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プロフィール
コメント数 3881
性別 男性
年齢 53歳

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【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  悪魔の赤ちゃん2
前作でかなり出し惜しみしたとは言え、例の悪魔の赤ちゃん(←あくまで邦題ですが)の姿はすでに画面上に登場して我々も知っているので、2作目では遠慮なくガンガン登場するのか、と思いきや、やっぱり画面になかなか現れない。予算の関係なのかどうなのか(いや、そうに決まってる)。 しかし、この画面になかなか登場しない(させられない)制約というのは、これはこれで別の可能性も引き出している訳で、姿を写さない代わりに不気味な泣き声でその存在を描くのが、効果を上げています。いや、いくら低予算だろうが、リック・ベイカーの手によるナイスな造形の撮影用ギニョールはあるんだから、登場シーンを増やすことは可能、というか、むしろ増やしたくなるのが人情だろうけれど、そこはグッと堪えて、出し惜しみ。 見せてナンボのCG時代にはこういうアプローチも難しくなって(こういうアプローチをとる必要も無くなって?)、これもまた、良くも悪くも当時のホラー作品ならではの味わい、でしょうか。こういう映画が後の80年代のホラー量産の礎を作った、と思えば、ラリー・コーエンの先見の明みたいなものが感じられてきます。 という訳で、微妙なホメ言葉を並べて結局は、地味な作品だと私は言っているのですね。 姿は露わさねど、人数は増えた悪魔の赤ちゃん(数少ない出番ながら、動きは前作よりも良くなった気が)。彼らの抹殺を図ろうとする警察と、それを阻止しようとする組織の対立が描かれる、という趣向ですが、それなりに地味。地味ですが、雰囲気はある。夜の不気味さ、みたいなものがよく出ています。 で、例によって、我が子となると理性が揺らぐのが親心。周囲からすれば、次には一体何を言い出すやら予想できない、それが親心。 ラストの尻すぼみ感も含めて、これは一種のホームドラマなんですよ、きっと。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-08-14 08:31:05)
2.  アーノルド・シュワルツェネッガーの鋼鉄の男 《ネタバレ》 
このシュワちゃんという人はこれまで、映画の中でさまざまな敵と戦ってきた訳ですが、このドキュメンタリ作品に出てくる彼のライバルたちこそ、最強最大の相手、のように思われてきます。 映画開始から、筋肉、筋肉、また筋肉。体の隅々まで怒張しまくった、全身デカマラ状態のこのライバルたちの、非常識なまでに凄まじい肉体を目の当たりにすると、あのいつもニコニコシュワちゃんが彼らに勝てそうな気は、まったくして来なくなります。。。が、ある意味、彼の本当のピークの時期を映像に捉えたのがこの作品。我々になじみのある80年代のシュワは、もはや彼の余生と言ってよいのかも。後の映画スター時代以上にニコニコしながら、最強の肉体美で(「美」かどうかはもはやよくわからんが)しっかり優勝をかっさらってしまう。優勝を争っているのが3人しかいないというこの状況がよくわからんと言えばわからんけど、まあ、ボディビル界における全世界の頂点、なんでしょう。見れば納得の、この肉体。 ムキムキと、実際に音を立てていそうな筋肉パフォーマンス。非現実感すら感じさせ、どこかユーモラスでもあるのですが、裏では苦痛に耐え続けた壮絶なトレーニングがそれを支えている。どうしてここまでやるのか、何が彼らを支えているのか、どうして他のことにこの情熱を向けられないのか(?)。そのアンバランスさが、不思議な感動に繋がります。人間が到達できる限界の世界、常人が理解できるかできないか紙一重の世界。 肉牛の品評会みたいにも見えてきますが・・・
[インターネット(字幕)] 6点(2023-04-01 03:12:05)(良:1票)
3.  明日なき追撃 《ネタバレ》 
