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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2389
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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21.  黒い絨氈 《ネタバレ》 
50年代に流行ったハリウッド製B級モンスターものを期待(?)して観たら、ものの見事に肩透かしを喰らいます。アメリカ南部からアマゾンの奥地に単身移住して農園を開拓した男が、写真ぐらいは見ていただろうけど会ったこともない女性と結婚。呼び寄せてみたら妻は美人だけど未亡人だった。南部人らしく貴族的で超頑固な彼は、いわば傷物を妻にできるかと早々に離婚して送り返そうとするけど、マラブンタと現地人が恐れる軍隊アリの大移動に彼の15年かけて築いた農園は破滅の危機に瀕するわけです。 ジョージ・パルとバイロン・ハスキンという『宇宙戦争』のコンビが製作・監督なので誤解されがちだけど、どう見てもSFじゃあない。『十戒』や『ベン・ハー』でブレイク直前のチャールトン・ヘストンとエレノア・パーカーが主演だし、スタッフも一流で衣装担当にはイーディス・ヘッドまで動員しています。三十四歳にもなってまだ童貞という堅物マッチョなのがヘストン、前半の冷徹極まりない男が実はスカーレット・オハラの様に根性のある妻にだんだんと人間的にほぐされてゆく過程を丁寧に見せてくれる脚本も良くできています。本来みんなが期待したであろう軍隊アリの大群はクライマックスでようやく登場ですが、ここはアニメーションもVFXも使わず実写というか記録映像でちょこっと映るだけなので軍隊アリの恐ろしさはイマイチ伝わっては来ません。でも集合体恐怖症の人はビビるかもね。ラストの洪水がヘストンの農場を押し流すところだけはスペクタクルなんですが、このVFXはジョージ・パルだけあって良い仕事をしています。 この映画はモンスター・パニック的な物語じゃなく、ジャングル秘境で繰り広げられる男女が入れ替わった『風と共に去りぬ』だと思えば間違いはないです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-07-20 23:10:36)(良:1票)
22.  黒い家(1999) 《ネタバレ》 
原作未読なのでどこまで脚色されているのかはわかりませんが、噂の大竹しのぶの壊れっぷりにはほんとにゾッとさせられました。平成ももうすぐ終わりますが、その31年間の日本映画の中で最凶の怪演であることは間違いないでしょう。例の「乳吸え~」は誰が見ても別人なのはバレバレですけど、中盤の病院のシーンあたりから大竹しのぶが突然巨乳になっているのが笑えます。ラストの「乳吸え~」に備えての小細工だったんでしょうけど、若いころは平気で脱いでたくせにと怒りたくもなります。ぶっちゃけ歳とってボディラインが崩れてるので、熟女女優の方が脱ぎたがらないのかな。前半は大竹しのぶがあまり登場しないので余計になのかもしれませんが、西村雅彦もかなり気持ち悪かったですよね。 監督が森田芳光なので相変わらず奇をてらったショットの多用は平常運転です。でも若いころの才気が無くなってきてるのは顕著に感じられます、なんせ次回作が『模倣犯』ですからねえ。一番イライラさせられたのは内野聖陽のビビりキャラぶりで、あんなにガタイのいいイケメンがこの役とは、どう考えてもミスキャストだったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-04-29 22:49:16)
23.  黒い十人の女 《ネタバレ》 
