1. 紅いコーリャン
冒頭からおそらく映画でしか表現しえない人間の情熱とそのエネルギーのほとばしりを痛切に感じさせる、まさに衝撃的な傑作だ。その色彩感覚と計算され尽くした画面の構成の見事さは、ほとんど前例がないほど鮮烈である。とりわけ悠久の大地の広がるコーリャン畑や、中国の荒々しい風土といった自然描写。その中で展開される生々しい人間ドラマとが一体感を伴って、官能的かつ詩情豊かに描かれていく。コーリャン畑を潰して道路を造る日本軍に相対する抗日中国人といった、苛酷な試練を乗り越え歴史を築き上げていった名も無い人々の、この情熱と闘いのドラマは、言葉よりも映像そのものが雄弁に物語っているところに価値がある。 9点(2003-02-08 23:24:53)(良:1票) |
2. ある日どこかで
ジョン・バリーの音楽と、ヒロインを演じるジェーン・シーモアの美しさに酔いしれ、素晴らしい愛を見せてもらったという感想。ただし結末には納得いかないものがある。 8点(2001-03-18 00:18:17) |
3. アンタッチャブル
ブライアン・デ・パルマ監督の作品って、いつも途中までハラハラドキドキなんだけど、終盤になるにつれて肩透かしというか腰砕けになってしまうんですよネ。でも本作は脚本の良さもあって、冒頭からエンディングまで隙がなく巧くまとめています(彼らしくないといえばそうなんだけど・・・)。クライマックスの駅構内の階段でのド派手な銃撃戦は、スローモーションでさらに効果をあげ、映画史に残る(かな?)名シーンになっています。でもあの赤ん坊は可愛くないっ!(笑) 8点(2000-09-20 23:52:18) |
4. アウトランド
一見、SF映画の形を借りてはいるが、これは明らかに西部劇を意識した作品。保安官然としたS・コネリーに歩調を合わせるかの如く、SFXもすこぶる渋くて実にリアル。宇宙船での孤立無援の戦いを強いられる主人公だが、さすがにP・ハイアムズ監督だけあって、アクションの冴えは地球を飛び出しても健在で、船内を所狭しとカメラが追いかけ回すスピード感溢れる“定番映像”も、すこぶる快調。作品傾向がある種の軽快さを身上としている人だけに、全体的に少々重厚になり過ぎたきらいはあるが、アクション映画としては水準以上の出来で、まずは楽しめる一篇。 7点(2003-06-15 17:15:15) |
5. アビス(1989)
昨今見慣れてしまった「T2」の形状記憶合金のSFXの原型を、本作の“水”の動きで実験済みなんですけど、でも最初観たときはド肝を抜かれましたよ。ホント。エド・ハリスっていつも役になりきって本物に見えてくるところが凄い。終盤はちょっとベタな安っぽい仕上がりで評価を下げました。 7点(2000-10-12 00:54:34) |
6. 愛と哀しみの果て
この作品、同じアフリカを舞台にしている分けでもないんだろうけど、「野生のエルザ」の旋律に近い、スケール感をともなったリリカルなJ・バリーのスコアに、随分恩恵を蒙っているように思えます。 7点(2000-10-12 00:20:45) |