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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2391
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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41.  コーマン帝国 《ネタバレ》 
ロジャー・コーマンの自伝(これ、傑作です!)を読んだことのある自分としては、まあ波乱万丈の映画人生を表面的になぞっている可も不可もない内容でしょうか。コーマンというお方は、B級映画の帝王のくせして風貌は優雅で語り口もまるで大学教授みたいなのが面白い。そこら辺はトロマのロイド・カウフマンやキャノン・フィルムズのメナヘム・ゴーランとは大違い、ビジネスマンとしての手腕もハイレベルなのもこの人の凄いところ。ドキュメンタリーなので彼の映画人生をかつての門下生たちが回想するわけですが、それがジャック・ニコルソン、マーティン・スコセッシ、ジョー・ダンテ、ロン・ハワードたちでこれまた豪華な面々です。でもなぜかそこにコッポラとキャメロンがいないのがちょっと残念ではあります(きっとややこしい人間関係があるんでしょうね)。ジャック・ニコルソンが「彼の事はみんな大好きなんだ」と感極まって泣き出してしまうところには、こちらまでジーンとさせられました。 コーマンのもとで映画の世界に入って成功した映画人は数え切れないけど、面白い事に彼の元にとどまった人はいないしコーマン自身もひきとめない。コーマンが手掛けるのはとんでもないB級映画だから、「いつまでもこんなことしてられない」と才能ある連中の発奮材料になっているのかもしれないですね(笑)。 ドライブイン・ムーヴィーからビデオ・DVDへとB級映画を取り巻く環境は大きく変わり、コーマンのビジネス手法にも確実に打撃を与えられてきたのは確かでしょう。映画はコーマンがアカデミー特別功労賞を授与されるところで終わります。これは長年ライバルだったハリウッド・メジャーにとって、もはや彼が脅威では無くなったことの証しなのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-06-05 22:01:32)
42.  コラテラル 《ネタバレ》 
考えてみてください。①殺し屋が流しのタクシー運転手を脅迫してハイヤーさせ取引先回りをする②巨大都市LAなのに、5人のターゲットのうちの1人を殺し屋と出逢う直前に乗せている。普通に撮ったらおバカ映画になること必定なプロットなんですが、マイケル・マンの様な腕の立つ監督と脚本家が手掛ければこういう一級品の娯楽映画になっちゃうものなんですね。 トム・クルーズが殺し屋と言うのはサプライズのつもりなんでしょうけど、彼は善人より悪人の方が似合ってると思うんですけどね。悪役を演じる方が愉しめる俳優が多いそうですが、トムもその口みたいですね。でもこれはマイケル・マンの映画にはついて回ることなんですが、少しはユーモアを交えた演出が欲しかったところです。それにしても良く喋る殺し屋でしたね、病院でジェイミー・フォックスに鞄を持ち逃げされて窮地に陥ったりしてけっこう脇が甘い感じもしましたが。でも最後の死にざまはさすがトム・クルーズという感じですね、リングサイドで真っ白に燃え尽きて死んでいった矢吹丈みたいでした。 最近のLAを舞台にした犯罪映画では、この映画もそうですが、悪玉が韓国系という設定が目立ちますね。まあこれがLA裏社会の現実なんでしょうが、大陸や半島系の犯罪組織が登場することが滅多にないヘタれな日本映画界とは対照的です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-11-04 20:43:56)
43.  コフィー