船越英二が演じる風松吉のキャラは、実はいろんな女優たちと浮名を流していた市川崑がモデルなんじゃないかな。それを奥さんの和田夏十が脚色しているところが、ある意味この映画で一番恐ろしいところかもしれません。とはいえ市川崑の死後雑誌に載った有馬稲子の赤裸々な手記などからすると、市川崑自身は風松吉みたいな優しさを武器にするタイプのプレイボーイではなかったようです。 物語自体はかなりブラックでちょっとシュール、冒頭から普通に演技している宮城まり子が実は幽霊だなんてこの時代の邦画にしてはかなり洒落た演出です。実質的にストーリーに絡むのは五人の女というわけですが、どの女優も芸達者なのが素晴らしい。とくに山本富士子と岸恵子の、決して荒々しいセリフを使っていないけどバチバチ火花が散るような演技対決は見ものです。船越英二のいかにも業界人らしい無責任な世渡りは秀逸、「彼は誰にでも優しくするけど、実は誰にも優しくないのよ」というセリフもありましたが、これはこの男の本質を鋭く突いています。ただ忙しくしているだけで決して仕事に情熱があるようには見えない船越英二が、会社を退職させられて岸恵子に軟禁されると急に「男の対面がつぶされた」と泣くわけでここにはなんか「お前キャラ変したのか」と突っ込みたくなりますが、実はここに高度成長期のサラリーマンの心理が良く出ています。実際は大して重要な仕事をしていないのに、脚光を浴びる業界にいるとそのこと自体に自分のアイデンティティを見出す、現代のサラリーマンにもあてはまるんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-02-28 00:11:28)
24.  クリスティーン 《ネタバレ》 
たしかにスティーブン・キングのファンに言わせると、原作はキング作品の中でも名作中の名作なんだそうですが、残念ながらわたくしはキングの小説は読んだことがないので何とも言えません。この作品ではカーペンターはプロデューサーでもないし脚本書いてもいないので、原作の改悪については責任なしとしか言えませんね。でも中盤まではカーペンターにしては珍しい青春映画のタッチで、この辺りは原作の香りが残っていたんでしょうか。クリスティーンに魅了されてからのアーニーの変貌ぶりはあまりにも唐突感が強いのですが、ここら辺からカーペンターお得意の雑な展開なのであまり気にしないように。でもカーペンター映画としては過剰な逸脱もなくてよくまとまった普通の作品だと感じました。 “火の車”に追いかけられて“火だるま”にされて死んでゆくなんて、一種のギャグなのかもしれないが、悲惨な人生の比喩として受け止めるとなかなか奥が深いところがあります(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-05-19 23:29:27)
25.  くちづけ(1969) 《ネタバレ》 
ライザ・ミネリの初主演映画で名匠アラン‣J・パクラの初監督作でもあります。もうこの映画では、ライザ・ミネリの初々しさを堪能して目に焼き付けるしかありません。当時のハリウッドでショートカット女優としてはジーン・セバーグが有名でしたが、私の中ではアメリカ映画史上もっともショートカットが似合った女優は文句なしでライザ・ミネリです。本作のようなちょっとメンヘラ気味な女の子キャラは、彼女の素の部分もあるのかと思わせるほど自然な感じがします。彼女の多彩な表情を観ているだけで楽しく、口に絆創膏でバッテンをした画像はこの映画のポスターにも使われていてけっこう有名です。 物語はアイヴィー・リーグのカレッジに入学した学生カップルの出会いと別れです。ふたりは別々の学校なんですが寮が道を挟んだお向かいです。寮生同士のバカ騒ぎやパーティなどはありますが、ヴェトナム戦争真っ盛りの大学が舞台にしては政治的・社会的なエピソードがまったく出てこないところが珍しいんですが、そこがまた心地よい気がします。ラブストーリーにそんな世相描写みたいなものは必要ないし、物語自体に時代を超えた普遍性が与えられると思います。ニューシネマ全盛期ですからこういうアプローチは珍しかったかと思いますが、さすがアラン・J・パクラだけあって良く心得ていらっしゃいます。バスに乗って故郷から大学に向かうところがファーストシーン、同じバスに乗ってライザ・ミネリが故郷に帰るのがラストシーンという安定したストーリーテリングで、氷が張っていないシーズンオフのスケートリンクやミネリの乗り回すオンボロなワーゲンなど印象深い映像も多々ありました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-24 23:16:18)
