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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
その時間差などに関する整合性や疑問点を指摘し、あげつらうのは容易い。その弱点は作り手が一番自覚しているだろう。 それでも尚、現在ー過去の時間差にこだわるのは新海的な郷愁の風景を立ち昇らせるうえで重要なモチーフだからだ。  「仕掛け」をばらすに至るまで、時代差を意識させることなく二人の交流をテンポよく畳みかけることが出来たのは編集と省略の巧さでもあるし、 何よりも現実的な異界を舞台と出来るアニメーションの強みだろう。  その仕掛けによって島根の風景や事物や風俗が「過去の光景」であることが明らかにされたとき、その繊細に描き込まれた情景の数々は さらにかけがえなく美しくノスタルジックなものとして輝き、匂い立つ。  朝陽の中に光の粉として舞う羽毛、紅葉の山道を歩く三人の顔を流れる木漏れ日の斑模様の光。  すり鉢状の山頂でのマジックアワーでは、ショットごとに背景の空の色が繊細に描き分けられ、短く長い時間の推移が表現される。 キャラクターの影も4色使われているというこだわりようだ。  情景のみならず、映画のアクションもこれまでで最も充実している。 歩行する足、駆ける足、自転車を漕ぐ足、その足の表情が想いを語っている。  ローアングルからレイアウトされた、閉まる引き戸のショットが反復され、フェードアウトと共に断絶的なアクセントになっている。
[映画館(邦画)] 7点(2016-08-30 21:58:36)
22.  狂走情死考 《ネタバレ》 
真白な雪の中、木に縛り付けられ、鞭打たれ、真冬の浜辺を裸で走りと、 俳優たちはかなりの無茶をやっている。ほとんど苦行だ。 夜の西新宿を延々と駆け続ける吉澤健の移動ショットから小樽の雪道を彷徨するラストまで、ひたすらの北上逃避行。 その風景の変遷が時代を鮮明に映し出している。  それは低予算を画面に露呈させない若松作品のしたたかな策でもあるが、その情景の力と身体の感覚は常に積極的な強みになっている。  殺したはずの警察権力が、いつの間にやら目の前に超然と姿を現し、、 という展開も実に寓意に満ちている。
[映画館(邦画)] 7点(2015-12-21 23:55:00)
23.  帰郷(1978) 《ネタバレ》 
チャップリンの『独裁者』の演説がカメラに正対してのもの(つまり映画を見る観客も含めた聴衆に対してのメッセージ)であるのに対して、ジョン・ボイトのスピーチを映し出すカメラはあくまで語りかけられる海兵隊志願の若者達と、語りかける彼の横顔とが中心となる。  同時に、そこでは無言のブルース・ダーンが軍服を脱ぎ捨て海辺に入水するシーンが対比的にクロスカッティングされ、 その慎ましい寸断によってスピーチは抑制的でより深みのある響きを獲得する。 同時にそこでは波打ち際という古典メロドラマ的モチーフが印象的に補強される。  そのスピーチもこう締めくくる。「there's a choice to be made here.」  これら品のある演出によって、そのメッセージ性も押し付けがましくなることなく心に響く。  全編に流れる歌曲は逆に少し雄弁だが。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2015-11-29 23:25:20)
24.  キプールの記憶 《ネタバレ》 
朝方、非常事態宣言下にある無人のイスラエルの街。陽の光の滲む地平線から姿を現すヘリ。 土地の空気を的確に掬い取るレナート・ベルタの撮影がやはり素晴らしい。  本物の雨なので雨滴は画面に映らないが、雨の質感と湿潤の感覚ははっきりと伝わってくる。  ヘリからの圧巻の空撮がある。戦車が残した無数の轍がぬかるみとなって緑の平原に延々と広がっている。 冒頭の絵の具塗りたくりにも相通ずる、緑と茶の網目状模様とその堆積が、戦乱の激しさとともに歴史をも意識させる。  あるいは、数人がかりで負傷者を運ぼうとするがなかなか捗らない様。そのもどかしい時間の重みこそ アモス・ギタイの伝えんとするものだ。
[DVD(字幕)] 7点(2015-11-18 23:56:11)
25.  寄生獣 完結編 《ネタバレ》 