まあ他愛もないブラック・スプロイテーション映画と言ったら身も蓋もないんですが、まあ何と言うかそれなりに楽しめはします。ぶっちゃけて言えばそれはパム・グリアーのハダカということなんですが、これはイイです(笑)。彼女がここまで脱ぐ人だったとは迂闊にも知りませんでした、反省してます(笑)。セリフのある出演女優は彼女に負けるなとほとんどが脱いでいた気がしますが、そこは所詮70年代のハダカですから有難味も薄く厭きちゃいます。 パム・グリアーはプロポーションは抜群だけど身体能力はあまり高くないみたいで、キャット・ファイトしてもあまり様になってません。それよりひどいのはセリフの棒読みで、これを観ると『ジャッキー・ブラウン』の頃にはずいぶん演技が上手くなったもんだとしみじみ感じました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2014-08-09 23:08:21)
44.  攻撃 《ネタバレ》 
製作されてから60年近く経っているのですが、このジャック・パランスの死にざまを超える映像は未だにスクリーンに登場していないんじゃないでしょうか、まさに顔芸の極致です。大映のスタッフは、このコスタ中尉の死顔を参考にしてあの大魔神の表情を造形したのかもしれません(笑)。 これ観るたびに私は感じるんですけど、どうも最後のウッドラフ中尉の行動が物語から浮いている様な気がするんです。リー・マーヴィンが上手く立ち回って丸く収まるという終わり方の方が皮肉が効いていて良いと思うんですけどね。それじゃああまりに反軍的だということで、天の声がかかったのかもしれません。この映画が撮られたのは朝鮮戦争が終わったばっかりでベトナム戦争なんてまだ影も形もなかった頃ですから、これだけ軍隊内の恥部をさらしただけでも意義は十分にあったことは確かです。 そして私が好きなのはエディ・アルバートの卑劣漢ぶり、アルドリッチの映画に出てくる彼はいつもこんなキャラですけどね。アルドリッチ映画の華は卑劣漢キャラです(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-04 00:54:13)
45.  GODZILLA ゴジラ(1998) 《ネタバレ》 
私を含めた全世界のゴジラファンを激怒させた問題作。ゴジラを「核実験の死の灰を浴びて突然変異したイグアナ」と設定した時点で、もうこれはゴジラのリメイクじゃないですし、そもそもゴジラの名称を使わせたこと自体が間違ってます。 ローランド・エメリッヒが監督と聞いただけで危ないと心配してましたが、ここまでひどいとは予想を超越してました。元祖『ゴジラ』が名作と今でも語り継がれるのは特撮だけじゃなく本編の人間ドラマがしっかりしていたからで、ところがこの映画に出てくる人物はみんなバカばっかりでもううんざりです。その中でも特にひどかったキャラがこの二人です。一人はあのバカ女レポーター・オードリーです。演じたマリア・ピティロはこの役で見事にラジー賞をゲット。この人ここまでは割と順調にキャリアを積んでいたのに、本作以降はメジャーな作品どころか映画出演自体がほとんど無くなっちゃったのはちょっと可哀想かな。そしてもう一人はエバート市長。有名な映画批評家ロジャー・エバートがモデルで、『インデペンデンス・デイ』を酷評された腹いせに監督がコケにしたというのは有名なエピソードです。市長役の俳優はロジャー・エバートにそっくりですし、金魚のフンみたいな市長の側近ジーンもロジャー・エバートとコンビを組んでる批評家ジーン・シスケルに瓜二つという念の入れよう。この不愉快な市長が本作で唯一の悪役みたいなもんだけど、ここまでやるとはエメリッヒという人執念深くてけっこう嫌な性格みたいですね(笑)。 まあこの映画は怪獣映画じゃないですよ、笑えないコメディ映画だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2014-06-29 20:44:07)
46.  国際秘密警察 絶体絶命 《ネタバレ》 
