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ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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21.  ルパン 《ネタバレ》 
まだ駆け出しの青っちょろいルパンと御歳不明の妖艶なカリオストロ伯爵夫人との対決に、愛憎うずめく親子対決。親子三代、流れる血には逆らえない宿命にあるルパン一族の叙事詩。ここで終わってしまうんかいっという幕引きですが、最後にはサラエボ事件を匂わせるような暗殺未遂事件。カリオストロ伯爵夫人は絵画にも登場していたし第一次世界大戦まで引き起こしてしまうような様々な歴史的大事件の黒幕だった!?・・・という壮大な大河ドラマにした着想は面白いのですが・・・尺が長い割りにクライマックスと呼べるような場面が無く薄味であり、お金はかけていそうですが、監督は観客を退屈させるのがよほど心配だったのかやたら画面が切り替わります。スピード感を狙ったものかもしれませんがその場面自体がそれほど興奮する場面ではないので何だか疲れます。それから私が男だからかもしれませんがルパンが魅力的に思えなかったのは残念です。ロマン・デュリスの風貌自体は似合っていると思うのですけどね。
[DVD(字幕)] 5点(2007-09-05 18:31:44)
22.  戦火のかなた 《ネタバレ》 
全六話の短編からなる作品であり、基本的にはアメリカ人兵士とイタリア人の市民や反ファシストを描いた反戦もので、物語自体はそれぞれドラマティックなのですが…かなり冷めた撮り方をしています。例を挙げると一話目、写真を見せようと火を点けたとたんに狙撃される米兵士と、殊勝にも復讐を試みるイタリア女。こんなにも心に響く状況なのに感傷に浸らせようとしないのです。それこそ例えば「駅馬車」で撃たれた賭博師の手から銃がポトリと印象深く落ちるように、アメリカ兵の手から写真を抜け落ちさせたりしていませんし、女も崖から落ちるシーンなど一切見せず、既に事切れてただの屍として横たわる姿を写し出すだけなのです。それは、あるいは二話目での何気なく子供へと落とされた靴を捕らえないのと同じであり、または三話目でぞんざいに捨てられる女の住所を書いた紙を追わないのとも同じであると思います。その本来なら注目すべきものを敢えて無視した一見、乱暴にも見える撮り方、冷めた演出が逆に無惨さや虚無を感じさせます。・・・ちなみに個人的には後半三話より前半三話の方が好みです。
[DVD(字幕)] 8点(2007-08-13 18:14:41)(良:1票)
23.  殺人カメラ 《ネタバレ》 
内容は簡単で極めて教訓的な喜劇であり、作中に出る説明文だけでオチまで読めてしまうくらいなのですが、神が世界を創造するかのように村のジオラマ作りから始まり、一つの世界が構築されていくシーンからして寓話的でユニーク。主人公はまさに迷走中で、常に走り続ける姿には味があります。死ぬ際のポーズの滑稽さは幼稚にして品がありますし、〝悪魔の世界も実力主義〟と嘆くヨボヨボじいさん悪魔などは同情したくなるくらいで、独特の皮肉とユーモアが笑えます。 ただ一つ残念なのは、一回だけ巻き添えに写してしまうところがあるものの、せっかくの〝カメラ〟という道具が単なる殺しの道具でしかなく、カメラという特性を十分には生かし切れていないように思えるところです。例えば、〝善人に集合写真を頼まれる〟だとか〝自分が写されそうになる〟とか…自己嫌悪に陥るくらいつまらぬ考えしか浮かばないのですが、そんなことです。これでは別にカメラでなくとも良かったのではないかと思ってしまうのです。 まぁでも、写真は魂を抜くという迷信もありますから。煙の出所は知りませんが、イタリアにもその手の迷信があるのかもしれませんね。
[DVD(字幕)] 7点(2007-07-17 18:24:54)