主演のカーク・ダグラスが製作・監督を務めた意欲作、とは言ってもヒーローものの超大作を目指すでもなく(ジョン・ウェインとの違い)、皮肉が効いたイキな小品に仕上がってます。小品とは言え、機関車を使ったちょいとスペクタクルなシーンもあり。 まず冒頭のタイトル前の夜のシーン、思わせぶりに、セリフを最小限に絞り、ツカミは上々。 ブルース・ダーンが酒場で銃撃する場面なども、ほとんど表情を変えない彼の顔と、テーブルを銃弾が突き抜けるアップの映像とを交互に描くスタイリッシュな演出で、こういうのもなかなか気が利いてます。 その後、「ちょっとした場面」が描かれます。酒場の誰もがブルース・ダーンに恐れをなして何も言わずに黙り込む中、ワンちゃんだけが彼に吠え掛かるのですが、彼がエサを投げると、たちまちエサに夢中に食らいつく。これだけだったら、ユーモラスな1シーンの挿入、に過ぎないのですが、その後の映画の展開を見ていると、実はこの作品を象徴するシーンであったりもします・・・・ 映画は中盤に、カーク・ダグラスが演説する夜のシーンを長くとり、その後はブルース・ダーンを護送する機関車のシーンからクライマックスへ。映画が描くシチュエーションを、欲張らずに数を絞って、じっくり描く。こういうのも、シャレてます。詰め込まないで、しっかり、じっくり描く。何かが起こりそうな雰囲気が、徐々に高まっていく。 クライマックスでは機関車を舞台にしたアクションで盛り上げて、見どころも充分、だけどラストで変化球も見せ、いやあ、なかなか心憎い作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-03-11 05:32:04)
4.  嗚呼!!花の応援団(1976)
ビーバップハイスクールの原点にして到達点!? いや、片や硬派の極致、片や軟派の極致、のはずなんですが、一周回って両者、ほぼ区別がつかなくなっているという・・・。 ひたすらおバカで、害虫なみの存在感しかない、南河内大学応援団の面々。そのひたすらおバカな生態が描かれて。取り柄と言ったら、不死身であることぐらいでしょうか。一体、何のための不死身なんだか、よくわからんけど。しかしこの、どこまでも無目的な生命力と、そこから生まれるアクションの坩堝。いや、素晴らしい。 そして、そんな彼らでも、いや、そんな彼らだからこそ、どうにもならない哀しみがあって。その先には、突き放すような突然のラスト。ロマンポルノ以上にロマンを感じてしまうではないですか。こんな映画なのに。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-02-28 22:37:56)
5.  悪魔のバージン
写真撮影のモデルをすることになり、どこぞの寂れた田舎にやってきた姉妹。いざ撮影が始まると、「じゃあちょっと、脱いでみようか」、というお約束の展開が待っていて、やたらと脱ぎまくる。 そこは実は、何やらアヤしい宗教の信者が集うところで、彼女たちもその儀式に巻き込まれてしまう、というのが本作品の見せ場、であるハズなのですが、脱いでばかりでオハナシがなかなか進まず、「いい加減脱いでるヒマがあったら話を先に進めろよ」という気持ちにもなってくるのですが、大した事件も起こらないまま、中盤、ハダカ率がやや下がってくると、「せめて脱げよ」という気持ちにもなってきます。 結局、儀式といっても、ハダカ踊りとか乱交とかいった類であり、何一つコワい要素が無いもんで、私もコレをホラー映画に分類することには、強く強く反対したいです。ハイ。
[インターネット(字幕)] 3点(2021-09-05 14:17:56)
6.  アーノルド・シュワルツェネッガーのSF超人ヘラクレス
主演はアーノルド・ストロングという、聞いたことはないけど見たことがあるムキムキ男。彼の演じるヘラクレスが、神話世界からニューヨークにやってきて騒動を巻き起こす。というオハナシですが、登場する「神々の国」ってのが、背景の木の葉も緑も何だか薄汚く、手入れも行き届いていない感じ、やたら貧相。 それどころか、近くに車道があるらしく、クルマの走る音やら、クラクションの音やら、一体どれだけ近所でロケしてるんだよ、と。 その後も、微笑ましくもクダラないエピソードの数々が、キレの悪いションベンのように続くのですが(ギャングみたいな連中が追いかけてくるシーンで一人コケた奴がいるにもかかわらずそのまま撮り直さないなど、撮影の手抜きも続くのですが)、しかし、考えようによってはコレ、後のシュワ自身の『ツインズ』の先駆けのようでもあり、また『星の王子ニューヨークへ行く』の元ネタのようにも思えてきて。 