1. グリマーマン
《ネタバレ》 「先生、良いんですか?」 武道場の裏に、僕と先生は、集まった。貝殻の塊を転がしたような音が、錆びた掌が揺れる立木から漂ってくる。あとは、靴が地面をこするだけだ。砂利を踏みしめる足は、少し震えた。 小さく富木流と書かれた道着を正しく羽織った男は、講師の事務所で僕の誘いを断ることも無く笑ってぼそりと一言、 「それじゃあ四時に」 と言った。 実習に合気道という時間が存在した。僕はそれを履修する事は無かったが、放課後の練習をぼうっと眺めるその目には肝心な物が伝わらない。 映画のあれは、本当に強いのか?クラスメートに何となく尋ねた疑問は、体育実習をうけた彼から師範に伝わった。伝わってしまったのは事故のような物だったが、かまわないと思った。むしろ、そこに実戦性があるのならどう言うものか見てみたい。思わず口角は上がっていた。 袴を穿いて、裸足の師範は左右に腕をなめらかに動かしながら、呼吸をしている。ただ呼吸をしているだけなのに神秘的な動作であった。僕は見とれる。落ちてくる赤い楓の葉は闘争心に火をつけた。ゆらゆらと足元に惹きつけられる数瞬に、心に波を立たせる。 「どうやって始めよう」 右足を前に音も無くずらす。 「相撲みたいでいいんじゃないですかね。靴はどうします?」 隙を探す。 右足、 左足、 股間、 脇、 肩、 腕、 顎、 額、 「好きにしたら良い。それで勝てると思うんなら」 それじゃあという返事を保留する言葉を返すと、彼の腰を落として力がどこかに消えてしまった姿勢に、今、と思う。 瞬間に、左足は前に出る。土が抉れた。ういっ、腹の底から発した声とともにコンビネーションを放つ。複雑に組み立てた手足の運動は、欲張らない。 鎖骨と大腿を狙う拳と膝は、合気道には存在しない方法で組み討つ。 次の瞬間だった。体重を乗せて殴り抜こうとした右腕を小手返しの型に組み込むと、軸を失った右足を古武術らしいすり足で抑える。一瞬僕は解放されたと感覚するが、それは入り身投げへの伏線だった。 ラリアートを食らったレスラーのように、綺麗に打ち倒されると、そのまま裸締めにされ気を失う寸前でタップした。 師範はいった。 「セガールは弱くないぞ。これくらいは、確実にやる」 という勘違いと妄想をさせるインパクトがかつてのセガール様にはあった。 [DVD(吹替)] 6点(2013-08-08 23:18:56) |
2. 紅の豚
バックグラウンドのない、行き当たりばったりな海賊のような格好良さが映画の中に練り込まれていて、本当に楽しい話だと思う。 のだけど、最近の宮崎駿の新興宗教のようなよく分からない主張や、鈴木プロデューサーの中国共産党の指示で言わされているかのような安保闘争のような主張が気になって、何となくジブリ作品が気持ちが悪いと感じるようになってしまった。 いくら面白いと言われても幸●の科●の映画を観たりしないのと同じ種類の気持ちの悪さが、過去の作品に遡って発生している。心躍る作品だったはずが、今、後になってちょっと思想や教義が少し振り掛かると違った意味が出てきてしまうのではないか。 作り手があまり共産主義的なことや新興宗教のようなことを発信しない方が良いというのはこう言う理由からではないだろうか。 [地上波(邦画)] 5点(2013-07-28 22:20:35) |
3. 黒いジャガー
《ネタバレ》 もう随分昔の事だ。期末テストの準備に取りかかっていると、やばいビデオを見つけたという同期のニッキーが持ってきたのは、電人ザボーガーの第一巻と黒いジャガーだった。狂喜乱舞した私はそのまま何度も何度も間抜けなザボーガーを繰り返し楽しんだのだが、彼はそっちじゃ無い、ザボーガーじゃ無いからそっちはおまけだ。と強い口調で私を咎めた。 うるせえうるせえじゃあ持ってくんなよ電人ザボーガーの一巻をと、抗議しながら見始めたシャフトだがこのつまらない脚本と、ふざけてんのかと思わせるラブシーンは正直攻殻機動隊のマンガを取り出す寸前まで私を追い詰めたのは間違いないのだが、メーンな黒人のニイチャン達の服だとかしゃべり方と、BGMの格好良さに劇が終わる頃にはお気に入りになっていた。 その後しばらくは学食でヤミーヤミー言いながら生姜焼き定食をほおばったり、全く似合わない皮のジャケットをなけなしの貯金で買ったりしたのだ。ソウルやファンクのCDを買いあさり、アシッドジャズなどを聞いて居た友人に対抗意識を燃やしたりもしたのである。 