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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2593
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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81.  愛してるって言っておくね
自分自身が、「親」という存在になって9年半。 この12分の短編アニメに登場する「娘」は、愛娘とほぼ同じ年頃だ。  無論、悲しくてやりきれないし、理不尽さに対する憤りに心が張り裂けそうになる。 映し出される両親の虚無感は、極めてシンプルだけれど情感的なアニメーションによって、静かに、ゆっくりと、鑑賞者の心をも覆い尽くした。  この20年あまり、同様の悲劇のニュースが、かの国から絶えることはない。 自分の子が生まれてからも、幾度となく、無差別な銃乱射によって理不尽に奪われた子供たちの命を知る度に、とても他人事とは思えず身につまされてきた。  この短いアニメーションの中では、「惨劇」そのものが映し出されることはない。 ただ、大きな“星条旗”の下で、凶弾と子供たちの叫び声が響き渡る。その「意図」は明らかだろう。  「If Anything Happens I Love You(愛してるって言っておくね)」  この短いメッセージを、誰が、誰に対して、どのような状況で伝えたのか。 それが明らかになったとき、堪えてきた涙腺は一気に決壊した。   12分という短い時間は、必然的に“悲しみ”の感情でほぼ埋め尽くされている。 でもこのアニメは、ただ悲しいだけ、ただ辛いだけの作品では決して無い。  彼らにとって何よりも大切な娘を失ってしまった喪失感は、絶望と共に深まると同時に、彼女が確かに存在したことも確実に浮き彫りにしていく。  転がったミートボール、おかしな壁の修繕跡、Tシャツの残り香、思い出の写真や音楽、そして、彼女と過ごした記憶そのもの。  彼女の短い人生の中の無数の思い出は決して無くならず、思い出すことがまた思い出となっていく。 悲しみが消えて無くなることはないけれど、それでも生きていく。 人間は、そういうふうにできている。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-12-19 22:10:49)(良:1票)
82.  アントマン&ワスプ
前作「アントマン」は、「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」と「シビル・ウォー」の狭間で公開され、両作の色々な意味で“重い”作風に対して、一服の清涼剤となるような良い意味でライトで痛快無比な最高のヒーロー映画だった。 続編となる今作もその立ち位置は変わっていない。あの「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の重苦しい“悲劇”の直後のMCU作品として、“清涼剤”としての役割は前作以上に大きかったことだろう。  キャストとスタッフが概ね続投されていることもあり、映画のクオリティやテイストに大きな変化はなく、前作同様ヒーロー映画として十二分に楽しい作品に仕上がっていると思う。  ただし、前作ほどのフレッシュさは流石に薄れている。 美しく強い“ワスプ”は魅力的で、表題に割って入ってくるのも納得だけれど、アントマンとのパートナーとしての関係性自体は、前作時点で既に築かれていたものなので、安心感はあるものの特段目新しさは無かった。 アントマンの“巨大化”のくだりも、「シビル・ウォー」で“ネタ見せ”してしまっているのでインパクトに欠けていた。 ストーリーの肝である量子世界への突入についても、既に前作で帰還に成功しているわけだから、新たな緊迫感を生むには至っていないと思う。  それでも前作同様の娯楽性を担保できているのは、やはり登場するキャラクターとそれを演じるキャスト陣が魅力的だからだろう。 アントマンことスコット・ラングを演じるポール・ラッドをはじめ、ワスプ役のエヴァンジェリン・リリー、ハンク・ピム博士役のマイケル・ダグラス、そしてなんと言っても悪友ルイス役のマイケル・ペーニャらのパフォーマンスが安定している。そんなレギュラーメンバーたちの掛け合いを見ているだけで楽しい。 