さらにはヘラクレスが街なかを馬車で疾走するシーンなどは、荒唐無稽さと無許可撮影っぽさが相俟って、ファンタジーへと昇華されており、これを表現するにはなんと言ったらいいのか、私の頭には「トロマ的」という言葉しか思い浮かびません。 最後のは褒め言葉になってないですね。でも、ちょっと時代を先取りしています。 とにかく、制作費はないけど夢がある、そして最後はちょっとしんみりもさせられて。陽気な音楽が、さらにその感情を揺さぶります。 いや、イイ作品だと思いますよ、コレ。暖かい気持ち(と少しの忍耐)で見守りたくなる映画です。 もしこの作品がそこそこヒットしてシリーズ化されちゃったりなんかしたら、ヘラクレスは回を追うごとに活躍の場をひろげ、4,5作目あたりではついに、知事になっちゃったりなんかして。 その場合、シュワが実際に大スターになって、さらに知事にまでなることは、なかったでしょうけど。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-04-11 09:21:03)
7.  アタック・オブ・ザ・キラートマト
トマトが人間を襲う、という、意味はよくわからんけれど意図はわからんでもない(いや逆か?)このネタで、どうしてここまでオハナシが迷走してしまうのか、が不思議な映画。パニック映画のようで、ギャグ映画のようで、戦争映画のようで、でも実はスパイ映画。のようで、多分、どれでもない。強いて言えば、トマト映画。なんだそりゃ。 と思ってこちらも見てる訳で、ムダに長い「トマトの出てこない時間帯」を、我々はどういう気持ちで画面に向かえばいいのやら。 いや、トマトが出てきたところで、トマトに襲われると何が起こるのか、トマトの何が恐ろしいのか、全くワカラン訳で。そういう一番肝心なところについて何も語らない、というハートの強さには、恐れ入ります。マーズアタックの原点、などと言ってみたところで、その点ではマーズアタックとは永久に埋まらない差異があります。 恐るべきはこの無分別。 随所に挟まるギャグもお寒いものばかり、なのに笑ってしまう自分がだんだん、信じられなくなってくる。 それにしても、不味そうなトマトばかり出てきますな。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-03-26 23:14:42)
8.  悪魔の赤ちゃん
『ローズマリーの赤ちゃん』が妊娠にまつわる不安というものを描いているなら、本作はもう、あけすけに、「生まれたら最後、子供なんてみんなモンスターなのよ」、と。 まあ、そうなんだけれども、自分の子供となるとやっぱりカワイイところがあって、逆に言うとそういう子供への愛情ってのは、アカの他人からするとどうでもいい、いやそれこそちょっとイタイものだったりするのよね。ってな映画ですわな、これは。 映画開始間もなく惨劇が発生、神出鬼没の凶暴なる赤ちゃんはなかなかその容貌を画面上にはっきりとは現さず、しかしチラチラと部分的には見せる、チラリズム。コストをかけずに最大限、雰囲気を出してますが、それにしても演出がモタつき気味で、安っぽさも感じざるを得ません。 それが、クライマックスにおける暗渠での追跡劇となると、雰囲気出まくり、俄然盛り上がってきて、まさにラリー・コーエンの面目躍如。姿を現した赤ん坊が一部、全くのハリボテにしか見えなくても、気にならない、気にしない。 そもそも、この映画では、赤ん坊が人を襲うシーンそのものズバリは殆ど描かれておらず、多くは間接的な描写にとどまっているのだけど、そしてそれはおそらく、ハリボテの赤ちゃんが大のオトナに襲い掛かってもサマにならない、という技術的な理由によるとも思われるのだけど、それでもちゃんと「赤ちゃんが襲ってる」という印象を作り出してるのは、これはウマイと言っていいんじゃないでしょうか。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-03-24 23:32:47)(良:1票)
9.  アメリカン・グラフィティ 《ネタバレ》 