日がすっかり短くなって寒くなりはじめた頃、夜中に電話が鳴り響く。今時間大丈夫?と電話の向こうには不安な声色を隠せない同期の女の子がいる。 「シャフト(脳内変換)!私つけ回されてる。アパートの近くにずっと立ってる男がいるの、昨日は車でずっと待ってるのを見たわ……。今もドアの前に気配をずっと感じるの。」 決して気のせいでは無い事を彼女に確認し、私は現地に向かった。自転車でだ。 しかし着いてみるとそこに待っていたのは完全にやばい表情をした彼女の元彼の先輩である。このままノコノコ出て行ったら高確率で刺される事を確信した私は、そのまま最寄りの電話ボックスで110番をしたのだった。 これでもかと丁寧にお願いをして、お巡りさんを一人送り込んでもらい彼を説得してもらったのだった。 一応この件は解決したのだが、お巡りさん以外全く活躍していないため、脳内ではシャフトだった私に、 「いやー、頼りになるわー。寅さんだね君は」 と無念極まりないコメントを叩き付けたあげく、そのジャケットが寅さんにそっくりだと彼女はとどめを刺した。 帰り道、例年より暖かい気温がことさら寒かったのを思い出す。ちなみに何度も再生した黒いジャガーをちゃんと最後まで見たのは数年前である。 [ビデオ(字幕)] 6点(2013-01-06 03:46:02) |
4. 雲のむこう、約束の場所
そこそこ。秒速五センチ補正がかかっているから個人的には好き。 ほしのこえからもう少しストーリーを強化してきた感じ。時間も長くなって物足りなさも順調に解消されている。ジャンルの組み合わせの巧さというのが新海誠の特徴だったのかもしれないのだが、本作では極端だったかもしれない。 SFの使い方が少々乱暴で、仕掛けにはちょうど良いけれど、恋愛ものの筋とどんでん返しの着地点が別々というかどんでん返しの方は入れることが重量オーバーで出来なかったのかな、という気もした。処理としてはうまいとは思うけど、ラスト後のぼかし方は話としてはではなく、都合がよすぎないだろうか?考えてあるのかもしれないけど自力では想像が及ばない。 SFの世界観は基本ハードだが、詳細がぬるいのであくまでも恋愛重視と言うことなのだろう。だけど今回はこちらで用意した設定で言うとおりに切なくなりなさいという意図が強すぎはしなかっただろうか。 切なさの作りが気に入らないかもしれない。目的を達成することで無くす何かとかっていうのが、無くしたら悲しくなる理由が自分の中で同調できず、作品設定から納得するしかなかった。作品世界の中でそうなんだから素直に洗脳されなさいといわれているようでいやだった。あれか、昭和の私小説っぽさか。 それから、人の絵とか仕草が雑で物のきれいさとの落差がものすごく大きい。 いくら何でもテレビ放映のアニメより酷い。この後も直っていないが、この週刊少年マガジンで打ち切られる漫画みたいな人物絵が直ると一段格調が上がりそうな気がする。 この絵で描かれ続けるともう見ないかもしれない。 なおかつ、俳優には声優の代わりは無理。言いにくい配列の単語は職業声優じゃなきゃ無理だなって言うのがビシビシ伝わってくる。ジブリのまねをするメリットっていったいどこにあるのだろう。ジブリの映画はお笑いタレントや俳優にもしゃべれるように台詞にレギュレーションがあるんだと思うんだけど、そこまでしないと棒読みサンプルになるんだと言うことが解る。それを補うためにリソースをほかの部分に振ってるから成立する部分がこの映画では欠けてる。 [DVD(邦画)] 6点(2011-09-08 04:12:06) |
5. グリーン・ゾーン
《ネタバレ》 面白い。非常に面白い。なんかそれっぽい疑問をフィクションで投げかけることで、受け手の自尊心を満足させるハリウッドの巧さはこう言うところにある。実際は当時の報道を思い返すとそんなだったっけ?とすぐ気づく。 本作のカット、凄い。隊内のフォーメーションを上手に切り取った見せ方に痺れた。市街地の兵がそれぞれ役割をもって描かれる様は圧巻。もっと速く、もっと速くという欲求に極限まで応えるカメラワークに大満足だ。 また、GPSやヘリコプターを使った作戦も非常に見応えがあり、地上部隊と空からの連携がゾクゾクする。終盤のカットの速さはもっと速くという欲求を超えて、何が何だか分からないほどのスピードで(位置関係や追撃プロットはたぶん破綻してないと思われるが、確信犯的演出的破綻は有るかもしれない)、何度でも観たくなる中毒性がある。なんつう面白さか。久しぶりにゴリッと凄いアクションを観た。 