またスコットの娘ちゃんは健気で可愛いし、普通の映画だったら憎まれ役になりがちの娘の“継父”すらも端役ながら最高なキャラクター性を見せてくており、ほっこりさせてくれる。  というわけで結果的には、前回と同じく“清涼剤”の役割をしっかりと果たしてくれていることは間違いない。 が、「覚悟」はしていたけれど、MCUにおいて痛快無比なこの作品においても、あの無慈悲な“チリ”を舞わせるとは……何とも容赦ない。 でもね、アベンジャーズの超人オールスター勢の中で、スパイダーマンでも、ブラックパンサーでも、ドクター・ストレンジでもなく、スコット・ラングという「小物」が生残されたことは、きっと“大きな”意味を持つと期待せずにはいられないよね。
[インターネット(字幕)] 7点(2019-03-21 18:27:49)(良:2票)
83.  悪女 AKUJO
冒頭から繰り広げられる“一人称視点”での大殺戮シーンを皮切りに、想像以上にぶっ飛んだ映画だった。良い意味でも悪い意味でも。 「ニキータ」+「キル・ビル」+「女囚さそり」+etc…古今東西のあらゆる“ヒロインバイオレンス”の要素を詰め込み、混ぜ込んだ上で、独特の空気感でぶっ込んでくる。 見せつけられるエンターテイメント性は強引ではあるけれど、極めて高い。  相も変わらず韓国映画の土壌は、よく肥えて、充実しているなあと思う。 ただし、数多の韓国映画の傑作の数々と比較すると、「稚拙」な部分は多々ある。特にストーリーテリングにおいてはトータル的に稚拙だったと言わざるをえない。 中盤に挟み込まれる恋愛シーン、回想シーンは、ヒロインの「業苦」を増幅させるために確かに必要な要素だったとは思うけれど、もう少し手際よく見せるべきだった。 それに特別捜査官の男の心情はもっと包み隠した演出にすべきではなかったか。序盤から彼の想いはダラダラと垂れ流されているため、感情移入はする反面、終盤の彼の行動にエモーションを感じることができなかった。 で、可哀想な“娘ちゃん”の出自は結局なんだったのか?中途半端な尻切れ感は、後味の悪さに悪い方向に拍車をかけている。  だがしかし、だ。冒頭から最後の最後までアクションシーンはまさに「怒涛」。それは否定できない。 想像よりもずっと「漫画的」な映画で、上質な傑作とは言い難いが、「殺人の告白」に続きこの監督の良い意味でも悪い意味でも雑多な味わいは、一つの特徴だと思う。  ストーリーの粗とチープささえ嘲笑うかのように、「絶望」なんて言葉を遥かに通り越した終着点で高笑いを見せる“悪女”のおぞましい姿に絶句。
[映画館(字幕)] 7点(2018-03-01 23:15:55)
84.  アナと雪の女王
ついに“本性”を他者に知られてしまった女王が、失意の中走り出す。 港湾の海面を一歩ずつ凍らせて、雪の中にに消えていく。 とても悲しく、でもあまりに美しいこの序盤のシーンを観て、この映画は“アメージング!”その一言に尽きると思った。  物凄い興行成績を叩き出している大ヒットぶり自体は、明らかに大衆の過剰反応だと思えたので、必然的に超ロングラン公開を横目に結局劇場鑑賞は敬遠してしまった。 ただその流行ぶりはやはり物凄く、どれくらい凄いかというと、当然映画なんて観てもいない3歳の愛娘が、「ありの~ままで~♪」と歌い出すほど。 そんなわけで、愛娘に見せてあげたい気持ちも先行し、レンタルショップに走った次第。  大ヒットの要因は誰が観ても明らかで、一にも二にも音楽とビジュアルのクオリティーの高さだろう。 主題歌「Let it Go」は、その音楽性も、綴られるメッセージ性も含めて、名曲が溢れるディズニー映画史上においても屈指の名曲だと思える。 音楽とビジュアルでこれほどの満足感を世界中に与えられた時点で、その映画的な価値は揺るがないだろう。  一方で、描き出されるストーリー性も、クラシックストーリーの中に常に「時代」を映し出してきたディズニー映画らしく、新たな価値観が導き出されている。  個々人の「特性」をオープンにすることの難しさと、正しさ。 ディズニーの新たなマスターピースが描き出したストーリーのテーマは、恋物語でも姉妹愛でもなく、“固定観念からの脱却”そのものだったと思う。  お姫様が幸せになるために“王子のキス”なんて必要ではない。 この時代において必要なことは、自分と異なる他者を寛容することと、自分の運命は自分で決めるという意志だということを高らかに宣言しているように思えた。  