1. 時計じかけのオレンジ
キューブリックの魅力が高密度に詰め込まれてます。ストーリーは当時の社会風潮を皮肉っていて、その社会が生み出した、その社会を象徴する主人公のアレックス。彼は暴力とセックスをこよなく愛する根っからの悪人として描かれています。浮浪者への暴力や作家の家へ侵入しての強姦を観て吐き気や嫌悪を抱く人は多くいるでしょう。これだけ残酷なものを観てそう感じるのは当然ですが、勘違いしてはいけないのは、キューブリックが暴力を賛美しているのではないということ。アレックスは社会の象徴なので、彼を嫌悪すると言うことは、気づかないかも知れないけど、そういう社会への嫌悪ということでしょう。頻出する性的オブジェも、人間の本質に迫ったものでしょう。性欲を抑制する道徳観は、生まれた後で付け加えられたもので、本来性欲は人間にとって自然なものだという主張だと思います。BGMも完璧にマッチしています。アレックスの大好きな第九は、はじめは昇天してしまいそうな快楽を彼に与えます。しかし洗脳の副作用により聴くだけで自殺したくなってしまいます。そして元に戻す治療が成功すると、また彼に快楽をもたらします。第九の第四楽章に付けられている歌詞は「歓喜に寄す」という詩で、つまり、政府の政策によって喜びや幸せを奪われるという構図をうまく表現しています。またヘボい内務大臣が現れるシーンでは「威風堂々」で皮肉っているし、作家の呼び鈴がベートーヴェンの「運命」だというのも伏線になっていてアレックスが出所後に再び作家の家に行ったときになるほどと唸ってしまいます。個々の場面を見てみるとごちゃごちゃとした映像が全くなく、壁などの配色もとてもきれいなため古さを感じさせません。アレックスの部屋、キャットレディの部屋、内務大臣が現れるシーンで出てくる刑務所の廊下など、とてもキューブリックらしい奥行きのあるショットで魅せています。前回の投稿からまた何回か見ましたが、何度見ていても飽きることなくまた新しい発見があったり理解が深まったりとまだまだ奥が深そうです。一回見たくらいでは残虐さや疑問しか思い浮かばないと思います。もし最初の残虐なシーンに耐えられるのなら数回見ましょう。そうすればこの映画で訴えかけているものが少しはわかってくると思います。逆に映画に哲学や思想を持ち込みたくない人、そういう観方をしない人にとってはこれほど苦痛な映画はないでしょう。 10点(2004-06-03 23:47:40)(良:3票) |
2. PLANET OF THE APES/猿の惑星
意外性は少ないが安心して見られる作品だと思う。チンパンジーのぺリクリーズがかわいかった。レオが地球に戻った時に地球が猿の惑星になっていたというオチはいらないと思う。何故地球が猿の惑星になっていて、しかもセードがまた出てくるのかわからない。あれがなければもう一点あげられた。 6点(2004-06-07 00:19:27)(良:2票) |
3. リング(1998)
今まで5度ほど見ましたが、3度目くらいまでは怖かったです。はじめてみたときは夜に影とか音がすると貞子?とびびってしまうくらいでした。自分にとってこれだけ怖いと思ったホラーは今までありません。ビデオから感染するという斬新なアイデア。ビデオに映っている映像の謎。そして宿の下にある井戸。普通なら貞子の遺骨を丁寧に埋葬して成仏しておしまいというところだが、貞子の呪いはそれでは解けない。埋葬してもらうために呪ったという生易しいものではなく、全人類を滅ぼすために呪いをかけたというのもまた斬新だと思った。これほど衝撃的だったのに怖くなくなってしまったのは、ラストでテレビから出てくる貞子を演じているのが普通のおばちゃんだと知ってしまったからです。もちろん演じているだけというのはわかりますが、バラエティー番組などで正体をあかされちゃうと、もうそっちのイメージが浮かんじゃいますよね。 7点(2004-07-31 15:41:19)(良:1票) |
4. シザーハンズ
