1. 監督・ばんざい!
多分2007年度の私的ワースト作品はこれになると思う。基本は北野武版「アダプテーション」。北野監督が次回作の構想に右往左往し、その都度、それらの構想がオムニバス形式で提示されるという構成。とにかく、各エピソードがパロディとして全く面白くない(日本アカデミー賞授賞式での山ちゃん位スベってる)。近年の邦画のヒット作と自作、そして小津作品を槍玉に挙げてはいますが、そこに辛辣さや深い洞察は見当たらず、自虐ネタも含めて精々若手芸人のコントレベルの浅さ。それでも各話が短い前半は何とか堪えられますが、後半は岸本加世子と鈴木杏母娘の話がダラダラと無駄に長く続き(これが「みんな~やってるか!」に輪をかけてつまらない!)、遂には何もかも放棄して映画は終わる。タイトル・バックのタケシ人形のCTスキャン画面に表示される名前に何らかのリスペクトを込めたのかもしれませんけど、映画がこれでは全く話になりません、2点献上。 [試写会(邦画)] 2点(2007-04-01 00:06:16) |
2. 完全犯罪クラブ
《ネタバレ》 シリコン工場の作業員みたいな重装備で臨んだとしても、犯行現場でゲロ吐いてる時点で全く完全犯罪じゃないじゃん。思い切り証拠を残してどーすんのよ? しかも、それをそのままにして帰るか普通? 直ぐそこに小川が流れてるんだから、拾って川に流しちゃえばいいのに…。「頭でっかちの唯の子供だから」というだけで納得できる展開じゃないですよ(これは邦題が大袈裟な所為じゃない)。サンドラ・ブロックも結構プロデュース業に手を出してますけど、もう手を引いた方がいいんじゃないの?(成功したのって「デンジャラス・ビューティー」だけか?) 3点献上。 [地上波(字幕)] 3点(2007-01-19 01:01:05)(笑:1票) |
3. カクレンボ
ま、【FSS】さんがお書きの通りなんですけど、私的な補足を少々させて貰います。全編3Dで、セルアニメ風のキャラクター達もちゃんと3Dに起してあるのまでは良かった。しかし、ここで最大の過ちを犯してしまってる。それは全員に「狐の面」を被せてしまったこと。これは雰囲気作りでも何でもなく、セルアニメ風キャラクター・デザインによる顔の3D化から逃げてるだけに過ぎない。当然、口の動きを台詞に合わせることも避けられる。最も複雑に筋肉が動く顔の3D化は確かに難題ですけど、ここに挑戦しないで、今更どこに挑戦するのか? カラクリや背景なんかはCGでも最も簡単な部分。要するに、本作は新しさが無いばかりではなく、もの凄く簡単なヴィジュアルだけで構成された手抜き作品なのです。そんな訳で、3点献上。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2006-12-08 00:04:39) |
4. ガールズ・アタック
裕福な白人高校が火事になり、そこのバレー部の生徒が貧しいヒスパニック系の高校に転入し、高校リーグでの優勝とスポーツ奨学生を目指すというMTV製ガーリー・スポ根・ムービー。DVDのパッケージは「チアーズ」風になってますけど、中身は似ても似つかない駄作。一応、人種的軋轢、階級的軋轢、そして恋愛の軋轢等がお約束の様に描かれてますけど、どれもこれも味付け程度でストーリー的深みは無し。おまけに肝心のバレー・シーンや練習シーンもほとんど割愛状態なので、全く以って映画の体を成してません。ま、人気シンガーのPVそのものの出来です、1点献上。 [CS・衛星(字幕)] 1点(2006-11-30 00:06:26) |
5. カル
「セブン」からの影響を隠そうともしてませんが、「ハード・ゴア・スリラー」の宣伝文句には偽り無く、猟奇性を表現する演出、そして死体の造形はピカ一。まだ韓流の勢いを感じることも出来ます。しかし映画的には、「謎を残したまま終わる」「観客に解釈を委ねる」、または「難解なストーリー」ということでは決してなく、単に「不完全な脚本」でしかなかったんだと思う。謎を残したいんなら犯人こそぼやかしたまま終われば良いんだし、後々「謎解き本」なんか出版することもない。「動機」の無い犯人がこんな手の込んだことをする訳ないので、そこを描かないのは「謎」ではなく単なる片手落ちでしかありません。私的には「謎」を残したことで評価が下がってしまいましたが、全体的に高品質なので楽しむことは出来ました、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-10-08 00:01:18) |