焼却炉の設定が、というよりこのシーンでの所謂「J・キャメロン・ブルー」を 採り入れたライティングこそがキャメロン的なのだが、このつまみ喰いでとってつけた感が山崎貴らしいご愛嬌だ。  炉のオレンジと反面のブルーに照らされる中で主人公たちが展開するクライマックスの舞台は映画向きの彩りある改変として申し分ない。  (「原作に忠実でない」だの「メッセージ性がない」だのといった原作崇拝的、テーマ・メッセージ依存型 批判は、それこそ映画が別メディアである原作に従属していない証であり、原理的に反「反映画」という事なのだから、映画にとって褒め言葉だ。)  宙吊りのアーム上でありながら垂直軸のサスペンスは淡白だし、陽炎や火の粉による灼熱の感覚が物足りないのも如何にも山崎貴だが、 動物園での三つ巴の対峙シーンやラストの屋上シーンなどと共に 高所を舞台に取り入れながら健闘している。  深津絵里の夜のマンションでは、風の音響はありながら画面上は無風状態 であったり、一方で画面上では彼女の髪を揺らしながら風音の効果音を省いていたり。  そうした趣向も彼女の異質性を際立たせており、面白い。
[映画館(邦画)] 7点(2015-05-10 08:00:53)
26.  銀の匙 Silver Spoon
可愛らしいだけのヒロインかと思いきや、無様でカッコ悪い側面をもさらけ出す。 それでも、その醜態を超えたところで最終的により一層の輝きを増すヒロイン。 それが吉田作品のヒロイン像だが、 ここでの広瀬アリスは単に可愛らしいだけのキャラクターで少々もの足りない。 初の原作ものの制約でやむを得ないところか。  親と向き合う、との台詞も言葉だけでは消化不良だ。  が、屋外バーベキューやばん馬コース作り、レースに集まるギャラリーなど、 後半は北海道ロケを活かしたモブシーンが充実して映画をよく活気づけている。  クライマックスとなるばん馬レースの盛り上がりと、離農する市川知宏一家の引越し シーンの対照的なカットバック。その悲喜交々の情感醸成が素晴らしい。  市川と西田尚美の母子、小さな姉妹らが泣かせる。    
[映画館(邦画)] 7点(2014-05-02 23:01:16)
27.  巨神兵東京に現わる 劇場版
加東大介『南の島に雪が降る』の中で、南方戦線の兵士たちは、 演芸分隊による作りものの雪や柿に涙する。  実物の雪でないのは明らかであるにもかかわらず彼らの心を打ったのは、 そこに人の手作りによる文化の感触があったからではないか、と長谷正人氏は云う。  CGアニメーションの動画が最新技術によって いかに滑らかに軽やかに表現されようが、 コマ撮りアニメの独特のタッチと動きがいまだに新鮮さを失わないのは 実物らしさの問題ではなく、丹念な手作りの感覚の中から 作り手の人間性や心意気が伝わるからこそだろう。  コストだけでは計れない贅沢な職人技、だからこそ現在的な意義がある。 作り手の後ろ向きな回顧趣味では為し得るわけが無い。  光線に貫かれたビルの被弾部が一瞬間を置いて溶解し、炎が噴出する。 寺院をなめた背後の建築物が爆発すると共に散乱する大小様々な破片。 舞い上がる火の粉。巨神兵の姿を揺らめかせる陽炎の効果がさらに禍々しい。  崩れ落ちるビルは、内部まで高精度に作り込まれており、 安っぽい発光を用いないので鉄塊の物質感は満点である。  細部に至る作り込みとハイスピード撮影との相乗効果が生み出す即物感と重量感。 それこそが、CGには出せない具体的な味の最たるものだ。 
[映画館(邦画)] 7点(2012-12-09 01:43:17)
28.  吸血蛾
怪奇ムードを醸成する撮影と照明設計が全編にわたって素晴らしい。昆虫館の外観に内装(特に廊下)の凝った美術が濃い陰影の中に不気味に浮かび上がる。  手や足のオブジェやトルソは怪奇演出のみならず、殺人シーンの場面転換の技法としても活用され印象強い。  クライマックスの廃ビルもスケールを感じさせる絶品のロケーションだ。取り壊し中なのか、外壁が崩れ落ち、鉄骨むき出しとなった廃墟が異空間ぶりを際立たせている。 縦の構図で捉えられた夜のビル内、飛び交うサーチライトが警官隊と犯人を照らし出し、吐息と土埃と拳銃の火薬煙が闇に舞う。 発砲音と、着弾音、追跡の足音の反響も効果満点で、視聴覚的に豊かな造形だ。  ファッションモデル役の女優も多数出演する中、安西郷子が役柄通り様々なファッションを着こなし、俄然美しい。 その分、後半から登場の金田一役:池部良の印象が弱いのが残念なところ。 