他方、イラクにまつわることや、イラク戦争に関することはこの映画的にはあまり触れられていないかも。劇中のサスペンス的な創作や変に正義や巨悪を演じるアメリカを信じてしまう人が出ないかと心配になりもした。ネット上では日本語の湾岸戦争の情報は、日本教職員組合的というか、アメリカが悪でイラクが純真な世界という解釈をさせたがる結構過激な文章が多くて、参照すると変な方に思考が誘導される。日本語で読む人には他国の情報を入手できないだろう、という悪意の入った主観的な文章がちらほら見受けられる。 これはこの映画とそれほど関係のないところだけど、何となく日本に長くつきまとう問題ではないかと思う。っていうのも映画の感想とは関係のないことか。 [映画館(字幕)] 8点(2010-05-16 02:59:21) |
6. ぐるりのこと。
《ネタバレ》 面白かった。 生活が壊れてしまった人たちの、そこからの人生っていうのは他人との関係がこうも微妙になって行ってしまうんだろうか。現実の人間が壊れたらもっと悲惨なのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。 そんな人生の姿って言うのは、悲痛だったり冷静だったり、いい気味と思ったり、怒りだったり、いろんな感情を他人に与えるのかもしれない。冷笑を浮かべる人だっているかもしれない。そういう人生になってしまったらどういう風に生きていったら良いんだろう。 どうして良いか分からない。 そういう気持ちを心のどこかに抱える人ってどれだけ居るんだろう。どうして良いか分からない不安感や、行き詰まりをどういう風に解決したら良いんだろう。作中の夫婦には絶望感しか感じることが出来なかったが、次第に絵というよりどころを人生に組み込むことが出来るようになるその時は心が解けるようだった。よりどころとなる絵という業を持つ彼らには羨望さえ感じることができた。 何に向かわせればいいか分からない気持ちを、様々に巡らせたその後に残ったのは憂鬱でも爽快でもないが、何となく現実を上手に生きていきたいという気持ちに気づいた。 [DVD(邦画)] 8点(2010-01-03 22:10:29) |
7. クリムゾン・タイド
《ネタバレ》 傑作。潜水艦ものでコレに勝つには、戦闘描写を押し出すしかないと思わせるほど緻密。正直、演技の細かさにはうんざりするほどだ。 ジーン・ハックマンが、いい人だか悪い人だかよく分からない演技をするときは、ヤバい。その場面は異空間になり、こっちが悪いことをしたような気持ちになりドキドキしてしまう。そこにいい人に決まってるデンゼル・ワシントンを持ってくるんだからすれ違いは決定的になるに決まってる。そこを囲む脇役陣の手堅さときたら、配役が悪魔的に巧い。 95年当時の世界の不安定さときたら、今考えると病的妄想的な世界観が現実を包んでいて、それを払拭する情勢確認手段の少なさはちょっとスリル満点だ。それが日常だった。そこにきて、ロシアのクーデターという設定。当時ならあり得すぎる、ゴルバチョフが武力行使による拘束をされてしまう世界だからだ。 こうした空間の中で、権限委譲の不備を突いた事件が起きてしまうが、その処理のあまりの巧さにはぐうの音も出ない。ハンターと同調すれば密室の中の組織が崩壊してしまうことを誰よりも知る艦長と、ラムジーが副長に同調して必ずしもそこにいる全員が同調できないことを理解できないハンターのパワーバランスがすばらしい。 ラムジーが越権行為をすることで、解任され確認までの時間を作った訳だが、誤算は敵艦の攻撃だった。これにより部下を謀反に引きずり込んでしまうことになる。その苦悩の表現も秀逸だ。暗号を知るミサイル発射将校のウェップスに銃口を向けたが、これが開けさせるためではなく命令に従わせるためだった。彼を部下を救う上官にすることで謀反人になることから救った。同調した部下達の心理とは違うところに真意があった。 中止命令では、様々に反応する部下に複雑な内心を見せる。最後、ハンターは、委員会の聴取でラムジーの越権は、自作自演であったと知るわけだ。謀反が起こったと言うことがオフレコになって、クルーが不問に付され誰かが犠牲になるに違いない自分の聴取が行われなかった。 もちろんそう解釈をしない見方もアリだろうが、いかにも何でこんなことになったのかという表情をするハックマンを見ると、その方が面白い。ラムジーを悪役として据えるのも痛快だが、単純にそうしないところに妙がある。 [映画館(字幕)] 9点(2009-12-30 17:06:21)(良:1票) |
