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まいかさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 214
性別 女性
ホームページ http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/
自己紹介 正直、生まれは平成じゃないです。かなり、昭和なムード。昔みた映画を思い出しながらレビューしますので、記憶がずいぶんあやふやかも。なにか変なところがあったら、http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/のほうにツッコんでおいてください。

好きな女優
 「或る夜の殿様」の山田五十鈴、「近松物語」の香川京子
好きな男優
 「お茶漬けの味」の佐分利信
好きなキャラクター
 グレムリンちゃんとマシュマロマン

☆評価基準
10点:超絶。ほとんど奇跡。
9点:傑作。かつ大好きなんだもーんッ!
8点:傑作だし、好きデス。
7点:素晴らしいです。好みの映画です。
6点:まあ、悪くないと思います。
5点:なにか気になるものはあります(~~;

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1.  暗殺の森 《ネタバレ》 
町山智浩の解説付き上映で観てきました。 なぜイタリア人のベルトルッチが、フランスや中国やアフリカやインドを舞台にして映画を撮ったのか、以前から疑問に思っているのですが、この映画ではイタリアとフランスが対比されているので、この後にフランスで「ラスト・タンゴ・イン・パリ」が撮られた理由もそのことに関係するのかもしれません。また、町山智浩の解説によれば、この映画は「ラストエンペラー」の構造によく似ているとのこと。つまり、みずからをファシズムの檻の中に閉じ込めた男の物語なのですね。のみならず、同性愛や舞踏会のモチーフの使い方もよく似ているとのことです。 また、町山は「ベルトルッチが師匠ゴダールのような左翼になりきれなかった」との趣旨の話をしていました。たしかにベルトルッチは(思想的にはファシズムに否定的だったとしても)、なんだかんだでファシズムのグロテスクな美しさを浮かび上がらせている面があるし、複雑ながら結果的にファシズムと同性愛の親和性を認めてしまっているようにも見える。つまり、思想的にはファシズムを否定していながら、美学的には肯定しているように見えるし、政治的倒錯が性的倒錯に重なり合うファシズムの美学的誘惑から逃れていないように思えるのよね。逆にいうと、ゴダールは、その種の「美学」に懐疑的だったのでしょう。 これがベルトルッチの最大の魅力であると同時に危うさでもあり、そういうところは日本の鈴木清順にも近い気がします。ヴィットリオ・ストラーロの映像も、そういう側面から批評的に捉えねばならないのでしょうし、坂本龍一の音楽だって、やはりゴダールの批評よりはベルトルッチの美学に近いんじゃないかと思います。さらにいえば、これはベルトルッチのセクハラ問題とも無関係ではないかもしれない。 でも、作品の素晴らしさは傑出しているし、ジョルジュ・ドルリューの音楽もヤバかったし、やっぱり9点はつけたくなります。
[映画館(字幕)] 9点(2023-11-11 10:06:11)
2.  エル・シド 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 勧善懲悪的な図式ではなく敵味方が入り組んだ関係で、しかも敵対関係が和解に転じたりもするのだけど、映画はあくまで叙事的な描写にとどまっているため、人物(とくに妻シメンや恋敵ロドリゴや王アルフォンソ)の心境の変化などが分かりにくく、主人公の「正義」の所在がどこにあるか把握しにくいのも難点。さらに妻のシメンは、主人公を愛したり憎んだり和解したり出家したり投獄されたり出獄したりするのですが、その変遷も唐突で分かりにくい。もっとテーマを絞ってコンパクトな物語にまとめれば分かりやすくなるのだとは思う。 …とはいえ、あえて明快な物語やテーマに収斂させないところに、かえって叙事詩的な崇高さがある気もするし、実際、すべてのカットの絵画的な美しさに酔ったり、ミクロス・ローザの音楽に胸を踊らせたりしてるうちに、長尺の上映時間が思いのほかどんどん過ぎていって、それを堪能するのに3時間が長すぎるとは感じませんでした。イタリア映画の魅力とハリウッド映画の大作主義が幸福な形で結合しており、格調の高いスペクタクルはほんとうに中世の一大歴史絵巻を見ているみたい。どうやったらこんなものが作れるのかと驚嘆してしまいます。これを見てしまったら、その後の「スターウォーズ」なんかが安っぽい二番煎じにさえ思えてくる。前半の頑なな表情のソフィア・ローレンも、まるで神秘的な中世宗教画のように見えました。 あらためて主人公の正義について考えてみると、あれは単純な「忠義」ともいえないし「愛国」ともいえないし「信仰」ともいえない。異教徒を救う一方で恋人の父を殺したりもするし、祖国に身を捧げながら王の悪行を弾劾したりもする。それでいて、憎しみを乗り越えるべく和解にはつねに開かれている。これは「善政主義」ともいえるし、寛容な「国際主義」「平和共存主義」ともいえます。その点が現代的なテーマにも触れていると感じました。いつの時代にも肉親こそが憎み合うのだし、平和主義者こそが国内では売国奴と呼ばれてしまったりする。愛国右翼や宗教右翼を倒して左翼どうしが手を結ばなければ国際和平は実現しないのかもしれません(ちなみに、この映画でキリスト教とイスラム教の共存しうる世界を描いているアンソニー・マンはユダヤ人です)。 それにしても、これはGYAOに限った話かもしれませんが、音楽の音量に対してセリフの音量が極端に小さかったのは、リマスターの技術的なミスでしょうか?
