1. 嫌われ松子の一生
「下妻物語」ではまだ観る者の幅を狭めてはいなかった。しかし本作品ははっきり言って観る者を選ぶ。面白いか否かではなく、生理的に受け付けるか否かという問題である。雰囲気はかなりシュール。物語を描いた映画というよりは、監督の「作品」を見せられている感じがするため、この世界観を新鮮と感じるか驚いて唖然としてしまうかのどちらかに分かれるだろう。不幸な物語をポップに仕上げるという方法には確かに目新しさを感じる。ミュージカルを見ているような楽しさも味わえる。かなり監督の「色」が出ていることも評価に値すると思う。がしかし、監督があまりにもやりたいようにやりすぎた感がしなくもない。悪く言えば独善的なのだ。いつまでもこの調子でやっていてはそのうち飽きられてしまうだろうし、かといってさらに独自のワールドを突き進んでも観客がついていけるかどうかはわからない……というようなことを鑑賞中に考えてしまった私はおそらく本作の世界観に没頭しきれていなかったのだろうと思う。ただ、マニアにはウケそうな作風だとは感じた。 [映画館(邦画)] 5点(2006-07-18 07:13:00) |
2. キル・ビル Vol.1(アメリカ版)
下手糞な日本語、ユーモアにあふれる人物設定、こだわりの選曲、笑えるぐらいベタな映像、どこをとっても面白く観られる。タランティーノが日本を最大にオマージュした作品とあればおのずと期待してしまうが、予想以上の面白さだった。ストーリー性などは皆無といってもいいほど軽視されているが、この作品はおもしろおかしい日本を堪能する作品だからこれで良いのだと思える。むしろ無闇にストーリーなど飾らないほうが無難であろう。気楽に楽しめる娯楽映画。ただ血しぶきが苦手な人には向かない。 8点(2004-09-15 18:38:30) |
3. 銀河鉄道999
幼少の頃に何度となく観た映画。ハーロックやエメラルダスが登場するあたりもサービス精神満点。鉄郎が美形なのは賛美両論なのは仕方ないが、個人的には悪くないと思う。機械vs人間というSFにおいて永遠のテーマともいうべき内容を感動的に描いた不朽の名作。儚く悲しい結末ながらも、じんわりと希望をもたせる話の落とし方はさすが。 9点(2004-06-15 22:01:45) |
4. 禁じられた遊び(1952)
子供の視点から見た戦争がいかに残酷であるか。彼らが純真であればあるほどその重さがずしりと心にのしかかる。観ていてとてもつらく悲しくなる。何度も観たいと思わせる娯楽要素はまったく皆無だ。しかしひたすら静かに訴え続ける映画であり、一度観ただけでも一生忘れることはないだろう。映画史に残る衝撃作であり名作。 9点(2004-01-27 15:21:10) |
5. 君を忘れない FLY BOYS,FLY!
戦争映画と呼ぶには軽すぎる。しかし青春映画として観るなら悪くない。奇抜なキャスティングは賛美両論のようだが、確かにそれぞれの個性が強すぎて互いを打ち消しあっている印象がある。ストーリーは思いのほか良いので勿体ない。違うキャスティングで撮りなおしたらもっと深く物語に入り込めるのかもしれない。 6点(2004-01-27 13:13:32) |
6. Kids Return キッズ・リターン
センチメンタルな雰囲気の青春映画。私は北野作品を観たのはこれが初だったので、こういう静かな青春物を撮る監督だと勘違いしてしまったほど。セリフで語らせるのではなく表情で魅せる演出が良い。北野氏にはまたこういった作品を作ってほしいと密かに願っているのだが。 7点(2004-01-27 04:49:12) |
7. CURE キュア
誰の中にでも潜む狂気。ふとした瞬間に芽生えてしまう殺意。殺人は決して特別な人間が特別な感情で犯してしまうコトではない。それがひしひしと伝わってくる恐怖。思わず目を瞑りたくなるようなエグい場面もさることながら、次第に狂っていく周囲の人間たちの描き方が秀逸である。和製サイコホラーとしては成功だろう。飄々としている犯人役の萩原と感情が空回りしてしまう刑事役の役所というキャスティングも適役である。 7点(2004-01-27 00:21:50) |
8. 凶気の桜
退廃的な雰囲気がよく出ている。いくらあがいても大きな権力の下ではどうにもできないのだということをひしひしと感じた。RIKIYA等、脇役陣の存在感が光っている。また悪役の江口洋介も新鮮である。後味が悪い。しかしそれはイコール駄作という事には繋がらない。ただ多くの方が書いているようにヒロインとの絡みは必要ないように思う。ひたすらピカレスク映画に徹していれば、中途半端な違和感はもう少し減っていたかもしれない。やくざ映画の入門編といった印象。 4点(2004-01-26 23:35:44)(笑:1票) |