26.  グッバイガール 《ネタバレ》 
リチャード・ドレイファスがまあ良く喋ること、それも早口とキンキン声だから日本人からしても耳障りなことこの上なしです。こんなのに『リチャード三世』なんか演らしたら、そりゃ大コケするのは当然ですよ(笑)。彼はスピルバーグ御用達の俳優みたいな時期もありましたが、本来はこういう非凡な才能を持った人なんですよ。また円熟期のニール・サイモンの脚本がまた絶妙で、確かにバブル期に流行ったトレンディドラマの原型だと言えるでしょう。そしてそこに被さるデイブ・グルーシンのイージー・リスニング(もはや死語かな)、ここが大事なポイントなんです。マーシャ・メイスンも、ボディはともかくとして30代半ばとは思えない老けたおばちゃんという感じがよく出ています。舞台設定はともかくとしても、こういう美男美女ならぬ普通の感じのカップルを主役に据えたドラマは、日本のトレンディードラマでは決してお目にかかれなかった代物です。ラストのギターの使い方もシャレていて、さすがニール・サイモンという出来でした。
[ビデオ(字幕)] 7点(2017-01-29 22:07:05)
27.  グランド・ブダペスト・ホテル
造りこまれた画面と箱庭のようなセット、そしてまるで人形劇の様なストーリーテリングはいつも通りのウエス・アンダーソン節ですが、たぶん本作が彼の映画スタイルの完成形なんでしょうね。けっこう単純なストーリー展開と思いきやセリフや引用される詩は凝りまくっていて、もうテイストはヨーロッパ映画です。アンダーソン映画と言えば主演はビル・マーレイというのが今までの相場でしたが、こうやって観るとレイフ・ファインズも彼の独特の作風にはピッタリな役者ですねえ。 まあこの映画は細かいことは言わずに豪華出演俳優たちのアンサンブルを愉しむのが正解でしょう。ジェフ・ゴールドブラムやハーヴェイ・カイテルなんて観ている間は彼らとは全然気がつきませんでした。そして女優陣、間違いなくアンダーソンはハリウッドいちの鳥ガラ女優マニアだと確信いたしました(笑)
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-17 23:39:30)
28.  蜘蛛女(1993) 《ネタバレ》 
ファミリー・ネームやキリル文字の警察書類からするとロシア人みたいだし、マフィアのドンとは昔は一緒に暮らしてたみたいだし、政治家と不倫してその男に「モナ男」という恥ずかしいあだ名を定着させた日本のタレントとはもちろん関係なさそうだし、モナよお前はいったい何者なんだ。初体験の甘酸っぱい想い出を回想してると思ったらそれは初殺人のことだったり、パンティ丸出しでゲラゲラ笑いながら太ももばさみで男を絞め殺そうとしたり、この女こそ生身のターミネーター、いや“完全なる有機体”と呼ぶに相応しい化け物です。このレナ・オリンの怪演があまりに凄いので目立ちませんけど、ストーリー自体はなんか穴だらけですよね。でもモナの存在感だけでなく救いようのないほどダメな男のゲイリー・オールドマンが上手い演技なので、最後まで観客を引っ張ってゆく勢いだけは認めてあげましょう。ラストで約束の店に現れない妻を待つオールドマンの姿は哀れを誘いますけど、モナは本当に妻を殺したんでしょうか?実はそれはモナのはったりで、妻はオールドマンに愛想を尽かして35万ドルを元手に優雅に暮らしているという解釈はいかがでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-07-05 00:53:00)
29.  くちづけ(1957) 《ネタバレ》 