個人的には、もっと女王が悪役に陥る淵まで描いても良かったとは思うし、ラストの顛末などはあまりに御都合主義だと思う。 「少しも寒くないわ」と氷の中に閉じこもろうとする女王の様は冷ややかではあるが、とても魅力的だった。 彼女が彼女らしく盲進する様をもうしばらく描いて、そこから彼女自身が妹を含めた他者を寛容する様を描き出してくれたなら、この映画はもっと感動的になったと思えなくもない。   ただし、そんなことは、ようやく作品自体も観た上で「ありの~ままで~♪」と得意気に歌う愛娘にはどうでもいいことだ。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-08-24 01:04:50)(良:1票)
85.  アウトロー(2012)
ライフルの乾いた銃声。カマロの唸るようなエンジン音。観ている者の骨にも響く殴打音。 BGMを極力廃し、数々の無骨な音が、“アウトロー”が行き着いた映画世界に響き渡る。  派手なアクションシーンがひたすらに羅列されがちな昨今のアクション映画に対して、この映画の骨格は、とてもオーソドックスで一見地味なシーンが連なる。 それに対して古臭さと退屈を感じる人もいるだろうけれど、じっくりと見れば見る程、深い味わいが染み渡ってくる現代においては少々異質なアクション映画に仕上がっている。  このところのトム・クルーズの最新作を観て、毎度感じていることだが、このハリウッドスターの日々の「鍛錬」と俳優として、映画人としての飽くなき「意欲」は尊敬に値する。 50歳を越えて、また自ら新しいヒーロー像に挑戦し、シリーズ化を目論むなんてことは、並の神経では出来ない。 長年彼の映画を観てきた映画ファンとしては、当然「老けたな」という印象は拭えないけれど、それはそれとして主人公としてしっかりと“様”になっているのだから、文句は無い。  ヒロインがやけに熟女だなと思ったけれど、冷静に考えれば50歳のトム・クルーズの相手役としては相応しいバランスだよな……と思いきや、ヒロイン役のロザムンド・パイクはなんと34歳……。 彼女も含め、過去にトム・クルーズと共演してきた女優たちは時間の流れの“不平等さ”を恨んでいることだろうと関係ないことを思ったり。  一方で、脚本家出身の監督の作品のわりには、ストーリーそのものの面白味は薄かった。 話自体は、思ったよりもミステリー仕立てだったので、もっと二転三転のストーリーテリングがあっても良かったと思う。 が、“ニューヒーロー”のシリーズ第一作目だとするならば、新たなキャラクター性を際立たせることを優先したことも納得はできる。  ともかく、衰え知らずのハリウッドスターが新たに生み出した“ジャック・リーチャー”というヒーロー像は、充分に魅力的で、今後のシリーズ化も彼の目論見通りに期待したくなる。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-11-03 01:26:33)(良:1票)
86.  アイアン・スカイ 《ネタバレ》 
ジャケットの中央に立ついかにもな“ナチ女”のキャラクターが、実際は意外に純真なヒロインだったことは、残念でもあり、キュートでもあった。  月の裏側からナチスの残党が挙党を組んで地球に攻めてくる!という何とも馬鹿馬鹿しいSF映画。 そのイントロダクションの馬鹿馬鹿しさの逆を突いて、展開自体は意外に大真面目なものが繰り広げられるのかと想定していたのだが、それもハズれ、想定以上に序盤から馬鹿ネタ満載の世界観にちょっと引いてしまったことは否めない。  しかし、最終的にはその馬鹿展開を押し通しつつも、強烈な社会風刺もとい“地球風刺”を絡ませ、なかなか独特な映画世界を構築してみせていると思う。  要は、この世界において恐ろしいものは「無知」であり、さらに恐ろしいものは「馬鹿」であるということ。 そして、無知で馬鹿なのは、時代錯誤に攻め入ってきた“地球外ナチス”ではなく、現在の地球人そのものであるという皮肉。  映画のラスト、月の裏側に取り残された主人公たちは、何も知らない人々に対しての教育に途方に暮れつつも、一抹の希望を感じている。 その一方で、「馬鹿」の極みに至ってしまった地球人たちは、地球外からの侵攻等関係なく勝手に滅んでいく。  馬鹿は死ななきゃ治らない……いや、この場合「馬鹿は滅ばなきゃ治らない」ということか。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-06-26 00:12:42)(良:1票)