とても悲しい映画です。城にいたエドワードを勝手に連れ出しておいて、最初は珍しがってたくせに結局最期は見た目で判断して怪人扱い。エドワードの歓迎パーティーにいた義足のおじいさんもエドワードが弱い立場になった途端彼を悪人扱いだし、おばさん連中は悪人扱いしながらも最後まであの髪型。興味本位で近づいて、利用できるだけ利用して、ほんとに汚いです。でも人間が変わった人を見るときの目というものはこの通りだと思います。この映画を観るとエドのほうが人間らしい心を持っていると思う人がいると思いますが、むしろこの映画で描かれている人間こそ人間らしいです。エドのほうが人間らしいと思うのは、こうありたいという理想ではないでしょうか。人間に対する皮肉と、理想が入り混じったすばらしい童話だとおもいます。 10点(2004-07-21 23:29:39)(良:1票) |
5. パルプ・フィクション
全てがかっこいい映画でした。長髪のトラヴォルタもよかったし、アフロに髭のサミュエルもとてもよかった。ユマ・サーマンははじめて見たけどセクシーで不思議な魅力があったし、ハーベイ・カイテルの落ち着き払った性格と車に乗った時のワイルドさのギャップがとてもよかった。特に誰が主役というのはないようだけど、どの俳優もうまく味が出ていて飽きることはなかった。ストーリーは名前の通り特に深い意味のない、あるギャングの間に起こった数日間の出来事を描いているだけだが、時間を巧妙に組み替えることで、三文小説の域を超越した映画になっている。映画の中で時間的にラストにあたる部分は、トラヴォルタが殺されてブルース・ウィリスが逃げるところだが、強盗のシーンをラストにもってくることによって、明るいエンディングになるし、トラヴォルタが死んだのは、あの奇蹟を神の力だと信じなかったからだということが説明されるシーンとなる。とはいっても、宗教をどうこういっているわけではなく、「あの時の奇蹟を信じないからだぜ!」くらいの、この映画特有の軽いノリで片付けられている。そのため中途半端な宗教感や善悪感が持ち込まれることがなく、素直にストーリーと出演者の魅力にはまることができる。音楽も軽快なものと、ロマンチックなものが織り交ぜられており、選曲のセンスも見事だった。なによりも、名作というものは、やはり映像が他の映画と違う、オーラのようなものを出しているなと感じさせられる映画だった。編集が特殊なので好き嫌いがはっきりと分かれそうですが、好みに関わらずその特殊な編集方法は見ておいて損はないと思います。 10点(2004-07-19 19:04:30)(良:1票) |
6. ハード・トゥ・キル
復讐劇とはいえ、すでに抵抗できないような相手を殺す残虐なシーンばかりで全くすかっとしません。あれだけ殺してたら冤罪は晴れても殺人罪でしょ。アクションといってもこれはやりすぎてます。それに、あれだけ家族の事を思ってるように見せかけて、復讐の前に他の女と関係もっちゃうって…。さらにさらに、敵役があまりにもショボイ。しゃがんでたり隠れてる相手に全弾撃ち切って、戸惑ってる間に殺されてるんじゃ迫力も全く感じられません。まだまだこれ以上つまらない映画があるかもしれないので一応1点にしておきます。序盤にあった強盗かなんかをを倒すシーン以降は見ないほうがいいでしょう。ほんとにつまらなかった。 1点(2004-07-09 23:35:21)(良:1票) |
7. 未知との遭遇
見てから一週間考えましたが、やはり結論は面白くない。未知の生物が地球にやってきて、交信することができて、ここから何か始まるのかと思ったらエンドクレジット。これだけの映画なら、そこに何か問題点やら考えさせられるものが潜んでいると期待していたのですが、どうやらただのエンターテイメントだったようです。その上、今となっては似たような映画が多く作られてしまっているので、視覚を満足させることも、おそらくはできないでしょう。 4点(2004-06-28 10:24:59)(良:1票) |
8. ザ・コミットメンツ
洋楽好きならそこそこ楽しめる映画だと思います。前半はこれからどんなバンドになっていくのかと期待しながら見ることができますが、後半は演奏ばっかりでストーリーの動きが一気に少なくなってしまうのでその曲を知っている人でないと退屈になってしまうかも。典型的なサクセスストーリーではなく、主人公の思い通りに事がはこばないもどかしさがまたいい。 6点(2004-06-12 14:13:35)(良:1票) |