24.  明日へのチケット 《ネタバレ》 
およそ三話から構成されるそれぞれの場面が同じ列車であるのに異なる世界のようなのは監督の特徴によるものでしょうか。 一話目は、孫のいる男の初恋のごとき胸のときめき。彼女とのやり取りを思い出し反芻するかのような心情が巧みな時間構成で見事に表現されています。 二話目はあのオバタリアン(死語?)っぷりにイライラしてしまったのですが、一人きりで下車し傍若無人な振る舞いへの代償のように残された重そうな荷物が印象的。 三話目(これがきっとケン・ローチ)はなかなか爽やか。労働者階級とさらなる社会的弱者の共感と交流を優しい目線で描いているので心温まります。  チケットの良し悪しや枚数で示される別次元のどの世界でも、車内での出来事により乗車前と下車後で登場人物たちの世界に変化が訪れるのが感慨深いです。国境をまたぐ長距離列車は様々な人々が乗車し決められた時間・空間を共に過ごす、乗客たちは一種の社会を形成しているとも考えられます。やはりコミュニティでは他人を思いやる精神が大切ということでしょうか。もちろん無賃乗車は許されぬことですが、教授がミルクを、おばさんが二等席の切符で一等席に座る傲慢さを見せ移民の罪の軽減を、若者たちが切符をと皆でバトンを渡し難民を救った、そんな気がします。しかしオムニバス形式でないと聞いていたのに繋がりが浅くオムニバスっぽいのは、勝手ながら一本物の期待を裏切られた感があり残念な気もしたのです。 ・・・《追記》ちょっと気になったので調べたところ一話目がエルマンノ・オルミ、二話目がアッバス・キアロスタミ、三話目がケン・ローチらしいです。さらに三人一緒に撮影した場面もあるとのこと。う~ん、どこだろう?。
[映画館(字幕)] 8点(2007-06-18 18:33:59)(良:1票)
25.  イン・ザ・スープ 《ネタバレ》 
いただけないショットが多い気はするが・・・率直に言ってこれは好きな作品だ。さえない映画屋と協力者の奇妙な友情、モノクロが良い雰囲気を醸し出しているところは「エド・ウッド」と似ているが、こちらの方が少しばかり先だ。真剣に手を伸ばせば届くかもしれないけれど、うたかたの如く不確かな夢。夢を追いかけるのは素晴らしい事だけど、〝誰と一緒に見るか〟というのも大切なんだと思わせてくれる。本作はアレクサンダー・ロックウェル監督が実際に体験した出来事を基にしているらしく監督の思いが詰まっているので、どこか優しい感じがするのだろう。嘘から始まった真の友情、新たな船出に思いを語る中、隣で死んでゆくのは「真夜中のカーボーイ」を彷彿させる、喜劇であり悲劇でもあるが観終わった後、心がほんのり温まる心地の良い作品だ。アルドルフォとジョーの二人の人物造形が実に面白く、ブシェーミのチャチャチャの練習場面やジョーが路地で元気いっぱい踊りまくる場面などとても良い。ユーモアに富む素敵な台詞も随所にありハッとさせられる。ちなみに私の最も好きなシーンはアルドルフォに天使だと言われたアンジェリカが始めて彼に見せる笑顔で、その表情が驚くほど美しい。
[映画館(字幕)] 8点(2007-06-04 19:01:56)
26.  やさしくキスをして
ケン・ローチが得意とする下層階級ものではありませんでしたが(むしろちょっと上)、高いハードルと越えられない壁があるのはいつも通りでした。時代に緩和され共同体に違和感を覚え始めた新世代と歴史を苦労して生きてきた人間との摩擦がありありと描かれています。幸いにも人種や宗教問題などと無縁で呑気な日本人である私には理解し難いことでしたけど、若者の自由奔放さが束縛されたり敬遠される世代間の衝突は次元が違えどよくあることで、囚われにもどかしい気持ちになります。そしてその呪縛がどんな困難な障壁であれ愛で突き崩すあたりにケン・ローチのヒューマニズムを感じます。瑞々しい生身の生命力あふれる人間を描かせたらローチの右に出る者はないでしょう。彼の作品を観るといつだって胸に突き刺さるような思いがします。それからカシムやロシーンを演じるのはやっぱりほぼ素人俳優さんなんでしょうけど、どこか現代性の雰囲気があり慣例との不釣合いを醸し出すので良いですね。
