1. アメリカン・スナイパー
《ネタバレ》 冒頭で父親がクリスと弟に言った、「人間には羊、狼、番犬の3種類がある」という言葉を頭に入れながら鑑賞した。テロリストが狼ならその犠牲になる弱い民衆が羊。そしてそのテロリストを駆逐するアメリカ軍が番犬である。しかし民衆の立場から見ればテロリストもアメリカ軍も「狼」に見えるのではないだろうか。アメリカはテロリストを軍事力で排除してきたが、その代償として多くのイラクの一般市民が空爆の巻き添えなどで犠牲になっている。そして立場に関わらず戦争の当事者誰しもが簡単に「羊」となり得てしまう。そんな理不尽さが戦争なのだろうと思わされた。また、普通に娯楽作品としても面白く、特にライフルのスコープを覗き込む場面は観ている自分も思わず画面を息を止めて覗き込んでいた。メッセージ性・娯楽性がバランス良くまとまった良作だと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2015-08-31 18:27:42)(良:1票) |
2. 愛のむきだし
《ネタバレ》 「ヒミズ」を観た時にも感じたが、園監督は「人が人を救済する」という演出が好きなんだなあと率直に思った。「ヒミズ」では、自暴自棄になった主人公をヒロインが救済しようとするし、この作品ではインチキ宗教団体に洗脳されたヨーコをユウが救い、終盤ではヨーコがサソリ(ユウ)を救おうとする。人が人を見捨てずに救おうとすること。それこそが園監督の考える「愛」であり「希望」なのではないだろうか。そう考えると、過激な演出に注目が集まりがちな園監督だが、意外と優しい人なのかもしれないと思った。 [DVD(邦画)] 8点(2013-02-09 20:20:17) |
3. 悪魔のいけにえ
《ネタバレ》 冒頭の墓のシーンから釘付け。スプラッター描写はあまり出てこないが、最初の犠牲者カークがハンマーで殴られ痙攣するシーンとか相当怖い。粗い画質も、カルトっぽさや陰湿さを出すのに効いている。コメディ的要素が強い「2」と対象的に、こちらは純度100パーセント正真正銘の「ホラー映画」だ。もしテキサスに旅行に行くときはヒッチハイクをしている男は拾わないように気をつけましょう。 [DVD(字幕)] 10点(2012-04-08 15:16:11) |
4. 悪人
《ネタバレ》 妻夫木聡演じる田舎の金髪兄ちゃん・祐一の描き方が上手かった。金髪で無口で中古っぽいスポーツカーに乗って。田舎ってこういう兄ちゃんいるんだよな~、と田舎育ちの私は妙に共感してしまった。ところで、「悪人」というタイトルを聞いて悪い輩がたくさん出てくる映画を想像していたが、本当に心の底から悪人と思えるのは松尾スズキ演じる詐欺師ぐらいだった。基本的には皆が心のどこかに罪悪感を抱え、悩み葛藤しながら生きているような印象を受けた。もともと仏教用語で「悪人」という言葉は、「自分が悪い人間だと気付いていて、なお且つ他人に対して申し訳ないという反省の心を持つ者」という意味らしい。この映画に出てくるほとんどの人物はそうした意味での「悪人」なのではないかと思った。人間誰しも「悪」を抱えて生きている。ならばそれを自覚し他人を思いやって生きていくべき。そんなメッセージが含まれていると私は受け取った。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-04 18:49:08) |
5. アヒルと鴨のコインロッカー
《ネタバレ》 ブータンからたった1人で仙台にやってきたドルジはきっと孤独だったはずだ。琴美と河崎はそんな彼の心の拠り所だった。しかしドルジは2人とも失ってしまう。それからドルジはずっと2人に代わる存在を探していたのだと思う。ドルジは河崎と琴美との思い出を椎名に求めていたのだろう。自らが「河崎」になりきることによって。なんて切ない話だ。だからこそ、椎名の教科書を奪ってまで「河崎」になりきっていたのに椎名にそれがバレてしまった時のドルジの落胆は想像を絶するものがある。しかしそれと同時にある日部屋の外から突然ボブディランの「風に吹かれて」が聴こえてきた時のドルジの嬉しそうな表情も印象深い。きっとドルジは河崎と琴美を失ってから、椎名のような人が現れるのをずーっと待っていたのだろう。そう、これは河崎とドルジ、そしてドルジと椎名の物語なのだ。切なくて温かい、友情の物語だ。 [DVD(邦画)] 10点(2012-04-01 17:16:40)(良:2票) |
6. 悪魔のいけにえ2
《ネタバレ》 グロあり笑いありと、これぞB級ホラー!という作品です。しかも今回はレザーフェイスがヒロインに「恋」をしてしまうというイレギュラーな展開に唖然。更にデニス・ホッパー演じるウエスタン風の保安官が全く役に立たない!最後だけ少し活躍するが基本的にヒロイン1人の力で苦境を乗り越えます。ヘンテコな音楽も相まってまさに狂気の世界を演出しています。最後にこれだけは言わせてください。チェンソーは木を切る道具です。車を切ったり人を切ったりしてはいけません(笑) [DVD(字幕)] 6点(2012-03-26 17:49:02)(笑:1票) |
7. アクロス・ザ・ユニバース
《ネタバレ》 これはビートルズ好きにはたまらないでしょう。曲のアレンジも秀逸で特に「Helter Skelter」は気に入った。それと、最後の「愛こそすべて」も素晴らしかった。全体的には若干散漫な印象もあるが、まったり観るには丁度よい一本だと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2010-05-08 03:47:27) |
8. アレックス
《ネタバレ》 この映画の主題はおそらく「時は全てを破壊する」ということ。それを印象づけるために時間軸を逆にしたのだと私は解釈しました。ただ、こんな描写をする必要があったのかは甚だ疑問。モニカベルッチの体当たり演技は凄かったが、それを考慮してもこの点数が限界です。 [DVD(字幕)] 3点(2009-11-28 00:46:12) |