さてこのシリーズもいよいよ最終作です。本家007が日本を舞台にして撮られるというシリーズ当初は予想もしてなかった事態もあり、東宝もこれ以上続けるのがしんどくなったんでしょうね。 お忍びで来日した東南アジアのブッタバルなる国の首相を暗殺から守ると言う、5作目ということもありちょっとマンネリ気味のプロットです。今回北見次郎とコンビを組むのは同じ国際秘密警察エージェントであるニック・アダムスですが、コミカルな芝居をけっこう巧みにこなしています。彼が東宝映画に出演したのはこれが三本目ですが、いずれも水野久美と共演してるのがなかなか意味深です。『怪獣大戦争』と『フランケンシュタイン対地底怪獣』は同年の製作ですので、来日したスケジュールで一緒に撮ったのが判りますが、今度は2年も経ってからオファーを受けてるんですからねえ。彼に執拗に口説かれて困ったという水野久美の回想はどうも本当みたいですね(笑)。 今回はけっこう小ネタにこだわりを見せる脚本になっており、国際秘密警察の支部が刑務所内にあると言うのは笑わせてくれました。可笑しいのは部屋の壁に「国際秘密警察 極東支部」なんてデカい看板がかかっているところで、まったくヤクザの組事務所じゃあるまいし苦笑するしかありません。ブッタバル国の首相である田崎潤もなんかヘンで、大の大人が嬉々としてジェット・コースターなんかに乗ってるんですから。ここで舞台となるのは今は廃墟となってしまった奈良ドリームランドで、本家ディズニーランドをパクったと言われた遊園地の全盛期の貴重な映像でもあります。 本作でもニック・アダムスと佐藤允の方が目立っちゃって、三橋達也がなんか影薄いんですよね。やっぱ40過ぎてた三橋にはこういうアクションは荷が重かったのかなと思います。やはり北見次郎というキャラは丹波哲朗や天地茂みたいな役者の方があっていたと思いますし、考えると当時の東宝にはこういう悪役までこなせるような二枚目スターがいなかったのが痛かったです。強いて言えば宝田明を起用するという手もあったんでしょう、彼には『100発100中』という大傑作もあるから可能性はあったと思うんですけどねえ。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-05-29 23:58:41)
47.  国際秘密警察 鍵の鍵 《ネタバレ》 
シリーズもいよいよ佳境に入り、ウディ・アレンの伝説の初監督作『What's Up, Tiger Lily?』の元ネタがこの第4作目でございます。前作で大きくコメディ路線に舵をとったこのシリーズでしたが、本作では初期のハード・スタイルな撮り方も復活しており、コメディ調とのバランスがとれている感じがしました。監督が大ベテランの谷口千吉だと言うこともあるでしょうが、手堅くまとめたなと感じます。 初期二作に戻ったかの様に、オープニングはどうもブルネイをモデルにした様な東南アジアの某国から始まります。この国の大臣から横浜で船上カジノで稼いでいる反乱組織から1千万ドル強奪するのに協力して欲しいと頼まれます。つまり本作での北見次郎の活動は国際秘密警察本部からの指令が有ったわけじゃなくて、いわば彼のアルバイトみたいなものなんですよ。情報局長の浜美枝と金庫破りの達人である若林映子を引き連れ現地に乗り込むと、そこには反乱組織とはライバルの中国人組織が手ぐすねを引いていたと言うわけです。 本作では北見次郎は殴られて拉致されたり拷問されて顔傷だらけにされたり精彩があまりないのですが、その分敵役たちががんばってくれます。何と言っても“ハヤタ隊員”黒部進にご注目です。北見次郎と手を組んだり裏切ったりの中国人ボス、常に脇役に徹してきた彼としては珍しい目立ちっぷりです。そして「俺はコブラに噛まれて人が死んでゆくところを見るのが夢なんだ」なんて言ってのける、天本英世の拷問好きのド変態ぶりも強烈でした。このコブラ、アップはギニョールなんで良いですけど、ロングになると普通の青大将みたいなヘビになっちゃうのは失笑ものでした。中丸忠雄ももちろん出てますが、そういやどうも影が薄かったですね。 こうやって観ると意外と弾けるところは少なかった印象で、こうなるとますます『What's Up, Tiger Lily?』が観たくなると言うものです、出来れば日本語吹き替え版でね。個人的には、アレンのこの映画のおかげで浜美枝と若林映子がボンド・ガールに抜擢されたと睨んでいます。ということは、もし水野久美が本作にキャスティングされていたら彼女が『007は二度死ぬ』に出演していたわけで、惜しいことしました(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-05-22 22:47:33)