これが増村保造の初監督なんだけど、これがほんとに増村保造の撮った映画かと思うくらい瑞々しいタッチの作風なんですね。大人になりきれない子供といった感じの川口浩のキャラがまた良いんです。若いころの彼はセリフ回しに独特の歯切れの良さがあって、とくに増村作品でその傾向が顕著。これは増村監督の演出手腕の賜物と言えるかもしれません。川口浩が演じる大学生の、なんというか焦りに急かされている様な心情は良く判る気がします。野添ひとみも初々しくってイイなあ、じっとりしそうな役柄なんだけど、そこをあっけらかんとした明るさを前面に出して乗り切っています。そして、彼女が歌うちょっとレトロなんだけど情感たっぷりの主題歌がとても印象的なんです。 実は川口浩が川口松太郎の息子だと今回初めて知った次第ですが、母親の三益愛子まで共演していて“川口ファミリー劇場”みたいな様相です。川口浩は映画界で活躍したのはわずか五年余り、その後はご存知TV『川口探検隊』の人となってしまったのは有名ですが、個人的には同時代の裕次郎なんかより引かれます。演技力は川口の方が上だったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-28 21:34:48)(良:2票)
30.  グレイティスト 《ネタバレ》 
長男を交通事故で亡くした両親のもとに、事故のときに同乗していた女の子がやって来て「わたし、彼の子を妊娠してます」と告白して同居を始める。旦那(ピアース・ブロスナン)はまだ良いとしても、奥さん(スーザン・サランドン)は息子の死を全然受け入れらえずドンドンおかしくなってゆく。この家庭崩壊の様子は『普通の人々』を思い出させてくれますが、スーザン・サランドンの狂気とまでは行かないけど明らかに普通じゃない状態は、さすがオスカー女優だけあって実にリアルです。しかし何と言ってもこの映画で存在感を示しているのはキャリー・マリガンで、この人こんなに良い女優だったのかと見直しました。なんか不思議ちゃんっぽいキャラながら実はしっかりした内面を持っている女の子なんです。これはこの映画の脚本がとても良く練られている賜物なのかもしれません。初めてのエッチで出来ちゃったけど、それまで三年間の高校生活でお互いを意識しながら会話をしたこともなかったなんて、日本のライトノベルにもありそうな話ですけどそれを大人が観ても胸キュンとさせる監督の手腕は大したものです。ブロスナンが数学の教授という設定も良くストーリーに活かされていて、息子の人生を生きた日数や時間そして秒で瞬時に表現するところなんか、数学頭の父親の愛情表現らしくて胸を突かれました。 ラストは誰もが予想する通りのハッピー・エンドで終わりますが、まあこれ以外の物語の幕引きはあり得ないんじゃないですかね。でも、スーザン・サランドンがこれから姑というのも、想像したらけっこう怖いものがありますね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-23 18:01:11)
31.  クロッシング(2009) 《ネタバレ》 
ふつうこういうプロットの映画ではラストでそれぞれの生きざまが交差(クロッシング)するのがお約束みたいなものですが、ものの見事に肩すかしを喰らわされました。でも観終わってから「こういうのも有りかな」と妙に納得したのも確かです。けっこう緊張感に満ちた映像つなぎで、中盤でW・スナイプスが撃たれるまでの数分間の編集にはかなりドキドキさせられました。 ドツボに嵌まってゆくダメ人間E・ホーク、潜入捜査のストレスでストックホルム症候群に陥ってしまったD・チードル、どちらも得意とする守備範囲の演技ですが、あえてわたしはあと7日に迫った定年を心待ちにする万年巡査のR・ギアに注目したいところです。今までの出演作で気障な洒落者みたいなキャラばかりだった彼が、ここまでショボくれて無気力な人物を演じるとはまったくサプライズでした。奥さんに逃げられて殺風景な部屋に一人暮らしのくせに、いい歳して性欲は旺盛で娼婦のところに入り浸り。その娼婦に求愛して思いっきり拒否されるところなんて、観ている方としても実に痛い気分になります。ラストのギアが高揚感もなく呆然と歩き去るシーンも凄く説得力があります。なんせ、警官在職中には遭遇しなかったであろう修羅場に、ただの民間人になって初めて飛び込んでしまったのですから。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-18 22:07:58)