87.  暗戦/デッドエンド
何とも言えない後味を残す香港映画だった。 突っ込みどころは多く、ところどころチープに感じる描写も目につく。でも、エンドロールが過ぎ去って「終劇」の大文字が掲げられた頃には、不思議な印象深さと愛着を伴っていることに気付いた。  冒頭、アンディ・ラウ演じる余命宣告された謎の男が、物憂げに何やら企てている。 まず、その余命宣告のシーンがあまりにあっさりしていてただの“診察”にしか見えないことが、何ともチープで掴みきれない。 男が一体何者なのかも判別つかぬまま、ストーリーは突き進み、敏腕刑事との「ゲーム開始」となる。 もう一人の主人公と言えるこの刑事のキャラクターがこれまた掴みきれない。顔つきからして、シリアスなのかコメディアンなのか特定できない。 どうやら元特殊部隊出身で、今は「交渉人」を担当しているらしい。どんなキャリアだよ!と思ってしまう。  一つ言えることは、この主人公二人のキャラクターは掴みきれないままなのだけれど、いつの間にか両者とも好きになってしまうということだ。 とにかく気がつけば、彼らの言動に目が離せなくなっていた。  そうしてストーリーは、二人の男の知能戦&心理戦がいつの間にか繰り広げられ、いつしか互いの立場を超えた男同士の「友情」が、強引だけれど妙に叙情的な雰囲気の中で描き出される。  こう書くといかにも陳腐な話のように聞こえ、実際そうであることを否定はできない。 しかし、「面白くない」とはどうしても言い切れず、むしろ、もしかしてめちゃくちゃ良い映画なんじゃないかと思えてくる。  もしも、場末のミニシアターなんかで観ていたならば、もっと印象強い映画体験に成っていたかもしれないとも思う。  ジョニー・トーの映画はまだ二作品しか観ていないが、どうやら一筋縄ではいかない映画監督であることは間違いないらしい。
[DVD(字幕)] 7点(2012-05-03 00:52:09)(良:1票)
88.  アンストッパブル
鉄道職員の怠慢によって発生した暴走列車を同じく鉄道職員の機関士二人が決死の覚悟で止めるというお話。 実話を元にしているとはいえ、娯楽大作としてはいささか地味過ぎるのではないかと思ったが、それが存分に堪能出来るエンターテイメントへと昇華されている。 さすが米娯楽映画界の職人トニー・スコット、ちょっと見くびれない。  実際、イントロダクションのままのお話であり、想定外の驚きは何もないと言っていい。 しかし、やはり一つ一つのシーンの見せ方が巧く、展開のテンポも非常に良いので、観ていて決してダレないしどんどんと映画が醸し出す緊張感の中にのめり込ませてくれる。  主演のデンゼル・ワシントンは、何と同監督作品の主演が今作で5作目ということで、ある意味余裕の存在感を見せてくれており、気難しくも人徳のあるベテラン機関士を好演している。  誰しもが充分分かりきっていることだろうとは思うが、この映画は観賞後にとくとくと考え込むような映画ではない。そんな余地は無い。 作品の尺の長さの時間分だけ、主人公の機関士らを見守る脇役同様に、彼らの活躍をドキドキハラハラしながら見守り、最後に「イエーイ!」となればそれだけで充分な映画である。 
[DVD(字幕)] 7点(2012-02-23 23:44:18)
89.  あしたのジョー(2010)
矢吹丈のストレートが力石徹の頬にめり込む。力石徹のアッパーが矢吹丈の身体を宙に持ち上げる。 拳がゆっくりと顔にめり込む、震える表情筋、乱れる毛髪、吹き出る体液……。  あの宿命の好敵手との決着と悲劇を、映像として具現化出来た様を観た時点で、この映画の存在価値は揺るがないと思った。  原作が長年語り継がれてきた“伝説”である以上、やはり評価における「比較」は避けられない。 この映画は、ある部分では原作を越え、ある部分では大いに物足りない作品だと思う。  まず前述の通り“対戦シーン”は、申し分ない。メインキャストの二人はしっかりと映像に映える身体づくりをし、それをCGクリエイター出身の監督が文字通り「縦横無尽」のビジュアルで切り撮っている。  山下智久の“丈”は、猛々しさは物足りなかったが、重圧をはね除けるための彼なりの努力と意地は見られた。 香川照之の“丹下”は、原作のキャラクターそのもののビジュアルと存在感を、流石の演技力とボクシングへの造詣の深さをもってして見せてくれた。  