[DVD(字幕)] 7点(2007-04-18 18:37:31)
27.  ウンベルトD
ウンベルトの金銭的な問題だけでなく孤独も描かれているから不安にさせられます。社会的弱者となると居場所すら不安定であり周囲の理解も得られない哀しみ寂しさ恐怖を味わいます。将来への不安が募る現代日本社会を思うと他人事ではすまされない悲惨な状況が刻々と描き出され悲痛な心持になります。それでも完全に悲劇的でなく希望を存在させたことが救いとなっています。人間は一人で生きていけるほど強くはないが、何であれ支えがあれば生きていくことが出来る。デ・シーカ監督は本作で「自転車泥棒」と「靴みがき」の二作で描かなかった救いを描いています。愛犬フライクが実に愛らしいです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-03-26 18:48:44)
28.  素肌の涙 《ネタバレ》 
非常に重く、暗く、そしてデリケートなテーマです。でもシェルターへ行くシーンは不謹慎にも正直ちょっぴりドキドキしてしまいました(念のため、当方怪しい趣味はございません)。そのためか全てが明るみになり父親が怒鳴り散らす場面では、私も少々ナーバスになってしまいました。問題提起のような作品なので、もしかしてそうやって観客自身に不快に思わせるのがティム・ロスの狙いなのかなという気がします。姉弟役とも新人さんらしいですが熱演しております。辛い事実を認めようとしないジェシーの姿はかなり痛々しいです。父親役のレイ・ウィンストンもイギリス映画でよく見かけますが良い役者さんですね。ゲーリー・オールドマンの「ニル・バイ・マウス」でもそうでしたが、今にも暴発しそうな恐さがあります。それから仲良さそうな家族が崩壊していく様が、あの荒涼とした景色とマッチしていたのが良かったです。さすがに曲者俳優ティム・ロスですな。
[DVD(字幕)] 7点(2007-03-26 18:43:37)
29.  群盗荒野を裂く 《ネタバレ》 
予備知識なく観たものですから題名からしてメキシコ革命時代の強盗アクション娯楽作品かと思っていたのですが、思いのほか力作でしたね。開始直後からの列車襲撃シーンにあっという間に引き込まれてしまいました。物語の主人公、盗賊団の頭チュンチョと若いアメリカ人のグリンゴ(外国人の意)を対比させた人物描写が実に上手く興味が湧いてきます。彼らは政府軍を襲撃し革命軍に売るための武器を奪っているのですが、様々な出来事におけるそれぞれの対処法を見せる事によってチュンチョの人間臭さやグリンゴの非人道的さが露になっていく過程が見事です。そして最後のチュンチョとグリンゴのやりとりが素晴らしい。理由など分らずとも対称的な人間である者の思想が一致しない事を思い知らされ、人間の根源的で大切な部分を呼び起こされます。すっかりもとのチュンチョに戻り最後にパンではなくダイナマイトを買え!と叫ぶ生き生きとした姿がとても印象的です。それからどうでもいい事ですけどチュンチョを見ていると三船敏郎を思い出します。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-12-30 23:12:16)(良:1票)
30.  ヴェニスの商人 《ネタバレ》 