32.  グラン・プリ(1966)
そういや、自分が子供のころ流行ってましたよね、シネラマが。現代の3D映画みたいな感じでしたけど、テアトル東京もOS劇場も消えてしまった今日もうシネラマで映画を観ることは不可能なんでしょうか。 この映画は、シネラマで観ないと価値が半減するのかもしれません。葉巻型フォーミュラ・レーシングカーはいまの眼で見ると実にストイックで、車番以外何も記されていない車体は現在の走る広告みたいなF1とは違ったシンプルな美があります。ジェームズ・ガーナーが笑っちゃうほどカッコ良いキャラだったり(彼がプロデューサーなので当然かもしれませんが)、イブ・モンタン以下のレーサーたちのドラマが薄っぺらという欠点があるけど、こんな迫力ある実車を使ったレース映画はもう造られないでしょうね。 気になったことがひとつ、音楽はモーリス・ジャールなんですが、本作のテーマが彼の手がけた『パリは燃えているか』とメロディがあまりによく似ていることで、モーリス・ジャールめ手を抜きやがったな(笑)
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-31 20:08:33)
33.  クレイジー・ハート
『ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』以来20年ぶりに天才ミュージシャンを演じたジェフ・ブリッジス、20年前はクールなジャズピアニストだったのが、たるんだお腹をだぶだぶさせた還暦目前のアル中カントリーシンガーというのが時の流れを感じます。ほんと、あのブリーフ姿は情けなかったけど、ジェフの役者魂はビシビシと感じさせられました。それにしても、ハリウッドの役者たちは芸が多彩ですな、ジェフもコリン・ファレルもびっくりするほどの歌唱力です。カントリー歌手役で、演技とともに抜群の歌唱力を見せつければ、『歌え!ロレッタ』のシシー・スペイセクの前例もありオスカー受賞は順当だったと言うところでしょうか。個人的にはジェフには『ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』でオスカーを獲って欲しかったのですが、良く考えたらノミネートもされていませんでした(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2011-12-21 21:19:30)(良:1票)
34.  クラークス 《ネタバレ》 
『間違いなく営業しています』、この張り紙には軽い脳震盪起こすぐらいのインパクトがありました。本来こういうグダグダした若い連中のお話は本能的に受け付けないのですが、本作に限っては不思議と引き込まれてしまいました。台詞も下ネタだらけの会話ばかりですが、アドリブではなさそうだし脚本書いたケヴィン・スミスの才能には脱帽です。
[DVD(字幕)] 7点(2009-12-20 01:37:12)
35.  グラディエーター 《ネタバレ》 
映像の素晴らしさは、さすがリドリー・スコット。とくにコロッセウムの再現はそれだけでスペクタクル、劇中の初めてコロッセウムを観て驚愕するグラディエーターたちと同じくして観てる私たちも息を吞まされます。コロッセウムの遺跡の真ん中のゴチャゴチャした部分、当たり前ですけどその上にはグラウンドみたいな平面があったんだということがこの映画を観て初めて実感できました。ストーリー自体は『スパルタカス』と『ローマ帝国の滅亡』を融合させたような展開、正統的というか遊びのない語り口は少々重すぎる感は否めません。感動的なラストも、音楽の使い方も含めてまるで出来の良いマイケル・ベイ映画みたいな印象すらあります。マルクス・アウレリウス帝の暗殺やコンモドゥス帝の死はもちろんフィクション、というかこのあたりは『ローマ帝国の滅亡』のパクりと言っても過言じゃないでしょう。でもサイコパス皇帝を演じたホアキン・フェニックスの演技は鬼気迫るものがあり、やはり後年にジョーカーを演じて世界を震撼させる人です。