48.  国際秘密警察 火薬の樽 《ネタバレ》 
第一作から観ているとほんとびっくりしますよ、北見次郎こと三橋達也のキャラの変貌ぶりには。軽妙洒脱なプレイボーイぶりには、任務遂行中に負傷して頭を強打しちゃったんじゃないかと心配させられるぐらいです(笑)。二枚目とはいえ少しガテン系の入ったルックスの三橋ですから、三枚目的なコメディキャラに方向転換させたという東宝の判断は正解なんでしょうね。 そして“世界統一同盟”なる悪の組織も登場してきて、本家007にほんのちょっと近づいたかなという感じです。なんか世界中の核爆弾を含む爆発物を遠隔操作で爆発させることが出来る機械とやらで世界統一を目指しているらしいんですが、これが凄いんだかどうかがとても微妙です。敵役は前作に続いて中丸忠雄、狂信的なワルを演らせたらこの人東宝でもピカイチですね。水野久美も再び女工作員として登場、またまたⅩ星人キャラでした(笑)。佐藤允は三橋とタッグを組む警部で、この二人のやり取りがテンポよく絶妙でして、けっこういいコンビだと思いますよ。最後は佐藤允が星由里子までモノにして美味しいところは総取りで、こんなに佐藤允がモテる映画は珍しいですよね。 こういう映画はいくらシリアスに撮っても悪の組織がアホじゃ否が応でもコメディになっちゃうもんです。新幹線ひかりにスーツケース爆弾を積んで遠隔操作で爆発させる実験をする、スーツケースだけ網棚に置いてくればいいのに工作員まで一緒に乗り込んでどうするの?案の定、面が割れてる星由里子に見つかっちゃうんですから。もっと凄いのは爆発まで後5分と判っても佐藤允たちが一生懸命車内を捜索するんです。5分あったらふつう停車して乗客を避難させる努力をするもんじゃないでしょうか? 大真面目なこういう芝居を見せられても、こっちはどういう反応をして良いのやら困ってしまいます。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-05-16 21:08:43)
49.  国際秘密警察 虎の牙 《ネタバレ》 
シリーズ第二弾になりまして、やっとというか三橋達也の北見次郎が活躍し始めました。今回はまたまた東南アジアのアラバンダ共和国(明らかにインドネシアがモデル)で物語は始まり、冒頭からテロリストと北見次郎が派手な撃ち合いを見せてくれます。北見次郎は、国際秘密警察本部からの指令でアラバンダの産業省次官のボディガードとなって日本へ行くのですが、この次官が独立戦争のときに“虎の牙”と恐れられた将軍だったと言うわけです。これをいかにも怪しげな中丸忠雄が演じているので、もう先の展開とラストはバレバレになっちゃうんですけどね。 本作では北見次郎の素性が少し明かされまして、なんと陸軍中野学校の卒業生だったんですよ。どおりで銃さばきが巧いわけだ。前作に続いてハードボイルド・タッチで撮られていますけど、ドラマもアクションもイマイチ弾けてないんですよね。 そういや前作ラストで逃げてしまったジェリー伊藤はもう出てこないのかな、なんてことが気になるぐらいの凡作でした。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2014-05-13 21:35:26)
50.  国際秘密警察 指令第8号 《ネタバレ》 
東宝で五本製作された『国際秘密警察』シリーズは、なんでも“『007』の影響を受けて世界でもっとも早く製作された映画”なんだそうです。つまり『007』パクり世界一番乗りというわけですが、別に自慢する様な事じゃありませんね(笑)。主人公は国際秘密警察のエージェントである北見次郎、このキャラだけは五本通じて登場します。演じるのは三橋達也ですが、なんで加山雄三なんかじゃなくて彼を起用したのか、ちょっと微妙ですね。一説では三橋達也が芸能界一のガンマニアだったからだそうですが、たしかに劇中のガンさばきはリアルなところもありますが、さほど目立つわけではありません。 この映画は三橋達也のモノローグで始まりモノローグで終わるのですが、肝心の北見次郎があまり目立たないんです。