まあ、オハナシ自体が面白い訳でもないし(というかストーリーらしいものは特に無いし)、撮り方がウマい訳でもないし・・・要するに「アメリカだからといって、美男と美女が映画みたいなロマンスを日々繰り広げている訳ではない」ってコトですね。冴えない田舎町を舞台に、冴えない連中がひたすら夜の街を徘徊し続ける。車で街を走り続けても、同じような連中とすれ違うばかり。まるで永久に夜が明けないかのように、目的も際限もないような夜遊びが続くんですけれども。 そんなの夜遊びとは言えんだろう、ツマランだろう、ってったって、そりゃイマドキの夜遊びと比べるからであって、比べる対象が無ければ、こういう日常しか無ければ、これこそが楽しみ、若者の特権、ってもんでしょう。 だけど、夜が無限続く訳でもなく、すなわち青春が無限に続く訳でもなく、夜明けも間近になってリチャード・ドレイファスはようやく、ある行動を起こすけれど、すでに遅かりし。残された時間は限られているのだから。 「後悔先に立たず」という、その事実を、我々は後になって「後悔」するしかないんですけれどね。 でも映画はそれも含めて、わりと肯定的に過去を(製作当時からしたらわずか10年ほど前の過去ですけれども)振り返りながら描いています。飛行機で旅立つリチャード・ドレイファス。空撮で見下ろす故郷の風景が、なんともイイですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-04-26 11:14:37)
10.  アラン・ドロンのゾロ
この映画の記憶というと、ヒロインの女優さん見て、なんてカワユイのだ、と思いオッタヴィア・ピッコロという名前もチェックしてた、ということなんですが・・・どうしてそんなこと思ったのか、今ではサッパリ(笑)。たいしてカワユくもない、というか、これだったらそれこそ、リンダ・ブレアとかとも大差ないんじゃないの←それは失礼でしょ(←誰に対して?)。 それはともかくとして、アラン・ドロンが怪傑ゾロを演っている、という、まあ、邦題を見りゃわかるんですけど、そんな作品でして。 アクションシーンでは基本的にマスクを被ることになるもんで、どこまで本人自身が演じているのかはわかりませんけど、こういう活劇モノでもしっかりサマになってる、さすがはアラン・ドロン。片や切れ者の義賊、片やドン臭そうな総督、という、一人二役的な役どころをコミカルに、楽しげに演じてます(これも、本当に楽しかったのかどうかはわかりませんが)。 ただ、物語はというと、まあ、あんまり物語らしいものもないんですね。上述のピッコロ嬢も必ずしも出番は多くなく、さほど存在感も無い。なんやかんやと、小競り合い的なドタバタが続いて、これで尺がほぼ2時間。むかし日曜洋画劇場でやってた時は、いい感じにだいぶ刈り込んでたんでしょうね、さすがにメリハリの乏しい2時間は、ちょっと長く感じます。 でも、全体が長い分、最後の一騎打ちの場面にもたーっぷりと時間をとっていて。場面を次々に変えながらどこまでもどこまでも続いていく闘い、このしつこさは、見どころと言ってよいでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-10-21 11:19:22)
11.  赤穂城断絶
2時間半を超えるんだから、長い映画の部類に入るんでしょうが、それでもあれが足りない、これが足りないと思えてしまうのが、この忠臣蔵。しかし本作、それをわざとやっているようなフシもあります。 とりあえず冒頭から、セットも大がかりならエキストラの大がかり、大作らしさを感じさせるものの、物語はいささか性急で、浅野内匠頭は何ほどのイジメを受ける間もなく早々に逆上。この後、アクションを挟みつつオハナシどんどん進んで、浪士たちこれといって耐え忍ぶ間もなく、早くも討ち入り準備となります。って言うかコレ、湿っぽい人情噺よりも、組織vs組織の諜報や抗争を描きたかったんでしょうかね。ヒットマン同士の戦いとしての忠臣蔵。 だもんで、クライマックスの討ち入りも、不意打ちっぽい感じじゃなくって、浅野の家臣たちも「待ってました」とばかりに受けて立ち、赤穂浪士と一緒になって屋敷を破壊しまくる。チャンチャンバラバラ、一体この斬り合いいつまで続くんでしょうか。 という訳で、あくまで忠臣蔵の体裁は保ちつつも(間違っても四谷怪談と混ざったりはしない)、若干変則的に、何となくヤクザ映画風味も感じさせる作品でした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-02-26 23:39:29)
