作家は私には合わないまま終わってしまったというのが正直なところです。たしかに映像は綺麗なんですけどね、映像詩として観る分にはいいけどあの独特の臭みがダメなんです、私。強いて言えば、「貧乳vs豊乳、みごと豊乳女の一本勝ち!」と言ったところでしょうか。 ソダーバーグの『ペンローズの悩み』ですが、短編としてはまとまっているけど、いかんせん自分には途中でオチが判ってしまったので悪印象が残ってしまいました。 ひとりだけ45分も尺を取っちゃったW・カーウァイですが、この『若き仕立屋の恋』はびっくりする様な傑作なので許しちゃいます。主演はコン・リーだけど、劇中まったく裸体と言うか肌を見せずにここまでエロを表現できるなんて予想外でした。「エロスは手から生まれる」と言うわけなんですが、単なるエロだけじゃなくて、最後に胸に突き刺さる様な悲劇にまで昇華させてしまうところはお見事! 倍の尺にしてもっとじっくり撮って欲しいぐらいです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-05-15 22:52:59)
8.  穴(1960) 《ネタバレ》 
冒頭で「この映画は私の体験を友人J・ベッケルが忠実に再現しました」なんて登場人物のひとりであるロラン(つまり彼が原作者J・ジョヴァンニということか)がシャバで語るからてっきり脱獄に成功したのかと思いこんでしまいました(笑)。それがいい意味でラストのサプライズに繋がるのでまあ良しといたしましょう。でもお勤めを果たして無事に出所出来るのなら、『パピヨン』の悪魔島とは違うんで何も無理して脱獄なんかしなくてもと思ってしまいます。このパラドックスを吹き飛ばしてしまうのが、床に穴をあけ地下水道に下り、さらに壁にトンネルを穿つまでのプロセスを見せる音楽をいっさい排した偏執的ともいえる演出です。同年に同様な演出技法を使ったR・ブレッソンの『スリ』も撮られているのも興味深い。 ラストの顛末にはいろいろな解釈が可能ですが、わたしはなんだかガスパールが裏切ったのではないと感じてしまいます。どうとも取れる様に色んな伏線を並べているのは監督の意図であり、このカオスそのものと言った終幕は仏サスペンス映画の良質な伝統を受け継いでいると思います。
[DVD(字幕)] 8点(2013-05-12 22:29:18)
9.  アデル/ファラオと復活の秘薬 《ネタバレ》 
リュック・ベッソン映画史上、もっとも肉感的なヒロイン登場!女の好みが変わったのかな? ベッソンさんまたまた中坊路線に回帰かと思いましたが、原作がフランスで人気のコミックなんだそうです。最初とラストにちょこっと出てくるマチュー・アマルリックの役柄を観てると、この辺のキャラはフランスでは説明不要なくらいポピュラーなんでしょうね。冒頭から『アメリ』や『インディ・ジョーンズ』を恥ずかしげもなくパクってるのでこの映画どうなっちゃうんだろうと心配しましたが、ヒロイン・アドヴェンチャーものじゃなくコメディだと思えばセンスも良いので楽しめました。 続編、あるかな~。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-29 00:42:41)
10.  アンジェラ(2005) 《ネタバレ》 
銃も爆発もないリュック・ベッソン映画なんて実に久しぶりですねえ。この映画は、アンドレとアンジェラの組み合わせを考えついた時点で、もう半ば成功作になることは約束されたようなものです。美しいモノクロ映像とハッとさせられるショットの数々は、ベッソンという映画作家はまだまだ捨てたもんじゃないなと、見直しました。アンジェラが登場してからはアンドレとの対話劇が延々とラストまで続いている様なものですが、対話劇でもこういう風に肩の凝らない見せ方があるんだと納得しました。あと最後までメイン・タイトルを出さないところも、むかしは良くあったけど最近では珍しいですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-28 00:31:06)
11.  雨の訪問者 《ネタバレ》 