が、この映画におけるすべての要素の中で最も価値が高かったのは、伊勢谷友介の“力石”をおいて他に無い。 その体躯、眼差し、立ち振る舞い、存在感、そこに居たのはまさしく「力石徹」だった。  役者のパフォーマンスと、監督の創造性よって映し出されたビジュアルそのものが確固たるエンターテイメントであり、そこには「人気漫画を映像化する」ことの意義が確実に表されていたと思う。  一方で、圧倒的に欠けていたのは、対戦シーン以外の「情感」だった。 どうしても映画化における尺の制約があるので、ストーリーが端折られてしまうことは仕方が無い。 ただ端折られているはずの各シーンのテンポが悪く、展開が稚拙だったため、本来そこから伝わってくるべきキャラクターたちの感情の描き方が希薄に思えた。  丈と丹下との絆だったり、丈自身の心情そのものが薄っぺらに感じてしまう部分があったことは、ドラマとしては致命的だったと思う。  そういう意味では、ドラマ性の部分においても、「力石徹」に食われてしまっている印象も受ける。  トータル的には、伝説的な人気漫画に真正面から挑戦し、しっかりと映画化した作品だと思うし、面白い映画であることは間違いない。 ただし、「力石徹」を登場させられない以上、続編には挑むべきではないとは思う。
[映画館(邦画)] 7点(2011-02-14 00:00:24)(良:1票)
90.  アガサ・クリスティー ミス・マープル3 復讐の女神<TVM> 《ネタバレ》 
ミステリーにおける“探偵”は、物語の真相を解き明かす先導者であり、同時に犯人を奈落の底に突き落とす”死神”でもあると思う。 謎の解明は即ち、殺人者に対する処刑宣告であり、その様は時に無慈悲で恐ろしい。  そういったミステリーの主人公の“正義漢”と表裏一体の“恐ろしさ”を、今作のミス・マープルからは如実に感じられた。まさに「復讐の女神」という主題にふさわしい。  古き友人の遺言に導かれるようにミステリーツアーに参加するミス・マープル。そこに集まるわけありの人物たち。 アガサ・クリスティー作品の大定番と言える舞台設定の中で、殺人が起こり、過ぎ去った殺人事件の真相が導き出される。 展開は極めて王道的だが、冒頭から感じられる禍々しさがストーリーの全編に溢れ、緊張感を増幅させる。  多くのミステリー作品で見られる顛末と同じく、真相を暴かれた殺人者は自ら命を絶つ。 その定番の展開を見る度に、みすみす死なすなよと思ってきたけれど、もはやそれはミステリーそのものの定石であり、避けられるものではないのだと感じてきた。  ミステリーにおいて、真相を解明する者は、同時に死刑宣告者であり、すべての主人公はその宿命を負っているのだ。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-10-20 14:38:27)
91.  アンドロメダ・・・
2010年、日本国内を席巻したトピックスの一つとして挙げられるのは、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還だろう。 それまで見向きもしなかったものに対して、突如として熱狂することは、善し悪しは別として昨今の日本人の特色だ。 このトピックスで日本中が沸いた際、何かのメディアで評論家が興味深い“不安”を口にしていた。  それは、無人探査機が地球から遠く離れた小惑星から採取したその「物質」が、地球の生態系において全く無害で、人類の科学技術で管理できるものだと、誰が断言できるのかということだった。  大多数の賞賛の中で、その空気の読めないコメントは、特に取り上げられることもなくスルーされた。 だが、その“不安”は、充分に考えるべき要素だと思った。  そして、それに極めて類似する不安要素を、このマイケル・クライトン原作の映画作品に感じた。  映画として優れた娯楽性を見せる作品とは言い難い。  宇宙から飛来した謎の病原体を、4人の科学者たちが深い深い地下の秘密施設で研究し続ける映画で、作中の科学者たちと同様、延々と繰り返される終わりの見えない研究室の風景には、退屈感が蔓延する。 主要キャストの4人も、オジンとオバンばかりで格好良さがまるで無い。  謎の物体が、突如として真の姿を現し始める瞬間など、スリリングな場面は幾つかあるのだが、もっと娯楽性高く映画全体を魅せる方法はいくらでもあるように思う。  ただ、今年「はやぶさ」に対する安直な熱狂があったからこそ、この映画が描き出す「恐怖」は、実はすぐそこに迫っているのではないかという緊張感を増幅させる。  そう考えていくと、分かりやすい娯楽性なんてこの映画には必要なく、延々と続く研究シーンと同じく、「未知なるもの」に対する実態の見えない分かりにくさこそが、「本質」なのだとも思える。