12.  アイガー・サンクション
実際の山で撮影を行い、スタッフとして参加していた登山家の一人がロケ中の事故で亡くなったという、いわくつきの作品。というだけあって、まあそれはそれは、過酷な様子が伝わってきます。場面によっては、カメラマンらしい人影が映ってしまうのも、撮影スペースが極めて限られていた所以か。 もちろん、単に「頑張って撮影してきました」というだけの作品ではなくって、物語の面白さ、登場人物のユニークさがあってこそ、なんですが、それにしたって圧倒されるのはやはりこの、緊迫感と臨場感あふれる映像。わざわざ顔がしっかり映るようにして、代役ではなく本人であることをアピールして見せたり。 ただ、「物語の面白さ」とは言っても、後半はひたすら登攀が描かれることの面白さであって、陰謀劇という要素はだんだん薄れていき、いわば、目的そのものが欠落した、描写の面白さに変貌していく。目的の無さ。登山ってのは、そういうものかも。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-07-07 23:24:42)
13.  愛のメモリー 《ネタバレ》 
妻子に恵まれ、結婚10周年を迎えた人生順風満帆の男が、ある日、悲劇に見舞われる。妻子が身代金誘拐の犠牲となり、帰らぬ身となってしまったのであった。それから歳月が流れ、ビジネスで訪れた先のイタリアで、男は、亡き妻ソックリの女性を目撃する……。と言う訳で、この「ソックリ」の女性に対する、男の“オブセッション”が作品の中心となっていくのですが、ここに何だか違和感がありまして。妻だけではなく、大事な一人娘も失っているというのに、「妻ソックリさんへの妄執」一本やりってのは、設定としてバランスが悪い(墓碑に書かれた妻子の生年を見ると、妻は10代で結婚し、すぐに娘が生まれたらしい。妻と幼馴染ででもない限り、妻と知りあってからの歳月の大半は、娘が生まれて以降の3人での生活だったハズ)。うーむ、妻の幻影を追い求めるストーリーなんだったら、子供はいない設定の方がしっくりするんだけれど。⇒⇒⇒一応ネタバレ表示したとは言え、この件についてはこれ以上書けません(笑)。いずれにせよ、オモシロイ作品です、ハイ。ヒッチコック作品を本歌取りのように用いて、これが一種の目くらましのようにもなっており、神秘性を出すことにも成功していますが、ただ、結末の説明的な部分がちょっとクドイですかね。主人公の崩れていく姿が充分に描き切れなかった気もいたします。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-09-07 08:20:51)
14.  悪魔の手毬唄(1977) 《ネタバレ》 
横溝正史と言いますと、何と言っても「獄門島」。俳句の通りに見立てられた3つの殺人、そこには様々なトリックが凝らされていて、まあ実に見事ですね。それから10年ほどして発表された「悪魔の手毬歌」で、歌詞通りの殺人というテーマがまた取り上げられますが、さすがにそこまでトリック三昧な内容ではなく、どうしても二番煎じの印象が拭えません。それでも「なぜそんなところにサンショウウオがいたのか?」といった魅力的な謎を提供しているのは、さすが、ですが。それに、3つの殺人というところまで「獄門島」と同じなのは、いわば作品自体が「獄門島」に対する見立て、とでも言いますか、一種の目くらましなのかも知れません。で、それを映画化した本作、市川&石坂シリーズでは犬神家に続く、第2作です。一にもニにも、古民家のもつ侘び寂びの雰囲気が、懐かしいようなコワイような感じがして、いいんですね。ですが、被害者でもあり容疑者でもある登場人物たちを、犬神家ほどうまくは描き切れていない気もします。登場人物の印象が薄いせいで、発生する殺人事件のインパクトも薄くなる(極端に言えば、「今回殺されたオマエ、誰だっけ?」とツッコミたくなる)。その分、若山富三郎演じる磯川警部に映画の力点が置かれることにもなるのですが…。あるいはこの、オドロオドロしい「悪魔の手毬唄」というタイトルをミスディレクションに使って、それとは正反対のロマンスを描こうとしたのがこの作品、なのかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-04-13 10:07:35)