そして自分がもっとも感銘を受けたのは、撮影中に急死したオリヴァー・リードの存在感です。この人は容貌魁偉な風貌で60年代以降の英国映画界を代表する怪優ですが、演じたプロキシモは『スパルタカス』でのピーター・ユスティノフに該当する役柄になるでしょう。最後はラッセル・クロウを助けて堂々と死んでゆくのですが、この殺害シーンは代役が後ろ姿だけを見せて撮影されたそうです。あと十年長生きしてくれたらオスカー受賞するような演技を残せたかもしれないと思うと、残念です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-01-10 22:01:01)
36.  軍旗はためく下に 《ネタバレ》 
監督が深作欣二で脚本が新藤兼人というおよそ東宝作品とは思えない布陣です。かねがね新藤兼人はその能力・思想信条において和製ドルトン・トランボと呼ぶに相応しい存在だと思っていましたが、この映画はトランボの『ジョニーは戦場へ行った』に匹敵する強烈な反軍思想の脚本だと思います。 かつての戦友たちを訪ね歩いて丹波哲郎の死の真相を知ろうとする左幸子の執念は、『ゆきゆきて、神軍』の奥崎謙三を彷彿させてくれます。丹波哲郎の最期についての記憶が訪ねた四人でそれぞれ違うのは(もっとも一人はウソをついていましたが)、推理小説の様な秀逸な語り口です。そのうちの一人である内藤武敏が勤務している高校で、彼が戦時中の記憶を語っているシーンでジェット旅客機が轟音をたてて着陸するカットが挿入されますが、いかにも時代の世相というか深作欣二の思想が感じられました(当時は成田空反対闘争の真っ只中で、過激派は“軍事空港ハンタイ”なんて言っていました)。そういう思想的な臭みも帳消しにするのが、左幸子の熱演です。やはりこの人は天才女優です。丹波哲郎も彼としては非常に抑えた演技で、「天皇…」と言いかけて銃殺される最期は涙を誘います。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2018-04-26 22:41:55)
37.  グリーン・インフェルノ(2013) 《ネタバレ》 
あの伝説のサイテー映画をリメイクしたかったなんて、さすがイーライ・ロスと褒めてあげましょう。内容は、白人の男女がアマゾンの奥地で原住民に捕まって喰われる、というプロット以外は全くの別ストーリーですが、オリジナルの有名な串刺し女なんかは、きちっと登場させてオマージュを捧げています。でも串の差し込み具合が浅いので、オリジナルの様なインパクトはないです。インパクトと言えばそりゃあ人食い映像の凄まじさの方で、ちょっとやり過ぎです。でも女の死体にマリファナを仕込むところは、さすがにバカバカしく苦笑してしまいました。 ところがこの映画、頭にくることに脚本はよく書けているんですよね。 偽善の固まりみたいなリーダーのクソっぷりには感心しましたし、ハッピーエンドですが単純なカタルシスを観客に与えないところも一ひねりしています。つまりこの映画には好感が持てるキャラが誰もいないし、とくにヒロインからしてけっこう嫌な女でした。少年に助けてもらった恩返しに当局にはウソ八百を突き通しますが、「この女、自分だけ助かったからあとはどうなってもいいんかよ!」と怒りがこみ上げてきます。本当に感謝しなければいけなかったのは、この娘が嫌っている傭兵たちじゃないでしょうか。この娘の偽善と無責任のせいで、第二・第三の犠牲者が出てくることを暗示してエンドです。
[DVD(字幕)] 6点(2017-09-14 21:08:39)
38.  くたばれ!ヤンキース 《ネタバレ》 
ブロードウェイ・ミュージカルの映画化でまだ雇われの身ではありますけど、随所にボブ・フォッシーらしさが出てますね。何と本人まで出演して踊ってるのにはちょっとびっくりでした。でも何と言ってもこの映画はグゥエン・ヴァードンの魔女ローラ、有名な“ローラのロッカー・ルームの誘惑”のダンス・ナンバーに尽きます。いかにも50年代ミュージカルといった感じのまったりした構成ですが、このロッカー・ルームとフォッシーとペアでマンボを踊るシーンには、ちょっと時代の先を行く様なセンスが感じられました。ヴァードンとフォッシーはこの後フォッシーが死ぬまで連れ添う夫婦になるのですけど、彼女の魅力を最大限に引き出せたのはやはりボブ・フォッシーだったんですね。
