321. 麦の穂をゆらす風
《ネタバレ》 激動の時代背景、主人公の闘争に満ちた人生の割には、作品の描写範囲はこじんまりとまとまってしまっている気がしなくもない。ただし、この作品で一番優れているのは、英愛条約成立後に賛成派と反対派でディスカッションを行うシーン。ここで手を抜かなかったことにより、一本の筋が通り、ドラマとして完結することに成功している。 [DVD(字幕)] 7点(2009-02-22 03:16:31) |
322. 肉体の悪魔(1947)
主人公2人にさっぱり魅力を感じないというのは、ラブロマンスとしては致命的なんではないだろうか。2人のやりとりも、会いに行ったり邪魔されたりを繰り返しているだけのような感じで、発展性を感じません。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-02-10 02:05:06) |
323. ブラウン・バニー
《ネタバレ》 アイディアだけでは「映画」にはなりません。それを具現化する様々な表現が伴ってこそのこと。思いつきの段階で止まってしまった上に、ラスト10分に(だけ)変なこだわりを見せてしまったものだから、要はあれが撮りたかっただけなんじゃないか?と受け取られてもやむをえない。 [DVD(字幕)] 3点(2009-01-30 02:24:45) |
324. エデンより彼方に
《ネタバレ》 前に見たときは、心理描写の重みがなくて安直な内容だと思っていたのですが、よく見たらなかなか良いではないですか。ジュリアン・ムーアのしっとりとした美しさが最初から最後まで貫かれているのがいい。この作品はその時点で成功です。あとは色彩の丁寧さとエルマー・バーンスタインのやりすぎ音楽にゆったりと浸っていればよいのです。庭師の方はもう少しひねったキャラクターが欲しかった気もするけどね。 [DVD(字幕)] 7点(2009-01-19 23:47:40) |
325. シェフと素顔と、おいしい時間
オープニングの趣味の悪い音楽で嫌な予感がしていたのだが、その後も、無理矢理作りあげたような実体のないやりとりが延々と続くだけの内容で、がっかり。登場人物にも、中年ならではの落ち着きとか人生背景といったものが感じられません。そしてそれ以上に、ジュリエット・ビノシュにいつもの凜とした美しさがなく、サンドラ・ブロックの出来損ないのようになっちゃってるのが問題。 [DVD(字幕)] 3点(2009-01-17 03:11:42) |
326. 逢いたくて(2002)
《ネタバレ》 ヒロインがいかなる意味でも前向きではなく、ちっとも魅力的でない。なので、その行き着く先に興味を持つこともできません。2人が結びつく過程も著しく不明確で、制作者がそういうラストにしたかったからそうなっただけという気しかしません。「めぐり逢えたら」にも同じような弱点はありましたが、こっちの方が極端です。 [DVD(字幕)] 4点(2009-01-13 02:15:33) |
327. エル・スール
《ネタバレ》 冒頭、少女が目覚め、枕の下から振り子を取り出してじっと見つめるが、そのシーンが象徴するとおりに、じっくり、ゆったりと時間が流れ、静謐で神々しい空気すら感じさせる作品である。肝心の父親の内面の描写はそれほど深いとはいえず、観念的に流れる部分もないではないのだが、聖体拝受式の日の主人公の超絶的な可愛らしさに免じて+1点。 [映画館(字幕)] 6点(2009-01-11 12:55:03) |
328. 愛と哀しみのボレロ
《ネタバレ》 ボレロという一発ネタだけで、第二次大戦を取り巻く各国の家族の描写を網羅してやろうという大風呂敷構想には大いに敬意を表したいのだが、肝心の各登場人物の描写が、どれも細切れで似たような感じなのです。一人二役をどうこういう以前の問題です。しかも、お互いにそれほど絡んでいるわけでもないしね。それでも、ラストのボレロの力強い演舞には、すべてを濁流のように飲み込んで一つの世界にしてしまうほどのパワーがあり、作品を心に残るものにしています。それを考えると、原題をまったく無視したこの英題と邦題は大正解だったんだなあ。●(追記)改めて見てみると、これって、作品自体もボレロみたいな構成で作りたかったということなんですね。似たようなストーリーがちょっとずつ繰り返されて積み重なって、いつしか大河のようにラストになだれ込む。そういう、作中に登場するテーマと構成自体が一致している作品は貴重なので、1点プラス。加えて、随所で炸裂する移動長回し、また丁寧なエキストラ配置も実に気持ち良いので、さらに1点プラス。 [映画館(字幕)] 9点(2009-01-02 01:20:56)(良:1票) |
329. サルサ!