15.  アギーレ/神の怒り
冒頭からの苦難の行軍シーンは、本編というより、まるでメーキング映像を観ているかのような。“リアル”という言葉では表現し切れない、ドヨ~ンとした雰囲気が充満しています。で、命からがら、何とか川べりの平坦な地を見つけたところでようやく、お芝居でも始めましょか、映画の撮影でも始めましょか、まるでそんな感じの作品なんですね。それまで大自然の前に隷属していた人間たちが、矮小な物語を語り始める。だけど大自然はどこ吹く風、まったくの理不尽さを持って、彼らを取り巻く。アギーレの野心は、人間たちのささやかな秩序を無秩序に変えていくけれど、その無秩序もまた大自然の得体の知れなさの前においては、実にささやかなもの。と言う訳で、小さな小さな人間の社会・野心・挫折、それを取り巻く圧倒的な「得体の知れなさ」、これだけでもって成立している作品です。結局のところ、彼らをとりまく“外部”が一体どうなっているのか、何が起こっているのか、さっぱりわからないけれど、その“外部”に対し「敵わなかった」「敗れ去った」と言う事だけは痛いほどに伝わってくる、という、何ともエゲツない作品であります。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-26 21:19:59)
16.  アシャンティ
その昔、日曜洋画劇場で観たこの『アシャンティ』とか『アイランド』、はたまた劇場で観た『ジョーズ’87/復讐篇』あたりの印象から、私はマイケル・ケインという人について、“プチ・アドベンチャーなオヤジ”という印象を持ってました。実際、自ら一生懸命泳いでみせたり、そこそこ体を張ってるとは思うのですが、どうも“プチ冒険”の枠を出ていないのです。この『アシャンティ』も、アフリカで黒人の妻を人身売買者に誘拐され、それを追跡する医者のオハナシでして、砂漠の過酷な追跡劇を描いた作品のハズなのですが、どうもあまりその過酷さが映画に見えず、どこかノンビリした印象を受けてしまう。「これは実話なんです!」と意気込んで見せても、なーんかヌルいのよね。挿入される音楽は大自然を思わせるどころか、えらく日常色豊かなユルい音楽だし、真面目な「実話」かと思ったら妙な呪術が登場するし。乱闘シーンはまるで気合いが入って無いし、チョイ役に甘んじるW・ホールデンにO・シャリフ、何しに出てきたのやら、単なる小遣い稼ぎかよ、と言いたくなっちゃう。そして極め付けは、その昔日曜洋画で観た時から脳裏に焼き付いて忘れられない、海面キラキラのラストシーン(いやむしろ、記憶よりもはるかにキラキラしてて、ビックリした)。この能天気な超ファンタジー色は、一体どういう発想から生まれるのだろうね。「実話だ」とか言いながら、まったく社会問題を提起する気、ないでしょ。いや、別に、映画でアジって欲しくないから、これはこれでいいんだけど……いいや、良くない、だって、感動を呼ぶハズのシーンで、笑いを呼んじゃうのだから。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-08-03 08:14:51)(良:1票)
17.  アルカトラズからの脱出 《ネタバレ》 
言わずと知れた脱獄映画の決定版。とは言ってもこれ、妙な作品でもあって、基本的に監獄の「外の世界」ってのが無いんですよね。ひたすら「中の世界」で脱獄に取り組む姿が、少ないセリフでもって描かれる。「外の世界」ってのが無いから、主人公はどこからともなく現れ、どこへともなく消え去ってしまって、終わり。脱獄の目的は、脱獄そのものにあり。ほとんど無目的とも言える冷えた情熱が、静かに着々と描かれていく。その姿に、そして時に残酷なまでの冷徹な視線に、シビれちゃうんですけれども。ただ、もう少し感情を交えて描いてもよろしかったのでは、という気もしないでもないですが(「静寂」の持つ不気味さの描写、とか)。あと、爪切り盗んだりスプーン盗んだり、ギリギリの綱渡りのような脱獄手段についての綿密な描写がある一方で、後半は何でもかんでも簡単に手に入れちゃう大味な描写になってしまうのも、ちょっと残念。というか、実際に命がけで脱獄算段を練る脱獄者と、その脱獄手段を空想してみる映画製作者との、想像力の差なのかも知れませんが。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-09-18 20:57:06)(良:1票)