8. グーニーズ
思い出補正っていうのも、それほど悪くはないんじゃないか。そういう気持ち。 最初に見たのは「児童」のときだが、最後に見たのは「学生」の時だ。初見では気にならなかった荒っぽさや物語を進ませるための都合も、最後に見たときにはかなり浮き上がってしまっていた。 この映画は、生きていけば生きていくほど増えていく余計な知識を、意図的にそぎ落としたキャラクターたちで作られているのだと思う。年月がたてばたつほど現実世界の人間が持つ当たり前の感性が、登場人物たちとの距離を作り出す。そして彼らと現実性との乖離は進み、ついには見られなくなってしまうのだろう。 そうであれば、子供の頃この映画を見ていた時に一緒に見ていた大人たちは、おそらくこの映画を見ていたんではなく、この映画を見て無邪気に楽しむ子供たちを見て楽しんでいたのではないか。 子供ではなくなってしまった人間が、子供時代を懐かしむときに、子供時代の自分だけではなく周辺の大人の気持ちなんかを考えると、とっても優しい感じの記憶になってよみがえるだろう。この映画自体にはノスタルジーを喚起する仕掛けが施されていないのに、不思議な作品だと思う。 [DVD(吹替)] 8点(2009-11-20 12:26:12)(良:2票) |
9. クレイマー、クレイマー
《ネタバレ》 おもしろかった。まさに異文化交流という感じ。 アメリカの幹部社員って家まで追いかけてくる仕事に生活を削って、家族ぐるみで仕事を回すというようなことを聞いたことがある。それくらいハードなのは、報酬が大変な額だからとも聞いた。子育てと両立は確定的に不可能だ。すでにそういうクラスの上司役も冒頭で専念を勧めている。 どうやら平均的な家庭らしいクレイマー一家が、その入り口に立った矢先にことが起こるという感じか。作中では2ヶ月全然話もしていないという感じだから、普通であれば本来その時期に一家で仕事のことをよく話し合っておくべきだったのをすっぽかしていた様だ。 仕事のスキームが変化してきているのに、それに対応しない夫と不安感に振り回される妻の対決。という感じだろうか。劇中全く成長しない夫と妻、状況に慣れていくだけの子供のいやな雰囲気の家庭というのが、なんかリアルだ。状況が変わるたびに振り回される子供が不憫でならなかった。 それにしても、1年近くも会社を引っかき回してクビになり、親子関係もグダグダにしてしまいつつ、それを眺めている妻というのは何ともひどい状況だ。裁判の主張もお互いぶれまくっているので、見ていて痛々しい。どちらが子供を育てるかじゃないだろ?と受け手に感じされるじれったさと、だからといってすぐくっついてもだめだこりゃと思わせる二人の対決がとっても巧い。 それを受けてのラストが秀逸。結局大人になりきれていない夫は一緒に行ってやり直すことを格好つけて拒否すると、妻はホヘ?って顔をする。感動的な邂逅を期待していたらしく、泣いてしまう妻はこんなんで大丈夫か聞くと、最高だよとほめる。とりあえず今日の精神状態じゃ一歩も進まないんだな、けどそのうちね、という雰囲気はある。 別れたら子供は手に入っても夫も妻も結局望む生活は成り立たないだろうから、元に戻るルートと、悲惨な人生に向かうルートの2パターンが妥当だろう。そういうラストの作りはすごい。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2009-08-16 16:00:39) |
10. クリープショー
《ネタバレ》 つまんなかったなあ。子供の頃深夜の映画放送をこっそり見たときはドキドキしたんだけど、学生の時ツタヤで借りたらかなりがっかりした覚えがある。さらに近年再見したら、普通につまんなくて悲しかった。 子供向けというより、こういうものをあまり観たことがない人向けということなんだろうか。入門というかそういう感じ。あともう一つ、ロメロ補正が効く人向けですね。 でも、子供が観る分にはどきつくない描写とかすっきりしないエンディングとか、そういう部分は作りが丁寧だった。監督は良いんですよ監督は。 要はキングの原作が雑。こいつの原作は映画化して初めて完成品なんだよな、いつも。 [DVD(吹替)] 4点(2009-08-08 00:59:45) |
11. グラン・トリノ
