1. ケイト
《ネタバレ》 大都会・東京の裏社会で暗躍する凄腕の殺し屋、カイト。引退を決意した彼女が最後に挑む任務をハードに描いたサスペンス・アクション。ハリウッド・スターのウディ・ハレルソンが出演し、日本からは海外でも活躍する浅野忠信や國村隼が出演しているということで今回鑑賞してみました。率直な感想を述べますと、まー、ダメな映画でしたね、これ。『96時間』風のシリアス路線でいきたいのか『ジョン・ウィック』風のコミカル路線でいきたいのか、最後まで軸がブレブレで何とも中途半端。「今時これはないだろ!!」っいうアメリカ人が思い描くトンデモ日本描写もまぁ狙ってやってるのは分かるんですけど、振り切れてないから全然笑えないし、マジで見る分には寒すぎる。冒頭のやくざに追われた主人公が公道から車を盗むシーンなんて、わざわざ一番ど派手なヤンキー車をチョイスするというバカっぷり。何度も繰り返されるブーンブーンレモンのくだりもしつこいうえに終始すべってましたし。クライマックスなんてグダグダでもう見れたもんじゃありません。完全なる実力派の無駄遣い映画でありました。トホホ。 [インターネット(字幕)] 3点(2021-10-29 07:23:01) |
2. ゲット・アウト
《ネタバレ》 都会で洗練された生活を送る黒人のカメラマン、クリス。だが、彼には一つの悩みの種があった。それは三か月前から付き合っている白人の美しい彼女ローズとのこと。まだまだ社会に根深く残る人種差別問題は、彼らの関係にも小さくない影を落としていた。そしてそれは、田舎で夫婦水入らずの暮らしを送っているローズの両親を訪ねたことでより強固に彼の前に立ちはだかる。表面上は歓迎してくれる両親だったが、言葉の端々に微妙な感情が孕まれているのを敏感に感じ取るクリス。それは次の日開催された友人たちとのパーティーで一気に噴出してくるのだった――。意味ありげな微笑を浮かべる黒人使用人、あからさまな敵意を剥き出しにしてくる彼女の弟、そして好奇の目でクリスを見つめてくるパーティの客人たち…。いったいこの家にはどんな秘密が隠されているというのか?まるで操り人形のようにふるまう不気味な黒人たちの本当の意図とは?そして、クリスが心に抱え込む幼少期のトラウマとは?あくまで良質なホラーとして制作されながらも、そこに人種差別問題を絶妙に絡めたおかげでまさかのアカデミー脚本賞を受賞したという本作、なかなか興味深く鑑賞させていただきました。この監督の観客への不安感の煽り方は抜群に巧い!なんなんですか、この実家のいや~~~な感じの空気感は。こんな息苦しい実家、たとえ人種のどーのこーのがなくても絶対に帰りたくない(笑)。本作が優れているのは、この黒人と白人の間に未だわだかまる意識や価値観のずれ、お互いへの不信感をホラーのベースとしているところ。今もアメリカ社会の中に歴然と存在するそんな強大な壁を巧くホラーとして昇華させている。見事なセンスというしかありません。そんな社会問題をベースとしていながらも、ちゃんと一級のホラー/スリラーとしても最後まで面白く観られるのも素晴らしいですね。惜しいのは、肝心のことの真相があまりにも荒唐無稽なSFになってしまったところ。それまでずっとリアルな世界観を構築していたのに、最後で少々バランスが崩れてしまったような気がしなくもない。とはいえなかなか見応え充分な良質のエンタメ映画でありました。7点! [DVD(字幕)] 7点(2019-01-12 22:43:01) |
3. ゲティ家の身代金
《ネタバレ》 ある日、石油王にして世界一の大富豪の孫が誘拐される。身代金を求める電話がかかってくるものの、金にとんでもない執着を見せるその大富豪はなんと支払いを拒否。命に代えてでも息子を取り戻したい孫の母親で富豪の義理の娘は様々な方策を巡らせるのだが、解決の糸口すら見いだせないままどんどんと追い詰められていく……というお話。御大リドリー・スコットが実話を基にして描いた、なかなか濃厚な人間ドラマでした。いやー、世の中金が全て、お金のない人間は何をやってもうまくいかないという内容でしたね、これ。巨匠の映像美と重厚なストーリーテリングはもはや匠の技。最後まで見応え充分でした。特に、恐ろしいくらい金に執着する守銭奴大富豪を演じたクリストファー・プラマーの憎たらしさは素晴らしかったです。いくら世界一のお金持ちでもこんな人の身内には死んでもなりたくない(笑)。若干ストーリー展開に「?」な部分があるものの、なかなか面白かった。7点! [DVD(字幕)] 7点(2018-10-21 23:31:27) |
4. 毛皮のヴィーナス(2013)