フランス映画に出たときのブロンソンってどうしてこんなに渋くてカッコ良いんだろうか、本作でも無意味に上半身裸になって女性客向けサービスに務めるシーンまであって、もうブラピ顔負けのセクシー・スターぶりです。脚本のセバスチャン・ジャブリゾは冒頭にルイス・キャロルを引用するのが好きみたいだが、この映画はどう見ても『不思議の国のアリス』とは関係なさそうでした。ルネ・クレマンは「ブロンソン映画を撮ると監督生命が終わる」というジンクス通り本作以降どんどん落ち目になるのですが、そんな呪いを歯牙にもかけないフランシス・レイの絶頂ぶりが堪能できる音楽です。まあ本作の価値は、レイの華麗なムード・スコアが楽しめると言うことに尽きるでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-11-27 19:43:11)
12.  悪魔のはらわた 《ネタバレ》 
数あるアンディ・ウォホールの映画の中で本作と『処女の生血』はもっとも観て判り易いのでは(もっとも、ウォホールは名前を貸しただけで内容には一切タッチしてないというのが定説です)。立体映画(今でいう3D映画)として撮られたところが、まあウォホールらしさが感じられると言えなくもない。精力絶倫男の首をねらったのに、間違って女に全然興味がない顔が良いだけが取り柄の友人の首をチョンパしちゃうなんて、これほど笑えないブラックジョークも珍しいですよ。この映画の特長は使われている“はらわた”がどう見ても本物(もちろん人間のじゃないでしょうけど)をみたいで、最近のスプラッター映画と違った気色の悪さが観る者に襲いかかります。ヘタではないけどヘタウマの域までも達していない監督の手腕では、ウド・キアの熱演も空回りでした。彼は今でも個性派バイプレイヤーとして活躍してますが、まあ何と言う無残な変貌ぶりでしょう! 『ロッキー・ホラー・ショー』のティム・カリーとともに、「少年老い易く、学なりがたし」という感慨に打たれてしまうのでした。それにしても、10年以上むかしとはいえ、こんなゲテモノをNHK衛星放送よく放映したもんですな。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2011-10-01 19:04:18)
13.  アメリ
他愛のないお話しなんですが、ここまで造り込んだ映像で語られるとさすがに圧巻です。フランス映画の良質な伝統を受け継いで台詞は良く練り込まれているし、人物造形はジュネらしく老いも若きも男も女も微妙に変なキャラばかりなのが好きです。良く観るとこの映画はアメリを筆頭に登場人物たちがみな何らかのフェチであり、テーマはなんでしょうと問われれば、「フェチが世界を救う」と答えるのがいいのかも。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-09-17 20:24:28)
14.  アザーズ 《ネタバレ》 
私の大好きな60年代の英国ゴシックホラーに通じる雰囲気を見事に現代的な映像で再現してくれています。脚本はプロットが秀逸で、舞台を第二次世界大戦で唯一ドイツ軍に占領された英国本土領土であるジャージー島に設定したところなど良く考えられています。霧で周囲とは切り離された屋敷の外は英国ですらなかったという怖さ、当然ドイツ軍は敗戦で撤退したはずなのにキッドマンは劇途中から「まだ戦争は終わっていない」と言いだしたり、復員してきたはずの夫が「戦っている仲間のもとに戻る」と去って行ったり、この辺がオチへの伏線になっているのでした。ニコール・キッドマンは本作あたりから演技力・表現力が飛躍的に伸びてきた感じがします。当たり外れはもちろんありますが、現在スパニッシュ・ホラーがいちばん面白いと感じる今日この頃です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-05-14 21:25:55)
15.  アマゾネス 《ネタバレ》 
私と同世代の男性は、いまだに『アマゾネス』と聞いただけで反応しちゃう人もきっといるはずです。監督テレンス・ヤング、音楽リズ・オルトラーニと聞けば『300』みたいな大作を期待してしまいますが、良く観てみればイタリア映画界お得意のお色気時代物コメディなんですよね。『プレイボーイ』のグラビアからそのまま引っ張ってきた様な金髪おねーちゃんって昔はそれなりに重宝されましたが、主演の女王様役なんか川崎麻世の嫁さんカイヤみたいにごつくて今の眼で見ると大したことはない。そばに男がいるとくしゃみが止まらなくなる“男性花粉症”みたいな女がいたり、ギャグとしてもちょっと寒いのには参りました。 それにしても本作をロードショーで観に行った中坊だった自分が情けない限りです(汗)。
[映画館(字幕)] 3点(2011-05-13 00:32:10)
16.  アルファヴィル 《ネタバレ》 