どちらかと言うと佐藤允の商社マンの方が主人公と言えるほどです。お話は、南ベトナムの反政府ゲリラ、つまりベトコン(でもこの呼び名は劇中決して使われませんでした)に武器をを供給しようとするポーランド人武器商人とそれを阻止しようとして組織に潜入する北見次郎、それに巻き込まれてしまう商社マンというところでしょうか。けっこうハードボイルド風に撮っていて、佐藤允とともに活躍するかと思った夏木陽介はあっさり殺されてしまいます。謎の女として水野久美が出てますが、役柄が『怪獣大戦争』のX星人とまるっきり同じというのは笑ってしまいました。でもよく考えると、こっちの方が先に撮られているのでX星人キャラの原型ということですね。武器商人はジェリー伊藤で、もうほんとに悪そうな奴ですがラストでハゲずら姿をチラリと見せて笑わしてくれました。 まあ特に何と言うこともない凡作なんですが、オリンピック直前の東京の街並みが映されるのは興味深かったです。首都高を走るシーンが有るんですが、時期的に京橋-芝浦間が開通したばっかりの頃で、貴重な映像じゃないでしょうか。ほとんど車が走っていないのがとても印象的でした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-05-05 21:15:00)
51.  好色一代男 《ネタバレ》 
市川雷蔵はイイですね~、眠狂四郎やってる人と同一人物とはとても思えない明るい演技です。長大な井原西鶴の原作を上手に脚色してあり、勘当された世之助が女を漁って日本をひとめぐりすると言うゴージャスさです。ほとんど江戸時代のポルノグラフィと呼べる西鶴オリジナルに、武士に抑圧される町人の悲哀を織り交ぜてくるところは、監督が増村保造ならではです。ホンワカしたテーマ音楽と雷蔵のしゃべくりが見事にマッチしておりまして、世之助が愛した女子がみな死んだり殺されたりしちゃうのに不思議と観終わって爽やかさが残ります。女優はいろいろ出ていますが、やっぱり若尾文子が飛び抜けて輝いていました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-04-19 23:57:39)
52.  殺しの分け前/ポイント・ブランク 《ネタバレ》 
ファーストネームのない男ウォーカー、こいつは生きている復讐の鬼なのか死してもなおこの世をさまよう亡霊なのか、謎は深まるばかりです。『81/2』や『2001年』なんか眼じゃない60年代に撮られた中でも屈指の難解さです。最近ではこの映画を、ウォーカーが死に瀕してみた夢なんだと解釈するのが流行りみたいです。 裏切り者のペンションに侵入するシークエンスでは、良く観てると警備のボディガードたちにはウォーカーの姿が目に見えていない様にも感じられ、やっぱり彼は亡霊なのかなと思えます。面白いことにウォーカーの女クリスにはファミリーネームがなく、これは何を暗示しているのか首を捻りますが、彼女もやはりこの世の人ではないということでしょうか。ジョイスやプルーストの小説テーマの『意識の流れ』をそのままクライム・ミステリーに導入した様な脚本は、とても先鋭的で時代を超越しています。 個人的には、リー・マーヴィン主演映画の中では本作がベスト、彼のカッコよさも頂点に達していると思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-04-06 23:05:44)
53.  コールガール(1971) 《ネタバレ》 
この映画、半分以上のシーンが夜の屋外と灯りの点いていない部屋の中で、ほとんど真っ暗というカットも幾つかあります。でも撮影監督が名手ゴードン・ウィリスなのでその深い闇が実に鮮やかに眼に残ります。デジタル・リマスター版で観れたのは幸いで、痛んだ古いプリントやビデオだとたぶん怒り狂うことになるでしょうね。『ゴッドファーザー』は言うまでもなく、コッポラやウディ・アレンに信頼されカメラを任されてきた名カメラマンなんですが、二回ノミネートされただけでオスカー撮影賞を受賞していないことは実に意外です。 