《ネタバレ》 普段は耳にしないサルサ・ミュージックがたくさん聴けるのはいいのですが、肝心のストーリーが、ベタを通り越して「陳腐」です。音楽でごまかしきれないほどの粗さが目につきます。冒頭のピアノのシーンと、ラストのライブシーンのそれぞれの迫力で何とか印象が保っている感じ。室内部分でのカメラの揺れも気になりました。 [DVD(字幕)] 5点(2008-12-31 01:51:17) |
330. ベルヴィル・ランデブー
どこか異世界でつくられてきたような画面の質感であり、台詞が異様に少ない独特の雰囲気も面白かった。もっとも、ただそれだけという気もしないではないが・・・。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-11-13 05:01:04) |
331. 地下鉄のザジ
最初から最後まで、ほとんど意味が分かりませんでした。笑わせたいのか、それによって別の何かを表現したいのか、見ていて悩みます。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2008-11-03 03:52:44) |
332. ピエロの赤い鼻
《ネタバレ》 良い話だとは思いますが、やりとりは平坦だし、各登場人物の人格表現があるかといったらそうでもない。ストーリーによりかかってしまっているような気がします。憧れの女性への見栄でレジスタンスに走ってしまうという安直な行動はかえって斬新だったので+1点。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-10-19 03:19:41) |
333. モディリアーニ 真実の愛
やたらとダラダラしていて盛り上がりにも欠けていて、見ていて疲れました。モデルの知名度やエピソードに寄りかかりすぎたのが敗因ではないでしょうか。いくら主人公が重要人物であっても、それを支えるサブキャラがきちんとしていなければその存在も光りません。 [DVD(字幕)] 4点(2008-10-02 03:45:59) |
334. 愛と宿命の泉 PART II/泉のマノン
《ネタバレ》 Ⅰで地道に積み上げた伏線がⅡで開花しまくり、かと思いきや、Ⅱもやはり当たり前のやりとりを淡々と重ねている感じです。マノンがセザールを告発する場面など、一番大事なところなんだから、もう少し工夫してほしかったんだけどな・・・。ただし、ラストのデルフィーヌとの対面から収束に至る流れは切れが良く、作品の印象を高めています。それと、エマニュエル・ベアールの美しさはやはり強烈。それだけでなく、あの格好で山道や岩場を飛ぶように動き回っているのが凄い。 [DVD(字幕)] 7点(2008-09-25 02:57:14) |
335. 愛と宿命の泉 PART I /フロレット家のジャン
《ネタバレ》 国内公開時は、Ⅰ・Ⅱまとめて上映されてたような・・・。さて、もっともらしい邦題、仰々しい二部構成、しかもそこで泉をめぐる愛憎人間模様が展開されるとなれば、壮大かつ華麗なドラマ絵巻を期待してしまうところですが、予想に相違して、なかなか地味な内容です。カメラはひたすらジャンの地道な農作業を追い続けます。立ち枯れた作物のショットなどどきっとするところもありますが、大自然の脅威や作業の過酷さがフィルム内に適切に切り取られているかというと、そうでもありません。一大重要場面のジャンの死のシークエンスなど、コメディチック(!)ですらあるし・・・。というわけで、何かが起こりそうで起こらないまま、Ⅱに続きます。 [DVD(字幕)] 7点(2008-09-25 02:49:10) |
336. グリーン・カード
《ネタバレ》 切なさと可笑しさがほどよくブレンドされた好作品ラブコメでした。必要に迫られてとはいえお互いの過去や日常をさらけ出し合い、それに伴って2人の感情が動いていく過程が(構図としては単純とはいえ)見る側を引き込みます。余韻のあるラストもキュートですね。あの後2人がどうなったのかを考えるのも楽しい。また、各場面の表現の焦点を絞ったピーター・ウィアーの的確な演出も強力です。 [DVD(字幕)] 9点(2008-09-21 01:18:58)(良:1票) |
337. みなさん、さようなら(2003)
主題はまあまあ面白いのに、誰が何をしようとしているのかが不明確でポイントが定まっていないため、見ていて退屈です。笑いをとろうとしている部分も今ひとつ決まっていません。 [DVD(字幕)] 4点(2008-09-09 02:58:47) |
338. バリー・リンドン
しつこいナレーション、説明台詞、起伏も必然性もない展開、役作りのされてない演技と、負のポイントばかりが目につくのですが、ラストまで見るうちに強引に納得させられました。というか、キューブリックに体力負けしました。ダラダラしているところが後から思い出すと何となくいい感じで印象に残っているという、困った作品。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-08-25 02:50:46) |
339. ブリキの太鼓
肝心のオスカルがあまりにも我儘で自分勝手でしつけができてなさすぎで、全然ついていけませんでした。にもかかわらず、進行には最後まで興味を持って追って行けたので、表現としてはよくできているのでしょう。マリアの自然な可愛さが印象的でした。 [DVD(字幕)] 5点(2008-08-25 02:44:00) |
340. 海を飛ぶ夢
《ネタバレ》 何よりも、台詞の一つ一つがいちいち含蓄と示唆(と皮肉)に満ちていて、会話のやりとりを聞いているだけで心地よい。また、素朴な人道的感覚には反する結論であるにもかかわらず、不思議に開放感(爽快感とすらいえるかも)が漂っているのは、主人公の「意志」に徹底して焦点を当てて、そこからぶれていないからです。だから、宙を飛んでいく主人公の空想の視点も、単なる映像イメージではなく、作品の重要な一部としての説得力をもって迫ってきます。ただ単に登場人物の行動がどうのこうのというだけでなく、見た人にそれぞれ自らの生きる意味まで考えさせるという点において貴重な作品。なお、邦題もセンスが良いと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2008-08-21 00:20:45)(良:2票) |