[映画館(邦画)] 7点(2011-07-24 19:39:23)
29.  銀嶺の果て
暗黒映画的トーンで拳銃発砲から闇夜の追跡劇~輪転機までを 畳み掛けるように見せるダイナミックなオープニング。 そこにかかる急き立てるような伴奏は後に東宝映画『空の大怪獣ラドン』の 空中戦の場面でアレンジされることになる馴染み深い旋律だ。 これがドラマに一気に引き込む。  この映画は監督谷口千吉、役者三船敏郎と並んで、 作曲家・伊福部昭氏の映画音楽デビュー作でもある。  中盤の和やかなスキー場面の音楽をめぐって谷口、伊福部氏が対立した逸話は有名だが、 伊福部氏の信念通り採用された管楽器ソロによる寂しげで哀切な音楽は 背景の北アルプスの厳粛さをより際立たせ、不思議と強い印象を残す。 その安易な「調和」からのずらし方が非凡だ。  二者を仲裁したという黒澤明監督は後に『野良犬』などで対位的なBGMの用法によって 相乗的な効果をあげていくが、このスキー場面の創作事情は そうした技法を生み出したきっかけでもあっただろう。  最後のレコード曲の入り方もいい。 小屋を振り返る志村喬の穏やかな笑顔と、雪をまといつつ見送る若山セツ子の 泣き笑い顔が素敵だ。
[DVD(邦画)] 7点(2009-01-14 22:58:01)
30.  君の膵臓をたべたい(2017) 《ネタバレ》 
図書室という舞台の、書架とその隙間を活かした立体的空間の迷宮的活用による 現在と過去との連携。直近では吉田康弘『江ノ島プリズム』の図書室の撮り方なども良かったけれど、 序盤だけとは云えやはりこのくらいは必須だろう。 校舎屋上から白い壁伝いの階段を登って青空を背にするヒロインが眩い。 旅行先の博多で川面を見下ろす2人。その川面に映る日の光の反射が カメラの緩やかな移動と共に、北村匠海と浜辺三波の二人を繋げ、包んでいく。 ロケーションと順光/逆光をうまく考慮活用したシーンが其処此処にあるのが好印象だ。 桜の舞う二本の橋の分岐点に佇む小栗旬のショットは当然、彼の心象の提示である。 中盤での雨も適材適所でいい。
[映画館(邦画)] 6点(2017-08-30 23:56:11)
31.  キングコング: 髑髏島の巨神 《ネタバレ》 
BGMを伴うヘリの編隊飛行。その中で執拗に強調されるローターの回転運動。空爆。ジャングルの暗闇を染める炎。水牛のイメージ。 無言の原住民。河を下るボート。L・B・ジョンソン。そして「王殺し」。 嫌でも連想されるコッポラ『地獄の黙示録』のイメージの数々である。  中盤でチームが二手に分かれると、南洋版『八甲田山』的な展開かと思わせたりもする。  その割に本家33年版への思い入れが少し稀薄であるのが物足りない。  対戦相手が次第に弱っていく断末魔の細かい動きとか、その死を念を押して確認する動きとか。そうした手の込んだ細部の描写による 映画的リアル感の演出のことである。やたらにピント送りで視線を誘導したがるのも鬱陶しい。  結局は帰還兵のエピソードを以てエピローグとなるが、個々のキャラクターのドラマも半端にすぎる。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-03-26 02:25:32)
32.  キセキ あの日のソビト 《ネタバレ》 
買い物袋を提げた女性が踏切を越え、街を見下ろす高台の階段を登る。父親が医者ということでの山の手住まいの設定なのだろうが、 後々に兄弟二人が車で走り抜けていく坂道がようやく活かされる程度で、そのせっかくの勾配も踏切もあまり効果的な画面を創ってはいない。  その分、明と暗に関する対比はかなり意識されている。 初舞台で華々しくスポットを浴びる弟と、それを暗い観客席後部で見守る松坂桃李と奥野瑛太。 バンドと学業の間で悩む菅田将暉は公園の木陰の暗がりの中、彼に背を向ける忽那汐里は陽光の下だ。 バンドに復帰する為、仲間を待つ菅田を左端、階段を下りてくる仲間たちを右端に捉えた校舎のロングショットの壁は 前者を黒、後者を白で分割している、という具合だ。 菅田が自室の机で「キセキ」の歌詞を書き出すシーンの机、椅子、スタンドライトの配置も「光に向かう」構図だろう。  前半に曇りがちの天候が多いのは有名俳優らのスケジュールの都合かと感じていたが、 菅田が復帰を決意して走り出す踏切のシーン、菅田と忽那が仲直りする公園のシーン、小林薫と麻生祐未の夫婦が兄弟を見送るシーンは しっかり快晴を選び、背景に肝心なグリーンを配置することも忘れてはいない。  しかし、日本刀を抜いて「成敗してやる」とのたまう小林薫のインパクトが絶大すぎて他の感動シーンまで霞んでしまうというのも、、。