[DVD(字幕)] 7点(2010-10-18 22:32:41)(良:2票)
92.  アガサ・クリスティー ミス・マープル2 動く指<TVM>
アガサ・クリスティー原作の人気シリーズ「ミス・マープル」。そのテレビ映画シリーズを今回初めて続けて鑑賞し、今作が3作品目。 ようやくこのシリーズの特徴として、“ミス・マープル”は決して主人公ではないということに気づいた。  様々な人間模様の中から渦巻く謎と殺人事件。その「真相」を導き出すのは、“第三者”である謎解き好きの老婦人ではなく、その人間模様の中にどっぷりと息づく当事者であることが多いようだ。  一般的な名探偵ものとは一線を画し、名探偵役のミス・マープルは、節々で観察眼の鋭さを見せるものの、その立ち位置は、我々「鑑賞者」の目線に近い。 そのかわりに、物語の中で描かれる人間関係に密接な人物が事件を解いていくことで、よりドラマ性が深化し、ただのミステリーに留まらない情感を生み出していると思った。  イングランドの田舎町で出回る怪文書を軸に、閉鎖的環境ならではの人間関係の“ひずみ”とそれに伴う“殺人”を巧みに描き出した今作も、その例に漏れず、繊細な人間ドラマと上質なミステリーを同時に味わわせてくれる。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-10-15 11:00:16)
93.  アガサ・クリスティー ミス・マープル2 スリーピング・マーダー<TVM>
アガサ・クリスティの「ミス・マープル」シリーズの映像作品を初めて観た。 謎を解き明かす主人公が地味な老婦人ということで、それほど興味はそそられず恐る恐る観始めたが、冒頭から繰り広げられる上質なミステリアスに途端に引き込まれた。  婚約を機にインドからイングランドへ移ってきたヒロインが、何かに導かれるように訪れた売り家にて、養生時に見た「殺人」の記憶が突然蘇ったことから、それまで眠っていた事件が目覚める。 ヒロインと事件にまつわる人々が入れ替わり立ち替わりし、複雑な人間模様があらわれてくるくだりは、アガサ・クリスティらしいストーリーテリングで、事件の真相と並行して導き出される隠された人間ドラマが秀逸だった。  ソフィア・マイルズが演じたヒロインが、蘇る記憶に苦悩しながらもアグレッシブに過去の人間関係を辿っていくので、ミス・マープルの存在性が薄く感じてしまったことは如何なものかと思う。 が、一つのミステリー作品としての完成度は極めて高く、オールドイングランドを舞台に洗練された文体の世界観を堪能できた。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-10-05 13:00:01)
94.  アラジン(1992)
5歳のとき、幼稚園のお遊戯会で「アラジンと魔法のランプ」の劇がクラスの出し物で、僕は主役のアラジンを演じた。 ターバンとテカテカの派手な衣装を着て、セリフと音楽に合わせて踊り、ボール紙に金の色紙が全面に貼られたランプをこすった。 今思い返すと、非常に気恥ずかしいが、良い思い出だ。  そんなわけで、この千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)の一説とされる物語に対しては、とても愛着があって、当然このディズニー作品もとっくに観たものだと思っていた。  が、ふと振り返ってみると、どうやらちゃんと観たことが無かったようだ。  観たことは無かったが、登場するキャラクターたちは、魔人のジーニーにしても、ヒロインのジャスミンにしても、あまりに有名なので、目新しさは無かったものの、終始安心して観られた。  何と言っても、ランプの魔人ジーニーのキャラクター性が抜群だ。 アラビアン・ナイトの世界観を超越したあの破天荒なキャラクター性は、ディズニー映画史に残る名プレイヤーだと思う。  あまりに有名なお伽話なので、ストーリーに特筆するようなインパクトはないが、そんなことをディズニー映画に求めるのはそもそもナンセンスだ。 突如繰り広げられるミュージカルと、青い魔人のテンションの高さに、必死についていくべき映画だと思う。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-08-23 14:06:08)