『ヴェニスの商人』はユダヤ人を差別しているという見解があり、今作ではシャイロックをいわゆる〝悪役〟にせず悲劇の面もしっかり描いています。しかし、それが逆に鑑賞後の後味を悪くしてしまっています。シャイロックは確かに慈悲や情けと言ったものとは無縁だったかもしれませんが、それだけで信仰すらも失ってしまうのは観客として納得がいきません。ましてユダヤ人だからという理不尽な理由で酷な仕打ちを受けてきた彼の苦悩が描かれていれば猶の事です。その上、演じるのはあのアル・パチーノ。彼は善悪問わず悲劇的な役でオーディエンスを共鳴させてしまう第一人者でありシャイロックに荷担せずにはいられません。となると、ポーシャ側に素直に感情移入など出来る訳も無く、さらに指輪遊びがしっかり描かれると、人生を失ったシャイロックの悲劇が一層強調され物語自体が腑に落ちなくなってくるのです。唯一の救いはシャイロックの娘ジェシカがシャイロックから貰った指輪をしていたシーンを用意した事ですね。拠り所を失い、一人佇むアル・パチーノの悲しい目が忘れられないです。 出演者は皆実力派でヴェニスの街並みも良いのでクオリティは高かったんですけどね。
[映画館(字幕)] 6点(2006-12-29 16:43:33)
31.  靴みがき 《ネタバレ》 
未来ある真っ直ぐな子どもたちの物語なのに容赦無しにリアリズムに徹し、当時イタリア社会を襲った困窮の惨状を鮮烈に描いています。う~ん、あまりに悲劇的で観ていて辛くなりました。当然子ども社会だけではなく大人との決裂まで描かれているわけでして八方塞がりですよ。それに加えて馬が自由や希望の象徴のように思えるのに、それに手を伸ばしたがために絶望を味わわせるあたりが何とも残酷です。ホントもう最後のシーンは冷酷で遣る瀬無いですよ。本作や同じデ・シーカ監督の「自転車泥棒」や「ウンベルトD」を観ると、こんな状況には二度と陥ってはならないのだという痛烈なメッセージを感じます。個人的にはこれが一番辛いのですけどね。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-12-23 17:41:34)
32.  ぼくは怖くない
割と軽いノリで観始めたのですが心に残る力作でしたね。まずあのイタリアの田舎の雰囲気が好きで美しい映像美にあっと言う間に引き込まれました。あのような場所で育った覚えも無いのに何だか懐かしい気持ちになってしまいましたよ。子供の視点から描かれているのも好印象。特に良いのは象徴的な空想の犬のシーンで、ミケーレの成長を何気ない子ども遊びの一つで描いているのが素晴らしいです。そしてこの映画を観ると大人になったつまらなさを感じてしまいますね。成長する、大人になるというのは身に付いていく事ばかりでなく、経験する事によって逆に失われてしまうものがあるのだと思います。犬に象徴されたもののように。犬が見えていた事がどんなにか素晴らしかったか。また犬を見たいなぁ~と、少し寂しい気持ちにもなってしまった作品でした。
[DVD(字幕)] 9点(2006-12-21 19:03:11)(良:1票)
33.  海の上のピアニスト 《ネタバレ》 
とにかく理屈抜きで本能レベルで感動してしまいました!好きなシーンがいっぱいあります。個人的にベストと言っても良い作品です。(※注・以下トルナトーレ監督他作品のネタバレあり)トルナトーレは「一生地に足つけず、夢を追い続けてもいいのではないか」と言っておりましたが、このテーマは『ニュー・シネマ・パラダイス』や『みんな元気』でも描かれていたと思います。船が象徴するものは『ニューシネマ~』のトトにとっての映画館であり『みんな元気』の老人にとっての耳にしている子供達の姿だと思います。この前二作品ではトルナトーレは主人公を下船させ、厳しい現実への直面で無残さを味わわせましたが、本作ではついに1900を下船させなかったのです。1900とトトたちとの違いは実は外の世界を〝ある意味では〟知っていたという事でティム・ロスの物憂げな表情がそれを物語っています。彼の奏でるピアノが型破りなのは人間の無限性を、完膚無きまでに叩きのめされるジェリーの登場は陸の限界を匂わせ、想像には敵わない事を暗示させます。そして大勢の客を乗せる船は言わば小宇宙であり、そこを1900の全世界とする事により陸への思いを唯一の夢、欲望としています。それは同時に下船が全ての満ちたりと共に生きる目的、活力の喪失である事を意味するのです。本作には世界の大小に関わらず夢や欲望を喪失してはならないというメッセージが込められているのではないでしょうか。悲しくもロマンティックな美しい物語です。