[インターネット(字幕)] 9点(2023-02-24 15:25:31)
3.  復讐の用心棒 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 無慈悲な感じの冒頭シーンはカッコよかったし、パゾリーニの助監督だけあって絵的にはよく撮れていたけれど、ラストがしょぼくて残念。女以外の登場人物がことごとく死んでしまう内容なので、最後はサム・ペキンパーみたいな破滅的結末になるかと思いきや、やや盛り上がりに欠ける肩透かしな終わり方でした。ダイナマイトの爆発は爆竹に毛が生えたようなもので、なぜか敵だけが都合よく吹き飛んで女は助かるという不可解な形での決着。そんなことならダイナマイトを使うまでもなく、普通の撃ち合いで済んだのでは?…という気がしないでもありません。ラストにもうすこし手応えがあれば8点あげてもよかったのだけど。 主題歌はチャーリーコーセーの1stルパンみたいでした。やはり山下毅雄はマカロニウエスタンを模範にしたんだろうと思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-02-14 14:46:29)
4.  道(1954) 《ネタバレ》 
GYAO の無料動画で視聴。たぶん2度目の鑑賞です。 何かとてつもなく深遠な名作のように錯覚してましたが、あらためて観てみたら思いのほか凡庸だった(笑)。ネオリアリズモっぽい面もあるけど、なによりニーノロータの音楽がやたらと叙情的に鳴ってるし、終盤はほとんどお涙頂戴的な展開で、まるでチャップリンのような通俗的なセンチメンタリズムに終わっていた。まあ、これこそがフェリーニの個性でありジュリエッタ・マシーナの個性なのかもしれませんね。「女を支配することへの自戒」がテーマなのだとすれば、その点では『8 1/2』に共通してる気もします。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-12-18 13:17:55)
5.  8 1/2 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。たぶん2度目の鑑賞だとは思うのですが、ほとんど理解できなかったせいで1度目の記憶がほとんどありません。ようやくちゃんと観た…という感じです。 映画についての自己言及的な映画。全編が映画の魅力に満ちあふれていますが、けっして「映画賛歌」だとは思えない。むしろ映画作家の独裁的なエゴイズムを暴露し、幻想をフィルムに定着させることの欺瞞性をみずから告発した「映画批判」のように見えます。本来ならば取捨選択によって排除されるべき被写体をも画面のなかに招き入れ、それら(=とくに女たち)によって映画作家が逆襲される様を描いている。人生は祭りだ…とのセリフもありますが、それをもって「人生賛歌」と解釈できるわけでもなく、むしろ痛烈なアイロニーのように映ります。 これが映画作家としての誠実さの行き着く先であり、これによって映画そのものを終わらせたとも思える。この作品がつくられた1963年の時点で、すでに映画は行き着くところまで行ったのだなと感じました。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-12-10 00:58:02)
6.  クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 クリムトとシーレだけではなく、世紀末から大戦までのウィーンの芸術文化を横断的に描いています。たとえばフロイトの「エディプスコンプレックス理論」とウィーン分離派による「父殺し」を関連づけたり、リヒャルト・シュトラウスの「サロメ」とクリムトの「接吻」を関連づけたりしている。映画というよりはテレビドキュメンタリーの体裁ですが、写真や映像資料はなかなか興味深い。 帝都ウィーンは、フランスにはじまる革命期の後も100年以上にわたって君主制を維持しつづけ、たとえば音楽では古典主義からロマン主義を経て近代主義へと変遷をつづけ、芸術上の黄金時代を築きました。ヨーロッパの辺境であるはずのウィーンが芸術革命の前線だったともいえる。「人間性の解放」から最後は「爛熟」「腐敗」「退廃」「狂気」へと至りますが、こうした近代化を推し進めたのはフロイトやウィトゲンシュタインのようなユダヤ人です。