6. カポーティ
本作はトルーマン・カポーティの伝記映画ではなく、「メイキング・オブ・小説“冷血”」か、カポーティを主人公にしてリメイクした映画「冷血」といった仕上がり(従って「冷血」を読むか映画版を観てないと解らないシーンも多々あり)。世界初と言われる「ノンフィクション小説」はどの様にして生み出されたのか、そして、そのことが作家にどう作用したのかが淡々と描かれてます。犯人に対して同情や共感を覚えつつも、単なる取材対象、更には「名声の成る木」として狡猾に接していくカポーティ。取材以前の彼がほとんど描かれない為、徐々に引き裂かれていく特異な作家の複雑な内面というテーマは、私の様にカポーティを良く知らない人間には解り辛いかもしれません。あと、ドキュメンタリー出身の監督ということで、シネスコ画面の構図を持て余してる様に感じられたのが玉に瑕でした。それにしても、フィリップ・シーモア・ホフマンもモノマネ大賞だったんでしょうか…、6点献上。 [試写会(字幕)] 6点(2006-09-29 00:04:56) |
7. 学校の怪談4
前三作のアトラクション的雰囲気を一切廃し、ストーリー映画として生まれ変わったシリーズ四作目。確かに「学校にまつわる怪談話」に間違いはありませんが、いわゆる「学校の怪談」とは既に別物。それでも「4」として公開したのは、単に人気シリーズのファンを取り込む為の方便ですね(子供の動員力は無視できない)。で、もちろんシリーズ中、最も見応えがあり、大人の鑑賞にも堪える仕上がりになってます。それが証拠に本作の大人達は、子供と一緒にギャーギャー騒ぐのではなく、ちゃんとした大人として登場します。サヴァイヴァル・ギルトを抱えた老人の贖罪の物語(これは太平洋戦争のメタファーか?)を通して、夏休みの田舎の経験で成長する子供達の姿を描いた本作は、中々しっかりした仕上がりです、6点献上。 [地上波(邦画)] 6点(2006-09-05 00:02:32) |
8. 学校の怪談3
物語構成を多少変更し、舞台となる学校も前二作みたいな郷愁を誘う木造校舎ではなく、今のコンクリート校舎にしたのは正解だったと思う。この方が現代の子供達には身近で、より物語の中に入って行き易い筈。が、しかし、そもそものコンセプトを逸脱し過ぎ。大体、ゾンビやのっぺらぼう(刃物を持って追いかけて来るのっぺらぼう?)って、どこかの学校の逸話にあるのか? これでは「学校の怪談」じゃないでしょう。シリアスさは増したものの、それが怖さに繋がってるとも思えない。これは前作以下の失敗作です。本作の白眉は、一作目にも出ていた米澤史織ちゃん。私は余り見かけませんが、この子は安達裕美より上手かったんじゃないでしょうか。既に成人しちゃってますけど(汗)、今後の活躍に期待します、3点献上。 [地上波(邦画)] 3点(2006-09-05 00:02:06) |
9. 学校の怪談2
前作と寸分違わぬ物語構成。典型的な二番煎じ型の続編です。しかも、特撮的には明らかに前作より劣ってる。一作目がヒットして続編を作ろうとする場合、物語的にはグレードダウンしたとしても、見た目はスケールアップさせるのがサービスってもんでしょう。話が変わらない上に映像がショボくなったんじゃ、何の為に本作を観る必要があるのか。毎週毎週、飽きずに同じ様なテレビ番組を見続ける子供相手の商売だったとしても、もう少し何とかして欲しい。いくら続編好きの私でも、これでは楽しみ様がありません。という訳で、味のある雰囲気を醸し出す西田尚美に、4点献上。 [地上波(邦画)] 4点(2006-09-05 00:01:33) |
10. 学校の怪談
原作も知りませんし、映画を観た子供達がどう感じるのかも判りませんけど、私はもっと怪談怪談してた方が良かったと思う。学校に伝わる怪談って、結構ゾッとする話が多いと思うんですけど、本作からは「実際の学校の怪談」の怖さは感じられない。これはホラーじゃなくて、「グーニーズ」みたいなキッズ・アドヴェンチャー映画を目指してたんですかね。ま、怖さは無いですけど、それなりに楽しい映画ではあります(三池崇史版の「妖怪大戦争」よりは遥かにマシです)。それにしても、あの謎の女の子って岡本綾だったんですねぇ。少し野暮ったい美少女振りが新鮮でした、5点献上。 [地上波(邦画)] 5点(2006-09-05 00:01:09) |
11. ガンシャイ(2000)