[映画館(字幕)] 10点(2006-12-16 20:58:54)(良:1票)
34.  審判(1963)
同じカフカの『変身』でもそうですが、ある朝突然トラブルに巻き込まれる不条理劇は不可解で非現実的にしてリアル。暗闇に堕ちたようにもがく姿は人間の原罪について問うたのか、司法に対する皮肉なのか、この後台頭するナチスや複雑な現代社会の到来を予期したのか、多様な解釈が可能です。映画では現代性を持たせ職場での機械的な匂いや巨大なコンピューター、冷気が漂い閉塞感に満ち迷路のように迷い込み息が詰まるのは現代社会の息苦しさを象徴しているようです。特に不気味なのは画家の隙間だらけの家で見張るように覗く子どもたちの目、目、目!法廷でも大勢に囲まれましたが、大人に見られるより純粋な子どもに見られる方が罪悪を感じるようで居心地が悪いです。特異な世界を持つカフカ作品を映像化するなんて到底無理な話と思いましたが、個人的には映画のほうが好ましいぐらいで、どのシーンも強烈なインパクトを残します。
[DVD(字幕)] 8点(2006-12-07 18:29:08)(良:1票)
35.  麦の穂をゆらす風
私は英国好きで映画も好んで観るのですが、正直なところアイルランドという国についてIRAで紙面を賑わせたことぐらいしか知りませんし、イギリスと呼ばれる地域がどのように成り立っているのかも不明です。そもそも日本ではイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドをひっくるめ便宜上〝イギリス〟という呼称を使っていますが、UKと呼ばれることからも分るように正式名はグレート・ブリテインおよび北アイルランド連合王国(辞書で確認してしまった;)であり、イギリスというのはイングランドから派生した言葉なのでイングランド以外の人々は気分を害すかもしれません。現在の状況ですらその程度の認識しかないのに歴史的背景はさらに複雑なはずです。まして本作は政治家でも軍人でもない市民目線からの描写なので社会全体の動向や彼らの行動の位置付けが把握しにくくアイルランド史を知らないと理解しづらいです。ですから両国の関係に造詣が深くないと本作を咀嚼したとは言えないと思いますし、また自国の人々がどう思ったのかが気になるところです。しかしその一方で、一般市民の兄弟が軸となった物語なので等身大であり感情移入などはし易いです。その結果、暴力から生まれる惨劇の数々に、どのようなバックグラウンドであろうと報復にしても武力行使は悲劇しか生まないのだという事と、醜い連鎖に終止符を打てぬ人間の愚かさ、哀しさが痛いほど伝わってきます。あらゆる場面が濃密であり、目を背けたくなる場面ですら瞬きするのも忘れそうです。
[映画館(字幕)] 8点(2006-12-07 18:24:06)(良:1票)
36.  バーバレラ 《ネタバレ》 
真にくだらない題材が、ポップでクールでハイセンスでアーティスティックに仕上がっているのは監督の手腕とジェーン・フォンダの肢体が見事だからに他なりません。美女にSFに冒険と男心をくすぐる要素を盛り込み、バーバレラが無重力ストリップを見せたり人食い人形に襲われたりセックス拷問マシーンにかけられたりと、男の妄想を具現化した耽美的カルト作品。私がバーバレラを助けた暁にはもちろんで〝古いやり方〟でお願いしたい。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-09-29 18:21:29)
37.  現金に手を出すな 《ネタバレ》 