18.  悪魔の植物人間
マッドサイエンティストもの。実験台として誘拐してきた人間を実験で“植物人間”にしちゃう。冒頭から、高速再生フィルムによって植物がニョキニョキ成長する様を見せてくれたり、食虫植物の捕食シーンを見せてくれたり、いやいや、この映画、マッドサイエンスどころか普通にサイエンスしてますよ、なかなかに興味深い。でも、食虫植物って、植物なのに「捕食する」というその動物っぽさが、得体が知れなくて不気味な点なんだけど、ソレを人間と合成してもなあ。むしろ親近感が沸いたりして。やっぱり実在の食虫植物の方が、何とも知れず不気味なんです。で、しかも、この“植物人間”を巡るストーリー、サスペンスが、あまり面白くない。むしろこの映画で目を惹く点、そしてこの映画をカルト化しているのは、実際の障がい者が出演している見世物小屋のシーンの方、ですね。ビックリ人間大集合。見世物小屋のおどろおどろしさ、眉をひそめる見物客。実に正直な描写だと思います。足に畸形のある障がい者が、「僕は特に芸はできません。でも、この足は、動きます」と動かして見せる場面など、こんなセリフは脚本家の想像だけじゃ書けないですよね。で、そんな彼らにも当然、日常がある(日常があるどころか、彼らにはその人生しか、無い)。公演後、客のいない舞台で、ささやかなパーティをやってるシーンなど、実に印象的です(そしてそれがぶち壊しにされてしまうくだり!)。と言う訳で、この作品、イイ映画だ思いますよ。何と言っても多面性がある。ただ、肝心のメインの軸(要するにサスペンスの部分ですな)が、さすがにもうちょっと、何とかならんかったのか…。
[DVD(字幕)] 6点(2012-06-24 09:35:29)
19.  愛と喝采の日々
一見、「二大女優激突の巻」ってな趣向なんですけれども、必ずしもそうでもない気もしてくるんですね。片や、バレエ一筋ウン十年、成功を収めたけれどももう結構お歳を召されて第一線から退こうか、という女性。片や、早々にバレエを引退して家庭を設けた女性。娘の世代がいよいよバレエ界の主役となっていく中で、互いへの嫉妬心もあり、“二大女優”くれば恒例(?)の、あのシバキ合いのシーンともなる訳ですが。その一方で、娘の世代にも恋愛ありスレ違いあり、アレコレある訳ですな。要するにこういったことは「人生」として描かれる。ところがところが。映画では、そういった「人生」と並行してバレエのレッスンシーンが(これはこれで独立するように)描かれて、作品の見所になっております。そしてクライマックスの華やかな舞台のシーンでは、もはや映画前半のドラマを忘れ去るかのように、バレエそのものが活き活きと、実に活き活きと描かれます。ここでは前半で描かれた「人生」に対し、「芸術」が描かれています。「芸術」は確かに「人生」に裏打ちされ「人生」を糧にするのだけれども、いざ舞台において繰り広げられるのはやっぱり「芸術」そのものなのであって「人生」ではない。例えば「人生経験積んできましたからこれは芸術と認めて下さい」みたいな言い訳は通用しないのですな。背景にどんなドラマがあろうと、ドラマの中でどんなキャラだろうと、舞台におけるミハイル・バリシニコフの躍動する肉体は光り輝く。それは芸術の残酷さでもあるのだけど。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-05-06 09:07:46)
20.  悪魔のしたたり/ブラッドサッキング・フリークス
江戸川乱歩もビックリの「舞台で行われている殺人劇は実はホントの殺人でしたとさ」という作品。「脳味噌チュルチュル」などの変態シーンの連続、かなりビョーキの作品ですが、“批評家を血祭りにあげる”などというテーマ性には、一応自覚症状も見てとることができますね。ははは。「こんな映画、どうやって終わらせるねん」と思いつつも、あまりにもヒドイ内容なので感覚がマヒしてきてしまったのか、ラストでは「おお、なるほど」と妙に納得してしまった自分がいる。 点数は一応、1点としておきますが・・・点数をつけることに何の意味もありませんけどね。
[DVD(字幕)] 1点(2012-01-02 08:12:50)(良:1票)
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