幾つもの修羅場を潜り抜けてきたベテラン潜入捜査官が、過度のストレス(つまりは死の恐怖)により「過敏性大腸症候群」を患ってしまう。しかも、大きな潜入捜査の途中なので辞めるに辞められない。これは過労気味のサラリーマンのストレスとは比べものにならない(過労で死ぬ人もいるから、もしかしたら「死の恐怖」は同じか?)。目つきの鋭い大柄なタフガイが、カウンセリングを受け、グループ・セラピーに通い、浣腸治療まで試す。この情けなさは面白く、捜査対象の凶暴なギャングも実は同じ悩みを抱えているというのも可笑しい。正にストレスだらけの世の中。しかし、病気が原因でピンチになったりする様な展開が全く無く、ラストに至っては唖然とする様ないい加減さ。こりゃ完全に脚本の練り込み不足です、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-08-12 00:02:30) |
12. カウガール・ブルース
ガス・ヴァン・サントらしい乾いた空気感で、シュールに描いた白昼夢って感じ。「ヒッチハイク」をメタファーに、流浪する主人公が人生の真実を探求していくという話なんでしょうけど、私には本作が提示する「真実」がさっぱりと理解できません。語られてる内容が古臭すぎるとも思うし…。本作では誰がドラッグをやってる訳でもないんですけど、匂い的にはテリー・ギリアムの「ラスベガスをやっつけろ」に通じるものを感じました。それにしても、フェミニズムとレズビアンとヒッピー文化と環境保護ってのは、こんなにも1セットで語られていいもんなんでしょうか? という訳で、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-08-12 00:01:28) |
13. カードキャプターさくら 封印されたカード
前作を観てしまったのでこちらにも挑戦してみました。ま、既に6年前の作品ではありますが、それにしたって、もの凄く古臭い印象。品質はTVシリーズと大して違わないんじゃないですかね。背景の人物は全く動かず、演出にも映画ならではの特徴は見当たらない。ストーリーもTVシリーズを観てないと全く解らず(憧れのお兄さんもいつの間にか変身する様になってたぞ)、しかも色気づいた小学生の恋愛話がメインを占めるので、小さな子供やファン以外では、こういうのに萌えられる人しか楽しめないでしょう。あと、前作も0.1チャンネルが利きすぎてたんですけど、こちらの音響バランスは更に酷く、台詞は恐ろしく小さいのに、効果音と音楽はビックリするほど大きいので、鑑賞中はリモコンを手放せなかったですよ、3点献上。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2006-08-02 00:04:26) |
14. 神の左手 悪魔の右手
とても金子修介が監督したとは思えない、80年代のスプラッター映画をそのまま再現した様な、懐かしさとショボさの漂うホラー・ムービー(これが那須博之へのリスペクト?)。ケーキに釣られて殺人鬼の罠にかかるギャル・ハイカーのエピソードなんか、ほとんど馬鹿映画の領域だし、交感能力を持つ少年は「お姉ちゃん(主人公)が僕を助けてくれるんだ」と言ってたのに、最後は自分の超能力で解決してしまう等、話もかなり無理矢理です(しかも、こんな登場の仕方でお姉ちゃんは大丈夫なのか? 因みに原作は未読)。スプラッター映画らしい流血量と馬鹿馬鹿しい話で、それなりには楽しめましたが、余りにもレベルの低い特殊造形も大きなマイナス・ポイント。原口智生に全てを作り直して貰ってから出直して欲しい。また、清水萌々子ちゃんの恐怖演技も白々しくて寒い。「ローズ・イン・タイドランド」でも観てお勉強して欲しい(って、R-15だからまだ観られんか…)、4点献上。 [試写会(邦画)] 4点(2006-07-22 00:05:15) |
15. カオス(2000)
素材自体はそんなに悪くないと思うんですけど、中田演出のテンションが低くて、コン・ゲーム的面白さも罠にかけられた男のサスペンスも感じられず、余り楽しめませんでした。また、脚本の整理も中途半端だと思う。これは「回想シーン」ではなく、あくまでも時間軸の入れ替えだった筈。それにしては各シーンの長さや構成にバラつきがあって、違和感ばかりが募ってしまう。お得意のホラー演出もラストシーンの不条理さのみ。確かに不気味なラストではありますが、これでは話の筋が益々解らなくなる。「カオス」っていうタイトルだからこれで良いのかもしれませんが…、5点献上。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-07-22 00:03:31) |