《ネタバレ》 「毛皮のヴィーナス」。それはマゾヒズムの語源ともなった、19世紀オーストリアの作家マゾッホの代表作だ。そんな愛と被虐と陶酔の物語を舞台化しようと試みる野心的な演出家トマのオーディションに、とある無名の女優が大幅に遅れてやってくる。すっかり日も暮れ、劇場に残っていたのは準備に余念がない演出家である彼のみ。恋人とのディナーの約束を控え、当初は断ろうとしたトマだったが、あの手この手で迫る彼女の迫力に仕方なくオーディションをすることに。とはいえ、相手役の男優はおろか、スタッフは皆帰ってしまい、劇場には自分とその女優しか居ない。トマは自ら相手の男役を務め、毛皮のヴィーナスを演じてゆくのだが、何もかもを見透かしたような彼女の言動に次第に立場が逆転し始めるのだった……。いまだ挑戦的な作品を撮り続ける名匠ロマン・ポランスキー監督の最新作は、そんな男と女の愛と駆け引き、支配・被支配、サディズムとマゾヒズムが軽妙に交錯するスリリングな心理劇でした。確かに、小品ながら円熟味を増したポランスキーの才が冴え渡っている作品であることは僕も認めるところなのですが、さすがに90分はちょっと長すぎるかなぁというのが率直な感想です。全編に漂う上質なユーモアや気品に満ちたエロティシズムなど、いかにも彼らしいモダンな雰囲気は凄く良かったのですが、ずっと同じような画と遣り取りばかりが繰り返されるので中盤から少々退屈に感じてしまう。これで、肝心の主演女優さんが目が覚めるほどの絶世の美女とかだったらまだ良かったのですが、いかんせんこの女優さんが少々お歳を召しているうえにちょっぴり微妙……(解説によると、この人監督の実の奥さんみたいですね。ごめんちゃい笑)。うーん、もう少し突き抜けた何かが僕はほしかった。5点。 [DVD(字幕)] 5点(2016-05-14 22:21:22) |
5. ゲッタウェイ スーパースネーク
《ネタバレ》 ブルガリア、ソフィア。かつて天才レーサーとして名を馳せたものの、その無謀とも言える運転がたたってレース界から追放を余儀なくされた男、マグナ。以来、闇の仕事で食いつないでいた彼だったが、いまは引退し愛する妻とともに幸せな日々を送っていた。だが、そんなある日、マグナがマンションに帰ってみると部屋は荒らされ彼の生甲斐である妻がさらわれていたのだった。直後に鳴り響く彼の携帯。「いいか、よく聞け。突然だが、君の妻を誘拐させてもらった。返してほしければこれから私が指示する駐車場にすぐに向かい、そこに停めてある特別な車を盗め。運転は久々だろうが、妻を救いたければ私の指示に従え。君の妻は実に美しい女性だ。もし通報したり君が警察に捕まったりすれば、彼女は死ぬ」――。謎の男の指示通り、駐車場へと向かうとそこには様々な改造が施されたスーパーカー〝スーパースネーク〟が停めてあったのだった。難なく車を盗み出すことに成功したマグナは、直後に乗り込んできた車の所有者を名乗る生意気な少女とともに、夜の街を疾走してゆく。そう、愛する妻を取り戻すために……。CGはいっさい使わず実際に街で車を暴走させて撮られた、疾走感溢れるカーアクション。全編カーチェイスに次ぐカーチェイス、そしてクラッシュ!クラッシュ!クラッシュ!90分間、もうひたすら車が走りぶっ壊れ続けるだけの、まあ潔いまでのB級エンタメ映でした。けど、確かに凝りに凝りまくったアクションシーンの数々はキレも勢いもあって最後まで楽しく観ることが出来ますね。どこか影のあるワイルドな男を演じさせたら右に出る者の居ないイーサン・ホークも相変わらず格好良いし、同乗者となるお転婆南米娘との凸凹コンビもバッチリ決まっていて素直に楽しかった。うん、90分な~んにも考えずに楽しめるエンタメ映画としては充分水準に達していたと思います。ただ…、ずっと車の中に居る彼らからの視点でしか物語が語られないため、ストーリーが幾分か一本調子なのが本作の弱点。これにたとえば、彼らを追う刑事からの視点などがあれば随分とメリハリの利いた展開になってもっと面白くなりえただろに。それに最後のどんでん返しがすぐには分かり難く、いまいちカタルシスが得られなかったのも残念。と、そこらへんが惜しかったですけど、酒でも飲みながら頭空っぽにして観るべき映画としてはそこそこ面白かったんじゃないでしょうか。うん、6点! [DVD(字幕)] 6点(2015-12-16 12:59:10)(良:1票) |
6. ケープタウン(2013)