この映画でのジェーン・フォンダの演技は、たしかに上手いけど主人公の性格付けがジェーン本人のキャラとほとんど同じ様な気がして、個人的にはあまり評価してません。70年代になってから彼女の演じるキャラはだいたい同じパターンの繰り返しみたいになってしまい、この年齢のときに『バーバレラ』みたいな殻を破ったキャラを演じて欲しかったと感じます。 ラストの結末に当時の女性観客からブーイングを喰らったそうですが、あそこで別れたらそれこそ凡百の映画と同パターンになっちゃうじゃないですか。ドナルド・サザーランドに着いていったからこそ、そこに良い味わいの余韻が残るんですよ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-03-30 21:28:56)
54.  ゴジラの逆襲 《ネタバレ》 
『ゴジラ』の続編は早くも怪獣対決路線に突入。『ゴジラ』とはあまりに雰囲気が違うと戸惑う向きもあるでしょう、それもそのはずで本田猪四郎と伊福部昭が関わっていないんですね。大作『ゴジラ』の直後でさすがにお二人ともお疲れだったんでしょうか。 『ゴジラ』での志村喬のラストのセリフがあるので、死んだはずのゴジラを復活させるのはさほど悩まなかったでしょうね、『アウトレイジ』の続編撮るのとはわけが違います(笑)。ゴジラスーツはわずか1年で驚くほど改良されていて、東宝特撮スタッフの技術力は大したものです。前作では山根博士はジュラ紀をなぜか200万年前と間違って説明していましたが、本作では1億2000万年前と正しくなっています(えらい違いです)。アンギラスも造形としてはなかなかセンスが良いんですが、ゴジラともどもアップシーンになるとギニョールになっちゃうのは残念でした。 前作ではゴジラが戦災のメタファーになっていましたが、本作ではどちらかと言うと天災の様な捉え方に変化した脚本です。最初は高知県南部に上陸すると予測されていたゴジラが大阪に現れるところなんか、まるで台風の進路予想みたいですな。特徴的なのは『ゴジラ』で強烈な印象を与えた都市住民の被害描写がほぼ皆無ということで、これはこの後のシリーズに受け継がれてゆきます。小泉博は元海軍航空隊の戦闘機乗りで戦後は民間航空のパイロットという設定ですが、いくらなんでも空自の元戦友たちに頼んでジェット戦闘機でゴジラ攻撃に参加するってのはやり過ぎです。プロペラ機しか操縦したことないのに、ろくに転換訓練も受けないでジェット戦闘機が操縦出来るようになるわけがない。本田猪四郎が監督なら決してこんな雑な撮り方はしなかったでしょう。 ラストのゴジラ攻撃は、飛行侵入経路や雪山の頂上近くを爆撃するところなど、『633爆撃隊』のフィヨルド特攻爆撃のシーンとカット割までそっくりです。これ絶対に『633爆撃隊』が真似していると思いますけど、どう見てもこの円谷特撮の方がレベルが高いというのは笑っちゃいます。こうしてゴジラは『キングコング対ゴジラ』まで6年間の眠りにつくのでした。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2014-03-06 19:13:49)(笑:1票)
55.  五人の突撃隊 《ネタバレ》 
舞台は太平洋戦争のビルマ戦線、インパール作戦が開始される直前の頃という設定みたいです。日本軍は河を挟んで英軍と対峙していて、河を渡って攻撃にむかった大隊が進めなくなって孤立している。軍司令官は旅団長を督戦のため前線に派遣するが、現地の大隊長は大損害を受けて補給もない状況では撤退するしかないと強硬に主張している。 大映製作の戦争映画なんですが、これがけっこう良く出来ていて面白い。邦画にしては珍しく実物の戦車が多数出演しています。これは英軍戦車という設定で当時の自衛隊で使っていたM24戦車で、もちろんビルマ戦線で使用されたことはないですけどもともと大戦中に開発されたロートルなので雰囲気は良く出ていました。撃破した1両を修理して日本軍が使うというアイデアはなかなか秀逸で、埋められてトーチカになり後半で活躍します。その戦車を操作するために5人の戦車兵が集められ、この連中がそれぞれ個性なキャラなのがイイですね。旅団長を演じるのが山村聡、この人が陸軍の将軍を演じるというのは珍しい。