16. 火星のわが家
これ、絶対にもっと面白い映画に出来た筈。たぶん企画の出発点では、実在したという破天荒な父親に主眼が置かれてたと思うんですけど、物語上はこの父親である必然性が全く感じられない仕上がり。そして、主役を演じる鈴木重子の低体温な雰囲気そのままに、映画自体も非常にテンションの低いまま進行していく(例によって淡々とした展開と発色の悪い映像)。これは素材とテーマをスポイルしてしまう低予算邦画の典型。また、姉が主人公に苛立ちを覚える様に、鈴木重子の棒読みと言うか、心ここにあらずみたいな喋り方が私の癇にも障る(こんなのは「個性」とは言わないぞ!)。「現実的」な人間を悪役にしてしまう安易な脚本も気に入らない。西川美和の非凡さが改めて良く解りました。そういうことで、4点献上。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2006-07-22 00:02:31) |
17. カーズ
もうピクサーの「技術」には驚かない。しかし「センス」には相変わらず驚かされる。今回は「自動車」の世界が舞台になってますけど、彼らのキャラクター・デザインは細かな所まで「実車」に準じてる(登場する全員がチョロQみたいで愛らしいです)。その性格設定は「ドライバー」に準じたものになってます(従って、この話は普通に人間が演じてもそのまま通用する)。そして本作で最も目を見張るのが、車達の「生物的な部分」と「メカニカルな部分」の見事なさじ加減。手も足も無い車が活き活きと人間的に動きつつも、決してカートゥーン的にはならず、その能力は常に「マシン」としての節度とリアルさを保ってる。これが「センス」です。ストーリーは若者の成長物語であると同時に「負け組」の再生物語。ベタですけど、きちんと感動させて貰えます。2時間超と少し長めの作品になってますが、エンドロールの終わりで初めて“bug”が大写しになるので見逃さない様に、7点献上。 [試写会(字幕)] 7点(2006-06-15 00:04:31)(良:2票) |
18. GUNDRESS
これが噂に名高い「GUNDRESS」ですかぁ…。もちろん私が観たのは「完全版」ですけど、それでも十二分な不完全さを備えてました。やはり特筆すべきは作画品質の低さ。ろくすっぽデッサンも出来ない作画監督の下で、これまた素人の塗り絵集団が仕上げた様な絵。メカ・デザインも幼稚園児の落書きレベル(特に終盤に登場するヘリコプター!)。そして話もワケ判んない。私は最初、これもTVシリーズか何かが別にあるのかと思った。その位に設定やキャラクターの説明がなってない。要するに、これに関わったスタッフには誰一人としてプロがいない。こりゃ評価以前の問題です。 [CS・衛星(邦画)] 0点(2006-06-15 00:01:15) |
19. 感染
中々面白かったです。特に「患者」が運ばれてくるまでの病院内の息苦しさが秀逸であると共に、現在の病院の実情を巧みに取り入れてあって、これはある種の社会派作品とも呼べる仕上がりです。「患者」が運ばれてきてからは、一人、また一人と犠牲になっていく王道な展開で、これまたゾッとさせて貰いました。1セットモノの貧乏臭さを感じさせない演出も良かったです(俳優陣のお陰かな?)。ま、確かに縫合医とラストの羽田美智子には合点がいきませんが、ホラー映画の展開なんてこんなもんでしょう。全てに説明がついたら逆に面白くありません。そんなことで、6点献上。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2006-06-09 00:01:43) |
20. 過去のない男
(↓)「不思議な魅力がある」というのは認めますが、その魅力をどう受け止めて良いのかが私には判りませんでした。正に不思議な魅力。この飄々とした感じは独特ですね。結構酷い目に合って記憶喪失になったこの男が、その後、ほとんど生活に困らないのが凄い。何処の誰かも判らないのに、家を借りるのも職に就くのも非常にイージー。フィンランドって、こんなに緩~いお国柄なんでしょうか? また本人も、記憶を無くしたのに「ま、いっか」程度の受け止め方。もし自分のアイデンティティを巡って苦悩しないで済むんなら、私もいっそ全ての過去を無くしたいです、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-05-13 00:02:53) |