マックスは足を引っ張ってきた弟分のリトンのために、引退に備えて貯めておいた金塊を全て使ってしまった。それなのに助けたリトンが死んでしまった時のマックスの哀しみ。これはまさに男の義理・人情の世界。マックスは店で電話を借りる時、酒を注文し電話の用件を済ませ、代金を払って酒には手をつけずに店をあとにする。粋ですね。大人の男の魅力です。もちろんここぞという時は容赦ない悪人ですけど、品格も備えています。あの生活感が格好良い。あんな風な振舞いが出来るように年をとりたいです。白黒映画なので所々、観難い場面もありましたが、酒の肴のラスク、うまそうでした。  《追記》↑ええ、確かにそうですね。何を隠そう私もバリバリ食ってやろうと思いラスク買って実践したのですが…安物だったせいかもしれませんがラスクとバターを一遍に食った味がしました;。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-09-20 18:50:24)(良:1票)
38.  コーヒー&シガレッツ
人と会って話をする時、大きく分類すると三つのシチュエーションがある。〝立ち話〟〝お茶する〟〝食事する〟だ。その中で〝お茶する〟というのは〝食事する〟ほど込み入った話をする訳でなかったり、相手の名前すらあやふやな関係だったりするが、〝立ち話〟ではなんだという時に折衷案のように存在している微妙にしてどこか心地良いシチュエーションである。本作にもそんな心地良さがある。そして煙草やコーヒーが癖になって、もう一本もう一杯とおかわりするように話が続いていくが、同じ話の続きは見せてくれない。一つの話をあれ以上引っ張ってしまうと〝食事〟になってしまうからだ。コーヒーと煙草はそんな〝お茶する〟時間の代表であり、話の一つが英国らしく紅茶とビスケットだったようにそれ自体に深い意味がある訳ではないのだと思う。さしずめ日本の場合、らしさを出せば日本茶&煎餅か梅干といったところだろう。…何だかにわかにお年寄りっぽくなってしまうのだが。何にしてもゆっくりとした時の流れの中で観たい作品だ。
[DVD(字幕)] 8点(2006-05-30 18:41:33)
39.  気狂いピエロ 《ネタバレ》 
残念ながら私は芸術を解する審美眼が乏しいものですから、この手のアート作品の良さはなかなか理解できないのですが、本作はけっこう引き込まれてしまいました。彼らのしている事はかなり酷いのですが非現実的な世界観なので倫理観はマヒしてしまいます。マリアンヌに裏切られるフェルディナンはまさに騙されるピエロ(道化師)。意味があるのかすら疑わしい羅列される単語、フランス語の音は言語の中で最も美しい響きだと感じます。それにしてもマリアンヌが魅力的。魔性の女でもいいから彼女と逃避行がしたい。そんな自称良識派の私も危険性をはらんだピエロ予備軍?
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-27 18:48:32)
40.  モモ 《ネタバレ》 
もうあの町が良いですね。とっても温かくて喧嘩しているシーンですら微笑ましいです。生きる喜びに満ちている感じがします。ほんとに何でもないちょっとした事を人生の楽しみとして描く事によって、機械的で利潤ばかりを追求するせかせかした現代社会を風刺し警鐘を鳴らしているかのようです。でも時間泥棒に数的解説をうけた時には私もちょっぴり危なかったですよ;。それにしてもミヒャエル・エンデは象徴が巧みですね。〝時間泥棒〟はもとより、その時間泥棒と対決するモモを規範や制度の枠組に囚われない孤児とし、手を貸してくれるカシオペアを長寿で時を感じさせないゆっくりとした動作の亀にしてしまうのですから。原作の勝利というところですが、その世界観を壊さない役者さんもモモのイメージに合っていたと思います。ただ冒頭の列車のシーン、たしかあれは原作のあとがきの場面で、それを丁寧に映像化しているのですがミヒャエル・エンデを知らない方が観たらちょっぴり訳が分らず、余計なシーンになっている気がします。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-10 18:15:34)(良:1票)
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