[映画館(邦画)] 6点(2017-02-01 22:04:28)
33.  gifted/ギフテッド 《ネタバレ》 
実父に見捨てられたと嘆く姪を病院へと連れ出し、他所の家族の出産場面に立ち会わせ親の情愛を説く叔父。 言葉を費やして彼女を慰め説得するよりは、視覚で納得させるという点で確かに映画的な処理ではあるのだが、 一方でこの行動は少女にとって逆効果ともなりかねないわけで、脚本の思慮の浅さとしても感じられてしまう。 脚本の都合でキャラクターの行動が規定されいる感が強いのだ。  叔父が姪のために慣れない料理をするとか家事をするとかの、生活風景がもう少し欲しい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2017-12-02 00:53:12)
34.  九十九本目の生娘 《ネタバレ》 
五月藤江の老婆がなかなかに怪演。モノクロとも相俟ってその不気味さは、子供が見ればトラウマになる事必至だろう。 矢代京子を獲物と見極める眼と口元の笑いが怖い。  若き警官役:菅原文太も初々しいが、「未開」の村民らのインパクトが強すぎていまいち影は薄い。  エロティシズムも控えめで、主な見どころは山間の高度を活かしたロケーションの怪奇趣味や、 その急峻な山奥の斜面を舞台とした、弓矢を使う村民と警官隊との銃撃戦となるだろう。 こうなると、和製西部劇の趣がある。  地名を特定するショットもあって、やはりソフトの再販は難しそうだ
[ビデオ(邦画)] 5点(2017-01-10 16:09:26)
35.  キング・オブ・エジプト 《ネタバレ》 
宇宙空間と地表の図とか、貢物を天秤にかける審判の場とか、ダークな画調の場面はいかにもアレックス・プロヤス監督らしいイメージが 全開で楽しめる。 冒頭から三次元的ダイナミズムをとことん活かしたカメラ移動が追求されており、まずもってアトラクティブであることが目指されている。 翼を持った神々の設定といい、立体性を活かした舞台でのアクション構築といい、デジタル3Dの見せ場作りを大前提としてストーリーが組まれている為か ドラマは前半・中盤と低調に感じてしまう。ドラマが要請するカメラワークではなく、空間・運動感覚を満たすためのカメラワークだから、 次第にそれに飽きてくるのも当然である。  それをようやく覆してくれるのが、クライマックスの高層建築上で主人公が下すある決断のシーンである。 それまでのアクションに強い感情が伴ったとき、キャラクターが輝き出す。 最終盤で、ようやく映画として盛り返したという感じである。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2016-09-14 20:36:38)
36.  96時間 レクイエム 《ネタバレ》 
宮崎駿のかつての『レイダース』批判ではないが、この作風のレベルで嘘をつくと 設定したならば、そのレベルの嘘は守られるべきだろう。  崖やエレベーターから落下する車から如何に主人公が脱出するか。 女子トイレからどのような経路で抜け出すか。  このシリーズの場合、その危機突破の描写こそ要であり、 そこをアクションとして如何にもっともらしく見せ、 如何に納得性を持たせるかにこそ手技を使うのであり、「冒険活劇を作る人間は 一番気を使わなきゃいけない」(宮崎)はずである。  ようするに名案がなかったわけで、 ご都合主義こそ映画とはいえ、これでは白けるばかりだ。 簡単なトリックは克明に描写しているのだから。  格闘アクションも例によって例のごとく細切れの乱雑編集でつまらない。  
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2015-03-20 00:44:23)
37.  寄生獣 《ネタバレ》 