95.  アイアンマン2
今一番熱いアメコミヒーロー映画シリーズ「アイアンマン」。 このシリーズの最大の勝因は、何を置いても主演俳優のキャスティングだと思っている。 これまでのヒーローたちとはその存在性そのものが「異質」であるトニー・スタークというキャラクター。決してヒーロー然としていないこの無頼漢を、ハリウッドきっての問題児ロバート・ダウニー・Jr.が演じたことで、このシリーズの成功が決まったと思う。  非常に期待したこの続編。娯楽映画としての面白さは問題ない。何も考えずに与えられた2時間をただ楽しめる映画だと思う。  ただし、「1」に比べると、ストーリー展開そのものは安直で魅力がない。 悪役に迎えられたミッキー・ロークは、その存在感自体は熱かったが、用意されたキャラクターにあまりに魅力が無かったと思う。最終的には、アイアンマンと予備スーツを着たローズ中佐とのタッグチームに二人掛かりであっさり倒されるという、あまりにおいしくない役柄で、せっかくのミッキー・ロークが勿体ない。  まあそのかわりに見せ場を作ったのは、ブラック・ウィドウに扮したスカーレット・ヨハンソン。相変わらずゴージャスな風貌で魅せる美しい強さは、今作のハイライトと言えるかもしれない。  ストーリーの更なる充実に期待して、次回作も待望したいと思う。       (2018.5.5再鑑賞)  「インフィニティ・ウォー」追悼MCU行脚。劇場公開以来の再鑑賞。 初鑑賞時は、傑作だった「1」の高揚感に対して、若干“消化不良”が先行した印象で、決して駄作だとは思っていなかったが「凡作」と記憶していた。 しかし、今回改めて観返してみると、今作以降ある種奇跡的な成功を勝ち獲っていく「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」を発展させていく上で、非常に重要な“ブリッジ”の役割を果たしていると思える。  トニー・スターク自身に課せられた問題として、アイアンマン存続のための複数の障壁を解消しつつ、この時点では謎に包まれた“S.H.I.E.L.D”という組織の全体像を朧げながら浮かび上がらせている。 何と言っても今作においてその役割に大いに貢献しているのは、ナターシャ・ロマノフ=ブラック・ウィドウだ。この超人的な身体能力と美貌を兼ね備えたスーパーエージェントを演じるスカーレット・ヨハンソンが、言わずもがな「堪んない」。  初見時はストーリー構成上ややとっ散らかって見えたアクション描写も、改めて観てみると、しっかりと盛りだくさんで見せ方も悪く思えた。おそらく、この後の展開が全く見えていなかった初見時は、ストーリー上に散りばめられたアレコレが当然ながら腑に落ちておらず、散漫に見えたのだろうと思う。 まあ、そういう部分が、やはり単体映画としては「粗」であったことは否めないけれど。  現在時点で、MCUの世界観にどっぷりと遣ってしまっているファンとしては、今作の価値は一転して高まった。 「アイアンマン」「アイアンマン2」を監督として務め上げ、MCUの本流を生み出してくれた“ハッピー”もといジョン・ファブローは、「良い仕事をした」と改めて思う。  エンドロール後のシークエンスには“ソー”のハンマー! 最高じゃん。
[映画館(字幕)] 7点(2010-06-27 22:33:25)
96.  アース
2008年一発目の鑑賞作品は、“地球”そのものをストレートに映し出したネイチャー・ドキュメンタリー。 昨年末から公開された予告編の圧倒的な映像を見て、「これはスクリーンで見なければならない」と心に決めていた。  今、立っているこの地球の美しさと壮大さ。それは、地球上に生きる誰もが、知るべき、“知られざる世界”だと思った。 すべての人間が、この実態を知れば、きっとこの惑星はもっと豊かさに溢れるのではないか。  この惑星に生存する幾多の生物、その誰のためでもなく、人類自らのために、この惑星の豊かさを保っていかなければならないと思う。
[映画館(吹替)] 7点(2008-01-14 14:00:47)
97.  アイ・アム・レジェンド