「そもそも、この映画はSFなんでしょうか?」と言う疑問もわいてきますが、考えるに実に立派なSFですよ。普通にパリかどこかを借景してロケで全編押し通していますが、α60とかいうコンピューターの設定は製作時代を考えると突出した発想だと感心しました。しかしゴダール自身には「SF愛」は全然ないみたいですがね(笑)。 とは言え本作がオーウェリアンSFの新境地を開拓したことは否定できないでしょう。それまでのSF映画は、センス・オブ・ワンダーを追求することに血道をあげて、貧弱なイメージしかなくても「誰も観たことのない世界や科学」の映像にこだわって失敗しているケースがほとんどでした。が、本作以降は大して技術が進歩していない様な近未来を映像化したSF映画がどんどん創られるようになってゆきました。その極致に位置するのが『ブレード・ランナー』で、劇場公開版のデッカードとレイチェルが車で逃げるラストシーンは本作のラストとそっくりなのはご愛敬です。 個人的には本作あたりがぎりぎりのゴダール許容範囲ですが、イメージはともかくあの台詞の気障で観念的なところは辟易させられました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-08-27 23:40:53)
17.  甘い生活 《ネタバレ》 
近年、フェリーニの評価がだんだん下がってきた様な気がしますが、50年前に撮られた本作を観直して改めてため息が出ました、「あんたやっぱり凄いよ、フェリーニさん」。 ストーリーなぞあってなき様なものですが、ひとつひとつのエピソードが独立して一編の映画に出来そうな濃厚さです。 マストロヤンニを見てると、50年経とうが500年過ぎようが人間の本質は変わらないのだなと思います。 きっと誰もが腐った魚と隣り合わせで生きているけど、なかなかそれに気づかないものなのですよ。
[ビデオ(字幕)] 9点(2010-08-04 20:48:12)
18.  暗殺者のメロディ 《ネタバレ》 
それにしても「トロツキー暗殺事件」を題材にする映画なんて、後にも先にも本作だけでしょうね(実際、今の大学生でもトロツキーの名を知っているのがどれだけいるやら)。赤狩りでアメリカを追われた「四つの顔を持つ男」ジョセフ・ロージーが原点に立ち返った様なテーマです。 はっきり言って作品のテンポは冗長で最後まで盛り上がりに欠けるのですが、何を考えているのか不気味なアラン・ドロンが演じる暗殺者“ジャクソン”は彼のフィルモグラフィの中でも屈指の名演でしょう。ラストシーン、「お前は誰だ!」と問い詰められて「トロツキーの暗殺者」と答える表情がなんかとっても不気味で良かったです。でもホント、トロツキーって脇が甘いですねえ、あれじゃスターリンに負けちゃったのも無理ないです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2010-07-23 20:33:03)
19.  アリゾナ・ドリーム 《ネタバレ》 
ハリウッドに招かれて、気取ったのか力んだのか、クストリッツァにしては今一つの出来です。アメリカンドリームがどうたらということ表現したいのでしょうが、どうもアメリカと言う国とその文化への彼の理解があまり深くないのでは。だから、いかにも異邦人が監督しました、という映画になってしまったかと思います。やっぱりクストリッツァはガチャガチャしてなきゃクストリッツァじゃない! それでも、J・ルイスはさすがにいい味出していましたね。あと、V・ギャロの『北北西へ進路を取れ』ネタは傑作です。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2010-02-12 23:41:55)
20.  アンダーグラウンド(1995) 《ネタバレ》 
この映画の味付けはコテコテのどろソース風味ですが、奇想天外なプロットを重厚な悲喜劇として見せてくれて、やはりこの監督クストリツァは天才です。彼の映画に欠かせない祝宴シーンは三十分に一度の割合で出てきますが、ヨヴァンの結婚式で花嫁が空中浮遊する場面は素晴らしかった。そしてラストでひょうたん島のように河辺が流れだすシーンには、内戦の果てに消滅していったユーゴ・スラビアという国への惜別がひしひしと伝わってきます。本作は自分にとって『奇跡の映画』です。
[ビデオ(字幕)] 10点(2010-01-07 00:02:56)(良:2票)
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