1. 華麗なる週末
世間の仕組み・不条理・温かみ・恋心・男らしさ。少年がこれ等を感じ取った4日間の濃密さが感慨深い。「コミカル」「純朴」という、らしくない役柄でも光り輝くマックィーンの魅力で全編カラリとした空気が心地良い。その中でのボスの存在感が圧倒的で、「自分の行動に責任を持ち、結果が招いた重荷に耐えろ」と両手を広げる姿が圧巻。草競馬の迫力も特筆もの。深い余韻に浸った作品。 [DVD(字幕)] 9点(2012-09-25 01:32:12) |
2. 影なき狙撃者
冒頭の洗脳シーンはイマイチ退屈でしたが、以降は冷戦の最中で共産圏上映禁止措置はさもありなんといえる見応え充分の展開。シナトラは、意味不明だけど迫真の格闘シーン(指は大丈夫かと思ったら折れていたという)を見せるものの、物語上浮いていたジャネット・リーとの絡みも併せて、母と息子の引き立て役の感が。MIPアンジェラ・ランズベリーは、今、私が観ても血圧計が振り切れるどす黒さであり、息子(ローレンス・ハーヴェイ)のこれ以上無い哀れな姿と併せて、当時の観客の憎悪を一身に浴びていたのだと想像します。反共を声高に叫ぶ者の正体を見るのは、映画の絵空事でないものを感じた秀作です。 [DVD(字幕)] 8点(2021-05-19 23:47:02) |
3. 価値ある男
三船敏郎海外初進出メキシコ映画は掘り出し物珍品にして傑作でありました。妻子がありながら真面目に働くという概念が無い飲んだくれで粗野な最低男というキャラを引き受けると共にメキシコ人として何の違和感も無い熱演ぶりが凄い(喝采) 「価値」の中身を際立たせた起承転結も見事でした。 [DVD(字幕)] 8点(2021-02-27 19:50:25) |
4. ガス人間第一号
《ネタバレ》 トンデモな題名に興味そそられての鑑賞。オープニングから「これは当たりかも」寄せた期待を裏切られる事無く最後まで一気に見終えました。破滅に向かって突き進む八千草薫と土屋嘉男の恋模様を黙って見守り最期まで付き従う左卜全、3人共々忘れ難い名演です。変身の件は添え物に見えて別にガス人間で無くてもいいような気がしますが、模倣犯が続出する事に対して警察が抹殺決断に至る展開は見事で、やはり必要なキャラクターだったのだと思います。時間が経って湧いてくるツッコミどころも鑑賞中には八千草薫の凛とした女性像の前にはカケラも浮かびませんでした。題名とのギャップが激しい名作です。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-07-05 01:57:51)(良:2票) |
5. 悲しみは星影と共に
《ネタバレ》 人を思い遣る者達が人を人とも思わない者達に虐げられるナチスによる迫害モノ定番の陰鬱さ。バッドエンドは想定内ですが、列車内における姉弟の会話の中で「手術が成功したら何でも見えるようになるのよ」「一番最初にレンカの顔が見たい」には泣かされました。旧ユーゴスラビアが舞台の本作。後年の紛争を思うと、人種がもとでの諍いのやりきれなさを実感させられます。 [DVD(字幕)] 8点(2017-04-20 14:14:33) |
6. 華麗なる賭け
生涯愛に溺れる事はない男、虚無の中で生きる男。マックィーンの一挙手一投足に身悶えするひと時でありました。彼以外でこの男を演じられる者はおりません。 [DVD(字幕)] 8点(2011-09-02 23:48:55) |
7. 怪談(1964)
色彩が言葉に表し難い素晴らしさであり、容赦ない厳しさと幻想が混ざり合った光景が、触感にまで迫ってきます。そして、登場するそれぞれが抱く無念の計り知れない深さも胸に押し寄せてきました。スタッフが作り上げた極上の舞台で豪華役者陣が入魂の演技を見せる。相乗効果が傑作を生み出しており、映画という文化の良さを実感させられる作品です。肩透かしを受けた四話目が割愛されていれば満点でした。 [映画館(邦画)] 8点(2009-09-15 00:12:48) |
8. 解散式
《ネタバレ》 深作監督が撮る任侠映画。本作から仁義なきシリーズへと移行する事を思うと、時代の流れに適応出来ない鶴田浩二と丹波哲郎二人きりの解散式が印象深い。和服から洋服に変わったところでやる事は一緒の悪方ども。内田朝雄、小松方正、金子信夫の憎ったらしさは、血圧上がりまくりの名人芸。本作で最も魅力的だった渡邊文雄の最期は唐獅子シリーズとは異なる監督の任侠に対する視線なのだろうか。そこからのど迫力(ここでも血圧上がりまくり)の殴り込みを経て結局誰も彼も皆が死んでしまった物語が侘しい。建設にまつわるこのような話は絵空事ではないように思えるところ。 [DVD(邦画)] 7点(2019-11-07 02:26:34) |
9. かくも長き不在
《ネタバレ》 アルベールの失われた記憶が「甦らんのか、何とかならんのかっ!」じれったくてじれったくて。テレーズの思いは私の何千何万倍ものでしょう。両手を上げるアルベールに体に刻み込まれたかのような記憶がどれほど過酷なものであるか目に浮かびます。「何時までも待つ」思いが彼女の生きる糧になるのであろう「冬になったら帰ってくるわ」が深い余韻を残します。 2回寝てしまって3回目で完走。リトライした価値のある秀作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-09-05 10:54:04) |