紳士的で豪胆な将軍という役柄はこの人の個性によくマッチしていました。 妊娠した妻がいるインテリ画学生、新婚初夜の最中に赤紙が来た田舎の青年、修行中の落語家、留置所から召集されたチンピラ、士官学校出たばかりのヤル気満々の少尉、という5人の娑婆での生活の回想シーンが交えられている脚本も良く考えられています。日本の戦争映画はどうしてもお涙ちょうだい的シーンが前面になるのですが、この映画アクション・シーンもしっかり撮られていて、両者のバランスが良くとれているのが良かったと思います。 今までまったく聞いたこともなかった無名の映画ですが、隠れた秀作と呼ぶにふさわしい一編です。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-03-02 23:00:39)
56.  ゴッドファーザー PART Ⅱ 《ネタバレ》 
公開当時は、「あんな完璧な映画に続編なんかあり得ない、冒涜だ」と頑なに観ることを拒んでいた自分が懐かしいです。PART.1で原作のほとんどの部分をなぞってしまったので、現代のマイケルの物語はコッポラで回想シーンは原作者のマリオ・プーゾと分担して脚本が書かれたそうですが、考えてみればやっぱり『ゴッドファーザー』はマイケルという人間のその後を描かなければならなかったということで、続編製作は正しかったんでしょうね。コッポラが担当した現代編はラッキー・ルチアーノやバグジー・シーゲルのエピソードをアレンジした実録ものの味わいで、古風なヴィトーが活躍する回顧編とはまるで違ったタッチなのですが、それが見事に融合してギリシャ悲劇の様な重厚なサーガにまで高められています。良くデ・ニーロの神がかり的演技が取り上げられるのでけど、私はアル・パチーノの凄味を通り越した鬼気迫る演技こそ称賛されてしかるべきだと思います。間違いなく彼の生涯最高のパフォーマンスで、こんな人が後年にはだみ声で演説する様な演技しか出来なくなるとは残念なことです。ケイに自分の子を堕胎されたと知った時のマイケル、自分はこんなに絶望する人間をスクリーンで観たことはありませんでした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-03-01 21:16:13)(良:1票)
57.  荒野の用心棒 《ネタバレ》 
セルジオ・レオーネの映画は長尺というイメージがあるが、この映画は例外的にふつうの尺に収まっています。もっとも本作以降の彼の作品で2時間未満の上映時間は皆無ですけど。 ほんと良くここまでと感心するぐらい黒澤の『用心棒』をパクってますねえ。もっとも私らの世代では、『用心棒』より先にTVで本作を観たという人の方が多いことでしょう。でも『用心棒』自体がウェスタンを意識したプロットだったから、見事にレオーネは換骨奪胎して見せたわけです。 とにかく若くて渋いイーストウッドを愛で、モリコーネの口笛のメロディーに酔いしれるのが正解でしょう。ラストの鉄板を腹に仕込んでのガンファイト(これはイーストウッドがアイデアを出したそうです)は今観ればなんかバカバカしくて、素朴に子供のころはなんで頭を撃たないんだろうと不思議でした。西部劇で頭や顔を撃っちゃいけないという規制があったことは後に知りましたが、マカロニ・ウェスタンも初期の頃はそんな不自然なルールを踏襲してたんでしょうかね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-11-01 00:18:37)
58.  恋人たちの曲/悲愴 《ネタバレ》 