マーラーを米国へ見送ったシェーンベルクやベルクやツェムリンスキーやクリムトも全員ユダヤ人だろうと思います。とくにフロイトはスキャンダラスな無意識(性と暴力)の暴露に至った。カトリシズムの支配するウィーンは、それゆえに近代主義の矛盾がもっとも極限的な形で現れる都市でもあった。現在のウィーンはすっかり「伝統文化の町」みたいになってますが、そこはかつて天才たちがひしめきあう過激な文化都市だったのです。 1907年に(ユダヤ人迫害を避けて)マーラーが渡米し、1914年に皇太子暗殺を発端として戦争がはじまり、1918年に分離派のオットー・ワーグナーとコロマン・モーザーとクリムトが、さらにはエーゴン・シーレまでもがスペイン風邪で死去し、その直後に戦争が終わってハプスブルク帝国が崩壊します。これにてウィーン黄金時代が終わる。ヨーロッパの東側で君主制を終わらせた第一次世界大戦とロシア革命は、いわば「遅れてきた革命」だったかもしれません。
[インターネット(吹替)] 7点(2022-10-24 17:42:18)
7.  黒いオルフェ 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 原作は、ギリシャ神話の設定をブラジルに置き代えたヴィニシウス・ヂ・モライスの戯曲。「平地に富裕層が暮らし、高地に貧民層が暮らす」というリオデジャネイロの都市構造や、その両層が入り乱れるサンバカーニバルの文化を世界に知らしめただけでなく、新しい「ボサノバ」という音楽の誕生も予告した映画。そして、国際的に評価された初の黒人映画なのかもしれません。 仏カンヌと米アカデミーをW受賞していて、(大傑作とは思わないけど)文化史的にはかなり重要な作品だと思います。60年代以降のブラジル文化の国際的なイメージは、よくもわるくもこの映画に縛られたはずです。また、ギリシャ神話を黒人の物語に変換するという発想は、ヴィニシウスのたんなる思つきかもしれませんが、これはマーティン・バナールの 『黒いアテナ』によって学説にまで発展したともいえる(古代ギリシャ人は肌の色が黒かったということ)。 映画の物語は、べつにギリシャ神話をなぞっているわけでもないけど、あきらかに生命賛歌の神話的な雰囲気をまとっていて、その神秘性が最大の魅力になっています。アントニオ・カルロス・ジョビンの音楽は、いわゆる劇伴ではなく、劇中世界の実音として演奏されており、そのことが神話のリアリズムを強めている。フランス産のブラジル映画でありながら、どことなくイタリアのネオリアリズモを思わせるところもある。 ただ、原作者のヴィニシウスも、99年のリメイク作品に関わったカルロス・ヂエギスやカエターノ・ヴェローゾも、本作のことを「元の戯曲とは別物」「ファヴェーラ(貧民街)の実態を描いてない」などと批判していました。つまり、それは「ヨーロッパ側から見たエキゾチックな黒人幻想でしかない」「黒人を社会的な主体としてでなく美的な対象にしているだけ」というポスコロ的な批判なのでしょう。逆にいえば、もともとのヴィニシウスの戯曲は、一種のプロレタリア芸術だったのかもしれません。 わたしは、この映画にちなんで「イザナギとオルペウス神話と小泉八雲の関係」に興味が湧いたのですが、それについては自分のブログにでも書きます。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-09-14 11:35:39)
8.  かくも長き不在 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。パルムドール受賞作とのことですが、正直言って面白くありませんでした。アンリ・コルピは編集の専門でもあるというのだけど、意図のよく分からない唐突なカットやカット繋ぎが散見され、はたして映画表現として優れているのかどうか疑問に感じます。抑制された叙述の中で何が描かれるか期待したものの、総じていえば、記憶喪失をネタにした通俗的なメロドラマという印象しか残りません。わたしは成瀬巳喜男が苦手なのですが、自分の価値観と国際的な評価が乖離する点でも、成瀬の映画と似たものを感じます。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-06-09 00:36:20)