ウィル・スミスは一体何回地球を救えば気が済むのか。 と、もはや“はまり役”とも言える”救世主役”をウィル・スミスがいつものように陽気にこなすエンターテイメント大作だろうと気軽に構えていたのだけれど、想像以上に「恐怖」に溢れた作品だった。  この映画での最たる「恐怖」。それは、全世界を滅ぼす細菌の恐怖でも、闇の中から急襲してくるゾンビ化した感染者たちの恐怖でもなく、たった一人世界に残されたという「孤独」に対する恐怖だ。  愛する家族を皮切りに、周囲の人間が次々に失われていき、ただ一人世界に残された男に与えられたものは、果てしない絶望と、愛犬のサム、そして「残された世界を救う」という盲目的な使命……。  悲壮感に溢れつつも、決していつものノリも忘れないウィル・スミスは、主人公としてバランスがよく安定感があった。 映画の大半を一人で立ち回ることができるのも彼の俳優としての実力があればこそだろう。  エンターテイメント大作として申し分はない完成度は保っており、主人公が悪戦苦闘するアクション性と共に、孤独に対する悲哀にも溢れ、一辺倒ではない映画として仕上がっていると思う。 ただ、ゾンビ化した感染者についての伏線が中途半端に張られたままで解消されていなかったり、そもそもの原因となるウィルスについてやや説明不足な感も残ったのは、残念。  まあ、とにもかくにも、今後ともウィル・スミスには地球を救っていってもらいたいと思う次第。
[映画館(字幕)] 7点(2007-12-30 19:07:41)
98.  アンダーワールド/エボリューション
「吸血鬼VS狼男」という構図も、圧倒的に美しく強い女ヒーローという要素も、もはや「ベタだ」と言えてしまうほど、ありふれたアクション映画の“ジャンル”である。 しかし、この映画のシリーズには、他を寄せつけない唯一無二のポイントがある。 それは、「闇の美しさ」である。  タイトルが示すとおり、この映画はほぼ全編通して“闇”の中で繰り広げられる。主人公が吸血鬼なのだから仕方がない。 闇を描き連ねるあまり、ただただ画面が“真っ暗”になってしまっている駄作は多々ある。 しかし、今作は、見事に闇の世界の美しさを革新的なほどの映像美で映し出す。  藤子・F・不二雄の短編漫画で、吸血鬼に支配された世界における暗闇の美しさと素晴らしさを描いた作品があるのだが、まさにそれを思い出した。 吸血鬼から見た闇の世界は、これほどまでに美しさに溢れているのか、と思わせる。 そして、その美しい闇の中に、前作から引き続きケイト・ベッキンセールのまさに透き通るような美しさが映える。(実はもうそれだけで、及第点)  ただ、往々にしてよくあることだが、前作の大ヒットによって、製作費が潤沢になり過ぎ映画全体がやや「大味」になってしまっていることは否めない。ストーリー自体も、前作ほどスマートではない。  しかしまあ、ヴァンパイアたちによる悪趣味なほどに美しい、文字通り“血で血を洗う”戦いには、充分に見応えがある。 
[DVD(字幕)] 7点(2006-09-13 18:24:11)
99.  アンジェラ(2005)
“リュック・ベッソン6年ぶりの新作”と聞けば否が応にも観なくてはどうしようもないという感覚に陥る人はとても多いと思う。たとえそこに大いなる「不安」が存在しようとも…。 だが、その不安はその予感があったことすら消え失せると思う。「ああ、ベッソン映画だ」と思わせる台詞やカメラワークに安堵と共に引き込まれる。ストーリーはシンプルで、描かれるテーマも“ベタ”とも言えるほど普遍的なものだが、だからこそそこに生まれる“感情の揺れ”が際立つ。 美しい新星と愛すべき主人公という“ベッソン的王道”とも言える構図による『純愛』で、リュック・ベッソンが還ってきた。そう信じたい。
[映画館(字幕)] 7点(2006-05-15 22:40:20)
100.  穴(1957)
ストーリーだけを見れば、相当に荒いのだけれど、そういう荒さを押し通して、娯楽作品として完成させる力強さが、当時の映画界と映画人にはあったのだと思う。 だからと言って、その強引さを現在においても用いれば良いかと言えば、そうではなく、その当時の時代の空気と価値観だからこそ生まれた映画の流れだと思う。 まあ何にしても、そういう時代の空気感も含めて、何十年も前の映画が現在も充分に“娯楽”として通じることは、とても素晴らしいことだと思う。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-24 02:22:28)(良:1票)
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