この映画、「チャイコフスキーをホモ扱いした」と彼のファンからは忌み嫌われているそうです。日本のクラシック・ファンにはどうも音楽家を聖人君子視したがる傾向があるみたいですが、別にゲイでもいいじゃないですかね(その真偽は私には判りませんが)。 さて、音楽家の伝記になると異常にテンションが高くなるK・ラッセルですが、このチャイコフスキーと妻の愛と死を強烈なインパクトで見せてくれるこの作品、間違いなくケンちゃんの最高傑作だと断言しちゃいます。冒頭でチャイコフスキーがピアノ協奏曲第一番を初上演するシーンがありますがこれが凄い迫力で、同時にチャイコフスキーの幻想を見せる巧みな演出もあって唸らされました。R・チェンバレン、まるで本当に彼がピアノを弾いているみたいで熱演です。 彼の妻がG・ジャクソンで、これがもうほとんど色情狂と言っても構わないんじゃないでしょうか。列車の中でチャイコフスキーを誘惑して悶えまくるシーンなんか、ちっとも魅力的じゃないヌードに思わず引いてしまいます。ケンちゃんの醜女好きは有名ですが、そう言えばこの映画には普通の感覚で言うところの美女はひとりも出ていませんでした。 ラストは完全に狂ったG・ジャクソンが精神病院に幽閉されてしまうのですが、そこにいたるまでの彼女の狂おしい熱演は必見です。でもそこまで思う存分芝居をさせて、それでいて完全に映画をコントロールしているケンちゃんの手腕も大したものです。 「ホモでマザコンの男が色情狂の女と結婚するお話し」とケンちゃんは映画会社にこの映画のプロットを説明したそうですが、いやいやどうして、巨匠音楽家たちの生涯を鋭く抉ってきたケンちゃんでなきゃ撮れないチャイコフスキー像でした。
[ビデオ(字幕)] 9点(2013-08-26 21:08:38)
59.  コレリ大尉のマンドリン 《ネタバレ》 
さすがモードの国イタリア、良く見るとカッコ良いデザインの軍服ですね、戦争には向いてないけど(笑)。“歌うイタリア兵”と言うところが強調されていますが、ドイツ軍でも日本軍でも軍歌を歌わせるのは団結力を高める統率手段で、これは世界の軍隊ではごくありふれたことです(もっともオペラを歌うってのは珍しいけど)。兵隊に引っ張られるのも人生、人生は楽しまなくちゃ損、という感じなのがいかにもイタリア人らしくて好きです。 それに対して「地震と戦争について語ろう」という冒頭のモノローグがあるように、戦争と天災を同列に考えるのがギリシャ人で、これは両者の辿ってきた歴史の違いがうかがえて興味深いところです。 あまり評判が良くない本作ですが、わたしはけっこう好きです。P・クルスは今まで観た彼女の出演作でもっとも垢ぬけないキャラでしたが、ラジー賞にノミネートされるとはちょっと可哀想じゃないですか。脇を固めるJ・ハートやI・パパスはいい味出しているけど、どうもC・ベールのキャラが曖昧かつ中途半端なのはマイナスでしょう。彼が戦後どういう境遇になったのかというあたりがスッパリ抜け落ちているので、N・ケイジが戻ってくるラストもイマイチ盛り上がりませんでした。 それにしてもエーゲ海の青い水と空は実に美しく、ケファロニア島に一度行ってみたくなりました。
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-06-21 20:47:05)
60.  恋はデジャ・ブ 《ネタバレ》 
久々に唸らせていただいた“アイデア一発勝負”脚本でしたね。なんの説明もなく、ループの世界に落ち込んだ不条理さがいいです。「もし眠らなかったらどうなるんだろうか?」なんてつまらないことつい考えてしまいましたけど、良くできたお話しです。ゲームをしくじったからリセットするのとは違って、今の人間性が変わらない限り一日が進まないというのはけっこう怖いところです。だから『三人のゴースト』や『素晴らしき哉人生』を思い出したという皆さんとは違って、わたしが彷彿させられたのは、古い映画ですがタイムスリップものSFの元祖といえるイブ・メルキオールの『タイム・トラベラーズ』だったりします。 ちょっと微妙な邦題のせいもありますが、俗に言う“隠れた傑作”に数えられてもいいんじゃないでしょうか。しかし、あんだけ保険に加入しちゃったら、支払いが大変だろうな(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-18 23:53:45)
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42048.53%
535915.01%
644218.49%
761525.72%
842817.90%
91375.73%
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