[DVD(字幕)] 6点(2015-09-26 22:22:23)
39.  紅の翼(1954) 《ネタバレ》 
なんでもシネマスコープで撮られた初の航空映画なんだそうです。監督は第一回オスカー作品賞をゲットした空戦映画『つばさ』を撮ったウィリアム・A・ウェルマンですからもう適役です。内容は元祖『大空港』にして空飛ぶ『グランド・ホテル』と言えるでしょう。ホノルルからサンフランシスコに飛ぶ旅客機に乗っている17人の乗客と5人の搭乗員にほぼ限定したストーリーなので、『グランド・ホテル』形式のストーリー・テリングには持って来いなわけです。冒頭で空港のカウンターで職員がチェックインする乗客たちの素性をスチュワーデスに詳しく解説してあげるところは、もう『グランド・ホテル』形式そのものですね。スチュワーデスに「あなたはなんでそんなにゴシップに詳しいの?」と聞かれて「前職はホテルマンだったからさ」と答えるところは爆笑でした。これはもう脚本家が“『グランド・ホテル』のパクリです”と舌を出している様なものですからねえ。乗客たち個々のエピソードの方は、各キャラの描きわけが明確ではないところが残念でした。 時代なので旅客機はレトロな四発プロペラ機です。与圧もされていないので飛行中にドアを少し開けて重量物を投棄するなんて、現代のジェット旅客機では絶対あり得ないこともできたりします。事故と言ってもエンジンが一基破裂するだけで航空スペクタルとしては物足りないですね。夜間の海上を飛行するところはかなりチャチなミニチュア撮影ですが、『ゴジラ』と同年の製作だと思えばまあ仕方ないですかね。ジョン・ウェインは心に傷を負った初老の副操縦士で、ちょっとしょぼくれたところがいつもの彼とは違ったヒーロー像です。彼がいつも口笛で吹くテーマ・ソングはけっこうポピュラーになっていて、メロディーを聞いたことある人は多いと思います。でも口笛を吹くジョン・ウェインと言うのは、あまり様になっていませんでしたね。 本作は主演をハンフリー・ボガートにする構想だったのが頓挫し(確かにボギーだったら口笛が似合うキャラクターですよね)、製作者だったジョン・ウェインが出演することになったそうです。でも航空映画なのでジェームズ・スチュアートを主演に持ってきたら良かったのにと思うんですが、いかがでしょうか。 今ではすっかり忘れ去られてますが、民間航空パニック映画というジャンルへの道を拓いた恐竜進化における始祖鳥みたいな重要性を持つ作品だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-02-25 00:03:50)
40.  グレートレース
たしか中学生の時だったと記憶していますがリバイバル上映で観ました。観客には大受けで爆笑の渦でしたが、いま見直してみますと大して笑えませんよね。何と言うか、ブレーク・エドワースの喜劇ってちょっとくど過ぎるんですよね。でもトニー・カーチスとジャック・レモンという『お熱いのがお好き』の黄金コンビの復活だけでも観る価値は十分です。ペーソスが持ち味のレモンにしては珍しいドタバタ演技ですけどあのけたたましいまでの笑い声はもうド迫力で、さすが名優です。カーチスのキラッと光る歯がこれまたベタですけど可笑しいんですよね。ナタリー・ウッドもこの頃がキャリアの頂点で、その美しさは輝きに満ち溢れています。そしてヘンリー・マンシーニの名曲中の名曲“The Sweetheart Tree”、もうこの曲を聴くだけで幸せな気分になります。 こういう雰囲気の映画は60年代以降には廃れてしまったみたいで、もう絶滅したジャンルと言えるでしょう。
[映画館(字幕)] 6点(2014-04-26 21:47:52)
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