9.  暗殺のオペラ 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 非凡でした。これまで観たものはイタリア国外を舞台にした作品が多かったので、あまりベルトルッチに「イタリアらしさ」を感じていませんでしたが、本作では存分にイタリアらしさを味わえました。奇天烈なユーモアとバイタリティ。支離滅裂なエロスの匂い。そこはかとない暴力性。なぜかドキュメンタリーのようになる会話。そして画面が美しいので、いちいちそれに目を奪われて困ってしまいます。 密告・裏切り・陰謀が渦巻き、誰もが加害者にならざるをえないファシズム時代の小さな町の過去へ沈潜していく内容ですが、殺人手法はヒッチコックの「知りすぎていた男」みたいでした。まるで日本の夏のように、蚊取線香が出てきたり、やたらとスイカを食べたりするところも興味深かった。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-05-25 05:50:23)
10.  奇跡の丘 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。ロッセリーニ流のネオレアリズモによる新約聖書マタイ伝の映画化。 ギリシャ神話を題材とした「アポロンの地獄」では日本の雅楽みたいな音楽を使ってましたが、ギリシャよりさらに東方を舞台とする本作ではコンゴ共和国のミサ曲やら米国のブルースやらを効果的に使っていたんですね。むしろバッハのほうが本作には不釣り合いです(笑)。キリスト教の映画にバッハを使うのは当然かもしれませんが、西欧様式の音楽はかえって東方的な雰囲気を損ねるし、とくに終盤では、バッハの音楽が否が応にも扇情的に鳴り響いて、せっかくの乾いたリアリズムを湿らせてしまう。 映像的には、さながら「顔のリアリズム」といった感じで、ひたすら沈黙する人々の顔を連ねながら聖書の神話に説得力を与えていますが、ロッセリーニの「フランチェスコ」に比べると、ちょっとユーモアに乏しい。序盤のヘロデ王の死の場面などには、どこかしら笑える要素もありますが、イエスが成人して以降はユーモアがなさすぎて息苦しいのです。 無神論者なら無神論者らしく、最後まで醒めたリアリズムに徹してほしかったけれど、ユダヤ社会の既成概念をことごとく覆したイエスの主張は、意外に現代の無神論者の立場に近かったのかもしれません。パゾリーニは、不覚にもイエスに共感しすぎたんじゃないかしら?
[インターネット(字幕)] 7点(2022-04-18 05:48:33)
11.  フェリーニのアマルコルド 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。このニーノ・ロータの曲は好んで聴いてたけど、映画を観たのは初めて。予備知識なく見始めて、最後まで何の話なのか分からないまま、ワケワカランと思いつつも面白いので見てしまいましたが、要するに家族とご近所のエピソードを綴った回想録なんですね。「春の火まつり」「教室の悪戯」「食卓の喧嘩」「教会の懺悔」「ファシストの拷問」「国王のホラ話」「木登り叔父さん」「アメリカの客船」「霧の朝」「煙草屋の女」「大雪の日」「母の死」「グラディスカの結婚式」…と、およそ2時間で全13話くらいのエピソードが描かれてるので、一話につき10分くらいの「サザエさん」的な笑話集だといえます。ノスタルジックではあるものの、1930年代の北イタリアを描いたこちらの映画は、1960年代の東京を描いたサザエさんに比べて一つ一つのエピソードがかなり過激で下品で濃厚ですけど(笑)。 平均点は低いだろうかと思いきや、すごい高評価なのにびっくり!たしかに、すごく映画らしい映画だと思います。このレビューサイトはスピルバーグ好きが多いという印象だったけど、こんなにフェリーニ好きが多かったとは新たな発見です。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-03-30 12:55:01)