コミックなら、体質の変化した主人公の眼光に宿る獣性を描線によって描き分けて 表現するだろう。 映画ではそれを照明効果や、芝居の変化・差違によって表現するわけで、 そのための美術部員であることの設定であり、 バスケットボールシーンの軟弱でぎこちない動きや 恐怖に慄く姿の提示があるのだろうが、そこが具体的な描写として弱い。  なので、単に設定や説明台詞に頼っている感が強くなる。 後半、校舎の高層階から飛び降りるアクションなどももっと突出していい。  主人公らに迫る敵方というシーンも、あと何メートル、、何メートル、、 の説明一辺倒では描写となり様がない。単に意味を伝えているだけだ。 足音なり、影なり、カッティングなりをより駆使してサスペンスを 醸成するのが映画だろうに。  同じモーフィングでも、ジェームズ・キャメロンの液体金属のほうがまだ恐怖感がある。  それと終盤の染谷将太のシーンで、見るに耐えないひどい手ブレショットがあるが、 ああいうのは少なくともNGとして欲しい。  良かったのは、息子の窮地を咄嗟に救う母親の右手だ。 中盤で、無意識的に染谷と腕を組もうとする余貴美子の仕草などが 引っかかってくるのだが、 それらの小さな違和感をラストの際でしっかり感動に転化させるあたりはしたたかである。 剣道や弓道などの伏線の10倍は気が利いている。  
[映画館(邦画)] 5点(2014-11-30 23:16:17)
38.  北のカナリアたち 《ネタバレ》 
パズルの如く図式化しながら構成を練っている脚本現場が目に浮かぶようだ。  例えば、唐突に挿入される小池栄子の不倫のエピソードなどは、 恋愛のままならなさといったものを弁明するために安直に取ってつけている事が 見る傍から判ってしまう。 つまり、彼女は程よく込み入らせたストーリーの辻褄合わせの都合から 象られたキャラクターでしかなく、単なる説明の道具でしかない。 そのように頭でつくった露骨な作為が見えてしまうと、 当然ながらその人間味などは薄れ、 彼らの合唱も単に上手い歌でしかなくなってしまう。  様々な歩行や移動のアクションで何とかバリエーションをつけているものの、 吉永小百合と各生徒との再会をことごとくワンパターンな台詞とリアクションで 反復させてしまう芸の無さは救いようがない。  いかにも日本アカデミーあたりが撮影賞を与えそうな、 いかにもの絵葉書的景観ショット、 助演賞を与えそうな森山未來の吃音演技がまた打算的な感じが勝って心に響かない。 さらに、いかにも時宜にかなった優等生風のメッセージからして、 作品賞あたりも目論んでいるかも知れない。  
[映画館(邦画)] 3点(2012-11-26 06:34:25)
39.  キリエのうた 《ネタバレ》 
黒木華の女性教師が、少女を探しに夜の古墳を登ってくる。かすかに響いてくる少女の歌声に惹かれるように、、。 となるはずのシーンで、肝心な彼女の歌声はBGMでかき消されてしまう。 人を惹きつける彼女の歌声、自身の人生の転機をもたらす歌声、それを印象づけるという本来ならば重要なシーンで 情景音楽のほうを優先させるという頓珍漢。 子役の歌だから、どうでもよかったのか。  とにかくBGMの垂れ流しがひどい。ヒロインの歌に割りこむようなメリハリのない用法も複数個所。 劇伴を目一杯流しておけば「音楽映画」だという音痴映画である。   警官との小競り合いも取ってつけたような安易さで、切実感まるでなし 
[映画館(邦画)] 2点(2024-02-14 00:20:58)
40.  傷物語Ⅱ 熱血篇 《ネタバレ》 
あの字幕はゴダールを気取ったか何かだろうか。ただただ鬱陶しい。暗闇と雨と蒸気と、確かに「NOIR」かもしれないが、しつこい。 面白味の無い格闘に、面白味の無い会話のサンドイッチが続く。  『魔女の宅急便』で二木氏が原画を担当した細やかな草々のなびきには文化の味わいがあるが、 この無機質なCG草原の機械的な動きに感興を覚えるのは困難だ。  主人公共々さして魅力的でもないヒロインが下着を見せたり脱いだりというアレは一応エロティックなつもりなのだろうか。 ただただ醜悪でしかない。
[映画館(邦画)] 1点(2016-08-24 23:44:50)
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