10. 回転
幽霊映画としてはイマイチですが、先生が徐々に壊れて暴走してゆくサスペンス映画として見応えがありました。子役二人の不気味さは特筆ものです。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-13 00:18:13) |
11. 華麗なる殺人
マルチェロ・マストロヤンニ目当ての鑑賞。国家が管理する殺人ゲームはルールが細かい(誤認殺人は懲役30年など)凝った設定で興味深い。それをTV中継するのはスポンサーの存在も含めてやり過ぎかと呆れるところ。マストロヤンニ(やはりの男前にウットリ)とウルスラ・アンドレス(ビミョー)の絡みはどちらも生き残るのだろう・・・・眺めていましたが。イタリアらしい音楽・ファッションでのホンワカした展開を楽しめた異色作。 [DVD(字幕)] 6点(2023-08-20 09:51:18) |
12. 勝負をつけろ
《ネタバレ》 「スーツがシワになる・・・」は昨日も聞いた台詞・・・・直ぐに気づいた、ラ・スクムーンが本作のリメイク作であるのに心底仰天。 28歳ベルモンドは体型も役柄も重量感に欠けるのは仕方ないところでしょうか。 大きく違った結末部分が絶句する物足りなさ。リメイク作に軍配です。 [映画館(字幕)] 6点(2022-09-12 00:12:06) |
13. 華氏451
禁書、焚書が描かれており、特定されていないあらゆる書物を見つけ出しては処分する消防士ならぬ焼却士(ですか?)というのに面食らいました。ミイラ取りがミイラになるのは予感通り。緊迫感が無い展開を淡々と眺めていましたが、頭の中は焼かれないとする人々に感じ入るものがありました。 私が暗記するとしたら・・・・「ジャッカルの日」「白い巨塔」ですね。 フランソワ・トリュフォー作品というのに100へぇであります。 [DVD(字幕)] 6点(2022-08-07 22:25:40) |
14. カトマンズの男
ドタバタアクションコメディで躍動するジャン=ポール・ベルモンドの突き抜け感がアッパレ! なのですが、思い返してみてここぞというシーンが浮かんで来ないのはどうしたことかと困惑しています。 [映画館(字幕)] 6点(2021-12-27 01:26:59) |
15. 風の無法者
アントニオ・サバトが美味しい所を持って行った感が強い。死神博士が浮かんだ黒マントのゴードン・ミッチェルの顔つきも物凄いインパクト。お目当てリー・ヴァン・クリーフは蓬莱のCMではありませんが、帽子を被っている時といない時の落差の強烈さに気を取られっ放しで、あまり魅力を感じられず残念。アメリカが舞台でのイタリア語劇はなんかヘンだけど、ま、いっか。そこそこ面白かったし。 [DVD(字幕)] 6点(2019-09-26 01:45:44) |
16. 影の軍隊(1969)
全編を覆い尽くす陰鬱な空気はメルヴィル監督ならではのもので、陰惨極まりない展開と結末が胃に堪えます。 [DVD(字幕)] 6点(2011-11-11 00:05:05) |
17. カーツーム
クレジットのローレンス・オリヴィエ、ラルフ・リチャードソンに期待特大。最初、ゴードン将軍がオリヴィエかと思ってましたが、いや違う、将軍はチャールトン・ヘストン、じゃあ何処に出てる? もしかしてマフディなのか? 画面止めて眺めても別人にしか見えず。史実を元にした力作ではありますが、興味を持てない話でのメリハリ無い展開が退屈だったハズレ作品で残念。狡っ辛い人物を存在感たっぷりに演じたラルフ・リチャードソンに加点。 [DVD(字幕)] 5点(2024-02-10 02:10:54) |
18. 鏡の国の戦争
年寄り共が寄ってたかって一人の青年を使い捨てカイロのように扱った胸糞話ですが、ラストショットに子供らの笑顔を守る為の暗闘と思うとやるせなさが募ります。アンソニー・ホプキンスの確かな存在感に比べてクリストファー・ジョーンズの線の細さが残念なところです。 [DVD(字幕)] 5点(2022-11-05 23:56:42) |
19. 華麗なる激情
キャロル・リード、チャールトン・ヘストン、レックス・ハリソンをはじめとする錚々たる顔ぶれながら、「日曜美術館」の再現フィルムのような内容に「ああ、そうですか」以上の思い無く。味気ない上に長尺ときて「まだか、まだか、終らんのか」グッタリとなりました。 [DVD(字幕)] 3点(2022-01-23 19:33:42) |
20. 風の視線
誰一人として魅力を感じない登場人物全員が不倫していて、「三角関係だから角が立つ、みんなで角を丸くしよう」が浮かんだグダグダ模様。序盤の思わせぶりなシーンが悪質なサスペンスのサの字もない昼メロよろめきドラマ。鑑賞後の予告編にはアホクサとしかいいようがありません。清張らしからぬ駄作。 [DVD(邦画)] 3点(2022-01-06 01:30:03) |