12.  アポロンの地獄 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。パゾリーニを見るのはたぶんこれが初めて。かなりヘンテコな映画だけども抗しがたい魅力を感じる!本来なら繋がるはずのないカットが無理やりに繋がってるし、ギリシャ神話なのに日本の雅楽が流れてくるし、文法的な常識をめちゃくちゃ逸脱してるけど、まるで夢を見てるようなデジャヴに襲われてるうちに、奇天烈なイメージの連続で脳天が麻痺してきて、あれよあれよと最後まで押し切られてしまいました。デタラメな文法がかえって神話の説得力を増してる感じ? このぐらい力技があったら、もう文法とかどうでもいいんだなあと思わせる説得力があります。これぞイタリア映画ってな濃厚な作風に痺れました。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-03-29 23:49:23)
13.  ルートヴィヒ(1972)
批判的な視点で淡々と史実だけを綴ったジャーナリスティックな伝記映画。けっして美しい映画ではありません。むしろ、美しさからはもっとも遠い世界だと思います。ヴィスコンティ自身は、ワーグナーはおろか、ルートヴィヒのことも、まったく愛していないのでしょう。ひたすら冷たい眼差しで、その哀れで無様で滑稽な人生を描いています。ヘルムート・バーガーもロミー・シュナイダーも美しいとは思えません。むしろ露骨なくらいに醜悪でした。あえてドイツ文化のグロテスクな面をあぶりだしているのでしょうか。個人的には、幻想的な映像美とワーグナーの音楽に耽溺できる内容に期待していましたが、そうした要素は皆無でした。安っぽいだけのデカダンが、悲しく虚しい。 個人的な好みとしては6点ぐらい。伝記映画としてなら7点。
[DVD(字幕)] 7点(2020-01-19 07:32:24)
14.  キャンディ(1968)
『トミー』とか『ロッキーホラーショー』などの病弱で陰鬱な英国ロック映画にくらべて、このアメリカ的な逞しいロック・カルチャーのほうが、わたしの趣味には合う気がしました。はじめのうちはブニュエルを見るような気分で楽しんでいたんですが、どのシークエンスにおいても、その諧謔的表現が結局は「エロ」に行き着いてしまうので、さすがに途中からは飽きました。ブニュエルに見られるような20世紀初頭の諧的的精神や革命文化は、ある程度はロックの精神にも受け継がれているかもしれないけど、やや多様性に乏しいし、重みにも欠ける。ひっくり返すべきものが単純すぎて軽いんだと思う。
[DVD(字幕)] 6点(2008-01-13 17:23:33)
15.  ラストタンゴ・イン・パリ 《ネタバレ》 
中年のゲスおやじ、ブサイクな田舎娘。その、リアリティにあふれる生々しいエロス。こんなにも暴力に満ちあふれた性の行為を、これほどまで美しい映像で魅せてしまっていいんでしょうか?この美しさはちょっと犯罪的じゃないのでしょうか・・? でも実際は、ここで繰り広げられる暴力的なエロスは、たんなる“性欲”なんてものではなかった。「名も知らぬ男にレイプされそうになったので撃った」という言葉によって消去されてしまう彼らのエロスというのは、ほとんど“存在そのもの”だったと言っていい。それは名前とか身分によって示される表向きの存在とは違う、もっと切実に自らの生を根拠づける何かだったし、それゆえにお互いにむさぼるように求め合ったものだった。ラストは、ある意味、わたし自身が撃ち抜かれてしまいました。おそろしく悲しい映画。きわめて格調の高い映像美に、救いがたい下品さが共存することで、悲しみがいっそう深まっているように思います。傑作。
[DVD(字幕)] 9点(2007-08-31 02:32:55)(良:1票)
16.  ストロンボリ/神の土地
これまた崇高な傑作。ロッセリーニの作品は、リアリズムと神秘性、土臭さと崇高さがなぜか一緒になってしまう。物語のどのへんが素晴らしいのか自分でもよく分かんないんだけど、とにかく火山にしがみつくバーグマンだけで、神の業を見てるような気がして感動してしまう。
9点(2004-03-28 17:57:07)(良:1票)
17.  神の道化師、フランチェスコ
純粋で崇高な映画だなーと思う。フランチェスコが変な権力者にお尻ペンペンされてるシーンは、本来、聖人が侮辱されてる場面なんだから、見てる側は憤慨したり同情したりすべきなんだろうけど、どう考えても笑ってしまう。観てる人の反応を惑わせてしまうリアリズムが、全体としてかえって映画の崇高さを増してます。ロッセリーニの最高傑作。
10点(2004-03-18 10:29:24)
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