《ネタバレ》 2013年、南アフリカ。いまだアパルトヘイトの影響が色濃く残る首都ケープタウンで警部をしているアリは、この国の先住民族である誇り高きズールー族だ。温厚で知性的な紳士であるそんなアリの相棒は、彼とは全く正反対の酒と女にだらしない自堕落なバツ一男、ブライアン。人間としては全く褒められたものではないブライアンだったが、刑事としての腕は一流だとアリは全幅の信頼を置いている。ある日、そんな彼らの管轄で、一人の少女が無残な惨殺死体となって発見されるのだった。すぐに捜査を開始したアリたちだったが、容疑者と思しき男を捜してバラックが立ち並ぶスラム街へと乗り込んだとき、そこにはとてもチンピラとは思えない重装備したギャングたちが待ち構えていたのだった……。一人の少女の殺人事件をきっかけにして炙り出される謎の麻薬を巡る闇社会の抗争、本作は南アフリカにいまだ残るそんな人種差別という名の闇へと立ち向かう全く正反対の2人の刑事の活躍をスタイリッシュに描いたクライム・アクションだ。胸に静かな怒りを秘めた寡黙な中年刑事を演じるのはフォレスト・ウィッテカー、私生活は酒と女で無茶苦茶だが犯罪を憎む情熱だけは誰にも負けない若手刑事にはオーランド・ブルーム。まあベタな組み合わせではあるけれど、殺人レイプ強盗など何でもありの極めて治安の悪いケープタウンという街を舞台にしたこともあって、なかなか緊迫感に満ちた作品に仕上がっていたと思います。特に、柄の悪い黒人たちが大量にうろつくスラム街へと主人公たちが乗り込むシーンなんて、一歩先に何が起こるか分からないから観ていて素直にハラハラドキドキ。南アフリカにいまだ影を落とす人種差別という社会問題の扱い方も、これ以上踏み越えるとテーマとして重くなる一歩手前で絶妙に抑えられていて、僕はエンタメ映画として最後まで面白く観ることが出来ました。ただ…、終盤で明かされる事件の真相がさすがにちょっと無理があったのが惜しい。アリの母親の扱いも、あのクライマックスへと向かわせるために無理やり紡ぎ出した感があってそこら辺もちょっと残念でした。結論。なかなかよく出来たクライム・アクションとして普通に面白かったですけど、あと一歩他の作品とは一線を画す新しい何かが欲しかった。6点。 [DVD(字幕)] 6点(2015-11-23 14:04:45)(良:1票) |
7. ゲットバック
《ネタバレ》 超一流の銀行強盗であるニコラス・ケイジ演じる主人公ウィル。ある現場で痛恨のミスを犯してしまった彼は、警察に捕まり刑務所に服役することに。8年後、ようやく出所した彼の元に復讐に燃えた元相棒が現れ、そして最愛の娘が誘拐されてしまう。犯罪者ながら正統派な主人公、分かりやすい悪役、娘との確執と和解、そして綺麗でセクシーなヒロインとの甘いロマンス…、冒頭からもう絵に描いたようなベッタベタな展開が続く恥ずかしいくらい超王道なアクションエンタメ映画でした。確かに、後半になるにつれ、明らかにストーリーが破綻しているけれど(あんな簡単に億単位の金塊が盗めるんだったらみんなやってるっつーの!)、テンポよく描かれたアクションシーンの数々はけっこう楽しめたかなー。何故か誘拐した娘をタクシーのトランクに閉じ込めて街を徘徊し、案の定、簡単に逃走を許してしまうお間抜けな悪役の元相棒には笑っちゃいましたけど。最近のニコラス・ケイジ主演の酷い作品群のなかでは良かったと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2013-10-02 10:05:55)(良:1票) |
8. ケープ・フィアー
《ネタバレ》 壮大なる逆恨み映画。自分を牢屋に放り込んだのは能無しの弁護士だ!と自分勝手に決め付けたデ・ニーロ演じる狂気の犯罪者がとにかく強烈!もう、こんな男に目を付けられたと思うだけでおしっこちびりそうです。スコセッシって男の激しい情熱に拘った映画を延々と作っている監督だけど、作品によってはそれが善となったり悪となったりするのが深いですね。この作品は当然後者で、その最たるものかも。最後、デ・ニーロが湖に沈み込んでいく時に、主人公の弁護士を激しく睨み付けるその狂気に満ち溢れた目がいつまでも忘れられない。 [DVD(字幕)] 8点(2013-04-30 15:35:27) |
9. K-19
《ネタバレ》 「Uボート」で確立された潜水艦映画の、新たな地平を切開いた作品。それまで潜水艦の敵は外部にある敵国のミサイルであったり、全てを押し潰す水圧であったのだけど、ここでは内部の敵・原子力との戦いがメインとなっている。特に、後半での漏れ出した放射能の海のなかを、仲間を救うために命を賭して進む人々の姿には純粋に感動を覚える。 [DVD(字幕)] 7点(2012-06-14 16:45:47) |