《ネタバレ》 イーストウッドの、いつものマジモード文芸調の映画なのに何かこうわかりやすさが押し出されている作品だった。 前半のジョーク混じりの説明的な展開は速くて心地よく、本当によく練られていると言う感覚。 晩年余生を静かに送りたい近所のおじいさんが、ダーティハリーの台詞に似たしゃべり方でドスをきかせるセンスはすごく面白い。 さて後半、取り返しのつかない事件が起こるが結末で本当に感動してしまった。 だけど、泣けるとか涙が出るとかそう言う感覚ではなく気持ちが大きく動くと言う意味でものすごい感動だった。こういう結末で本当に感動できる安心の本物の映画職人だとおもう。 イーストウッドは44マグナムをぶっ放して、正義の味方を演じるのが得意という評価が日本に定着しているのは、映画会社の思惑なんだろう。どういう訳か、日本ではイメージが変形して固定してしまった。あげく21世紀に永遠の大根役者として評価され続けていると言うのが面白い。 イーストウッドはいつだって本気で映画を作り続けている。本気で文芸作品を撮ったかと思うと、全くの同時期に本気で固定ファン専用プロモーション刑事映画を撮る。センチメンタルアドベンチャーとファイヤーフォックスが同年であったり、バードとダーティハリー5が同年であったりする。イーストウッドが文芸調なのはほんの最近だと思ったら大違いで、愛のそよ風とダーティハリー2も同年。この人ははじめから文芸調とファン向けアクションを併走している。 この映画は(というか全部そうだけど)一切情報を入れないで観た方が良い。 宣伝番組や雑誌特集で中盤の流れを知ってしまうとせっかく脚本家が用意した驚きを得ることができず感動のしどころが一つ消滅する。 メディアの姿勢は懸命に作った脚本家に失礼だと思わないのかちょっと疑問だ。 [映画館(字幕)] 10点(2009-04-30 01:29:11) |
12. グッバイ、レーニン!
《ネタバレ》 展開の小説的な流れが凄く好みだった。 お母さんの病状の変遷とかスリルを引き出す小道具になっていて、良くできてるなぁ。 文章だと受け身でそう思えるところを、映像で作るのはなかなか大変だったんじゃないかと思う。 すぐ突っ込みどころがビジュアルで分かってしまうので。 良くできてる。 この映画の主張がどのあたりまで現地の人の考えと一致しているのか分からないんだけれど、少し真剣に世の中を眺めるきっかけにでもなればいいなと感じた。 この映画のキャラクター達の、どうでも良いような努力が生活の柱を作る。 その類の努力すらやってないな、最近。そう言うところを認識するとちょっと良い薬になる。 そう言う部分の活力が無ければただ仕事で人生がすぎてしまうと思う。人それぞれ違うものであろう生活の大切さを少しだけ感じられた。 [DVD(吹替)] 8点(2009-03-21 20:41:02) |
13. クローバーフィールド/HAKAISHA
《ネタバレ》 面白かった! これは凄いですね。ハンディカム視点を怪獣パニックでやりますか。この組み合わせに釘付け。 それからパニックがリアルすぎる・・・。 怪獣をテロリストに置き換えてもそのままの筋で成立しそうですよ。 自由の女神の頭部が飛んできて携帯で写真撮ってますが、あれなんかそのまんまですよね。 それにしても絶望感の表現が良かったです。よくわからないうちにとんでもない状況に追い込まれて、ああなる。 ハッピーエンドでもバッドエンドでも成立しそうですし、良くできてますね。 時間の配分とかも巧妙で、引き込まれてあっという間に終わりました。 怪物の造形がまた良い。は虫類っぽいデザインにしなかったのが大成功ですね。 身近な生き物っぽくないっていうもの奏功しています。 この映画ではニューヨークの怪物でしたが、首都圏で大規模なテロがあったら自分はそのとき何が出来るかな・・・。ちょっと怖くなりました。 それからちょっと思ったんですが、映画とは関係なくアメリカ人が惨殺されると喜ぶ人がいるような気がしてそれがちょっと怖い。リアルに怖いんですけど・・・。 [DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2008-10-13 20:14:30)(良:1票) |
14. クール・ランニング
面白い。こういうきちんと筋が通ってるコメディ映画って良いですよね。 熱くなってしまった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-08-24 12:50:34) |